もし、とか、たら、とか、れば、の話   作:bear glasses

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       病

 愛           情

       的

ヤンデレユートピア!


振り切れちゃったぜ☆センネズチャン!

まだまだ続くぜ!キメツ学園!!

 

 

 

 

今回の舞台は、キメツ学園高等部2年A組である。

 

「⋯ふわぁ」

 

早く昼休みになんねーかなあ。とダルそうに授業を受けているのは、『我妻善逸』。地毛が金髪で瞳も琥珀とノットジャパニースまっしぐらな少年なのだが、血は100%大和男児である。

 

因みに現時間は現代文。題材は『夏目漱石』の『こころ』である。

分かりやすくいえば『お嬢さん』と呼ばれる女性を『私』と『K』が奪い合うドロドロで心情ごった煮の三角関係もので、最終的には『私』も『K』も自死を選ぶという救いも何も無い話だ。

これが昔新聞に連載されていたのだから笑えない。

しかもさらに笑えないのが。

 

これを使うと筆記感覚が『あの頃』に戻るためかなり古風なノートになるのだ。

 

私の心情:Kにお嬢さんが奪われるのではないか。という焦燥。

Kの心情:自分が恋などに現を抜かしているという事に戸惑い、苦しんでいる。→自戒?

お嬢さんの心情:『私』に言われた通り『K』と仲良くしている?よく分からないけど1番不憫。

 

みたいな。現文のここら辺の時間だけはこうなるのも、先生は許容済みなので問題ない。

 

 

「―――――たしかに」

 

ボソリと

 

 

”は罪悪だよな。

 

 

と呟く。

 

 

 

 

――――――――

 

昼休み。体育館裏にて

 

 

「善逸さん!」

「禰豆子ちゃあああん!朝ぶりだねっ!」

 

と、善逸と禰豆子が待ち合わせをしていたようだ。

 

 

 

 

すると、禰豆子はいきなり善逸に抱きついた。

 

「わあっ!どうしたの禰豆子ちゃん!?」

「いえ。足りない善逸さんを補給しようと思って」

 

と、更に抱きしめる力を強める。

 

「なにそれ可愛すぎ俺の事殺す気なの?俺も禰豆子ちゃん補給しなきゃ」

 

半ば使命感に駆られたように禰豆子を抱きしめ返す善逸。禰豆子を気遣いつつ自分もショート寸前なため何時もの騒がしい返しをできていない。

 

 

ぎゅう、と禰豆子を抱きしめ、善逸は。

 

 

「(あぁ、心配だなあ)」

 

俺が目を離しているうちに他の誰かに狙われているかもしれない。

そこらの有象無象なら兎も角、美男、若しくは家庭的で優しくて炭治郎の家族に人気な人間なら尚のこと不味い。

嗚呼、もう嫌でも逃げきれないように縛り付けてしまおうか

いや、駄目だな。現実的じゃないし炭治郎達に殺される。

もし禰豆子ちゃんが高校生より上なら、確実に縛れるのに。

ぎゅうぎゅう、と抱き締めて、彼女の音を感じたいのに。聞こえるのは自分の、重苦しくてへばりつく様な執着と、どこか甘くて痺れるような恋の音。

酷いものだ。と自虐する。

彼女を大切にしたいのに、壊して縛り付けて自分にだけ愛が向くようにしたいという自分がいる。

これで彼女が離れてしまおうものなら、俺は狂って鬼にでもなってしまうかもしれない。

こんな心象、彼女が知ったら引いて逃げ出すだろうな。

嫌だな。いっそ全て俺のものにしてしまおうかな。

 

靡く綺麗な黒髪も。

 

桜色のような、薄梅色のような綺麗な瞳も。

 

ぷるるとした薄紅の唇も。

 

まろやかな頬も。

 

可愛らしい耳も。

 

鈴のような音を鳴らす首も。

 

綺麗な肢体も。

 

控えめで可愛らしい胸も。

 

小ぶりなお尻も。

 

果ては血をかよわす心臓さえも。

 

全て喰らい尽くして自分のモノにしたい。

この思いはやはり封じなければ。禰豆子ちゃんに知られてしまってはならない。悟られてはいけない。

ゆっくり、ゆっくり、じっくりと。俺から離れられないようにして行こう。

俺が居なければ息もできないくらい依存させてしまおう。

 

だめかな。いいよな。だって――――――――

 

 

―――――――――

 

会って一番に、私は善逸さんに抱きついた。

嗚呼、嗚呼、嗚呼!やっと会えましたね善逸さん。

 

善逸さんの匂い。

ふわりとした髪。

がっしりとした体格。

綺麗な琥珀の瞳。

耳朶を刺激する少し高めの声。

ふにゃりとした顔。

 

私の物にしたい。私一人にしか向けられないものにしたい。

 

「わあっ!どうしたの禰豆子ちゃん!?」

「いえ。足りない善逸さんを補給しようと思って」

 

半分嘘。知らない女が寄り付かないように私の香水の匂いを付けているんですよ?

善逸さんは分からないかもですけど、香水の匂いって男女で本当に違って、女物の香水が着くだけで匂いが変わるから、気づかれるものなんです。

 

「なにそれ可愛すぎ俺の事殺す気なの?俺も禰豆子ちゃん補給しなきゃ」

 

と、善逸さんが抱き締めてくれた。

 

幸せ。今死んでもいいくらいに幸せ。

あぁ、駄目だ。駄目すぎる。

ここから逃れたくない。ずっと、ずうっとこのままでいたい。

 

 

ぎゅう、ぎゅうと抱き締める。

 

「(ああ、心配)」

 

善逸さんはヘタレ系だから、年上の人にモテやすい。

何時もヘタレなのに、私を守る時はとても勇敢でかっこよくて、そのギャップに何回惚れ直したことだろう。

地毛の金髪も綺麗で、梳いているだけでも楽しいくらい。

琥珀の瞳は綺麗で、えぐり出したいくらいに芸術的なの。

 

私の心象を見たら、貴方はきっと私から離れてしまうことでしょう。

 

貴方は知らない。

貴方が他の女性と話す度、私の心で嫉妬の炎が燃え上がっている事を。

カナヲ姉さまですら本当は嫌なのに、知らない女性と話しているってだけで――――――焼き尽くしてしまいそう。

私が人で助かった。鬼だったら、爆血で燃やしていたかも。

本当よ?貴方を虐げる人を見る度、瞳を抉りとって心臓を潰してしまいたくなるもの。

 

嗚呼、善逸さんが手を出してくれれば、今にでも離れないように出来たのに

善逸さんは心優しいから、きっとずっとそばに居てくれる。

子供の事は精一杯愛していくし、きっと上手くいく。

でも、今じゃあ外聞きが悪いから、善逸さんと子どものためにならない。

それは駄目。『今』は完全無欠に幸せにならなくてはならないの。

嗚呼でも、貴方は私のこの心根を知ったら、離れてしまうかしら。

嫌だわ⋯いっその事。私がいないと生きられなくなればいいのに。

 

善逸さんの全てを飲み込んでしまいたい。

私のご飯が無ければ生きていけない。だとか。

私がなければ生きていけないくらいズブズブに依存させてしまいたい。

善逸さんのお爺様とお兄様という外堀は埋めてあるから。

何時でも浸からせてしまえるのだけれど。

大学の一人暮らしの時とかにお料理しに通えば胃袋を掴めるかしら。

ふふふ、新妻みたいに待ちたいから合鍵も貰いたいなあ。

こんな下心まみれじゃだめかしら?

いや、良いわよね。だって――――――――

 

 

 

 

 

―――――――――

 

“恋”は罪悪なんだから/なんだもの。


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