もし、とか、たら、とか、れば、の話   作:眼鏡熊@ヒロアカ完走

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毎度の息抜きです


かまぼこと天然の語らい

―――――――――

 

某日、炭治郎、善逸、伊之助、義勇は冨岡邸に集まっていた。禰豆子達は女子会らしい。

 

「さて、前から気になってはいたんですが⋯」

 

と、炭治郎が含みを持たせながら話す。

 

「義勇さんは、しのぶさんに対して独占欲とか、無いんですか?」

「⋯無いように見えるか?」

「いえ、あの、前が、前だったので、善逸程までじゃないにしろそれに近しくなるかな、とは思ったんですが」

「ちょっと待って炭治郎!俺程って何!?」

「少し善逸は黙っててくれ。大事な話なんだ」

「酷い!」

「⋯別に、ない訳じゃない」

 

その言葉に、一同がゴクリ、と喉を鳴らす。

 

「あの時⋯また胡蝶とお互いに『生き残る』ことを決めた時、胡蝶がまた命を捨てるようなら、俺は」

 

俺は胡蝶を縛り付けて閉じ込めてしまっていたかもしれない。

 

その言葉に、思わず3人は瞠目する。がしかし、同時に納得もした。確かに、そうだろう。彼は優しい。初めて会った他人の為に命もかけられるような人だ。

ただ同時に、多くの大切な人を喪った人でもある。

きっと、現状はしのぶさんが『生きる』事を諦めなかったから維持出来ているのだろう。

 

「当たり前のことだろう?俺はもう二度と、しのぶを喪いたくない。半身を抉り取られるような喪失感を、絶望を味わいたくない。あいつの笑顔が離れて行くのが耐えられない。本当は今にでもあいつを閉じこめて俺の届く範囲に収めて死なないようにしたい」

 

けど、

 

「あいつは『生きる』と、鬼を殺すと誓った。それを俺が違う訳には行かない」

 

だから、今はこうしているのだ、と義勇は語った。

 

「そう⋯ですか」

「それを言うなら、炭治郎もだろう」

 

カナヲが戦っているのを見て、思う所はあるはずだ。

 

「勿論ですよ。―――――幸せが壊れる時は、いつも血の匂いがするんです。俺の大切な人は俺の居ない時に俺の掌から零れ落ちてしまう。父さんも、母さんも、竹雄も、花子も、茂も、六太も⋯だから、カナヲにはずっと隣にいて欲しいって、思うんです。でも、それはカナヲの意志を封じるようなことです。俺はそんなことしたくない」

 

怖いけど、不安だけど、それでも。

 

「俺はカナヲが生きている事を信じ続けます」

 

それしか、ないから。

 

「そうか」

「はい⋯と、俺も言ったんだ。伊之助にも言ってもらおうか」

「はぁ!?」

「なんだ、言えないのか?」

「はぁああああ!?言えるわこの半々羽織!!⋯アオイは前線で戦うことなんぞねえし、危険とも縁遠い所にいる。だからこそ、俺は安心してあいつのいる所に帰って来れる。だから、不満や不安はねえよ」

 

まあ、強いて言うなら、続け。

 

「アオイの記憶が戻ってから『柔らかくなった』とか言っていいよってるヤツらを見ると八つ裂きにしたくなるがな」

 

と、信じられないくらい冷たい瞳で告げる。

 

「⋯んだよ。ほら、善逸も言えよ」

「あ、やめろ伊之助⋯」

「⋯いいの?」

「言ってみろよ。今更言わねえなんてナシだろ」

「じゃ、遠慮なく。不安かどうかって言われたら不安に決まってるでしょ!?だって禰豆子ちゃんはあの腐れ鬼畜幼女趣味(鬼舞辻無惨)に絶賛狙われてるんだよ!?しかも鬼にされてて下手をうてないんだぞ!?満足なご飯も食べられないし、いつも飢えに耐えてるんだからな!?なのに禰豆子はなんでもないように俺に微笑みかけてくれて帰りだって待っててくれてるんだぞ!?本当だったらずっと閉じ込めて安全な場所に置いておいてあげたいよ!でもさ!?それじゃ禰豆子ちゃんが悲しむだろ!?」

「(⋯いや、むしろ禰豆子は⋯いやでも、こんな状況だし⋯ううん)」

「迷ったような音出さないでよ炭治郎!?悲しまないわけないから!でさ!?ホントだったら禰豆子ちゃんに邪な視線よこすやつだってグチャグチャにひき潰してやりたいし下を切り落として晒してやろうとか思ってるし鬼舞辻無惨は何万回でも斬りまくってやるけどさぁ!?⋯それじゃ、()()にはならないんだよ⋯」

 

と、悲しげな瞳になり。

 

「俺はさ、家族なんていないし、家族みたいな人を死なせた上に兄弟子だって殺したクソみたいなカスだよ?禰豆子ちゃんがオレを好いてくれてるのは分かるけど、それでも」

 

拒絶されたくない。

 

「分かってるんだ、禰豆子ちゃんは拒絶しないし、全部受け止めてくれるって。それでも、それでもさぁ⋯?どうしようもなく、怖いんだよ」

 

拒絶されるのが、逃げられるのが。

 

「だから、逃げられないように、拒絶されないように雁字搦めに出来て始めて、()は安心できたけど」

 

そう、子供が生まれたことで、善逸は安心出来た。

子が生まれて、離婚などしたら子供が悲しむから、と禰豆子は離婚しないだろう。と、これから逃げることは無いだろう。と

 

「だからさぁ⋯」

 

と、またうじうじとなりかけた所で。

 

「大丈夫だよ」

 

撫でられた。

 

「⋯え?」

「善逸は優しいやつだ。禰豆子のことを『竈門禰豆子』として見てくれる。鬼になった禰豆子を、『可哀想な女の子』としてみる人はいっぱい居たけどな?」

 

一拍おいて

 

「でも、禰豆子を『禰豆子』として見てくれたのは、お前くらいだったんだ。禰豆子に花を送って、夜に花畑に連れ出して、そんな『人並みの幸せ』を送ってくれたのは」

 

お前だけなんだ。

 

「だから俺はお前と禰豆子の結婚を心から祝福した。安心しろ」

 

お前は俺の自慢の仲間で、義弟(おとうと)だよ。

 

 

「そっかあ⋯」

 

うるうる、と、瞳に涙を浮かばせながら。

 

「ありがとう⋯お義兄(にい)さん」

 

ふわり、と笑顔を浮かべた。

 

「⋯さて、いい時間だから昼餉に行くぞ」

「ちょっと!?」

 

いい所じゃない義勇さん!?と言う善逸を素知らぬ様子で。

 

「⋯昼はうな重を奢ってやる」

 

と、そっぽを向いて続けた。

 

「⋯やった!ありがとう義勇さん!」

「⋯違う」

「へ?」

「いいか?カナヲと炭治郎は夫婦になり、俺としのぶも夫婦になる。そして、善逸と禰豆子も夫婦になるな?」

「は、はい」

「であれば、しのぶの妹であるカナヲは俺の義妹(いもうと)、その夫である炭治郎は義弟(おとうと)になる。であれば、禰豆子も義妹(いもうと)であり、その夫の善逸も義弟(おとうと)となる」

 

あとは分かるな?というと。

善逸は

 

「はい!分かりました!義勇義兄(にい)さん!」

「⋯それでいい」

 

ムフフ、と微笑む義勇に。

 

「おい待てや!じゃあ俺だけ仲間はずれじゃねえか!?」

 

というと、義勇は。

 

「何を言う。蝶屋敷の者たちは皆家族だ。お前も義弟(おとうと)で、アオイも義妹(いもうと)だろう?」

 

と言う。すると伊之助

 

「へへ⋯だよなっ」

 

と、ホワホワとした表情になった。

 

「さあ、行くぞ」

「「「はい!(おう!)」」」

 

 

 

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