ガールズ&パンツァー ~捨てられた男の娘~ 作:ニキ・ラウダ
セナは朝早く起き朝食を作っていた。メニューは白ご飯と味噌汁と焼き魚である。
「ネギ♪ネギ♪トントン♪豆腐 油揚げグツグツ♪焼き魚ジュージュー♪」
昨日みほに悩みを打ち明けたお陰か超ご機嫌である。
一方セナの隣人である みほ はセナの奏でる鼻歌と包丁の音で目を覚ました。
「うん~・・・」
みほは目を擦りながら布団から身体を起こすと、隣から焼き魚の香ばしい匂いがしてきた為、お腹が空いた。
「いい匂い・・・焼き魚かぁ・・・食べたいなぁ~・・・私はコンビニに行こっ」
「ふんふんふ~ん♪」
セナが歌いながら料理していると、みほの部屋からみほの呟きが聞こえてきた・・・
『いい匂い・・・焼き魚かぁ・・・食べたいなぁ・・・私はコンビニに行こっ』
セナは、みほの呟きを聞いて少し心配になった。コンビニの料理は確かにおいしいが健康にはあまり良くない。そういえば、昨日の夜もコンビニの弁当を買ってきていた・・・このままでは、みほが身体を壊してしまうと思ったセナは、魚をもう1匹取り出しグリルに魚を投入し、料理が完成するとみほの部屋へ向かった。すると丁度ドアを出るタイミングが一緒になり、セナはみほに笑顔で挨拶をした。
「みほさんおはようございます。」
「あっセナさん、おはよう!」
みほも笑顔で挨拶を返す。寝起きの為か若干眠そうな顔をしている。
「みほさんはどちらへ行かれるのですか?」
「朝食を買いにコンビニまで・・・エヘヘッ」
みほは、恥ずかしそうに笑った。
「よろしければ一緒に朝食を食べませんか?」
「うん!じゃあ急いで買ってくるね!」
みほが朝食を買いにコンビニに行こうとしてるのをセナが引き留める。
「いえ、その必要はありません。みほさんの分まで朝食を作っていますから♪」
セナは笑顔でリビングに用意してある朝食を見せた。
「えっ!?どうして!?」
みほは既に自分の分の朝食が用意されている事に驚いた。
「みほさんの呟き、私の部屋まで聞こえていましたよ?」
セナが笑顔でウィンクすると、みほは顔を真っ赤にしながら恥ずかしそうに俯いた。
「あうっ・・・」
セナは自分の部屋のドアを開くとみほを部屋へと招き入れた。
「さぁどうぞ」
「じゃ・・・じゃあお言葉に甘えて」
みほは少し恥ずかしそうにしながらセナの部屋へと上がった。
「おいしそ~!」
みほは目の前にある料理を見ると目を輝かせた。
「こんな粗食ですが」
「そんなことないよ!いただきま~す!」
「はい、召し上がれ」
セナは笑顔だった。みほは焼き魚を箸で摘まむと 魚はパリッ と良い音をたて油がジュワっと出て来た。それを口の中へと運ぶ。
「おいしい!この魚の皮のパリッとした感触とフワッとした食感!噛んだ時に出てくる油と絶妙な塩加減が良い感じに合わさってる~♪」
みほは顔を傾け頬っぺたを手で押さえながら笑顔で味の感想をセナに言った。
「お口に合ったようで良かったです。」
自分の料理をおいしいと言ってもらえて、セナも嬉しそうだった。みほとセナは朝食を食べた後登校の準備をし、学校へ向かった。そして学園の戦車の格納庫へとみんな集合する。
いよいよ戦車道が始まるので、華と沙織はワクワクを隠せない。
「いよいよ始まりますね!」
「さらにモテモテになったらどうしよ~」
沙織は自分がモテる妄想に浸っている。
「あははっ・・・」
沙織の発言に対しみほは苦笑いして、セナはクスクスと笑っていた。
「あっ!セナちゃんひどーい!」
そしてみほを見つめる女の子が後ろにいたが、セナは気にしなかった。そして生徒会の広報の河嶋 桃が戦車道の授業の開始を宣言する。
「では!これより!戦車道の授業を開始する!」
先程みほを見ていた、生徒が生徒会に対し質問をした。
「戦車はティーガーですか?それとも・・・」
「うーん・・・なんだったっけなぁ~」
生徒会もどんな戦車があるかわからないようだった。
そして倉庫の扉が開かれるとそこには、ボロボロの戦車が1台佇んでいた。
「うわ・・・ボロボロ」
「最悪・・・」
「詫び寂びでよろしいんじゃ?」
「これはただの鉄錆び・・・」
セナとみほは置いてある戦車を歩いて見に行く
「レストアすれば十分に使える・・・問題はエンジンです。使えなさそうならスグに新しいエンジンを手配しなければいけない・・・」
「装甲も転輪も問題なさそう・・・これなら行けるかも!」
戦車の状態はそこまで悪くないようで、 みほの言葉に皆大歓喜した。
「おぉー!」
そして、セナは重要な事に気付いた。
「戦車が足りない・・・最低後4両要ります。」
「確かに、計5両は欲しいかも・・・」
みほもセナの言葉に頷いた。
「んじゃ!みんなで探そうか?」
杏は足りない戦車を探そうと提案を出し、その言葉に皆は首をかしげる。
「探すってどういう事ですか~?」
1人の少女が質問をすると、桃が答えた。
「我が校は何年も前に戦車道は廃止されている。だが、当時使用されていた戦車がどこかに残っている筈だ、いや必ずある。明日戦車道の教官がお見えになる。それまでに残り4両探し出す事」
今日中に4両戦車を探せという厳しいノルマが下った。そして1人の生徒が戦車がある場所を杏に訪ねた。
「して・・・戦車は何処に?」
「わからな~い」
「何にも手掛かりも無しですか!?」
「な~い」
杏は戦車の場所も分からなければ、手掛かりもないと皆に話す。
「では!捜索開始!」
手掛かりもない形で捜索が開始された。
「なんか聞いてたのと話が違う・・・戦車道やってるとモテるんじゃ・・・」
沙織は自分が思っていた戦車道と違い落ち込んでいた。それを見た杏は沙織を元気にする為、明日カッコいい人
が来ると教える事にした。
「明日カッコいい教官が来るから」
「ほんとですか!?」
カッコいい教官が来ると知った沙織は、テンションが上がり目をキラキラとさせている。
「ほんと ほんと 明日紹介するから」
「じゃあ!行ってきまーす!」
沙織は杏に手を振ると、勢い良く飛び出して行った。
そして、セナとみほと沙織と華の4人は駐車場へやって来たのだが・・・沙織は見つからない戦車にイライラしていた。
「一体どこに戦車があるっていうのよー!!!」
戦車が1台も無かった。華は、戦車はここには無いだろうと考え沙織に言った。
「駐車場に戦車は止まってないかと・・・」
「だって一応は車じゃん!?こうなったら森林に行ってみよう!なんとかを隠すなら林の中って言うしね!」
「それを言うなら木を隠すなら森の中じゃ・・・」
みほとセナが沙織達の後に付いて行こうと歩き出すと先程から木の影で覗き込んでいた女の子が仲間になりたそうに付けてきていたので、それを見たセナは、みほに後ろの女の子も仲間に入れようと提案することにした。
「みほさん後ろの女の子ずっと付いてきてますよ?一緒に探そうと誘ってみてはいかがですか?」
みほは、「えっ!?」とした顔になったが、覚悟を決め女の子に話しかけることにした。
「あのっ!」
「はっ!はい!」
付けてきていたの子はびっくりして返事をする。そしてみほは、一緒に戦車を探す事を女の子に提案した。
「良かったら一緒に探さない?」
「いいんですか!?あっあの!私!普通2科!秋山優花里といいます!不束者ですが!よろしくお願いいたします!」
女の子は元気良く自己紹介をすると、続いてみほ達も自己紹介をする。
「こちらこそよろしくお願いいたします。五十鈴 華です。」
「武部沙織!」
「私は・・・」
みほが自己紹介をしようとすると、優花里に遮られた。
「存じ上げております!西住みほ殿ですよね!」
優花里は既にみほの事を知っていたようで、みほはそれに対し少し引きぎみで返事をした。
「はっ・・・はい」
そしてセナも自己紹介をしたのだが・・・
「私は二木 セナといいます♪」
「えぇ!もちろんセナ殿の事も存じ上げておりますよ!」
「えぇ。よろしくお願いしますっ♪」
セナは笑顔で挨拶をしたが、優花里の情報力にびっくりしていた。何故なら戦車道でのセナの事を知ってる人はごく一部だからだ。
「では!よろしくお願いいたします!」
山を捜索中に、セナと華がそれぞれ何かを察知する。
「なんか鉄が軋めく音が・・・」
「音?何も聞こえませんが・・・」
セナは鉄の軋めく音が聞こえると言っているが、優花里には何も聞こえなかった。
「花の香りに混じって鉄と油の匂いが」
華は花の香りに混じっている鉄と油の匂いをかぎ分けたらしい。
「匂い!?匂いでわかるんですか!?」
「花道やってるとそんなに敏感になるの!?ってさらっとセナちゃんも凄い事言ってるし!?」
優花里と沙織はセナの聴力と華の嗅覚に驚いていた。
「「私だけかも知れませんが」」
華とセナは口をハモらせながら言った。
「ではっ!パンツァーフォー!」
優花里がある掛け声を出す。
「パンツのアホ!?」
沙織は何の事かわからないらしい。
みほ「あははっ・・・パンツァーフォー、戦車前進って意味なの」
みほは少し笑いながら沙織に意味を教える。セナは、沙織の『パンツのアホー』が気に入ったようで、沙織の横で楽しそうにパンツのアホーを連呼していた。沙織は恥ずかしくてセナの口を無理やり塞いでいた。5人は森の中を突き進むと、華が斜面に放置されている戦車を見つけた。
「38t・・・」
「なんかさっきのより小さい」
沙織は最初に見た戦車より小さいと思ったらしい。セナは戦車に近付いて戦車に話しかける。セナは戦車は物だと思っておらず、同じ生き物として扱っているようだ。
「あなたでしたか・・・必死に私達を呼んでいたのは・・・」
すると優花里が目を輝かせながら、この戦車の事を解説する。
「38tと言えば、ロンメル将軍の第7装甲師団でも主力を勤め、初期のドイツ電撃戦を支えた、重要な戦車なんです!機動性も高くて!tっていうのは重さではなく!チェコスロバキア製って意味なんです!・・・はっ!」
優花里は我に帰ったが、沙織が驚いた顔をしていた。
「今イキイキしてたよ・・・」
「すみません・・・つい」
優花里は申し訳なさそうに謝るが、セナは少し微笑みながらそれを褒めた。
「謝る事はないですよ・・・戦車道をする上で戦車の事を知っているのは凄い武器ですよ?戦術の幅も広がります。少なくとも・・・私が敵でしたらもの凄く嫌な敵です。」
セナの評価に優花里はうれしかったらしく、笑顔でお礼を言った。
「あっ!ありがとうございます!」
セナは無線で桃に連絡をいれる。
《河嶋さん。森林にて戦車を1両発見しました。》
《ご苦労。戦車は自動車部に回収に行かせるので引き続き捜索を続行せよ》
《わかりました。》
そして次々に戦車は見つかり遂に5両戦車が揃い戦車倉庫に戻ってきた。今から戦車への振り分けが決められる。
「で会長どのように振り分けましょう?」
桃が聞くと、杏は両手を頭の後ろに組ながら言った。
「見つけた者が見つけた戦車に乗ればいいんじゃなーい?」
という訳で・・・
"Ⅳ号D型にはみほ セナ 沙織 華 優花里"
"M3リー中戦車は一年生チーム"
"38tには生徒会チーム"
"III号突撃砲 には歴女チーム"
"八九式中戦車にはバレー部チーム"
の振り分けになり、全員戦車の洗車にとりかかる。セナがⅣ号の洗車をしていると優花里が話しかけてきた。
「あっあの二木殿」
「呼びにくかったらセナでもいいですよ?」
「ではセナ殿。お尋ねしたい事が」
優花里は少し言いにくそうにセナに質問をした。
「なんでしょう?」
「あの・・・中学の時、あんな事があったのにまた戦車道をして後悔はないのですか?」
セナは中学時代の事を聞かれ少し暗い表情になった。
「やはり私の中学時代を知っていましたか・・・後悔はありませんよ?みほさんや沙織さん華さんそして優花里さんはそのような事をする方ではないとわかっていますから、それにしても驚きました・・・私の事を知っているのはほんの一握りの人達ですよ?」
セナは少し微笑みながら、素直に優花里の情報力を褒めた。
「私の情報網を舐めて貰っては困ります!あの一ミリも外さない砲撃!どんな戦車でも正確に操れる器用さ!走るコンピューターと呼ばれるのも頷けます!」
優花里はセナの2つ名も知っており、セナは自分の事を知っていてくれたのが嬉しく、笑顔で優花里に返答をした。
「知っていただけていたなんてうれしいです♪」
そして洗車が全車両完了し、放課後・・・優花里の提案でせんしゃ倶楽部に行くことになった。
「こんなところがあったんだ・・・」
セナが店内を見回ると、1つの展示物に目が止まった。
"西住流 師範 西住しほ "使用品と書かれていた。
「お母様・・・」
セナは昔の事を考えたくないのに考えてしまう。セナは心の中で捨てた母親に対し問いかける・・・何故自分を捨てたのか・・・何故一緒に暮らせないのか・・・"何故あなたの息子じゃ駄目なのか"色々と考えているうちに、セナは無意識に涙を流していた。
沙織は泣いてるセナを見つけると、一目散に駆け寄った。
「どうしたの!?セナちゃん!?」
沙織が心配そうに話しかけるがセナは悲しそうにしている。
「沙織さん・・・私・・・要らない子なのかな・・・私・・・うっ・・・ふぇぇっ」
セナは子供の様に泣き出してしまい、沙織の胸に泣きついた。
「えっ?えっ!?セナちゃん?」
沙織はセナの行動に戸惑ったが、セナをそのまま何も言わずに抱き締めた。
するとテレビにとある人物が映った・・・インタビューをされているようだ。
《次は、戦車道の話題です。高校生大会で昨年MVPに選ばれて、国際強化選手となった、西住まほ選手にインタビューに行っております》
そこにはインタビューされている黒森峰の隊長 西住まほが映っていた。
「お姉ちゃん!」
セナはみほの発言を聞いた途端泣き止み、テレビを見た。
(あれがもう一人のお姉様・・・)
セナは涙を浮かべながらテレビを見つめる。
《勝利の秘訣はなんですか?》
《諦めない事、そしてどんな時も逃げ出さない事ですね》
「お姉ちゃん・・・」
みほは姉の言葉を聞いて何故か少し落ち込んでいた。そして、アナウンサーが最後の質問に入った。
《では最後に質問です!もう一度対戦したい選手は誰ですか?》
《中学時代に勝てなかった・・・走るコンピューターと呼ばれていた選手です・・・名前はわかりませんが》
走るコンピューターというワードにみほと沙織は疑問符を浮かべていた。
「走るコンピューター?」
「誰だろう?」
セナの正体を知っている優花里は目をキラキラさせながらセナを見ている。セナは少し気まずそうな顔をした。
(確かに黒森峰と戦った記憶はありますがあの時戦ったどれかの戦車の中にまほお姉様が・・・)
次対戦するときはきちんと相手を覚えようと思ったセナだった。
翌日の朝・・・今日は本格的な戦車道の授業があるのでリアカーに必要になるであろう道具を乗せており、セナは今から登校したらギリギリの時間に到着するだろうと読んでいた。みほはセナの朝食を食べた後すぐに登校したようだ。
セナは工具台車などを積んでいるとても重いリアカーを引き通学路を歩いていると・・・前方にきつそうに歩く少女の姿が見えた。
「あっ・・・誰か居ますね。あのペースだと完全に遅刻する・・・」
少女が遅れると確信したセナは意を決して少女に話しかけることにした。
「大丈夫ですか?」
少女の顔は今にも倒れそうだ。
「いや・・・もう無理だ・・・」
と言い少女はその場にしゃがんでしまった。
「うーん・・・仕方ありませんね」
セナはしばらく何かを考えた後、自分より20cmほど大きい少女を軽々と持ち上げリアカーにクッションをひき寝かせ全速力でリアカーを牽き学校へ向かった。
*セナの身長 125cm
*少女の身長 145cm
「なんだ・・・何が起こった・・・」
少女は自分の身に何が起こったのか理解出来ていなかった。
「遅刻ギリギリじゃない!きやぁぁっ!」
セナは校門に誰か立っていた風紀委員を無視しとてつもない速さで横を突っ切り少女を玄関前へ降ろす。
「すまん助かった」
少女はセナにお礼を言う。
「いえいえ!遅刻しないようにすぐに教室に向かって下さいね?」
セナはニッコリスマイルで、一言言うと全速力で自動車部の整備工場前へと道具を置きに行った。それを見送った少女は顔を赤らめていた。
戦車倉庫前ではみほがいつまでたっても来ないセナを心配しキョロキョロしていた。
「セナさんが来ない・・・やっぱ戦車道嫌になったのかな・・・?」
みほは不安な表情を浮かべている。
「本当どこに行ったのよ!?」
沙織もセナが心配なようだ
セナは荷物を置き戦車倉庫の前へと急ぐと、集合しているみほ達の隣へと並ぶ。みほはセナを見ると安心したが、すぐにセナを叱った。
「どこに居たの!心配したんだよ!?」
「ちょっと自動車部に用事がありまして・・・」
「もう!みぽりんが一番心配してたんだからねっ!」
沙織も怒っていた。そして上空から戦闘機がやってきた。
「教官がお見えになったようだ」
セナはヘリコプターを見て、自衛隊のヘリコプターではないかと予想した。
(あれは自衛隊のヘリコプター・・・自衛隊・・・戦車道・・・まさか・・・あのまま戦車で着陸する気なんじゃ・・・)
セナの予想が的中し、飛行機から出てきた戦車はそのまま駐車場へと着陸し学園長のスーパーカーを蹴散らしそのままこちらへと走ってくる。
「あぁ!学園長の車が!」
そして戦車が目の前に来て中から女性が出て皆の前へと現れると、桃がこの人物の紹介を始めた。
「今日戦車道の教官をしてくださる陸上自衛隊戦車教導隊所属 蝶野亜美一尉だ」
「みんなよろしくね!ここに要る人達はほぼ初心者と聞いているけど頑張りましょうね!」
そして挨拶を済ませると蝶野はみほの存在に気付き駆け寄る。
「あなた!西住師範のお嬢さんじゃありません?師範にはお世話になりました。お姉様も元気!?」
突然話しかけられたみほは困ったような顔をしながら返事をした。
「はっはい・・・」
すると生徒達が口々に疑問を口に出し始めた。
「西住師範って?有名なの?」
すると蝶野が西住流について解説を始めた。
「西住流って言うのはね!古くからある由緒正しき流派なの!」
セナは西住流に対して良いイメージを持っておらず、顔をしかめる。セナはみほが暗い表情をしているのを見ると、みほを助けるため話題を反らす事にした。
「それは一先ず置いて、早く授業を始めましょう蝶野教官」
「そうね、うん?あっ・・・あなたは・・・」
蝶野はセナを見ると幽霊でも見たかのような顔をして驚いている
「はい?何か?」
セナは平然とした顔で返事をしたが、蝶野は信じられないというような顔をした。
「まさか二木・・・セナ・・・さん・・・なの?」
「確かに私は二木セナですが、どこかでお会いしましたか?」
蝶野はセナの前に行くとセナについて話し出した。
「走るコンピューター・・・二木ラウダの義理の・・・そして・・・西住師範の・・・」
セナは西住という名前が出た瞬間、嫌悪感を示した。
「やめてください・・・もうあの人は関係ないです・・・事情はなんであれあのオバサンは私を捨てました・・・二度とあの人の名前を私の前で出さないで下さい・・・」
セナは今にも泣き出しそうな表情になり、周りがみほではなく、今度はセナの事を疑問に思い始めた。
「セナさんって有名なのかな?」
「さぁ・・・」
「なんか泣きそうな顔をしてるよ?」
自分に精神的ダメージを負ったが、みほの話題を反らすというセナの思惑は成功した。
セナはうっすらと微笑みながら手をパンと叩き、蝶野に授業を始めるように促す。
「まぁそれも一先ず置いて、授業を始めましょう!蝶野教官?」
「えぇ・・・そうね・・・」
蝶野はセナの笑みに戸惑いながらも授業を始めることにした。
「教官!本日はどのような授業を行うのですか!」
優花里が蝶野へどのような授業をするか質問する
「そうね!本格的な練習試合をやってみましょう!」
蝶野の解答にみんなびっくりした。
「えぇ!いきなり!?」
「大丈夫よ!何事も実践よ!」
そしてみんな戦車倉庫の中へ移動する。
「あっセナさん!」
セナがみほ達と合流しようと歩き出そうとした時、蝶野がセナを呼び止めた。
「あなたはどの車両に乗るのかしら?」
「Ⅳ号ですが?」
「あなたがⅣ号に乗ってしまったら戦力が片寄りすぎるわね・・・」
「では別の戦車に」
「そうね・・・あなたの腕が落ちてないかも観てみたいし一年生チームに加わって貰えるかしら?」
「わかりました。」
セナはすぐにみほ達の元へ行きチームを移動する事になったことを伝える。
「チームを移動?」
「何で?」
セナは蝶野にチームを移動して欲しいと言われた事を話した。
「仕方ないですね・・。」
華は残念そうな顔をしながらも認めた。そして一番驚いたのはセナの実力を知っている優花里だった。
「セナ殿が敵ですか!?そんな!勝ち目が無くなりますよ!」
「戦力差が片寄りすぎるからだそうですよ?」
「大丈夫だって!こっちにはみぽりんが居るし!」
「いや武部殿・・・」
優花里が沙織にセナの事を話そうとしたら、セナがそれを遮った。
「という訳ですので、敵になるからには全力で迎え撃たせて頂きますので・・・悪しからず♪」
セナは微笑むと、一年生チームの元へ歩いていった。
「どうやって動かすんだろう・・・」
「詳しい友達に聞いてみようか?」
「いやググった方が早いかも」
一年生達は戦車の動かしかたがわからず苦戦しているようだが、セナは一先ず声を掛ける。
「私もこちらのチームへ加わる事になりましたのでよろしくお願いいたします。」
「あっセナさん。こちらこそお願いします。」
1人の一年生がセナに丁寧に挨拶をした後、セナは役割を決める事を提案する。
「皆さんの役割を決めましょう。」
「役割ですか?」
セナはそれぞれの役割について解説を始めた。
「車長、操縦手、砲手、装填手、通信手を決めます。大丈夫です。私のリードに身を任せて下さい。」
「わかりましたっ!でもどうやって決めるんですか?」
「車長は澤 梓さん・・・ 砲手 山郷 あゆみさんと大野あやさん・・・装填手 丸山 紗希さんと宇津木優季さん・・・ 操縦手 阪口 桂利奈さん ・・・」
「私操縦とかわからないんですけど・・・」
阪口桂利奈は、自信が無さそうにセナに言った。
「動かし方は私が教えますので安心してください。ある程度動かしたら私と交代して私の操縦を見て学んで下さい・・・って言っても私はそこまで大したレベルじゃありませんが・・・」
「セナさんって戦車道してたんですか?」
桂利奈がセナに戦車道の経験があるのかを質問する。
「中学生の時に少しだけ」
セナは微笑みながら返事をした。そして梓が自分の割り振られた役割にびっくりした声を出した。
「私が車長!?」
「車長とはチームの司令塔のようなものでチームをまとめる力が必要です。さっき話していた姿を見てあなたが最適だと判断しました。そして砲手と装填手ですがご覧の通りM3リーには主砲と副砲があります。主砲の砲手は山郷さん 装填手が宇津木さん・・・副砲の砲手は大野さん 装填手が丸山さん。これはさっき見た皆さんの相性で判断したものですので適当に決めたわけではありません。」
一年生はセナの冷静な分析と正確な采配に唖然としている。そしてセナは一年生に激励の言葉を送る事にした
「こんな言葉を知っていますか?《神様は私たちに、成功してほしいなんて思っていません。ただ、挑戦することを望んでいるだけ》」
「キリスト教の修道女の言葉ですね?」
桂利奈はこの言葉を知っているようだ。
「このやりとり懐かしい」
セナは中学時代にしたやりとりを思い出し、笑みをもらした。
「いっ・・・いきなりどうしたんですか?」
「戦車道を少ししていた時の私の車長がいつもこんな事を言ってたんですよ、つい私もやってみたくなってしまって」
宇津木と呼ばれる女の子は意味がわからないようで、うーんと唸っている。
「え~っと~」
「つまり重要なのはこの試合に勝つことではなく挑戦することが重要ということです」
「なるほどー」
納得した所で、セナが一年生達に気合いを入れた。
「では皆さん!楽しんでいきましょう!」
「「「「「「はいっ!」」」」」」
次回セナの実力が明らかに!
気円斬!