西住みほの舎弟が往く!ーたとえ世界が変わっても貴女についていくー   作:西住会会長クロッキー

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第十三話 白熱、サンダース戦です!

ついにこの日が来たんだとばかりに大洗学園戦車道履修者の面々は士気が高まっていた。

その試合が始まるまでの待機時間、サンダース大付属高校側が用意した出店で大洗学園一行は暇を持て余していた。美容室や様々なファストフード店といった出店だけでも一つの商店街ができるんじゃないかという勢いであった。

出店もアメリカの影響を受けたのだろう。ハンバーガーやフライドチキンといった食べ物も完全に向こうのサイズであった。

 

「救護車のほか小規模なシャワー店やヘアサロン店といったものまでありますよ」

 

「本当にリッチな学校なんですね」

 

大友とあんこうチーム一行はサンダース側が出した店舗の量に圧倒されていた。すると、ケイがナオミやアリサ、浜崎を連れて大洗学園一行のもとへ向かって来た。

 

「へいっ!アンジー!」

 

「角谷杏だからアンジーなのね」

 

「何かなれなれしいな」

 

「やぁやぁ。ケイお招きどうも」

 

「何でも好きなもの食べていってね。OK?」

 

「OKだよ。おケイだけにっ!」

 

杏がサンダース大付属高校側の隊長であるケイと冗談を交えながら挨拶を交わしている。

次にケイと後ろにいた浜崎は優花里や大友に目を向けるとそのまま二人の方へ歩いて行った。

 

「へいっ!優花里、誠也!」

 

「「どうも。ケイさん!」」

 

「この前は楽しかった?うちの良いところを知ってくれて嬉しかったわ!」

 

「はい!こちらこそ楽しかったです!浜崎殿、この前はありがとうございます!」

 

「礼には及ばねえよ。来るものは歓迎する。それが俺が率いる浜崎一家の流儀だ」

 

「優花里、またいつだってうちに遊びに来て。うちはオープンだからねっ!それと……」

 

優花里と浜崎が話をしている傍ら。ケイがフレンドリーな態度で彼女に一言告げると大友の前に行き、満面の笑みで彼をそのまま抱きしめる。

大友は、相変わらずこういったスキンシップに対する予想が出来ないのだろう。特に抵抗することなくそのままされるがままの状態になる。

 

「ケ、ケイさん……ちょっとキツいです。それに、そこは……」

 

「聞こえないわ。マイキュートボーイ♪」

 

丁度上半身の”柔らかい部分”が彼の顔を覆いかぶさっており。彼は蚊の羽音のような声で彼女に対してそう言うが、ケイは揶揄うように更に強く抱きしめる。

今更ながらケイと大友との接点は、これも一年前に遡り。サンダース大附属高校の学園艦を使用したタンカスロンで大友組対浜崎一家の試合後に当時の隊長だったメグミとケイと数日を経て親しくなったからだった。

彼女はとにかく。メグミがサンダースの戦力増強と彼を自分のものにするために大友と一対一で勝負した際には、見届け人となっていたものの。ケイも大友の事が可愛くてしょうがないため。久々の再会の嬉しさのあまりこうするのであった。

彼女が大友を放したころには、彼の頭から今にも白煙が上がって来そうな感じで照れくさそうにしていた。

そんなやり取りの後にいよいよ試合が始まったのである。

 

 

 

 

サンダース大付属高校戦車道チーム副隊長、アリサは無線傍受をしながらチームに指示を行おうとしていた。

彼女がなぜ、そんな手段に出たのかというと試合に勝利してチームメンバーの一人である浜崎を振り向かせようとしていたからだ。

アリサは、浜崎とは幼馴染という間柄で幼少期から共に戦車道をやっていた仲だった。中学校に入る直前で浜崎は江城連合会に移り、そのうえ幹部となったのだ。

一時期彼とは少し疎遠になり。サンダース大付属高校の戦車道チームによる戦車道男子引き抜きで一緒になった。

再会した浜崎は中学校に入る直前の彼ではなく。

その時あった可愛らしさを残しておらず、同じ高校二年生でありながら貫禄がついており。

男女関係なく誰とでも仲良く接するような人物になっていたのだ。しかし、彼は誰とでも仲良くすることや戦車道に没頭していたのだろう。

浜崎は恋愛感情なるものは持っておらず、アリサの想いに気づかずにいた。

そうして彼女は、何かデカいことをして彼を振り向かせようと無線傍受を利用したうえでの勝利を思いついたのであった。

だが、通信を傍受しようとしたところ。傍受機が機能しなくなっていたのである。不審に思った彼女が焦りながら周波数を合わせようとしていると、自身の携帯電話のチャットアプリに通知が届く。

 

「崇からだ……もしかしてバレちゃったわけ……」

 

彼女の思い人、浜崎崇からのメッセージからは以下のようなものであった。

 

ーアリサ、何で通信傍受なんてマネをしようと思ったんだ?戦車道は戦争とは違って勝てばいいってもんじゃない。

スポーツなんだからそんなことをしてしまったら、俺達の隊長が大事にしているスポーツマンシップの精神と筋が通らないだろうが。

ケイ隊長には内緒にしておくから頭を冷やせ。何か嫌なことや些細なことがあればいつも相談しろと言ってるだろう。

試合が終わってからでいい、怒らないでおくからそんなマネをした理由を教えてくれー

 

「車長、どうかされましたか?」

 

「別に、何でもないわよ。さぁ、偵察に行くわよ(崇に嫌われちゃったかな?)」

 

搭乗員からの心配に答えつつ、いつも通り指示を出す。だが今、彼女の内心を支配していたのは彼に嫌われたかいないかの心配であった。

浜崎に謝罪のメッセージを送ると今回もチームに貢献すべく。自身が搭乗するM5A1ともう一輌のM5と共に偵察へと赴くのであった。

 

「親父、アリサさんの説得は出来たのですか?」

 

「ああ、一応できたようだ。さて、俺達も動くか。フラッグ車以外の戦車は見つけ次第撃破して追い詰めていく。それから一気に料理するか」

 

彼も隣の戦車に搭乗している組員と話をしながらフィールドの内の森林帯を走り抜けていく。噂をすればというやつだろうか森林帯を抜けようと瞬間、ウサギのエンブレムが描かれたM3Leeやイタチのエンブレムが描かれたE-25、アリクイのエンブレムが描かれた三式中戦車とすれ違った。

 

「さぁ、一仕事だ。お前ら」

 

『へいっ!』

 

浜崎が組員にそう呼びかけながらUターンをして三輌の後を追いかける。M18は自慢の速度を活かして早くも三輌に追いつき、組員のM4A1と共にM3Leeに向けて執拗な砲撃を浴びせる。

さらにタイミングよく、反対側の出口で警戒していたもう二輌の味方のM4A1が包囲殲滅を図るつもりで増援にやって来たのであった。

 

「うちの隊長が考えた火力優勢ドクトリンをご賞味するんだなぁ!」

 

彼がハッチから身を乗り出しながら甲高い声でそう言うが、急加速したE-25が二輌のM4の間に割り込んで急停止し、その二輌も急停止してE-25を撃破しようと一輌に対して砲塔を一斉に向けるが、これをチャンスとばかりに三式中戦車とM3Leeが二輌のM4に向けて砲撃を浴びせて撃破する。

その直前に数百メートル離れていた浜崎達も急停止して砲撃を加えるが、E-25の撃破に間に合わず。撃破された味方戦車の車体に死体撃ちするという形になってしまった。

 

「ちっ。さすが仲間のためなら自分の犠牲も構いやしない武闘派だな。もう少しタイミングが早けりゃ撃破してやったのに……つくづくあん人は俺を楽しませてくれるな。大友の兄貴よ」

 

彼は大友を見失った方向に向かってそう言いながら再び偵察狩りに出向くのであった。

これによって早くもサンダース大付属高校側は二輌の戦車を喪失することになった。

 

 

 

 

何とか浜崎による迫撃を振り切ったうえ、序盤で二輌も撃破することが出来た大友達は隊長のみほと合流して次の行動に打って出ようとしていた。

意外にも序盤でみほの作戦が功を奏して各チームの士気が高まっており、今にも駆け出しそうな勢いだったが、桃が浮かれかけていたメンバーを何とか押さえ込んで彼女に指示を求めた。

 

「西住、見事な作戦だぞ。次はどういく?」

 

「そうですね。しかし、相手には三輌の高火力な戦車や優秀な砲手がまだ残っているため。油断は禁物です。せめて、囮が居ればいいのですが……」

 

「それならあたいらに任せな!間抜けのフリをして敵を引きつけるよ」

 

「お銀、行ってくれるのか?」

 

「ええ、桃さんやチームのためなら間抜けのマネは出来ますよ。囮は任せてください!」

 

「それでは、お銀さん達に囮役をお任せします」

 

お銀はみほや桃に対してそう言いながら右手に持った小さいリモコンのスイッチを押すと、MK.Ⅳ戦車の車体上部から十メートル近くある鉄棒が起き上がり。

車内からカトラスが出てくると、そのまま漆黒にはためく髑髏の旗を掲げるのであった。

 

「陸の海賊船だ~」

 

「ゴー〇イジャーみたいでカッコいい~」

 

「よっ!お銀姐さん」

 

「あんた達も良さが分かってくれたんだ」

 

「うほっ。あたいらの妹分にでもなるかい?」

 

「まぁ、その前に試練としてあたしらと一緒に砲弾という名の魚の餌になろうじゃないの!!」

 

『がお~っ!!』

 

『ひえ~っ!!』

 

ウサギさんチームのあやや桂利奈、あゆみの三人はサメさんチームのムラカミやラム、フリントの三人といつものやり取りをしていたが、どこか微笑ましいやり取りだった。

みほはチーム内が微笑ましい空気に包まれている様子を見てどこか安心するのであった。

 

「それでは、”うわっ騙された作戦”を開始します!」

 

『了解!!』

 

こうして、サメさんチームの面々が囮役を買って出たことによって次の作戦が進行しようとしていたのだった。

この作戦は仕組みこそ単純かつ安直なものであったが、敢えて愚かなフリをして油断した相手を一網打尽にするというものだった。

 

 

 

 

一方偵察に出回っていたアリサが率いる二輌のM5A1は竹林の中で暇を持て余していた。浜崎と大友達が交戦してから最後に、敵戦車が見つかった報告は無く。

偵察役なのでだだっ広い平野を我が物顔で走ろうものなら真っ先に撃破されかねない。また、序盤で二輌も撃破されたこともあり。彼女は焦燥感に駆られていた。

 

「何で見つからないわけ?こんなに探し回っているのに見つからないなんて……」

 

「っ?!アリサ副隊長、黒色の髑髏の旗が……」

 

「敵は馬鹿ね……そんな時代遅れの囮作戦に引っかかるわけないじゃない。今楽にしてあげるわ!隊長、Dの二〇四丘陵にてたった一輌で囮役をやっている戦車を発見しました。車種は不明ですが、仕留めてみます!あんた達行くわよ!」

 

『了解!』

 

そのまま黒い旗の持ち主たる戦車を撃破しようと二輌で竹林帯を横断したうえでの強襲を試みようとする。それまで道に沿って移動していたのだが、竹林帯出口付近にある柵が突然崩れてそこからルノーB1bisと八九式中戦車が姿を現す。

敵の車長の様子から見て、向こうもたまたま柵を破って来たらあなた達が先に居たんだという感じの表情であった。

それぞれの二輌は数秒間お互いを見つめ合ったあと、アリサが率いる二輌はその場から逃げようとするが、B1bisによって一輌撃破される。それから戦車による壮絶な追跡劇の幕が上がった。

八九式中戦車とB1bisより速度が圧倒的に優れたM5A1といえど、距離が離せないでいた。八九式に関しては車体が軽いこともあってか距離を詰めつつある。

 

「とりあえずそのまま真っ直ぐに逃げなさい!隙があればどこか路肩の林に逃げ込みなさい!」

 

アリサは反撃よりも生存を考えて逃走を優先することにした。今いる場所からそのまま真っ直ぐ進めば開けた場所に出るのだが、そのまま待ち伏せされているかもしれない。

しかも、先程海賊旗の上がっていた場所へそのまま進んでいたにしろ何輌か待ち伏せしていたかもしれないのだ。結果として一輌に対して多数の戦車によって包囲殲滅される形となる。

 

「入れそうな隙間がないし、どうしよう……」

 

「車長!前方に三輌の敵車輌を確認!PティーガーにⅢ号突撃砲、M3Leeが近づいてきます!」

 

「もうおしまいよぉ!崇、ごめんなさい!」

 

早速その悪い予感が的中し、彼女と搭乗員たちの内心を諦めの感情が支配するが。開けた土地に出ようとした瞬間、出口付近の茂みから浜崎が乗るM18が飛び出してきてアリサのM5を追いかけていた二輌に向かって突っ込む勢いで駆け出した。これもあってか、突然現れた戦車に困惑した二輌はパニックとなり。

急停車してしまい、そのまま二発の砲弾がそれぞれの戦車に撃ち込まれる。

八九式に対してはオーバーキルと言うべきだろうか、撃ち込まれるとそのまま横転して白旗を出す。

B1bisも急いで車体を旋回するが、そのまま背面に砲弾が撃ち込まれて撃破されてしまう。

 

「た、崇?!」

 

「おらぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

アリサがキューポラから身を乗り出して喊声を上げる彼の顔を見たころには、M18が彼女のM5の前に出て盾代わりとなってポルシェティーガーに向かって砲撃を浴びせると同時に前方の三輌から砲弾を受けて撃破されるが。道連れと言わんばかりにポルシェティーガーも撃破していたのだった。

 

「アリサ!今のうちだ。逃げろっ!!」

 

「ありがとう!崇!!」

 

浜崎が息を切らしながらそう叫びつつ。どこか満足気な表情でアリサに向かって親指を立てる。彼女は左目から涙を流しながら彼に対して手を振りながら感謝する。

二人のやり取りに呆気を取られていたカバさんチームとウサギさんチームはその後を追いかけるのであった。

この時、大洗学園側とサンダース大付属高校側の戦車残存数は残り七輌と同数になっていたのだ。

 

 

 

しばらく経った頃、大洗学園側のメンバーが合流したところでサンダース大付属高校側のナオミが率いた四輌に発見され、今度は大洗学園側がサンダース大付属高校側に追われるという形になったのだ。

反撃に出たアリクイさんチームとサメさんチームが二輌撃破したものの、残ったファイアフライとM4A2の二輌によってそれぞれ撃破される。

また、みほ達が進んでいる道をそのまま行けば。平坦な道と稜線に分かれた場所へと出るのだが、今現在ケイが搭乗するM4E8率いる残り五輌とぶつかりかねないのだ。

 

「皆さん、このままだと挟み撃ちにされてしまいます。でも、諦めないでください!最後まで希望を持ってください!」

 

「諦めないと希望を持つことか……」

 

「こうなったらフラッグ車同士の対決に持ち込んでやる!」

 

大洗学園側のメンバーはここで行われる大規模な反撃によって心理的に追い詰められかけていたが、みほの一言によってチームはもとの士気を取り戻して持ち直し始めた。

 

「西住先輩、後方の鼻の長いのは私たちに任せてください!なので、イタチさんチームとカメさんチームと一緒にフラッグ車を狙ってください!」

 

「うん、ありがとう!やってみるね」

 

ウサギさんチームの梓が後方の守備を名乗り出たことにより、次の行動を考え始めた。ここで危険な賭けになるが、華がこの先にある丘で稜線射撃を敢行しようと思い立ったのだ。

 

「みほさん、必ず一発で仕留めて見せますわ。冷泉さんそのまま丘の上へ。上から狙ってみます」

 

「…………稜線射撃は危険だけど有利に立てる。賭けてみましょう」

 

「はいっ!」

 

「行くぞ」

 

麻子がそう言うと、Ⅳ号戦車はそのまま丘の方へ向かって走り出すのであった。

 

「よし、俺達も賭けに出るか。英雄、もう少し進んだらバックスピンターンだ。桔平、それからのM4撃破だ。それから姉貴に合流する」

 

「少し雑になるけどやってみるぜ兄貴」

 

「さて、ウサギさんたちには鼻が長い奴を食ってもらうか」

 

大友達もあんこうチームに同調するように動き始める。丘を登り出したⅣ号戦車の後を追いかけようとファイアフライの二輌も丘の方へと向かおうとするが、フラッグ車であるカメさんチームの少し前を走っていたE-25が突然バックし、M4A1に向かって正面を向けてスピンターンを決めて撃破する。

これを見たナオミがⅣ号戦車よりも先にE-25を叩こうとして走りながら砲塔をそっちに向けるが、隙を逃さなかったウサギさんチームのM3Leeが副砲で履帯を切断し、側面装甲を晒しながら坂から滑り落ちるファイアフライに主砲の砲弾を叩き込み、撃破する。

撃破されたファイアフライを尻目にE-25は坂道を全速力で駆け抜ける。

 

「華さんお願い……」

 

「ええ……発射」

 

この瞬間で勝負が決まろうとしていた。稜線に登った瞬間、ケイが搭乗しているM4E8がⅣ号戦車に主砲を向けていた。

しかし、ここでも怯まずに華はいつもの通り落ち着きながらシュトリヒを数えつつ発射トリガーを引く。それと同時にM4E8の主砲からⅣ号戦車に向けて砲弾が放たれることになるが。その直前、Ⅳ号の前にE-25が割って入り。そのままM4E8に向けて砲撃を行う。

Ⅳ号戦車から放たれた砲弾は、逃げ惑うM5A1に見事命中したのであった。

なお、M4E8とE-25は相撃ちという形になり。両戦車からは白旗が上がっていた。

 

『M4E8及び、E-25そしてフラッグ車M5A1走行不能。よって大洗学園の勝利!!』

 

勝利のアナウンスが流れている傍ら、あんこうチームのメンバーは戦車から降りてお互いを励まし合っていた。生き残ったM3Leeやフラッグ車のLT-38、Ⅲ号突撃砲のメンバーが手を振りながらみほ達のもとへ向かってきた。

その後ろから撃破車輌回収車の荷台に乗ったメンバーも同じように手を振りながらやって来る。

 

「みほ姉貴!一回戦突破しましたね。勝利に導いてくれてありがとうございます!他のみんなもありがとう!」

 

「五十鈴先輩、ひょっとして俺より射撃の腕があるんじゃないすか?よくあんなちょこまか動く軽戦車を撃破出来ますね。本当にお見事です!」

 

「まぁ、戦車乗りの経験が長い水野君に言ってもらえるなんて嬉しいです。このまま精進しますわ」

 

「誠也君も私の戦車の盾代わりになってくれてありがとう。さっきフラッグ車を庇った浜崎さんみたいでかっこよかったよ!」

 

「へへっ。姉貴のためなら犠牲も構いやしませんよ。それが舎弟ってもんですから」

 

大友と水野はこの大博打の功労者であるみほと華の健闘を称えた後、他のチームメンバーのファインプレーなどを称賛したのであった。

 

 

 

試合が終わった後、浜崎とアリサはチームメンバーのもとを離れて二人きりで話をしていた。

 

「一回戦負けちまったな」

 

「そうだね……残念だね」

 

「そう落ち込むことはねぇよ。大会が終わった後の練習試合やらエキシビションでボコボコにしてやればいいじゃねぇか。それよりも何であんなことをしようと思ったんだ?正直に話してくれ」

 

「それは……試合やこの大会に勝って……崇に振り向いて欲しかったの!!」

 

アリサはどこか吹っ切れた気持ちで浜崎に対してありのままの思いを告げる。彼は唐突な告白に一瞬だけ驚くが、申し訳なさそうに彼女に言った。

 

「だからそんなことを……それならこちらもすまん……幼馴染だからそういうのは気にしていなかったが、そこまで俺のことを思ってくれてたんだな。中学ん時に江城連合会の幹部になって以来そんなものに見向きもしなくなったからな……でも、今目が覚めたよ。都合のいいやつで悪いかも知れねえが、これからもよろしく頼むぜ」

 

「っ?!崇……ありがとう。私も好きだよそして愛しているわ」

 

「俺もだ。アリサ」

 

彼はもう卑怯な手を使おうとした彼女を問い詰めること等どうでも良く思っていた。今までのアリサの気持ちに気づいたのだろう。

浜崎はそのままアリサを優しく抱きしめる。彼女は嬉し涙を流しながら彼の顔を見上げた。浜崎は、そのままアリサの頭を優しく撫で続けるのであった。

 

「Excitingな試合だったわ!みほ!」

 

「ふぇっ?!こ、こちらこそありがとうございます!」

 

「また一緒に戦おうね!」

 

その頃、ケイは満足気にみほを抱きしめていた。何せ、白熱した試合をしたからだった。

彼女としてはお互いに正々堂々とした勝負が出来たうえ、他校との勝負にはない面白さを感じたからだ。次に、その場から離れてどこかへ行こうとする大友に後ろから抱きつく。

 

「それと……ダーリンどこへ行くの!」

 

「おっと?!ケイさんですか。ちょっと戦車の所へ行こうと思いまして」

 

「もーっ!あなたのブラザーもそうだけど、相変わらず不愛想ね。試合の最後にやることと言ったらあれしかないでしょ!」

 

「はい?」

 

ケイは大友の顔を自分の方へ向けるとそのまま左右の頬に唇を重ねて一回ずつキスするのであった。彼は察しこそしていたものの、このまま断るのもどうかと思い。

そのまま受け入れたが、未だに耐性が付いていなかったのか。またもや倒れそうになる。

 

「ふふっ。ダージリンの言った通りますます可愛がりたくなる反応をするわね。じゃあ二回戦も頑張ってね。最後に、みほを守った時の誠也はかっこよかったわ。なんだか痺れちゃう!じゃあね!」

 

「あ、ありがとうございます!またいつか、ケイさんと戦えることを楽しみにしています!」

 

大友は、ケイを敬意を交えた目で見つめながら彼女と握手を交わしたのであった。

それから二時間後、大洗学園のメンバーも試合会場から引き揚げようと撤収の準備に勤しんでいた。

 

「さーて。そろそろ撤収の準備が完了するね!一回戦突破記念にパフェでも食べに行かない?」

 

「うん!行く!」

 

沙織と麻子がそんなやり取りをしていると、麻子の携帯電話に母親である『冷泉麻耶』から着信が入る。

 

「もしもし。どうしたんだお母?」

 

『もしもし麻子?落ち着いて聞いて。おばあちゃんが倒れたの……』

 

「えっ……」

 

彼女は母親からの衝撃的な一言を耳にすると、無意識に携帯電話の通話を切り。そのまま落としてしまう。

 

「どうしたの?麻子」

 

「…………すまないみんな。パフェは無しだ。おばあが倒れた!」

 

『っ?!』

 

「麻子ちゃん、今から車を回す!高速を使って病院に急ぐぞ!慎司、悪いが。車を持ってきてくれ!」

 

「分かりました!親父!」

 

状況を即座に理解した大友は、麻子を急いで病院へ向かわせるべく。車を回すように彼に指示を出すが、その直後。救いの手が差し伸べられる。

 

「それなら私達が乗って来たヘリを使うんだ。エリカ、ヘリを頼む」

 

「しかし、隊長はどうされるのですか?」

 

「私なら構わん。エリカ、頼む」

 

「お姉ちゃん……」

 

その後、エリカの操縦するヘリによって麻子と沙織は、彼女の祖母が搬送された病院へと飛び立っていくのであった。みほ達は、しばらく二人が乗ったヘリを見つめた後、学園艦へと撤収するのであった。

こうして一回戦は大洗学園の勝利で幕を下ろしたのであった。だが、この間にも強豪校が群雄割拠し、勝利の栄光を己の手中に収めんと戦いを繰り広げているのだった。

 




ありがとうございました!次回は第十四話を投稿する予定です。
ケイさんとアリサが原作とは異なり、M4E8とM5A1に搭乗したのは、『こっちの方が似合いそう』という個人的な発想からそうしました。
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