もし、とか、たら、とか、れば、の話   作:眼鏡熊@ヒロアカ完走

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深夜テンション。
俺は酔ってない(By トミオカ)



箸休めー義勇さん酔っ払ったってよー

その日の義勇としのぶは珍しく任務も無く、明日もすることが特にないため、酒盛りをしていた。

 

というのも、前世ではしのぶは酒を飲んでいなかったため、今世では飲んでみたいという可愛らしいワガママから来たもので、ブレーキ役として義勇がいる。のだが。

 

「ぎ〜ゆうさ〜ん」

「⋯しのぶ。飲みすぎだぞ」

「そんなことありませんよ〜?えへへへ」

 

どうやらしのぶは笑い上戸に加えて抱き着き癖が出るようで。いつも近い距離が今日は更に近い。

 

「ぎゆうさん」

 

耳朶を震わす甘い声に、思わず痺れかける。

 

「大好き。だいすきです。愛してます。ずぅっと一緒に居てくださいね」

「⋯言われるまでもない」

 

度数の高い日本酒を一気に煽り、自分もタガを外す。

もう知らん。知ったことではない。酔わないとやってられない。

でなければ、この華のような蝶に引き寄せられて食われてしまう。

 

「しのぶ」

「―――っ!?」

 

耳元に口を近づけ、名を呼ぶ。

 

「愛している。好きだ」

 

好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。好きだ。

 

壊れた蓄音機の如く、言葉を重ねる。言えなかった。気づけなかった、前の分まで。

 

ビクリとしのぶが震える。寒いのか?まあいい。

 

「俺はお前を離すつもりはない」

「っあ」

 

そのまま、ちう。とうなじに吸い付いて、赤い痕を残す。

 

「覚悟しろ。胡蝶しのぶ」

 

そのまま耳朶を食み、唇を奪う。

 

「んっ、ふぅ⋯!んぁ」

 

口の中を舌で蹂躙する。

しのぶの柔く甘い舌を引き、しのぶにも求めるよう催促する。

逃げれると思うな。煽ったのはお前だ。

一通り啄みあった後に、唇を離して、

 

「忘れるな」

 

お前は俺の物だ。

と、義勇は酒のせいもあってか、その欲望全てを前面に押し出している。

本来ならば、こうはならなかった。しかし、一度喪って、二度と戻らなかったであろう体験がダメだった。それが義勇の中で凄まじいまでの欲となって義勇の心に住み着いている。

 

そのまま義勇は喉元に噛み付くように接吻をした。

男であれば喉仏があるであろうところを舐る。

お前は私が握っているのだと。お前は逃がさないという執着が現れかけている。

 

「ぎ、ゆう。さん⋯」

 

息を荒らげ、頬を赤らめ、瞳を潤ませるしのぶに、義勇は更なる嗜虐心を高められた。

 

「しのぶ」

 

瞳に宿るのは、愛と言うには、恋と言うには粘り着きすぎた想い。表情は凪いでいて、気配も荒れていないはずなのに、何よりも激しく熱い激情を宿している。

 

「ぎゆうさ⋯」

 

その甘ったるい声に最後の理性を失いかけた義勇は再び噛み付くような口吸いをした。

そして、離して、口吸いをして、離して、口吸いをして⋯

 

「ぎゆうさ、苦しいで」

「⋯うるさい」

 

その口に指を差し入れた。

 

「んぅ!?」

 

しのぶは驚きながらも何処か恍惚とした顔で指を受けいれた。

指はしのぶの口内を的確に蹂躙し、発言を封じた。

 

「丁度いい。先に逝った分の埋め合わせを今日してもらおう。」

「ん、うぇ?」

「幸い明日も任務はない⋯」

 

寝れると思うなよ?

 

義勇はその一晩、ひたすらにしのぶに口吸いを行い、耳元に囁き、口に指を差し入れた。

 

 

そうして、次の日。

 

義勇は布団にくるまり、眠っていた。

ふと、暖かく柔らかい感触が腕の中にあることに気づき、腕を開く。

そこには、

 

「ぎゆうさんの、ばか」

 

赤い顔で俺を罵倒するしのぶがいた。

 

「⋯俺は⋯ああ、そうか。酔ってしまったか」

「ぎゆうさんのけだもの。やじゅう。おんなのてき」

「!?」

 

何をどうしたというのか、しのぶは口調が幼児退行して、ひたすらに義勇を罵っている。心做しかいつもの切れ味がない。

 

「⋯すまない。どうすれば許してくれる?」

「⋯そうですね。取り敢えず甘味処に連れて行って、呉服屋や小物屋を回ってくれたら許してあげますよ。」 

「⋯わかった。だか、しのぶ」

 

契りを結んだら酔ってなくてもするからな。

 

そう、義勇は酔っても記憶が残ってるタイプだったのだ。なので、寝起きに昨日の記憶がよみがえって、軽く混乱していた。しかし、すこしして落ち着いたのでこの発言へと至ったわけだ。

 

「なっ、あ―――――!!」

 

ただでさえ頬の赤らんでいたしのぶの顔がぼぼぼっ、と真っ赤に染まり直る。

 

酔った自分に負けるものか。と義勇は心に決めた。

そんな義勇を傍に、しのぶはどうしようもなく混乱していた。

 

「⋯むふふ」

 

腕の中で今も混乱しているしのぶを尻目に、義勇はただ微笑み、抱き締める力を強めた。

 

結局。昼過ぎまでしのぶを離さなかったそうだ。

 

 




※未成年者飲酒禁止法は大正11年から施行されているため、鬼滅の刃の時間軸とされる大正前期には施行されていません。なので、飲酒年齢が割とガバガバです。
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