西住みほの舎弟が往く!ーたとえ世界が変わっても貴女についていくー 作:西住会会長クロッキー
早速、原作とは異なる展開を入れていきます!
引き続きお楽しみください!
午前中の授業が終わり、昼休みが始まった頃。
周囲は、昼食は何にするだとか放課後はどこそこに行こうといった日常会話で溢れている中、みほは次の授業の準備をしていた。
彼女がノートをまとめようとしたとき一本のシャーペンが机から落ちるが、それを誰かが拾い上げる。
「みほ姉貴、お待たせしました」
「誠也君、来てくれたんだ。えっと……隣の子は?」
「実はこの子を紹介したくて迎えに来ました。彼女は、秋山優花里ちゃんといってみほ姉貴の事を尊敬している子なんです」
みほを迎えに来た大友は、クラスメイトの一人である優花里を紹介する。彼に紹介された優花里は、目を輝かして彼女の事を見つめている。
「お、お会いできて光栄です。西住みほ殿っ!」
「……はいっ!よろしくね、秋山さん」
みほが立ち上がって彼女と握手を交わした直後、どこか明るくフレンドリーな少女の声が三人の間に割って入る。
「へいっ!そこの二人の彼女と彼、一緒にお昼でもどう?」
「「えっ?!いいんですか?」」
三人が声がした方を見るとオレンジがっかた髪と優しい瞳が特徴的の少女、武部沙織と跳ね上がった髪の毛とお淑やかな瞳が特徴である五十鈴華の二人であった。
みほと優花里は突然声を掛けられて同時にびっくりする。対する大友は、そんな二人の姿を見て微笑ましく思っていた。
「ほら、沙織さん。二人とも驚いているじゃないですか?」
「いきなりごめんね」
「あの、改めまして。よかったら五人でお昼一緒にどうですか?」
「「わ、私たちとですか?」」
「お誘いどうも。ここはご一緒しましょうよ。姉貴、優花里ちゃん」
華と沙織の二人は静かに笑うと優しくうなずいた。
四人は食堂へと向かい、共に食事を楽しみ。それぞれの出自について語っていた。
「よかったぁ。三人も友達が出来て。わたし、一人で大洗に引っ越して来たんだ」
「そっか。人生色々あるよね。泥沼の三角関係とか、告白する前に振られるとか五股かけられるとか……」
「うーん。ええっと……」
「ご家族に不幸が?骨肉の争いとか遺産相続ですとか」
「そういう訳じゃ……」
「じゃあ親の転勤とか?」
「それも違うかな……」
「武部殿、五十鈴殿。西住殿は昼ドラとかサスペンスドラマの主人公じゃないんですから」
「あら、いっけなーい。私としたことが」
ここでみほが何か考え事をするような表情で顔を下に向けると、優花里が二人に突っ込みを入れる。
これによって四人の間で笑いが起こり、暗くなろうとしていた彼女の表情はまた明るくなった。
「(優花里ちゃん、君は本当に優しい子だ。みほ姉貴の気持ちを理解しているだけあるな)」
みほに関するこの話題を心配していた大友は、内心で優花里に感謝していた。突っ込みを入れた彼女もみほの暗い顔を見たくなかったのだろう。笑いながらもどこか安心した顔をしている。
昼食が終わり、A組の教室で四人は話を続けていた。今度は、大友に関する話で盛り上がっており。特に沙織が一番楽しそうに彼と会話を楽しんでいた。
「ねぇねぇ。大友君ってみほとどういう関係なの?あと、入学した時から大友君が男で一人ここに来たのが気になっていたんだよね」
「ああ。俺はみほ姉貴の舎弟かな。ここに来たのはその……個人的にここがいいかなって思ったんだよね」
「しゃ、舎弟さんなんですか?!二人で天下を目指したりだとか、たった二人で敵対するグループを潰したりだとか……それから手を引くためにここでやり直そうと来ていたりして」
「ははっ。五十鈴さん、みほ姉貴と俺はそんな物騒なことはしねぇよ。ゲームや漫画、Vシネじゃねえんだからよ」
大友が放ったこの一言に彼女は舞い上がろとしていた。それを助力を加えるかのように華も彼に質問する。
彼は早速溶け込んでおり。二人と仲良くなっている。
そんな三人のやり取りを見て、みほと優花里はクスクスと笑っていた。
だが、それも束の間と言わんばかりに突然。身長が比較的に低いツインテールの少女やポニーテールでおっとりとした感じの少女、モノクルのような眼鏡をかけたショートヘアーの少女が入って来ると四人の周りにいた生徒達はざわつき始めたため、大友はいち早く異常を感じ取った。
それが的中したかのように、眼鏡を掛けた少女がみほを指さす。
「やぁ。西住ちゃんっ!それに……大友ちゃんっ!」
「は、はい?!武部さんあの人達は……」
「生徒会長の角谷杏さんと副会長の小山柚子さん、広報の河嶋桃さんだよ」
「生徒会長さんが俺とみほ姉貴に何の用ですか?」
大友の言葉を皮切りに、彼女たち三人は二人の前まで近づく。三人が近づくにつれて彼の表情は険しくなっていく。
「必須選択科目なんだけどさぁ~。二人とも戦車道を取ってね!よろしく」
「えっ……」
みほが杏にそう言われた途端、今にも崩壊寸前の吊り橋を渡る旅人のように一気に不安な表情になる。間髪を入れずに杏がみほに纏わりつこうとした瞬間、大友が手で彼女を制する。
「待ちな。あんたらみほ姉貴と俺を知っているということは、きっちりと俺らの経歴を調べたんだろうな?」
「あぁ、もちろん。大友ちゃんが強襲戦車競技界隈で暴れ回っていたのは承知済みだよ。あと西住ちゃ……」
「おっと。それ以上言わなくていいぜ。俺だけが履修というのはダメなのか?改めまして。俺は戦車道チーム大友連合会会長、大友誠也だ。あとは他の優秀な若い衆を忘れちゃ困りますよ」
「それは困るんだよね~。一人でも多く戦車道経験者の履修者が欲しいからさ。それに君の組織の組長さん達にはその話を通しているからね」
杏は大友の言ったことを顧みず。みほを勧誘しようとするが、大友は廊下の方を見て右手を上げて指を鳴らす。
「おう。お前ら、入って来てもいいぞ。この人は説得する必要があるみたいだからよ」
「おい、君。会長に向かって何を……な、何だ?!」
いつの間にいたのだろう。ドアの近くにいたスクエア型眼鏡を掛けたオールバックの少年が水野や木村、安倍といった大友の子分を連れて教室に入って来た。
「へへっ。会長さん、結構楽しんでるみたいじゃないすか?俺らも混ぜてくださいよ」
「会長さん。なんだか物騒な空気ですね〜」
「さっき協力は惜しまないと申しましたが。これは一体なんですか?説明してください」
安倍が杏に対してそう言った途端、彼女の右手にいた柚子がオールバックの少年に問いかける。
「ちょっと、ひでくんっ!この子達は一体……それにどうしたの急に!」
「そんなのは二の次だ。いくら会長や河嶋さん、柚子姉でもみほ姐さんや親父、そちらの三人を脅すようなことをしたら承知しねえぞ」
「おいっ!秀人、生徒会室にいたんじゃないのかっ!それに自分のお姉ちゃんに向かってその口の利き方は何だ?!」
オールバックの少年……『
姉である彼女はたじたじとし、桃はみほという標的から彼に標的を変えると、これを待っていたと言わんばかりに水野が一気に杏の前まで歩み寄る。
当の杏は少し顔を引きつらせるが、それでも怯まずに今度は水野に声を掛けた。
「ち、因みに君たちが言う大友連合会は何人くらいいるんだっけか?」
「俺を入れて一八九〇人ですよ。一人の女性を狙うより、俺たちのように経験豊富なメンバーを集めた方がいいんじゃないすか?まあ、千人の構成員は越えていますが。高校生で大洗学園に居るのは、十五人くらいなんですけどね。うちの本部長の秀人が言ったみたいに俺たち大友連合会は全員みほ姐さんやその周りの人たちの味方ですから、もし姐さんや親分に何かあったら俺たちが黙っちゃいませんよ。さて、角谷会長。どっちが損か得かよーく考えた方が良いと思いますがね」
彼は、可愛い顔とは裏腹に何らかの圧が入ったトーンで彼女に対してそう言うと同時に大友や彼をはじめとする幹部たちは何らかの圧が入った笑顔で一斉に杏を見つめる。
「……あははっ。と、とりあえず西住ちゃん。強制はしないから履修は考えておいてねっ!小山、河嶋。帰るよ」
杏は額から少し汗を流しながら柚子と桃を連れて逃げるようにしてA組の教室から出ていくのであった。
四人の幹部は、勝ち誇った表情で出ていった三人の背中を見つめている。
大友はしばらく三人を見つめた後、みほや他の三人に頭を下げた。
「みほ姉貴、お騒がせしてすみません。戦車道に関しては俺らが全力でやり抜きますんで、みほ姉貴は自分の好きな授業を取ってください」
「……誠也君。いつも私を守ってくれてありがとう。水野君や木村君、安倍君。それに本部長さんの秀人君もありがとう」
「えへへっ。みほ姉貴にそう言っていただけるとこちらこそありがたいです。そうだ。秀人から情報があるんです」
大友は秀人から渡されたメモ用紙を見ながらみほの左側に立つと、中腰の姿勢になって耳打ちした。
「(みほ姉貴。放課後、生徒会は戦車道に関連する宣伝を行うために全校生徒を招集します。事情は今のところ分からないんですが、単位三倍と遅刻見逃しと食堂無料券の特典付きみたいです。なので、生徒会からの招集は無視してもらっても構いません)」
「そうなんだ。親切にありがとう」
「それが舎弟ってもんですから」
みほが優しく微笑み掛けると同時に彼は照れくさそうに頭を下げた。すると、水野が気まずそうな表情で大友の肩を軽く叩いた。
「親分、今の騒ぎで周りの視線がえらいことになっていますし、休み時間もあと十分しかありません。そろそろ引き上げませんか?」
「そうだな。みほ姉貴、また放課後迎えに来ますんで」
大友が教室と外の廊下に目をやると、他のクラスの女子生徒も集まったのだろう。
大半の生徒が自身の両手を合わせてドラマの感動シーンを見るかのように目を輝かせながら彼と四人の幹部を見つめている。
「他の皆さんもお騒がせしました。それでは、みほ姉貴失礼します。皆、帰ろう」
五人は集まっていた群衆達に頭を軽く下げると、教室から足早に出ていくのであった。
「みほもなんだかんだ言って色んな子達に慕われているじゃんっ!」
「みほさん、良かったですね。かわいくてかっこいい舎弟さんをお持ちで」
「大友殿とその兄弟分の皆さん……いい人達ですねっ!」
「ありがとう。三人にそう言ってもらえると私も嬉しくなってきたな」
みほの顔にはもとの純真無垢な笑顔が戻り、四人の少女は再び会話を楽しむのであった。そして、この時彼女の心にはある”一つの志”が灯ろうとしていた。
放課後となり生徒会による招集のアナウンスが流れている中、大友とみほは潮風が香る通学路を共に歩いていた。彼女が『おいらボコだぜ』の鼻歌を機嫌よく歌いながら歩いているそばで、彼は秀人と通話をしている。
大友は、生徒会の三人が何か不審な動きをしないか警戒しており。生徒会員の一人である彼に頼んで生徒会の情報収集を行っていたのだ。
「どうだ。秀人、何か情報はないか?」
『……はい。とんでもない情報を耳にしました』
「何だそりゃ?詳しく話してくれないか」
『実は……この学園艦もとい大洗学園高校が戦車道大会に優勝しないと廃校になるみたいなんです。なので……このことはみほ姐さんには……』
「そうか……ありがとう」
大友は、彼から聞いたこの一言で持っていた携帯電話を落としそうになった。
だが、すぐに怯む彼ではなかった。むしろ大友にある闘争心に火をつけたのであった。
「(みほ姉貴が幸せになろうとしているのに、今度はそう来たか。誰がそうするかって決めたかは知らねぇが、俺はこの学校そして、みほ姉貴を護り抜くぞ……)」
そう考えている内に、みほの部屋の前に着いた。本来ならここで別れを告げて自身が寝泊まりしている自宅兼組の事務所に帰るのだが、今日は違った。
「ふふっ。誠也君♪」
「はい。何ですか?」
「今日は家に泊まって欲しいんだっ!」
「はい?俺がですか……俺なんかで良かったらどうぞ」
「やったーっ!ありがとう」
姉貴分といえど、そこは待ってくれと言いたい大友だったが。せっかく元気になったみほのテンションを下げたく無かったのだろう。特に何も考えずにそれを快諾するのであった。
それからさらに夜が更けていき、時計の針が午後十時三十分を指そうとした頃、彼女から履修科目に関する話題が出てきた。
「あのね誠也君。私、履修する科目なんだけどね……」
「ええ、何にされるんですか?」
大友は、みほが履修する予定の科目について少し楽しみにしていた。
彼としては今まで強制されてきた戦車道から離れて新しいことをやり始めたら応援する気でいた。しかし、それは逆の方向に進むのであった。
「あのね……私、新しい戦車道を見つけようかなって思っていたんだ」
「へ?」
大友の口から思わず間抜けな声が出る。それも構わず、みほは続けた。
「実はね。武部さんや五十鈴さんそれに、秋山さんも戦車道を取るみたいなの。始めはもう戦車道なんかやりたくなくてここへ来たんだけど、今日五十鈴さんが誠也君に言ったみたいに”やり直すためにここへ来た”の一言と今日の五人の行動を見て、新しく変わることも大事なんだなって感じたから……私、自分の戦車道を見つけるために戦車道の授業を取ることにするわっ!……ってせっかく守ってくれたのにわがままな事を言ってごめんね」
「いいえ、それでいいんですみほ姉貴。貴女の好きな道を行けばいい。俺はそう思います。ゼロからやり直して無名校による強豪校に対する下克上なんてかっこいいじゃないですか。是非、ついて行かせてもらいますっ!みほ姉貴っ!」
彼は彼女の戦車道復帰の言葉を聞いた瞬間、さらに嬉しくなって思わず彼女の手を握る。
すると、みほはそのまま大友の左腕を軽く抱きしめ、そのまま桜色の麗しい唇を彼の左頬に優しく重ねて七秒ほどキスした。
「み、みほ姉貴っ?!それは……」
「ふふっ。誠也君かわいい♪今まで付き合いが長かったのに一回もしたことがなかったから。今日という今日はいいかなって思ったの!」
「ははぁ、そうですか」
大友は今日、彼女による二回の大胆な行動に度肝を抜かれそうになっていたが。
すべて舎弟として親友として受け入れようという結論に至ったのである。こうして更に夜が更けようとしていたのであった。
ありがとうございました!次回は第三話を投稿する予定です。
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