西住みほの舎弟が往く!ーたとえ世界が変わっても貴女についていくー   作:西住会会長クロッキー

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第十五話 舎弟、島田流本家に行きます!

生徒会長の角谷杏から廃校がかかっているという話がチームのメンバーに伝えられたその日の夕方、大友は五人の幹部を連れて島田流の本家に訪れていた。

資金面において余裕があった大友組は、既存する戦車の改修だけでなく。公式試合の三回戦に備えて戦車を購入することを考えていたのだった。

しかし、戦車を集めたにしろ。新たな搭乗員の錬成を行わなければならない。

そこで大友は、島田流の戦車道を通してタンカスロンより戦車道の経験がかなりに浅い幹部の錬成を兼ねて島田流の戦車道からみほが探し始めた"自分の戦車道"の支えになりそうなものは無いかと三日間という期間で探し出そうとしていたのだ。

 

「会長、ここが島田流の本家ですか。由緒正しい流派の総本山といった雰囲気がしますね」

 

「ああ、一年前俺はここで戦車道の応用を学んだ。蓮司、進、浩樹、康介、健太。今日から三日間お前達五人には、同じように戦車道の基礎や応用を学んでもらう。指導役もいい人を呼んだ」

 

「いい人って……島田の家元だけじゃないんですか。会長」

 

「本家だから一人や二人くらい居るだろうな。どんな人だろう?」

 

「ハー○マン軍曹みたいな人じゃね?」

 

「戦車もどんなやつを使うんだろう。島田流が使う戦車ってイマイチパッとしねえし」

 

学園艦からの移動に使用した黒の高級ミニバンから降りるなり、大友連合会幹部の『本宮蓮司(もとみやれんじ)』や『藤田進(ふじたすすむ)』、『小野浩樹(おのひろき)』、『瀬島康介(せじまこうすけ)』、『嶋健太(しまけんた)』の五人が思ったことをそのまま口にする。

噂をすればというやつだろうか。六人が乗って来た自動車の後ろから五式中戦車・チリと九五式軽戦車・ハ号がやって来た。

チリの砲塔の左右前方には、知波単学園のエンブレムが描かれており。中戦車とは思えない大きさの戦車であった。

 

「よう。久しぶりだな大友。若い衆を連れて修行とは奇遇だな。俺も知波単から勉強熱心な子を連れて島田流で学んでいる」

 

「お久しぶりです柏間さん。勉強熱心な子とは?」

 

戦車から降りて来たのは、江城連合会若頭兼直系柏間組組長の『柏間修太郎(かしわましゅうたろう)』だった。

知波単学園のパンツァージャケットに身を包み、高校三年ながら少し貫禄がついている彼は戦車から降りると大友に声を掛ける。

戦車から降りる彼に続いて、もう一人車長席から丸眼鏡の低身長な少女が降りてきた。

 

「お初にお目にかかります。知波単学園一年生の福田と申します!!大友殿、西隊長や柏間副隊長補佐殿から聞いております」

 

「おっ元気が良いな。よろしく頼むぜ福田ちゃん。っていうか柏間さんは確か。知波単の隊長になったんじゃねえのか?」

 

「確かにそうだが。俺は誰かの下に立って支えている方が性に合っているんでな」

 

「相変わらず貴方らしい。見込みがあると感じた人間の下に歳や経験に関係なく支える。それが貴方やり方でしたね」

 

「それはお前もそうだろう大友。一回戦の様子、見させてもらったよ」

 

二人の旧友は静かに笑い合いながら世間話をしている。柏間の隣で福田は、大友の一言をメモ帳にまとめていく。

入り口付近でそんなやり取りをしていると、建物の扉が開き。そこから愛里寿や母である千代の二人が出て来る。

 

「「お疲れ様です!!」」

 

「柏間君、今日の訓練は終わったのね。お疲れ様。あら、誠也君久しぶりね。今日からあなたの後輩さん達のご指導をさせていいただくわ」

 

「お久しぶりです千代さん。今日からお世話になります」

 

『お世話になります!』

 

「よし、戦車のイロハは身体で覚えるのが一番だ!……まぁ、ある程度慣れていると思うが、一から懇切丁寧にやっていくことも大事だ。それじゃあ、行くぞ!」

 

『よろしくお願いします!柏間の叔父貴!』

 

千代が大友と握手を交わしている傍ら柏間と他の五人は丁寧に頭を下げる。一通りの挨拶を終えると、五人は柏間のチリにタンクデサントし、そのまま近くの演習場へと向かって行く。

大友も場所を変えて彼女や愛里寿と共に建物の中へと入って行くのであった。

 

 

 

 

若衆の五人と異なり、彼は千代によって執務室に招かれて愛里寿と彼女と対面する形で椅子に座って千代から切り出された話に耳を傾けていた。

彼は、戦車道に関する事かと思っていたのだが。全くそれに関係なく。むしろ早過ぎる将来の話についてだった。

 

「それで……返事はどうかしら?」

 

「返事とは……」

 

「全く鈍感ね。私の息子になるか愛里寿ちゃんの婿になる事よ。この子からあなたのお話を沢山聞いたわ。あなたの事をますます知りたくなったわ」

 

「ははぁ、それですか。しかし、愛里寿ちゃんはまだ十三歳です。それなら俺以外にも有望な人物が居るはずです。それに、今更先生の下で養子になるのは、伝統ある島田流にご迷惑をお掛けするかと。大変申し訳ございませんが。このお話しは無かったことにさせて下さい……」

 

「あらそれは残念ね。でも何時でも返事は待っているわよ。それともう一つ。西住みほさんはどうかしら?」

 

大友は早過ぎるの将来の話に少し肝を冷やしたが、素直にその意志がない事を伝えた。

千代の隣にいた愛里寿は若干寂しそうな表情をしていたが、千代が彼女の頭を撫でると元の調子に戻った。

千代は彼女の様子を見た後に、次にみほに関する話題をふる。

 

「みほ姉貴なら順調に自分の戦車道を探し始めています。それが功を奏してチームの統制が上手く出来ていますし、俺も入れて皆姉貴の事をとても頼りにしています。あとこれは俺個人の考えになりますが。俺はあの人を担ぎ上げて最高の隊長にしたいんです!」

 

「なるほど。では、彼女は西住まほさんと違い。西住流では無く。我が道を行こうとしているのね」

 

「その通りになります。なので、俺は島田流の戦車道でみほ姉貴の役に立てるものがないか学ばせていただきたく思っています」

 

「分かりました。誠也君、この三日間で島田流から学べるものは学んで頂戴。それと条件が一つあるの」

 

「感謝いたします。条件とは何でしょうか」

 

「条件は………三日間だけでも愛里寿ちゃんのそばに居てくれないかしら?」

 

千代の質問に対して彼は、みほの普段の様子の事を交えつつ彼女に対して抱いている想いや敬意を口にする。

千代はそれに満足したのだろう。

扇子を口元に当てながら小さく微笑み、彼が島田流の下で学ぶことを快諾するのだが。

その直後に条件付きという体であることを大友に告げる。無論彼は、相手の性別が真逆なので唐突な一言に困惑する。

 

「っ?!し、しかし。愛里寿ちゃんはお年頃かと……俺のような男では……」

 

「わぁ……お母様ありがとう!!誠也君、今から私と一緒に戦車倉庫に行こう!!」

 

「あっ。待って愛里寿ちゃん!先生、失礼いたします」

 

母である千代の一言を聞き逃さなかった愛里寿は高いテンションになった直後、椅子から飛び降りて大友の隣まで行き、満面の笑みを浮かべながら少し慌てる彼の手を引いて部屋から出ていく。

彼女は、そんな二人の姿を優しく見つめつつ戦車道連盟関連の書類を手にするのであった。

 

 

 

 

その頃、大友連合会幹部の五人はすぐに練習に精を出しており、この五人が搭乗するコメット巡航戦車は完全に柏間が指揮するチリと同じ動きを見せつつあった。

アズミやメグミ、ルミといったバミューダ三姉妹が得意とする二輌以上の戦車を用いて相手戦車の左右側面か前後に割り込んで急停止して相手を撃破する戦術。

その戦車の特徴を最大限に活用した戦い方で一輌の戦車を使って複数の戦車を撃破するといった応用的な戦術といったものを短時間で理解しつつあった彼らはタンカスロンと違った戦車道の楽しさを身に受けていた。

 

「今日はご苦労だった。その調子で続けるんだ。スポーツは他人から強要されるより自分から進んでやるからこそ楽しいんだ。この調子を維持してお前らの親分を喜ばせてやるんだ」

 

『ありがとうございます!柏間の叔父貴!!』

 

「そうだ。聖グロとサンダースに勝ったんだ。祝いをしてやる。この近くで良い焼肉店を知っているんだ。今日はおごりだ」

 

「叔父貴、ありがとうございます!早速会長をお呼びしますね!」

 

柏間は五人の腕に感心し、自身の行きつけの焼肉店でちょっとした歓迎会と二回戦進出祝いを兼ねて組長の大友も誘うべくポケットから携帯電話を取り出して通話を行おうとするが、先に彼からの着信が来た。

 

「ん?ちょっと持ってくれ。もしもし……大友か。今からお前を誘って皆で焼肉に行こうと思ったのだが……え?来れないのか。分かった若い衆だけ連れて行ってくれとな。……という訳で大友は来れないみたいだ。電話の向こうが少し騒々しい感じだったが、問題はないだろう。じゃあ行くか」

 

『はい!ごちそうになります!』

 

それから五人と柏間は戦車から自動車に乗り換えて焼肉店へと行き、食事と会話に耽りながら親交を深めつつあった。

男子六人は、様々な世間話を交えつつ大友の対人関係について語り合っていた。

 

「蓮司、会長って相変わらずモテモテだな。色んな人に抱きつかれたりキスされたり。本当に大変だよな」

 

「ああ、そんなこと言ったら俺達だって学校のみんなからそれに近いことされてるじゃねえか。この前、近藤の兄貴が俺に話してくれたんだけどよ。練習試合の後、ローズヒップさんを連れてドライブに行ってただろ?その人を送り届けてから家に帰って風呂に入ってたら……何とバスタオル姿の妙子ちゃんが入って来たんだってよ。慌てて出ようとしたらすぐに捕まってえらい目に遭ったみたいだぜ。挙句、その日の晩は一緒のベッドで寝る羽目になったんだってよ」

 

「えーっ!やっぱブラコンってすげえよな!柏間の叔父貴もそう思いませんか?」

 

「そうだな。もしかして本部長の小山の姉もそうじゃねえのか?」

 

「ビンゴですよ叔父貴!小山の兄貴も近藤の兄貴と同じような目に遭ったとこの前話してくれたんですよ。兄貴のお姉さんの柚子さんですけど……あんなおっとりした見た目で妙子ちゃん以上の肉食なんですよ!朝起きて気づいたら一緒のベッドに入ってるのはしょっちゅうで。角谷会長や河嶋さんが見てない時はすぐに手を繋ぎたがったりだとか、アメリカ人並みにすぐキスしたがるみたいなんですよ」

 

「ははっ。やっぱり歳の近い姉を持つ者は大変だな」

 

柏間は、本宮と藤田を中心に現実でも中高生男子がするようなありふれた会話で盛り上がっていた。

そんな猥談じみた会話も飽きて来たのだろう。再び六人は戦車道に関する話題に戻った。

 

「ところでお前たちの学校の戦車はどんな感じなんだ?練習試合で聖グロに勝ち、サンダースを突破したということは。出来が良い戦車を使っているんだろう?」

 

「ええ。みんな気合も入っていますし、それに今ある危機に打ち勝つための手段として一部の戦車を改修に回しています」

 

本宮の言った”危機”の一言が気になったのだろう。柏間は少しばかり眉間に皺を寄せる。

 

「ほう。改修はどんな感じにするんだ?」

 

「まず、隊長車のⅣ号戦車はH型仕様に。Ⅲ号突撃砲は75mm長身砲に換装のうえ、シュルツェンの取り付け。38tはNA型に改修後、5cm砲搭載。最後に三式中戦車は改良砲塔と五式七糎半戦車砲へと換装したチヌ改仕様ですね」

 

「妥当な選択だな。これなら何とかほとんどの戦車に対抗できそうだな。あとは戦術だな」

 

彼は、大洗学園側の戦車が良く仕上がっていることに安心したのだろう。戦車から戦術の話に移る。

 

「戦術に関しては、みほ姐さんが毎回上手く予想し、状況に応じて有効な手段に打って出て。そのおかげで勝利しています」

 

「みほ……?ああ、妹のみほちゃんの方か。西住流とは違った動きを見せつつあるから個人的に気になっているな。正統派が勝つのか革新派が勝つのか……ますます気になるな。すまん、こんな時間になったな。今日はありがとう」

 

柏間は、大友やその関係者に聞きたいと思っていた話題が聞けて満足そうにしていた。

気が付けば、時計の針が午後九時を指していたため、彼は五人に対して感謝の言葉を口にすると、一緒に店を後にするのであった。

 

 

 

 

あっという間に二日目も無事に終了し、残すはあと一日となった日の晩。大友は持ってきたノートに島田流の下で学んだ事を学んだことを書き漏らすこと無く丁寧にまとめていく。

バミューダ三姉妹による包囲戦術、状況によって作戦を即座に練り直す方法といった島田流ならではの戦車道を十ページ位に渡って書き記していた。

 

「やっぱり二日というのはあっという間だな。明日ここを出る前にもう一度柏間さんや島田流門下生の方に五人の訓練に付き合ってもらうか。それと、そろそろ時間だったな」

 

大友は、ふと約束事を思い出したのだろう。そのまま愛里寿が居る隣の寝室に入る。彼女は、待っていたとばかりに彼に対して幼気さが残る無垢な笑みを向ける。

大友も微笑み返すと、そのまま愛里寿が乗るベッドに座った。

 

「愛里寿ちゃん。そろそろ寝ようか。俺は明日からまた学校の方へ戻るよ」

 

「今日で一緒に寝るのも最後だけど、また遊びに来てね!そうだ、誠也君に聞きたいんだけど。どうしてみほさんの事を姉貴と呼んでいるの?」

 

「それはね愛里寿ちゃん。俺が舎弟としてあの人の支えになりたいからだよ。あの人は同じ年でも家族がいない俺にとって年の離れたお姉さんみたいな人だし、頭がキレるからさ」

 

「そうなんだ。だからみほさんを「姉貴」って呼んでたんだ。じゃあ、いつか養子になってくれる日が来たら誠也君をお兄ちゃんって呼んでいい?あと、私のお婿さんになってくれたらアナタって呼んでいい?」

 

「ははっ。構わないけど今のところそれはちょっと難しいかな」

 

彼は、彼女による疑問に答えつつ自身の想いを伝える。愛里寿はそう言いながら大友の右腕を抱きしめると、可愛らしい喋り方でそう言う。

 

「でも、いつまでも待っているよ誠也お兄ちゃん。そろそろ眠くなって来ちゃった」

 

「そっか。好きな本を読んであげるよ」

 

「ありがとう。じゃあ今日はこのお話しを聞かせて」

 

大友は愛里寿を抱きかかえてそのままベッドに寝かせて布団を被せると、近くにあった小説を手に取り。彼女が完全に寝るまで読み聞かせるのであった。

翌日。本宮をはじめとする幹部五人は水野といった兄貴分達を中心とするチームメンバーにも劣らないほど腕に磨きをかけていた。

いよいよ島田流本家から出発しようとしていた頃、大友と柏間はお互いに出発日が同じだったのか。正門の付近でお互いの成果を称え合っていた。

 

「アンツィオ戦頑張れよ。俺達は一回戦で黒森峰にやられちまったが。お前たちなら必ず勝てる。だから、勝っても兜を被り続けている気持ちで挑み続けろ」

 

「柏間さん。ウチの若い衆の面倒を見てくれてありがとうございます。また機会があればよろしくお願いします」

 

「ああ、お安いご用さ。おい、大友。見送りが来ているぞ」

 

「愛里寿ちゃん。わざわざありがとうね。俺はそろそろ行ってくるよ」

 

「楽しかったよ誠也君、他の皆さんもありがとう。そうだ、誠也君。耳貸して」

 

「ん?どうし……っ?!」

 

「えへっ。行ってらっしゃいのちゅーだよ。試合頑張ってね」

 

「愛里寿ちゃん。一年前もそう言ってくれたよね。じゃあ、行ってくるよ。元気でね」

 

大友が愛里寿に言われた通りにしゃがみ込むと、そのまま左頬に彼女からのキスを受ける。愛里寿を見ると、彼女は純真無垢な笑顔でそう言っていた。

大友は愛里寿の頭を撫でた後に、そう言って島田流本家を後にしたのだった。

 




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