西住みほの舎弟が往く!ーたとえ世界が変わっても貴女についていくー   作:西住会会長クロッキー

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ご覧いただきありがとうございますっ!
今回も原作とは異なる点や一部の原作登場人物のキャラが変わっているかもしれません。
引き続きお楽しみください!


第五話 ドタバタと戦車との対面です!

翌日、戦車道を選択した履修者達がかつて大洗学園高校が女子校時代に戦車道で使用していた倉庫の前に集合していた。合計二十七人の履修者+大友連合会の幹部達である。この構成員達を含めると合計四十二人が戦車道の授業に集まったということになる。

 

「誠也君どうしたんだろう。遅いな」

 

「あれ?今日は大友殿と一緒に来なかったのですか?」

 

「今日の朝は忙しいと言ってたからどうしたんだろう」

 

珍しく自身の舎弟が一緒に居なかったことに、みほは違和感を感じて優花里と何気ない会話をしている。すると、周りにいた生徒たちは聞きなれない音がしたため。

その方向に目を向けると、四台の黒色の国産高級車が一輌の駆逐戦車を囲んでそのまま生徒たちの方に向かって来るので、その場にいた全員はその光景に見とれている。

 

「わーいっ!デ〇レンジャーみたい!」

 

「戦車と高級車って……なんか映画みたい!」

 

「何々?なんかの撮影?」

 

「に、西住殿っ!幻のE-25ですよ!」

 

一年生の一人である阪口桂利奈の一言をきっかけに、近くにいた山郷あゆみや大野あや、優花里達がそう言い始める。四人が盛り上がっているうちに、E-25と四台の自動車は興味津々に見つめていた生徒たちの前で停車し、それぞれの自動車から合わせて約九人の少年が降りて来る。

風紀を遵守した模範生とばかりにきちんとした状態で制服を着こなし、襟元には自身が率いる組織の代紋のプラチナバッジを身に付け。

いかにもベテランといった感じのオーラを身に纏っており、登場までは決まったのだが……狐の子は面白というべきだろうか。彼らの会長のように全員がショタといわれる容姿に該当していた。

当初こそ驚いていた全員であったが。彼らを見ているうちに乙女たちの表情が変わっていき、桂利奈達と同じく一年生であった宇津木優季の一言によって彼女達は皆、完全に同じ言葉を口にした。

 

「もぉ。そんな演出して……おませさんなんだから~可愛い♪」

 

『は……はい?』

 

『本当だ。みんな可愛い(のであります、にゃー、ぴょ、もも、ぜよ)!!』

 

予想外の出来事に困惑する大友連合会の幹部達の表情などそっちのけに、彼女達はたじたじとする彼らを一瞬で取り囲む。

 

「ん?何の騒ぎだ……っ?!」

 

「本部長、外の様子を見てく……」

 

まだ車内にいた秀人と慎司の二人はそれぞれの姉に車から引きずり降ろされ、全員の前に突き出される。

 

「ひでくん。今日は、オールバックと伊達メガネにしてないから偉いわっ!」

 

「ちょ、待ってくれ柚子姉ぇ!」

 

「これが私の双子の弟、シンちゃんだよ~」

 

「た、妙子姉ぇ。胸近いっ!てか、当たってるっ!」

 

バタつく二人はこの行動で墓穴を掘ったというべきだろうか。注目の的はこの二人に向く。

 

「副会長と手を繋いでいる子ってもしかして広報補佐の小山秀人君?いつもと全く違うね。それに、近藤さんが頭に胸を乗せている子が慎司君?」

 

一年生メンバーをまとめている少女、澤梓は二人の正体を言い当てる。彼女がそう言ったためか他の一年生たちはまじまじと彼ら二人を見つめる。

 

「本当だ。よく見たら秀人君ってお姉ちゃんの小山副会長に似てるよね。いつもはオールバックに眼鏡でお洒落な感じだけど。特に何もしていなかったら優しそうな顔でかわいい♪それに、慎司君はお姉ちゃんの妙子ちゃんと双子なだけあってよく似ててかわいいっ!」

 

「「か、かわいいって……一応組の幹部で組織を持ってるんですけど……」」

 

バレー部の佐々木あけびにそう言われた二人は、そう言いながら襟元の金バッジ(自身が率いる組織の代紋)を見せるが。

全く意味が無かったため、完全にへこんでしまっていた。何せ同級生にそう言われてしまってはどう言い返せばいいか分からないからであった。

 

「お前たち授業中だぞっ!それに、柚子ちゃんも周りに便乗してどうするんだっ!」

 

「まぁまぁ。良い感じにメンバーがまとまったからいいじゃん。そうだ。大友ちゃんっ!海坊主みたいに顔だけ出さずに降りてきな!」

 

杏が声を張り上げて注意する桃を落ち着かせながらそう言うと、どこか気まずそうにしていた大友とその搭乗員であった水野や木村、安倍といった主なメンバーがE-25から降りて来る。無論、その視線も彼ら四人に注がれることになる。

 

「誠也君と他のみんなもおはようっ!」

 

「おはようございます。みほ姉貴、今日からまた戦車道再開ですね」

 

『あ、姉貴っ?!』

 

大友がみほにいつも通りの挨拶を返した瞬間、楽し気に黄色い声をあげて他の構成員を取り囲んでいた生徒たちが同じ言葉を口にして驚く。それと同時に、杏が彼について紹介を始める。

 

「そうそう。西住ちゃんをみほ姉貴と呼んでるこの子だけどね。何と戦車道チーム大友連合会の会長、大友誠也ちゃんだよ。わかんない事が有ったらこの子達に聞きなよ」

 

「か、会長っ?!じゃあ、若頭とかは?」

 

「ああ。それなら俺の横に居る桔平がうちの若頭さ。後ろにいる英雄と雄飛が若頭補佐で、副会長の弟の秀人が本部長だ。あと、近藤さんの弟の慎司も若頭補佐で他の子達がうちの幹部で子分だな。こんなチームだけど、暴力団とかそんなのじゃないから。何かあったら気軽に相談してくれよ!」

 

赤いマフラーを首に巻き、凛とした目を持つ少女。カエサルこと鈴木貴子が大友に対して何気なく質問すると、彼はフレンドリーな笑みを浮かべながら丁寧に質問に答える。

 

「さぁさぁ。戦車道の授業を始めるよっ!さて、車庫の中には何があるのかな~」

 

杏がそう言いながら車庫の扉を開けたその先には、第二次世界大戦期において活躍し性能のバランスの良さから後世でも高い評価を受けているⅣ号戦車のD型が鎮座していたが、カバーを掛けずに長い間放置した自動車やバイクのように錆が車体を覆い、外装部品が脱落していた。

思っていたのと違ったのだろう。一部の生徒が少し落胆気味にざわめくが、どこか居ても立ってもいられなかったみほと大友が戦車まで近づき、その車体に手を重ねる。

 

「装甲も転輪も大丈夫そう。これで行けるかも」

 

「ええ、そうですね。パーツや戦車の強化は俺達にお任せください」

 

『おぉ~っ!!』

 

この光景を見ていた全員が声に出して感心する。しかし、戦車の状態は良くないため、当然のように沙織がみほに対して疑問を投げかける。

 

「こんなにボロボロで何とかなるの?」

 

「多分なんとか」

 

「恋にしろ戦車にしろ新しいものが良いと思うよ」

 

「全く。沙織はいつも恋に例えたがるな」

 

「いいじゃん別に。でも、戦車は一輌しかないね」

 

この車庫内や校内にあった戦車は、現在このⅣ号戦車D型と三式中戦車・チヌのみである。

他の戦車は、戦車道が廃止された二十年前に売り払われたか、よくてどこかに投棄されているかもしれない。

大友達を除く二十七人分が乗れる戦車を探すしかないのだ。仮にその戦車が見つかっても乗員が不足する場合は、そこに大友連合会の幹部を組み込めばいいのだ。

 

「じゃあ。探そうか」

 

「当時使用していた戦車がどこかにある。いや、必ず校内にある。明後日戦車道の教官がお見えになるため、それまでに探し出すこと。それでは、捜索開始っ!!」

 

「桔平は、一年生の六人についてくれ。英雄と慎司はバレー部の四人。雄飛は、そこの歴女さん方についてくれ。他のみんなは、事務所から道具とか持って来てくれ。最後に角谷会長。河嶋さんや小山姉弟と戦車に関する資料を探していただきたいのですが」

 

「はいよー。じゃあ、河嶋、小山姉弟は資料室に行こうか」

 

『分かりました。会長』

 

「それではみほ姉貴。俺と戦車を探しましょうか」

 

「そうだね。行こうか」

 

大友とみほ達が山の方へと向かい、梓たち一年生六人組には若頭の水野が付き添うことになり。若頭補佐の三人や他の幹部も同じように大友から任されたメンバーに付き添うことで本格的に戦車探しが始まるのであった。

 

 

 

生徒達が戦車を探し始めた次の日、車庫の前には合計六輌の戦車が集結していた。左から八九式中戦車、LT-38軽戦車、M3Lee中戦車、Ⅲ号突撃砲F型、Ⅳ号戦車、三式中戦車・チヌの計六輌が集まったのであった。

これらの戦車を自らで見つけた者達がその戦車に搭乗するということで各戦車に搭乗するメンバーが決まった。

搭乗員が不足していたLT-38軽戦車とチヌには大友連合会の幹部から割り当てることになり、生徒会の三人が率いるEチームには本部長の小山秀人が割り当てられ、ねこにゃー達Fチームには幹部の『上田誠己(うえだまさき)』と『岡崎聡(おかざきさとる)』の二人が割り当てられることとなった。

 

「明日はいよいよ戦車道の教官がお見えになる。粗相のないように戦車を綺麗にしておくんだぞ」

 

「どんな教官かな?」

 

「カッコいい教官が来るから頑張ってね」

 

「はーいっ!武部沙織頑張りますっ!」

 

「本当に男なのかねぇ」

 

杏に自身の欲求を焚き付けられた沙織は、恋する乙女の感情とやらに火が付いたのだろう。

一気にハイテンションになり、その勢いと杏の一言に何かを思った大友がそう言う。

 

「がっちりしていますね」

 

「八九式はがっちりしているだけじゃなくて小回りも利くからな~まぁ、タンカスロンでの話だけど」

 

「そうなんだ。タンカスロンにも興味が湧いてきたわ」

 

「いいアタックができそうです……アタック♪」

 

「やめっ……おふ」

 

Bチームは八九式中戦車を眺めながら木村とあけびが何気ない会話をし、二人のそばで同じようにして眺めていた妙子が隣にいた弟の慎司の後頭部に胸を押し当てたりしてちょっかいを出す。

 

「砲塔が回らないな」

 

「まぁ。そういう戦車というか自走砲というか。まぁ、その辺の戦車みたいに前線向きじゃないのですが。火力は高めだからいいところもありますよ」

 

「それでも象さんみたいぜよ」

 

「ぱおーん」

 

「カエサル、おりょう、左衛門佐っ!!安倍君の言う通り三突は高火力なうえ、継続戦争でソビエトの猛攻を押し返した凄い兵器なんだぞっ!フィンランド人とドイツ人に謝りなさい」

 

『すみませんでした』

 

Cチームでは、エルヴィンがⅢ号突撃砲を揶揄うようなことを言った三人に対して少し説教を交えた後、カエサルやおりょう、左衛門佐の三人が左を向いて謝罪の言葉を口にする。

 

「大砲が二本あるね」

 

「大きくて強そう」

 

「せっかく大砲が二本あるんだ。上の37mmで相手の履帯を切って下の75mm砲でドカーンと相手の装甲をぶち抜く。それでいった方が良いと俺は思うな」

 

「さすが水野のカシラッ!すごく頼りになるっ!」

 

「無線でも今みたいに教えてね~」

 

「……装填も教えて」

 

『沙希(ちゃん)が喋ったっ!!』

 

水野と一年生の六人組が何気ない会話をしていると、その中の一人である無口な不思議ちゃんこと丸山沙希が言葉を発したため他の五人が驚く。

 

「リアルチヌはやっぱりカッコいいのにゃ」

 

「W〇Tに出ててくるチヌそのままだもも~」

 

「ゲームみたいにこそこそするぴよ」

 

「まぁ。それが無難な戦い方ですね。先輩方もW〇Tやってたんすか?俺も好きなんですよね」

 

「そうそう。俺もあれ好きなんですよ。あとは実際に戦車も触りつつ、身体も鍛えるのも良いと思いますけど。どうします?猫田車長」

 

「おぉ。同志が増えたにゃっ!そうだね。せっかくだから身体も動かし始めようか」

 

『賛成でーす』

 

ねこにゃーが率いるFチームはチーム内ですぐに意気投合したのだろう。今後の予定を打ち合わせたりしながら楽し気に話をしている。

 

「うわっ?!すごくべたついてる」

 

「これは磨き甲斐がありそうですね」

 

「整理整頓の大事さが分かるな」

 

「戦車を一から綺麗に出来るなんてやり甲斐がありますっ!」

 

沙織や華、麻子、優花里の四人がそういったやり取りをしている傍らでみほと大友は戦車に上って車内をのぞき込んだり、部品の細部を見て回っていた。

 

「……(Ⅳ号もそうだが。これから他の戦車もいじる必要があるな。改造部品の取り寄せと他の子達の訓練、それに戦術の確立。この辺りは姉貴と話し合うか。みほ姉貴、貴女の戦車道楽しみにしています。何があっても俺は貴女について行く)」

 

「誠也君、どうかしたの?」

 

「いいえ。もう一度みほ姉貴と一緒に戦車道ができるのが、楽しみでちょっと考え事をしていたんですよ。気にしないでください」

 

「そうなんだ。いつもありがとうね。戦車に乗るのは久しぶりだからちょっと不安はあるけど。皆とならすぐにそんなのは無くなると思うな。私の戦車道絶対に見つけてみせる」

 

「はいっ!俺も是非、新しい戦車道を見つけることにお供させていただきますっ!」

 

こうして大洗学園の戦車道は再開の時を迎えると同時に大友は彼女に対する忠義をさらに強固なものとし、みほは新たな決意を胸に抱くのであった。

彼女のこの意志が後に戦車道で大きな改革をもたらすということは、舎弟である彼を除いてまだ誰も知る由が無かったのである。

 




ありがとうございましたっ!次回は第六話を投稿する予定です。
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