「なろぉ……! エアストクロー!」
あたしが飛んできた剣を防ぐ為にエアストクローを使うけど、錬をズタズタにした剣が振るわれあっさりと迎撃された。
「くそ……なんなんだよ、あれ。反則だろうが……!」
「時穿剣の武装完全支配術の空斬は少し先の未来を斬る技だ。剣を振るったタイミングで威力を保つから……まあ、
あたしのぼやきに錬が溜め息を吐きながら言う。
………………やっぱ、そうなるよなぁ。
「……尚兄達と強化を共有するまでとか、そう言うの言ってる場合じゃないよな」
あたしは腹を括ると、凛から教えられた小手の強化方法、理奈から教えられた斧の強化方法を即座に実行する。
「スキル速度及び、身体への斬撃耐性の付与……いっけぇ! エアストクロー『Ⅴ』!」
「ふん……何!?」
斧と小手の強化方法で速度を強化されたエアストクローが剣の能力による防御を突破し、ナルシスト野郎に炸裂する。
「はあぁぁぁぁぁ! 『ハンドレッドソードⅢ』!」
錬も最大まで強化すればその名の通りになりそうなスキルを使ってナルシスト野郎に追撃を仕掛ける。
「ぐううう!? くそ、美しい僕に攻撃を届かせるなんて……腐っても勇者、と言うことか。ならば、僕の一番美しい武器で殺してあげよう!」
そう言ってナルシスト野郎は黄金に輝く二本の剣を虚空から呼び出し、手に持った。
「……『聖剣エクスカリバー』に『エクスキャリバー』……! 本当にふざけるなよ、お前は……!」
どうやら、あの剣は錬にとって思い出のある二本らしく、憎々しげな表情でナルシスト野郎を睨み付ける。
「エクスキャリバーは、その剣はキリトが、サチさんが、アスナさんが、リーファが、リズが、クラインが、姉さんが、シノンが! みんなで必死になって頑張って手に入れた剣だ! お前が、遊び半分で手にして良い剣じゃないんだ! 聖剣エクスカリバーの方も、お前なんかよりもよっぽど
「ふっ……来い、『インペリアル・ファイブ』!」
あれは……スパーダ、ファルシオン、カトラス、レイピア、マンゴーシュ? 今までに比べりゃ普通の……
「従剣劇『三重奏』! さらに……『ダブルサーキュラー!』」
「うおわぁ!?」
「キリトの『二刀流』のスキル……! それを三重奏とインペリアル・ファイブの装備ボーナスで強化したのか!」
あたしはナルシスト野郎の3本同時の二連続突きの攻撃を防ぐ……が、威力も速度も急激に上昇していた為に吹き飛ばされる。
「っ、その強化の内容は!?」
「スパーダは
「……怪物かよ」
あたしはその無茶苦茶さに思わず呆れてしまう。
だが、ナルシスト野郎はそれを気にも留めず、むしろ誇るように胸を張っていた。
「この世界で最高の美を持つ者が持つに相応しい武器だろう? 理解したのならば……死ぬがいい! 『スターバースト・ストリーム』!」
「ぐあああ!?」
「が……!?」
ナルシスト野郎は剣を持ってまるで銀河の輝きの様なエフェクトを纏った剣を振るい、あたし達は吹き飛ばされ……あたしの意識は、闇に落ちた……
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俺、天木錬が憧れと嫉妬を抱いているのは何人かいる。
一人目は『キリト』こと『
SAOをクリアに導いた英雄であり、ゲームに関しては天才的なセンスを誇る人物。
けど、同時に……そんな才能に対して嫉妬を抱いてしまう。
二人目は『サンラク』こと『
『クソゲーハンター』を自称している変人だが、あらゆるユーザーインターフェースに対応できる対応力やあらゆる行動に反応できる反応速度は素直に尊敬できる。
三人目は実の姉である凛……天木凛だ。
姉さんは俺が思わず尻込みしてしまう状況や人物でも笑って走り出せ、話せる人だ。
実際、死銃事件後の事件の犯人の一人がキリトさんを狙った暗殺を身を挺して防いだみたいだしな。
他にもいるんだが、俺の中で特に憧れと嫉妬を抱く人物はその三人だ。
「……情けねぇな」
俺は暗闇の中で自嘲気味に笑う。
逸って飛び出したにも関わらず、岩谷を巻き込んでボロボロにやられてキリトやユージオ達の剣も取り戻せないとはな……
「……ん? あれは……?」
俺が前を見ると、そこには台座に納められた漆黒の剣とそこに佇む二人のって……嘘だろ!?
「ALOとGGOの……俺?」
そこにいたのはALOにおいて
「これは……『
台座に刺さっていたのは姉さんがアンダーワールドでの死闘で使用し、俺もまた使った装備の片割れだった。
「……俺に使えって言ってるのか?」
二人の俺がふっと笑い、剣を指差す。
……こりゃ、肯定ってことだな。
「……やられっぱなしは性に合わないしな」
俺は黒蓮の剣を掴み……『黒蓮の剣が登録されました』……ウィンドウが現れたって事は使える様になったって事だな。
「……使わせて貰うぜ、『ブラックロータス』」
俺はこの剣の能力の元になっていた人に力を使うことを言いながら、目を覚まし……
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「……此処、『ヘルヘイム』か?」
あたしはナルシスト野郎にやられ、意識を失って目を覚ますとそこは奈落が渦巻きつつも、光に包まれて空へと昇る妙な世界だった。
こんな奇妙な世界、危険な形で混ざりつつあった『
「誰が呼び出したんだ……「漸く来たわね、この大馬鹿!」ぐべあ!?」
あたしが誰が呼び出したのかを悩んでいると、いきなり後ろから蹴り飛ばされた。
「て、てめえ……『ナルカナ』ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! いきなり、何しやがる!」
「うっさい! この私が折角『
「だからって蹴りを入れる奴がいるかこの堕神剣がぁ!」
「言ったわね!? 言ってはいけないことを言ったわね!?」
「何故、お前達は顔を見合わせる度に大喧嘩をするんだ……」
「相変わらず仲が悪いですね……いや、前世の私が言うのもなんですけど……」
あたしは蹴りを入れてきた人物……ルプトナのオリジナルとも言える人物であり永遠神剣『
ナルカナ以外の二人はなんやかんやあって死んでたんだが……まあ、色々あって蘇ったんだよ。
「……んで? あたしを呼び出したって事は、なんか用事があったんだろ?」
「……うん。あなたの……ううん。貴方達3人のシャードが使える様になったわ」
……ああ、あたしだけじゃなくてアルシオやクーフィリアのシャードも使える様になったのか。
「それから、はい」
そう言って、風花が手渡したのは柄が樹で出来た永遠神剣『
「……直ったんだ。あんな無茶な使い方をしたのに」
「この子の心の傷を癒したのは文香だからね」
あたしは神殺を受けとると、風花は茶化すように言う。……うっせえよ。
「それから、『アイツら』も待ってるぞ」
ジルオルがそう言って向こうを顎で示すと、そこには大正時代の男子学生の服を着た中学生『空閑フミカ』、巫女服を着て眼に眼帯を着けた高校生『
……全員、平行世界のあたしでありあたしのシャードに宿った特異な力で実体化出来るようになったんだ。
「……行ってこい」
「……ああ」
あたしはジルオルの言葉を背に受けながら歩き出す。
……あたしに宿ってるヴァルキリー『ブリュンヒルデ』も準備万端みてぇだしな。
「参りましょうか」
「行くぞ」
「あのナルシスト野郎やその仲間達をぶっ飛ばそう!」
「……ああ!」
あたしは、身体が浮遊する感じを受けながら目を覚まし……
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「こんのぉ!」
私は槍の冒険者の攻撃をナイフで防ぎながら、ナルシストを攻撃しようとしたのですが……
「うっひゃあ!?」
「余計な真似はせずにこの私が勇者となる場面を見ているが良い!」
ナルシストから飛んできた剣を転がって避けます。このままじゃあ、錬さんと文香さんが……!
「尚文さん! なんとかしないと!」
「なんとかって、どう、やって…………?」
私が尚文さんに打開策を求めると、尚文さんは何かを思い出したかの様な表情で立ち尽くしました。
「尚文さん!? どうしたんですか!?」
「…………いや、ちょっと思い出した事があってな。あの馬鹿……! 最終決戦後に色んな事の記憶を消したな……!」
な、なんか滅茶苦茶怒ってませんか……?
「貰った……「飛んでけ、お空の向こうへ──────────!」あばがぁ!?」
そんなぼうっとしていた尚文さんに槍の冒険者が攻撃を……しようとして、文香をダウンサイジングした様な女の子に飛び蹴りを食らい空に吹っ飛ばされました。
「え!?」
「……フミカか」
「え? 文香なんですか、この子?」
「まあ、文香であって文香でないって言った所だな」
??? 良く解りませんね……
「遅いですわね」
「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
「『ライトニードル』」
「眼が、眼がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」
残る二人の冒険者も文香に似た女の子達に倒されており、二人はそのまま冒険者達のハーレムに襲いかかります。
…………あれ? ということは……?
「やれやれ……まだ抵抗をするのかい? 地力の差は……」
「剣の勇者、天木錬が命じる! 理不尽に扱われし剣達よ、我が元へ来たれ!」
錬さんがそう言うと、ナルシストの使っていた剣や持っていたと思われる剣が全て錬さんの下へと集っていきます。
「な!? ぼ、僕の剣が……貴様! なにを……「『
驚愕しているナルシストに文香が持っている剣と爪の……へ!?
「き、貴様……何故爪以外の武器を……!?」
「これでも、世界を救った英雄様なんでな……! 『
文香がそう言うと、何処か神々しくメカニカルな鎧兜を身に纏います。
「さぁ……
文香はそう言って獰猛に笑いました。
いや、去年は祖父が亡くなったり、祖母が入院したり気が滅入るニュースや出来事がたくさんあったので更新する気がなくなってしまいまして……
こんな作者ですが、これからもよろしくお願いします!