西住みほの舎弟が往く!ーたとえ世界が変わっても貴女についていくー   作:西住会会長クロッキー

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ご覧いただきありがとうございます。
なんとなくゲオから借りて来た北野武監督のアウトレイジシリーズを見たことやリア友が僕の横で龍が如くをやっている様子を見たことがきっかけで、『もし、みぽりんに舎弟がいたら?』という発想で書いてみました。
引き続きお楽しみください!


第一話 舎弟との再会です!

西住みほには、少女のような見た目をした舎弟がいた。彼とは『強襲戦車競技(タンカスロン)』で出会い、交流を重ねていくうちに仲良くなり。

いつしかその少年は、彼女を「みほ姉貴」と呼んで慕うようになったのである。

みほが黒森峰女学園の中等部に入ってからは数えるくらいしか会わなくなった。それが続くうちに四年近く経とうとしたある日、再び以前のように仲良く過ごす日々がやって来ようとしていた。

 

「やっぱりケーキはイチゴショートがいいなぁ……」

 

黒森峰女学園から大洗学園に転校してきた彼女は、自身が借りているマンションの自室で夢の世界を楽しんでいた。そんな夢の中の世界は長く続かず、目覚まし時計が放つ電子音を基調としたアラームによって一気に現実に引き戻される。

 

「ん……っ……ふぇっ?!」

 

彼女は一度ベッドから被っていた布団と大好きなボコのぬいぐるみごと転げ落ち、部屋中にこだまするアラーム音の発生源である目覚まし時計を止めたと思いきや、テンポよくパジャマを脱ぎ捨てる。

だが、ここで一瞬手を止めるのであった。

 

「そっか。もう家じゃないんだっ!!」

 

みほはもう一人でいるということを思い出して満面の笑みを浮かべながらそう言った。すると、今度は自分の部屋のインターホンが部屋中に響いた。

 

「ん?誰だろう」

 

彼女は脱ぎかけていた上着を着直して玄関の扉を開けると、そこには大洗学園の制服を身に纏いサングラスを掛けた黒髪の少女のような少年が立っていた。

彼はみほの姿を見ると、同級生であるにもかかわらず両手を膝につけて深く頭を下げて謙虚な態度をとった。

 

「おはようございます!みほ姉貴、お迎えに上がりましたっ!!」

 

「せ、誠也君っ?!」

 

みほは、転校してから一緒に登校すると約束していた親友であり舎弟である『大友誠也(おおともせいや)』が自ら迎えに来てくれたことに驚いていたが。同時に彼女の中にある嬉しさのパラメーターが上昇する。

対する大友は自身の家族を慕っているような目で彼女を見つめていた。

 

「おっと。着替えが済んでないのに失礼しました。着替えが終わるまでここで待たせてもらいます」

 

「ありがとう。色々準備するから待っててね」

 

彼女はこの事をすっかり忘れていたのか。自分の部屋に戻ってテキパキと制服に着替えてから他の出発準備をし、小走りで再び玄関に向かって靴に履き替えて共有部の壁にもたれかかって待っていた大友の腕に抱きつく。

 

「みほ姉貴、いきなりそんな……びっくりしますよ……」

 

「いいじゃない。それに、君はそのままの方がかわいいんだからサングラスは没収!」

 

「へへっ。みほ姉貴がそこまで言うんならやめときますよ。子分を待たせていますんで、話は車の中でしましょう」

 

彼は参ったと言わんばかりにみほから返してもらったサングラスをブレザーの胸ポケットに仕舞うと、彼女を連れてマンションから出る。

 

『ご無沙汰しておりますっ!みほ姐さん!!」

 

出てすぐのところに後部の窓をスモークフィルムで覆った黒色の国産高級車が停まっており、その前にいた三人の一年生と思われる少年はみほを視界に入れると、先程の大友のように膝に両手をついて元気よく挨拶をする。

 

「わぁ……久しぶりだねっ!『水野桔平(みずのきっぺい)』君、『木村英雄(きむらひでお)』君、『安倍雄飛(あべゆうひ)』君。入学おめでとうっ!」

 

『お祝いの言葉をいただき、感謝いたしますっ!!』

 

みほは、舎弟の後輩たちとも再会したことが嬉しくて仕方がなかった。彼ら三人ともタンカスロンで出会い、共に楽しい日々を送った仲であった。

 

「桔平、他の若いのは?」

 

「会長、他の子達ならもう学校についています。俺らも行くとしますか」

 

「そうだな。みほ姉貴、行きましょうか」

 

「うん。車で登校なんていつぶりだろう」

 

水野は車の後部ドアを開けると、みほと大友を先に入れる。二人が乗ると、他の三人も乗り込んで車を発進させる。

みほは、車窓から見える景色を高速バスか新幹線に乗って初めて遠くに行く園児のように楽しく見つめている。

調理服を身に纏った男性がパンを丁寧に焼き上げていたり、同じ学校の女子生徒が楽し気にコンビニエンスストアの入って行ったり。ありふれた日常で溢れた光景に彼女は釘付けになっていた。

 

「そういや、黒森峰女学園や他の学校にはコンビニとか無かった気がしますが。みほ姉貴からすれば学園艦の中で営業されているコンビニは珍しいのですか?」

 

「うん。小さい頃から一度コンビニに行ったら三十分くらい居るくらい。行く機会が無かったから珍しいんだ」

 

「そうなんすか?逆に俺は中学まで飯を買うのもコンビニ、生活用品を買うのもコンビニっていう生活でした」

 

大友とみほは、コンビニに関する雑談で盛り上がっていたが。そんなやり取りをしているうちに車が学校へ入ろうとしていた。

 

「確かみほ姉貴はA組でしたよね。そこまでお送りしますよ」

 

「ありがとう……転校して初日だったからすごく安心するかも」

 

学校へと着き、駐車場に入るとそこにはもう二台の黒色の高級車が停まっており、その前で一年生の生徒達が直立不動の姿勢で待っていた。

 

「あんなに沢山お友達が……それにみんな可愛いね!」

 

「ええ。あそこにいるうちの衆は皆、俺が率いる大友連合会の直参の親分集です。全員、俺や桔平達みたいにタンカスロンから来た子達です。

 

そんな会話を交えながら二人が車から降りると、その前にいた生徒たちは「ご苦労様です」の一言と共に二人に対して深く頭を下げる。

 

「おう。わざわざ待ってくれてありがとうな。俺はみほ姉貴を教室まで送るから。みんなは解散でいいぞ。桔平、英雄、雄飛。三人も教室へ行きな」

 

「ありがとうございます。親分、俺らは先に行かせてもらいますね」

 

水野といった一年生衆はもう一度、みほと大友の二人に頭を下げるとそのまま解散して一年生の教室に向かって行くのであった。

 

「ええっ!!みんな誠也君の子分さんで戦車チームの親分さんなの?!」

 

「ええ、皆んなタンカスロンをやってるうちに気づいたら集まっていましたね」

 

「そうなんだ。さっきから気になってたんだけど、誠也君の名字が入った大友連合会って何なの?」

 

「うちの組ですか?組といっても昔いたヤクザとか戦車暴走族とか。そんなのじゃないんで安心してください」

 

大友連合会とは、組員は彼と各親分集を含めると一八九〇人ほどのタンカスロンチームだ。

組員の一人一人は幼少期から大友のように戦車に乗り。タンカスロンに従事してきた者達だった。

また、それこそ本職の組が付く人たちのように高級車を所有していたりするのは、タンカスロンに関連する賞金が出る大会に参加してそこそこの額の賞金を得るまたは、現実世界でいうところのFXのようなもので莫大な利益を確保して貯めこんでいるからであった。

なので、この組織は戦車道に関連するものでその気になればいつでも手が出る実力を有しているのも確かだ。

因みに前身は構成数三百人くらいの大友組という名称で。大友や水野、木村、安倍を除く構成員は大洗学園の学園艦で生まれ育った者が大半のため。会長である彼が大洗学園に入学してから今ここにいる少年達が参加に入った後、現在の大友連合会に改称した。

また、学園艦外の陸上の学校に通う構成員が持つ傘下組織や別の学園艦に拠点を出している傘下組織も存在する。

 

「教室に着きましたね。みほ姉貴、お昼休みの時にまた迎えに来ますんで。一緒にお昼でもどうですか?」

 

「ありがとう誠也君。また後でね」

 

大友はみほと一旦別れると、自分の教室へと向かって行くのであった。そんな中、彼はボソッと一言を放つ。

 

「みほ姉貴も少し変わったかな?……そろそろこの空気に慣れないとな」

 

彼が言い放った言葉の意味を表すかのように、廊下にいた女子生徒の一部は物珍しい目と彼を可愛いらしいと感じる目で見つめていた。

無理もない。この世界は現実と異なって男女平等パンチが通じる上、男女の性欲だけが逆転した世界である。

簡単に説明するなら。女性が現実より強い傾向にあり。痴漢行為ならぬ痴女行為、レンタルビデオ店においてはガタイの良い男性ばかりが映った成人向け映像作品、男子生徒が女子生徒からセクハラを受ける。といった感じだ。

彼も容姿がショタや男の娘と呼ばれる分類にあたるため、今までに女性からのスキンシップ的な意味で散々な目に遭ったこともある。

大洗学園では無かったものの、様々な学校に戦車道の交流会などで訪れた際、一部の隊長または”後の隊長になる人物達”から色んな意味で襲われかけたことが何度かあった。

さらには、両親や祖父母を早くに亡くした独り身である彼に目をつけた”ある流派”の家元にも家族と同等な意味で愛されていたりする。

 




ご覧いただきありがとうございました!
以下、オリ主の設定です↓
名前:大友誠也(おおともせいや)
年齢:17歳
誕生日:4月2日
搭乗戦車:E-25
チーム名:イタチさんチーム
容姿:『やはり俺の青春ラブコメはまちがっている。』に登場する戸塚彩加をそのまま黒髪で目の色を濃褐色にした感じの容姿
身長:148cm

元々はタンカスロンの戦車乗りで水野や木村、安倍といった三人の子分を率いて武闘派として名を轟かせていたが、ある時にみほと出会い。みほからの戦車道指導を受けている最中に彼女に感銘を受け。
また、現在は茨城を拠点に大友連合会というローカル男子戦車道チームを率いている。

以下大友連合会の組織図
構成員:1890人
傘下組織一覧

大友連合会メンバー
会長:大友誠也
↓子分
若頭:水野桔平(誠竜会会長)

本部長:小山秀人(小山組組長)

若頭補佐(三名)
木村英雄(木村組組長)
安倍雄飛(安倍総業組長)
近藤慎司(近藤連合会長)

幹部
岡崎聡(岡崎組組長)
上田誠己(上田組組長)
伊達正義(伊達正組組長)
本宮蓮司(本宮組組長)
藤田進(藤田会会長)
小野浩樹(小野興業組長)
瀬島康介(瀬島組組長)
嶋健太(嶋健会会長)
塚原丈治(塚原組組長)

↓舎弟(第十八話から登場)
舎弟頭・村川武(村川組組長)
舎弟頭補佐・山本諒介(山本組組長)
舎弟頭補佐・我妻清弘(清心会会長)

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