セイバーが気絶した後にアーチャーから事の顛末を聞かされた時、私はセイバーに呆れていました。
相手の力量が分かっていないのに突撃するなどバカの一言です。
正直あの時ほどセイバーを殺したいと思った時はありませんでした。
もしアーチャーがいなかったら気を失っているセイバーを殺していたでしょう。
まったく…サクラの頼みとバーサーカーの脅威が無かったらすぐにでも同盟を破棄していますね。
「あ、ライダー。そろそろ朝ごはんができるからみんなを起こしてきてくれるかな?」
「ええ。わかりました」
それに、サクラが私の本当のマスターだということもばれてしまいました。
確かサクラの本来の家系は【うっかり】という呪いが存在しているらしく
現在の遠坂家当主のリンとその妹に当たるサクラはその呪いが歴代の遠坂家の人間よりも強かったようです。
おそらく二人の母である人物の血で魔術の強さだけでなく【うっかり】も強くなったらしいですね。
それを痛感させられたのがあの時アーチャーが私にサクラ達の護衛をまかせて飛び出した後の時でした。
『そういえばこの本ってどんな内容なんだろう…?』
『さあ?今はシンジがいないようですからこっそり読みましょうか?』
『そうだね。………………………………全然読めない』
『まあ、サクラはロシア語が苦手ですから読めないのも仕方ないですね』
『うぅ…なんで兄さんはこんな英語でビッシリな本を読めるのかな?』
『あのワカメ。地味にスペックが高いですからね』
『誰がワカメだって?』
『ひゃあっ!?』
ビリッ!!!
『『『あ』』』
『お~い。桜~。風呂の順番が来たぞ~』
『『『あ』』』
『ん?桜。右手にある痣って…もしかしてライダーのマスターは桜だったのか!!?』
あの時私達がこっそり偽臣の書を読んでいたところをシンジに見つかった時に
【うっかり】偽臣の書を破いてしまったんですね。
そして令呪がサクラの右手に戻ったところをシロウに見られてサクラが私のマスターだとばれてしまいました。
遠坂家の【うっかり】とは恐ろしいものですね…。
まあ、そこがサクラの魅力の一つなのですが。
さて、まだ寝ている人達を起こしに行きましょうか。
第6話「託されたもの」
◆ Side セイバー
冬木市 衛宮邸 居間 聖杯戦争五日目
「以上が令呪で呼び戻されるまでにあった出来事です」
「まあ、今回は無事でしかも相手の真名を解明できたのは最大の収穫ね」
「まさか彼女がキャスターとして召喚されていたとは…」
あれから三日が経ち、リンから私がキャスターの拠点に単騎突入したことを詰問されたので
私が目を覚ます前に居なくなったシンの代わりに今までの経緯をリン達に説明していました。
とりあえずキャスター能力と真名が分かったのが大きな収穫です。
「裏切りの魔女…か…」
「ですが彼女の能力があれば対バーサーカー戦が非常に楽になるのは間違いありません」
「私が気になるのはさっき言っていた白いサーヴァントのことね」
気に入りませんがキャスターはとてつもなく強力な魔術師であると痛感しています。
もし、彼女を味方に引き入れられれば大きな戦力となるのは間違いないでしょう。
それともう一つ。あの白いサーヴァントに関する報告もしました。
「とてつもなく強大なプレッシャーを放っていました…。私でも息が出来なくなる位に…」
「貴女程のサーヴァントですら息が出来なくなる程のプレッシャーですか…」
「「「「なにそれこわい」」」」
あのサーヴァントが放っていたプレッシャーは私が今まで経験してきたどの敵よりも恐ろしいものでした。
あのような恐怖を感じたのは生まれて初めてです。
ああ、思い出しただけでも背筋が寒くなります…。
シロウ達もあのサーヴァントの恐ろしさを想像したらしく、顔色を青くしていました…。
「それにしてもこんな重要な時なのにあいつはどこで油を売っているのよ…」
あの時私が気を失った後にシンは突如として居なくなっていました。
いきなり居なくなったことに不信感を覚えたリン達が屋敷中を探したらしいですが見つからなかったようです。
その時私の脳裏に思い浮かんだのはあの白いサーヴァントがシンに言っていた言葉でした。
『答えを知りたければ円蔵山の地下空洞まで来るがいい』
おそらくあのサーヴァントはシンの正体を知っている。
おそらくキャスターの拠点のすぐ隣にある円蔵山の地下にはなにか大きなものが隠されている。
そして、シンは答えを確認するために単独でキャスターの拠点へ向かったのでしょう。
私達を巻き込まないように単独で…。
まったく…これではあの時の私と大して変わらないじゃないですか…。
今、貴方はどこにいるのですか…?シン…。
◆ Side キャスター
冬木市 柳洞寺 キャスターの部屋
「それで、どういう了見なのかしら?アーチャー」
三日前にセイバーとアーチャーの襲撃を受けて竜牙兵ごときでは
足止めにすらならないと痛感した私はアサシンのマスターからアサシンを奪い、
対サーヴァント戦を前提に置いた駒のひとつにしていた。
アサシンの本来のマスターは魔術師としての素質が無いのにも関わらず
ほぼ事故でアサシンを召喚してしまったから死にかけていたけど
私がアサシンを配下にしたことで生き残り、今は病院に入院している。
正直私は他人のことなんてどうでもいいけど騒ぎを起きるのは困るから
記憶を抜き取って病院のすぐ近くに捨てておいた。
まさかアサシンのサーヴァントがハサンとはまったく違う男だったのには驚いたけど…。
それよりも驚いたのはつい三日前にセイバーの救援として現れたアーチャーが一人で来たことね。
「アンタに頼みがあって来た」
「頼み?私にあんな無粋な物を撃ち込んでおいて?」
「それでもだ」
私に魔弾を撃っておいてぬけぬけと私に頼み事をしてきたアーチャーには呆れを通り越して感心させられるわ。
撃つだけ撃っておいて頼みごとをする厚顔無恥な男。
正直こいつの話を聞くだけ無駄だと思ったけど奴の口から出てきた言葉は
私の耳を傾けさせるのには十分すぎる内容だった。
「聖杯の汚染…アンタも把握しているんだろ?」
「…へぇ」
ただの恥知らずと思っていたけど察しはいいようね。
円蔵山の地下空洞には大聖杯が存在する。
だから私はここを拠点にして大聖杯の研究をしていた。
どういうわけか聖杯の中身自体はしっかりと入っている状態だからすぐに使える。
しかし、ひとつ大きな問題があった。
あの聖杯の中に入っている呪いは私の想定を遥かに上回っていた。
いや、聖杯を汚染している呪い自体は私の力で浄化できる。
だけどその呪いの化身が厄介だった。
奴の戦闘能力は第三次聖杯戦争をわずか四日で終わらせる程だ。
私とアサシンが束になって掛かってもあっという間に制圧されてしまうわ…。
「俺はその汚染を浄化するためにここへ来た」
「つまり、貴方はあのチート染みたサーヴァントに対抗する術があると?」
「ああ。だから俺がそのサーヴァントを抑えている間に聖杯の浄化をお願いしたい」
ふぅん…。
あの目は嘘を言っている目じゃないわね。
おそらく彼はあのサーヴァントと同じ時代の人間…つまりあのサーヴァントに対抗できる力を持っているわね。
最悪捨て駒にすればいいのだし。
でも、魔術は基本等価交換。
報酬はしっかりと貰わなければならないわね。
「…で、もちろん報酬はあるんでしょうね?」
「アンタが浄化した聖杯そのものだ。材料が必要なら俺が用意する。これでいいか?」
「………は?」
このサーヴァント…さっきなんて言った…?
報酬が聖杯?
このサーヴァントは何を考えている…?
こいつは聖杯が欲しくないというの?
聖杯戦争は元々聖杯を求める英霊が集まるはずなのに…。
「………つまり聖杯の浄化以外にも依頼があるのね?」
「………ああ。アンタが聖杯を使った後にここの地下にある大聖杯を解体してほしい」
「………なるほど。ようやく貴方の正体がわかったわ」
「そうか。それで…引き受けてくれるか?」
なるほど。彼の正体が見えてきたわね…。
彼はアーチャーのサーヴァントらしいけどその正体は滅亡の危機から世界を守る存在…。
つまり、世界の抑止力【カウンターガーディアン】ね。
自身の意思を持って行動しているようだけどおそらくなんらかの原因で誤作動を起こしたのでしょう。
でも、彼が抑止力なのだとしたら世界を滅ぼす要因であるあのサーヴァントに対抗できるのも納得がいくわ。
ただ、一つだけ聞いておくことがあるわね。
「なぜ聖杯を報酬にしたのかしら?」
そう、この一点に尽きる。
他に聖杯を求めるサーヴァントが多い上にこのサーヴァントが同盟を結んでいるセイバーも聖杯を欲している。
なのに、このサーヴァントは同盟相手であるセイバーよりも私に聖杯を譲ると言った。
その理由がわからない。
さて、このサーヴァントはなんて答えるのかしら?
「そうだな…アンタに幸せになってほしいから…と言えばいいか?」
「は?」
「情報を集めるのは戦争の基本だからな。アンタのことも色々と調べさせてもらった
アンタ。好きになった人がいるんだろ?そして、聖杯への願いは身体の受肉」
「え?」
「好きな人と一緒に暮らしたいという願いを持っている奴を斬ることはできないからな」
「な、な、な、なっ!!!?(カァ~ッ」
「あ~…なんというかアンタは結構有名らしくてな。今時珍しいアツアツのカップルだって」
「~~~~~~~~~~~ッ!!!?」
「本当に幸せそうに笑っていると聞いたからおそらく受肉をしたいと憶測していたんだが
門で会ったアサシンからアンタの話を聞いて確信した」
「ククッ。なかなかに良い顔をしているではないか。魔女よ」
「ア~サ~シ~ン~~~~~ッ!!!!」
な、な、な、なっ!?
ななななななななななななななななな!!!!?
こいつは何を言っているのよ!?
それにこのことは誰にも話していないのになぜ私が宗一郎様と一緒に暮らしたいから
聖杯に受肉を願っているなんて知っているの!!?
あ、さっきアサシンの奴が笑った!?
この情報はあの優男が漏らしたものね!!?
後で覚えていなさいよ!!!!
「セイバーには悪いが過去の塗り替えは世界の滅亡に直結するから却下だ。
俺は聖杯に掛ける願いなどないし寧ろ機能を停止するために召喚されたから除外。
ランサーやここに居るアサシンの願いは強者と戦いたいと言う願いだから除外。
ライダーもマスターを守りたいと思っているだけで聖杯には興味が無いから除外。
バーサーカーは…アインツベルンが碌でもない奴らだから除外。
つまり聖杯の中にある莫大な魔力を使う願いの中でまともな願望を持っているのがアンタだけだったんだよ」
「………聖杯の機能を使わせる理由は聖杯の中に貯まりに貯まった魔力を使わせるためね」
「ああ。最低でも70年…最悪200年分の魔力がまともに使われずに今も聖杯の中へ注がれているんだ。
そろそろなんらかの形で魔力を使わなければ聖杯から魔力が溢れ出して
魔力が汚染されていなかったとしても10年前とは比較にならない大災害を引き起こしてしまう」
「…いいわ。その依頼、引き受けましょう」
「………感謝する」
碌な願いを持ったサーヴァントがいなかったから私を選んだわけね。
それにしても最大200年分まで貯まった冬木市の魔力…。
ここは魔力の集まりが凄く良い場所だから聖杯の許容量に限界がきているのね。
だから、受肉を願った私に白羽の矢が立った。
身体の受肉には莫大な魔力を使う。
なるほど、貯まった魔力を減らすにはちょうど良いってわけね。
そして、私が受肉を完了した後にここの地下にある聖杯の根源を解体することで聖杯戦争を終わらせるわけね。
ならば、私に拒否をする理由はない。
聖杯の解体…久々に魔女としての腕が鳴るわね!!
◆ Side アーチャー
冬木市 円蔵山 地下空洞【大聖杯の間】
「ここが…大聖杯か…」
マスターには内緒でキャスター陣営と同盟を結んだ俺はキャスターとアサシン、
そしてキャスターのマスターである宗一郎さんと共に大聖杯がある円蔵山の地下空洞【龍洞】に侵入していた。
まず、アサシンに同行してもらったのはもし俺が“彼”と戦闘になった時に
浄化作業を進めるキャスターを守る戦力が欲しかったためだ。
本来は柳洞寺の山門がアサシンのマスターらしいが今回はアサシンを連れてくるために
一時的にキャスターを代理のマスターすることで同行できるようになった。
キャスターのマスターに同行してもらっている理由は彼の戦闘能力が
並みのサーヴァントを遥かに凌駕する戦闘能力を持っているからだ。
だから彼もキャスターの護衛として同行してもらっている。
「ええ、そうよ。たぶんあいつは…居たわね」
キャスターの案内で地下空洞の最深部に辿りつくと“彼”が俺達を待ち構えていた。
“彼”は俺達に攻撃をする素振りを見せず、ただ、俺達の前に立っているだけだ。
おそらく戦闘をしかけるつもりはないのだろう。
それに“彼”は答えが欲しければ来いと言っていた。
そして、何かを託すということも。
「………キャスターは浄化作業を始めてくれ。俺は彼と接触してみる」
「ええ、わかったわ」
「アサシンと宗一郎さんはキャスターの護衛を頼む」
「あいわかった。アーチャー」
「わかった」
手筈通りに俺が彼と接触し、その間にキャスターが浄化作業を行い、
アサシンと宗一郎さんの二人がキャスターを護衛する。
それに“彼”には色々と話がしたいと思っている。
彼が俺に何を託そうとしているのか。
その答えを聞くために俺は“彼”の許へ歩いていった。
「あらためて…初めましてと言うべきかな?アーチャー。いや、守護者アスカ」
「ああ。【復讐者】のクラスとして呼ばれているアンタと会うのは初めてだな」
守護者…か…。
俺は確かに守護者としてあの世界と契約したが守護者として呼ばれたことは片手で数えられるほどだ。
あのクソ神達お気に入りの守護者達の“後始末”の数なら嫌というほどしてきた。
ただ暴れるだけ暴れて消え去っていく。
その後のことなんかまったく考えていない。
しかも何のいやがらせかしっかりと自我がある状態で呼び出している。
まあ、その代わりに救える人々がいるからある意味幸運なことだがな。
っと、今は目の前にいる“彼”と話している。
こんなどでもいいことを考えている場合じゃないな。
「そうだな。あろうことか異世界の反英雄に手を出すとはアインツベルンも愚かな奴らだ」
「まったくだ。そのせいで色々と手間が増えてしまった」
その狂気で世界を滅ぼしかけた“彼”を召喚しようものなら無色の願望機だった聖杯が
全てを破壊という行動を用いて願いを叶えようとする欠陥品に成り下がってしまう。
それでは聖杯を手に入れたところで自滅するのがオチだ。
そんなことすら思いつかないとは
バーサーカーのことといい、“彼”のことといい…。
本当に今のアインツベルンのトップは救いようのない愚かな奴だ。
正直そろそろ抑止力が奴に目をつけそうだと思っている。
いや、この聖杯戦争が終わったらすぐにアインツベルン討伐の為に俺が再び召喚されるだろうな。
「後ろで何かしているキャスターは浄化の為にここへ来たのだろう?」
「そうだ。でもアンタは作業を止めるつもりがないんだろ?」
「君が聖杯を使用することを許可した者なら別に聖杯を使わせてももんだいはあるまい」
「…俺に託すものの一つは聖杯のことだったのか?」
「その通りだ。察しが良くて助かる。それともう一つ頼みたいことがある」
どうやら“彼”もキャスターが来ている理由を察したのだろう。
どうやら彼女の行動を泊める気は無いらしい。
これで不安要素の一つであった“彼”との戦闘を避けることができそうだ。
だが、もうひとつ俺に頼みたいことがあるらしい。
「…彼女を保護してほしい」
「っ!」
彼が一旦闇の中に姿を消して再び現れると彼の腕の中には一人の女性が抱きかかえられていた。
“彼”のもう一つの頼みは彼に抱きかかえられているこの女性を保護してほしいということか。
…おそらく“彼”と契約したマスターなのだろう。
だが、この女性の正体は流石に俺の予想を超えた人物だった。
「彼女はランサーのマスター“だった”女性だ」
「ランサーの?」
ランサー…。
セイバーが眠っている間に俺が情報の収集をしていた時に遭遇した赤い槍の使い手…
マスターを失って魔力の供給が無くなったために現界するのが手一杯になっていた。
彼女がランサーのマスターだったのか…。
何故マスターが奪われたのかは聞かないでおこう。
どうせ彼女からランサーを奪った奴は既に死んでいるからな。
「…どうやら浄化作業が終わったらしい。神代の魔術師は伊達ではないということか」
淀んでいたこの場所の空気が澄んでいく…。
おそらくキャスターの浄化作業が完了したのだろう。
流石神代の魔術師ということか。
俺と同じく浄化作業が終わったことを感知した彼は仮面で行状こそ見えないけど、どこか安心した声だった。
“彼”の身体が少しずつ光の粒子となって消えていく。
「アンタはこのまま消えるのか?」
「ああ。まさか私が人助けをするとは思わなかったが存外わるくなかった」
「そうか…」
どうやらこのまま消えていくことを受け入れているみたいだ。
俺に託された女性を見ながら“彼”はどこか自嘲気な笑みを浮かべつつもどこか満足気だった。
おそらく生前、無縁であった人助けを死んだ後にしたことで感慨にふけっているのだろう。
俺の居たあの世界では恐怖の化身だのこの世の全ての悪だの言われているが“彼”もまた人間だった。
「消える前に君へ伝えておくことがあってね」
「伝えるべきこと…?」
どうやらまだ言い残したことがあったらしい。
ならば彼の最期に立ちあう者として“彼”の最後の言葉を聞いておく義務がある。
「そう遠くない未来に世界を大きく塗り替える出来事が起こる」
世界を塗り替える?
今からそう遠くない未来に一体何が起こるっていうんだ?
だが、“彼”は“アヴェンジャー”のクラスのサーヴァント。
世界の悪意には非常に敏感だ。
そういった輩の思考は嫌でも頭の中に入ってくるのだろう。
「気をつけたまえ。何せその原因となる者達は私や私の弟を生み出した者達よりも
遥かに邪悪で醜く、強大で愚かで救いようのない欲望の化身ばかりだからな」
俺の親友と“彼”を生み出した者達や俺達が滅ぼしたロゴスよりもタチが悪い連中か…。
まったく、どこの世界にもそんな奴等が居るものなんだな。
つまり俺はアインツベルン討伐以外にも召喚されることが確定しているということか…。
なるほど、俺が聖杯戦争に参加させられた理由が見えてきた。
つまり俺は彼が言っている
“世界を塗り替えるもの”を排除する前に英霊アスカのスペックをテストするためのものだったのか。
いいじゃないか。
俺はそう言った奴等から人々を守るために剣を取ったんだ。
ならば俺は戦うだけさ。
なら、答えは一つだ。
「…わかった。そいつ等は俺が潰す。だからアンタは安心して眠ってくれ」
「ああ、安心した…(サァァァァァァ」
俺の答えを聞いた“彼”…ラウ・ル・クルーゼは仮面を外し、安心した表情で光の粒子となってこの世を去った。
その顔はやはり、俺の親友の顔と似ていた…。
残ったのは対話を終えた俺と浄化作業が終わって倒れたキャスターを抱きかかえる宗一郎さんと
周囲の警戒を続けているアサシン、そして、俺に抱きかかえられたまま眠っているランサーのマスターだった。
「浄化は無事に済んだみたいだな」
「…ええ。だけどあくまで浄化作業が終わっただけよ」
「無理をするな。キャスター」
「今日は一旦解散しよう」
「あいわかった」
「じゃあ俺は…」
「…待ちなさい」
流石にこれだけ大規模な魔術礼装の浄化を行うのはキャスターでも骨が折れたようだ。
今日はこれ以上作業を進めるのは無理だろう。
いや、今日中に終わっただけでも大きな収穫だ。
後は明日以降に回した方がいい。
無理をして失敗してしまったら目も当てられないからな。
それにもう三日もマスターの許から離れている。
一旦戻った方がいいだろうな。
そう思ってこの地下空洞から出ようとしたらキャスターが呼びとめてきた。
「アーチャー。よかったらこれを持って行きなさい」
「これは…アンタの宝具じゃないか」
「今の私にはもう必要ない物よ。その剣の真名を言えば貴方でも使えるようにしてあるわ」
「…わかった。この剣はありがたく受け取らせてもらう」
「また、貴方の力が必要になったら呼ばせてもらうわ」
「ああ」
…まさか彼女の宝具を譲り受けることになるなんてな。
これは対バーサーカー戦での切り札になりうる短剣だ。
バーサーカー自身には通用しなくてもマスターであるあの少女には通用するだろう。
ありがたく貰っていくことにしよう。
そのまま俺はキャスターたちと別れて龍洞寺を後にした。
さて、彼女の保護に関する言い訳を考えておかないとな…。
【悲報】うっかりは桜にもしっかり受け継がれているようです。
どうも、明日香です。
今回はキャスターとの同盟締結(無許可)、アヴェンジャーとの対面、バゼットの保護、聖杯の浄化という内容になりました。
ちなみにバゼットは原作とは違う方法でランサーを奪われているため左腕が切られていたりはしていません(詳しくはおまけをどうぞ)。
はい。お察しの通りアヴァンジャーとして第三次聖杯戦争に召喚されていたのはクルーゼでした(笑)。
そしてこのクルーゼですが原作のアヴェンジャーと違って化け物じみた強さを誇ります。
プロヴィネンスの能力をまるっと人間サイズに凝縮した状態といっても過言ではなく、第三次聖杯戦争はこの能力をフルに使って他のサーヴァント達を蹴散らしていました。
もっとも、アインツベルンとはまったくソリが合わなかったために最後の最後で裏切って第三次聖杯戦争を台無しにした張本人でもあります。
ちなみに第五次聖杯戦争で彼が暴れていたらこちらも四日ほどで敵を殲滅する事ができるでしょう。
彼に勝てる見込みのあるサーヴァントはギルガメッシュ(not慢心モード)だけです(それ以外は泥に取り込まれてゲームオーバー。アヴァロン装備セイバーもずっと引き籠っていないとすぐに取り込まれる)。
そろそろこの物語も終わりが迫ってきました。
おまけ~綺礼のランサー強奪風景~
「ふむ。君がランサーのマスターとして聖杯戦争に参加するのか」
「はい。よろしくお願いします」
「そうだ。ちょうど私の行きつけの店があってね。そこで食事をしよう」
「分かりました」
↓
「これが貴方のオススメである泰山のマーボー豆腐ですか」
「ああ。私の奢りだ。気にせず食すが良い」
「はい。いただきます…こ、これは…ガハァッ!!?(バタ」
↓
「ふむ。死ぬほどうまかったのか。まあいい、手間が省けた」
「おいバゼット!何があった!!?」
「ちょうどいい。貴様を手駒にさせてもらうか」(令呪で無理やり従わせる)
「な、なにをするきさまーっ!!!?」
結果
綺礼がランサーを奪うために使ったもの
令呪一画
泰山の激辛マーボー一食分