遅れてすいませんでした!
四星結集~再会も添えて~
一ヶ月後、メルロマルク某所
「うおらぁ! ヴァーンズィン、クローぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
あたしが放ったあたしの必殺技とも言えるスキルを諸に受けたくそデカイ象みたいな魔物にデカイ穴が空き、そのまま地響きと共に倒れ伏す。
「…………依頼、完了っと」
あたしは痛む身体を無視しながら象の一部分を連れてきた兵士に切り取らせ、残りを爪に取り込む。
『ビッグエレファントクローを解放しました』
「スキルは…………弱、ゴミスキルじゃん」
『落ち着けよ、文香。どんなスキルにも…………』
「おめえが言うな
『ぐふ!? 確かに
あたしは爪から聞こえてきた声…………爪の眷属器の精霊にため息をつきながら答える。
ま、話し相手ぐらいには役に立ってるんだけどな。もう一人は気紛れで物臭だし…………
『我は物臭ではない』
「うるせえよ、つーか気紛れなのは認めるのかよ…………」
あたしは爪から聞こえてきた、居候とも言える存在に突っ込みを決める。
精霊の方は『転生者』の『クロー(あたし命名)』、居候は曰く『竜帝』の『ヴァレリア』という名前らしい。
クローの方は
ヴァレリアの方は『
…………ま、どっちも修行を始めたばっかだからまだまだなんだけどな。
「そういや、今日が勇者を召喚する日だっけ…………」
確かあたしの装備している爪の上位装備を使える四聖勇者ってのを召喚するんだったよな…………ま、関係ないか。
「次の依頼に行くか、次の…………ぐぇ!?」
あたしが次の依頼を確認してそこに向けて移動しようとすると、襟を掴まれてむせるはめになった。
「誰、だ…………げ!? め、『メルティ』…………」
「フミカ! また『
「いや、あの…………あれ使い勝手が良くて…………」
「ダメだよ! あれ使うとフミカの身体がボロボロになるんだから!」
「いやでも、手早く片付くんだから…………」
「それでもダメ!」
「…………はい」
あたしに『ぷんぷん』という単語が付きそうな言葉を言いながら怒ったのは『メルティ・メルロマルク』。
この国の第2王女で、あたしが何故かこの国にいたさいに疑心暗鬼の塊になっていたあたしが人質に取ったやつなんだけど…………あたしがあの国…………『シルトヴェルト』で受けた仕打ちを話したら泣いて慰めてくれたうえに、あたしのリハビリまで手伝ってくれたものだから頭があがらないんだよなぁ…………
あたしは結局、メルティからの言葉込みで四聖勇者の召喚に立ち会うことになった。
……………………………………………………
「フォウル! そろそろ王都に到着するから、『偽装』の奴隷紋を塗っておけ。アトラは私がやるから」
「わかった」
あれから一ヶ月。私は世話になった奴隷商にフォウルとアトラの代金である金貨20枚と銀貨3枚、それに加えて私やフォウル、アトラの食費や払って貰ったアトラの治療費等も込みの銀貨(金貨は両替などが厳しいことから銀貨での取引が一般的らしい)4000枚を払い、コロシアムの闘士達や休日に受けた依頼であった人々に惜しまれながらゼルトブルを出てメルロマルクに向かっていた。
「アトラ、くすぐったいかもしれないが我慢してくれ」
「はい、
「アトラ、姉として慕ってくれるのは嬉しいが…………」
私は今回の依頼を受けた時に前払いで貰った貴重な霊薬に籠手のスキルを加えて漸く完治した(目は手遅れだったが…………)アトラに水ですぐに落ちる塗料で簡易的な奴隷紋を書き込む。
私がアトラに『
…………何故かその事を話したら一緒に旅をすることになった二人に微妙な顔をされた。
曰く「いや、嬢ちゃんの外堀を埋めようとしてるだけだと思うんだが…………」と「このままだと何時の間にか凛がフォウル君の妻って事になりかねないわよ」らしいのだが…………なんでそんな事を言ったのかはよくわからん。
「嬢ちゃん、終わったかい」
「『ラルク』さん、今終わりました」
私がアトラのお腹に奴隷紋を描き終わったのを見計らって入って来たのは『ラルク・ベルク』さん。私とフォウルがコロシアムで荒稼ぎをしていたせいで恥を掻かされたと思い込んだ一部の闘士や有り金を失った人間達が徒党を組んで誘拐され掛けたアトラを相棒である『テリス=アレキサンドライト』さんと助けてくれたうえに、護衛まで買って出てくれた人で今回の依頼を受ける際にもパーティーの仲間入りを今は馬車(引いているのは奴隷商から買った卵から産まれたフィロリアルの『ルージュ』だが)を運転しているテリスさんとともにしてくれた人だ。
「にしても…………確か嬢ちゃんが引き受けた依頼は、召喚された四聖勇者の人柄の見極めと護衛だったか?」
「ええ、依頼人の話では本来はフォーブレイで行う筈だったのですが…………偽物にすり替えられてメルロマルクに運び込まれていたみたいなんです。ですが、最近矢鱈とレベルが高くて妙な事を言う連中がフォーブレイを彷徨いていたので四聖勇者の身の安全を優先した依頼人はメルロマルクに召喚をさせてレベルアップを済ませてから改めてフォーブレイに来させるみたいなんです」
「ふーん…………」
私は依頼人…………フォーブレイの末席の王子である『タクト・アルサホルン・フォブレイ』の事を言わないようにしながらラルクさんに依頼を説明する。
まあ、同時にしくじれない依頼でもある。なんせアトラの治療のために本当に希少でくそ高い霊薬を前払いで貰ったからなぁ…………
私はメルロマルクの王城を見上げながら溜め息を吐いたのだった。
……………………………………………………
「ここまで送ってくれてありがとう、フィトリアちゃん。後は歩きで行くから」
「そう」
あれから一ヶ月。私はフィロリアルの聖域でラフタリアちゃんとリファナちゃんの看病をしながらフィトリアちゃんの地獄(すら生温い程苛烈な)スパルタ特訓を途中から「「リナさんの為にも強くなりたいんです!」」って言って特訓に参加した二人や色々あってなつかれたフィロリアル達と一緒に特訓を潜り抜けたんだ。
で、私の持ってる斧の眷属器よりも高位の武器の勇者が召喚されるみたいだからその人柄を見極めてほしいって頼まれて、召喚される国まで送られたの。
「でも、二人が私と同じくらいに成長したのと…………『フィオ』と『リコ』の二人が人間になったのは驚いたなぁ…………」
「「?」」
「あ、あはは…………」
「す、すいません…………」
因みにフィオとリコって言うのはなついたフィロリアルの名前でフィオは藍色の毛並みに深紅の瞳の男の子でリコは薄緑色の毛並みに水色の瞳の女の子なの。
人間になったのはフィトリア曰く勇者である私になついて育てられた事で特別なフィロリアルであるフィロリアルキングとフィロリアルクイーンになったからなんだって。
あ、人間での姿はフィオが黒髪に深紅の瞳のクールな感じの男の子、リコが紺色の髪に水色の瞳の気配り上手な女の子なんだ。
「うん、フィトリアに聴いたお陰であなた達が急激にレベルアップをしたら成長するって知ったから大混乱しないですんだけど…………先に言うのも大事よ」
「はい!」
「わかりました」
私は美人に成長したラフタリアちゃんとリファナちゃんの頭を撫でる。
因みに身長は二人とも私より頭一つ分低い。…………胸はほぼペッタンコの私よりあるんだけどさ…………ぐすん。
「あ、そうだ。フィトリアちゃん、ちょっと聞きたい事があるんだけど!」
「…………なに?」
私はフィトリアちゃんに振り向きながら疑問に思ったことを聞く。
「あの時の事なんだけど…………どうして一勇者でしかない私を助けてくれたの? 普通はそんな依怙贔屓はしないと思うんだけど…………」
「…………昔、あなたみたいな勇者がいた。それから…………頼まれたの、昔の盾の勇者に『貴女の様な人を助けてほしいって』」
「ふーん…………じゃ、またね! 今度は四聖の人やうまく出会えたら他の七星の人も連れてくるから!」
そう言って私達はフィオとリコが引く馬車をメルロマルクのお城に向かって走らせた。
「…………頑張って、『リナ』。昔の盾の勇者…………『マモル』もあなた達の事を待ってるから」
フィトリアちゃんがその向こうで小声で呟いた事も知らずに…………
……………………………………………………
「やれやれ…………やっと着きましたよ…………」
あれから一ヶ月。私はあれから矢鱈とビビりな『竜帝』の『ガエリオン』と彼の義理の娘の『ウィンディア』に介抱をされながらこの世界の事や、私の武器の事を教えられ動けるようになったら一緒に訓練をして…………それが終わったので風の噂で聴いた四聖を召喚する国に旅に出ることにしました。理由ですか? 四聖の仲間になって世界を救いたいというのもありますけど…………兄さんに会えるかもしれないっていうのもあるんですよね。
…………まあ、その際に『ウィンディアと娘の世界を広げるために彼女を連れていってほしい』とガエリオンに頼まれたのは予想外でしたけど。因みに娘っていうのは、私になついたガエリオンの娘のドラゴンの事です。
「『リオン』、そろそろ街が見えたので騒がれないようにちょっと遠目に降りてください。ウィンディア、降りますので準備してください」
『はーいなの!』
「…………わかったわ」
…………まだ拗ねているんですか。あ、リオンって言うのはガエリオンの娘の名前です。ウィンディアが拗ねているのは親に旅立つように言われたからでしょうね。
「よっと」
私は軟着陸したリオンから降りると、降りようとしているウィンディアをひょいと抱き上げそのまま地面に降ろします。
「…………あんたより背が高くなったら同じことしてやるんだから」
「楽しみにしてますよ」
私は苦笑いをしながらウィンディアと共に立派なお城のある街に向かって歩きだしました。
…………………………………………………………
それにしても…………
「まさか四人もいるとは思いませんでしたよ」
「それについては同感だ」
「私もまさか他にもいるとは思わなかったな」
「…………あたしもそう思う」
私は同じように宝石が埋め込まれている武器…………七星の眷属器を持った人達に呆れ半分、嬉しさ半分で案内された広間でそう言いました。
因みに自己紹介は済んでいて、名前呼びの許可ももらっています。
「…………そう言えば王様、アトラちゃんの顔を見た瞬間凍りついてましたけどどうしたんでしょうか?」
「…………小声だからあたしにしか聞こえなかっただろうけど『る、ルシア…………!? い、いや…………他人の空似、か』って言ってたぜ」
「ふむ…………家族か昔の友人にアトラの様な人間がいたのかもしれないな」
「言葉からすると家族かもしれないわね…………」
私達が色々言っていると、王様との対面が終わったのか、四聖の人達、が…………え?
「か、香…………!?」
「に、兄さん…………?」
「ね、姉さん!?」
「れ、錬…………?」
「樹? 樹なの…………?」
「姉さん!?」
「な、尚兄ぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ! うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁん!」
「うわぁ!? ちょっと文香!? どうしたの!?」
そこにいたのは…………私の兄や、凛さんと理奈さんの弟、文香さんの兄でした…………
次回『二度目の自己紹介と仲間分け』
お楽しみに