西住みほの舎弟が往く!ーたとえ世界が変わっても貴女についていくー   作:西住会会長クロッキー

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ご覧いただきありがとうございます!原作とは違い。五十対五十にしてみました。引き続きお楽しみください!


第三十一話 大洗・江城連合チームVS統心・大学選抜連合チーム戦始まります!

大洗連合チームは、戦車道男子が蚊帳の外に出され。五十対三十という数的不利な状況に置かれていたものの。

試合が始まる直前、不穏な空気に包まれていた戦車道乙女達の不安を打ち破ることが起きたのであった。

みほとまほが連合チームを代表して。大学選抜チーム隊長の愛里寿と統心機甲団総統、辻と挨拶を交わそうとした瞬間にそれは起きた。

 

「待ってください。新たに大洗連合チームと合同を組むチームが今到着し、現場に向かっています。名は……こ、江城連合会?」

 

「え?(江城連合会ということはまさか……)」

 

蝶野が新たに大洗連合と合同を組むチームの名を呟くと、不安に染まっていたみほの表情が徐々に明るくなったと同時に大洗連合チームのメンバーが待機する方角から合わせて十九輌の戦車が現れ。

その中には、大洗学園戦車道チームの副隊長・大友誠也をはじめとした戦車道男子の姿もあり。

戦車道乙女達が喜色に溢れた声を上げる傍ら。十九輌の戦車は、みほとまほの後ろに停車し。

E-25から大洗学園のパンツァー ・ジャケットに身を包んだ大友が降りて来るなり。みほを優しく抱きしめる。

 

「みほ姉貴、お待たせして申し訳ございません。ただ今お助けに入ります」

 

「……っ……っ……誠也君!ありがとう……」

 

みほは舎弟たる大友が戦友達を連れて参戦してきた事が嬉しかったのだろう。思わず泣きながら抱き返す。

呆気にとられているまほの前に現れた柏間は、彼女に頭を下げるなりこう言った。

 

「俺たち戦車道男子も参戦する。もうすぐお盆だから屈強なお中元達を連れてきたぞ」

 

『『よろしくお願いします!!』』

 

「ああ。ありがとう」

 

柏間の言葉に合わせるようにして他の幹部達は、回れ右をして。後方で待機する戦車乙女達に頭を下げる。

 

「江城連合会の参戦ですか……ところで君達の会長は?(やはり来たな。我が機甲団で捻り潰してくれるわ)」

 

「それならもう来ます。おっと……噂をすれば何とやらです」

 

辻は彼らを束ねる会長の存在が気になったのか、みほの手を握っていた大友に話しかける。

彼が後ろの方を指差すと、待機する戦車道乙女達の後ろから悠々と走る一輌のコメット巡航戦車が現れた。

 

「桃ちゃん!あのコメットはまさか……」

 

「そ、そ、そ、そんな!!そんな事があって良いのか?!」

 

「そうよ!あのコメットは……」

 

「「よかったね!そど子!!」」

 

柚子がその存在を確認すると、いてもたっていられない程嬉しくなり。桃とそど子に至っては現実を直視出来ていないのか、パニックになり始める。

ゴモヨとパゾ美は、柚子と同じように嬉しくなってそど子を囃し立てる。

間も無くしてそのコメットがみほや大友達の前に停車すると同時にキューポラから現れたのは純白の特攻服に包んだ少女のような容姿をした黒髪の少年……桐村遥馬だった。

この時の桐村の表情は、普段の彼から考えられないくらい凛々しくなっており。その凛々しさに色を加えるかのように特攻服の背中には、大空を飛び回らんとする応龍の刺繍が施されていた。

彼はみほとまほに軽く頭を下げた次に辻の目を直視してゆっくりと口を開く。

 

「九代目江城連合会会長、桐村遥馬だっ!!これより江城連合会は弱気を助け、強気を挫く任侠精神のもと。大洗連合指揮下に移る!!」

 

「ほぅ。良いでしょう。審判長、私は参加を認めます。島田大学選抜チーム隊長は如何なさいますか?(待っていたぞ。桐村遥馬。君こそ抑えられれば、此方が勝ったも同然)」

 

「丁度、五十輌対五十輌となるため。参加を認めます(遥馬お兄ちゃん。やっぱり来てくれたんだ)」

 

「分かりました。辻総統と島田隊長の了承を得たため。江城連合会の大洗連合参加を認めます。早速ですが。一同、礼っ!!」

 

こうして江城連合会一門が大洗連合に加わった事により。互角の戦力となった両者であった。

この時、辻は相変わらずのように内心でドス黒い我欲をぶちまけていたのだが。そんな彼にも終わりの時が近づこうとしていたのだった。

 

 

 

大洗・江城連合チームの主だった面々は、チームの再編成を兼ねた作戦会議を行なっていた。チームの再編成はお互いの意見を譲り合ったり応用を重ね合ったりしていたためか。円滑に進みつつあった。また、フィールドの東西の平野や中央部の丘陵といった三方向から攻める『こっつん作戦』まで取り決められた。

さて。乱雑な表記ではあるが、大洗・江城連合チームの編成は以下の四中隊に分かれた。

 

たんぽぽ中隊:Ⅳ号(H仕様)、E-25、KV-122、コメット、チャーチル、マチルダ、P43ter、Pティーガー、B1bis、三式中戦車・チヌ改、P40、M4A1・FL10、クルセイダー

 

ひまわり中隊:ティーガーⅠ、ティーガーⅡ、パンターG型、44Mタシュ、M16/43サハリアノ(佐谷車)、Ⅲ号突撃砲(G型仕様)、五式軽戦車・ケホ(安倍車)、LTTB、T-34-85×二輌、IS-2、KV-2、M51スーパーシャーマン、セモベンテ

 

あさがお中隊:九七式中戦車・チハ改×二輌、五式中戦車・チリ、四式中戦車・チト、特三式内火艇、M4E8、シャーマンファイアフライ、M4A1、M18・スーパーヘルキャット、M3Lee、T-40中戦車、MK.Ⅳ、五式砲戦車・ホリ

 

どんぐり中隊:ヘッツァー、T-50-2、八九式中戦車、strv/m42、C.V.38、五式軽戦車・ケホ(福田車)、BT-42、M16/43サハリアノ(西田車)

 

こうしてどのチームも公平な戦力分けとなり、大学選抜チームと統心機甲団が保有する強力な戦車に対抗できるようになっていた。

 

「それでは、こっつん作戦ということでよろしくお願いします。最後に会長の遥馬君をはじめとする江城連合会の皆さん改めてありがとうございます」

 

「こちらこそ皆さんのお役に立てて良かったと思っています。今日ここに参加している江城連合会一門は皆、文科省がしでかした筋の通らない事や義理を欠いたことに対するケジメも兼ねてやってまいりました。粉骨砕身努めさせていただきます」

 

作戦会議も閉幕しようとした頃、みほが江城連合会の面々に向かって改めて感謝の言葉を口にすると会長の桐村が謙虚な姿勢で応じながら大洗救援に臨んだ真意を彼女に伝えたのであった。

 

「相変わらず君らしいな遥馬君。来てくれて嬉しいよ」

 

「右に同じくそう思いますわ。まさか貴方と手を組める日が来るとは」

 

その傍らで大友を始めとする他の組員達も同じ真意を表すかのように静かに頷いている。

まほやダージリンといった各校の隊長達も桐村の一言を真剣に聞きながらもどこか安心した表情になっていたのだった。

間もなくして作戦会議は終了し、各校の隊長や江城連合会の幹部たちが作戦会議を行っている部屋から出ていく中、みほと大友は静かにお互いを見つめ合っていた。

 

「誠也君、どんな時でも嫌な顔をせずについてきてくれて私はすごく嬉しいわ。ありがとう!」

 

「みほ姉貴についていくと決めた日からそう心に決めたんです。それに廃校撤回の義理を欠いた落とし前をつけてみんなでもう一度学園に帰りましょう」

 

「そうだね……誠也君。私は友達のみんなや助けに来てくれた人達の為にも絶対に勝ちたい。それに愛してる誠也君と愛し合える日を取り戻すためにも絶対に勝とう」

 

「ええ。俺はみんなや貴女の為なら絶対に勝てる気がします。絶対に勝ちましょう」

 

「気が早いけど……私とキスしてくれないかな誠也君」

 

「いいですよ。お互いの健闘を祈りましょう。愛していますみほ姉貴」

 

「私も愛してるよ誠也君」

 

二人は自分達が持っている意志を静かに語り合った後に愛する気持ちをお互いに語り合いながら。身体を抱き合い、そして自身の唇を優しく重ね合ってキスした。

キスを終えて手を繋ぎ合うと、静かに立ち上がって仲間たちのもとへ向かって行くのだった。

 

 

 

銘王造船株式会社代表取締役、木下恒雄こと倉橋行雄は警察庁捜査二課の警部である鬼瓦や刑事の千葉や須藤の問い詰めに遭っていた。

無論。辻と協力し、大洗学園の乗っ取りだけでなく各校の精鋭たちを引き込もうとした事が裏目に出たほか。子会社の内部告発といった動かぬ証拠が出た以上、逃れることは出来なかった。

何せこの三人が廃校問題以前から彼らの行動を注視していたこともあっての事だった。更に倉橋を驚かせる一言を鬼瓦は放った。

 

「お前、ここまで私に追い詰められてまだ分からないのか。お前が二十二年前に顔と名前を変えて今日まで生きて来たことだって知っているんだ。まだあんな事を引きずっているのか」

 

「鬼瓦警部。あなたふざけているのですか?私の罪は認めましょう。しかし、私の何を知っているんだ?」

 

「ここに全部書かれているぞ。エリート官僚だった神宮征四郎の父を通じて司法取引を行い。倉橋行雄から木下恒雄へと名前を変えた事をな……」

 

「なっ?!今になってなぜそれが……どうやってそれを!!」

 

鬼瓦が懐から取り出した一枚の紙を手にすると、倉橋は絶句した。なぜなら自身の名前や両親の名前だけでなく。同じように顔と名前を変えた辻こと神宮とその両親のサインまで書かれたものであった。

倉橋は冷静さを失い。喚き散らしながら鬼瓦を睨みつける。

 

「ようやく正体を現したな倉橋。さぁ、どうして大洗学園を巻き込むような事をしたんだ?」

 

「もう捕まる以上話すしかないな。全てはあのお方の理想の為だ。ただそれだけだ」

 

「本当にそうなのか?一度まともに更生し、戦車道に少しでも貢献したお前のことだ。"あの事故"をきっかけに辻いや神宮とまた手をとりあったのだろう」

 

「ふんっ好きに解釈しろ。もはやこれまでだ。全ての容疑は認める。だから逮捕しろ。もし、あの人に会う機会があるなら申し訳なかったとだけ伝えてくれ」

 

倉橋は再び暗闇に身を落とした本当の理由を鬼瓦に語らず。唯一無二の親友である神宮を最後まで悪く言うことは無く。

再び犯した自身の過ちを受け止める真摯な姿勢で鬼瓦に両手を差し出すと、早速手錠がかけられたのだった。

須藤に連れられて社長室を出てもなお。その姿勢を崩すことは無かったそうだ。

 

「警部。今入った連絡ですが、辻は子供達を伴って大洗学園と試合を開始したようです。頃合いを見て検挙しますか?」

 

「……そうだな。今は辻の野望に抗う子供達に任せるしかないか。早く現場に向かうぞ」

 

「今回の件、同情できるような出来ないような……警部、俺は複雑になって来ました」

 

「自分でも調べているうちにあの悲しい事故に当たるとは……千葉君。現場へはヘリで向かうぞ」

 

「はい。ヘリでも三時間ほど掛かりますが、何とか急いでみます」

 

こうして倉橋という辻の腹心を捕らえた鬼瓦達は、双方の連合チームの戦いが始まると同時に本丸である辻を捕らえようと試合会場へと向かうのであった。

その一方で真相を知る由がないみほや大友、他の戦車道少年少女らは興廃が懸かった戦いに身を投じていたのだった。

 




ありがとうございました!次回から戦闘メインの第三十二話を投稿いたします!
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