私は再び聖杯戦争に参加することになった。
召喚された直後はかなりやさぐれていましたがシロウの料理のおかげである程度落ち着きを取り戻すことができた。
リンとの同盟も落ち着いて考えてみるとこちらのメリットが非常に大きい。
今の私はかなり能力が下がっている。
リンではなくてもこのステータスの低さを見れば私がセイバーだと疑うのも当然です。
それに今回のマスターであるシロウは素人同然。
私達だけではすぐに負けてしまうでしょう。
ですがリンはマスターとしての実力もサーヴァントの強さも一級品です。
ですから彼女と同盟を結べたのは非常に幸運でした。
ただ…
「シン、そっちの醤油をとってくれないか?」
「ああ。わかった」
「むー…」
いつの間にかシロウとシンの仲が更に良くなっている気がします…。
確か昨日は敬語だったのに今は砕けた口調になっていますから。
私の隣に座ってホットミルクを飲んでいるリンもどこか不機嫌です。
やはり自分のサーヴァントが敵のマスターと仲良くしているのは気に入らないのでしょう。
ですが二人が仲良く料理をすることで美味しい食事にありつけるのなら問題ありません。
「よし!出来た!!」
「マスター。朝食が出来たぞ」
テーブルの上に様々な料理が並べられていく。
うん。どれもすごく美味しそうです。
いえ、絶対に美味しいでしょう。
昨日食べた料理が美味しかったのです。
今日の料理も美味しくないわけがない!
…それにしてもシンもシロウと同じくらいに料理が出来るのですね。
シンのマスターであるリンが少し羨ましいです。
さて、そろそろ…
「士郎~今日も朝ごはんを食べに来たわよ~!!」
「おはようございます。先輩」
………誰?
第4話「間桐の魔術師との出会い」
◆ Side アーチャー
冬木市 衛宮邸 居間 聖杯戦争二日目…
「これは…なかなか使いやすそうなキッチンだな」
あれから夜が明け、いつもの日課でマスターよりも早く起きた俺は台所に来ていた。
もちろんマスター達の朝食を作るためだ。
マスターは朝に弱い。
だからこうしてマスターが寝ている朝早くに朝食を作る。
それに、士郎君の性格からして朝早くに朝食を作りに来るだろう。
「おはようございます。シンさん」
「ああ。おはよう、士郎君。朝食作りの手伝いをさせてもらいに来た」
「いえ、いいですよ。シンさんもお客様なんだし…」
「客人だからだ。家主である士郎君ばかりに負担をかけられないだろ?」
「…それじゃ、遠慮なく」
予想通り、士郎君は俺達の朝食を作りに来た。
家主である士郎君にばかり負担をかけちゃいけないからな。
幸い俺も料理に関する経験は人並み程度ある。
士郎君の手助け程度にはなれるだろう。
さて、始めようか…。
10分後…
「凄いな…その年でここまでできるなんて」
あれからすぐに朝食を作り始めた(ジャンルはもちろん和食)俺と士郎君だが士郎君の料理の腕は凄いな…。
まだ16歳位だろうに料理の技術はプロ顔負けだ。
基本に忠実でかつまったく無駄がない動きをしている。
料理店の店長がいたら間違いなくスカウトに来るだろう。
彼の実力はそこまでの領域に達している。
「いえ。小さい頃からの日課だったから自然と上達したんですよ」
小さい頃からの日課…か…。
懐かしいな。
俺がまだ戦争というものを知らなかった幼少期…。
共稼ぎで家を空けがちにしている両親だったために俺と…妹の――の食事の面倒は自分で見なければならなかった。
体格の割によく食べる上に舌が肥えていたから必死で料理や菓子作りの技術を身に付けた。
もっとも、あの日から俺が軍を抜けるまで料理を作る機会などなかったからなく、あの日から初めてこのスキルを発揮したのがあの爺さんの食事の面倒をしていた時だったな。
あの爺さん一度自分の趣味に没頭すると食事を抜くことが多かったから修業の合間を見繕って自分と爺さんの分の食事を作っていたのは今ではいい思い出だ(なぜか和食が好評だったのは意外だ)。
ただ、こうして誰かと料理を作るというのは初めての経験だ。
爺さんの許で料理を作っていた時もそこそこ楽しかったがこうして別の誰かと料理を作るのは楽しいものだな。
「出来れば普段の口調で話してほしいんだがいいか?」
「わかった。それじゃあ俺も呼び捨てでいいよ」
「ああ。改めてよろしくな。士郎」
「おう。よろしくな。シン」
料理を通じて士郎と仲良くなれた気がする。
こうして仲が良くなるというのも良いものだな…。
改めて料理ができるようになって良かったと思える。
でなければこうして士郎と仲が良くなることが出来なかったからな。
さて、大分料理が出来てきたが…。
「改めて見ると凄い量だな…。結構疲れるだろ?」
「そうでもないさ。藤ねぇという食欲魔人がいるからな。これくらい慣れているよ」
改めてみると凄い量だ。
目測からして15人前くらいはあるぞ…。
だが、これだけ作っているのに士郎はまったく疲れているそぶりを見せない。
俺はあの爺さんがかなり量を食っていたから慣れていたが士郎も同類か?
それと聞きなれない人物の名を聞いた。
「藤ねぇ?」
「俺の姉貴分で名前は藤村大河。かれこれ10年間の付き合いでいつも飯をたかりに来てる」
「…それは大人としてどうかと思うが」
「俺も気にしているけどあまりに美味しそうに食べるから咎めるに咎められなくてさ…」
「…その気持ちは俺もわかる」
なるほど、藤ねぇこと藤村大河という人物は士郎の姉貴分に当たる人物か。
どうやら俺が世話していた爺さんと同じようにかなりの健啖家らしい。
だが、自分の弟分に飯をたかりに来ると言うのは大人としてどうなのだろうか…?
士郎も同じことを考えているらしいが彼女の食べっぷりがあまりにも清々しいのでなかなか咎められないらしい。
まあ俺も爺さんがあまりに気持ちのいい食べっぷりだったからその気持ちはわかる。
「っと、そうなると彼女に挨拶をしないといけないな」
「セイバー達のことをなんて説明しよう…」
だが、彼女もこの屋敷の住民ならしばらくこの屋敷で世話になる俺達は彼女に挨拶をしておかなければならない。
それがこれからしばらくの間世話になる者の礼儀だ。
さて、なんと挨拶をすればいいものか…。
「お゛ばよ゛う゛~」
「おはようございます」
「遠坂…ひどい顔だぞ…」
「マスター。ホットミルクだ。火傷しないようにゆっくり飲めよ」
「ありがとー…」
どうやらマスター達も起きてきたようだ。
マスターは私服の姿で、セイバーはあの甲冑…ではなくこの屋敷にあった和服(なぜセイバーに合うサイズがあったのかは謎だ)を着ている。
マスターはいつものことだが士郎にとって起きたばかりのマスターの顔は初めて見たためかドン引きしている。
まあ、このままではマスターの名誉に関わるので早々にシャッキリとしてもらおう。
さて、マスターにホットミルクを渡したことだし最後の仕上げに掛かるとするか。
「シン、そっちの醤油をとってくれないか?」
「ああ。わかった」
「むー…」
誰かと共に料理をすることが楽しめ、士郎との親交が深まった。
俺としてはそれだけでも呼び出された価値はあったと思っている。
なぜか凛が不機嫌な表情で俺を見ているが無視だ。
っと、そろそろ最後の料理ができあがるな…。
「よし!出来た!!」
「マスター。朝食が出来たぞ」
最後に作っていた料理が出来上がり、俺達は出来た料理を器に盛ってテーブルに置いていく。
どの料理も食欲をそそる香りを放ち、心なしかセイバーの目が輝いているように見える。
そこまで士郎の朝食が楽しみだったのか…。
ただ…改めてみると凄い量だな。
ん?玄関から人の気配を感じた。
足音的に二人か…。
「士郎~今日も朝ごはんを食べに来たわよ~!!」
「おはようございます。先輩」
戸が開くとそこには二十代後半位の女性と十代後半の少女が立っていた。
一人はおそらく士郎が言っていた大河さんだろう。
だが、もう一人は誰だ?
おそらく士郎の後輩だと思うが…。
それと心なしか空気が凍りついた気がする。
主にマスターとやってきた少女が原因で。
だがそんな空気をすぐに壊してくれたのは他でもない大河さんであった。
「ありゃ?遠坂さんに見慣れない外人さんがいるわね」
「はじめまして。遠坂凛の親戚の飛鳥慎です」
「これはご丁寧に…。私は藤村大河よ~」
ここを逃せばちゃんとした挨拶が出来ないだろう。
今のうちに彼女と挨拶を済ませておこう。
あと、マスターがここに居る理由もフォローしておくか。
このままいらぬ誤解をされては動きづらくなるからな。
先手を打っておくか。
「実は彼女の家に泊まりに来たのはいいのですがちょっとした事故が起こって
工事することになったのでそちらに居る士郎君の好意で
工事が終わるまでの間このお屋敷でお世話になることになりました」
「あ~工事中じゃ仕方ないわね~。それじゃあ工事が終わるまでの間
自分の家だと思ってゆっくりしていきなさいな!」
「ありがとうございます」
「………」
うん。どうやら大河さんは俺達がこの屋敷に滞在することを許可してくれた。
ちなみに工事云々はウソだが近いうちに庭の工事をしないといけないから全てがウソじゃない。
ただ、彼女は…どこか士郎に似ている感じがする。
いや、士郎が彼女に大きな影響を受けたのだろう。
マスターが色々と驚いた眼で見ているが別に気にすることもないから無視だ。
問題はセイバーだが…。
「それじゃあ士郎の隣に居る子は?」
「えっと、この子の名前はセイバー。爺さんの知り合いでわざわざこの街まで来てくれたんだ。
で、しばらくの間ここに滞在することになって…」
「へー…切嗣さんのねぇ。うん。切嗣さんのことだからあり得るわね。ゆっくりしていってね。セイバーさん」
「ありがとうございます」
…どうやら問題なく受け入れられたようだ。
なるほど、彼女のような人物がいたから士郎が成長できたのだろう。
それに見たところかなりの美人だ。
食欲は置いておいてこんな美人さんがお隣さんとは羨ましい限りだ。
大河さんの隣に居る彼女は気になるがまずは朝食を食べるとしよう。
2時間後…
「さて、今日の行動方針だけど…」
「………(ジー」
朝食が終わり、俺達が食器を片づけると仕事がある大河さん以外のメンバー全員が座っているテーブルに戻った。
俺達が集まったのは今日の行動方針を決めるためだ。
初日で躓いてしまっては後々に大きな影響が出てくる。
だからここで行動方針を決めるわけだが桜(士郎から聞いた)という少女が物凄い敵意を俺達に向けている。
おそらく俺達を警戒しているのだろう。
…やはり気になるな。
さっきから彼女から放たれている気配は言峰綺礼が発していたものと同じ気配を感じる。
気のせいだと思いたいが…。
「俺達の日用品の調達がメインだな。そこで、だ…桜さん。君にもこの街を案内してほしいのだが構わないか?」
「え?」
「ちょっと!いきなり何を言っているのよ!シン!!」
「リンの言うとおりです!私は反対です!!」
「日用品の中には俺と士郎では一緒に買えないものがあるだろう?」
「「シンと衛宮君(シロウ)が一緒に買えないもの?」」
それはおいおい確認するとして日用品の購入に彼女も同行してもらおうと考えている。
俺の予想どおりマスターとセイバーが同時に反対してきた。
俺もセイバーもこの街の土地勘がまったくない。
士郎と凛の二人だけでも十分かもしれないがひとつ大きな問題がある。
おそらくマスターはそのことに気が付いていない。
出来れば言いたくなかったが納得させるには事実を伝えるしかない。
「下着だ下着。何が悲しくて男なのに女物の下着売り場なんぞに入らなきゃいけないんだよ」
「「「!?(カァッ」」」
「………わかってくれたか?」
「「「………(コクコク」」」
「ああ。なるほど…(ポンッ」
何が悲しくて男なのに女物の下着売り場に入らなければならない。
マスターも自分の物を探さなくてはいけないから自然とセイバーに構うことができない。
おそらくセイバーもそう言ったものは無頓着だからセイバーの下着を桜さんに見てもらうために同行を依頼した。
だからマスターとセイバーにそのことを指摘した。
ああ、やっぱり女性陣は3人とも顔を真っ赤にして俯いている。
そして士郎。俺に言われて初めて気が付くな。
まあ、本当の理由はもう一つあるがこれは桜さんと二人になった時に確認したい。
さて、準備を済ませて出かけるとするか…。
◆ Side 凛
冬木市 新都 バス車内
「ここが新都ですか…」
「ええ。最近になって急速に発展した街なんですよ」
と、いうわけで新都まで日用品を買いに来たわけだけど…。
桜とセイバーの仲が良さそうで良かった。
そして、桜がつけているリボン…まだつけていてくれたんだ…。
あのリボンは桜と別れる直前に桜へあげた私のリボンだ。
そう…。
あの時…第四次聖杯戦争の直前にお父様からの指示で桜は間桐家に養子として引き取られた。
それが桜の為とは頭の中では理解していたけどずっと心配だった。
本当なら別れずにずっと一緒に居たかったけど魔術教会がそれを許さなかった。
桜は特殊な魔術元素を使うことができる魔術師で私も五大元素全てを扱うことができる。
だからお父様は苦渋の決断で桜を間桐家に養子として出したことを知っている。
だって、桜が養子になると決まった日の夜にお父様の部屋を覗いたら
普段は涙を流さないお父様が沢山の涙を流していてお母様がお父様を慰めていたんだもの。
最後にお父様はお母様にこう言っていた。
『この聖杯戦争に勝利したら桜を取り返しに行く』って…。
でも、お父様は聖杯戦争で敗北してこの世を去り、桜を連れ出す方法が無くなった。
聖杯戦争が終わってからも私は色々な伝手を使って桜が元気にしているか探っていた。
だけどその時に聞いた桜は希望を失って目に光を宿していなかったらしい。
あの時ほど私自身の無力さを呪ったことはない。
だから私は魔術を極めようとした。
間桐の奴等から桜を取り返すために…。
そんな時だった。
あの外道神父が私に桜が希望を取り戻したと教えに来たのは…。
「おーい!遠坂!そろそろ着くぞー!」
「ええ、わかったわ」
その時に初めて私は衛宮君のことを知り、桜に笑顔を取り戻してくれた衛宮君に感謝すると同時に
衛宮君に対して強い興味を持った。
そして私は聖杯戦争で衛宮君と出会い、今はこうして同盟を結んだ。
本当に世の中というものはわからないものね…。
「………」
ん?シン?
なんかさっきから桜を見ている気がするけどどうしたのかしら?
それにシンが桜へ向けている視線は疑いの眼差しだ。
もしかしてシンは桜が魔術師だって勘付いた?
やたらと人の人間性を見抜くシンならありえることだ。
『マスター』
『なに?シン』
シンがこういった時に私へ話す口調は戦闘の気配がするか警戒を呼び掛ける時だ。
状況的には警戒だろうか…?
『いや…。なんでもない』
『はあ…?』
シンは私に何かを言いかけたようだけどその言葉を飲み込んだ。
こいつは何を言おうとしたのだろうか?
ただ、桜関連であまり良くないことが起こっているのだろう。
そしてこいつが喋ろうとしなかったということは大方私のためにならないものなのだろう。
まだ出会って間もないけどこいつがどんな奴なのかは大体理解している。
口ではなんとか言っているけどこいつは私の安全を最優先に考えている。
たまに出る辛辣な言葉は私への助言なのだろう。
…精神的にくるけど。
とりあえず桜のことはしっかりと見ておきましょう。
もう、私の大切な家族がいなくなるのは嫌だからね。
さてと、そろそろ降りる準備をしましょうか。
◆ Side 桜
冬木市 衛宮邸付近
「………」
「………」
最初に私があの二人の姿を見た時は運命を呪いたくなった。
姉さんは遠坂の当主だからわかるけれどまさか先輩がマスターになるなんて…。
私はお爺様の力でライダーを召喚したけれど先輩に英霊を召喚できるほどの魔力があるとは思えない。
だけど先輩はサーヴァント…それも最優のサーヴァントであるセイバーを召喚した。
どうやら召喚方法が正式なものじゃなかったから能力が大きく落ちているらしいけど…。
でも、問題は姉さんが召喚したこのサーヴァントだ。
おそらく彼は私が魔術師であることとライダーのマスターであることを見抜いている。
おそらく私を連れていったのはライダーに襲撃される可能性をなくすためだ。
…姉さんとセイバーさんの日用品の調達というのもあったでしょうけど。
ん?あれは…?
「ほう。貴様は…」
「誰ですか?」
「………(スッ」
姉さんのサーヴァントが無言で私を守るように私の前に出た。
だけど目の前に居る金髪の男性はまったく警戒する素振りを見せない。
そして金髪の男性は私に対してこう言ってきた…。
「今のうちに死んでおけよ娘。馴染んでしまえば死ぬこともできなくなるぞ」
「っ!?」
「………」
この男は何を言っている…?
死ね?
馴染んでしまえば死ぬこともできなくなる?
まさかこの男は…私の秘密を知っている?
そして何よりも私の目の前に居るサーヴァントはなぜ驚かない?
いや、寧ろ彼の言葉を聞いて納得した顔をしている。
まさかこのサーヴァントも…!
「ではな。生きるのなら精々自分の運命に抗ってみせろ」
金髪の男が去っていく…。
姉さんのサーヴァントは手を出さずにそのまま見送っている。
…助かった?
私は…殺されなかった?
私は…生きている…?
「………(ヘタ」
「大丈夫…なわけないな。手を貸そう」
「…ありがとうございます」
緊張の糸が切れて腰が抜けて立てなくなってしまった…。
そんな私を見た姉さんのサーヴァントは苦笑いをしながら私に手を貸してくれた。
なんだかんだ言ってこのサーヴァントは私に気を使っていてくれたらしい。
差し出された手はゴツゴツしていたけど温かみのある手だった。
敵のはずなのに何故か安心できる…。
これがこのサーヴァントの力の一つなのだろうか…。
ん?どこからか視線が…?
先輩の家からじゃないみたいだけど…。
近くの…電柱…?
「ん?(クルッ」
「………(ミシミシミシ」
「ナズェミテルンディス!?」
ら、ライダー!?
なんかすごく恨めしそうな目でこっちを見ているけど!?
しかも凄く怖い!!
一応魔眼殺しの眼鏡をかけているけどそれでも石化しそうな位に怖いよ!?
さっきの金髪の人よりも遥かに怖いよ!?
思わず変な声が出ちゃったよ!
隣に居る姉さんのサーヴァントは冷や汗一つ掻いていないけど軽く引いてるよ!?
掴んでいる電柱に罅がはいっているよ!?
「………(スッ」
どうやらこのまま帰ってくれるらしい。
ライダーは自転車(競技用のようだけどなんで持っているんだろう?)に乗って去っていった。
ああ。これで完全にこのサーヴァントに私がライダーのマスターだってばれてしまった…。
どうしよう…。
「………一応、あいつには黙っておくよ」
「………ありがとうございます」
「ん?あれは…」
「え?(クルッ」
あれ、目から涙が…。
なぜだろう…?
今は姉さんのサーヴァントが仏様に見える…。
彼の優しさが心にしみる…。
ん?このサーヴァント、私の後ろを見ている?後ろに何かあるのでしょうか?
私は彼の視線の先にある物を確認するために後ろを振り向いて見た。
「………(チーン」
「に、兄さーん!!!?」
に、兄さん!!?
なんでボロ雑巾な状態でここに倒れているの!?
それに兄さんは屋敷の中に居た筈じゃ…?
も、もしかしてあの自転車を買うために外出してた…?
それじゃあボロ雑巾になっている理由って…。
「と、とにかく屋敷の中に運ぶぞ!」
「は、はい!兄さん!しっかりしてください!!」
「ボクノカラダハボドボドダァ…」
姉さんのサーヴァントに言われて正気を取り戻した私は必死に兄さんへ呼びかけた。
姉さんのサーヴァントも兄さんを背負うと先輩の家へ運びはじめた…。
ああ…。
あの金髪の男性といい、姉さんのサーヴァントといい、ライダーといい…。
私…この聖杯戦争を生き残れるのかな…?
だんだん不安になってきました…。
【悲報】ライダーがヤンデレ化し始めました。
と、いうわけでどうも、明日香です。
今回はシンと士郎の交流とタイガーと桜の出会いとAUOとライダーとの遭遇とボロ雑巾状態の慎二の回収といった内容となりました。
そして、ライダーファンの人は申し訳ありません。ライダーは桜限定のヤンデレ化が始まりました。
さて、奇しくも聖杯戦争の7人のマスターのうち3人(4人?)が同じ場所に集結しました。
これからどのような展開が彼らに待ち受けるのでしょうか…?
それでは、失礼します。