もし、とか、たら、とか、れば、の話   作:眼鏡熊@ヒロアカ完走

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原作と少し乖離していきます。


鍛錬―目的達成―

柱達の鍛錬が始まり、三週間が過ぎた。

 

鍛錬の進捗は良好で、『岩柱』悲鳴嶼行冥は早速『透明な世界』へと至っている。

恐らく今までの仏門の教えと、その鍛錬方法。そして『盲目であるが故の他感覚の拡張』により、他の柱よりも早く入れたと考えられる。

まあそもそも元がどチートな訳だが。

 

ということもあり、一足先に『透明な世界』へと至ったあとはトントン拍子であっという間に『赫刀』も発現した。

なので、現状は『赫刀』状態の維持時間の持続を図りつつ、木刀(木斧?)で伊之助と打ち合っている。

 

では、他の柱はと言うと。

 

「――――――息が乱れているぞ不死川」

「五月蝿ェ!んなこたわかってらぁ!!」

 

と、死に体の不死川に義勇が逐一声援(煽り)を送り続けているため、怒りを燃料に不死川は刃を振るう。がしかし

 

「―――――(焦っているな)」

 

と、義勇は素直に思った。

呼吸が乱れている。心拍数が上がっているが、型はガタガタ、疲れも見える。

『透明な世界』を目指すには良くない状態だ。

 

義勇の明晰な(ぶっとんでる)思考回路は即時に最適解(と自分が信じて疑わないもの)を導き出し、

 

 

 

 

 

―――――不死川実弥の意識を手刀で狩りとった。

 

 

 

 

「煉獄、錆兎。今日は後は休んでいて構わない。二人も身体を休めてくれ」

「お、おお」

「わ、わかった」

 

 

一部始終を見守っていた現水柱と現炎柱はこう答えた。

 

「あれは見事な手刀だった。最速の動きで無駄なく不死川の意識を奪った」

「よもやいきなり不死川を昏倒させるとは思わなんだが、よくよく考えたら最適解だった!さすが冨岡だ!」

 

と、やはりズレた答えを吐いていた。そういうところだぞ、天然組(お前ら)

 

ともあれ、義勇はてちっ!てちっ!てちてちてちてちてちてちっ。と不死川を俵担ぎしながら胡蝶カナエの所まで跳びながら走った

 

 

 

 

 

――――――――

 

突如として義兄/兄弟子が風柱を抱えて来た。

そんなぶっ飛んだ状況に思考回路を停止させかけた夫婦はしかし、彼がぶっ飛んでるのはいつもの事であると思考回路を秒速で回復させた。

 

「不死川が鍛錬にならない程心が乱れたので不死川をカナエに癒してやって欲しいと思って」

「――――はえっ?ど、どうしてそこで私なの?弟君とか、もっと頼るところはあったんじゃ」

「―――――???お前と不死川は恋仲だろう?」

「――――――あぅ」

「キャ―――――!そうだったのカナエちゃん!きゅんきゅんする!きゅんきゅんするわぁ!」

「いや、あのその。違うのよ?蜜璃ちゃん。確かに私は不死川君を想ってるけど、きっと彼は――――」

 

と、顔を赤くして弁明するカナエに、今度は炭治郎が顔に疑問符を浮かべる。

 

「え?カナエさんと不死川さんが話してる時、噎せ返るくらい甘い恋慕の匂いがお互いからしてましたけど」

「はぇっ????」

「キャ――――――!」

「しかもカナエさんと話してる時の不死川さんの匂いって、不死川さん本来の優しい匂いとか、心の底から大切に想ってるような匂いもするんです。善逸も、カナエさんといる時の不死川さんは気持ち悪いくらい優しい音が表に出てるって」

「は、はわわわ⋯」

 

思ってもみなかった天然(地雷)に、年上の余裕すら垣間見えないほど動揺している。

可哀想なことだ。好意を向けてることをばらされるなど公開処刑と同義。

流石天然共(炭治郎と義勇)である。

 

カナヲはただ可愛らしい姉の様子に微笑むばかりで

蜜璃は同僚に想い人がいた事と、それが完全に両想いであることから、乙女回路がギュンギュン稼働している。

 

「兎も角だ。今のままでは『透明な世界』に至る事など夢のまた夢」

 

カナエが不死川を癒してやってくれ。

 

「え、えええええええ―――――――」

 

 

――――――――――

 

カナエは訓練場所に近かった義勇としのぶの屋敷の縁側で、隊服ではなく和服で不死川に膝枕をしている。

 

「実弥君。寝顔は可愛いのねえ」

 

いっつもは眉間に皺を寄せて、声を荒らげている。

しかし、その怒声には根底に優しさが詰まっていて。

この人の不器用さが現れている。

弟の事を拒絶する事には()()()()()()()分かってもらって、拒絶はしないようにしてもらった。

実弥君も、心の底からの言葉を伝えて、玄弥君に隊士を辞めるように説得した。

けど、彼の覚悟は変わらなかったので、実弥君は玄弥君が死なないように、ひたすらに鍛えている。

私は実弥君の不器用な優しさが、一等好きだ。

 

「⋯んぁ、母、ちゃん⋯?」

 

どうやら起きたみたいだ。

 

「おはよう。実弥君。ごめんね、お母さんじゃなくて」

「⋯は?」

 

寝ぼけから覚醒したのか、顔を瞬く間に赤く染め上げ、飛び退こうとするがしかし。それよりも一拍早く、私は彼を抱き竦めた。

 

「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ッ!?!?(初めて触れた想い人の柔らかさと花のような甘い香りにどうしていいか分からず悶えるしかない男の図)」

「⋯ねえ。実弥君。私ね」

 

貴方が好きよ。一等好き。

 

 

「⋯は?」

「信じられないかしら?」

「いや、待てェ。今混乱してんだァ」

 

好き?カナエが、俺の事を?

 

「⋯やめとけェ」

「なんで?」

「俺じゃあ、幸せに出来ねぇよォ」

 

俺がガキを持ったら、あのクズみてえに、暴力を降っちまうかもしれねえ。

 

「大丈夫よ。私が一緒に実弥君と幸せになるから」

「なんだァ、そりゃあ」

「片方を幸せに出来ないならお互いが幸せになればいいのよ。ねえ。実弥君」

 

私が貴方を幸せにするから、貴方が私を幸せにしてね。

 

「⋯あァ。約束する。ったくよォ、情けねえなあ、俺ァよォ」

「情けない実弥君も可愛くて好きよ?」

「ンだそりゃァ」

「ぷっ、ふふ」

「クッ、ハハハ」

「「あっはははははは!」」

 

嗚呼。きっとこれを幸せというのだろうなあ。

と、実弥は嬉しさを噛みしめた。

 

 

 

 

――――――――――――

 

それを影から見るものが一人、二人、三人、四人⋯

 

「⋯姉さん。良かった⋯」

「カナエ姉さん⋯!」

「カナエ様⋯!」

 

ぐしぐし、と、涙をこぼすしのぶに、カナヲに、アオイ。

それに、義勇はしのぶの手を引き、

 

「後は二人きりにしてやろう」

「そう、ですね」

 

炭治郎もカナヲの涙を拭きながら

 

「さあ、俺達も」

「うん⋯」

 

そして伊之助もアオイの両頬を抑えて、

 

「ほら、アオイ。今日はカナエと実弥の好物にすんだろ?いつまでも泣いてちゃ飯作れねえぜ」

「わ、わかってますよぉ⋯」

 

そして、義勇達はしのぶ達を連れて場を離れる。

 

「⋯良かったな。不死川」

 

失い続けた彼が、今度こそ何かを掴めるように。

自身が出来る限りのことをしよう。と、覚悟を決め直す。

 

――――――

 

 

 

我妻善逸と宇髄天元、伊黒小芭内、時透無一郎の鍛錬場にて

 

「―――――――では、昼休憩としましょうか!」

「っは、っは、は―――――――!!」

「⋯疲れた」

「⋯ふぅ、ふぅ、はぁ――――」

 

元気なのは善逸ばかりで、他3人は死に体。まさしく地獄絵図ではあったのだが。

 

「伊黒さーーん!宇随さーーん!時透くーーん!ご飯持ってきたわよーー!!」

「天元様ー!!みなさーん!美味しいご飯ですよー!」

 

と、甘露寺と宇随の嫁達、そして禰豆子が昼食のおにぎりとお茶を持って走ってきた。

 

「か、甘露寺!?」

「おぉー!お前ら!ありがとな!」

「⋯ご飯」

「ありがとねぇえええええ!禰豆子ちゃぁあああん!!!」

 

「はい!ぜんいつさん!」

 

と、禰豆子は綺麗に整った美味しそうなおにぎりとお茶を善逸に渡す。

 

「うん。ありがとうねぇ。美味しくいただくねぇ」

「うん!」

 

禰豆子とのやり取りに幸せを噛み締めているのか、これ以上ないくらい幸せな笑顔を浮かべる善逸。

 

もぐもぐ、とこれまた幸せそうにおにぎりを食べる善逸に、宇随が思わず。

 

「お前ほんと幸せそうだなあ」

「は!?幸せに決まってんでしょうが!禰豆子ちゃんが俺にお昼作ってくれる上に一緒にいてくれるんですよ!?幸せ以外の何があるってんですか!」

「⋯そこまでかよ」

「⋯そこまでだろうよ」

 

と、伊黒が答える。

 

「⋯お、意外なとこが答えてきたな」

「一等好いているものの真心の篭もった料理だぞ?幸せ以外の何があると言うんだ?」

「へぇ⋯その言い方じゃ伊黒にも居るってことか?」

「なっ」

「え!?伊黒さん好いてる方がいるの!?」

「甘露寺!?いや、そのな」

「教えて欲しいわ!気になるもの!」

「いや、その」

「甘露寺。やめてやれ。伊黒は恥ずかしがり屋なんだよ」

「あっ、そうね。あ。でも、好いている方がいるなら私とご飯食べに行かない方g「そんなことはない!」へっ」

「そのような事は絶対にない。だから、また食べに行こう」

「は、はい!」

 

と、甘酸っぱいやり取りをしている2人を他所に⋯

 

 

「宇髄天元」

「ヒェッ」

 

般若もかくや。という赫怒を浮かべた善逸が肩を掴んだ。

 

「⋯あんたは午後ひたすら俺との組手だ。()()()()()()()()()()()頑張りましょうか」

 

だらだらと、滝のような汗を流す天元を他所に、善逸はいっそ可愛らしいまでの笑顔をうかべた。

 

「⋯なんで宇随さんは午後に死亡確定したの?」

「人の恋路に茶々を入れたからですよ」

「時透様はああなっちゃダメですからね?」

「⋯天元様ぁ⋯」

 

午後、宇随さんちの天元くんは鬼相手にも使ったことの無い霹靂一閃・無限刃(相手が戦闘不能になるまで霹靂一閃する)を受けて撃沈した。

次の日まで筋肉痛が続き、地獄の鍛錬が更に地獄と化したが、まあ自業自得だろう。

人の恋路を邪魔するものは、馬ならぬ雷神に撃たれることとなるのだ。

 

以降柱達の中で

 

雷神、怒らせるべからず(人の恋路は見守ること)という約束がされた。

 

 

 

翌日。

 

憑き物が取れたように実弥の剣は冴えていき、『透明な世界』にも片足を突っ込みかけてきた。

 

 

「⋯ふむ」

 

錆兎も煉獄も、不死川も、技は冴えて呼吸は整い、メキメキと力をつけてきている。

休むべき時に休み、引き締める時は引き締める。それがきちんと出来ているからだろうな。と義勇は再確認する。

 

「⋯ふむ」

 

そろそろ。あれをやるか

 

「⋯錆兎」

「っふぅ。どうした?義勇」

「俺の拾壱ノ型と、錆兎の拾壱ノ型。お互いが使えるようにしないか?」

「おお!俺もそろそろ提案しようと思っていたんだ!是非やろう!」

「では、お互いに技を放つか」

「そうしよう」

 

すると、二人は木刀を構えて型をとり、

 

全集中 水の呼吸・拾壱ノ型

 

 

「――――――『凪』」

「――――――『瀑布』」

 

瞬間津波もよもや、というような剣戟と全てを凪いで払う剣戟がぶつかり合った。

 

 

「っ!」

「ふんっ!」

 

二人はぶつかり合ったその数瞬に、お互いの術理を理解した。

 

錆兎の剣が水の『攻撃性』を形にした剣なら、義勇の剣は水の『防御性』を形にした剣。

全てを刻む剣と全てを凪ぐ剣。

正反対なようで剣の本質は全く同じで、それを攻めとするか受けとするかの違いでしかないのだ。

 

 

 

「⋯ありがとう。錆兎」

「いや。俺の方こそだ!⋯しかし、義勇は拾弐ノ型も開発している訳だが、『瀑布』はどうするつもりだ?」

「術理としては『凪』と変わらないからな。拾壱ノ型として呼び、攻式と守式に分けようと思う」

「成程。いい提案だな!俺もそうしよう」

 

そうして、更に午後もひたすら型の鍛錬に費やしていき⋯

夕刻も迫る頃

 

「今日はこれで終了とする」

 

という言葉と共に、柱達は夕飯を済ませてから任務へ向かうこととなった。

義勇としのぶは珍しく休みだった。

 

家へと着くと、しのぶが出迎えてくれた。

 

「おかえりなさい、義勇さん。晩ご飯は鮭大根ですよ」

「⋯(パァアアアア!!)そうか。楽しみだ。これは土産の生姜の佃煮だ」

「ありがとうございます。義勇さん。⋯ってこれ!美味しいって有名な所のじゃないですか!」

「たまたま買えてな」

「義勇さん、大好きです!」

 

思わずしのぶが義勇に抱きついた。

 

「っ」

 

いきなりの事態に義勇の脳がショートしかけたが、即立て直す。恐らく嬉しさが迸った結果の行動だろう。

 

「今日は随分と積極的だな?」

「はっ、あぁああ⋯!」

 

自分の行動の恥ずかしさを自覚したのか、しのぶは顔を瞬く間に赤く染め上げ、義勇から逃れようとするが、義勇の腕がしのぶを離さない。

 

「⋯鮭大根が冷めますよ?」

「⋯それは困るが、今はこちらが先決だ」

 

義勇は抱きしめたまま、しのぶに優しく口付けをした

 

「ん、ぅ?⋯!?!?」

「ん、⋯んっ、『ただいまの接吻』と言うものらしい。他にも『行ってきますの接吻』とやらもあるそうだ。唐突にしたくなったからした。赦せ」

「〜〜〜〜〜〜〜!!今度から暫く鮭大根ナシです。行ってきますとただいまの接吻は採用です。毎日します。しなかったら鮭大根ナシです」

「⋯そんなに気に入ったのか⋯?」

「煩いですよ。ニブ岡さん」

「俺は鈍くない」

 

等と軽口を叩きながら、食卓に移り、舌鼓を打った。

そして、風呂にも入って、夜。

 

「⋯しのぶ」

「はい?」

「今日は共に寝ないか?」

「⋯はえ?な、ななな何を言ってるんですか義勇さん!嫁入り前の娘が同衾等出来るわけないでしょう!?」

「⋯添い寝するだけでも、駄目か?」

 

と、子犬のような瞳で聞き返す。

 

「⋯⋯っはぁあああああ⋯!特別ですよ?」

「ありがとう」

 

フワリ、と花の綻ぶような咲いた。

 

この日の二人の夢は、花畑の中で二人仲睦まじく暮らす、安らぐ夢だったという。

 

 




さねカナてかカナさねになってる気がしないでもないことも無い
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