ガールズ&パンツァー ~捨てられた男の娘~   作:ニキ・ラウダ

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プロフィールは、別に作ります。


第5話 セナはサンダースに潜入し決意する

セナを含むみほ達6人は全国大会の組み合わせ抽選会の後、喫茶店に食事に来ていた。みほは、セナが昨日高熱を出し倒れた為、心配している。

 

「セナさん・・・本当に大丈夫?」

「知恵熱みたいなものですからご心配なさらないで下さい。」

 

セナは可愛く微笑んで、平気だよとアピールするが、その他のメンバーは心配で心配で仕方ないという様な顔をしている。

 

「心配するって!授業中にも熱出して倒れたじゃん!」

「それを言われると・・・」

 

授業中にセナが倒れたことを、知っている沙織も心配しており、物凄い剣幕で怒られたので、セナは心配させてしまったことを反省した。

しばらくして、優花里が戦車の形をした呼び出しボタンを押す。戦車の砲撃音と共に店員さんがやってきた。

 

「ご注文はお決まりですか?」

 

華が店員さんに注文を入れる。

 

「ケーキセットで、チョコレートケーキ2つと苺タルト、レモンパイにニューヨークチーズケーキ、ショートケーキ一つずつお願いします。」

「かしこまりました。」

 

店員さんがテーブルから離れると、沙織はボタンの音が主砲の音なのに驚いている。

 

「そのボタン主砲の音になってるんだ~」

「この音は90式ですね。」

戦車マニアの優花里は音だけで戦車の種類を言い当てる。凝っている喫茶店に華も関心していた。

 

「さすが戦車喫茶ですね。」

「この音を聴くとちょっと快感な自分が怖い~」

 

沙織は、戦車道をしている内に戦車の砲撃音に魅了されてしまったようだ。そして、ラジコンのトレーラーがケーキを運んで来た。

セナは見たこともない戦車の形をしたショートケーキに大興奮し、目がキラキラして笑顔になった。

 

「わぁ!」

 

セナは、ケーキを見ると幸せそうな顔をして、ショートケーキを頬張った。みほは、申し訳なさそうな顔をして

今日の抽選会で強いところと当たってしまった事を皆に謝った。

 

「ごめんね・・・一回戦から強い所に当たっちゃって・・・」

「サンダース大付属ってそんなに強いんですか?」

 

華がサンダース大付属の実力について質問をし、優花里がサンダース大付属の実力について語った。

 

「強いっていうか凄くリッチな学校で戦車の保有台数が一位なんです。チームも一軍から三軍まであって・・・」

 

優花里がサンダース大付属の話をしていると、セナがケーキを頬張りながら、みほにフォローを入れた。

 

「でも公式戦の一回戦の戦車の持ち込みは、10両までって規定がありますし、砲弾の装数も制限がありますから、そこまで気を落とす必要はないかと・・・」

 

セナは、平然とした顔でそう言ったが、沙織はそれでも不安そうだった。

 

「それでもウチの倍じゃん!それって勝てないんじゃ・・・」

「単位は?」

 

麻子は、勝てなかったら単位はどうなるか気になるようだ。

 

「負けたら貰えないんじゃない?」

「ふんっ」

 

沙織がそう言うと、麻子は怒ったように、ケーキにフォークを勢い良く刺した。

皆がサンダース大付属の圧倒的な車両数に怯える中、セナは平常心の様だった。

 

「戦車道は車両数が多ければ勝てる程、甘くはありません。相手の作戦にはまってしまえば負けます。この甘さ!クセになりますぅ!」

 

セナは、笑顔でケーキを頬張りながらそう言った。セナがケーキを美味しそうに食べているのを見た麻子は、セナに話しかけた。

 

「セナ・・・その・・・ 」

 

麻子が、自分のショートケーキを見ながら食べたそうにしているのを見たセナは、少し微笑んで、ケーキが乗っている皿をゆっくりと麻子に近付けた。

 

「よろしければ食べてみますか?」

「あぁ・・・ 」

 

麻子は、少し嬉しそうな顔をして、ケーキを貰った。

その状況をみた沙織は驚いた。何故なら、自分以外を名前呼びした事が無いのに、セナを名前で呼んでいたからだ。

 

「嘘・・・あの麻子が、私以外を名前呼びしてる・・・」

 

口をパクパクさせながら驚いている沙織を見た麻子は、少し照れくさそうにセナを名前で呼ぶ理由を話した。

 

「セッ・・・セナは遅刻しそうな所を救ってくれた恩人だからな・・・」

「それでセナちゃんと知り合ったんだ」

 

麻子と沙織がセナと出会った時の話をしていると、横から女性に話しかけられた

 

「副隊長?いや元でしたね」

 

そこには2人の女性がいた。1人は髪はロングで銀色をしており、もう1人はセミロングで少し、黒ががった茶色で、みほは、誰かすぐにわかった。

 

「お姉ちゃん・・・」

 

みほは、悲しそうな顔をしながら俯いた。

しかし、みほの言葉に一番反応したのはセナだった。

 

「えっ!?」『まさかまほお姉様!?』

 

そう・・・そこにいたのはセナのもう1人の実の姉まほがいた。

 

「まだ戦車道をやっているとは思わなかった。」

 

まほが平然とした顔でそう言うと、その言葉に怒りを覚えた優花里が立ち上がる。セナもまほが何故そんな言葉を言ったのか予測がついた。セナもビデオで観たことがある、恐らく去年の準決勝の日のある出来事とその後の事を指しているのだろうと。

 

「お言葉ですが!あの試合の時は!」

 

優花里がみほの事を擁護しようとした時、セナが優花里を制止するように手を出した。

 

「セナ殿!?」

 

優花里は、セナの表情に驚いた・・・何故ならセナは今まで見たことが無いような、怒った表情をしていたからだ。

 

「あの時の試合のビデオ・・・拝見させて頂きましたが、みほさんの判断は決して間違ってなんていませんでしたよ?むしろ称賛されるべき行動でした。」

「部外者が口を出さないで欲しいわね」

 

もう1人の少女が見下したような目でセナを見たが、セナは動じなかった。そう少女が言うと、2人は出口へと向かって歩いて行った。少女が立ち止まり嘲笑いながらこちらを向いた。

 

「まぁ無様な戦い方をして西住流の名を汚さないことね」

 

みほは、悲しそうな顔をした。少女の態度に怒りを覚えた沙織と華が怒った。

 

「何!?その言い方!?」

「あまりにも失礼じゃ」

「あなた達こそ戦車道に対して失礼じゃない?無名校のくせに、この大会はね戦車道のイメージダウンになるような学校は参加しないのが暗黙のルールよ。」

 

少女がそう言うと、麻子が平然とした顔で少女を見る。

 

「強豪校が有利になるように示し合わせて作られた暗黙のルールとやらで負けたら恥ずかしいな」

 

麻子の言葉に少女は少しムッとした表情を浮かべ、沙織が宣戦布告をした。

 

「もしあんた達と戦ったら絶対負けないから!」

「ふっ・・・頑張ってね?」

 

みほを完膚なきまでに傷つけ、増してや自分達を馬鹿にしたような少女の態度に、堪忍袋の緒が切れたセナがダージリンのような涼しい顔をし、紅茶を持ってゆっくりと立ち上がった。

 

「中等部の時、"たった1両"に歯も立たなかったあなた達に負ける訳ないでしょう?」

 

セナが微笑みながら、まほと少女に言い放つと、中学時代の苦い思い出を言われた少女はムッとした。

 

「なんですって?」

 

少女の口調が少し荒々しくなるのを見た沙織は、ヤバイと思いセナを制止しようとした。

 

「ちょっとセナちゃん!?」

「また1両残らず撃破して差し上げますので、覚悟していてくださいね?」

 

セナが微笑みながらそう言うと、まほはセナをジッと見た。中学時代にまほが敗北した選手はひとりだけだ・・・

そして先週の大洗と聖グロリアーナの練習試合で見た1人の少女の戦い方を思い出した。よく憶えている・・・正確な射撃と凄まじい計算能力で、実力者であるみほを圧倒していた姿を・・・聖グロリアーナの制服に混じった1人の大洗の制服を着た少女を・・・まほは、確信した。目の前にいる小さい少女が、自分の倒したかった敵、走るコンピューター本人だと。

 

「走るコンピューター・・・」

 

まほの発言に、少女は信じられないというような顔をした。

何故なら自分達が完敗した、走るコンピューターがまさか無名校である大洗にいるなんて思いもよらかったからだ。

 

「なっ!うそ・・・こんな無名校に!?」

 

セナの正体を知った少女の怯える顔を見た優花里は、改めてセナを再認識した。走るコンピューター二木セナという人物はこんなにも凄かったのかと・・・

 

「みほさんをここまで傷付けた罪をきっちり償って頂きますので覚悟していてください。」

 

セナは笑顔でそう言うが目は一切笑っていない。まほは、自分の名を語り、セナに名前を尋ねた。

 

「私は西住まほだ。名前を聞きたい」

 

セナは自分の名前と聖グロリアーナ時代の名前を紹介した。

 

「大洗女子学園の二木セナといいます。またはキャンディと覚えて頂ければ光栄です。」

 

聖グロリアーナ時代の名前を言ったのは、ダージリンから名乗っても構わないと練習試合の後に言われたからだ。

 

「二木セナか・・・あの時の借りはきっちりと返させてもらう。」

 

まほは、セナへのリベンジに闘志を燃やしていた。

 

「えぇ・・・お待ちしています。」

 

セナが笑顔でそう言うと、2人は去っていった。セナは、2人を見届けると不愉快そうな顔をした。

 

「全く・・・戦車道をやるに置いて人を見下したような態度は頂けません。」

 

セナの感想に沙織と華もうんうんと頷いた。

 

「あの態度は酷いよ!」

「嫌な感じですね・・・」

 

セナ、沙織、華の発言に、優花里が彼女達が黒森峰の生徒であることと、黒森峰の実績を話した。

 

「今の黒森峰は去年の準優勝校ですよ?それまでは9連覇してて・・・」

「えっ!?」

 

それを優花里から聞いた沙織は嘘!?というような顔をしていた。

 

「それとセナ殿」

 

優花里が少しムッとした表情でセナを見ると、セナはキョトンとした顔で返事をした。

 

「はい?」

「さっきのは挑発過ぎです!乱闘騒ぎになって怪我したらどうするんですか!」

 

優花里は、セナが黒森峰の少女達を挑発した事を心配して怒ったが、セナは真面目な顔で優花里の目をジッと見た。

 

「あれくらいしなければ私の気が済みませんし、なにより・・・みほさんをここまで追い詰めた黒森峰と西住流が許せません。例え追い詰めるつもりは無かったとしてもです。」

 

セナは、黒森峰と西住流が許せなかった。みほは何も悪い事はしていない、なのに何故みほがこんな悲しい思いをしなくてはならないのかと・・・彼女に一体何の罪があるのかと。セナは西住流や黒森峰の事を考えていたら、急に感情の喜怒哀楽がぐちゃぐちゃになったが、表情に出そうとしない。

みほはセナを見つめた。セナの表情はいつもと変わらない故に、今のセナからは感情は全く読み取れない。

しかし麻子だけはセナの感情に気付いた。

 

 

「セナ・・・感情がぐちゃぐちゃになってないか?」

 

麻子はセナをジッと見つめるが、セナは難しい表情をしていた。

 

「どうでしょう・・・自分でもよくわからないんです。訳がわからなくなってて」

 

セナの発言を聞いた麻子は、セナに何かしらの精神的負荷が懸かったと推測した。

 

「私の見る限りだが、西住さんの精神的ダメージよりセナお前の方がよっぽど重症に見えるぞ。」

 

セナは、少し下を向いて返答した。

 

「気を付けておきます。」

 

皆の悪い雰囲気を感じとった華が手をパンと叩いた。

 

「ケーキ・・・もう一つ食べましょうか!」

「もう2つ頼んでもいいか?」

 

麻子は、まだ食べる気満々なようだ。

 

日が暮れる頃、学園艦の船首でみほは1人空を眺めていると、優花里がみほの横へ肩を並べた。

 

「寒くないですか?」

「うん」

「全国大会・・・私は出場できるだけでうれしいです・・・重要なのはベストを尽くす事です。例え負けたとしても」

 

みほと優花里が話していると、生徒会一同が後ろからやってきた。杏が、みほ達を見つめると、両手を腰に当てながら言った。

 

「それは困るんだよね~」

「絶対に勝て。我々は絶対に勝たねばならんのだ。」

「そうなんですよー。だって負けたら・・・」

 

小山が何か言おうとしたが、杏に止められた。

 

「しーっ!全ては西住ちゃんとセナちゃんの肩にかかってるから!」

「すぐに倒れるポンコツには期待していないがな」

 

桃がセナの事をそう言うと、みほと優花里がムッとした表情になった。それをみた小山はヤバいと思い、桃を注意した。

 

「桃ちゃん!一言余計!」

「次負けたら罰ゲームなにしてもらうか考えとくね~」

 

杏がそう言うと、生徒会は帰って行った。

 

「せめて配置さえわかれば・・・いきなりファイアフライはないと思うけど・・・」

 

みほが考えながら、ブツブツ言っている横で、優花里はあることを決意する。

 

一方セナは自分のアパートへと戻りダージリンに連絡を取っていた。

 

『もしもし・・・ダージリン様?』

『あら?セナじゃない。珍しいわね?あなたから電話を掛けてくるなんて・・・』

『実はダージリン様にお願いがありまして・・・』

『何かしら?』

『はい。実はサンダース大付属高校の隊長さんに連絡を取りたいのです。』

 

セナがそういうと、ダージリンの口調が少し慌ただしくなった。

 

『連絡?何をするの?』

『明日高校にお邪魔しようと思ってまして、その許可を貰おうと』

 

サンダース大附属に行きたいと言ったセナの言葉を聞いてダージリンは目を見開いた。

 

『セナあなた・・・サンダース大付属に転校するつもりなの?』

 

ダージリンは少し焦っているようで、セナは恐る恐るダージリンに理由を言った。

 

『いえ。噂でサンダース大付属は色々な意味でオープンな学校だと聞いてましたので敵情視察も兼ねて行ってみようと・・・』

『確かに色々な意味でオープンな学校だけど・・・そういえばあなたの高校の一回戦の相手はサンダース大付属高校でしたわね?いいですわよ?他ならぬセナの頼みですから。少し待ってなさい。』

『はい』

 

しばらくして、折り返しの連絡が来た。

 

『もしもし?』

『許可が取れましたわよ?』

『ダージリン様ぁ!ありがとうございます!』

 

セナは可愛らしい声でお礼を言う。

セナの声を聞いたダージリンは顔が真っ赤になった。

 

『そっ・・・それは良かったですわ(かっ!可愛い!)明日9時に来て欲しいらしいわ。』

『わかりました。ではまた近々聖グロリアーナに遊びに行きます!』

『えぇ。いつでもいらっしゃい?』

 

そしてセナは、杏と学校に用事で休む事を連絡し、明日に備えて眠りに就いた。

 

翌日、ラウダ航空のヘリコプターが学園艦のヘリポートにセナを迎えに来た。セナはヘリに乗り込むと、サンダース大付属高校へと出発した。

 

サンダース大付属高校の学園艦にセナを乗せたヘリが着陸し、セナがヘリから降りると、ヘリポートに髪が長い金髪の1人の女性が待っていた。

 

「待っていたわよ!あなたがダージリンが言ってた。セナね?」

 

セナは少女を見ると元気よく挨拶した。

 

「こんにちはー!二木セナです。ケイさんですね?」

「そうよ!」

 

ケイと呼ばれる少女はセナにウィンクした。

 

「本当に良いんですか?対戦相手の高校の私が来て!」

「誰でもウェルカムよ!さぁ!行きましょう!」

「はい!」

 

セナはトテトテとケイの元へ向かって歩いて行くと、ケイは少し頬を赤らめた。

 

「ベリー!キュート!とても可愛いわ!ダージリンの言ってた通りの娘ね!」

「では案内よろしくお願いします。」

 

セナはケイにクスッっと笑いかけた。

ケイはセナを連れて、サンダース大付属高校の前へとやって来た。セナはサンダース大附属のデカさを目の当たりにして驚いている。

 

「うわぁ!まさにアメリカのHigh School!って感じですねー!」

 

セナは興奮気味に喋った。

 

「でしょ?それにしてもセナ!いい発音ね!」

「一応 英語は使ったりしてましたからね」

 

海外に自動車レースに行ったりしていた為、セナは数ヵ国の言葉を話すことが出来る。

セナがケイと話していると聞き覚えのある声が聴こえてきた。かなり小声だが・・・

 

『私は今サンダース大学付属高校に来ています。では、潜入します。』

 

セナは聞き覚えがあった・・・まさか・・・

 

『優花里さん!?潜入って・・・はぁ・・・今は巻き込まれたくないので、そっとして置きましょう・・・』

 

セナは優花里が喋っているとわかったが、今は高校を見学するのに集中した。

 

「まず校内を案内するわ!付いてきて!」

「はい!」

 

ケイが付いてきてとジェスチャーすると、セナはぴょこん ぴょこん跳ねながらケイに付いて行った。

セナが飛び跳ねながらケイに付いていっている、光景を見たサンダースの生徒達は、頬を赤らめながらキャーキャー叫んでいた。

 

「何!?あの小さな娘!可愛い!」

「動物みたーい!」

「ハァイ!」

 

ケイは校内に居る生徒みんなに挨拶しながら歩いて行く。

 

「ハァイ!」

 

ケイが挨拶しているのを見て、セナも便乗して挨拶をする。

 

「Hi!」

 

セナが挨拶すると生徒達はキャーキャー言いながら挨拶を返した。

 

「それにしても・・・ここの生徒さんはフレンドリーな方ばかりですね?他校の私にも挨拶を返してくださるなんて」

 

セナは他校の生徒に笑顔で挨拶する生徒達を見て、セナは驚いていた。

 

「ここではそれが普通なのよ!次はお待ちかねの戦車を紹介するわ!」

「行きましょう!」

 

セナとケイが戦車が有る車庫へと向かうと、そこには車庫びっしりに戦車が並べてあった。

 

「スッゴい!こんなに沢山戦車が!」

「我が校は戦車の保有台数は日本では1位よ!」

 

戦車の周りには3人程の生徒が居た、戦車のメンテナンスをしているようだ。セナは3人の生徒に笑顔で手を振る

 

「1回戦!お互い頑張りましょう!」

 

セナの言葉を聞いた3人は、一瞬戸惑うような表情を見せたが笑顔でセナに手を振った。

しばらく校内を探索していると、ケイが腕時計で時間を確認する。

 

「そろそろブリーフィングの時間ね。」

 

今からブリーフィングが始まるようだったので、セナはこの場で待つことにした。

 

「では、私は外で待ってます。」

「セナも来ていいわよ!」

「そんな!流石にブリーフィングにまでお邪魔するのは・・・」

「大丈夫!重要な所になったら出て行って貰うから!オーケー?」

「はい!」

 

ブリーフィングの場所まで2人で歩いて行くと1人の女生徒が前から歩いて来た。茶髪のツインテールでソバカスがある少女だ。

 

「隊長?その娘は誰ですか?」

 

少女は、不思議そうな顔でセナを見た。

 

「紹介するわ!大洗女子学園のセナよ!」

 

ケイがセナを紹介すると少女は目を見開いて驚いた。

 

「大洗って・・・1回戦の相手!?隊長大丈夫なんですか!?」

 

少女の反応は当然だ、1回戦の対戦相手が自分の高校にいる事事態が異常なのだ。

 

「この娘は聖グロリアーナの隊長ダージリンのお気に入りの娘よ!」

「聖グロリアーナの?」

 

セナは前に両手を揃えて、丁寧に挨拶をした。

 

「セナです。学校見学も兼ねてお邪魔させて頂いてます。」

「アリサよ。よろしく」

 

アリサは少し笑顔で挨拶をした。

 

「じゃあセナは端に寄って見学して?」

「はい。」

 

そしてサンダース大附属の1回戦の作戦会議が始まった。

 

「出場車両を発表する。ファイアフライ1両 M4シャーマン8両 M4A1シャーマン1両」

「次はフラッグ車を決めるよー!」

 

フラッグ車を決めるタイミングになるとケイがセナにウィンクをした。出ていけということだろう。

セナはブリーフィングルームから出るとサンダースの車両編成を予測していた。

 

『出ていく時に、ちらっとシャーマンA1がフラッグ車と聴こえました。となると、小隊編成は・・・3両で1小隊ですか・・・』

 

するとブリーフィングルームの中から女性の声が聞こえてきた。

 

「あなた見かけない顔ね?」

 

セナはその見かけない顔が優花里だとすぐ理解できた。

 

「私はオットボール三等軍曹でありますっ!」

 

優花里は嘘をついたが直ぐに見破られた。

 

「偽物だぁぁあ!」

 

ブリーフィングルームの中は部外者が混じっていた事で騒然としていた。ドアが勢い良く開くと優花里が慌てた様子で飛びだし、セナの横を勢い良く飛び出して来た。

優花里の胸ポケットにはカメラがありセナはカメラに向かってウィンクしたが、優花里は逃げるのに必死でセナが居たのに気づかなかった。その状況を見たケイが笑いながらやって来た。

 

「面白い娘ね!」

「私もそろそろ帰りま・・・」

 

するとアリサが怒りながらセナの元へやってきた。

 

「あなたもスパイね!」

 

アリサが怒っているのを見たセナは少しからかいたくなった。

 

「あぁ!チキンとかにかけたら美味しい!」

「それはスパイス!」

「では・・・ミートソースがパスタに絡みついて美味しい」

「それはスパゲッティ!」

「なら・・・レモンを食べると」

「酸っぱい!」

「アハハハハッ!」

 

セナとアリサのやり取りを見たケイはお腹を抱えながら笑っている。

 

「セナも中々面白いじゃない!」

 

ケイはセナを気に入ったようだ。スパイと疑われたセナはアリサの疑いを否定した。

 

「そもそも・・・きちんと連絡して許可を貰って来てるのでスパイではないでしょう?」

「うっ・・・確かに」

「セナ?良かったら昼食を一緒に食べない?もう少し話してみたいわ!」

「うーん・・・では!お言葉に甘えて!」

「えっ!?隊長!?」

 

セナはケイ達と昼食を食べて、大洗の学園艦へと戻った。

 

その頃、みほ達は学校から下校していた。

 

「秋山さん・・・結局練習に来ませんでしたね・・・セナさんは事前に学校に連絡があったみたいですが」

「セナさんも心配だけど・・・メールは返ってきた?」

「全然!電話かけても圏外だし」

 

するとみほ達の前から私服姿のセナがやってきた。サンダースの見学から帰って来たセナは、制服姿だと万が一みほ達に会った時に怪しまれると思い、白いワンピース

に着替えたのだ。

セナがみほ達に気づき笑顔で手を振る。

 

「みほさーん!」

「セナさん!用事って聞いてたけど・・・」

「もう終わりました!皆さんどちらへ?」

 

セナがどこに行こうとしているのかみほ達に聞くと、華が答えた。

 

「秋山さんのお宅へ向かってます。」

 

みほ達は、優花里の自宅に向かっているようだ。サンダースで優花里を見たセナは心配になりみほ達と一緒に優花里の自宅へ行く事にした。

しばらく歩くと、秋山理髪店と書いてある店に到着し中に入った。中に入るとみほが優花里の父親と思われる男性に話しかけた。

 

「すみません。優花里さんは居ますか?」

「あんた達は?」

「友達です。」

 

沙織がそういうと、男性は目を点にして驚いた。

 

「とっ!友達!?」

「お父さん落ち着いて。」

 

母親と思わしき女性が男性に落ち着くように促した。

 

「だっ!だって優花里の友達だぞ!?」

 

この2人が優花里の両親で間違いなさそうだ。

 

「わかってますよ。いつも優花里がお世話になってます。」

 

優花里の母親が父親に呆れた様な顔でそう言うと、父親は深々とセナ達に頭を下げた。

 

「おっ!お世話になっております!」

 

セナは、優花里が帰ってきているかどうか尋ねてみることにした。

 

「優花里さんはご在宅でしょうか?」

「優花里、朝早く家を出て学校から帰って来てないんですよ。どうぞ2階へ」

 

どうやら優花里は両親には学校に行くと嘘をついて、サンダースに来たようだ。5人は優花里の母親に案内され2階の優花里の部屋へ入った。

 

「どうぞー食べてください。」

 

優花里の母親がお菓子と飲み物をテーブルに置くと、優花里の父親も2階へと上がってきた。

 

「良かったら待ってる間に散髪しましょうか?」

「お父さんはいいから!」

 

優花里の母親が怒りぎみでそう言うと、優花里の父親はガックリと肩を落とし1階へと戻っていった。

 

「すみません、家に優花里の友達が来たのが初めてなもので、あの娘・・・戦車 戦車で気の合う友達が出来なかったみたいで・・・戦車道の友達が出来たって喜んでたんですよ!ではごゆっくり!」

 

優花里の母親がそう言って出て行くと窓からサンクスの制服を着ている優花里が登場し、その光景を見た一同は唖然とした。

 

「ゆかりん!?」

 

沙織がびっくりして声を上げると、優花里は首をかしげながら皆を見た。

 

「あれ?皆さんどうしたんですか?」

「秋山さんこそ」

 

みほも優花里がコンビニの制服を着ている姿を見て何事かと思った。華は、自宅へ来た理由を優花里に説明する。

 

「連絡が無いので心配して・・・」

「すみません!電源を切ってました。」

 

どうやら携帯の電源を切っていた為、連絡が取れなかったらしい。そして沙織が窓から登場した事に対して優花里にツッコンだ。

 

「つか!なんで玄関から入って来ないのよ!」

「こんな格好だと父が心配すると思って・・・」

 

先程の過保護っぷりを見た一同は「あぁ」と納得した。

 

「でも丁度良かったです!是非観て頂きたいものがあるんです!」

 

どうやら皆に見せたい物があるらしく優花里がポケットからUSBを取り出し、動画を再生すると画面には突撃!サンダース大付属!と表示されていた。

それを見た華と沙織は驚いた。

 

「こんな映像があるんですね」

「どこで手にいれたの?」

「ふふん」

 

優花里が得意気に鼻を鳴らすと、画面には優花里が潜入してる様子が映し出されていた。

 

「これどうしたの?」

 

沙織がこれをどうしたのか聞くと、優花里は動画の説明をした。

 

「帰る途中軽く編集してきました!テロップもまだ仮なんですけど」

「そうじゃなくて・・・」

 

セナは私も居たと言おうとしたが・・・このタイミングで言うと、面倒な事になりそうだったので黙っている事にした。

 

「最初にコンビニの制服を着ていたのは何で?」

 

沙織がそう聞くと、優花里は得意気に答えた。

 

「コンビニの定期便に乗り込んで潜入したんです。」

「成る程」

 

どうやら、コンビニの定期便でサンダース大付属までいったようだ・・・

映像が終わりかけた時、麻子が"ある異変"に気づいた。

 

「秋山さんテープを巻き戻してくれ」

「は・・・はい」

 

麻子の様子を見た沙織がどうしたのか尋ねた。

 

「麻子どうしたの?」

「いまおかしな奴が映ってた。」

 

麻子曰く、おかしな人が映像に映っていたというのだ、みほも何が映って居たのか気になるようだ。

 

「冷泉さん一体・・・」

 

そこには優花里が逃げる途中、カメラに向かって可愛い笑顔でウィンクしているセナの姿があった。

 

「これって・・・」

「セナさん?」

 

沙織とみほは唖然としており、セナが映像に映っているのを見た優花里は声を上げて驚いた。

 

「えぇ!?セナ殿いらっしゃったんですか!?」

「セナ・・・説明してもらうぞ」

 

麻子はセナにキスする勢いで、顔をズイッと近づけた。

セナは顔を真っ赤にしながら慌てて麻子から顔を反らした。

 

「麻子さん!近いです!恥ずかしいです!///」

 

セナは、みほ達にダージリン経由でサンダースの隊長に連絡を取り、学園へ見学へ行った事を説明した。それを聞いた麻子はセナと優花里に呆れた。

 

「2人ともなんて無茶な事を・・・」

 

麻子がそう言うと、沙織がセナに疑問に思った事を恐る恐る聞いた。

 

「ねぇ?セナちゃん・・・一応聞いておくけど、サンダース大付属に見学に行ったって事は、まさか今度はサンダース大付属に付くわけじゃないよね?」

 

沙織は不安そうにそう言ったが、セナはそれをキッパリと否定した。

 

「まさか!今回は公式戦ですから、まずあり得ません。」

 

セナは少し笑いながらそう言ったが、周りは不安そうな表情を浮かべており、みほが泣き出しそうになっているのを見たセナは、シスターのような笑みを浮かべながら皆に自分の想いを語った。

 

「私に・・・私に、戦車道への情熱をもう一度取り戻させてくれたのは皆さんです。私が、サンダースに行って偵察してきたのは・・・皆さんの力になり、情熱を取り戻させて頂いた事へのお礼がしたかったんです。優花里さんも事の経緯は違うと思いますが・・・同じ気持ちでサンダースに潜入されたのではありませんか?」

 

セナは自分の気持ちを伝えた後、優花里にも理由を聞いた。

 

「はい。私も少しでも皆さんの力になれればと・・・」

「それに・・・みほさん」

 

セナはゆっくりとみほの元へ行くと、みほの頬に手当て優しく微笑んだ。

 

「あなたの心が、こんなにも助けてと泣き叫んでいるのに、あなたの心はこんなにも傷付いているのに・・・あなたを見捨てて置いて行くことは出来ませんよ。」

 

セナはみほと居るのは気まずいから転校しようかとも考えたりしたが、喫茶店で今にも泣き出しそうなみほの表情を見て、彼女をこのまま置いて行けないと思った。それが、セナがサンダースに偵察に行った一番の理由だった。

みほは、セナの言葉と仕草を見て・・・一瞬ドキッとした。

 

「ズルいよ・・・セナさん」

 

みほは涙を浮かべながら笑っている。

セナは改めて皆に顔を向け直す。

 

「私は大洗を出て行くつもりはありません。不安にさせてしまって・・・ごめんなさい。」

 

セナは自分の行動で皆を不安にさせてしまった事を謝った。それを見た沙織と華は慌てて両手を振った。

 

「そんなっ!別に責めてる訳じゃかいからっ!」

「そうです!謝らないでください!」

「・・・まぁなんにせよ1回戦を突破しなければな」

「がんばりましょう!」

「一番頑張らなきゃ行けないのは麻子でしょ?」

 

沙織の言葉に麻子は首をかしげた。

 

「なんで・・・」

「明日から朝練・・・始まるよ・・・」

「えっ・・・」

 

朝練という言葉に朝がめっぽう弱い麻子は絶望した表情を浮かべた。

 

セナはみほが楽しそうにしているのを見て安心した。このメンバーなら、みほは戦車道を楽しく出来て、試合ではみほの長所が生きると。

 

セナは決意した。みほとみほの居場所を守ってみせると・・・

 

また次回

 




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