金色の刃   作:ちゃんエビ

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24 厄災

煌牙達鬼殺隊が集う最中、鬼殺隊の怨敵鬼無辻もまた配下を集め此度の報告を聞いていた

 

だがその空気はあまりにも重く張り詰め召集された上弦達も無惨が放つ圧倒的な怒気に圧され緊張が走っていた

 

「お前達は何故集められたのか?理解出来る者はいるか?」

 

その言葉の真意は無惨にしか分からないが

 

「無惨様!青い彼岸花は絶えず捜索しています!何卒!何卒!」

 

そう無惨に赦しを乞う上弦の伍“玉壺“

 

だが無惨の真意と違う発言をした事で無惨の怒りを買い

 

「私は何故集められたのか?と聞いた筈だ、私は貴様に赦しを乞えと言ったか?貴様は私の質問に答えもせず何故貴様の都合を話す?何故だ?言ってみろ」

 

「申し訳ありません!申し訳ありません!」

 

無惨の怒りを買い必死に謝る玉壺だが火に油を注ぐ行為、更なる怒りを買い玉壺から血が大量に噴き出していく

 

「ぎぃやぁぁぁぁ‼︎無惨様!お許しを!お許しを!」

 

自らの配下にも容赦ない無惨を前に戦慄する上弦の鬼達

 

常に余裕を崩さない上弦の弐でさえも失態を責められる恐れがある為

口を塞ぐ程今の無惨は機嫌が悪かった

 

「お前達上弦の鬼は百年以上も顔ぶれが変わらない選ばれた鬼達、鬼狩りの柱共を葬る事さえ容易な筈・・・何故だ?その上弦の鬼!それも上位の鬼達が揃いも揃ってこうも失態を犯すとは‼︎そうであろう?黒死牟童磨」

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

「下弦共を黄金騎士に差し向けた時私はお前にも黄金騎士を殺せと命じたな。そしてお前は私にこう言った『黄金騎士四ノ宮煌牙を始末した』と!では何故四ノ宮煌牙は生きている?お前は私に偽りの報告をしたのか?昨夜もそうだ、下弦の壱が柱共に殺された時私は猗窩座に柱共を殺せと命じた!裏切り者の斬吼狼が関与する事も考え私はお前にも命じたな?だが結果はどうだ?殺した筈の四ノ宮煌牙は生きていてお前も斬吼狼のくだらぬ策に落ち間抜けにもこの無限城へと帰って来た!そしてその四ノ宮煌牙の手によって猗窩座は死んだ‼︎百年以上顔ぶれが変わる事がない上弦の鬼が!たった一人の人間によって死んだ‼︎黒死牟、お前が確実に四ノ宮煌牙を始末していれば!斬吼狼の策に溺れなければ猗窩座

は死ななかった‼︎まさか上弦の壱ともあろう者がこんな失態を犯すとは・・失望したぞ黒死牟」

 

「・・・・・」

 

「童磨、貴様もそうだ!相手が元柱だろうが人間‼︎上弦に位置する者があわや頸を斬られる寸前まで追い込まれるとはな‼︎それだけではない、貴様の前には太陽の光を克服した鬼擬きがいた!私が長年探していた太陽の光を克服する可能性を秘めた女だ‼︎何故貴様は柱共をさっさと始末してその女を連れてこなかった?魔戒法師とかいう奇妙な術を使う小娘に現を抜かし遊んでいたのか?」

 

「・・・・・・」

 

無惨から失態を責められ返す言葉もない黒死牟と童磨、無惨の言う通り人間を相手にそれだけの失態を犯した自覚はあるので黙っていたが

 

「無惨様‼︎上弦の参が殺されたと言うのは本当ですか⁈」

 

まさか上弦の鬼が、それも自分より格上の上弦の参が殺されたと俄かに信じ難い上弦の陸“堕姫“がそう無惨に尋ねると

 

「堕姫、私の嘘を言っていると?お前は私にそう言いたいのか?」

 

「いえ‼︎申し訳ありません無惨様‼︎」

 

「それに誰が口を開いて良いと言った?私はお前に発言を許可したか?

 

「いえ‼︎」

 

「ならば黙っていろ‼︎今の私は機嫌が悪い‼︎」

 

「はい」

 

無惨の顔は血管が浮き彫り目が血走っていて相当機嫌が悪いようだ

 

「四ノ宮煌牙‼︎あの忌まわしき金色の鎧と日の呼吸を使う化け物が‼︎貴様が余計な事をしなければ猗窩座は‼︎」

 

猗窩座の呪縛を解放した煌牙を忌まわしく思う無惨

 

「上弦が堕ちたとなれば仕方ない、私とて不服ではあるが奴を解放するしかあるまい!」

 

その言葉に動揺する上弦の鬼達

 

「お待ち下さい無惨様!奴は逃れ者の鬼、素直に我等に協力するとは思えません」

 

「案ずるな童磨よ!奴の目的は黄金騎士の系譜の断絶!私に従わないとしても利害は一致する!」

 

「・・・上弦の弐よ・・我が主がそう望んでいる、私はそれに従うのみ」

 

「黒死牟殿」

 

「殊勝な心掛けだな黒死牟・・・いいだろう!これからも励むがいい」

 

「・・・御意」

 

「お前達も心せよ!上弦だからと驕るな!隙を見せたら奴はいつでもお前達の喉元を噛み切るぞ」

 

無惨は上弦の鬼達にそう忠告すると

 

「鳴女よ、奴の元に案内しろ」

 

無惨の呼びかけに応え鳴女が琵琶を鳴らし血鬼術で無限城の構造を変えていく

 

そして無惨は無限城の最深部、奴と呼ぶ鬼がいる場所へ向かうのだった

 

「ねぇ?本当に上弦の参は死んじゃったの?」

 

「ヒョヒョ!久方ぶりに呼ばれ、もしや猗窩座様がと思ってましたが、まさか本当だとは」

 

「恐ろしや恐ろしや!金色の鎧の鬼狩りが恐ろしい‼︎儂なんかすぐに殺されてしまうじゃろう、恐ろしや恐ろしや」

 

「ねぇ!お前達ちょっと黙っててくれない?俺は今まで感じた事もない憤りってやつを感じてるんだ!これが俗に言う怒りってやつなのかもしれないな」

 

「・・・・・」

 

「黒死牟殿?」

 

「・・・この雪辱は必ず晴らす!もう二度と遅れは取らん!・・・四ノ宮煌牙」

 

「それを言うなら俺もだよ黒死牟殿・・・あの一族特に桜花って娘にはしてやられたからね、俺の手で殺さないと気が済まないよ!それに食べ損ねた娘もいるからね!」

 

 

黒死牟と童磨、それぞれ因縁の相手に殺意を剥き出していく

 

その濃厚な重圧に他の上弦達も圧され冷や汗を流しながら二人に視線が移る

 

その時無限城の最深部、無惨が向かった場所が爆ぜ激しい衝撃が上弦達を襲う

 

そして奥から放たれるあまりにも重く禍々しい重圧に他の上弦のみならず童磨や黒死牟までもが戦慄しその奥を凝視する

 

すると奥からカツンと足音を鳴らしながらゆっくりと歩いてくる一人の鬼が現れた

 

「ほう久しいな!黒死牟、それに童磨!あいも変わらず・・いや童磨は上弦の陸から弐に上がったのか!後は・・・猗窩座はどうした」

 

「猗窩座殿は死んでしまったよ!」

 

「そうか・・・それは残念だ」

 

「無惨様はどうした」

 

「鬼無辻が心配か?黒死牟。案ずる事はない!特に殺す理由がない」

 

「それは理由が出来れば殺すと?そう言いたいのか?」

 

「それはお前達次第だ!」

 

「それはちょっと聞き捨てならないなぁ?いくらお前でも言い過ぎじゃないか?元上弦の参殿」

 

「今の私に上弦の階級など無意味だ!文句があるなら相手になるぞ?元上弦の陸!久しぶりに肩慣らしをしたいところだった」

 

「いやいや!俺は鬼同士仲良くしたいだけだったんだ!」

 

「・・・下らん」

 

そう言って元上弦の参と言われた鬼はその眼を赤く光らせ

 

「・・・・・食事の時間だ‼︎私はこれで失礼する」

 

と残しこの無限城から消えようとするが

 

「・・・・猗窩座を殺した鬼狩りはどんな奴だ?」

 

去り際にそう質問すると童磨が

 

「四ノ宮煌牙という鬼狩りの柱だよ」

 

「・・・そうか・・覚えておこう」

 

その答えにあまり興味無さげな反応を示しながら元上弦の参は消えていくのだった

 

そしてその重苦しい重圧から解放された上弦達は息を切らしながら

 

「な、なんなのよ!アイツ‼︎元上弦の参か何か知らないけどすっごく偉そう‼︎」

 

「あぁ!堕姫は知らなかったね、確かに奴は元上弦の参だが正直言って化け物だよ!この世に神なんていないけど悪魔っているんだなって俺はそう思うよ」

 

「え⁈」

 

「これは堕姫が鬼になる前の話だけど、自らをホラーと名乗る鬼がいたんだよ!その鬼は無惨様に接触し利用しようとしたんだけど当時の上弦達と裏切り者の斬吼狼殿でその鬼を倒したんだ‼︎だけどそれが間違いだった‼︎その鬼は自分の死を鍵としてある者を蘇らせたんだ!そしてその者は当時の上弦の参の体を乗っ取りその魂を喰らった!」

 

「た、魂を⁈食べる⁈そ、そんな事鬼でも‼︎」

 

「そうさ!そんな事鬼でも無理だよ!俺は人を喰らう事でその魂を救っているけど魂そのものを食べたら救いも何もない!だからこそ悪魔なんだよ‼︎」

 

「でも!たった一人なら私達が協力すれば殺せるはず‼︎」

 

「無理だよ?それが出来るならとっくにやってるからね‼︎というか昔それで返り討ちにされてるからね!ここにいる上弦達は」

 

「そんな⁈」

 

「最悪だろ?もう笑うしかないよね!なら最悪ついでにもう一つ教えるけど奴の同類が他に五人いるんだよね‼︎」

 

「・・・は⁈」

 

「これがもう最悪でさ‼︎普段は人間として社会に溶け込み人間として生活してるんだぜ!俺達鬼が喰らう人間が実は鬼すら喰らう悪魔だったなんて笑えない冗談だろ?まぁ笑うしかないんだけど!」

 

童磨の説明に言葉を失う上弦の陸“堕姫“

 

「その辺にしろ童磨よ!下らぬ事を言う暇があるなら青い彼岸花を探すか産屋敷一族を探せ!」

 

そこへ戻って来た無惨が童磨に一喝

 

「あぁ無惨様!ご無事で何より!俺は貴方が心配で胸を痛めておりました」

 

なんとも表情が読めない顔でそう話す童磨だが

 

「・・・・解散しろ」

 

これ以上話す事はないという無惨の一言で即座に撤退していく上弦の鬼達、童磨も従わないわけにもいかないので仕方なく撤退すると唯一撤退しなかった黒死牟に無惨が

 

「黒死牟・・私はお前を信用していない訳ではない!ただ私は奴を四ノ宮煌牙を確実に殺したいだけだ!猗窩座の眼から奴を!黄金騎士を見ていたが私は奴が恐ろしい!今にも頸を斬らんと喉元に飛び込んでくる黄金騎士が!あの獣のような真紅の眼が!脳裏に焼き付いているのだ!

思い出すと今でも震えが止まらなくなる!あの鎧は・・私達の理外の力!だからこそ私は奴を!あの逃れ者の鬼を利用するのだ!」

 

「・・・・御意」

 

上弦で最も信用の高かった黒死牟にそう話す無惨、黒死牟は無惨の話に肯定の意を示すが本心は納得し兼ねているようだ

 

四ノ宮煌牙を殺すのは自分であり逃れ者の元上弦の参ではないと考えているのだろう

 

そんな黒死牟も上弦の召集が終わった事で無限城から撤退すると

 

「斬吼狼・・そして黄金騎士牙狼!お前達は奴を前に絶望するだろう!

あの全てを喰らい尽くすような暗黒の鎧を前に」

 

そう不吉な言葉を残す無惨だがその表情には自身にもまた脅威だとそんな感情を匂わせる顔をする無惨だった

 

 

 

 

藤襲山〜

 

 

「ねぇお兄ちゃん?そろそろ帰らないと家の皆心配するよ?」

 

「そうだね!鬼が出る夜に子供が歩き回るのは怪しまれるからね!」

 

「俺からしたら夜に子供が歩き回るのは好都合だけどな!行方不明になっても鬼の仕業だと言えばどうにでもなるからな」

 

「まぁ本当は私達が食べるか人買いに売るかの二択だけどね!どっちにせよ私達夫婦にとって子供は利益を生む道具ってとこさね」

 

「まぁ⁈貴方達は下品極まりないですね!でも、人間は利益を生む道具という点については理解出来ます」

 

この藤襲山に集まった五人の人間・・いや正確には人間ではない異形の怪物達

 

その怪物達は藤襲山にいた鬼達を一人残らず食い尽くし集まっていた

 

「そういえば貴方達は今どこに住んでますの?前に住んでいた家族は鬼に食べられたみたいですが」

 

「あ〜あの人達も良い人達だったよ?お姉ちゃんなんか私達を庇って逃してくれたもんね」

 

「そうだね!本当は逃げる必要もないんだけど人間として生活してる以上は弱い人間のふりをしなきゃいけないしね!ハハッ!あのお姉さんも僕達を庇わなければ無駄死にしなくて済んだかもしれないのにね!ホント人間って愚かだよね」

 

「クハハハ!お前ら人の心がねぇのかよ!」

 

「そういうアンタも笑ってるじゃないか」

 

「え〜?おじさん達だって子供達を痛めつけたり殺したりしてるんでしょ?人の心なんてもってないじゃん」

 

「馬鹿!俺達は恐怖に凝り固まった魂を食う為にガキ共を痛め付けてるんだよ‼︎あの魂は人間でいうところの甘味ってやつだ」

 

「でも中には精神が壊れちまって食えもしないガキ共もいたけどね」

 

「あぁ!そんな奴もいたな!まぁそんなガキでも人買いに売りゃ二束三文の金にはなる!」

 

「そういえば私達に最後まで反抗的なガキも1匹いたね!」

 

「そんな奴いたか?・・・あぁ!いたな!すっかり忘れてたわ!クハハハ‼︎」

 

「ハハッ!そもそも僕達は人間じゃないんだし人の心なんてあるわけないじゃないか!あぁ、さっきの質問だけど僕達は今お金持ちの家に住んでるよ?」

 

「うん!私が鬼に食べられるって時にサッと現れてスパッと鬼を斬ったんだよ‼︎もうね!ホントに‼︎良いところで邪魔するな!って思ったんだよ?」

 

「ハハッ!小夜子話が噛み合ってないよ、まぁでもそれはそうだね!でも結果的に前より良い暮らしが出来てるから許してあげてるけど」

 

「うふふ♪私の家もお金持ちですよ?なんでもこの国でも顔が利くらしくて・・今度お爺様が私に会わせたい方達がいると!そう仰っていました」

 

「クハハ!お金持ち様ってのも面倒だなぁ‼︎」

 

「人間として生活している以上私達も多少の我慢はしないと!ですよ」

 

「アンタの言う事は分かるけど、私達って鬼みたいに太陽が駄目だとか

鬼を殺す連中に殺される心配もないんだし、もっと暴れても良いんじゃないかい?」

 

「ええ‼︎貴方が仰る事は重々理解しています!ですが油断してはなりません!私達を変えた者、アレはとっくの昔に殺されてますので」

 

「僕達を殺せる存在がいたんだね!気をつけないといけないね」

 

「お兄ちゃん私怖い!」

 

「クハハハ‼︎俺達は鬼さえも喰らう最強の生物だぞ!何者か知らんが喰い殺してやればいいだろ」

 

「坊や達は心配し過ぎさね!」

 

「その油断が足元をすくわなければいいのですけど」

 

そんな会話を交える怪物・・魔導ホラー達

 

彼らは元よりこの世界の人間、魔導ホラーへと変貌したが古より続く魔戒騎士とホラーの戦いの歴史など知る筈もない

 

故に警戒しても立場は圧倒的に此方が有利だと信じていた

 

そんな時だった

 

「ホラーは古より魔戒騎士の手によって葬られ続けてきた!己の力を自負するのは構わんが見誤ればお前達も同じ流れを辿るだろう」

 

魔導ホラー達にそう忠告しながら近付いて来る一人の男

 

「お待ちしておりました!我等が主‼︎」

 

と貴族令嬢の魔導ホラーが男に畏まると

 

「随分とまぁ遅かったな大将!この山の鬼は俺達が先に食ったぞ」

 

「こういうのは早いもん勝ちさね!」

 

「私我慢出来なかったんだもん!ゴメンなさい」

 

「そうだね!僕達も悪いとは思ってるよ」

 

他の四人も男の前に集まっていくと

 

「そうか・・それは残念だ!」

 

たいして残念では無さそうな男がそう言うと

 

「お前達は今まで通り人間として社会に溶け込み、必要とあれば人間の魂も捕食しろ」

 

「承知しました、我が主」

 

「私は鬼の方が好きだけどおじちゃんがそう言うなら人間も食べるよ」

 

「小夜子、おじちゃんは失礼だと思うよ?だって彼の見た目は鬼なんだから」

 

「つまり俺達は今まで通り好きにやれって事だな!なぁ大将!」

 

「アンタがそう言うなら私達は好きにやるさね!」

 

その男からの指示に従う姿勢を見せる五人、話はこれで終わりだとその場で解散をするのだが

 

「我が主、あれで良かったのですか?」

 

特に具体的な指示もない事に疑問を持つ貴族令嬢はその場に残り男にそう質問をするのだが

 

「アレ達は加減というものを知らん、ならば好きにさせるのが私にも好都合というもの!」

 

「承知しました我が主」

 

「さて・・この鬼の姿というのも少々目立つ、私も人間へと擬装して世に溶けようか」

 

男はそう言うと怪しげな薬瓶を取り出しそれを一気に飲み干すと

 

「素敵な殿方になられましたね、我が主」

 

男は鬼という人からかけ離れた見た目から好印象を与える容姿の整った人間の男へと変化して爽やかな笑みを見せると

 

「龍崎駈音だ、これからはそう呼ぶと良い」

 

「承知しました、駈音様」

 

龍崎駈音と名乗る男は配下である貴族令嬢と共にこの場を後にして常闇に消えていくのであった

 

 

 

その頃四ノ宮邸では

 

「待て煌牙‼︎私の話はまだ終わってないぞ‼︎」

 

「まだ何も話してないぞ‼︎の間違いじゃ?」

 

「喧しい‼︎・・・全くあいも変わらず口の減らない奴だ!」

 

「それで?話というのは?」

 

「うむ・・・まずは・・煌牙、お前がこうして無事に帰って来てくれて良かった!鬼との戦いは常に命がけだ!上弦となると尚更死を覚悟しなければならないだろう!だが!それでも!無事に帰って来て欲しいと私はそう願っている!そして・・ありがとう!杏寿郎を助けてくれて‼︎息子が!こうして無事に帰って来てくれた事を親としてこれ程嬉しく思う事はない‼︎煌牙・・本当にありがとう!それと、おかえり‼︎」

 

「うん・・ただいま慎寿朗さん!」

 

結局のところ熱血親父のしつこい追跡に根負けした煌牙、絶対怒られると思っていたが出てきた言葉は感謝と温かい言葉だった

 

一瞬戸惑いはしたがそう言って貰えて嬉しい煌牙だったが

 

「その温かい言葉、ちゃんと息子に伝えなよ慎寿郎さん」

 

「当たり前だ!我が子を労わない親がどこにいる?」

 

「そうだな・・まぁ俺も一応?・・親に労ってもらったし」

 

「一応とはなんだ‼︎泰三殿と花蓮殿はお前の親だ‼︎誰がなんと言おうとな‼︎」

 

「あぁ・・いやそうじゃなくて‼︎その・・師匠やおやっさんの他に俺達を捨てた奴等がいるって昔話しただろ?だけどさ、そいつら俺達の親じゃなくて・・本当の産みの親がいたんだ」

 

「何⁈お前達兄妹の本当の親がいたのか⁈だが何故お前達を捨てるような真似をしたんだ?その産みの親というのは」

 

「捨てられた訳じゃない・・ただそうするしか選択肢がなかったんだと思う」

 

「・・込み入った事情がありそうだな」

 

「まぁ、それも含めて話を聞きに行こうと思うんだ!俺の父親の所に」

 

「今からか⁈」

 

「まぁ・・歩いて十五分って所だし」

 

「意外に近いな・・よし!私も一緒に行こう!ガツンと一言言ってやる‼︎」

 

「お、おぉ!元炎柱が初代牙柱にガツンと一言・・絵面が凄いな」

 

「・・・はぁ⁈初代・・牙柱?煌牙、お前は何を言ってるんだ?」

 

「いや・・気持ちは分かる‼︎普通に考えれば何を言ってるんだ⁈と思うけど・・父親なんだよ、初代牙柱暁大牙は‼︎」

 

「・・・・意味がさっぱり分からない‼︎」

 

「その意味が分からない事実を唐突に突き付けられたんだよ!俺は‼︎」

 

「・・・そうか・・いや!お前も大変だな!それで、初代牙柱が父親というのは本当なのか?」

 

「逆にここで嘘を言って得られる利があると思う?」

 

「ないな‼︎」

 

「だろ?んじゃ俺は話を聞きに行くけど・・慎寿郎さんも一緒に行くんだろ?ガツンと一言言いに」

 

「馬鹿‼︎歴代の柱の中で最も偉大だった初代牙柱にそんな事言える訳ないだろう‼︎」

 

「えぇ〜・・さっきまでの威勢はどこにいったの?いや、まぁあのおっさん怒れば滅茶苦茶怖かったし余計な事は言わない方が良いと思うけど」

 

「ま、まぁ私の事はともかく話を聞きに行くのは機を見てからの方が良いと思うぞ?」

 

「え?なんで?」

 

「お前・・本当の親がいたという事実をお前だけが先に知って後から妹に話す気か?いいか?家族というのは辛い事も嬉しい事も共に共有し乗り越えていくものだ‼︎妹が大事ならその家族の輪から外すような真似をするんじゃない‼︎」

 

「・・・・ゴメン慎寿朗さん‼︎それとありがとう‼︎」

 

「いや、大事な事を思い出させてくれたのはお前だ!礼を言われるような事はしていない」

 

「それでもだ‼︎俺カナヲの所に行ってくる‼︎」

 

「あぁ」

 

元炎柱煉獄慎寿郎との会話を切り上げ煌牙はカナヲの元へと走り出していった

 

「煌牙、初代牙柱は遥か昔の人間!お前の話が本当だとするなら・・お前は一体何者なんだ?」

 

事情を知る由もない慎寿郎はそう疑問を残しゆっくりと煌牙の後を追うのだった

 

 

 

 

わぁぁぁぁ⁈これ美味しいです‼︎凄く美味しいです‼︎

 

「アンタ‼︎もう少し落ち着いて食べな‼︎」

 

「柱の皆様も同席してるのだからあまり失礼のないようにね」

 

だって凄く美味しいんですもん‼︎沢山食べないと勿体ないですよ‼︎それにほら‼︎恋柱様と炎柱様を見て下さい‼︎

 

「・・・・まぁ・・あの二人は・・うん」

 

「一人で既に十人前位は食べてるわね」

 

あれだけ食い意地が汚いんですよ‼︎私が沢山食べても問題ありません‼︎

 

「アンタの発言の方が大問題だよ‼︎」

 

一方四ノ宮家の大食堂で既に御馳走を食べていた鬼殺隊の面々

 

市場には滅多に流通しないような珍しい食材や高級食材、専属シェフや煌牙が腕によりをかけた数々の料理に舌鼓をうつ天元の三人の嫁達や炎柱、恋柱を筆頭とする大食い自慢達が料理を食い漁り本来なら上品な食卓は混沌と化していた

 

その中で一番まともというか最も上品なのが四ノ宮家と産屋敷家が囲うテーブルだろう

 

食事の際の礼儀作法を重んじ丁寧に料理を口に運ぶ姿は上流階級の育ちが表れていた

 

「おい!三太郎‼︎なんだこの茶色いドロドロしたやつは⁈まるで腹を下した時に出るやつみたいじゃねぇか!」

 

「汚ねぇぇぇぇ‼︎伊之助お前‼︎飯食ってる時にそんな話をするなぁ‼︎」

 

「でもなんだろう?見た目は確かに伊之助の言う通りだけど口に入れてみると辛くて刺激的で凄く美味しい‼︎」

 

「炭治郎‼︎お前なんでそんな感想言いながら食べてるんだよ⁈」

 

一方で炭治郎達はカレーという初めて見る料理に興味津々だったが

伊之助の不用意な一言で善逸が食欲を失くし、炭治郎はあまり気にしてないのかカレーを口に入れ味の感想を話していると

 

「これはカレーという異国の煮込み料理だよ。異国ではナン?とかいうのと一緒に食べるみたいだけどこの国だとお米と一緒に食べるらしいよ?」

 

カレーという料理だと炭治郎達に教えるカナヲ、さっきの話を聞いて内心ドン引きしてはいるがそれを顔に出さず自分の持つ皿に乗っている料理を口に運ぶと

 

「カレーというのか、初めて知ったよ!カナヲが食べているのは?凄く美味しそうだけど」

 

「ん?これはオムライスという卵でご飯を包んだ料理だよ?凄く美味しいよ?」

 

四ノ宮家に並ぶ料理は大正時代では贅沢品の洋食が並んでいて給金を貰っているとはいえ普段食べる機会も少ない柱達も数々の品を更に乗せ舌鼓を打っていた

 

そんな中扉を勢いよく開けて入ってきた煌牙

 

「ちょい‼︎カナエさんアンタ近いって‼︎」

 

「でも煌牙君も男の子だし抱き付かれたら嬉しいでしょ?」

 

「アンタあざといな‼︎」

 

その煌牙に引っ付きながら一緒に入ってきたカナエと嫉妬からなのか青筋を額に浮かべた笑顔のしのぶが一同と合流すると

 

「わぁ〜お‼︎流石の桜花ちゃんもこの展開は予想してなかったよ〜♪

となると?しのぶちゃんとカナエさんの煌牙争奪戦が始まっちゃう感じかなぁ〜?」

 

「ちょっとお姉!なに呑気な事言ってるの⁈お姉もお兄の事好きなんでしょ?このまま黙って見てるわけ?」

 

「あら?桜花も煌牙の事が好きだったの?でもお母さんはちょっと複雑かしら?」

 

「僕の意見を言わせて貰うと桜花の気持ちは尊重出来ないかな?四ノ宮家の長男と長女として表社会に顔が割れている以上近親婚は推奨出来ないね」

 

「あれれ?いきなり話がブッ飛んでるけど私の煌牙に対する好意は家族愛なんだけど・・ちょっと頭がお花畑過ぎないかなぁ瑠花!流石の桜花ちゃんも引くよ?」

 

「瑠花は真面目で賢い子だけどそういった事は疎いからね!お父さんとしては非常に安心だよ」

 

「お母さんはそんな瑠花が大好き‼︎」

 

と煌牙本人そっちのけで話が盛り上がる当家族達

 

「煌牙‼︎魔戒騎士の継承は基本的に血縁者が受け継ぐ事が多い!だから魔戒騎士は次代の後継者を残す為に子孫が必要だ!という訳でそこのおっとり美人な姉ちゃんを受け入れてやれ‼︎」

 

「子孫を残していないお前には言われたくないな総悟‼︎」

 

「あ?喧嘩売ってんのか煌牙‼︎」

 

「そういや初対面の時いきなり斬り掛かってきたよな?先に手を出してきたのはそっちだぞ‼︎」

 

「面白れぇ‼︎その喧嘩買ってやるよ‼︎」

 

「はい‼︎アウトォォ‼︎魔戒騎士同士の私的な戦いは御法度‼︎掟を知らない訳じゃないでしょ?」

 

「ならサバックだ‼︎それなら問題はねぇだろ?」

 

「ならいいよ‼︎って私が言うとでも?煌牙ちゃんは疲れてるんだよ?」

 

「いや・・俺は総悟と戦ってみたい」

 

「煌牙ちゃん⁈」

 

「強くなったから力を試したいとかそんな玩具を与えられて喜ぶ子供みたいな理由じゃない‼︎俺と総悟は魔戒騎士‼︎これから共に戦っていく仲間だ!互いの実力や手の内を知らないと連携も上手くいかないだろ?だからこそ俺は総悟と戦ってみたい」

 

「ハッ‼︎そうきたか‼︎なるほど‼︎確かに煌牙の言う通りだ‼︎互いに交戦の意があるんだ!止めるなよ朔弥」

 

話の流れで煌牙と総悟が戦う流れになりオロオロとしながら煌牙を心配する朔弥

 

煌牙の側にいたカナエやしのぶもまさかこんな流れになるとは思わず

 

「ちょ⁈煌牙さん‼︎貴方ちょっと前までこんな好戦的じゃなかったでしょ⁈どちらかというとのらりくらりと躱してたじゃない!』

 

「私も煌牙君が心配だわ!総悟さん?だったかしら?初代牙柱様と双璧を成した魔戒騎士って聞いたわ!」

 

総悟と戦うと言い出した煌牙を心配するしのぶとカナエだが

 

「面白いじゃないか‼︎皆も思わないかい?上弦を倒した煌牙、彼は牙の呼吸と型とは違う呼吸と型を使ったと杏樹郎君から報告を受けていたよね?だったら口で説明するより実際に見せて貰おうよ!その呼吸と型を‼︎それに総悟さんの実力も鬼殺隊の皆に知ってもらう良い機会だと僕は思う‼︎」

 

少し興奮気味の泰三だが彼の言う通り今の煌牙と総悟の実力を知るには絶好の機会、当初は煌牙が皆に説明すると言っていたが百聞は一見にしかず実際に見た方が理解が深いのは間違いないだろう

 

そしてここまで静観していた柱達だが、煌牙に引っ付いていたカナエに面食らった事もあるが下手に茶化すとしのぶから新薬の投与という名目の人体実験に付き合わされそうと誰も喋らないでいたのだが泰三の話で漸く話に加わる事ができ、皆が肯定の意見を言うと

 

「泰三の提案は私も賛成だけど、どうせなら柱の皆も参加したらどうだろうか?煌牙の言う通り連携をより強化するには直に体感した方がより理解を深められると思うんだ」

 

「お館様のお許しが出たのなら、俺も今の煌牙と刃を交えたいと思います‼︎そうゆう訳だ‼︎煌牙‼︎俺とも戦え‼︎」

 

輝哉の提案に好戦的な実弥が真っ先に煌牙と戦う構えを見せると

 

「あの‼︎・・俺も煌牙さんと!あぁ、いや‼︎戦いたいとかそんなつもりじゃなくて!ヒノカミ神楽について分かった事があると言ってたから・・その」

 

「え⁈炭治郎お前・・安心しろ‼︎骨は拾ってやるからな‼︎」

 

と申し訳なさそうに参加の表明をする炭治郎と参加する気が全くない善逸

 

「オーガの戦いを見て分かった事がある・・・今の俺じゃ歯が立たねぇ‼︎」

 

「いや、それは見なくても分かる」

 

煌牙と自分の実力差を冷静に比べ歯が立たないと素直に認める伊之助に

ツッコミを入れた善逸・・・は伊之助に関節技を極められ撃沈した

 

「だったら俺達も参加しようかな!一応俺達は煌牙の兄弟子だしな‼︎」

 

「一応って‼︎言ってて悲しくない?というか俺達って私は参加しないよ?」

 

「え?」

 

「え?」

 

ここで辰巳も参加を表明するが春は参加する気はないらしく思わずすれ違いが生まれてしまう

 

「だって煌牙疲れてるんだよ?それで何人かと戦うんだよ?それも同格の柱達と‼︎気持ちは分からなくもないけど自分の気持ち優先で煌牙に負担を掛けたくないかなって」

 

「そりゃそうだ‼︎つい流れで俺も参加しようとしたが煌牙の負担を考えたら春の意見は至極真っ当だな‼︎ハハハ‼︎」

 

「でしょ?」

 

「お館様‼︎柱でもない俺が意見を言うのはおこがましいのは承知で言いますが煌牙の負担を考えて戦う人数を絞ってみてはどうですか?まぁ発端の総悟さん?は別として柱達は・・・勝ち抜き戦で勝った方が代表して煌牙と戦うとか?まぁ煌牙も疲れてるし連戦するなら柱達も連戦しないと条件は合わないと思います‼︎まぁ自分に有利な条件じゃないと煌牙と戦えないとか言う腰抜けは柱にはいないと思いますがね!ハハハ」

 

煌牙の負担を考えれば自分は参加すべきではないと考え直した辰巳

 

兄弟子ではあるが親友でもある煌牙を蔑ろにしない辰巳は輝哉にそう提案するが言い方に刺がある

 

「上等だ‼︎他の柱をブッ潰して俺が煌牙と戦ってやる‼︎」

 

辰巳の発言にいの一番に噛み付いてきたのが好戦的な実弥だ

 

腰抜けと言われて黙ってられないのだろう

 

「ハハハ‼︎こう言えば柱の方々も否定的な意見は出せないってな」

 

敢えて刺のある言い方をしたのは辰巳の思惑のようだ

 

柱達と抗議するのは流石に気が引けるので先手を打つ方が楽だと考えたのだが

 

「俺達柱が腰抜けとは随分と派手な事を言うな」

 

実弥はまだしも他の柱達は腰抜け呼ばりされた事に憤慨して辰巳に詰め寄り・・・辰巳は柱達にしばかれた

 

「あのさ‼︎俺総悟と戦ってみたいとは言ったけど鬼殺隊の面々とも戦いたいとか言ってないぞ?何か勝手に話が進んでるけど」

 

確かに煌牙は総悟と戦ってみたいとは言ったが柱達とも戦いたいとは一言も言っていない

 

自分の意思とは裏腹に話が拡大したのを良く思わない煌牙は

 

「まぁ柱同士の稽古だと思えば反対は別にしないけど俺の意思も聞かずに話を進めるのはどうかと思う‼︎俺、鬼殺隊の都合の良い道具じゃないんで‼︎」

 

この話は煌牙を中心とした話なのに肝心の煌牙の意思は反映すらされていない

 

敢えて辛辣な言葉をぶつける煌牙は

 

「辰巳、春ありがとな‼︎俺はお前達が親友で本当に良かったよ」

 

「まぁ俺はそんな褒められたもんじゃないけどな‼︎ハハハ」

 

「最初戦おうかなって言ってたからね‼︎」

 

と和やかな会話をする煌牙達だが

 

「誰も道具扱いなんてしてねぇだろうが‼︎」

 

煌牙の辛辣な言葉に憤慨した実弥が噛み付いてくる

 

柱達は誰も道具扱いなんてしてるつもりは一切ないので当然の反応だ

 

「あぁ・・悪い!俺も言い過ぎたけど、俺とどうこうする話なら俺の意見も少しは聞けって事だよ‼︎柱なんだから自分達の判断で決める事もあるしそれはそれで大事な事だと思う‼︎でもさ?人の意見も大事じゃん?

人と人の繋がりは自分の想いだけじゃなく相手の想いも汲まないと繋がらないよ?不死川さんも思うところあるだろ?」

 

「・・・・あ?弟の事は今関係ねぇだろうが!」

 

「まぁ・・そこは兄弟同士で話し合ってほしいというか」

 

と実弥と会話している煌牙だが

 

「ねぇ?煌牙良い事言ってるけど煌牙も一人で抱え込んで相手の想いを汲み取らないよね?特に人の好意とか?繋がらないから一方通行だよ?

人に偉そうに説教するなら煌牙も人の好意を受け取らないと!その辺煌牙はどう思う?」

 

「えぇぇ・・まぁ・・はい・・・そうですね・・・これからは善処するという方向性で前向きに検討する事という事で」

 

「あらあら♪じゃあ私も好意も素直に受け止めてくれるのね♪嬉しいわ♪」

 

「ちょっと姉さん⁈食い付きが早過ぎるわよ!この朴念仁の言ってる事は拒否よ‼︎当たり障りのない都合の良い拒否よ‼︎ダラダラと言葉を並べてるだけの拒否よ‼︎」

 

「おい!三回も言うなよ‼︎前向きに検討するって言っただろ‼︎」

 

「ええ!確かに言ったわ‼︎でも言っただけで実現するかは怪しいのよ‼︎そもそも人からの好意に全く気付いてないでしょ!」

 

「気付いてないというか今までそんな余裕が全くなかったというか・・

牙狼や柱という重責と俺自身の弱さの葛藤がな・・その・・なんだかんだ言いながら俺は今だけしか見ていなくて未来を見てなかったんだなって」

 

「その言い方はズルイわ‼︎文句言えなくなるじゃない」

 

「悪い・・だけどこれからは俺も誰かと一緒にに未来を見てもいいんじゃないかって思ってる‼︎まぁ鬼殺隊の将来性は不確定過ぎて安易な約束はしたくないって気持ちはあるが」

 

「まぁ、今はそれだけ聞けたら充分だわ‼︎だったら尚更鬼無辻を倒して

平和な日々を取り戻さなくちゃ‼︎」

 

煌牙の発言にヤル気充分といったしのぶ、煌牙もちょっと肩の荷が降りた中ホッとした表情を見せると桜花を一瞥

 

これ以上拗らせたらややこしくなるから黙ってろと眼で訴えると

 

「はいは〜い‼︎とりあえず話を纏めると柱達の中から勝ち上がった人が煌牙と戦うって事でいいんだよね?煌牙もそれでいい?」

 

「それでいいよ‼︎まぁ脳筋僧侶が勝ち上がりそうだけどな」

 

「あぁ⁈俺が勝つわぁ‼︎」

 

桜花が話を纏めだして煌牙も了承、だが岩柱の悲鳴嶼が勝つだろうと予想すると実弥が闘志を燃やしヤル気充分といったところだ

 

そんなやり取りがありつつ一同は庭に出ると

 

「カナヲ後で話がある」

 

「話?うん、分かった」

 

「朔弥さんもいいよな?・・先代牙狼暁大牙を交えて話がしたい」

 

「煌牙ちゃん⁈それって‼︎」

 

「まぁそうゆう事だ‼︎んじゃ‼︎総悟と戦ってきますわ」

 

そう言って煌牙は肩を回し準備運動をすると

 

「じゃあさっさと始めますか‼︎」

 

「あぁ、言っておくが手加減はしないぞ?」

 

「おう!負けた時の言い訳に使われたら情けないからな‼︎」

 

「はっ‼︎その言葉そっくり返すぞ」

 

そんなやり取りをしつつも両者共に即座に戦闘開始出来るよう警戒態勢を怠らず

 

「はっ!」

 

先制攻撃として総悟が瞬時に間を詰め寄り奇襲を仕掛け煌牙の隙を生み出そうとする

 

ーー日の呼吸 幻日紅ーー

 

それに対し煌牙は日の呼吸の型の一つ、幻日紅で急速に回避

残像を残し回避した煌牙はその勢いを利用して総悟の真横から蹴りを放つ

 

総悟も一瞬とはいえ残像に撹乱され反応が遅れたが煌牙の蹴りを腕で防ぎ脇腹の直撃は辛うじて避け初手の攻防は一進一退といったところだ

 

そしてこの攻防で互いに火が付いたのか互いに剣撃や格闘術を織り混ぜながら激しい攻防戦が始まり

 

「ハッ‼︎流石は黄金騎士様ってか?中々やるじゃねぇか‼︎」

 

「まぁな‼︎そうゆうアンタも結構やるな‼︎流石は歴戦の魔戒騎士ってか?」

 

剣撃と剣撃がぶつかり鍔迫り合いの最中互いに憎まれ口を叩く煌牙と総悟

 

互いに獰猛な笑みを浮かべ剣を弾くと

 

ーー呀の呼吸ーー

 

とある型の構えをした総悟が顔を顰め

 

「・・・・チッ!とうとう出てきやがったか‼︎」

 

突如戦いの構えを辞め視線を彼方へ向けた総悟

 

突然の行動に勢いを削がれた煌牙は総悟に疑問を持ちつつも総悟の唯ならぬ雰囲気を感じ取り

 

「何かあったのか?」

 

そう言って魔戒剣を鞘に仕舞い歩み寄る煌牙

 

「あぁ!煌牙‼︎俺に着いてこい‼︎」

 

何があったのか話す時間もないのだろう

 

総悟は足元に影を作り出すと煌牙に着いてくるよう促し先に影の中に飛び込むと

 

「皆ゴメンね‼︎大事な用を思い出したからちょっと煌牙ちゃん借りてくね‼︎」

 

朔弥も慌てて飛び出し鬼殺隊に模擬戦が中止になる事を謝罪して

 

「行こう?煌牙ちゃん」

 

そう言って朔弥も影に飛び込み

 

「花蓮‼︎僕達も行こう‼︎ここから先は僕達も無関係じゃいられない」

 

「泰三さん・・分かりました!私も共に」

 

普段は飄々とした泰三からは見れない真面目な態度に何かを察して共について行く事を決めた花蓮

 

「お館様並びに産屋敷家の皆様‼︎そして柱達‼︎こうしてお集まりになられたのにこのような形でこの場を去る事をお詫び申し上げます‼︎」

 

四ノ宮家現当主として鬼殺隊関係者に非礼を詫び花蓮は泰三と共に影の中に飛び込んで行った

 

すると

 

「え⁈ちょっと桜花さん⁈」

 

何故かカナヲを担いだ桜花が影に向かって走り出し

 

「出遅れちゃったらカナヲちゃん置いてけぼりになっちゃうよ?大好きなお兄ちゃんと離れるの嫌でしょ?」

 

「いや!いきなり過ぎて理解が追い付きません」

 

「大丈夫だよ!私もいきなり過ぎて、事態を呑みこめてないから」

 

「それ、大丈夫じゃないやつですよ?」

 

そんな会話をしながら二人が影の中に飛び込むと

 

「じゃあ!皆悪いけど今日はこれでお開きな‼︎あとは飯食うなり泊まるなり好きに過ごしてくれ‼︎ゴンザさんに言えば大丈夫だから」

 

後の事をゴンザに任せ煌牙も影の中に飛び込もうとすると

 

「お兄‼︎嫌‼︎私を一人にしないで‼︎」

 

家族総出でいなくなる事に危機感を覚えた瑠花は慌てて煌牙に飛び付き

 

「うぉっ⁈いきなり飛び付いたら体勢が⁈」

 

勢いよく飛び付いた事で体勢を崩した煌牙は

 

「あっ⁈やばい‼︎このまま影の中に落ちる」

 

体勢を整える暇もなく煌牙達は倒れながら影の中に落ちていくのだった

 

 

 

「この屋敷の当主一家が皆消えてしまったね・・こればかりは私も予想出来なかったよ」

 

流石にこの展開までは予想していなかったお館様、どうしたものかと思案していると

 

「普通ならこんな展開予想出来ないですよね!まぁアレが四ノ宮家の日常茶飯事なんで俺達はもう慣れましたよ‼︎ハハハ‼︎」

 

「それって暗に私達も普通じゃないって意味なんだけど?まぁ慣れてしまってるから否定出来ないのが悲しいけども」

 

四ノ宮家と共に暮していればこんな事は日常茶飯事だと笑う辰巳と普通じゃない事を嘆く春

 

柱達を差し置いて先にお館様に話しかけるあたり彼等も普通の感性ではないのかもしれない

 

「まぁそれを言うならあの少年も普通じゃないけどな!」

 

辰巳は消えゆく影を見ながらそう呟くのだった

 

 

 

 

 

そして総悟達はというと

 

「一足遅かったか・・・奴の反応が消えてやがる」

 

そう呟く総悟に

 

「奴と言うのは君が話していた例の奴かい?」

 

「例の奴?泰三さん、私は話が見えないけど何があったのかしら?」

 

「お母さんはあの時いなかったからね‼︎いや‼︎私も驚いたよ‼︎」

 

「桜花さん降ろして下さい‼︎」

 

「・・・・せめて何か痕跡か手掛かりでも見つかれば、奴等は反応しないし探す事も困難」

 

そう話す泰三、花蓮、桜花、カナヲ、朔弥

 

総悟は彼等に視線を移し

 

「煌牙、お前何やってんだ⁈」

 

呆れた目で影から出てきた煌牙を見ると

 

「瑠花も一緒に着いてきた」

 

着いてきたものは仕方ないと割り切っていた煌牙はそう返すと

 

「だけじゃねぇだろ‼︎後ろ見ろよ‼︎」

 

そう言われ皆が煌牙の後ろを見ると

 

「すいません‼︎俺も何か出来ないかって思って」

 

何故か炭治郎も着いて来ていた‼︎

 

「おい‼︎これは遊びじゃねぇんだ‼︎何か出来ないかって?何も出来ねぇよ‼︎だから鬼狩りは俺達の計画から除外してんだ‼︎」

 

「総悟ちゃん‼︎だからってそんな言い方はないよ‼︎私達の敵がどんな奴か知らないんだもん‼︎仕方ないよ」

 

カナヲはともかく話の中に入ってなかった瑠花と炭治郎という予定外の人間が来た事に激怒する総悟とそれを宥める朔弥

 

「計画?鬼狩りは除外?どういう事かしら?さっきから話が見えてこないし、私達の敵といういうのが分からないわ?鬼じゃないのかしら?」

 

さっきから話が見えない事に疑問と憤りを感じた花蓮の発言に

 

「そうだね‼︎ちゃんと話すべきだね‼︎私達魔戒騎士や法師が倒さなきゃいけない本当の敵ってやつを」

 

「えっ⁈本当の敵?鬼無辻無惨じゃないんですか?」

 

「それは鬼殺隊にとっての怨敵‼︎私達が倒さなきゃいけないのは・・・魔導ホラー達と闇に堕ちた魔戒騎士‼︎暗黒騎士''呀“‼︎」

 

炭治郎を始め鬼殺隊は鬼を狩る為に戦っている、故に倒すべき本当の敵は鬼無辻無惨であり当然疑問に思うだろう

 

だが朔弥が話した内容は全く聞いた事もない未知の敵だった

 

「それはホラーの気配をしているわけではない、夜になると動き出す訳でもない、普段は人として紛れ込んでいる特殊なホラー、それが魔導ホラー‼︎」

 

「人として⁈普段は一般人として人間社会で暮らしているって事ですか⁈」

 

「そう、鬼のように姿形や気配で判別出来ない‼︎隣の隣人が異形の化け物だったとしても誰も知らず気付かず人の営みが行われているの」

 

「そしてホラーは人の魂を捕食する!仮に集団失踪があっても鬼殺隊は鬼の仕業と判断して真の犯人には辿り着かない‼︎」

 

「そんな⁈・・そんな化け物がこの世に!」

 

「そしてホラーを倒す事が出来るのは魔戒騎士や法師だけ‼︎鬼が日輪刀じゃないと殺せないように、ホラーは私達だけしか倒す事が出来ないの‼︎」

 

「それで鬼殺隊は計画から除外するって・・でも‼︎それを知って何も出来ないのは悔しいです‼︎」

 

魔導ホラーの存在を知って尚、何も出来ないのが悔しいと嘆く炭治郎

 

「まぁ、あれだね!適材適所ってやつさ!僕達はどんなに頑張っても出来る事は限られてくる!だから皆が必要なんだ!互いに補い合い一人じゃ出来ない事も皆がいれば出来る‼︎だから炭治郎君!君は君が今出来る事を頑張ってくれたらいい‼︎それが巡り巡って皆の役に立つ‼︎だから何も出来ないと嘆く必要はないさ‼︎」

 

そんな炭治郎に彼なりの持論を話して炭治郎を励ます泰三

 

「ありがとうございます!泰三さん‼︎」

 

そう礼を言って頭を下げる炭治郎、彼は頭を下げた後煌牙をチラ見して煌牙から何か言葉を貰えたらと期待を込めていると

 

「炭治郎は凄いんだよ‼︎炭治郎はね!心が凄く強いの‼︎兄さんも炭治郎は凄いって認めてたよ?私も頑張るから炭治郎も一緒に頑張ろ?」

 

と煌牙ではなくカナヲが割り入って炭治郎を励まし

 

「うん‼︎ありがとうカナヲ‼︎一緒に頑張ろう‼︎」

 

炭治郎と同じく騎士でも法師でもないカナヲ、同じ立場から共に頑張ろうと意気込み炭治郎もそんなカナヲの言葉に同調して共に頑張ると決意する

 

「なるほど!朔弥さんが残していた文献に記されていたホラーが実際にいて私達はそれを戦うと‼︎」

 

「そうゆう事になるね花蓮、僕達守りし者が本来戦うべき敵!とはいえ僕達はその魔導ホラーを見つける術がない!難儀なモノだね」

 

「まぁな‼︎俺が今まで鬼無辻を斬らなかったのはそこに理由がある‼︎」

 

「あぁ、僕が君に質問したやつだね!まぁ理由はもう察したけど」

 

「そうか」

 

「そうだね、不可解な失踪は鬼の仕業として鬼殺隊は動く、だがそれが鬼じゃないなら?鬼無辻なら鬼の動向を把握している筈、鬼かそれ以外か?それを見極める為に鬼無辻を斬らなかった・・いや斬れなかったの間違いかな?」

 

「アンタの推察通りだ」

 

そう話す総悟達、その傍らずっと沈黙していた煌牙は

 

「ねぇ?煌牙?さっきからずっと黙ってるけどどうしたの?お腹痛いの?」

 

「いや、俺は魔導ホラーよりも暗黒騎士の方が気になってな!闇に堕ちた魔戒騎士って何だ?」

 

魔導ホラーも勿論気にはなるが魔戒騎士として闇に堕ちた魔戒騎士という言葉が引っかかる煌牙、その問いかけに

 

「暗黒騎士、その名の通り自らの闇に堕ち守りし者としての使命を失った騎士!煌牙ちゃんも知ってるけど鎧は制限時間を過ぎて尚使い続けると自らの魂を侵食する!そして最期は魂を鎧に喰われ消滅するのが心滅獣身の果て‼︎だけど‼︎その心滅を克服して再び鎧の制御と人の姿を取り戻したのが暗黒騎士‼︎でも鎧を構成するソウルメタルはよりホラーに近いデスメタルに反転して凶々しい鎧になってるの‼︎」

 

「暗黒騎士は守りし者としての道を外れた裏切り者‼︎生かしておけば必ず災厄を引き起こす‼︎だから俺達の手で討たなければならない‼︎」

 

そう説明する総悟と朔弥、その説明を受けて深く考え込む煌牙

 

「自らの闇に呑まれた魔戒騎士か」

 

そう呟いた煌牙に

 

「さっきからどうしたの〜?煌牙〜?」

 

とちょっと心配そうな桜花が尋ねると煌牙は

 

「まだ皆には話してなかったけど俺が上弦の壱、黒死牟に負けた夜俺はあの時自らの怒りに呑まれ心滅獣身になったんだ‼︎そして己の闇に堕ちかけ俺は・・カナヲに手を掛けようとした」

 

そう話す煌牙に皆が固唾を飲み続きの言葉を待っていると

 

「でも‼︎兄さんは踏み止まった‼︎だから兄さんは闇になんか堕ちてない‼︎」

 

そう口調を強めて話すカナヲ、闇に堕ちた魔導騎士は討たなければならないと聞かされカナヲは煌牙はそうじゃないと必死に庇いたいのだろう

 

「カナヲちゃん、分かってる‼︎煌牙ちゃんは闇になんか堕ちてないよ?だから煌牙ちゃんは牙狼なの‼︎」

 

闇に堕ちた魔戒騎士が再び牙狼の鎧を受け継ぐ事は絶対にない‼︎

それは十分過ぎる程理解している朔弥がカナヲを諭すと

 

「心滅獣身かぁ、アレを解くには腰の紋章を突いて強制的に鎧を解除するしか方法はないけど・・総悟ちゃんがやってくれたんだね?」

 

一度心滅獣身と化したら腰の紋章を魔戒剣で突き鎧を強制的に解除するしか方法はない、あの時煌牙達を助けた総悟が心滅獣身を解除したんだと判断した朔弥だったが

 

「いや・・俺が助けに来た時は煌牙はもう鎧を解除していたが・・待て⁈だったらどうやって鎧を解除した⁈」

 

総悟が煌牙達を助けた時、煌牙は鎧は纏っていなかった

 

だったらどうやって心滅獣身から煌牙は解放されたのか?当然疑問が生まれる

 

「あの時どうやって鎧を解除したのか俺もよく分かってないんだ、ただあの時カナヲの声と鈴の音が聴こえた!あの時の鈴の音が怒りに呑まれた俺を繋ぎ止めてくれたんだ!」

 

実際の所煌牙はあの時の記憶が曖昧で詳しく憶えてはいない

 

だからそう説明するしか出来ないでいたが

 

「・・・煌牙さん‼︎あの‼︎・・俺はあの時いなかったから上手く言えないけど、その・・きっとそれは煌牙さんを想うカナヲの想いが・・兄妹の絆が煌牙さんを繋ぎ止めてくれたんだと・・俺は思います」

 

そんな煌牙に煌牙を繋ぎ止めてくれたのは兄妹の絆だと言う炭治郎

 

「禰豆子が鬼になった日、最初は禰豆子も鬼の本能に呑まれかけていました。だけど‼︎禰豆子は踏み止まってくれました‼︎だから、その・・煌牙さんも禰豆子と同じなんだろうなって」

 

言葉にするには上手く出来ない、だが心の中では確信に近い絆とでもいえる繋がりを感じた炭治郎はそう話すと

 

「そっか・・絆か・・そうだといいな」

 

煌牙は禰豆子が人の心を持っていると分かっている、故にその理由が炭治郎の言う絆なんだと察し自分達もそうだったらいいと炭治郎の頭を割と強く撫でた

 

「総悟ちゃん」

 

「あぁ」

 

何か思う事があるのか深く考え込む朔弥と総悟

 

「まぁ、ここで話し込んでも仕方ねぇ‼︎先に進むぞ」

 

そう言って先に歩き出す総悟、それを見て

 

「そういえばここって藤襲山?なんか既視感があったんだよねぇ〜」

 

そう呟いた桜花、皆が今いる場所は鬼殺隊の入隊試験が行われる藤襲山

 

総悟が元上弦の参、龍崎駈音と名乗る鬼の放った強烈な邪気を感じ取り追いかけて来たのだが既にもぬけの殻

 

この場の誰一人として鬼の気配すら感じずにいる事を不審に思っていると

 

「魔導ホラー共、この山の鬼達を一人残らず喰らい尽くしてやがる」

 

そう言い放つ総悟の言葉に戦慄する一同

 

人を喰らう捕食者が喰われるという事実は鬼殺隊にとってにわかには信じ難い出来事だろう

 

「あの?そのホラーっていう怪物は鬼も喰らうんですか⁈」

 

そう質問した炭治郎に総悟は

 

「ホラーが喰らうのは魂、それは人間だろうと鬼だろうと関係ない‼︎

 

そう話す総悟の言葉に思わず萎縮してしまう炭治郎

 

人間を喰らう鬼さえも喰らう捕食者、しかも鬼のように鬼殺隊で対処出来ないとなると仕方のかもしれない

 

「煌牙さん達は本来鬼じゃなくこんな怪物を相手にしなきゃいけないですね」

 

そんな怪物を相手にしなければいけない煌牙達を不安そうに見る炭治郎

 

「まぁそうなるな!今まではこの力を鬼殺隊で使っていたが、本来使うべき相手が出た以上俺達がやるしかないしな」

 

そう炭治郎に話す煌牙はまだ見ぬ未知の敵を見据えると

 

「闇に堕ちた魔戒騎士・・・か」

 

誰にも聴こえないくらい小さな声で呟くのだった

 

 

 

 

 

そしてとある街道では

 

「ねぇお兄ちゃん?鬼いっぱい食べたけど全然強くない鬼ばっかりだったね?」

 

「そうだね!血鬼術だったかな?異能の鬼が食えたら良かったけど贅沢は言ってられないからね‼︎」

 

そんな話をしながら帰路につく二人、辺りは人の気配すらなく不気味な程静かな山道を近道として歩いていた

 

「ねぇ?お兄ちゃん?この山道なんだか不気味だね?鬼が出そう」

 

「そうだね!こんな山道で鬼に襲われたらひとたまりもないね」

 

そんな話を淡々と話す二人、その顔は恐怖に怯える顔でもなく不気味な雰囲気に不安な顔でもなくまるで獲物を待っているような顔だった

 

「ほう?童達は鬼の存在を知っておるのか!まぁだからと言って妾には関係ないがの!」

 

そう言いながら二人の上空から炎を纏いながら落ちるように現れた鬼、まるで燃え盛るような真紅の着物を着た女の鬼は二人を舌舐めずりするような眼を向け

 

「炎を操る?異能の鬼ってところかな?」

 

「あはっ!お兄ちゃん‼︎私アレ欲しい‼︎」

 

「そうだね!じゃあアレは小夜子の物にしようか?」

 

炎を操る血鬼術を持つ鬼、そんな鬼に怯えるどころか寧ろ興味深々の二人を見て

 

「童共!さっきから何を言ってるのじゃ?まぁ良い!妾は妾達を喰らい再び十二鬼月へと返り咲くのじゃ」

 

そう言って二人を喰らう為に飛び掛かると

 

「ねぇお兄ちゃん?この鬼、眼に数字が入ってるよ?おじちゃんみたい」

 

「そうだね!十二鬼月がなんの事か知らないけど他の鬼よりも強い鬼なんだろうね」

 

襲い掛かる鬼の事など気にする素振りも見せない二人、そんな余裕の態度に

 

「妾は元下弦の壱、紅ぎゃあぁぁぁぁ⁉︎」

 

「あぁ、名乗らなくて良いよ別に!これから喰われる奴の名前なんて知っても意味ないし」

 

名乗りを上げて四肢を斬り裂こうとした鬼を肉体を変化させて作り出した歪な剣で真っ二つにした修也、名乗る必要はないとたいして興味もなく

 

「な、なんじゃ⁈貴様等は一体何なのじゃ⁈」

 

明らかに人間ではない修也に怯え震える鬼に

 

「そうだね・・・」

 

そう言って修也はまるで山羊を模した骸骨のような魔導ホラー体に自らの肉体を変化させ

 

「僕達は魔導ホラー、これから君を喰らう者だよ」

 

そう話す魔導ホラーを見て涙を浮かべ這いつくばりながら必死に逃げる鬼、人を喰らう鬼とはいえ元が人間、生物としての存在が違うホラーを前に鬼が怯えるのも無理はない

 

「ねぇ?泣き別れた下半身放って何処に逃げるの?」

 

そう言いながら逃げようとする鬼の前に立ち逃げ道を塞ぐ魔導ホラー

 

「わ、悪かった‼︎妾が悪かった‼︎もう関わらないから許して‼︎」

 

必死に命乞いをする鬼だが、捕食者にはそんな行為は無意味だと言わんばかりに

 

「もう関わらない?随分と都合の良い事言うね?まぁ君に選択肢なんて最初からないんだけど‼︎逆の立場だったらどう?君は人間を見逃すのかい?・・なんて御託はいいや‼︎小夜子喰べていいよ」

 

「うん‼︎じゃあ‼︎いただきます‼︎」

 

未だ這いつくばる鬼に近づき捕食しようとする小夜子、鬼も喰われまいと必死になり

 

「血鬼術‼︎ 燎原大紅蓮‼︎」

 

自身の炎を操る血鬼術で小夜子を炎上させ難を逃れようとするが

 

「うん‼︎凄く熱いけど私ホラーだから意味ないよ?というわけでいただきます‼︎」

 

燃えてる事など気にもせずに鬼の魂を体ごと吸収した小夜子は

 

「ご馳走様でした‼︎」

 

そう言って体を焼き続ける炎を操り鎮火させた小夜子

 

「じゃあ早く帰ろうか?僕達の家に」

 

「うん‼︎私達の家に帰ろう‼︎」

 

そう言いながら二人は四ノ宮邸へと向かうのだった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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