ガールズ&パンツァー ~捨てられた男の娘~   作:ニキ・ラウダ

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皆様、明けましておめでとうございます。今年もセナたんをよろしくお願い致します。


第22話 16年後の真実

ラウダはセナの試合を見ながら、しほにセナの正体を明かした。

 

「あの子の正体は、16年前・・・西住流が男だからいらないと言って捨てた男の娘ですよ。」

 

その言葉を聞いたしほは、目を見開いて驚いた。驚きのあまり、声も出なかった。ラウダは表情を一切変えずに話を続ける。

 

「あの小さな赤ん坊が大きくなったでしょう。」

 

しほは、身体を震わせながらラウダを見て、声を荒げた。

 

「男に戦車道をやらせるなんてっ!戦車道に対する冒涜です!それに世間にバレたらあの子は普通の人生は歩めなくなるんですよ!?」

 

ラウダがしほを見ると、信じられないと言うような顔で怒っていたが、ラウダは真面目な顔でしほに言った。

 

「そこは問題ない。色々な人に協力を得ているから、万が一の時は早急に対処できる。」

 

ラウダはしかし・・・と続ける。

 

「何故そこまで怒る?あの子を捨てたのなら、あなたには関係ない。」

 

しほはラウダをキッと睨み付けた。

 

「戦車道を男で汚したからですよ!」

「それにしてもだ。」

 

ラウダは話を続ける。

 

「あなたは、先程セナの心配もしていた。戦車道を侮辱したから怒ったというのなら、セナの心配をするのはおかしい。」

 

ラウダの的確な指摘に、しほは言葉が出なかった。ラウダはしほの反応を見て、自分の中にあった疑問を解いた。

 

「なるほど・・・セナを捨てたのはあなたの意思では無いのですね?あなたの反応とセナの記憶を繋ぎ合わせたら16年前の全貌が見えてきました。」

 

しほはラウダのある言葉に反応した。

 

「セナの記憶?あの子に記憶があると言うんですか!?」

「えぇ・・・セナはこう言っていたのです。母親の顔が見えなかったと・・・覚えているのは、病室の外から聞こえた女性の泣き声と、長い髪で隠れた顔から涙が自分に零れ落ちて来たと・・・」

 

それを聞いたしほは俯いた。

 

「そうですか・・・」

 

しほが画面に目を向けると、そこには煙幕を上げながら丘の上へと逃げようとする大洗の姿が映っていた。大洗は、アリクイさんチームが忍び寄ってきた黒森峰の車両に撃破された為、大洗の戦車は7両へと減っていた。みほは、予定していたモクモク作戦を実施し、煙幕で相手を混乱させつつ丘の上の高台を陣取り、試合を有利に勧める作戦のようだ。黒森峰もそうはさせまいと、大洗の車両を一気に潰そうとする。黒森峰の副隊長であるエリカは、大洗の車両を一気に潰そうと全員に砲撃指示を出す。

 

「煙幕なんて忍者じゃあるまいし、小賢しい真似を!撃ち方用意!」

 

エリカが砲撃を指示しようとしたが、まほに止められた。

 

「撃ち方止め。」

 

まほの指示にエリカは反発した。

 

「一気に叩き潰さなくて良いんですか!?」

 

まほは興奮しているエリカに対して、理由を説明する。

 

「簡単に相手の作戦に乗るな。恐らく、無駄弾を撃たせるつもりだろう。相手の動きを見極めてから攻撃しても遅くはない。」

 

そして大洗の方は丘の頂上まで登ると、6両は黒森峰がいる方へ砲塔を向けた。みほは、黒森峰の車両の数を確認する。

 

「確か・・・セナさんが5両撃破したっていってたから14両に減ってる筈だけど・・・あれ?」

 

みほは、黒森峰の戦車の車両の数に違和感を覚えた。先程追われていた時よりも、さらに2両減っていたのだ。

そこへ、沙織にセナ率いるレオポンチームのスズキから無線が入る。

 

『こちらレオポンチーム。煙幕の中で黒森峰の隊列の最後尾の車両を2両撃破。2両とも撃破した後、ライフルで無線アンテナを破壊・・・相手の隊長、副隊長は撃破された事が報告されていない可能性があります。』

 

その無線を受けた沙織は、直ぐにみほに報告する。

 

「みぽりん!レオポンチームが煙幕の中で相手の隊列の最後尾の車両を2両撃破!その後無線アンテナを破壊したから、相手の隊長、副隊長に連絡が行ってない可能性があるって!」

 

その報告を聞いたみほは、攻撃のチャンスと判断し、黒森峰の車両12両が丘の麓まで来た瞬間砲撃を開始した。

 

「撃てっ!」

 

大洗の車両6両から放たれた砲弾は黒森峰の車両に当たり2両撃破した。まほは、フラッグ車の前にヤークトティーガーを出し、残りの戦車で大洗を囲むことにした。重戦車を盾にして反撃するようだ。

大洗が、ヤークトティーガーに砲撃するが、装甲が硬くてビクともしない、その上周りは囲まれている。その状況を見たみほは、この状況では不利になるため、一旦引くべきだと考え、レオポンチームに作戦開始の指示を送る。

 

「おちょくり作戦開始!」

 

指示を送ると、無線の奥から可愛らしいセナの声が聞こえてきた。

 

「こちょくり作戦開始ぃ♪」

 

それを聞いたみほはセナにツッコミを入れた。

 

「いや!おちょくり作戦だからね!?」

 

ポルシェティーガーは相手を錯乱する為、隊列に突っ込んだ。セナはまずヤークトティーガーを撃破し、ツチヤが黒森峰の戦車の間を縫っていく。そしてエリカはとある事に気が付いた。戦車の数を数えると、9両しか居なかったのだ、先程やられたティーガーを含めても、3両撃破されたから、11両残っている筈だが2両居ない。その事に気付いたエリカはまほに連絡を入れる。

 

「隊長!いつの間にか2両撃破されて計9両に戦車が減っています!」

 

その連絡を受けたまほの顔は険しくなった。恐らく隊列を組んで行進している時に煙幕の中で、こちらが混乱しているのに乗じて、最後尾の車両を撃破したのだろうとまほは解釈した。まほも、セナの対策をして来なかった訳ではないが、みほの柔軟な発想とセナの隠密性が予想以上にマッチして、かなり手強いのだ。

 

観客席は、また騒然としていた。いつの間にか黒森峰の車両が減っていたからだ。

 

「どうなってるんだ!?いつ撃破されたんだ!?」

 

聖グロリアーナのダージリンとオレンジペコは、セナが撃破したとわかっていた為、あまり驚いていない。むしろオレンジペコは大洗とセナの活躍を喜んでいた。

 

「みほさんの柔軟な発想とセナの実力がマッチして、黒森峰を押しています!セナぁぁ///」

 

オレンジペコは、両手を抱き締めるようにして身体をクネクネとさせていた。ダージリンは紅茶を飲みながら、オレンジペコに言った。

 

「ねぇ?ペコ?セナの作戦ノートを見たことある?」

「いえ?」

 

それを聞いたオレンジペコは正気に戻り、首を横に振った。

 

「セナはね?1試合の作戦を考えたら、ノートが丸々1冊

埋まるのよ?」

「えぇ!?」

 

それを聞いたオレンジペコは目を見開いて驚いた。

 

一方しほとラウダは戦いを静かに見つめていた。しほはラウダに話掛けた。

 

「私はあの子を手放したくありませんでした・・・ですが、あの子に対する西住家の対応を考えると・・・」

 

そこまで聞いたラウダは表情を一切変えずに頷いた。

 

「確かに、セナに対する西住家の対応を考えると、もし仮にセナが西住家にそのままいたら虐待されていただろう・・・」

 

しほはラウダに質問をした。

 

「私は間違っていたのでしょうか?」

 

それを聞いたラウダは、腕を組むとしほに言った。

 

「セナの今の精神状態を見ると、あなたの判断は間違っていたようにも思える。」

 

しほはそれを聞いて落ち込んだ。ラウダはしかし、と続ける

 

「君のおかげで、私と妻はセナに出会う事が出来た。」

 

しほが小さく頷くとラウダは話を続けた。

 

「君のおかげで、セナは虐待されずに済み、家の事に捕らわれずに生活出来ている・・・それも事実だ。」

 

しほはラウダの言葉に涙を流していた。

 

「セナを手放す時も、そのように泣いていたのでしょう?その時の心情・・・お察しします。」

 

ラウダが「ですが・・・」と言うと、しほはラウダの方を向いた。

 

「セナは、赤ん坊の時の記憶が鮮明に残っている為、今も16年前の出来事がセナの心を押し潰そうとしているのです。」

 

しほはラウダの目をじっと見つめた。ラウダは話を続ける。

 

「この試合が終わったら勝敗問わずにセナに会ってあげてくれ・・今セナが背負っている重荷を軽くしてあげて欲しい。これから先、あの子には西住家に捕らわれて生きて欲しくは無い。」

 

しほはラウダの言葉にゆっくりと頷いた。




いよいよクライマックスです。この先のセナと大洗の運命は?
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