金色の刃   作:ちゃんエビ

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25 親子

煌牙達が藤襲山に向かった後残された鬼殺隊の面々、これからの本題だった煌牙もいないので議論を交わすのはまた後日という事で今回の緊急柱合会議はこれで解散となった

 

「私達はこのまま四ノ宮邸で一夜を明かし明日の昼に屋敷に帰るつもりだよ」

 

お館様はこれからどうするのか?そんな視線に輝哉は四ノ宮邸で一夜を明かすと話す

 

鬼殺隊の現当主が鬼に出る夜に外に出るなど言語道断

 

柱達は四ノ宮邸に一泊する事は視野に入れていたがもしもの事に備え警備する事も考えていたがそれは杞憂に終わった

 

「皆も食事がまだだったね、折角の機会だからお言葉に甘えて心身共に疲れを癒して欲しい!いつも裏で隊士達を支えてくれる隠の皆も含めてね」

 

輝哉の言葉で柱達は勿論隠達も今回ばかりは無礼講・・とまではいかないが共に食事の席に同席する事が許され歓喜に打ち震える隠達

 

夜にお館様を連れて帰るという重大な任務も無い、豪華な屋敷で豪華な食事も出来て宿泊も出来るという隠達にとっていたせり尽せりな状況なので仕方ないのかもしれない

 

 

そして輝哉を含めた産屋敷一家は自分達がいたら畏って寛げないのでは?とゴンザに頼み屋敷の中で一番豪華な客室へと案内され産屋敷一家はそこで家族の時間を過ごすのであった

 

尚、産屋敷家の子供達はこの時ばかりは毅然とした態度を辞めて年相応の子供らしくはしゃいでいたらしい

 

 

「杏樹郎‼︎今回の任務は中々の激務だったようだな‼︎悪鬼の手から乗客を守り上弦の参とも闘った‼︎だがお前はこうして無事に帰って来た‼︎私はお前を・・父として息子を誇りに思う‼︎・・本当に無事で良かった」

 

「父上・・有り難う御座います‼︎俺も父上のような立派な柱になるようこれからも精進を重ねます‼︎」

 

「いや‼︎そんな約束はしなくていい‼︎俺達はどんなに頑張っても出来る事は限られている‼︎だから立派な柱になる必要はない‼︎頼るんだ‼︎仲間を‼︎それが一人では生み出せない大きな力になると私は信じている‼︎

そして何より‼︎杏樹郎‼︎絶対に死ぬな‼︎生きて未来をその眼に写せ」

 

「・・・はい‼︎」

 

そんな熱い親子の会話をする慎寿郎と杏樹郎、とそれを熱く見守る弟の千寿郎

 

熱い煉獄家の隣のテーブルでは

 

「水柱様、折角の機会だからぼっち飯なんか辞めて話しましょうよ‼︎その方が美味いですよ?」

 

「え⁈水柱様に向かってぼっち飯とか普通言わないよ⁈余計に気まずいんですけど⁈」

 

「・・・俺はぼっちじゃない」

 

「まぁそうですね‼︎俺達がいますし‼︎でも俺達以外いなくないですか?

俺達がいなくなったら水柱様ぼっちですよ?他の柱達とも交流を図りましょうよ‼︎」

 

「・・・俺はお前達とは違う」

 

「え?そりゃそうですよ!皆個性ってのがありますからね!皆んな違って皆んな良い‼︎」

 

「辰巳の食らいつきが凄い」

 

あまり話したがらない義勇に積極的に絡む辰巳とちょっと戸惑いがちな春という組み合わせでテーブルを囲っていた

 

「お久しぶりですね、日比谷さん小鳥遊さん!以前は挨拶程度であまり交流もなかったので丁度良い機会です!お話しましょう‼︎」

 

と辰巳達のテーブルへとやって来たしのぶ

 

(おい、お話って煌牙の事だよな?寧ろそれしかなくないか?)

 

(私達と蟲柱様の共通点って煌牙だよね?寧ろそれしかなくない?)

 

決して喋る事なくアイコンタクトで会話した二人・・だったのだが

 

「いえ‼︎私がお話したいのは煌牙さんの事じゃありませんよ?煌牙さんの長年の親友でもあり兄弟子と姉弟子であるお二人の話を私は聞きたいんです」

 

と二人のアイコンタクトはしのぶにはお見通しだったようだ

 

「俺達の話ですか?・・・別に構いませんけどあまり面白い話とかありませんよ?」

 

「そうですね!まぁとりわけ大した話題もないのでとりあえず私達が鬼殺隊に入った理由についてお話ししましょうか!とは言っても私達って別に家族を鬼に殺されたとか恨みがあるって訳じゃないんですよね!」

 

「そうだな!なんなら俺達の家族はまだ普通に生きてますからね‼︎ハハハ‼︎」

 

「いやいや‼︎まだって言い方は駄目でしょ⁈」

 

そんな話をしだした辰巳と春、この二人は鬼に家族を殺された訳ではなく鬼に対して強い恨みはないのだが

 

「家族が無事に生きている事は大変喜ばしい事ですね!では何故貴方達は鬼殺隊にいるのでしょうか?」

 

しのぶがそう疑問に思うのも無理はない

 

家族を鬼に殺された訳ではないのならいつ命を落とすのか分からない鬼殺隊に入隊する事もない、寧ろ鬼殺隊に関わらない人生もあった筈だ

 

だが二人は長年鬼殺隊に籍を置いていて階級も高い

 

この二人が鬼殺隊に入った動機が気になったしのぶだが

 

「まぁそうですね・・・あまり表立って言う事じゃないんですが簡単に言うと四ノ宮家と政府を繋ぐ人脈ってところですかね?」

 

「私達・・小鳥遊家と日比谷家は政府関係者なんです‼︎鬼殺隊って政府非公認の組織じゃないですか、それが政府公認の組織にされちゃうと政府・・というより軍が介入する正当な理由が作れちゃうんですよね!

軍の極秘特殊強化部隊とか名目の部隊が‼︎まぁそれを良く思わない政府関係者もいる訳でして」

 

「なるほど‼︎その話は以前煌牙さん達から聞きましたが・・日比谷さんと小鳥遊さんはその非公認派の政府関係者の家柄という訳ですね」

 

「まぁそうなりますね!とはいえ反対派の意見って今の情勢的に立場が弱いんですよね‼︎だから貿易や流通の筆頭企業の四ノ宮家と懇意にして発言力を強くしないといけないんです‼︎幸い四ノ宮家は反対派だから利害が一致してるので助かってますが」

 

「私達が鬼殺隊にいるのは四ノ宮家との繋がりを保つ為に必要な措置らしいです!まぁ簡単に言うと政治利用の道具ですね」

 

「・・国の情勢も複雑なんですね・・政治の闇の部分を垣間見た気がしましたよ、お二人とも辛くはないですか?家の事情で命の危険がある鬼殺隊に入隊させられて」

 

「まぁ最初は馬鹿じゃねぇの?と思いましたよ?いや!今でも政治利用の道具で命掛けるのは馬鹿らしいと思ってますが・・煌牙・・アイツが四ノ宮家に来てから俺も春も変わったんだと思います」

 

「煌牙って昔から大切な人を守りたい‼︎その為に強くなるって一生懸命だったから・・政治利用の道具で大した目的もなく漠然と修行していた私達には煌牙は眩し過ぎました‼︎でもそんな煌牙と一緒に修行しているうちに私も辰巳もいつしか煌牙に負けないくらい強くなりたいって思うようになり修行にも明確な目的が出来ました」

 

「俺達は四ノ宮家で暮らす今の生活が好きなんですよね‼︎まぁちょっと非常識で普通じゃないところもありますがそこも含めてね!」

 

「だから私達は誰を守りたいという目的はないんです‼︎ただ今の生活を

いつもと変わらない日々が当たり前に来ますようにって思いで戦っています」

 

「人を守る事も人々の生活を守る事も結局のところ巡り巡って大切な誰かを守る事に繋がるんだと私は思いますよ?つまり日比谷さんと小鳥遊は煌牙さんと同じ気持ちで戦っているという訳です」

 

「ハハハ!まぁそう言ってもらえると助かります」

 

「ふふ♪ところで小鳥遊さん?つかぬ事をお聞きしますが小鳥遊家は四ノ宮家との繋がりに政略結婚とか企んでいたりするのでしょうか?」

 

「え⁈・・いや・・・え⁈」

 

「いえ!小鳥遊さんを政治利用の道具にしてるのなら政略結婚も充分に有り得ますので‼︎両家の繋がりが一番強いのはやはり結婚‼︎そう思いませんか?小鳥遊さん?」

 

「あ・・えと・・いや・・・はい・・・そうですね」

 

「蟲柱様煌牙の事になると相当拗らせますね‼︎ハハハ‼︎」

 

「笑い事じゃないよ⁈私その拗らせ案件の当事者になってるんですけど⁈」

 

「私が拗らせてると?貴方達はそう言いたいのですか?」

 

「いや!だって普通に煌牙への好意全開の態度だって誰がどう見ても分かるのに蟲柱様自身素直に好きだって言わないじゃないですか!煌牙の事を朴念仁って思うなら蟲柱様自身が素直に好きって言わないと」

 

「そ、それはまぁそうかもしれませんが」

 

「この際だからハッキリと言いますがね‼︎煌牙って四ノ宮本家の長男なんですよね‼︎つまり将来的には四ノ宮財閥の会長候補でもあるんですよ‼︎いや四ノ宮分家は煌牙の信者しかいないから余程の事がない限り煌牙が確実です‼︎しかも顔も良いし政財界の御息女達にとって煌牙は超優良物件‼︎俺達も親が政府の要職に就いてるから社交界にも顔出すんですが煌牙の周りは貴婦人の仮面を被った猛獣ばかりですよ‼︎まぁ猛獣避けがいるから俺はその惨状を楽しんでますがね‼︎ハハハ‼︎」

 

「えぇと・・つまり煌牙さんは凄くモテるという訳ですか」

 

「まぁそうゆう事です‼︎あ、因みに立ち位置でいうなら蟲柱様始め鬼殺隊関係者は職場の同僚、桜花様瑠花様カナヲちゃんは家族です‼︎それを踏まえて煌牙の異性関係で最も脈があるのは春なんです‼︎」

 

「えぇ⁈さりげなく論点をずらしてくれたと思ったらとんでもない爆弾抱えて戻って来た⁈」

 

「へぇ〜・・・なるほど・・つまり小鳥遊さんは煌牙さんの事が好き!そういう訳ですね?そして煌牙さんが最も脈があるのも小鳥遊さんだと‼︎そういう事ですね‼︎」

 

「ハハハ‼︎そういう事ですね‼︎」

 

「馬鹿と拗らせって相性が良いんだ‼︎」

 

会話の流れがしっとりとしてきた頃、その流れについていけない春は辛辣な感想を残して・・逃げ出した

 

 

そしてそのやり取りを食事しながら無言で見ていた義勇、春が残した馬鹿と拗らせという辛辣な言葉に

 

「・・・・」ムフフ

 

とさりげなく笑うのであった

 

 

 

「ふぅ、やっと帰って来たね小夜子」

 

「うん!私達がいないって事バレてないかな?」

 

「煌牙兄ちゃんが帰って来るって騒いでたし鬼殺隊も集まるって話してたから僕達がいない事まで気付かないと思うよ?」

 

四ノ宮邸に帰って来た修也と小夜子の二人、自分達がいない事に危惧していたが今日の状況を見て大丈夫だと話していると

 

「あっ?修也君と小夜子ちゃん?もしかして外出していたの?それも夜に」

 

と席を離れた春が二人と遭遇して心配そうに尋ねると

 

「外出?違うよ?僕達は屋敷の探索をしてたんだ‼︎この屋敷広いからね」

 

「うん‼︎鬼が出る夜に外出なんてしないよ?だって人間って凄く弱いもん‼︎」

 

「僕達みたいな弱い人間が夜に外出する訳ないじゃないか!春お姉ちゃん面白い事言うね」

 

「あ、そうなんだ!だったら良いの!変な事聞いてごめんね?でも人は弱くても力を合わせて困難に立ち向かう事が出来るんだよ?それが人の強さなのかもしれないね」

 

「うん‼︎分かったよ春お姉ちゃん‼︎」

 

「力を合わせるんだね‼︎」

 

そう元気よく返事した修也と小夜子、それを見て優しく微笑む春

 

「今、鬼殺隊が集まってるんだよね?僕達は邪魔しないよう部屋に戻ってるね」

 

「あ、うん!御飯まだでしょ?後で運んであげるね」

 

「え?・・・あぁ、そうだね!御飯はまだ食べてないけど大丈夫だよ‼︎お腹空いたらこっそり食べに行くから」

 

「うん‼︎こっそり食べに行くよ‼︎だから心配しないで」

 

二人はそう言って部屋に戻ると走り去って行った

 

「・・・今日の修也君と小夜子ちゃん、ちょっと様子が変な気が・・まぁ私の気のせいかな?」

 

といつもより様子が違うと違和感を感じていたが気のせいだと言い聞かせる春だった

 

 

 

 

 

「あはははは‼︎人間って弱いから力を合わせないと駄目なんだね‼︎馬鹿みたい‼︎あははは‼︎」

 

「笑っちゃ駄目だよ小夜子」

 

「だって面白いもん‼︎鬼殺隊も鬼に対抗する為に体を強くするんでしょ?それでもあっさりと殺されて‼︎あははは‼︎無様だよね‼︎あははは‼︎私達はその鬼をあっさりと喰べちゃう‼︎あははは‼︎あははは‼︎」

 

「小夜子は食べた者の能力を取り込む能力があるからね、さっき喰べた鬼の異能も既に小夜子の物だしね」

 

「うん‼︎だから弱い人間なんか喰べてもお腹の足しにしかならないよ」

 

「そうだね、でも彼は必要とあらば人間も喰べろって言ってたからね!その時は我慢して喰べないといけないよ?」

 

「はーい」

 

自分達の部屋に戻って来た修也と小夜子、不穏な会話をする二人の顔はもはや人間の面影はなく無慈悲に命を奪う殺戮者の顔であった

 

 

 

そして時は流れ草木も眠る丑三時、藤襲山で魔導ホラーに関する手掛かりもなく屋敷へと戻って来た煌牙達

 

鬼殺隊である以上この時間帯は起きている事も珍しくないが先日の任務明けという事やお館様を始め鬼殺隊の中核が集まっている事もあり新たな任務の報告もない為今日はもう解散しようかとなっていた

 

「煌牙ちゃん‼︎・・ちょっといいかな?」

 

あとはそれぞれの時間を過ごすという事で朔弥は煌牙を呼び止め

 

「その・・お話があるって言ってたよね?・・・あのね?本当なら落ち着いてからちゃんと話すべき事なんだと思うんだけど暗黒騎士や魔導ホラーの件でこれから大変になるから今のうちに話をしたいかなって・・その・・私は思うんだけど」

 

と申し訳なさそうに話す朔弥、煌牙達との親子関係に負い目のある朔弥は自分の意見を言いにくいのだろう

 

途切れ途切れ言葉を選びながら話す朔弥に

 

「朔弥さん‼︎その話、私達も同席させて頂きます‼︎」

 

と強い参加意志を示した花蓮

 

「朔弥さんの事情は蓮華様の手記で存じ上げております!ですが煌牙を家族として向かい入れたこの八年は私達にとっても掛け替えのない時間です!煌牙が真実を知った今、当然話の機会が訪れるものだと覚悟してましたがいざその時が来ると矢張り堪えるものがありますね」

 

と朔弥に話す花蓮、彼女達四ノ宮家にとって煌牙と過ごしたこの八年は掛け替えのない時間であり煌牙が実の親の真実を知った今、今までのような家族としての関係は築けなくなるんじゃないかと不安が込み上げていた

 

「兄さん⁈真実って何の事?何かあったの?」

 

家族や真実という言葉を聞いて只事ではないと心配なカナヲ、煌牙に慌てて近付いてその眼をジッと見つめると

 

「あぁ・・カナヲ!さっき話があるって言ったよな?今から話す事はその事なんだが・・・・あのな?俺達兄妹には本当にどうしようもない両親とかいう奴等がいただろ?」

 

「え⁈・・・うん・・思い出したくもないけどそんな人達いたね」

 

「えぇとな、その・・俺達って一応はアイツ等が両親だった訳なんだが・・・」

 

「・・・本当の両親じゃなかったって事?」

 

「・・・ああ‼︎アイツ等は俺達の両親なんかじゃなかったんだ」

 

「・・良かった」

 

「え?」

 

「私ね?あの人達の血を引いているのが嫌だったの!あんな人達から産まれたんだって思ったから嫌だったの‼︎・・あっ⁈兄さんと兄妹だった事は嫌じゃないよ?兄さんと血が繋がってる事は私に残された大切な絆だから」

 

「そ、そうか・・それはまぁ良かった・・けど」

 

「それ以外にも何かあるの?・・・まさか私達実は血の繋がりもない兄妹だったって事はないよね?そんなの絶対嫌だよ‼︎」

 

「俺とカナヲが血の繋がった兄妹だって事は紛れも無い事実だ!それでな?俺達の本当の両親は誰なんだ?って話だけど」

 

「うん‼︎兄さんと血の繋がりがあって本当に良かった‼︎」

 

「あ?カナヲ聞いてる?俺達の本当の両親って話だけど」

 

「聞いてるよ?私達の本当の両親の話だよね?」

 

「うん・・あれ?カナヲなんかあっさりしてないか?」

 

「うん・・だってどうでもいいから」

 

「え⁈・・どうでも・・いい?」

 

「だって私達を捨てた両親の事を今更気にしても仕方がないもの、兄さんやカナエ姉さん、しのぶ姉さん達が私にとっての家族!本当の両親がいたとしても私にとってその人達は家族じゃない‼︎」

 

「・・・そうか」

 

カナヲのあまりにあっさりとした返答に少しばかり納得出来る煌牙だが朔弥の反応が気になりチラッと見て見ると

 

「・・・・・・」

 

まるで魂が抜け出た後の抜け殻みたいに虚な表情の朔弥が

 

朔弥も今更母親面するつもりはないが、どうでもいいと興味も関心もないカナヲの態度はかなりショックだったのだろう

 

だがカナヲがそう思うのも無理はない、物心がつく前から虐待が当たり前の家族、心が荒みやがて壊れ世界に色をなくしたカナヲにとって両親というのは心を蝕む害悪でしかない

 

それは自分達を捨てた本当の両親というのも例外ではない

 

理由は知らないが捨てたという事実は変わらない、そんな人達に今更興味など持てる筈もない

 

そしてそのカナヲの考えは煌牙も理解出来た

 

煌牙もカナヲ同様家族というのは血縁のカナヲと四ノ宮家であり両親という存在は煌牙の中ではいないものとしていた

 

だからカナヲの考えも理解出来るのだが、煌牙は両親の真実を知った!知ってしまった‼︎

 

たとえ自らの命が潰えようとも子供達の未来を想い、考える余地もない

窮地の中で苦渋の決断をした母親の姿を

 

そして厳しくもあるが自分を導いてくれた先代牙狼としての父親の姿を

 

その真実を知った今カナヲと同じ立場でいる訳にもいかずこの展開をどうしようかと悩んでいると

 

「カナヲ‼︎どうでもいいなんて言っちゃ駄目だ!きっとカナヲと煌牙さんの本当の両親はそうせざるを得ない訳があったんだ‼︎だからどうでもいいなんて・・そんなの悲しいじゃないか」

 

と炭治郎がカナヲを諭すように話しかけきた

 

そんな炭治郎に家族の在り方が違うとカナヲが反論しようとすると

 

「カナヲ‼︎俺は本当の両親が俺達を手放した訳を知ってしまった、だからどうでもいいなんて事は俺は思えない‼︎せめてその理由だけは知っていてほしい!その上でどう思うかはお前に任せるよ」

 

どう思うかはカナヲの意志、それ自体は煌牙も否定はしないがせめてその理由だけは知っていてほしいと願う煌牙の言葉に

 

「なんで兄さんはその本当の両親の存在と私達を捨てた訳を知っているの?」

 

と当然浮かぶであろう疑問を問い掛けるカナヲ

 

「緊急の柱合会議に参加する前に俺と桜花、おやっさんは席を外していただろ?鬼殺隊でも話に出てたと思うが最悪の敵、魔導ホラーに関する話をしていた訳だが・・・その途中でな・・・」

 

とそこまで話して言い淀む煌牙、この状況で朔弥の名前を出していいのか悩み上手く切り出せずにいたのだが

 

「煌牙ちゃんはね?触れた人や物の記憶を声として読み取る特異体質なのカナヲちゃん知ってるよね?それでね?私の中の遠い記憶を煌牙ちゃん読み取ったの!だから・・煌牙ちゃんは」

 

煌牙に助け舟を出すかのように朔弥がその訳をカナヲに話し出す

 

朔弥も当事者なのだから黙って見ている訳にはいかなかったようだ

 

「・・・・朔弥さんが私達の本当のお母さんなの?」

 

この流れでカナヲがそう読み解くのも難しくはなく朔弥が母親なのかと尋ねると

 

「そう・・だね・・煌牙ちゃんもカナヲちゃんも私が産んだ大切な子供達、だけど私にはお母さんって名乗る資格はないの」

 

煌牙とカナヲは大切な子供達、だが自責の念で母親と名乗る資格もないと悲しみを帯びた表情の朔弥に

 

「なんで・・なんで私達を捨てちゃったの?私達が嫌いだったから?私達はいらない子供だったから?」

 

カナヲの境遇を省みれば両親は子供達が嫌いだから虐待する、嫌いだから捨てる、そういう認識でしかない

 

故に朔弥にそう投げかけるしか出来ないのだが

 

「今の時代から四百年前、まだ先代の牙狼暁大牙が生きていた時代まだ物心も付かない小さな子供と産まれて間もない赤ん坊がいた・・だがある時その子供達の前に上弦の壱がやって来た!勿論殺す為にな!母親は子供達を守る為に応戦したが深い傷を負い子供達は上弦の壱に殺されるのが明らかだった!だから母親は子供達の命を守る為に、子供達の明日を未来へと託した!辛い決断だった思う!だけどそうするしか出来なかった!だからその子供達は嫌われて捨てられた訳じゃないんだと思う!

だから俺達は・・朔弥さん達に守られていたんだと思う」

 

「・・・分かんない・・兄さんの言ってる事が真実だとしても私達は虐げられてきた‼︎その事実は変わらない‼︎そんな事言われても私分かんないよ‼︎」

 

「っ⁈・・・カナヲ⁈」

 

両親の真実がどうであれカナヲ達が親達に虐げられた事実は変わらない、だから両親の真実を打ち明けられて簡単に受け入れられる程単純な話ではない

 

故にカナヲは困惑し耐え切れずにその場から逃げ出した

 

「煌牙‼︎カナヲちゃんを追って‼︎早く!」

 

「ああ‼︎」

 

いち早くカナヲを追うよう指示した桜花、言われるまでもないと既に走り出した煌牙はそう返事しながらカナヲを追っていった

 

 

それから少ししてカナヲに追いついた煌牙

 

「兄さん何で追って来たの?」

 

できれば1人になりたかったカナヲだが煌牙が追って来た事に少し安堵を覚えたのも事実、冷たく突き放す事なく純粋に何故追って来たのかと尋ねると

 

「お前を一人にさせたくないからだ」

 

それは単に今一人になると意味ではなく家族という輪から外れるという意味で煌牙は言った

 

確かにカナヲの気持ちは煌牙も同じ経験をしたから分かる、カナヲが過去を否定して現実を受け入れない事も理解出来る

 

だからこそ現実を受け入れろと答えを急がせる事をしない煌牙はただカナヲに寄り添い共にいる事を選んだ

 

「・・・・」

 

「・・・・」

 

そして両者の間に沈黙が流れ

 

「兄さんはどうして真実を受け入れようと思ったの?」

 

と沈黙を破ってカナヲが煌牙に疑問を抱くと

 

「俺もカナヲみたいに誰かから話を聞いただけなら多分受け入れなかったと思う!でも偶発的とはいえその真実を俺自身が垣間見て分かったんだ!俺達の本当の両親は・・俺達のことを愛してくれていたと‼︎」

 

「だから受け入れてみようと思ったの?」

 

「俺が強くなりたいって思ったのはカナヲが原点なんだ!たった一人残された俺の大切な家族を守りたいって‼︎だけどその想いの裏にはアイツらに殺された弟や妹達への恨み、守る事が出来なかった俺自身の弱さへの恨みがあった‼︎だからあの時俺は力に呑まれ暴走した!過去に囚われたままの心じゃ強くなっても本当の意味で強くなれたとは言えない‼︎だから俺は過去に囚われるんじゃなく過去を抱いて未来へと進みたい‼︎

カナヲ、俺はその道をお前と一緒に歩いていきたい」

 

「・・・・ねぇ兄さん?私達血の繋がった実の兄妹だよ?」

 

「そうだな」

 

「なんか求婚してるみたいだよ?」

 

「へ⁈・・いや‼︎そういう意味で言った訳じゃないぞ?」

 

「違うの?」

 

「ちょっと待て⁈なんだその哀しげな上目遣いは⁈本気で言ってる訳じゃないよな⁈」

 

「本気だとしたら?」

 

「え⁈いや・・カナヲを拒むつもりはないがそういうのは違うだろ?もっと健全に‼︎」

 

「拒まないのに否定はするんだね」

 

「そ、それはだな‼︎」

 

「ふふっ♪」

 

「へ?」

 

「冗談だよ?ちょっと兄さんにイラっときたから悪戯してみたの」

 

「悪戯⁈・・・そうか・・いやマジで良かった」

 

「それはそれとしてその反応はなんかイラっとくる」

 

「なんで⁈」

 

過去の傷で心に蓋をしたカナヲが感情で行動できるまでに回復したのは喜ばしい事だ

 

そしてそのカナヲの行動で重苦しい雰囲気もすっかり消えいつものように気軽に話せるようになると

 

「さっきの事は冗談だけど、兄さんが言ってた未来への道を一緒に歩いていきたいって気持ちはちゃんと理解できたよ?」

 

「お、おう」

 

「過去に囚われていた兄さんが未来へと進む為に過去に起きた真実を受け入れる‼︎私はその兄さんの決意を否定しちゃ駄目なんだと思う‼︎」

 

「カナヲ」

 

「昔からの約束‼︎一緒に支え合っていこうねって‼︎私も兄さんと一緒に未来を見たい‼︎過去に囚われていた私だけど兄さんと一緒なら私も未来へと進める気がするの‼︎だから兄さん‼︎私を支えてね‼︎」

 

「カナヲ・・・ありがとう‼︎」

 

煌牙と一緒ならば未来へと進める‼︎

 

本当の意味で兄妹が未来を歩み出した瞬間であった

 

「ところでなんでさっきイラっときたんだ?」

 

「教えない」

 

「・・・・?」

 

きっとその理由は彼女にしか分からないのだろう

 

 

 

 

 

「あっ⁈煌牙とカナヲちゃん戻ってきたよ‼︎」

 

その後待たせていた皆の元に戻ってきた煌牙とカナヲの二人、雰囲気が柔らいでいた事を察した桜花はホッと一安心すると

 

「朔弥さん」

 

その呼びかけに朔弥はコクンと頷き

 

「カナヲちゃん‼︎」

 

そう叫び煌牙達の元に駆け寄ると

 

「カナヲちゃんごめんなさい‼︎どんな理由があっても私達がカナヲちゃん達を手放した事に変わりはない‼︎どんなに言葉を並べてもその事実は変わらない‼︎だから許して欲しいなんて言わない‼︎だけどこれだけは一言言わせて?・・私は私達はずっと昔からカナヲちゃん達をずっと愛してる‼︎」

 

そう思いの丈を伝える朔弥、その朔弥の叫びにカナヲは

 

「・・・・朔弥さん、貴方蝶屋敷に来て皆と仲良くなってたけど私とは積極的に交流しなかったよね?それって私に対して負い目があったから?」

 

「・・ごめんなさい」

 

「私・・他の人より口数少ないし無愛想だから朔弥さん私の事あまり好きじゃないのかってずっと思ってた」

 

「そんな事ないよ‼︎ホントは‼︎・・ホントはね?一番仲良くなりたかった‼︎大きくなったねって‼︎頑張ったんだねって‼︎ずっと‼︎・・ずっと伝えたかった‼︎我儘言うとずっと抱き締めたかった‼︎カナヲちゃんの温もりを感じたかった‼︎私の大切な愛娘をもう一度・・・」

 

「・・・・私ね、真実を知らされて受け入れられるか正直なところまだ分からない。でも朔弥さんの言葉、想いは確かに私に伝わったよ?・・なんでだろう?泣きたい訳じゃないのに勝手に涙が出てくる・・どうして?」

 

「カナヲ・・それはきっとカナヲが未来へ進む為に必要な涙だ‼︎過去を流し未来をその眼に写す為に必要な涙だ‼︎だから泣いていいんだ」

 

「兄さん・・・」

 

話していくうちに互いに感極まり涙を流すカナヲと朔弥、その流れる涙の訳は安堵、喜びの感情からくるものだがその訳をハッキリと理解できていなかったカナヲの問いに煌牙は優しく諭しカナヲを抱き寄せると

涙腺が崩壊したカナヲが号泣し朔弥もつられて号泣した

 

その場面に桜花がこっそりと煌牙に近付き耳元で小さな声で呟いた

 

「良かったね・・お兄ちゃん♪」

 

そう桜花に言われ満更でもない煌牙はまぁそうだなとアイコンタクトで返すと

 

「カナヲ・・煌牙さん・・良かった・・良かったです・・・家族がまた一つになれて本当に良かった」

 

と炭治郎が号泣

 

家族想いの炭治郎はこの手の話に弱く喜びの涙を流していると

 

「・・え〜と・・何?この状況」

 

と泣き声が聞こえてきたので不思議に思った春が煌牙達の元にやってきた

 

炭治郎、カナヲ、朔弥の三人が号泣している現場に困惑していると

 

「春姉どうしたの?一人?」

 

と瑠花が不思議そうに尋ね

 

「あぁ・・まぁ・・ちょっと拗らせ案件の渦中に巻き込まれるとこだったから逃げてきた」

 

と非常に困った顔をしながら瑠花に返すと

 

「まぁそれよりコレ一体どんな状況?こっちもこっちで拗らせ案件?」

 

当然この状況は気になる

 

春は瑠花にそう質問すると

 

「いやぁ、拗らせ案件というか・・お兄とカナヲさんの実の両親が朔弥さんで和解というかちょっと良い方向に進んだというか」

 

「え⁈・・あの見た目でお母さん⁈明らかに幼女なんだけど⁈というか花蓮様も親なんだしなんか複雑じゃない⁈そして炭治郎君はなんで泣いてるの⁈」

 

「炭治郎さんはただの貰い泣きでしょ、まぁ複雑だけど私にとってお兄はたった一人のお兄だし別に問題はないというか」

 

「まぁ・・そうだけど・・って私達なんか野次馬根性丸出しの井戸端会議してるみたいじゃない⁈」

 

「みたいじゃない⁈というか私達は完全に外野だからね‼︎逆にお兄の隣にいるお姉が凄い」

 

「瑠花様も煌牙の隣にいたかった?」

 

「いやぁ、キツいでしょ‼︎」

 

と瑠花と春は外野側として徹していた

 

そうした展開もあり一息落ち着いた頃合いで

 

「とりあえず落ち着いたみたいだね、出来ればこのまま英霊の塔に向かいたいけど大丈夫かい?」

 

と泰三主導で話を進めているが先程の件もあり朔弥とカナヲを気にかけていたが

 

「私は大丈夫です、ちゃんと真実と向き合いので」

 

「カナヲちゃん・・うん、私も大丈夫」

 

と二人も問題はないようで泰三はうんと頷き煌牙に目を向けて

 

「煌牙、心の準備は良いかい?」

 

そう煌牙に尋ねると

 

「勿の論ってやつだよね〜♪」

 

「俺の台詞奪うなよ」

 

何故か桜花が答え煌牙は苦笑いしながら突っ込むと

 

「俺はもう出来てるよ」

 

そう答えると泰三は

 

「では皆で英霊の塔に行こうか?僕も先代牙狼である大牙様に会えるのは楽しみなんだ‼︎」

 

と泰三は密かに大牙と会うのを楽しみにしていて少し気持ちが浮き足だっていた

 

 

 

 

 

 

 

 

「お前と顔を合わせるのも随分と久しいが・・此度の姿は良家の令嬢といったところか」

 

「えぇ、この国の軍需企業の元締め、金城家という一族の令嬢らしいです」

 

「ほう・・この国の・・まぁ私は表舞台には興味がないのでな!その辺りは関与する気はないが」

 

「あら?それは残念です!」

 

「だが使える手があるのであれば使わせて貰おうか」

 

「お爺様は私、というより私になったこの孫娘に甘いようなのでお願いすれば融通は利くかと」

 

「ふむ・・しかし嘆かわしいものだよ!それほど恵まれた環境でありながら欲に溺れるとは」

 

「心は己を写す鏡、私という鏡に写る欲は大変美味しゅうございました」

 

「それでその娘はどんな欲を抱いていたのだ?」

 

「彼女は幼い頃から体が弱く病に罹ると命に関わる程重篤になるような娘でした、そんな彼女が願ったのは健康!ですから私は彼女の理想たる姿を写し・・食べちゃいました」

 

「・・・そうか・・」

 

「どうかなさいました?駈音様?」

 

「いや・・気にする必要はないさ」

 

そう会話しながら暗い夜道を歩く駈音達、辺りは誰一人としていない静寂の闇の中僅かな音が疾走感を持って駈音達に近付いていた

 

「若い男と女‼︎若い肉は柔らかくて・・・」

 

その音の正体は痩せ細った体躯の鬼だった

 

その身軽な体で韋駄天の如く走るその鬼が突如駈音達に襲いかってきたのだ

 

「そうか、若い肉は柔らかいか」

 

だが駈音はそんな鬼の襲撃など気に留める事なく

 

グチャッ‼︎

 

一瞬で鬼の頭を鷲掴みにしてそのまま握り潰した

 

「鏡華‼︎鬼は私を鬼だと気付いてないようだ」

 

「上手く人間に擬態出来ましたね!これだと鬼殺隊の人間にも悟られないかと」

 

そんな様子を見て一切の感情を見せない貴族令嬢の娘、鏡華

 

彼女は魔導ホラーであるが故に鬼という生物に恐怖を抱く事はない

 

目々麗しい人間の姿をしていれば上等な餌が向こうからやって来るのだから寧ろ憐みさえ抱いている

 

「駈音様、食事がまだでしたよね?私は既に食事は済ましてますし遠慮しておきます」

 

「いや、折角だ!久しぶりに人間らしく食事をしたい!鏡華付き合ってくれないか?」

 

「えぇ、勿論」

 

駈音は鬼を喰らうより人間として普通の食事を摂りたいらしく握り潰した鬼を捨て置くと鏡華もそれに賛同し二人は街を目指して夜道を歩き出した

 

「・・・お・・お・・前・・・よくも・・・」

 

だが頭を握り潰しただけでは鬼が死ぬ訳はない

 

徐々に回復していく鬼が拙い言葉で敵意を向けると

 

「ああ、私とした事が!鈍った体を解すのを忘れていたよ!食事の前に少し肩慣らしといこうか」

 

駈音はそう言って立ち止まり

 

ーー血鬼術・鳴動富嶽ーー

 

身の丈をも上回る巨大な戦斧を作り出しそれを頭上で豪快に振り回す

 

その姿は人間としての姿を辞め元の体となった元上弦の参に戻っていていた

 

そしてその体は一般的な成人男性を二回りも上回るような筋骨隆々の武人でありさながら不動明王のようだった

 

「さて・・この体で戦うのは久しぶりでね、少々加減が難しいが・・一撃で死んでくれるなよ?」

 

そんな様子を見て驚愕と共に怯えの表情を見せた鬼

 

「ふっ・・私の血鬼術とやらを見せてやろう」

 

駈音はそう言うと

 

「元上弦の参“覇羅剛(バラゴ)"押して参る‼︎」

 

恐らくは元の上弦の参であった鬼の口調なのだろう

 

武人気質な口調で名乗りを上げその巨大な戦斧を振り下ろした

 

その剛担な戦斧が鬼に直撃した瞬間、戦斧から爆発が生じ鬼は木っ端微塵になり

 

「お前程度の鬼であるならば体が再生する前に夜が明けるだろう、生を享受出来る僅かな時間を今のうちに噛み締めておけ」

 

駈音はそう吐き捨てると興味を失くし鏡花を引き連れ街へと向かうのであった

 

 

 

 

その頃四ノ宮邸では

 

このまま英霊の塔へと向かった一同は暁大牙と再び面会し過去の真実を語る事になるのだが

 

「私と総悟が無惨と対峙していた事が罠だったのだろう、奴等の真の狙いは子供達、正確に言えば次代の牙狼となり得る煌牙の抹殺だった」

 

「上弦の壱が私達に攻めて来て私は煌牙ちゃん達を未来へと送るしか希望を繋ぐ事が出来なかった」

 

「全ては私達の甘さと弱さが招いた結果だ、二人には本当に申し訳ない事をした」

 

煌牙や四ノ宮家は既に知っている真実ではあるが改めて大牙と朔弥の二人から語られたその内容に驚きを隠せない炭治郎と春の二人

 

まぁ四百年という時間を超えて来たいう話はまるでお伽話、眉唾物の話としか思えないのでそれが現実なのだと知ればそうなるであろう

 

「・・・そう・・それが私と兄さんの真実」

 

「カナヲちゃん」

 

「事実がどうあれ私達は捨てられた・・そう思っていた・・でも私達は生きる事を望まれた、未来へと希望を託された」

 

「うん、どんな形でも生きて欲しかった」

 

「・・・うん・・ねぇ?朔弥さん?貴方は私のお母さん・・なんだよね?」

 

「・・うん」

 

「大牙さんは私のお父さん・・なんだよね?」

 

「・・あぁ」

 

「・・・うん」

 

「・・そっか・・・私にはまだお父さんとかお母さんとかそういうのまだよく分からないから・・上手く言えないけど・・その・・ありがとう」

 

大牙と朔弥から打ち明けられた真実をまだ完全に受け止め切れていないが事実こうして生きている事は間違いなく両親のおかげだと理解したカナヲ

 

拙いがその言葉には二人に対する感謝の気持ちが込められていた

 

そんな空気の中煌牙も改めて聞かされた話に一先ずの納得を示し

 

「大牙さん・・いや・・その・・親父って呼べば良いのか?・・・まぁとりあえずだ‼︎帰って来たぞ‼︎」

 

「あぁ・・よくやった・・煌牙・・済まなかったな」

 

「うん?まぁ二人が悪い訳じゃないでしょ‼︎まぁ事実はそうだけど過去ばかり考えても仕方ないというか・・俺達は生きている‼︎だったら受け入れて前に進んでいくしかないってな‼︎そうだろ?炭治郎?」

 

「えっ⁈俺ですか⁈」

 

「あぁ‼︎どんなに打ちのめされても前を向き立ち上がり禰豆子ちゃんと共に歩んで来た炭治郎を見てそう思ったんだ俺は」

 

「兄さんね?言ってたんだよ?炭治郎は凄い奴だって‼︎心が強い奴だって‼︎打ちのめされて過去をズルズルと引きずっていた兄さんが再び前を向けたのは炭治郎のおかげでもあるの」

 

「え?なんか当たり強くない?」

 

「でも本当の事でしょ?」

 

「まぁ・・うん」

 

そんな親子の会話をしている煌牙達、カナヲの当たりが若干キツいがまぁ事実ではあるので否定出来ない煌牙だが

 

「煌牙ってマダオだからね‼︎仕方ないね‼︎」

 

そう桜花が心を抉る事を言ってきた

 

「辞めろ‼︎その言葉は俺に効く‼︎」

 

「ほほ〜う♪マジで大好きお兄ちゃん♪って意味だったんだけど〜?ほほ〜う♪お兄ちゃんは妹に好きって言われて嬉しいんだね〜♪」

 

「まぁ家族に嫌われるより好かれてる方が良いだろ?というか話の流れ的にお前の言ってる事に正当性が見当たらないが?」

 

「出た〜‼︎人の好意を普通に受け流す朴念仁‼︎人の心とかないの?」

 

「人の心はあります」

 

と兄妹で掛け合いをする煌牙と桜花、カナヲの流れから考えると桜花の言葉の意味は噛み合わないので煌牙の指摘はもっともだ

 

そんな会話をしている二人を見て

 

「随分と仲が良いんだな、蓮華の子孫がこうも対等に煌牙に接していると私は安心だ」

 

「うん、魔戒騎士と魔戒法師は協力し合うのが理想的だからね‼︎中には魔戒騎士への劣等感から道を踏み外す法師もいたりするから」

 

「それは法師だけではなく騎士も同じ事‼︎私達は。ホラーから人々を守る立場にいながら人間社会の出来事には一切関与してはならない‼︎例え目の前で殺人が起きようともな‼︎それが私達の掟、故に心を病み闇に堕ちた者達もいる」

 

「そうだね、本当なら鬼殺隊と鬼の戦いも人間社会の出来事!ホラーが関与していないなら私達が関わるべきじゃない‼︎だけど私達はそうはしなかった‼︎」

 

「あぁ、鬼殺隊と鬼を通してホラーの手掛かりにでもなればと思っていたが、やはり純粋に人を救うという事は気が晴れるというものだ」

 

 

そう話す大牙と朔弥の二人、これからの未来を歩む者達に優しく笑みを浮かべるのであった

 

その後大牙から様々な話を聞いた一同は屋敷へと戻って行くのだが

 

「煌牙!これだけは心に刻んでおけ!どんなに闇に覆われようと心に光がある限り牙狼はお前と共にある!」

 

そう力強く激励した大牙、それを聞いた煌牙は

 

所作を正しく直し深くお辞儀をして大牙の元を去るのであった

 

 

 

 

その後屋敷への戻り道で

 

「あの!煌牙さん‼︎」

 

「ん?どうした?炭治郎?」

 

「大牙さんは煌牙さんのお父さんなんですよね?最後に何も言わずに出て行きましたけどあれで良かったんですか?」

 

「・・・悪い!上手く説明出来る言葉がないけど俺達はあれで良いんだ‼︎

時には言葉よりも大切な事があるんだ、だからあれで良いんだ」

 

「そ、そう・・なんですか?」

 

それは煌牙と大牙の間でしか分からないのだろう、上手く説明出来る言葉を持ち合わせていない煌牙の説明にいまいち要領を得ていない炭治郎だが

 

「それにヒノカミ神楽、正確には日の呼吸の事も知れたし良かったな炭治郎‼︎」

 

「そうですね、俺の家に代々伝わっていたヒノカミ神楽の正体が分かって良かったです‼︎」

 

「まぁ確かに十二ある型を連続して繰り出していけば神楽を舞っているように見えるしそう呼ばれていたのも頷ける」

 

「・・・え⁈」

 

「え?」

 

「いや・・他の呼吸と違って維持するだけでもキツいのに連続して型を使うとか考えただけで」

 

若干引き気味で話す炭治郎、正直なところ煌牙の発言にちょっと頭が可笑しくなったのか?と思ってしまった

 

「そういえば煌牙さんが使っていた呼吸ってどんな呼吸なんですか?型も動きが速すぎてよく見えてなかったので」

 

と昨夜の戦いで煌牙が使っていた呼吸と型の正体が気になっていたので話の流れで聞いてみた

 

それは炭治郎だけではなく皆が気になってていた事なので煌牙の説明に聞き耳を立てていた

 

「あぁ、なんだかんだでまだ教えてなかったな!俺が使っているのは輝刃の呼吸!輝く刃と書いて輝刃だ!」

 

「輝く刃で輝刃の呼吸・・・煌牙さんも子供みたいなところあるんですね」

 

「子供っぽくて悪かったな‼︎」

 

「いえ‼︎煌牙さんはいつも大人びていたのでそういう一面も見れて良かったです」

 

「・・・えぇと・・それ褒めてる?」

 

「はい‼︎勿論‼︎」

 

「・・・まぁいいや‼︎とりあえず、輝刃の呼吸というのは日の呼吸と基本的には同じ呼吸だ!その呼吸を元に日と牙の型を組み合わせた型を振るうって訳だ!」

 

「なるほど‼︎牙の呼吸とヒノカミ神楽の融合って訳ですね‼︎」

 

「まぁそうなるな」

 

そう話している煌牙達に疑問を浮かべた桜花が話に加わり出した

 

「ねぇ?煌牙の呼吸と型は分かったけど最後に金色の波動が出たでしょ?アレは一体なんだったの?」

 

と先日の戦いで起きた事を煌牙に聞いてみると

 

「あぁ、あれは俺とカナヲが持っていた魔導具"破邪の奏鈴"の共鳴作用だ!

あの金色の波動は破邪の波動、分かりやすく言えば魔戒剣の浄化作用を増幅した波動ってところだ」

 

「つまり鬼さん、上弦も首を斬らないで倒せるって事?」

 

「まぁ赫刀化した牙狼剣ならって条件はあるけどな」

 

「赫刀?何それ?」

 

「日輪刀は特定の条件下で赫く変色するらしくてな‼︎始まりの剣士が戦う時は日輪刀が漆黒から赫く変色したらしい」

 

「それで赫刀?特定の条件下?どうやったら赫くなるの?赫くなればどうなるの?」

 

「質問が多いな‼︎まぁ俺も大牙さん、まぁ親父?から聞いた話なんだけどな‼︎日輪刀って陽光を浴びた玉鋼から鋳造するだろ?つまり赫く変色する事で日輪刀に秘められた陽光の力、それが最大限に発揮されて鬼の再生能力の阻害や単純に攻撃力が上がるみたいな事が起きるみたいだぞ」

 

「つまり日輪刀も牙狼剣みたいな特性に変わるって事だよね?」

 

「あぁ‼︎だけどどうやって赫く変色するかは教えない‼︎出来る事ならそうならないで決着付けられたならと思う」

 

「・・・・それ相応の代償があるって事ね!」

 

「まぁな」

 

「なら!煌牙はどうなの⁈煌牙の言い方だと赫く変色したんだよね⁈だって牙狼剣と日輪刀を融合させてたもん‼︎牙狼剣も赫く変色したんでしょ⁈煌牙はどうなっちゃうの⁈」

 

「あぁ・・俺の場合はちょっと特殊というか・・・日輪刀と融合したソウルメタルが反応して赫く変色するから特定の条件下という縛りはないからな‼︎代償がある訳じゃないし心配すんな‼︎」

 

「本当に?嘘じゃないよね?もう居なくなるなんて嫌だよ?」

 

「大丈夫だって‼︎俺とお前は相棒だろ?俺を信じろ‼︎」

 

「うん」

 

そんな会話を聞いていた一同、彼等が何も思わない筈もなく煌牙に詳細を聞こうと詰め寄るが煌牙からは納得のいく回答はなく

 

「私は長い間鬼殺隊の行く末を見てきた。鬼殺隊に呼吸を広めた始まりの剣士、彼に直接指南を受けた剣士達、いずれも日輪刀を赫く出来た‼︎でも始まりの剣士を除いて皆寿命で亡くなった‼︎その誰もが二十五年以上生きる事が出来なかった‼︎大牙ちゃんもそう‼︎皆が明日を‼︎未来を紡ぐ為に戦ってきた‼︎その行き着いた先が未来という可能性を閉ざすなんて悲しすぎるよ‼︎私はもう誰も死んでほしくない‼︎」

 

煌牙に助け舟を出した朔弥の悲痛な叫び、彼女の言葉から察した代償があまりにも重く軽々しく赫刀化の方法なんて聞ける筈もなく

 

「自らの命を燃やして日輪刀に火を灯すという訳だね・・なるほど!確かに軽々しく扱って良いものではないね‼︎朔弥さんの話から察すると鬼殺隊当主である産屋敷家は見聞があると考えてもいい!ひとまずこの話は僕が預かっておくよ‼︎」

 

と泰造がこの場を収めると

 

「煌牙・・君は本当に大丈夫なんだね?」

 

やはり煌牙の事は心配で改めて確認すると

 

「大丈夫だって‼︎仮にもし危険があるなら朔弥さん・・まぁ母さん?が絶対反対するからな‼︎」

 

「お、煌牙ちゃん今⁈」

 

「・・・まぁその・・なんだ?実際に口にすると恥ずかしいな!でも呼んでみると・・うん!違和感しかないわ」

 

「だ・・だよね」

 

「あぁ、見た目完全な幼女相手に母さんとか?背徳感というか、なんかこう開いてはいけない扉を開けたような感じというか」

 

「煌牙・・俺達が元いた世界、この時代よりかなり時が進んでいてな・・・その時代ではこんな言葉がある『バブみを感じてオギャりたい』とな‼︎」

 

「黙れ総悟‼︎というか桜花達が意味が分からん謎言語を使うのはその影響だろ‼︎」

 

「その通り‼︎現代娯楽がないとどの時代も退屈過ぎて‼︎」

 

「まぁその点は朔弥に同意見だな‼︎」

 

「・・・それはそれで反応に困る」

 

元々は煌牙の心配だった、だが煌牙本人も母親たる朔弥もその事には触れず割と呑気な会話に話が逸れたので泰造はこの様子だと心配はないかと

ひとまずの安堵を感じ

 

「二人は未来から来たって事だね?という事はこの先の出来事も歴史として知っているのかな?」

 

そこからはただの興味本位、未来から来たのなら先の情報を知りたいのも無理はないのだろう

 

「え〜〜まぁ・・鬼殺隊や鬼が存在しないという相違点はあるけどもそれ以外は同じ歴史を辿ってるかな?ただその相違点がこの先の出来事にどう関わるのか不明だからこの先は不確定だけどね」

 

「なるほどねぇ・・細かな相違点はあるとして大筋としては歴史を辿っていると・・・個人的にはこの国の行き着く果てが知りたいのけど・・まぁ欲を出すと碌な事にならないのは世の常だからね!」

 

「お⁈おぉぉ〜♪流石は魔戒騎士!」

 

「いやいや!僕は魔戒騎士ではあるけどもその辺にいる普通のおじさんって事を忘れないでほしいな」

 

「その辺にいる普通のおっさんは魔戒騎士になれねぇよ」

 

そんな会話をする泰造達、総悟のツッコミに煌牙達もそりゃそうだ!と内心思いながら苦笑いを浮かべていた

 

そんなやり取りがありながらも屋敷へと帰って来た煌牙達、夜更け過ぎという事もあり疲れを癒して欲しいととりあえず眠る事にしたのだが

 

「総悟‼︎炭治郎‼︎お前達は俺の部屋で寝てくれ‼︎」

 

と割と必死に懇願してきた煌牙、一体どうしたのかと?目を見張らせていると

 

「なんか嫌な予感がする!俺は自分の部屋で寝るときっと寝れないという恐ろしい事になる‼︎そんな気がする」

 

一体煌牙は何を言っているんだ?と一同が訝しんでいたが

 

「だったら煌牙私の部屋で寝れば?なんとなくだけどその嫌な予感は当たりそうな気がする」

 

と春が提案したものだから

 

「え⁈春姉⁈まさかの同衾⁈これは意外な伏兵にして最強の刺客だね〜」

 

「何食わぬ顔でお兄と同衾・・なんて恐ろしい女‼︎」

 

と四ノ宮姉妹それぞれの感想が口から漏れてくると

 

「え⁈あ、いや⁈違うからね⁈そんな意図があった訳じゃなくて‼︎私はただ煌牙が困ってるんだろうなって思ったから提案しただけで」

 

「いや〜それで同衾までいっちゃいますか〜♪まぁ同衾なら修行時代に私が先に経験してますから?私の方が先輩‼︎という事ですな‼︎」

 

「いや‼︎お姉そこは張り合うところじゃないよ⁈」

 

そんなやり取りを見ていた一同、四ノ宮家では比較的日常茶飯事な事なのでまた始まったと見守っていたが

 

「同衾というなら私と兄さんは小さな頃からずっと一緒に寝ていました‼︎兄さんが桜花さんと出会う前に私は既に兄さんと同衾を済ましています‼︎残念でしたね」

 

ここで何故かカナヲが参戦

 

「え?別に残念ではないよ?二人の幼少期の境遇を省みると当然といえば当然だし?一緒に寄り添って寝る事で少しでも二人の安息になるんだったら寧ろ推奨するくらいだよ?」

 

とカナヲの煽りは桜花に通じるどころか逆に心配された

 

「桜花さん」

 

この時カナヲは自分を恥じた

 

黒死牟と戦った時彼女の実力は黒死牟の足元にも及ばなかった

 

まだ未熟だと自覚していたものの煌牙を助けたいと彼女は必死だった

 

だが現実は甘くない

 

故に煌牙は黒死牟から致命傷を受け死にかけた

 

現在の医療技術では彼は助からなかっただろう

 

朔弥達のおかげで一命を取り留めたがこの先また黒死牟と対峙したならば恐らくまた同じ結果になるのではないか?

 

勿論カナヲは煌牙を信じている

 

だが彼女の中にある不安は完全に払拭出来ないでいた

 

だからこそカナヲは今よりも強くなり煌牙を守ろうと決意した

 

だが現実はどうか?

 

実力も実績も桜花の方がカナヲよりも高い

 

実際桜花は煌牙の相棒として数々の戦いを共に乗り越えていて煌牙の信頼も厚い

 

故にカナヲは桜花に嫉妬しているのである

 

彼女とて桜花が嫌いなわけではない

 

共に戦う仲間として尊敬はしている

 

だがそれはそれとして納得は出来ない

 

ではこのまま対抗意識を持ったまま今後も接していくのか?

 

それは違うだろう

 

互いが互いを意識して高め合う関係ならば対抗意識を持つのは成長に繋がる事だろう

 

だがカナヲの対抗意識は嫉妬からくる対抗意識

 

この先激化するであろう戦いにおいてそれは悪手となりかねない

 

兄を助けたいと願い邁進するつもりが逆に足を引っ張るようじゃ本末転倒

 

何より純粋に幸せを願い心配してくれる桜花を邪険にしていた自分に嫌気が差し

 

「桜花さん・・ごめんなさい‼︎」

 

「え⁈なんのこと?」

 

「私は桜花さんより強くなって兄さんを護ります!私負けませんから‼︎」

 

「・・・あ、うん」

 

カナヲは桜花に戦線布告する事で嫉妬ではなく純粋に煌牙を護る為に桜花よりも強くなると決意

 

きっと彼女はこれからも強くなり続けるのだろう

 

まぁ肝心の桜花はなんのことやらとさっぱりのようだが

 

「あの?・・・なんかいい感じに話が纏まったように見えるけど結局のところ煌牙さんは何処で寝るんですか?」

 

「あー・・春の提案は有り難いが選択肢に入れるのはちょっとな!それなら辰巳の所で寝た方が健全だろ?」

 

「だったら俺も一緒に良いですか?辰巳さんとはまだそんなに交流がなくて、この機会に仲良くなろうかと」

 

「なるほどそれはいい機会だ!という訳で総悟後は任せた‼︎」

 

「おい⁈お前の部屋に行くと嫌な予感がするんだろ⁈俺も嫌だ!行きたくない‼︎」

 

「嫌な予感がするだけで確定ではないんだぞ?」

 

「だったら張本人のお前が行くべきだろ!いや何があるか・・わかる気もするが男だろ‼︎覚悟を決めろ‼︎」

 

「嫌だ‼︎って必死に断った癖に人事なんだな」

 

「まぁ人事だしな」

 

「この野郎」

 

「まぁまぁ、だったら煌牙達全員一緒に寝ればいいじゃないか!問題は煌牙が一人になる事なんだし‼︎まぁ僕としては面白いから別にいいんだけどね」

 

「おやっさん⁈」

 

と泰造の提案が全員の中で可決となり結局のところ全員で煌牙の部屋で寝るという結果になってしまった

 

「お前ら雑魚寝だからな‼︎ベッドは俺が使う‼︎」

 

「煌牙さん‼︎ここは平等にくじ引きで決めるべきです‼︎実は俺もベッドで寝てみたい・・なんて」

 

「煌牙地味にセコイよ?ここは桜花一緒に寝ようぜ‼︎って誘わないと‼︎」

 

「炭治郎の意見はまかり通ってもお前の意見は却下だ!俺の部屋で寝る時点で一緒に寝る事は間違いなんだからな‼︎」

 

「とヘタレが正論じみた反論を言ってますが瑠花さんどう思いますか〜?」

 

「え⁈ここで私に振るの⁈でもまぁ・・雑魚寝は地味にしんどいというかせめてお布団敷きたいなって」

 

「え⁈真面目ちゃんか‼︎ここはお兄一緒に寝よ?って上目遣いで甘えないと‼︎」

 

「え?嫌だよ‼︎それで断られたら私泣くよ?」

 

「まぁ泣く位なら別に一緒でもいいぞ!」

 

「・・・なんて狡猾‼︎ここまでの流れが計算済みと‼︎我が妹ながらなんて恐ろしい‼︎」

 

「うわぁ⁈なんて酷い風評被害‼︎私そんな意図は全くなかったよ?やっぱりお姉の思考は理解出来ないよ‼︎」

 

「はいはい‼︎姉妹漫才はそこまでだ‼︎とりあえず部屋に行くぞ」

 

そんな会話をしながら煌牙の部屋に進む一同

 

いざ部屋の扉を開くと

 

「あら?お帰りな」

 

バタン‼︎

 

煌牙は速攻で扉を閉めた

 

「・・・お前達・・地獄の蓋を開ける覚悟は出来てるか?俺は無理です」

 

「覚悟も何も私は関係ないから普通に開けるね〜」

 

「なっ⁈辞めっ」

 

ガチャ‼︎

 

だが煌牙の事情など関係ないと桜花が普通に扉を開き

 

「あら?桜花ちゃんお帰りなさい♪何か急用だったみたいだけれどもう大丈夫なのかしら?」

 

「カナエさんただいま〜♪とりあえずは大丈夫〜♪今日は皆疲れてるから皆で一緒に寝ようって事で煌牙の部屋に集合なんだよ〜♪」

 

「まぁ!そうだったのね‼︎」

 

そう話す桜花とカナエ、その話の後に炭治郎達も部屋に入って来ると

 

「・・・何故扉を開けた瞬間速攻で扉を閉めたのかしら?まるで見てはいけないものを見てしまったようなそんな焦り方してたわよね?」

 

「・・・いや・・深夜に自分の部屋に侵入されてたらビビるだろ‼︎まぁそんな気はしてたけどさ‼︎実際にいたらやっぱビビるだろ‼︎」

 

「それは・・確かに私達もやり過ぎだと反省してるわ!」

 

「煌牙君ごめんなさい‼︎迷惑なのは分かっていたけどちゃんと話も出来ていなかったからゆっくりと話をしたかったの・・本当にごめんなさい」

 

「・・・・まぁ確かに帰って来てから慌しかったし報告程度しか話をしてなかったしな!折角こうして集まっているんだ‼︎皆でゆっくり話しながら一緒に寝るか」

 

「・・・そうね・・そうしましょうか」

 

結果的にだが煌牙が思っていたような事態にはならず一安心したところで集まっていた一同はこれまでの事や他愛ない話をしながら一夜を明かし眠りにつくのであった

 

「・・・・・お前・・俺が寝てる間に毒盛ってたりしないよな?」

 

「・・・本当に盛るわよ‼︎」

 

まぁ朝起きるとしのぶが潜り込んでいたのだが煌牙の反応は割と辛辣であった

 

 

そんな朝を迎えつつも再び集まった鬼殺隊の柱達、お館様がいるのだから全員泊まったらしく豪勢な朝餉に舌鼓をうっていると

 

「煌牙、もう聞いていると思うけど大東亜重工との会合が来週に決まっているからね!煌牙もそのつもりでいてくれよ」

 

と泰三が話しかけてきた

 

「来週?いやその話は聞いてたけど」

 

「あまり気乗りはしないかい?まぁそうだろうね、会合の真意は君を狙ったものだろうからね!あちら側も上手い口実を作るものだよ」

 

そう話す煌牙と泰三、この話が単なるお見合い話であるならば断りを入れる事が出来るのだが国が絡む企業との会合となれば安易に断る事が出来ない

 

今回の会合は実入りがないだろうと泰三もあまり乗り気ではないのだが

 

「まぁ付き合いがあるし仕方ないよ」

 

煌牙本人も渋々だが仕方ないと割り切るのであった

 

その後泰三はお館様に昨夜の出来事と魔戒騎士達の敵等の報告を済ませ

後日関係者だけで改めて話の場を設けようと提案し

 

「今日はこの辺りで失礼させてもらうよ。柱の皆も変わりなくこれからも励んでほしい」

 

そう言って産屋敷一家は四ノ宮家の従者の送迎で隠達と共に四ノ宮邸を後にするのであった

 

「いやぁ〜マジで激動の一日だったな!」

 

と産屋敷一家が帰った事で半分愚痴を含んだ感想を漏らした煌牙

 

「あっ⁈そういえば煌牙さん日輪刀は新しく打ち直してもらうんですか?」

 

と炭治郎がふと思い出し煌牙に聞いてみると煌牙の顔色が青くなり

 

「炭治郎悪い‼︎俺死んだわ‼︎」

 

そう言って落ち込むのであった

 

まぁ彼の担当の刀鍛冶はかなり強烈な性格らしいので煌牙の反応は後に炭治郎も納得するだろう

 

その後なんだかんだ雑談やら今後の行動等を話し合い柱達はそれぞれの管轄へと戻り四ノ宮家にいつもの日常が戻ってくるのであった

 

「・・・じゃあしのぶ、蝶屋敷に帰ったら皆によろしくな」

 

「・・そうですね、葵達も心配してましたしちゃんと伝えておきます!・・・・やっぱり蝶屋敷にはもう帰るつもりないんですね」

 

「え?・・まぁ炭治郎達の機能回復訓練に付き合うって話だったから滞在してたけど回復したなら流石にな‼︎」

 

「無理強いする気はないのでこれ以上言うつもりはありませんがやっぱり寂しくなっちゃいますね」

 

「でもカナヲは継子なんだし蝶屋敷には頻繁に顔出すぞ?」

 

「・・・え?・・あの?煌牙さん貴方継子の意味ちゃんと分かってます?」

 

「おう‼︎」

 

「だったらカナヲは四ノ宮邸で貴方と一緒に暮らすという事もちゃんと理解してますよね?」

 

「・・・お、おう!・・も、勿論知ってたぞ!嘘じゃないぞ?」

 

「思いっきり動揺してるじゃないですか‼︎」

 

「だって今まで継子とかいなかったし知らなかったんだもん!」

 

「何がだもん!ですか‼︎ちょっと可愛らしく語尾付けて誤魔化さないで下さい‼︎」

 

「はい・・すいませんでした」

 

「まったく‼︎それに炭治郎君も同じ呼吸を使うのだから炭治郎君も継子にする気なんですよね?」

 

「それはまぁ・・でもなぁ・・四ノ宮家で継子の鍛錬は地獄だぞ?」

 

「あ?それって煌牙さん達が以前言っていたやつですか?」

 

「そうそれ!とはいえ俺達の頃に比べて炭治郎達は常中使えるし身体能力も高いから・・・あっ‼︎適任がいた‼︎」

 

「適任?誰ですか?」

 

「それはな・・・・」

 

そう会話する煌牙としのぶ、煌牙はしのぶの耳元で適任者を囁くと

 

「・・・・馬鹿じゃないの⁈」

 

呆れた感想しか出てこなかった

 

とそんなやり取りがあった後しのぶとカナエは蝶屋敷へと

 

カナエも四ノ宮邸に住むとか言い出しのでしのぶが無理矢理連れて帰った形ではあるが

 

「煌牙さん‼︎並びに四ノ宮家の皆さん‼︎これからお世話になります‼︎」

 

「む〜♪」

 

「私もこれからお世話になります」

 

かくして炭治郎と禰 豆子、カナヲが四ノ宮家で暮らす事に

 

「あの・・俺もいるんですが」

 

「親分を忘れんじゃねぇ‼︎」

 

善逸と伊之助も追加された

 

「あら♪これからもっと賑やかになるわね♪」

 

四ノ宮家に歓迎され炭治郎達は今より一層強くなるだろう

 

ちょっと非常識で普通ではない日常に振り回されながら

 

 

 

 

 

「鏡花、四ノ宮家の嫡男と良い縁を結ぶのじゃぞ‼︎」

 

「えぇ分かっておりますお爺様!」

 

「聡明可憐な鏡花ならばあの坊主も気に入ってくれるわい」

 

「・・・ふふ♪私も早くお逢いしたいですわ・・・四ノ宮・・煌牙様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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