西住みほの舎弟が往く!ーたとえ世界が変わっても貴女についていくー   作:西住会会長クロッキー

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ご覧いただきありがとうございます!
今回は大洗側の戦車が強化された形で登場します。引き続きお楽しみください!



第十七話 電撃、アンツィオ戦です!

二つの学校でのドタバタから二日後、二回目の試合の時が訪れた。チームメイト達は早めに試合の準備を終わらせてじゃれ合いながら待機時間の暇つぶしをしていたが。廃校を告知されたこともあり、いつも以上にその場がやる気に満ち溢れていた。

みほや大友、桃の三人が試合会場の地図に作戦の予定を書き込んだりしながら打ち合わせをしていた。

すると、自動車が近くで停車する聞こえてきたので。その方向へ目をやると、アンチョビやカルパッチョ、佐谷が自動車から降りて来たばかりであった。

 

「やぁやぁチョビ子。それにゴロちゃん」

 

「チョビ子と呼ぶな!アンチョビだ」

 

「おう。あんたは大洗学園生徒会長の角谷ちゃんか?俺はゴロちゃんこと佐谷吾朗や。今日はよろしゅう」

 

真っ先に杏がアンチョビと佐谷に声を掛ける。アンチョビは彼女に「チョビ子」と呼ばれたのが気に食わなかったのか、少し顔をしかめた。佐谷は名前の呼ばれ方を気にせずに杏に対してフレンドリーに接する。

 

「それで、隊長は……あっ!誠也君久しぶりだな!」

 

「お久しぶりです千代美さん。元気そうで良かったです」

 

「誠也君も元気そうで良かった。ところで隊長は誰なんだ?」

 

「隊長は隣のみほ姉貴です。副隊長は俺です!」

 

「そうなのか。相手が西住流だろうが島田流だろうが私たちが勝ってみせる!今日は正々堂々勝負だ」

 

挨拶に来たアンチョビが周りを見渡していると、大友が視界に入ったため。真っ先に彼のもとへ駆け寄って彼の両手を握りながら挨拶と隊長について聞く。

大友は彼女に対して敬意を交えて挨拶の言葉を口にしつつ、みほを紹介する。その次に佐谷がみほと大友の前まで歩み寄った。

 

「チヨ姐さん。その子は正真正銘あの西住みほたんや!それに、その舎弟の大友ちゃんがおるから楽しみになって来たで!ほな、今日は砲で語り合おか。みほたん、大友ちゃん!!」

 

「相変わらずあんたらしいな。佐谷の兄さん」

 

「ふふっ。よろしくお願いします!アンチョビさん、佐谷さん」

 

彼は先程の杏とのやり取りと同じように二人に対してフレンドリーな調子で声を掛けた後、握手を交わして乗って来た自動車へと戻るのであった。

 

 

 

 

試合開始の合図と共に大洗学園とアンツィオ高校の両方の戦車が勢いよく配置地点を走り出す。

H型仕様に改修されたⅣ号戦車のジャーマングレーの車体塗装とあんこうのエンブレムが燦々と輝く太陽の光に照らされているのをはじめ、他に改修が施された三式中戦車(以降はチヌ改とする)やⅢ号突撃砲、LT-38(こちらも以降はLT-38.NAとする)が新たな力を発揮すべく堂々と山岳で構成されたステージを駆け抜けている。

 

「先行するアヒルさん及びアリクイさん状況を教えてください」

 

「十字路まであと一キロです」

 

「十分注意しながら街道の様子を報告してください。開けた場所に出ないように気をつけて」

 

「了解、そろそろ街道手前に到達するのにゃー」

 

典子とねこにゃーの二人は、みほから指示を受けつつ十字路まで向かっていた。今回の偵察役はアヒルさんチームやアリクイさんチーム、イタチさんチームとウサギさんチームの計四輌が務めており、一番初めに会敵するであろうその十字路付近にある茂みに隠れて敵の動向を伺う予定だ。

 

「ってもう敵は配置についていたのか。軽くおちょくるか」

 

「大友先輩、おちょくるってどうす……えっ?!ちゃっかり沙希も便乗してるし」

 

大友や梓、沙希が戦車から降りて戦車の種類をみほに報告する。梓がみほに無線で報告している傍ら、大友と沙希は立ち上がって敵側の三輌の戦車(二輌のC.V.38と一輌のセモベンテM40/M41)に対して何度か石を投げつける。

二人の思いがけない行動に梓は、突っ込みを入れながら驚く。石を投げつけられた戦車から人が出て来ることもなければ、金属音が響くこともなかった。

 

「ごめんごめん。戦車乗りは頭に血がのぼりやすい奴がよくいるってこの前みほ姉貴が言ってたから。こうやっておちょくったんだけど、罠に嵌められるところだったな」

 

「罠ですか?まさか、布陣している三輌の戦車は偽物なんですか?」

 

「ああ、偽物だよ。石が当たった時に金属音が響かなかっただろ?じゃあ、やることは一つだな。桔平、機銃であの三輌に掃射しろ」

 

彼は彼女の疑問に答えつつ、アンツィオ高校が仕掛けた罠を見破るのだった。大友の指示を受けた水野が機銃掃射を戦車のハリボテに浴びせると、いともたやすく崩れ去り。周辺に木片が散らばる。

 

「アヒルさん及びアリクイさんへ。二チームが視認している戦車はデコイの可能性があります。退路を確保しつつ攻撃をお願いします。みほ姉貴、恐らく敵チームの何輌かは森林帯をショートカットするなりして姉貴達の背後を突いてくるはずです」

 

「分かったわ。フラッグ車を護衛する皆さん、周囲の警戒を強めてください。敵は機動力を活かして包囲殲滅を図るかもしれません」

 

『了解!!』

 

早くもアンツィオ側の罠に気付いたこともあり、各チームの戦車は警戒を強めることにしたのだった。偵察役に出ていたアヒルさんチーム以外の三輌は十字路の交差点で合流した後に敵のフラッグ車であるP43.terを探し出すべく。大友のE-25を先頭に十字路を北へ進んでいくのであった。

 

 

 

アンツィオ高校戦車道チーム副隊長補佐、佐谷吾朗は自身が搭乗するM16/43サハリアノを先頭に三輌のC.V.38を率いて森林帯をショートカットし、包囲殲滅を図ろうとしていた。

彼は一輌でも多く戦車を撃破したいほどうずうずしており、キューポラから身体を乗り出して上機嫌に鼻歌を歌いながら双眼鏡を片手に周囲を警戒している。

 

「どこに隠れとるんやフラッグ車君は~」

 

「ははっ。佐谷先輩いつも以上にノリノリっすね」

 

「そらそうやろペパロニ君。俺はごつい奴と戦うんが好きやからなぁ。さーて大友ちゃんとみほたんも何処に隠れとるんや。おっと噂をすれば!!」

 

同じように戦車から身体を乗り出していたペパロニと何気ない会話をしつつ一度街道へ出ると、フラッグ車のLT-38.NAを守っていたみほ達とすれ違った。

 

「今日は運がええなぁ。ペパロニ君はフラッグ車とその護衛以外の目標や!みほたんあーそーぼっ!!」

 

「了解っす!!」

 

四輌の戦車は車体の軽さを活かしてサイドターンをしてから進行方向をみほたちの方へ向けると再び勢いよく走り出す。

サハリアノとC.V.38をはじめとする四輌の戦車の方が機動力で優れており、すぐに追いつき始める。

手始めに速度が比較的に遅いポルシェティーガーとルノーB1bisを狙おうとするが、この二輌は突然急加速して追いつこうとしていた佐谷達を振り切る。

 

「なんやっ?!えらい音を立てて加速して行ったで」

 

「多分、モーター辺りをいじったんじゃないすか?」

 

佐谷がこの二輌に呆気を取られていると、ペパロニが自身の知識を振り絞って的確な一言を口にする。事実、戦車道のレギュレーションにエンジン規定は存在しているものの。

モーターに関する規定は特にないため、それに目を付けたナカジマ達レオポンさんチームと慎司によってこちらの二輌は、モーターを高性能なものに載せ替えられたのだ。

 

「レオポンさんチームの皆さんと慎司君はすごいな。どうやったら戦車にあんな改造が施せるんだろう?」

 

「西住さん。ウチの伊達君いわく長年の経験らしいわよ。私はそれよりも本当に規則違反になっていないかが心配だわ」

 

みほは今日の試合までこのことを知らなかったため、小さく微笑みながら彼女達五人に対して率直な感想を口にしている。その傍らでそど子が彼女に相槌を打ちつつ規則に関する心配をしていた。

 

「とりあえずあのサハリアノとここで片を付けます。カモさん援護をお願いできますか?あとの三チームはカメさんを護衛しつつスナイパーに気をつけてください」

 

「こちらカモさん。了解です」

 

彼女はカモさんチームと共に佐谷のサハリアノを迎え撃つべく。B1と共に一度元来た方向へⅣ号を進める。サハリアノが姿を現して真っ直ぐにみほの方へと走ってくる。

まだ相手の射程距離まで余裕があるものの、いつ左右の森林帯のどこかからもう三輌のC.V.38が現れて背後を突いてくるかわからない。

お互いに距離を詰めているうちに射程圏内に入ったのでB1が停止し、車体砲と砲塔からそれぞれ砲弾を放ち。二発ともサハリアノの履帯付近に命中した後にあんこうとカモさんの二輌の周りまで土煙が覆いつくした。

呆気なく撃破されたように見えたが、土煙が晴れて分かったのは。両方の履帯が外れた状態でも健気に走行し、B1から極めて近い距離で停止してそのまま砲撃を浴びせて撃破する。

 

「イイ音聞かせろやっ!!」

 

「そんなのありっ?!」

 

「ヒヒッ!そんなんありに決まってるやろ。ほんまクリスティー式様は偉大やな。ほなさいなら」

 

履帯が無い状態で走行するサハリアノに困惑しているそど子に対して佐谷がそう言いながら右側の林に逃げ込む。華はそれを見逃さずに射撃を行おうとするが、木々に阻まれてまともに射撃を行うことが出来ずにそのまま見失ってしまう。

 

「サハリアノは履帯が無い状態で走行できるとはいえ、このままだと戦闘が難しいはずです。恐らく相手は必ず履帯を直してから戦闘に戻ります。ここは一旦フラッグ車を守っている皆さんと合流しましょう」

 

「出来れば早期決戦にしたいものだな。また履帯が無い状態で逃げられたら面倒だ」

 

「アンツィオの狂犬の二つ名に恥じない戦いぶり……たまりません!」

 

みほ達はカメさんチームを護衛する他のチームと合流すべく。再び戦車を前進させるのだった。

 

 

 

 

護衛から外れたサメさんチームとアヒルさんチームの二輌は、三輌のC.V.38と追跡劇を繰り広げていた。C.V.38の機関砲から放たれる20mm弾を車体に少しづつ受けながらも何とか撃破されずにいた。

追跡の途中で何度か三輌の戦車に砲弾を命中させていたものの。残像だと言わんばかりにすぐに追いついてくる。

 

「あのチビ不死身だ……一体どうなっているんだ?」

 

「全くしぶとい奴だ」

 

「ここは根性で何とかするしか無いのか?」

 

「サメさんチーム及びアヒルさんチームへ。CVは車体の軽さを利用して撃破判定が出ていない戦車を立て直してきている可能性があります。なので車体後部の冷却部を狙ってください」

 

「承知した。車体後部だね」

 

「要するに根性か!」

 

みほからのアドバイスを聞いたお銀と典子は早速彼女からのアドバイス通りに行動に移った。

サメさんチームのMk.Ⅳが急停止したように見せてそのまま後退し、並走していた二輌のC.V.38の後部に攻撃すると、今度は撃破することが出来た。

 

「くそっ!弱点を突いてきやがった。ここは一旦引くぞアマレット!」

 

「つかまってください!ペパロニ姐さん!」

 

ペパロニが乗るCVの操縦手を務めるアマレットは、巧みに戦車を動かしつつ近くの傾斜を下って林に逃げ込んだ。しばらく八九式とMK.Ⅳからの砲撃が続いたものの。

なんとか全て躱しきった後に履帯を復旧させた佐谷と合流し、反撃に出るべく八九式とMK.Ⅳが通るであろう街道に向かった。

 

 

 

大友は一旦あんこうチームやカメさんチーム、ウサギさんチームなどと合流し、緩やかなカーブが続く峠道を進んでいた。

すると、今度はアンチョビが乗るフラッグ車のP43.terや彼女の弟である拓実が搭乗するP40重戦車、三輌のセモベンテM41の計五輌とすれ違った。

 

「いたぞ!フラッグ車と隊長車だっ!」

 

「(あのカバのエンブレムもしかして…)ドゥーチェ。あのⅢ号突撃砲は、私に任せてください」

 

「了解した。私は拓実と二輌のセモベンテであとの五輌を追う。カルパッチョに任せた。行くぞ、拓実!」

 

「ああ、分かった。姉ちゃんはあのポルシェティーガーを頼んだ!俺はM3Leeを仕留める。それから佐谷の兄貴やペパロニ姐さんと挟み撃ちにしよう!」

 

三突とカルパッチョが搭乗するセモベンテはそれぞれの本隊から離れると、戦車ではあるがものの、お互いの車体や砲身をぶつけ合う一対一のタイマン勝負に打って出たのだった。

その一方でみほが率いる五輌の戦車とアンチョビが率いる四輌の戦車による追跡劇が始まった。

 

「ひ、秀人!お前が今日、車長兼砲手をやるのは特別なんだからな!」

 

「秀人ちゃんが車長だなんて珍しいね」

 

「お姉ちゃんはひで君のこと応援してるよ!」

 

「まぁまぁ落ち着いてくださいよ河嶋さん。それとなんかありがとうな柚子姉。おっともう敵さんが来たか。停止!かーらーの後退!食らえ!」

 

「なるほど。今のはわざと隙を見せて撃破したのか。それに三式はもうあんなところにいたのか」

 

「そうなりますね。柚子姉、そのままアリクイさんチームに続いてくれ。あとは佐谷の兄さんに見つからないようにしないと」

 

今回は秀人がLT-38.NAの車長兼砲手を務めており、車長として砲手としての腕を発揮することになった。

彼は改修ベースとなったLT-38から大幅に強化された機動性を活かしてP43.terやP40の二輌から遠ざかり。一輌で残り二輌のセモベンテをアリクイさんチームが待ち伏せている場所へと誘導していた。

二輌のセモベンテの車長はフラッグ車であるLT-38.NAにばかり目が行き、特に罠であるとは考えずに長い斜面を下っていた。

しばらくセモベンテによる追跡劇が続いた後にLT-38.NAは斜面が平坦になりつつあった場所で急停止し、そのまま全速力で後退を始める。

一度停止した直後に後退したLT-38.NAを追い越した二輌は、車体正面をLT-38.NAに向けるべく旋回を始めるが。一輌が近くの岩陰から飛び出してきたチヌ改に撃破され、もう一輌のセモベンテもLT-38.NAにより撃破されてしまった。

因みにアリクイさんチームのチヌ改がここに待ち伏せていた理由に関しては、大友に頼まれてスナイパー役に徹していたからだった。

二輌のセモベンテを排除したカメさんチームとアリクイさんチームは佐谷といった強力な戦車に搭乗する面々に注意しながら戦車を身を隠せる場所へと前進するのであった。

 

 

 

一方みほ達とアンチョビたちは、互いに岩を盾代わりにしつつ撃ち合っていた。アンチョビ達の二輌は数的に不利とはいえど。90mm砲を持つ高火力なP43.terと大洗側の戦車に何とか太刀打ちできるP40で持ちこたえていた。

対するみほ達大洗側は、カバさんチームが護衛から外れてカルパッチョのセモベンテと交戦中であるため。

現在は、あんこうチームのⅣ号戦車やイタチさんチームのE-25、ウサギさんチームのM3Leeの三輌のみだ。

途中まで同行していたレオポンさんチームのポルシェティーガーは、EPS使用時の速さを活かしてフラッグ車であるP43.terに接近戦を挑もうとし、EPSで加速した直後に拓実のP40によって車体側面を撃たれたことで撃破されたのであった。

また、レオポンさんチームだけでなく。アヒルさんチームとサメさんチームも途中で履帯を復旧させた佐谷のサリアノやペパロニのC.V.38によって撃破されている。

なので、もう少しで佐谷やペパロニもアンチョビ達に合流しようとしつつあった。

 

「このまま佐谷の兄さんが合流してしまえば、状況はますます不利になるぞ。もうアレをやるしかないか。桔平、空砲射撃の準備をしろ」

 

「はい。島田流戦車道に応用を加えたアレですね」

 

「みほ姉貴、先日お話しした空砲での推進力と戦車の加速を交えた接近法をやってみませんか?丁度平坦な道ですし、何とかなるかと」

 

「そうだね。ここで決着をつけないと後がまずいからね。やってみようか!」

 

「ありがとうございます。では、よろしくお願いします。撃てぇ!」

 

大友とみほが無線でのやり取りの後、自身の戦車の搭乗員達に指示を出すと。E-25が後退し、Ⅳ号戦車がE-25の主砲に車体後部をくっつける形で停止した直後。

空砲射撃が行われてⅣ号が押し出されようにして進み始め、戦車の加速も加わったこともあってか。レオポンさんチームがポルシェティーガーに搭載しているEPS機能で加速した時よりも速く飛び出していった。

 

「させるかっ!うぉっ?!」

 

「おい、拓実。今出たらまずいぞ!って言ってるそばからM3にやられたぁ!こうなったら装甲厚に任せて真剣勝負だっ!」

 

飛び出してきたⅣ号戦車を撃破しようと拓実のP40が前に出て照準を合わせようとするが、待ち伏せていたウサギさんチームによって撃破されてしまう。

このことで孤立無援の状態と化したアンチョビは若干自棄になり。真っ向からの勝負に出ようとするが、Ⅳ号戦車の後ろに続いていたE-25の存在に気を取られてしまい。

そのまま後ろに回り込んだⅣ号と正面での肉薄を試みたE-25に挟まれる形で撃破された。

 

『アンツィオ高校フラッグ車P43.ter及びセモベンテM41、大洗学園Ⅲ号突撃砲走行不能。よって大洗学園の勝利!!』

 

「チヨ姐さんお待たせ……って何かすごい撃破のされ方やな。取り敢えず怪我とか無い?」

 

「大丈夫だぞ吾朗。それより、帰りは一緒に乗せていってくれ」

 

「分かった。やっぱり大友ちゃんはあの子の傍に居てて正解やな」

 

大洗学園の勝利を告げるアナウンスが流れている傍ら、佐谷はアンチョビの心配をしつつ。大友とみほの関係について小さく呟いた。

 

 

 

試合終了後、アンツィオ高校により食事会が開かれていた。試合の後もあってか、お互いの健闘を称え合っていた大洗学園側の生徒とアンツィオ側生徒の仲は深まりつつあった。

そんな中で佐谷や大友、カエサル、カルパッチョは四人で集まって飲み物を片手に仲良く会話していた。

 

「やっぱり。大友ちゃんは相変わらずおもろい戦い方するなぁ。みほたんのⅣ号を蹴飛ばす勢いで空砲射撃した後にチヨ姐さんのP43をサンドイッチして撃破したもんな」

 

「兄さんにそう言ってもらえると嬉しいです。でも、みほ姉貴が居たからこそできたことなんです。もし、姉貴があの場に居なかったら少しやばかったかもです」

 

「そう言って大友副隊長はいつも謙虚な態度を取るな。まぁ、さすが西住隊長の舎弟だな」

 

「へぇ、誠也君はみほさんの舎弟だったんだ。これからもみほさんやたかちゃんと仲良くね」

 

「ああ。いつも姉貴や鈴木さんには良くしてもらっているからな。仲良くさせてもらうよ。ひなちゃんも兄さんや拓実君と仲良くな」

 

この四人が続けて談笑していると、周りの喧騒に紛れてアンチョビが優しい微笑みを見せながら大友の傍までやって来た。

佐谷は何かを思い出したかのようにカエサルとカルパッチョに一声かけると、二人を連れて他のメンバーのもとへと向かって行くのであった。

 

「ふふっ。誠也君、二人きりになれたな。こっちで話をしようか」

 

「二人きりですか。何かお話したいことでもあるんですか?」

 

彼はアンチョビの誘いを特に不審に思っておらず。気が付けば他のメンバーからかなり遠ざかり、テントの裏まで来ていた。彼女は鼻歌を歌いながら大友の手を引いて丁度そこで止まった。

 

「誠也君、みほのことはどう思っているんだ?」

 

「姉貴のことですか?ええ、俺より強くて頭がキレて。それに誰とでも優しく向き合える最高の姉貴だと思います!」

 

「そうなのか。因みに何だが。じゃあ私のことはどう思っている?」

 

「千代美さんですか?ああ、それなら。佐谷の兄さんと一緒に経験が浅かったメンバーを引っ張って準優勝に導いたすごい人だと思います。他にもノリと勢いの精神を大事にして色んな人と仲良くできるいい人だと思います」

 

大友がみほの事を言った後に、アンチョビに対して思っていたことを彼女に思いのまま語る。彼がそう語った直後、アンチョビは大友の手を引いてそのまま抱きしめる。

 

「じゃあ、私は誠也君をどう思っているのかというとだな。男の子と思えないほど可愛い見た目をしているのにそうして誰かのために身体を張って尽くせる。かっこかわいい子だと思うぞ。そのままあの子を支えてやってくれ」

 

「は、はい!千代美さん。励ましていただきありがとうございます」

 

アンチョビの行動に驚きつつも。彼女に対して感謝の言葉を口にする。噂をすればというやつだろうか、ここでみほがやって来た。

 

「誠也君、ここに居たんだ。ふふっ。やっぱり皆からモテモテだね……アンチョビさん。誠也君にはこうしてあげるのが一番なんだよ」

 

「っ?!姉貴、千代美さんの前っすよ」

 

みほは大友の右腕を抱きしめると、そのまま麗しい桜色の唇を彼の右頬に重ねてキスする。対する彼は、アンチョビの前にも関わらずこうするみほに驚くばかりである。

 

「ここには三人しかいませんし、アンチョビさんも一緒にしませんか?」

 

「えっ?!良いのかみほ……じゃあ遠慮なくさせてもらうぞ誠也君」

 

「心の準備がま……」

 

「「せーの。ちゅっ♡」」

 

「ふ、二人とも激しいですよ……」

 

「じゃあ、もう一回するね!」

 

「そうだな。これがノリと勢いすごさだ!」

 

彼はボコミュージアムの時のようにみほとアンチョビから左右の頬にキスを受けた。照れくささのあまり、そのまま失神しそうになる大友だったが。

とどめの一撃とばかりに二人に挟まれるように抱きしめられた後、もう一度左右の頬に二人の麗しい唇を受け止めるのであった。

 

 




ありがとうございました!次回は第十八話を投稿する予定です。
今回は原作より早いH型仕様への改修と空砲ブーストの登場になりました。
ご感想や評価、お気に入りへの追加などお待ちしております。
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