金色の刃   作:ちゃんエビ

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皆さんお久しぶりです。

投稿期間が長くなり申し訳ないです。

いえ、バイオハザードやFF7、ポケモンGOが忙しかったわけではありません、仕事が忙しかったのです。



うん、残業76時間とか凄い社畜だよね♪


16 呼吸

炭治郎達が機能回復訓練を行なっている中、煌牙達は蝶屋敷から魔道を開き朔弥の隠れ家へと足を運んでいた。

 

「さてと、本題に入る前に煌牙ちゃん、あれから何か掴めたかな?」

 

「いや、あれから色々と試してみたけど未だに掴めないな」

 

「そっか〜・・・煌牙ちゃん、昔の事を思い出しみて?」

 

「昔の事?・・嫌な思い出しかないんだが」

 

「いいからいいから〜♪とりあえず煌牙ちゃんは瞑想の間に行ってて、私は桜花ちゃんと話があるから〜♪」

 

「気は進まないけど仕方ないか」

 

煌牙の課題である呼吸の進捗を尋ねる朔弥は、その結果がいまいちである事を聞くと何か考えがあるのか煌牙に幼い頃を思い出すよう促すと煌牙を退室させ桜花と話をしだした。

 

「さてと桜花ちゃん『朔弥さん煌牙の昔って何か知ってるの?』ふぇ?・・・あ〜その〜・・少しだけ知ってる」

 

「朔弥さん教えて!」

 

「煌牙ちゃんが思い出したらね〜♪」

 

「え〜〜」

 

「桜花ちゃんの目的はそれじゃないよね?」

 

「うん・・四ノ宮に伝わる魔戒指南書、あれ書いたの朔弥さんだよね?」

 

「まぁね♪こう見えて私元老院付きの魔戒法師だからね〜えっへん♪」

 

「元老院って?」

 

「んん〜鬼殺隊でいう柱みたいな感じだと思って♪」

 

「ほえ〜朔弥さんって凄い人なんだね〜♪」

 

「まぁそれは置いといて、桜花ちゃんは残りの指南書も見たいって事でOK?』

 

「うん♪」

 

「じゃあついて来て?桜花ちゃん」

 

桜花の目的、朔弥が記した魔戒指南書の術を会得しようと朔弥についていく桜花、朔弥も桜花に修行をつけるつもりだったので二人は魔戒指南書を保管している書物庫へと向かうのだった。

 

 

 

 

その頃煌牙は瞑想の間で自身の過去を振り返っていた。

 

「オイ‼︎その反抗的な目はなんだクソガキ‼︎」

 

そう言いながら煌牙の父親は煌牙を何度も殴り家の外に放り出す。

 

「・・・俺達がなにしたんだよ」

 

何度も殴られ痛む体を引きづりながら煌牙はこの理不尽さを嘆き、近くの塀に寄り掛かるとそのままズルズルと座り込み体の痛みを堪えていた

 

暫く座り込んでいると煌牙の前に座り込み心配そうに顔を覗き込む少女がいた。

 

「ああ、お前かそんな顔するなよさっきは大丈夫だったか?」

 

「・・・・」コクン

 

「そっか、なら体張った甲斐があったかな俺もお前もボロボロだけど」

 

「・・・うん」

 

煌牙が話しかける少女、妹のカナヲは両親の度重なる虐待で煌牙同様ボロボロになりながらも自らを庇ってくれる兄の煌牙を心配していたが

煌牙はよろめきながらもなんとか立ち上がるとカナヲに食べる物を探して来ると告げふらつきながらも歩き出した。

 

そんな日々を過ごしながら煌牙はその日も食べる物を探しに森に入っていくと木の実や山菜を探しながら奥へと進んで行く。

 

暫く進んでいたが思ってより収穫はなく引き返そうとしていた煌牙だったが満身創痍の体で無理していた為少し休んでいこうと近場の木にもたれかかり体を休めていた。

 

少し休むつもりだったが木漏れやそよ風の心地良さで次第に眠くなりウトウトとしていた煌牙は次第に近づいてくる人の気配に気付かずにいた

 

「ねえ、君大丈夫?全身ボロボロだよ〜何があったの?」

 

「わっ‼︎ビックリしたー!急になんだよ・・ああコレね、別に何でもないよ」

 

突如声をかけられて驚くも煌牙は声の主に素っ気なく返事を返すと声の主に視線を向け始める。

 

その声の主は煌牙と同じ位の歳であろう少女でありその少女は煌牙の素っ気ない返事に表情を暗くし煌牙に話しかける。

 

「何でもないならそんな怪我しないよ〜?話せない?」

 

「見ず知らずのあんたに話す必要ないだろ?」

 

「それはそうかもしれないけど〜〜」

 

「悪いけど他人に関わる気はないんだよ、じゃあな」

 

煌牙は少女を冷たくあしらうと少しフラつきながらその場を後にする

そんな煌牙の後ろ姿を見つめる少女は誰にも聞こえない小さな声で静かに呟いていた。

 

「やっと見つけたよ大河ちゃん」

 

 

翌日、煌牙は昨日と同様に森へ散策に向かうと昨日出会った少女が煌牙を待っていたようで煌牙を見つけるやはにかみながら話しかけてきた。

 

「あ〜来た〜♪待ってたんだよ〜♪」

 

「またあんたか、昨日も言ったけど他人と関わる気はないからな」

 

「もう既に関わってるじゃ〜ん♪」

 

「・・じゃあな」

 

「ちょちょちょ‼︎待って待って!話があるの」

 

「俺はない、じゃあな」

 

嬉しそうに話しかけてくる少女に対し煩わしそうにする煌牙は少女を躱すと来た道を戻ろうとしていた。

 

「少しだけ!少しだけでいいから聞いて〜」

 

「・・・・」

 

「聞いて!聞いて!聞いて!聞いて〜!聞・い・て〜〜‼︎」

 

「はぁ〜わかったから何度も連呼しないでくれよ、しつこい」

 

「ふっふっ〜♪」

 

「んで?話って?」

 

「唐突だけど〜強くなりたくないかなって」

 

「は?」

 

「強くなって誰かを守りたいって思わないかな〜って」

 

「別に・・俺は他人に興味はないよ、それになんで俺が他人を守らないといけないんだ?自分の事は自分でどうにかしろよ」

 

「そうだね〜自分の事は自分で何とかしなきゃ〜♪でもねそれでもどうにもならない時は?」

 

「今は無理でも・・諦めなければ『無理だよ!今は無理でも諦めなければ?今何とか出来ないとその先はないの!みんな死んじゃうの」

 

「死ぬって・・あんた何の話をしてるんだ?」

 

「君は傷だらけだよね?それはどうして?」

 

「これは別に」

 

「弱いから、君は弱いから自分を守れない自分でどうにも出来ないから

きっと、きっといつかって現実から目を逸らしてるんだよ」

 

「あんたに!あんたに俺の何がわかるんだよ‼︎」

 

「だから教えて君の事、さっきはキツい事言ってごめんね?」

 

少女にそう言われると、激昂していた煌牙は一呼吸置き落ち着きを取り戻すと少女に自分を生い立ちを話し始めるのだった。

 

 

「そっか〜中々に悲惨な状況だね〜、唯一残ってるのが君と妹ちゃんだけか〜」

 

「ああ、せめて妹だけは守らないとこれ以上家族を失うのは嫌だ」

 

「そうだね〜」

 

「俺帰るよ、妹が心配だ」

 

「そっか〜気を付けてね〜」

 

「ああ・・・ありがとな」

 

「ん?」

 

「あんたに話したら少しスッキリした気がする」

 

「お役に立てたようで何より何より〜♪あっ!そうだ!コレ渡そうと思ってたんだよ〜」

 

少女はそう言いながら懐から二振りの鈴を取り出すと煌牙に手渡し満足そうな表情をする。

 

「鈴?何これ?」

 

「ん?御守りだよ〜♪君と妹ちゃん二人のね」

 

「そっか、ありがとう」

 

「ほら、妹ちゃんのところに帰るんでしょ?」

 

「ああ、またな」

 

煌牙は少女に礼を言うと急いで家路へと走り出す、そんな様子を見つめる少女は先程の煌牙の言葉を思い返し嬉しそうに微笑んでいた。

 

「『またな』か・・・うん、君が牙狼になれた時また逢おうね。さてと久しぶりに鬼殺隊に伝令飛ばすとしますか〜♪」

 

少女はそう告げると森の奥へと姿を消していくのだった。

 

 

 

「・・おかえり」

 

「ただいま」

 

「・・・いい事・・あった?」

 

「ん?」

 

「なんでも・・ない」

 

家に辿り着くとカナヲが家の前で煌牙を待っていたようで煌牙を見るや

少しだけ表情を緩め煌牙に駆け寄り二人で話をしていた。

 

 

「あっ!そうだ!コレ渡すよ」

 

「・・何?」

 

「御守りの鈴、二人でひとつずつ持ってような」

 

「お揃い」

 

「だな。なあ兄ちゃん頼りないけどさお前だけは助けてやりたいんだ

俺頑張るから」

 

「・・私も・・頑張る・・一緒に頑張ろ?」

 

「そうだな」

 

鈴をカナヲに渡し共に頑張ろうと誓い合う二人、煌牙は先程の少女とのやりとりを思い返していた。

 

(今何とか出来ないとその先はないか、その通りだな。あの時何とか出来てたらチビ達は・・ごめんな、兄ちゃん弱くて)

 

 

弟や妹達を守れず自責の念に駆られる煌牙は強くなりたいと思い始めていた。

 

それから数日後〜

 

「この糞餓鬼また痛い目にあいてぇのか‼︎」

 

「ひっ」

 

「いい加減にしろよ糞野郎‼︎」

 

「あ?なんだテメェ!親に向かって舐めやがって‼︎」

 

「あんたらなんか親でもなんでもねぇよ!ただの人殺しだろ?」

 

「そうか、お前は餓鬼共の中で一番利口だと思って大目に見てやったがやめだ!ぶっ殺す」

 

「そうやって気に入らない事があればすぐに暴力かよ、どうしようもない屑だな」

 

いつもの如くカナヲに暴力を振るう父親に我慢の限界がきた煌牙、今まで抑えていた感情を曝け出すとカナヲを守ろうと父親に対立するが大人の子供の体格差には抗えず抵抗虚しく瀕死寸前まで殴られ続ける。

 

今まで以上に激しく暴れる父親を見て恐怖で固まるカナヲはその一部始終を呆然と見ていたが殴られ続けピクリとも動かなくなった煌牙を見て

煌牙が死んだと思ったカナヲ、僅かだが今まで煌牙にだけは見せていた感情の起伏が消え去り虚な目で何処かに連れて行かれる煌牙を見つめ続けていた。

 

 

 

「すっかり夜になっちまったな、まあ此処まで来ればコイツ捨てても問題ないだろ、じゃあな糞餓鬼」

 

とある山奥、父親に運ばれた煌牙はそう言われながら投げ捨てられる。

瀕死で息も絶え絶えの煌牙だったが僅かながらに意識は残っていたのだが体が動かず自らの死を悟るとカナヲの事を想い始める。

 

(ごめんな、兄ちゃん駄目だった。諦めたくないけどどうにも出来ないよ。あの人の言う通り、今どうにか出来なければ先はない俺もこのまま死んじゃうんだな、強くなりたい、強くなりたかった・・ホントにごめんな)

 

そう思いながらやがて訪れる死を迎えようと静かに目を閉じていった。

 

 

 

 

「まだ僅かだが息はある・・目を覚ますんだ君はここで死んではいけないよ」

 

あれからどのくらい経ったのだろうか、誰かが呼びかける声が聞こえ煌牙は朦朧とする意識を呼び起こし声の主に僅かながら視線を向ける。

 

「意識が戻ったか、そのままでいいから聞いて欲しい」

 

意識が戻ったとはいえ瀕死の重症である煌牙、その言葉に反応を示す事なくただ声の主に耳を傾けるのであった。

 

「息の仕方を変えてごらん、きっと今よりはマシになるはずだよ」

 

(・・息?)

 

「息の仕方があるんだよ、まずは息を整えて呼吸を意識するんだ

ヒノカミ様になりきれば君も」

 

(息の仕方・・呼吸・・ヒノカミ様)

 

そう告げられ心の中で反復する煌牙、声の主は静かにそして優しくその方法を教え煌牙はゆっくりと少しずつ息の仕方を変えていく。

 

「そう、それで良い。ゆっくりで良いからその呼吸を続けるんだ」

 

声の主は煌牙にそう言いながら煌牙を担ぎ歩き出す。

 

介抱する為に運び込む声の主だったが瀕死の重症である煌牙が途中で事切れるのは時間の問題、その為延命措置として声の主は代々受け継がれてきた呼吸法を煌牙に伝えていた。

 

 

 

「そこのご主人、夜の山は危険ですので早く家に戻った方が懸命ですよ」

 

煌牙を運ぶ声の主に声をかける一人の女性、黒の詰襟に白い羽織を纏う

女性は艶やかな長い黒髪を靡かせ声の主の前に降り立つ。

 

「そうですね、早くこの子を家に連れて帰れねばなりませんので」

 

「‼︎酷い怪我・・まさか鬼に・・少し待って下さい」

 

女性は詰襟の袖口から小瓶を取り出すと煌牙の口に近づけてその中身を飲ませる。

 

「失礼だが今のは」

 

「回復薬ですよ、少なくとも命の危機は脱するはずです」

 

「そうですか、助かります」

 

「いえ、この子は貴方の子ですか?」

 

「家に戻る途中で瀕死のこの子を見つけて、我が家で保護しようかと」

 

「そうですか・・・‼︎いえ、この子は私が保護します。お願いします、この子を私に預けてくれませんか?」

 

「何か理由がありそうですが」

 

「詳しくは話せません、でもこの子は私達の希望なんです、私達が長年探し続けた・・絶対に悪いようにはしません!大切に育てます、どうかお願いします」

 

声の主と女性はそう会話すると女性は声の主に土下座をし煌牙を預からせてほしいと懇願する。

 

「貴方からは悪い匂いはしないしこの子を大切に想う気持ちが伝わります。わかりましたこの子をよろしくお願いします」

 

「ありがとうございます、本当にありがとうございます」

 

そう話すと声の主は煌牙を女性に渡し、煌牙の頭を撫でる。

 

「君はきっとヒノカミ様になれる、それを忘れちゃいけないよ」

 

声の主はそう煌牙に告げ、煌牙と女性と別れ歩き出していく。

 

「あの!貴方の名前を教えて貰えませんか?私は四ノ宮花蓮です」

 

「竈門炭十郎、代々炭焼きを営んでる者です。それでは」

 

 

花蓮と炭十郎との出会い、煌牙にとって急死に一生となる経験であったがこの経験が煌牙の心境を一変させる経験となる。自らの家庭の状況で自分と妹の事で精一杯だった煌牙、それ故に他人に無関心であったが

他人であろうと助けようとしてくれる炭十郎や花蓮に触れ煌牙もまたあの人達のように他人でも助けてあげたいと思うようになる。

 

そして四ノ宮家での修行、数々の戦いを経て今に至る。

 

 

 

「・・・・・俺、色々と忘れてるじゃん」

 

瞑想から我に戻った煌牙、過去の記憶を失っていたわけではないが

嫌な思い出、朦朧とした意識での記憶などが抜け落ちており瞑想により

ハッキリと思い出すとつい自分にツッコミを入れたくなる煌牙、座禅を解き立ち上がる煌牙の表情はどこか満足した表情であった。

 

 

 

 

「そっそ〜♪んでここがこうでこれがこうで〜♪」

 

「なるなる〜♪それじゃこれがこうであれがこうだね〜♪」

 

「oh〜yes♪桜花ちゃんパネェっす〜♪」

 

「伊達にあの世は見てねえぜ!見た事ないけども〜♪」

 

「ねえ桜花ちゃん、俺と一緒に地獄に行かない?」

 

「わっわっ!朔弥さん今のはナッシング〜なんか凄い鳥肌が立ったんですけど〜背筋もゾクゾク冷や汗ダラダラ〜」

 

魔戒指南書の術を教えて貰っていた桜花は飲み込みの早さを朔弥に褒められ調子に乗ると悪ノリした朔弥の一言により急にテンションを下げ始める、桜花の本能が危険と判断したのだろう急激に体調を悪くしていた。

 

 

 

「二人とも何やってんの?桜花に至っては体調悪そうだし大丈夫か?」

 

「あっ!煌牙ちゃんおかえり〜♪」

 

「煌牙〜〜‼︎なんかね〜上弦の弍が脳内に出てきて〜」

 

「なんで上弦の弍が出てくんだよ?なんて言ったの?」

 

「俺と一緒に地獄に行かない?って」

 

「・・・桜花さんいってらっしゃい」

 

「やだ〜やだ〜〜‼︎煌牙も一緒‼︎煌牙も道連れだから〜‼︎」

 

「はい!そこ〜ストーップ‼︎それ以上言っちゃうとフラグだから!

桜花ちゃん上弦の弍と地獄巡りの旅のフラグ立っちゃうよ〜」

 

「もう喋りません‼︎」

 

瞑想の間から戻ってきた煌牙に弄られる桜花はフラグが立つと言われ口を閉じると煌牙をジト目で睨み仕返しとばかりに煌牙の頬をつねり出す

 

「桜花ちゃん必殺の型、取れたらいいなきび団子」

 

「痛っ!桜花無理だって!ポールデブかよ」

 

「煌牙ちゃん、それを言うならホールデムだよ〜♪」

 

「どっちでもいいわ!てかポールデブもホールデムも俺知らねぇし‼︎

なんであんなツッコミしたんだろ?お前ら怖いわ」

 

「ふっふ〜♪旦那〜もうコッチ側ですぜ?今更アッチには戻れませんぜ〜♪」

 

「そうだよ〜♪ベストマッチの組み合わせに煌牙合わせてスーパーベストマッチなんだから〜♪」

 

「いや!お前らエボルマッチだからな?なら俺はエボルトリガーってか?喧しいわ‼︎」

 

「「さすが煌牙(ちゃん)他の人には出来ないツッコミを簡単にやってのけるそこに痺れる憧れる〜♪」

 

「ならお前らがやれよ、ツッコミ」

 

「「無理ポ」」

 

「ですよねー」

 

こうして三人でふざけた会話をしているのだが、仮に他の者がいてもこの会話に入れる筈がないほど内容は混迷を極めていた。

 

 

「はい、おふざけは終わりね!俺色々と思い出したよ」

 

「ふぇ?まっさかまさかのマッカーサー?」

 

「おい!おふざけは終わりって言っただろ?」

 

「連れないな〜」

 

「・・・じゃあな」

 

「ちょちょちょ!話聞かせて聞かせて聞・か・せ・て〜〜‼︎」

 

「ははは、必死な所昔と同じだな」

 

「・・・私の事思い出してくれたんだね煌牙ちゃん」

 

「まあ・・なんで忘れてたんだろうな?」

 

「さあ?まあ思い出したのならそれで良いよ♪あの時の煌牙ちゃんと比べたら別人みたいだね〜♪」

 

「朔弥さん、どゆこと〜?」

 

「煌牙ちゃんはね〜昔他人に無関心だったんだよ〜、関わるのも嫌そうな感じだったんだよ〜」

 

「ほえ〜今の煌牙からは想像もつかないよ〜」

 

「あの時は俺とカナヲの事で精一杯だったからな、他人に興味を向ける余裕もなかったし」

 

「でも煌牙の中で何かあったんだよね?私と初めて会った時は私に興味なんかないって感じしなかったよ?」

 

「うん、俺を助けてくれた人達がいるんだ。一人は師匠だな、今でも感謝してるし尊敬してるよ、あの人がいなければ今の俺はなかったからな

それにもう一人・・死にかけて息も絶え絶えだった俺に呼吸を教えてくれたんだ、そのおかげで命を繋ぐ事が出来た、そして師匠に巡り合わせてくれた。俺の命は二人に貰ったようなものだ、赤の他人の為に必死になれる二人みたいに俺もなりたいと思ったんだ、この命はその為にあるんだと俺は今でも思ってるよ」

 

「・・・うん・・うん・・煌牙〜〜色々と辛かったね、頑張ったね

そんな煌牙だから煌牙は牙狼に認められたんだね」

 

 

桜花は煌牙にそう言いながら涙を流していたが、朔弥は珍しく真面目な顔で考え事をしていた。

 

「煌牙ちゃん・・花蓮ちゃんが煌牙ちゃんの元に来たのは私が鬼殺隊に伝令を送ったからだと思う、牙狼の系譜を受け継ぐ者がいるって報告したから、ホントは煌牙ちゃんとカナヲちゃん一緒に保護してもらえると思ってたんだけど結果的に引き離す事になってごめんなさい」

 

「朔弥さんが謝る事じゃないだろ?あの時俺が弱かったからカナヲと離れ離れになったんだ、誰のせいでもない。それに今はカナヲも俺と一緒にいる、それで良いさ」

 

「うん・・ありがと煌牙ちゃん」

 

煌牙と朔弥の話が終わると今度は桜花が煌牙に話かけてくる。

 

「ねえ煌牙、呼吸を教えてもらったって言ってたけどどんな呼吸?」

 

「さあ?記憶は戻ったしその呼吸はこれからだな、確かあの時ヒノカミ様がどうとか言ってたような」

 

「ヒノカミ様?」

 

「ヒノカミ・・煌牙ちゃん!名前は!その人の名前‼︎」

 

「え?ああ・・確かあの時、竈門炭十郎って・・・あっ‼︎悪い二人とも俺帰るよ」

 

煌牙は慌てながらその場を後にし急いで蝶屋敷へと帰っていった。

 

「朔弥さん、竈門って炭治郎君の」

 

「うん、煌牙ちゃんを助けたのは炭治郎ちゃんのお父さんだと思うよ

それに炭治郎ちゃんの耳飾り、だとすれば・・うん、問題なし♪」

 

「この展開を読んでたの?」

 

「んにゃ?想定外というか想定以上だよ〜♪」

 

一人納得した朔弥は満足げに頷き桜花と共に魔戒指南書を読み漁っていくのだった。

 

 

 

一方蝶屋敷で機能回復訓練に勤しむ面々は各々が常中を会得すべく努力を重ねていた。

 

「努力!努力!努力〜‼︎」

 

「うぉぉ〜〜‼︎」

 

「ふしゅ〜‼︎」

 

「三人とも煩いです‼︎」

 

四人が張り切る中、その様子を見ていたしのぶとカナヲ、しのぶはカナヲも一緒に参加してはどうかと尋ねるが、瑠花の言う通り煩い三人と一緒に走るのは嫌だと参加を拒否すると、一人その場を離れ中庭へと移動する。

 

「うし、蝶屋敷に到着〜やっぱ魔道って便利だよなー」

 

カナヲが中庭へ到着すると同時に煌牙が魔道から現れてカナヲと目が合う。

 

「兄さんおかえりなさい」

 

カナヲが煌牙に話しかけると煌牙はカナヲに近づきカナヲを抱きしめ安堵の表情を浮かべる

 

「えっ⁈兄さん?あの」

 

煌牙の突然の行動に戸惑うカナヲだったが煌牙の抱擁を拒む事なく受け入れると煌牙に話しかけた。

 

「兄さんどうしたの?」

 

「ああ、急にごめんな。カナヲの顔見たら抱きしめたくなった」

 

「そっか兄さんがそばにいるとなんだかほっとする」

 

煌牙はこうしてカナヲを抱きしめているとたまたま通りかかった三人娘にその光景を目撃され騒がれてしまう。

 

「はわわ!大人の情事です」

 

「禁断の兄妹愛です」

 

「昼間からいけません」

 

不埒な事を想像した三人娘は口々にそう言うと、煌牙は呆れた眼差しで三人娘に話し出した。

 

「君達は何を言ってるのかな?それは断じてないから」

 

「うん、兄さんは兄さんだから」

 

煌牙の話にカナヲも合わせてくると三人娘は残念そうに肩を落としながら屋敷の中に戻って行った。

 

「でも急にどうしたの?」

 

「いや、昔の事を思い出してな・・カナヲが生きててくれて良かったと思って 」

 

「そう・・私も兄さんが生きててくれて本当に良かった」

 

そう二人で話していると煌牙は用を思い出し、カナヲに炭治郎に話があると伝えその場を離れ駆け出して行った。

 

 

「善逸!伊之助!瑠花ちゃん!頑張れ!努力は決して裏切らない!」

 

「炭治郎さん!静かに走って下さい!暑苦しいです‼︎」

 

「もうやだよぉ〜何でこんなに走んなきゃなんないのぉ〜!」

 

「善逸さん同感です!でもやるしかないんです!」

 

「俺が糞長羽織より強いって事を証明してやらぁ〜‼︎真の山の王は俺のもんだ‼︎」

 

「伊之助さんはよくわかりません‼︎山の王は貴方です」

 

常中を会得すべく走り込む四人は騒がしくも必死に走っていると駆けつけて来た煌牙が現れ、しのぶは煌牙と話を始める。

 

「煌牙おかえりなさい、もう用事は済みました?」

 

「それなんだけど、炭治郎に話があってなちょっと借りてくぞ」

 

そうしのぶに告げると煌牙は炭治郎に呼びかけ、走っていた炭治郎が煌牙の元へと駆けつけてくる。

 

「煌牙さんどうしたんですか?」

 

「悪いな炭治郎、ちょっと話があって」

 

一体何の話なんだ?と疑問を浮かべる炭治郎、そんな炭治郎を連れて煌牙は蝶屋敷の外へと歩き出した。

 

「それで話って何ですか?」

 

「え〜とな・・・竈門炭十郎って炭治郎のお父さんで合ってる?」

 

「え⁈・・ああいや!合ってます!俺の父さんは竈門炭十郎で間違いないです・・・知ってるんですか?」

 

「そっか・・炭治郎、俺な昔炭治郎のお父さんに命を救われたんだ

死にかけてた俺に呼吸を教えてくれて・・そのおかげで命を繋ぐ事が出来た」

 

「そんな事があったなんて、父さん何も言ってなかったから知りませんでした」

 

「出来れば炭十郎さんにお礼を言いたかったけど炭治郎の家族は・・」

 

「父さんは何年か前に病気で」

 

「悪い、変なこと聞いちゃったな」

 

「いえ、父さんの知らない一面が知れて良かったです」

 

「そっか・・炭治郎ありがとう、炭十郎さんのおかげで俺はこうして生きている、本当にありがとう」

 

「煌牙さん顔を上げて下さい!俺も禰豆子も煌牙さんのおかげで今ここにいるんです。感謝するのは俺達の方です」

 

「別に気にしなくていいって・・・はは、炭十郎さんに助けられた俺が炭十郎さんの子供を助けるこれも何かの巡り合わせなのかな?」

 

「想いは繋がるってやつですね。それが煌牙さんの、牙狼の力なんですよね」

 

「そうだな」

 

「そう言えば呼吸を教えて貰ったって言ってましたけど煌牙さん、ヒノカミ神楽は舞えるんですか?」

 

「へ?ヒノカミ神楽?何それ知らない」

 

「え?」

 

「え?」

 

「えーとですね、竈門家に代々伝わる舞がありましてそれを舞う時に使う呼吸が煌牙さんが教えて貰った呼吸なんです」

 

「そうなんだ」

 

「下弦の鬼との戦いで死を覚悟した時その呼吸を使う事で切り抜ける事が出来たんです」

 

「なるほど・・炭治郎そのヒノカミ神楽っての見せてくれないか?」

 

「ここでやるんですか?」

 

「あーいや一旦戻ろうか」

 

流石に道端でやるのはどうかと思い、煌牙は炭治郎と蝶屋敷へと戻ると

炭治郎にヒノカミ神楽を披露してもらうのだった。

 

「この呼吸を使うと水の呼吸以上に負担が掛かって長くは続きませんが

出来るだけやりますね」

 

炭治郎は煌牙にそう告げると息を吸い始め、ヒノカミ神楽を舞い始めると煌牙はその神楽の美しさに魅入られていた。

 

「はぁはぁはぁ・・・煌牙さん、これがヒノカミ神楽です」

 

息を切らしながら炭治郎が煌牙に話かけると今まで神楽に魅入られていた煌牙がハッとした表情で炭治郎に振り向き喋り出した。

 

「凄いな、なんかこう神秘的というか上手く説明出来ないけど綺麗な舞だったよ」

 

「俺なんかより父さんの方が凄かったですよ、あの舞を一晩中舞い続けてましたから」

 

「それは凄いな、ヒノカミ神楽か〜」

 

「俺の家は炭焼きを生業にしてましたから、火の仕事をするから年の初めに怪我や災いが起きないようヒノカミ様に舞を捧げてたんです」

 

「竈門家伝統の神楽なんだな・・もしかして門外不出だった?神楽はともかく呼吸教えて貰ったけど良かったのかな?今更だけど」

 

「いえそういうわけでは無いと思います、父さんが煌牙さんに呼吸を教えたのはきっと意味があるんだと思いますよ」

 

「そっか」

 

「というわけで、ヒノカミ神楽を煌牙さんにも舞ってもらいます」

 

「何で⁈」

 

こうして煌牙は炭治郎の提案により神楽を習う羽目になり蝶屋敷での生活がより多忙となるのであった。

 

そして煌牙はこう思った、炭治郎説明が下手くそ過ぎて逆に難しい、そして何より暑苦しいと。

 

 

そんな日々を過ごしたとある夜〜

 

「あーしんどい、あの時の呼吸思い出したのは良いけど普段慣れない呼吸使うと疲れるわー、あれで神楽とか炭十郎さんって凄い人だったんだな〜」

 

そんな事を言いながら一人寛ぐ煌牙、同室のカナヲや瑠花は既に眠っていて煌牙は瑠花の枕元に近づくと瑠花の寝息が全集中の呼吸になりつつある事を確認すると軽く微笑み就寝の準備を始め出す。

 

そんな中、ザルバが突如煌牙に話しかけくる。

 

「煌牙明日はあの日だぞ」

 

「あ!そうだったな・・・ヤバっ!皆んなに話してないぞザルバ!」

 

「全く、肝心なところが抜けてるなお前さんは俺様は知らんぞ」

 

「てか日付け変わるのって後少しじゃん!マジで時間ないぞ!」

 

「煌牙書き置きでもしておけ、もはやそれしか打つ手はないぞ」

 

「そうだな、それしかないよな。後は瑠花なら何とか説明してくれるかも」

 

そう話すと煌牙は書き置きを残し眠りにつくのだった。

 

 

 

 

「んん、もう朝?起きなきゃ・・お兄朝だよ起き・・・あーあの日か

なら今日は〜ってカナヲさん⁈廃人みたいになってますよ!カナヲさん!」

 

「・・・・兄さん・・・兄さんが・・・」

 

「カナヲさんしっかりして下さい!」

 

「・・・・兄さんが死んじゃった・・兄さんが」

 

「あ〜〜もう‼︎お兄皆んなに説明してなかったんだ!ってカナヲさん?いつの間にいなくなったの?騒動の予感がするよ、お兄の馬鹿‼︎」

 

寝起き早々瑠花の愚痴が炸裂する中、屋敷から慌ただしい足音が聞こえ

蝶屋敷の面々が煌牙の元へと集まってくる。

 

まさか寝起き早々煌牙が死んでいると言われるなんて思ってもなかった蝶屋敷の面々は慌てて煌牙の元にやってくると煌牙を見て絶句する。

 

「・・あの・・煌牙さん?冗談にしては度が過ぎてますよ?流石に笑えません起きて下さい・・起きて・・下さい」

 

「煌牙君、私もこれはいけないと思うわ〜起きてくれたらお姉さん嬉しいな」

 

「昨日まであんなに元気だったじゃないですか!煌牙さん!」

 

「「「煌牙さんと一緒に遊びたいです」」」

 

しのぶ、カナエ、アオイ、三人娘がそう話していると騒ぎを聞きつけた炭治郎、善逸、伊之助がやって来て煌牙に目を向ける。

 

「煌牙さん?起きて下さい!また一緒にヒノカミ神楽を舞いましょう!

禰豆子も煌牙さんと一緒にいたいんです!煌牙さん!」

 

「変な冗談止めろよな!あんたの訓練めっちゃキツいし、馬鹿なんじゃないの?って思ってるけどさ、あんた爺ちゃんみたいに最後まで付き合ってくれるじゃんか!また付き合ってくれよ」

 

「いつまで寝てんだ糞長羽織!おめえがいなくなったら真の山の王になれねぇじゃねえか!勝ち逃げは許さねぇぞ‼︎」

 

炭治郎、善逸、伊之助の三人が涙ながらに語っていると虚な表情をしたカナヲがやって来て煌牙の側に座り込み煌牙の体に触れる。

 

「兄さん・・嫌だよ・・またいなくなるなんて、もう二度と離れないって言ってたのに・・兄さんの嘘吐き」

 

そう言いながら大粒の涙を流すカナヲ、その様を見せつけられていた瑠花も既に泣きそうになっていた。

 

(無理!絶対無理!私こんな状況で説明なんて出来ない‼︎お兄の馬鹿!)

 

そんな状況の中遅れてやって来た二人組、桜花と朔弥が煌牙を見つけると、状況を察して皆んなに事の顛末を話し始めたのだった。

 

「煌牙ちゃんの事なら心配しなくていいよ〜♪死んでるけど〜」

 

「え〜とね〜これ毎月恒例なんだよ、煌牙ってさザルバと契約してるでしょ?しのぶちゃんやカナヲちゃんはお母さんから聞いたと思うけどザルバってホラーなわけで契約の代価として一月に一度、契約者の命を1日分だけ貰うんだよ、今日がその日!煌牙は今日一日この状態で明日になったら普通に起きてくるよ?」

 

そんな桜花の説明に朔弥、瑠花を除く全員が意味が分からないと言うような顔になり桜花はどう説明しようか悩んでいると、カナヲが机の上に置いてある手紙を見つけその手紙を読み上げる。

 

 

 

ーー先に一言だけ、ごめん‼︎皆んなに説明してかなったな、マジでごめんなさい‼︎ザルバとの契約で月に一度一日分の命をザルバに与えている間俺は仮死状態で眠ってるけど心配しないでほしい。明日になればまた普通通りだから。後、怒らないでね。特にしのぶさんーー

 

 

手紙を読み上げるとカナヲは再度大粒の涙を流し安堵の表情を浮かべ煌牙に抱きついた。

 

「兄さん良かった、ホントに良かった」

 

そんなカナヲに同調するかのように炭治郎、善逸、伊之助も喜び、カナエ、三人娘も安心した様子を見せ始める。

 

「全く人騒がせな!そうならそうと事前に教えて欲しかったですよ」

 

事前に教えて欲しかったと怒り気味のアオイだったが、その表情はどこか嬉しそうでその口調もいつもより優し目だった。

 

「私に怒られるってわかってるなら、ちゃんと説明して欲しかったですよ。いつも肝心な事は言わないんだから。ホントに心配したんですからね!」

 

しのぶも怒り気味だが、いつものような小言はなく本気で心配した様子が伺え桜花はそんなしのぶを暖かい目で見守るのだった。

 

翌朝〜

 

「ふぁ〜〜!朝かー!いや〜よく寝た・・なんでカナヲが布団に入ってるの?」

 

「んん、兄さん」

 

「まあいっか」

 

こうして一日ぶりに煌牙が目覚め、蝶屋敷での日々が続くと思っていたがその日々は突如崩れ去る。それは煌牙にとって思わぬ出会いであった

 




なる早で頑張ります
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