西住みほの舎弟が往く!ーたとえ世界が変わっても貴女についていくー   作:西住会会長クロッキー

34 / 35
お久しぶりです!第三十四話になります。
それでは、どうぞ!


第三十四話 決戦!遊園地大乱闘です!

辻の逮捕によって中断されていた試合が再開され。大友連合会一門とどんぐり中隊の面々は同じくたんぽぽ中隊やあさがお中隊、ひまわり中隊といった全ての中隊と合流し、遊園地跡に向けて移動していた。

 

「どんぐり中隊の皆さんや江城連合会の皆んな。それに誠也君が戻って来てくれよかった……」

 

「心配をお掛けしてすみません。こちらこそみほ姉貴がご無事で何よりです。九代目、大宮君。みほ姉貴を守ってくれてありがとう」

 

「どういたしまして。他のたんぽぽ中隊の皆さんのおかげで俺も何とか持ち堪えることが出来ました。それにカズが最先鋒に立って牽制してくれたおかげでもあります」

 

「会長にお褒めの言葉を頂けるなんて光栄です。やっぱり自分が乗る戦車の性能や実力を最大限に活かしきらないと意味がないですから」

 

「二人とも誠也君がいない間バックアップしてくれてありがとう!おかげでこっちも戦いやすかったよ」

 

「いえ。西住大隊長や同じⅣ号の通信手さんのおかげ敵の攻撃を避けきる事が出来ました」

 

大友が乗るE-25や桐村のコメット、大宮のM4・FL10がみほのⅣ号戦車を囲むように前進している中、四人の間で会話が行われていた。

曇り空でありながらスクエア型のサングラスを外さずに砲塔の弾倉に砲弾をなれた手つきで素早く装填している大宮は謙虚な態度でみほと会話している。

 

「そういえば大生君だったかしら?一通りの動きは問題ないから期待しておくわ。同じく重装甲を有しているタシュなんだから攻めに徹して他のチームの防御を固めるようにした方がいいんじゃないかしら(……この子は何処かで見た気がするわ)」

 

「あっはい。ありがとうございます。逸見さんや皆さんのご期待に沿えるよう頑張ります」

 

車列の中間で並走していたティーガーⅡに搭乗するエリカは、44Mタシュに搭乗する堂島に既視感を抱きながら彼に対する期待を交えながら助言する。

堂島はエリカが自分に対して期待してくれた事が嬉しかったのか。ころころ笑いながら彼女に感謝するのだった。

 

「高校生戦車男子の期待のホープが二人も居るわね。ふふっ。それにどこかの誰かさんみたいに可愛らしい見た目ね」

 

「二人とも良い目をしているし。何より可愛らしさもウチの拓実や誠也君と同じくらいだ。とは言っても大宮君はサングラスで表情がよく分からないが……」

 

「そうね。へいっカズ!どうして曇り空なのにサングラスなの?」

 

「この方がやる気が出やすいので。それにそんなに見つめられると調子狂いますわ……」

 

二人の戦車男子の会話を耳にしていたダージリンやアンチョビ、ケイが二人の可愛らしさが残った容姿と姿勢が気に入ったのか。

三人で大宮と堂島の見た目について話し合っていると、ケイが装填を終えて一息ついていた大宮に声を掛ける。

対する彼は照れながら本当の事を誤魔化すのだった。

 

「そんで。三上さん。俺ら戦車男子は先陣を切る形で遊園地に行く予定やけど。さっきのどんぐり中隊みたいに俺とカシラの良夫が偵察に行くから三上さんと柏間のカシラ達で先導の方を頼んでええか?」

 

「おう。兄弟ら佐谷組に任せるわ。修太郎。一応いつでも撃てるようにしとこか」

 

「分かりました。みんな全周警戒を継続しつつ。攻撃態勢を取るんだ」

 

『はいっ!』

 

佐谷と西田が搭乗する二輌のサハリアノ快速戦車が大隊から離れて行く傍らで江城連合会幹部達の戦車は攻撃態勢を取りながら全周警戒に入るのであった。

 

 

 

大学選抜チームと辻が居なくなった統心機甲団連合チームの一部は、遊園地方面に敵が向かっているとの情報を得て前進していた。

そんな中、二輌だけとなった統心機甲団の伊庭と吉良が搭乗するT-44-100とSU122-44が大学選抜チームの切り込み部隊に混ざって前進していた。

 

「伊庭君と吉良さんやったか?二人ともさっきの戦いは見させて貰うたで。流石社会人チームに渡り合えるくらいの実力を持っとるだけあるのう。今頃、敵は遊園地跡で陣地を築いとるやろうからそれを破壊するのがワシら切り込み部隊や。いきなり突っ込めとは言わん。高火力なワシのチャリオティアの援護射撃のもと先行するT28が突入する算段や」

 

「分かりました。では、僕は他のパーシングに搭乗する皆さんに混ざって突入したいと思います。玲名、嶋野さんと共に援護射撃を頼む」

 

「ええ。混乱に乗じてチャンスを伺うわ」

 

伊庭と吉良に嶋野と呼ばれる男こと『嶋野太志』は、現大学選抜チーム内一の武闘派としてその名を轟かせている人物だった。

彼の功績を簡単に語るのであれば、戦車道が男女再混合化された際に混迷を極めていた戦車道界隈を平定した立役者の一人であり。

大胆にも入学した学校では切り込み隊長を務めてその学校を準優勝に導いたという功績があるのだ。

また、江城連合会の佐谷組組長の佐谷吾郎やその系列の安斎組の安斎拓実の出身母体である元・嶋野連合の会長だったことから。

経験豊富な彼は、晴れて大学選抜チームの一員として迎え入れられたのだった。

 

「ぐふふっ。今日こそ三上や柏間、佐谷、安斎そして大友ぉ。白黒つけたろうやないか。お嬢、突入ならいつでもできまっせ」

 

「了解。太志の突入に合わせる形でアズミやメグミ、ルミ達も向かわせる」

 

「そら。助かりますわ。ほな、失礼します」

 

かつての兄弟分や子分達の名前を呟きながら濁った笑い声を上げつつ。愛里寿と交信を終えると、吉良と共に見晴らしが良い丘に布陣して狙撃の態勢を整えるのであった。

 

「ふふっ。嶋野くんこっちはメグミとルミとお取り作戦に出るから。派手に頼んだわよ」

 

「任せなはれ。ワシがあんガキ共をいわしたるさかいな。楽しみにしといてくれやアズミはん」

 

大学選抜チーム側はバミューダ三姉妹が戦車から排出される煙幕を使った欺瞞作戦の援護のもと、嶋野は自身が率いる男子チームと伊庭と吉良による切り込み部隊による東通用門奇襲を敢行しようとしていたのだった。

 

 

 

一方その頃、ペパロニと搭乗している戦車を交換したアンチョビはC.V.38軽戦車から双眼鏡を片手に身を乗り出してジェットコースターの上から敵の動向を他のチームメンバーに知らせていた。

 

「何であそこまで戦力を集中させるんだ?いくら正面装甲が強固なパーシングでも正面から突っ込めば袋のネズミなのに……」

 

「ドゥーチェ、敵の位置は判りますか?」

 

「そうだな。敵主力と思われる部隊は南正門に集中している感じだな。部隊の割合的にも八対二いや、九対一か?他の門は防衛に徹したのちに南門の援護に回った方が良いと思うな」

 

「ドゥーチェ。やっぱりおかしいですよ。さっき雨が上がったばかりなのにそこまで土煙が上がるはずなんて……」

 

「……そう言うことか!これは土煙じゃない戦車の排気ガスによる煙幕だ!大隊長、これは陽動作戦に違いない!」

 

西門で絹代らと共に防衛に当たっているカルパッチョがアンチョビとのやり取りで今までの戦闘の過程を思い出したのだろうか。

その事を指摘すると、アンチョビは考え込んだ後に東通用門や西門、北門を防衛するメンバーに危険が迫っていると理解したと同時にみほに対してその事を伝えたのだった。

 

 

 

西門では、絹代のチト車の左右に展開するチハ改に登場する細見と玉田が敵を待ち構えながらもいきり立っていた。

現在、西門を防衛するのは絹代をはじめ。細見や玉田、福田、柏間、安倍、典子、木村、長瀬といった面々だった。

 

「くそ憎きパーシングめ……ホリ車の城戸殿(柏間組若頭)の仇を取る為に突撃してやる!」

 

「右に同じく。ここは損得勘定なしに突撃!」

 

「………」

 

「福ちゃん、どうしたんだ?お前さんらしくねえな」

 

仲間を撃破された事にいきり立つ彼女らの傍で福田は考え込みながら俯いていた。

それに気づいた柏間が気遣って声を掛ける。その途端、福田が声を張り上げた。

 

「お叱りを承知で申し上げます!!仲間の仇を取るならば相手の意表を突く動きをすべきだと思います。いたずらに突撃してしまっては、それこそ仇討ちどころか共倒れの死に損ないであります!」

 

「福田……今はお前の提案に乗ろう。お前に策があるんだな」

 

「大丈夫だ福ちゃん。みんなで一丸になろう」

 

福田のこの一言によってこの後、敵の意表を突く戦いが繰り広げられる事になるのであった。

 

 

 

その頃、北門では混乱が生まれていた。敵部隊が突入してきた際、突入してきた戦車をM24チャーフィーと勘違いしたローズヒップのクルセイダーが突っ込んでいった先にはT28駆逐戦車そして、今回の試合において試験的な運用がなされるであろうチャリオティアが陣取っていたのだった。

 

「はっはっはっは!やっと会えたなぁ。佐谷ぃそれと安斎!今日こそ白黒つけようやないかっ!」

 

「「嶋野の親父っ?!」」

 

チャリオティアのキューポラから身を乗り出す嶋野は、甲高い笑い声を上げながら佐谷と拓実に対して挑戦的な態度を取る。

 

「これはアカン……吾郎、拓実!早う逃げや!」

 

「親父!兄貴、早く逃げてください!」

 

ここで三上と佐谷組若頭の西田が彼ら二人の戦車の前に出てチャリオティアの後方から展開しようとしていたパーシングを一輌撃破したものの。

T28とチャリオティアによって三上のスーパーシャーマンと西田のサハリアノが撃破されるのだった。

こうして再び激戦の火蓋は切って落とされた。

 

 

南門では敵戦車が四輌であるということが判ったのか、まほのティーガーⅠとカチューシャのT-34-85が中央広場や東通用門の仲間の元に向かい。

エリカのティーガーⅡや堂島の44Mタシュ、ノンナのIS-2は四輌いる敵戦車の撃破に向かった。

 

「行くわよ大生くん!あなたは右側を頼んだわ!」

 

「分かりました。砲手、車体側面を狙え!」

 

「逃しません……そこね」

 

ティーガーⅡや44Mタシュ、IS-2は一旦別れるとすれ違いざまでの砲撃を行い各個撃破するのであった。

瞬く間に撃破されたパーシングの姿を見たチャーフィーが回れ右をして後退しようとするのだが。

ノンナが搭乗するIS-2から逃れることが出来るわけなく。右折しようとしたところそのまま撃破されたのだった。

 

 

みほや大友、まほといった主だった面々が中央広場から舞台跡に追い詰められた仲間達のもとに着いた頃には、数十輌の仲間の戦車達が敵によって完全包囲されており。

今にも一斉に撃破されるかもしれないという状況であった。また、この状況に陥る間にも西門の防衛に当たっていた長瀬の特三式内火艇やお銀達のMK.Ⅳが撃破されている。

 

「どうしよう皆んなを助けなきゃ……」

 

「くそっ。こっちは二輌だけだぜ梓ちゃん。突っ込むにしろこっちが蜂の巣にされちまう」

 

梓と水野が試行錯誤して包囲されている仲間の救出を考えていると、紗希が梓の肩を静かに叩く。

 

「紗希。観覧車の方を指差してどうしたの?」

 

「観覧車……ミフネ……」

 

『『それだっ!!』』

 

「おう。お嬢ちゃん。お坊っちゃん、えらい盛り上がってるやんけ」

 

「私達にも何か手伝わせて!」

 

梓達ウサギさんチームと水野達ヤマネコさんチームが包囲されているチームを救出する打開策を思い立ったと同時に後方から佐谷のサハリアノが小梅のパンターを伴って現れた。

 

 

 

一方、大学選抜チームの主力に包囲された面々は包囲する戦車が出す威圧感に圧倒され。

身動きが取れないでいた。さらに恐怖心を煽ろうとした嶋野がキューポラから身を乗り出して高笑いしながら柏間や浜崎、大宮、平形、黒木といった面々に語りかける。

 

「お前ら。防御固めて殲滅を図ろうとしてたみたいやけどなぁ。そんなん裏の裏までお見通しや。せやろ、大平?」

 

「あ?あんた今なんて言うた?」

 

嶋野は大宮の名前を未だに覚えきれていないのか。彼の名前を読み間違えてしまう。

その瞬間。大宮は今までにない威圧的な一言を放つと同時に掛けていたサングラスを外した。

サングラスが外れた瞬間、無理やり力んでいるであろう可愛らしい顔で嶋野を睨みつけているのが戦車乙女達の目に止まった。

 

「「(やだっ……あの子可愛い……)」」

 

しかし、そんな空気を大宮張本人が引き裂く。

 

「あんたいい加減ワシの名前を覚えろやっ!!ワシの名前は大平やない大宮じゃコラァ!!ついでに三上の親父の仇も取ったるわ!!」

 

「ほう。相変わらず威勢の良いガキやのう。よっしゃ砲弾の雨降たるわ!」

 

大宮と嶋野のやり取りが双方のチームの運命を決めたといっても過言ではなく。

嶋野のチャリオティアが前に出て彼のM4・FL10を砲撃しようとした瞬間。後ろから轟音が聞こえて来る。

 

「嶋野さん!観覧車が後ろからぁ!」

 

「何やと?!」

 

嶋野がメンバーの一人に言われて気付いた頃には、観覧車が一人でに坂を転がって自分達の方にめがけて向かってきているということだった。

これによりチーム内に動揺が走り。

大洗連合チームの包囲殲滅どころでは無くなったのであった。

 

「よしっ!敵は混乱しているな。そのままマガジンの砲弾を撃ちきれっ!撃てぇ!」

 

T-40中戦車の水野は砲手の塚原にそう言ったと同時に観覧車をうまく避けきったM3Lee、サハリアノ、パンターから砲撃が開始される。

混乱していた何輌かのパーシングの車体上面装甲が狙撃に徹していた四輌によって撃破され。

この瞬間、一気に大学選抜チーム側の数が減ったのであった。

 

「やってやるやってやるやーってやるぜ」

 

混乱する大学選抜チーム側に希望の光が灯されたというべきだろうか。愛里寿の可憐な声が各車に鳴り響くのであった。

いよいよ。この戦いも最終局面に向かいつつあった。

 

 

戦いはさらに激しさを増していた。各チームが再び分散し、それぞれの戦いに臨んでいた。

ある者は他校の盟友や恋人との息の合った連携で敵を翻弄し、またある者は途中で撃破された仲間の仇討ちの為に「やられたらやり返す」の志のもと戦車乙女達と連携して奇想天外な方法で撃破しながらも共に数を減らしていた。

 

「さて、みほ姉貴達はバミューダ三姉妹の御三方や愛里寿ちゃんとおっぱじめたか……」

 

他の仲間が戦っている中、大友は伊庭や吉良と対面していた。対する彼と彼女も静かに見つめて勝負の開始を待ちわびていた。

 

『『戦車前進!!』』

 

今、大友は"みほの戦車道“を支えた者の一人として自身の信念のもと動き始めた。

愛するあの人の為……そんな想いが今の彼や彼と同じE-25に搭乗する村川や山本、我妻にも溢れ出ていたのか。

彼ら自身が驚くほど一輌で社会人チームと張り合える同レベルの者達が乗る二輌の戦車を圧倒していた。

E-25には砲塔が付いていないだが。相手が固定砲塔だろうが普通の砲塔が付いていようが今の彼らは止められない。

だが、相手も二対一という状況を利用して攻撃を何度も避け切るたびに包囲を重ねて来る。

はっきり言ってお互いのパターンが読めない戦いだった。それでも戦いにはいつか終わりが訪れる。

微妙なタイミングのズレだったというべきだろうか。再びE-25を包囲しようとした次の瞬間、一か八かでT-44-100の車体側面に砲撃を浴びせて撃破する。

そして、全速力で左後ろに後退してSU-122-44の車体後部にも砲撃を浴びせて撃破する。

 

『大洗連合チーム残存車輌八輌、大学選抜チーム残存無し。勝者、大洗連合チーム!!』

 

半日にも満たない短くも濃い戦いはこうして終わった。

 




ありがとうございました!
次回で最終話になります。
評価やご感想、お気に入りへの登録などお待ちしております。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。