Fate/stay night 0   作:明日香

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最終話「聖杯戦争の終わり…」

 

 

聖杯戦争が終わる…。

私は既に大聖杯が汚染されていることを知っていました。

私の身体の中には小聖杯の欠片が埋めこまれている。

だから既に聖杯が何かによって汚染されていることを知っていました。

そして、聖杯の汚染は私の身体を蝕んでいた。

もしこの聖杯戦争でサーヴァントが死んだら私の身体に入るはずだった。

ところが今回の聖杯戦争は一騎の脱落も無く終わりを迎えようとしている。

ただ、気になることがある

私の身体を蝕んでいたはずの蟲と私の身体の中に居た筈のお爺様の本体も居なくなっている。

それだけじゃない。

小聖杯の欠片も取り除かれている。

身体が綺麗になったことは嬉しいけれど不気味でもあります。

なぜ蟲達やお爺様が私の身体から突如としていなくなったのか…。

私の身体に埋め込まれていた小聖杯の欠片はどこへいったのか…。

なぜ私の身体の中に小聖杯の欠片があることが知られていたのか…。

でもこのことは内緒にしてあります。

ようやく聖杯戦争が終わろうとしているのにそれを妨害するようなことはしたくないし。

なにより姉さんは【根源】を見てしまって大きなショックを受けている。

私は小聖杯の欠片を埋め込まれた時に根源を見ていたから耐性はあったけど

姉さんはあんなおぞましい光景を目にするのは初めてだったはずだから…。

だからこれ以上姉さんに負担をかけたくない…。

…もしあとで姉さんに知られたら怒られるでしょうけど。

そんなわけで私は先輩達と一緒に円蔵山の地下空洞【龍洞】で大聖杯の解体を見届けている。

 

 

「まさか一戦もしないで聖杯戦争の終わりを迎えるたぁついてねぇな…。ま、そんな時もあるわな」

 

「ですがランサーがまだ生きていてくれてよかったです…」

 

「単に死に損なっただけだがな。コトミネのヤロー、死ぬ直前で持ってた令呪を全部使いやがった」

 

 

どうやらバゼットさんはランサーさんと再会できて嬉しいようですが

元々戦いの為だけに来ていたランサーさんはこの結末に不満があるようですが受け入れてはいるようです。

こんなサーヴァントもいるものなんですね…。

まあ、私達のライダーも結構変わっていますけど…。

終わる直前に兄さんを理不尽にぼこっていたし…。

そういえばイリヤさんはどこへいったのでしょうか?

シンさんもセイバーさんを連れて言峰教会に行ったようですし…。

 

 

「っ!?シン!!?」

 

 

いきなり姉さんが叫んだと思ったら姉さんの手から令呪が消えていた…。

いったいシンさん達の身に何があったの…?

それに最後に会った時のセイバーさんはどこか様子が変でした…。

でも、今の私達はここでシンさんの無事を祈るしかありません。

シンさん…どうかご無事で…!

 

 

最終話「聖杯戦争の終わり…」

 

 

◆ Side セイバー

 

 

冬木市 言峰教会前 聖杯戦争終了まであと一時間

 

 

『………』

 

「はあっ!!」

 

 

ガキィンッ!!!

 

 

今、私の目の前では神話の再現といっても過言ではない戦いが繰り広げられています。

シンと黒い私の剣がぶつかりあう度に2人を中心にとてつもない衝撃波が発生し、

この教会にはおびただしい数のクレーターが出来ています。

ここにいる私は剣を持つことさえ叶わないただの小娘になっている…。

本来ならばあの黒い私は私が戦わなければならなかった。

だというのに今の私はシンの戦いを見守ることしかできていない…。

 

 

『約束された勝利の剣!!』

 

「無駄だ!!!」

 

 

ズバァッ!!!!

 

 

「シン…」

 

 

「…なによ…こんなの…聞いていないわ!!!」

 

 

黒い私が放った約束された勝利の剣の黒い光の刃をシンはいとも容易く両断し、

対象を見失った熱量の塊はそのまま空に霧散しました。

黒い私の後ろに居る白いローブをまとった女は激しく動揺していた。

まるで自分の計画が潰されて狼狽する三流の策士のようだ。

だが、気持はわからなくはありません。

今の私はシンと情報を共有することが出来るのですが今のシンのステータスは全てEXになっているのです。

そう。今、黒い私が相手をしているのは究極の理不尽の塊…世界を守護するための存在。

魔術師達はこの存在のことをこう呼んでいます。

世界の抑止力【カウンターガーディアン】と…。

 

 

ギィンッ!!ガァンッ!!ズガァッ!!!

 

 

『………』

 

「どうした?動きが鈍くなっているぞ?」

 

 

黒い私は表情こそ変わっていませんが明らかに動きが鈍くなっています。

それもそうでしょう。

黒い私は約束された勝利の剣を使っています。

もし黒い私が無限にも等しい魔力の塊が動かしていたなら状況は違っていたでしょうが

黒い私を形成しているのはあの白いローブを纏った女が作り出した黒い靄…。

ならば魔力の量に限界がある。

 

 

「もらった!!」

 

 

ガキィンッ!!

 

 

『っ…(ガク』

 

 

シンが振るう光の刃は的確に約束された勝利の剣の刀身を捉え、

約束された勝利の剣を弾きとばし、弾きとばされた約束された勝利の剣は光の粒子となって消えうせ、

黒い私は地に膝をつけました。

勝負は…シンの勝利です…。

 

 

『………ドウシテ、貴方ハ私ヲ拒絶スルノデスカ?』

 

「…っ」

 

 

黒い私は真名の解放以外に今まで動かさなかった口を動かして言った最初の言葉は

シンに対してどうして私を拒絶するのかという疑問でした。

そう…この言葉は私自身がシンにぶつけた想いと同じもの。

黒い私は…私が今まで抑え込んでいたもう一人の私だ。

黒い私の言葉に対してシンは剣を収めて黒い私に歩み寄った。

 

 

「君は剣で俺に気持ちを伝えようとした。だから俺もそれに答えただけさ」

 

『…ジャア私モ受ケ入レテクレルノデスカ?』

 

「君が願うのなら…な」

 

 

そして、シンは約束された勝利の剣と鎧が霧散してその場にへたり込んだ黒い私を抱きしめました。

さっき、シンが私を受け入れてくれた時と同じように、黒い私を安心させるように抱きしめました。

シンに抱きしめられた黒い私は瞳から涙を流しながら口を開きました。

 

 

『ジャア、最期ニ私ノ想イヲ伝エサセテ下サイ…』

 

「ああ。言ってくれ」

 

『シン…私ハ貴方ヲ愛シテイル』

 

 

パアァァァァァァァ…

 

 

黒い私はシンに愛していると伝えると静かに目を閉じ、光の粒子となって散りました。

これで私達の脅威は無くなりました。

ですが、私の心の中にぽっかりと穴が開いた気がします…。

 

 

「ふふふふふ…あはははははははははは!!!!!」

 

 

バシンッ!!

 

 

「しまっ!?」

 

「さあ、カウンターガーディアン!この娘を救いたければその場で自害なさい!」

 

 

白いローブをまとった女は狂ったように笑うと手元から鞭を取り出し、

瞬時に私の身体を鞭で拘束しました。

迂闊でした…。まだ私に力が戻っていない…。

この鞭の束縛から逃れようとしても鞭を振りほどくことができません。

私はシンの人質になってしまったのです…。

 

 

「………(スッ」

 

 

ダァンッ!!

 

 

ですがシンは全く動揺せずに拳銃を構えるとあさっての方向へ向けて引き金を引きました。

拳銃から放たれた銃弾はあさっての方向へ飛んで行きました。

シン…一体何を考えて…。

まさか私のせいで諦めて…。

そう考えた瞬間でした…

 

 

ドスッ!!

 

 

「あ…へぇ…?」

 

 

シンの放った銃弾が跳弾し、白いローブの女の眉間を貫いていました。

私も一体何がおこったのかさっぱりわかりません。

跳弾というものは知っていますが私達の周囲には跳弾するようなものなんて何もないはず…。

 

 

「人質をとるのならもっと周囲の状況を確認するんだったな」

 

 

シンの視線の先にある物を確認するとシンの視線の先にあったものは

私の約束された勝利の剣が地面に刺さっていました。

つまりシンは地面に刺さっている私の約束された勝利の剣に向けて発砲して

放った銃弾を跳弾させることによって彼女の眉間を打ち抜いたのです。

これが…シンがアーチャーとして召喚される由縁だったのでしょうか?

白いローブを纏った女が死んだことによって奪われていた私の魔力が戻ってきました。

おそらく私の力は完全に戻ったのでしょう。

ですが、いつまでも感傷に浸ってはいられません。

早くシロウ達と合流しなければ…。

 

 

『ふふ…やはり今の力では世界の守護者に勝てないわね』

 

 

そう思った矢先に先ほどシンに討たれたはずの白いローブを纏った女が立ち上がり、

私達の前に再び立ち上がりました。

ありえない…。

死んだ人間が動くなんていったい何が起こっているというのですか!?

 

 

「なっ!?」

 

「………」

 

 

私は約束された勝利の剣を構え、シンも冷静な表情で拳銃を構えました。

ですが、目の前に居る白いローブを纏った女はこちらに対して攻撃をする素振りを見せません。

まるで…別の誰かが目の前に居るこの女を使って話しているようです。

 

 

『今回は私の負けだと認めるわ。だけど、次に私達が行動する時…貴方は勝てるかしら?』

 

「………」

 

『次に貴方と会う時を楽しみにしているわ。あはははははは!!!!』

 

 

ダァンッ!!

 

 

この女は何を言っている…?

目の前の女は狂ったような笑い声を上げた後、シンの放った銃弾によって完全に沈黙しました。

そして、目の前に居た女は塵となり、この世から消え去りました。

私にはあの女が言っていた言葉の意味がさっぱりわかりません…。

ただ、シンは何かを決意したような眼をしていました。

 

 

「ああ。守るさ。お前のような奴にこの世界をくれてやるか」

 

「シン…」

 

 

そんなシンの眼を見て私は聖杯への願いが決まりました。

過去はもう戻らない。

例えやり直したとしても一度ブリテンが滅びたという事実は消えません。

 

 

「セイバー…いや、アルトリア。聖杯への願いは決まったのか?」

 

「はい。ただ、選定のやり直しやブリテンの救国は願いません」

 

「………そうか」

 

 

私はこの聖杯戦争で得た答えを胸にブリテンの王として最後の責務を果たします。

その想いを胸に私はシンの案内でシロウ達が居る円蔵山の地下空洞【龍洞】へ向けて向かい始めました。

私が聖杯に掛ける願いは…。

 

 

◆ Side イリヤ

 

 

冬木市 円蔵山 地下空洞入口前 聖杯戦争終了まであと十分

 

 

イメージBGM:Fate/stay nightより 消えない想い

 

 

「聖杯戦争も終わりかぁ。ここまで来るのに長かったなぁ」

 

 

私、イリヤスフィールは今、私の死を待っている。

元々私は聖杯戦争で使い捨てにされる道具だった。

だから私の寿命は非常に短い。

聖杯の汚染に気がついたのは本当に偶然だった。

私がキリツグのことを調べているうちにアインツベルンが今まで召喚した英霊の中に

この世の全ての悪【アンリ・マユ】という存在を召喚したという記録があったからだ。

まあ、聖杯自体はキャスターの手によって浄化されたらしいけどまた聖杯戦争が起こったら意味がない。

だから私はお爺様から離反して大聖杯の解体を呼び掛けた。

そして、あのアーチャーの活躍によって大聖杯は間もなく解体される。

もうシロウに会えないのは残念だけど私の“弟”が無事に生き残るのならそれでいい。

 

 

「バーサーカー。ありがとうね。今まで私を守ってくれて…」

 

「………」

 

 

私は私の隣で仁王立ちしているバーサーカー…ヘラクレスに今まで守ってくれたことへのお礼を言う。

私がひとりぼっちになった時、バーサーカーはずっと私と一緒に居てくれた。

バーサーカーとして呼ばれたから逆に弱くなっていたけどそれでも彼は強かった。

でも、そろそろお別れだ。

もうすぐ私の寿命が尽きて私はこの世を去る。

シロウからキリツグのことを聞けなかったのは心残りだけどね…。

 

 

「それじゃあおやすみ。バーサーカー」

 

「………」

 

 

ヘラクレスに看取られながら私はゆっくりと目を閉じる…。

ここまで安らかに死ぬことができるなんて私は幸せ者ね。

おやすみなさい…。

 

 

『……ヤ!…リヤ!イリヤ』

 

『この声は…お母様…?』

 

『僕もいるよ。イリヤ』

 

『キリツグ…?』

 

 

誰かが私を呼んでいる…。

この声はとても懐かしい声…。

もう二度と聞くことがないと思っていた最も聞きたかった人達の声…。

そこには…キリツグとお母様が居た。

 

 

『よく頑張ったね。イリヤ…』

 

『ええ。お疲れ様。イリヤ』

 

『お母様…キリツグ…』

 

 

私はそのままお母様とキリツグの許へ歩いていく。

そして、2人は私を優しく抱きしめてくれた。

シロウ。お姉ちゃんが居なくても頑張って生きてね。

なんたってシロウは私達の大切な家族だからね。

 

 

◆ Side バーサーカー

 

 

冬木市 円蔵山 地下空洞入口付近 聖杯戦争終了まであと五分

 

 

「…おやすみなさいませ。お嬢様」

 

 

私はただ、お嬢様が最期まで安らかに眠れるようにお嬢様を看取っていた。

私も遠からずこの世から消え去るだろう。

ならば私はこの世から消え去るまでお嬢様を守るのみ。

 

 

「…アンタはここに居たのか。バーサーカー」

 

「…その声は…シン殿ですかな?」

 

「ああ。俺の方も最期の役目が終わった。あとは聖杯が解体されるのを待つのみだ」

 

 

気配を感じ取って振り返るとそこには私と刃を交えたアーチャー…シン・アスカ殿が立っていた。

だが、彼の足は半ばまで消えている。

なにがあったのかは詮索しないが彼も時が経たぬうちに消え去るだろう。

そういえば彼の隣に居たセイバー殿の姿は見受けられない。

 

 

「セイバーは最後にアサシンの願いで一騎打ちをしている。

まあそんなに時間が掛からないさ」

 

「そうですか…」

 

 

一騎打ち…そういえばアサシン殿とランサー殿は強者との戦いを求めて現界したと聞いた。

ランサー殿は戦うことは不可能だがアサシン殿は万全の状態だった。

ならこの場に居る私とシン殿を除くサーヴァントで最強であるセイバー殿が相手になるのは必然か…。

 

 

「何か、士郎達に伝えることはあるか?」

 

「そうですな…お嬢様の亡骸をお嬢様の父君と母君が弔われている墓へ弔っていただきたい」

 

「わかった。必ず伝えよう」

 

 

どうやら私もそろそろ消えるシン殿がシロウ殿達に伝言をしてくれるらしいので

私はお嬢様の亡骸をお嬢様の父君と母君が弔われている墓へ弔ってほしいと頼んだ。

彼ならば必ず約束を果たしてくれるだろう。

では、私もこの世界と別れるとしましょう…。

お疲れ様でございました。お嬢様…。

 

 

◆ Side 凛

 

 

冬木市 龍洞 聖杯戦争終了直後

 

 

「これで大聖杯の解体は完了したわ」

 

 

 

聖杯戦争はキャスターが大聖杯の解体という形で二百年続いたその歴史に幕を下ろした。

勝てなかったのは悔しかったけどまあ、生き残れたからいいよね。

最後に行われたセイバーとアサシンの一騎打ちはすさまじいものだった。

これ以上続けると私達が生き埋めになるということで結果は引き分け。

でもアサシンは満足したらしい。

そして、大聖杯は解体され、セイバーとライダーは英霊の座へ戻っていった。

 

 

「………その過程でお嬢ちゃんのうっかりで俺達まで受肉してしまったがな」

 

「う、うるさいわね!まさかくしゃみで魔力が洩れてしまうなんて思わなかったわよ!」

 

「まあ、おかげで二度目の生を送れるのだ。悪いばかりではなかろう?」

 

「そりゃそうだけどよ…」

 

 

私のうっかりのせいでランサーとアサシンも受肉してしまったけど害はないから問題ない!

それに二度目の生なんて普通ではできない体験をすることができるんだから諦めてもらおう。

現にアサシンは嬉しそうだし。

そんなわけで私以外のメンバーはみんな龍洞から出て行った。

バーサーカーの気配も消えたことだし、最後はあいつね…。

 

 

「セイバー達はもう行ったか…」

 

「…ええ。『また会いましょう』って伝言があったわ」

 

 

後ろを振り返ると半ばまで身体が消えているシンがイリヤスフィールを抱きかかえた状態で待っていた。

とりあえず私はセイバーからの伝言を言っておいた。

まったく…いつの間に仲良くなったのよ…。

 

 

「そうかそれじゃあ俺もバーサーカーからの伝言だ。

『彼女の亡骸を両親の許へ弔ってほしい』だそうだ」

 

「亡骸って…?」

 

「彼女は寿命でこの世を去った。寿命が短い理由は詮索してやるな」

 

 

シンの言葉にぎょっとしてイリヤスフィールを見てみると確かに彼女は息を引き取っていた。

そういえばアインツベルンのホムンクルスは寿命が極端に短い。

今まで生きていたこと自体が奇跡に等しかったのでしょうね。

まあ、敵同士だったけどそんなことを頼まれたらしっかりと引き受けないとね!

 

 

「さて、と…最後に別れる前にマスターにはこれを渡しておく」

 

「げっ!?これって…」

 

「…なんであの杖をマスターが知っているのかは聞かないでおく」

 

「そうしてくれると嬉しいわ」

 

 

最後に別れる前にシンは懐からある杖を取り出した。

その杖の姿はいやというほどあの杖にそっくりだった。

あの杖によって作られた黒歴史は忘れようがない。

シンもあの杖のことを知っているのだろう。

深く追求してこなかったから助かったわ。

でも、なんでシンがこの杖を…ん?確かに似ているけど色やデザインが違うわね。

 

 

「この杖の名前はマジカルサファイア。

 ギルレッチの爺さんが俺に出した最後の課題で俺が作った魔術礼装だ」

 

「もしかしてシンのステータスが高かったのも…」

 

「そう。俺の耐久力が高かったのはこの杖のおかげさ」

 

 

もしかして大師父って痴呆の気がある?

こんなものを作らせるなんて…。

私だったら恥ずかしさのあまり憤死してしまいそうね。

…もしかして大師父の修行で廃人になった理由ってこの課題のせい?

ま、まあ私はあの杖の性能をいやというほど知っているからその杖に匹敵する魔術礼装なら

シンのステータスが引き上げられていたことに納得できるわね。

 

 

「マスターにこの杖を渡しておく。まあ、安心しろこの杖の性格は

 爺さんの作ったやつとは違って素直な性格だからな」

 

「ええ。預からせてもらうわ」

 

「っと、これで俺がやることは全部終わったな」

 

「…じゃあね。シン」

 

「ああ。じゃあな。凛」

 

 

私はシンからマジカルサファイアを受け取るとシンの身体は本格的に消え始めた。

そして、シンは私と別れの挨拶をすると完全に光の粒子となって消え去った。

わずかな時間だったとはいえやっぱり一緒に過ごした誰かと今生の別れをするのは辛いわね…。

でも前を向いて歩いていこう。

私が最高のサーヴァントだったシンのマスターだという誇りを持って優雅に前へ進んでいきましょ!

 

 

◆ Side アーチャー

 

 

???

 

 

「ここは…草原…?」

 

「ここは守護者の座の中にある妖精郷ですよ。シン」

 

 

マスター…凛に俺が持っていたあの礼装を託して消え去ったわけだが…。

気がつくと草原の真ん中に立っていた。

ここは初めて来る場所だな。

少なくとも俺が知っている場所はない…。

だとすればここはどこだ…?

戦いに身を落としていた俺にとっては無縁の場所だ。

ここがどこなのかと考えていると後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。

この声は…アルトリアの声だ。

 

 

「この声は…アルトリアか?」

 

「はい。また会えましたね。シン」

 

「ああ。ただいま、アルトリア」

 

「はい。おかえりなさい、シン」

 

 

アルトリアの声がした方向へ向くとアルトリアはあの甲冑姿ではなく、純白のドレスを着ていた。

どうやら俺はまた一人で戦う必要はないらしい。

まったく、この世界の守護者の座は気がきくというかなんというか…。

まあいい。

こうしてアルトリアと再会できたのだから細かいことは気にしないでおこう。

今はただ、アルトリアと一緒にこの平穏を噛みしめよう。

 

 

 

 




どうも明日香です。
はい。今回でこの物語は最終話を迎え、残すはエピローグだけとなりました。
今回シン達の前に現れた物の正体は後の時代であるIS衛宮娘にて判明します。
セイバーとアサシンの一騎打ちとセイバー達と士郎達の別れは脳内補完でよろしくおねがいします(笑)。
さて、最後にシンが使っていた宝具についてですがサーヴァントの時限定の宝具です。
詳しい説明は設定集に書きますが簡単に説明するのなら自身の寿命を削って聖杯戦争によるステータスの弱体化を無効化し、規格外の戦闘能力を得るというチート能力です。
というかぶっちゃけこの宝具が無かったら詰んでいました。
では、エピローグでまたお会いしましょう。
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