金色の刃   作:ちゃんエビ

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こんな作品でも読んで下さる方々に感謝です。

前回の補足ですが、冒頭の流れは原作の最終選別当日
カナヲ視点からの過去語りは2年前って設定にしてます




03 邂逅

煌牙と桜花の二人は、蝶屋敷の門の前に立っていた

 

煌牙の妹、栗花落 カナヲがこの日、鬼殺隊の入隊試験 最終選別に

 

向かう為、激励と見送りをしてあげたいと思い蝶屋敷に来ていた。

 

蝶屋敷ーー蟲柱 胡蝶しのぶが屋敷の主を務める、鬼殺隊の医療施設を兼ね備えた屋敷。

 

負傷した隊士の治療や、機能回復訓練、所謂リハビリを行う

鬼殺隊にとって重要な施設でもある。

 

 

 

ーーーコンコンーー

 

煌牙が門を叩き、待っていたらこちらに向かって走ってくる音が聞こえ、門が開かれる。

 

「「「お久しぶりです、煌牙さん、桜花さん」」」

 

出迎えてくれた三人娘、きよ、すみ、なほが元気な声で挨拶をする

 

三人娘に向かって二人も挨拶を交わす

 

「よっ、久しぶりだな、相変わらず元気そうで良かったよ」

 

「わぁ〜〜♪久しぶりだねぇ〜〜♪これお土産だよ〜〜♪

皆で食べてね〜〜♪」

 

「わぁ、おはぎですか♪」

 

「桜花さんの作るおはぎは、いえお菓子は全部絶品です♪」

 

「ありがとうございます♪」

 

桜花は手作りのおはぎを、三人娘に手渡し、きよ、すみ、なほが

 

嬉しそうにお礼を言う。

 

「そのおはぎはね〜〜♪スケ・・風柱の不死川さんにも太鼓判を押してもらえたからね〜〜♪」

 

「お前今、不穏な事言おうとしただろ」

 

「ん〜〜?知らないよ〜?」

 

桜花の作るおはぎは、風柱である不死川 実弥にも好評であり

 

おはぎの為にわざわざ、四ノ宮家にまで出向くまである。

 

もちろん、それだけで帰るのは失礼なので、四ノ宮家の門下生に

 

柱自らが稽古をつけたり、煌牙や桜花と実戦形式で鍛錬をしたりしている。

 

そんなわけで、二人は不死川と仲が良い。

 

桜花が不死川の事を、失礼な呼び方をするのは仲の良さからくる

 

彼女なりのコミュニケーションなのである。

 

 

 

 

「「「案内しますね」」」

 

三人娘が二人を屋敷の中に案内すると、廊下の奥からこちらに走ってくる音が聞こえる。

 

この屋敷はよく走る音が聞こえるな、と煌牙は思いながら

 

音のする方を見てると、妹であるカナヲがこちらに向かって走って来ていた。

 

「兄さん!」

 

カナヲはそう言いながら煌牙に駆け寄る

 

「よっ、カナヲ元気そうだな、これなら最終選別も大丈夫そうだな」

 

「うん、師範からもお墨付き貰えたし、兄さんも稽古に付き合ってくれたから」

 

「兄ちゃんなんだし、それくらいはするさ」

 

「ううん、兄さんは柱で忙しいのに私の為に時間を割いてくれて・・無理してないよね?」

 

「いや、大丈夫だって、無理してないからさそんなに心配するなよ」

 

「うん」

 

「カナヲも無理はするなよ、無事に生きて戻ってくるだけで、それだけでいいからさ」

 

「大丈夫、分かってるよ。兄さんが教えてくれた言葉も忘れてないから」

 

「ね〜〜?私の事忘れてないかなぁ〜?」

 

「あ!ごめんなさい桜花さん、兄さんに逢えたのが嬉しくてつい、お久しぶりです」

 

「久しぶりだね〜〜♪カナヲちゃん、煌牙が教えてくれた言葉ってな〜に?」

 

「はい、誰かを守りたいならまず自分を護れ、自分を護れない者には誰も護れない。です」

 

「なるほどね〜〜・・・・・まぁいっかwカナヲちゃん、最終選別頑張ってね〜〜」

 

「はい、頑張ります」

 

煌牙 カナヲ 桜花の三人は玄関で話しながら、最終選別の激励をする

 

二人の後ろに並んでいた三人娘は、会話を聞きながらこう思っていた

 

(((早くおはぎが食べたいです)))

 

 

 

屋敷に上がり、歩き出す煌牙とカナヲそれを後ろから見つめる桜花

 

桜花は先程のカナヲの言葉を聞いて感傷に浸っていた

 

(煌牙・・・酷な事言うんだね・・・)

 

 

 

三人娘の案内で屋敷の中を進み、カナエ、しのぶがいる部屋へと進む

 

三人、部屋の中へ足を入れると煌牙と桜花は二人に挨拶を交わす

 

「お久しぶりですカナエさん、元気そうでなりよりです、しのぶも久しぶり」

 

「カナエさ〜ん、しのぶちゃ〜ん、お久しぶりだね〜〜♪」

 

二人の挨拶を聞き、笑顔のカナエと張り付いた笑顔を見せるしのぶが挨拶をする

 

「あら〜♪久しぶりね、カナヲの応援に来てくれて嬉しいわ二人共ゆっくりしていってね♪」

 

「お久しぶりです桜花さん、相変わらず元気そうで良かったです

・・・煌牙さんもついでにお久しぶりです、今日はどんな用件で来たんですか?ああ、新しく調合した薬があったので被験体をお願いしてましたね、いえ、私がついでとかそんな事気にしてるんじゃありません。ええ、私は気にしてませんよ?」

 

二人に寛ぐように優しく声をかけるカナエと、桜花を除いて辛辣な言葉を煌牙にかけるしのぶ

 

煌牙のしのぶにたいする挨拶がついでのように聞こえたしのぶは

 

笑顔を見せながら内心、かなり怒っていた。

 

何故煌牙に怒っているのか、しのぶ自身も理解していないが

 

何故か腹が立つ、それ故に辛辣な態度をとっていた。

 

「煌牙、やらかしたね〜〜w」

 

「兄さん・・・はぁ」

 

「あらあら〜♪」

 

煌牙にたいするしのぶの態度を見て、桜花は笑い、カナヲは溜息を吐き、カナエは微笑んでいた。

 

「俺何かやらかした?え?待って、被験体とか怖いんですけど

しのぶさんすいませんでした〜、あ!後で一緒に茶屋に行きましょう

美味しい餡蜜があるんですよ、勿論奢ります」

 

「え〜〜〜〜?私が持って来たおはぎは〜〜?食べないの〜〜 ?」

 

(ちょっ、桜花やめろ、お前のおはぎに勝てる甘味なんてないだろ。

察して?ねえ?察して俺まだ死にたくない)

 

被験体怖さに必死に取り繕う煌牙と、おはぎを食べてほしい桜花

 

桜花の発言に焦る煌牙は、必死に被験体回避を願うのだった。

 

「・・・・新薬の研究で籠もりきりでしたので気分転換も兼ねて外出するのも悪くないですね」

 

「え〜〜?しのぶちゃん、おはぎ食べないの〜〜?」

 

「煌牙さんがどうしても私と一緒に餡蜜を食べたいらしいので、仕方ないから私もついていってあげます。どうしてもと言うから仕方ないんです」

 

「そっか〜〜、じゃあ私はカナエさんとお話ししてるね〜〜」

 

(どうしてもとか言ってないぞ?いや、怖いから言わないけども

触らぬ神に祟りなし)

 

煌牙の提案に、言い訳をしながらも了承するしのぶと、あっさりと

 

聞き流す桜花、桜花はしのぶの心情を察して二人きりにしてあげよう

 

と気を利かせてカナエと留守番する事にした

 

 

 

「カナヲ、気をつけてな」

 

「カナヲなら大丈夫」

「カナヲは可愛いから大丈夫よ♪」

 

「可愛いは正義だよ〜〜」

 

カナヲが最終選別に向かう際、煌牙、しのぶ、カナエ、桜花が

 

カナヲに声をかける

 

「・・・帰って来たら・・おかえりって言ってほしいです」

 

カナヲがしのぶ、カナエ向かってそうお願いする。

 

「カナヲ、当たり前じゃない。私達は家族なんだから」

 

「カナヲ、ちゃんと帰ってくるのよ」

 

しのぶ、カナエがカナヲの手を握りながら、カナヲに返事をする

 

「はい、いってきます」

 

カナヲは嬉しそうに答えた後、煌牙を見つめながらお願いをする

 

「兄さん・・・ちゃんと帰ってくるから、待っててね」

 

「ああ.、待ってるからな」

 

煌牙はカナヲの頭を撫でながら、カナヲに優しく返事をした

 

「兄さん、桜花さんいってきます」

 

カナヲは二人にそう告げると玄関の戸を開け、最終選別の地

 

”藤襲山”へ向かい歩き出した。

 

 

 

 

藤襲山、麓から中腹にかけて鬼が嫌う藤の花が1年を通して咲いており

 

山頂付近には鬼殺の剣士が生け捕りにした鬼が閉じ込められている

 

最終選別はその山の中で七日間生き残ることが合格条件なのである

 

 

 

(結構集まってる、20人くらい?)

 

カナヲは集合場所で、他の子供達を見渡す

 

(見込みのありそうな人は・・・二人?というか何で既にボロボロなの?ううん、自分の事に集中しなきゃ)

 

カナヲが見つめる先に、金髪の少年が死地に赴くように、佇んでいて

 

既にボロボロな状態だったのが気になったが自分の事に集中する為

 

思考を切り替えてると、狐の面をした少年がやって来てカナヲは

 

少年に目を向ける。

 

(この子も見込みありそう・・・どことなく兄さんに似てるような・・・不思議な感じ)

 

カナヲは狐の面をした少年を見ながら、少年の纏う雰囲気に煌牙の

 

雰囲気にも似たような不思議な気配を感じていた。

 

 

 

「「皆様、今宵は鬼殺隊最終選別にお集まりくださってありがとうございます」」

 

白髪の童女と黒髪の童女が、最終選別開始の案内を告げ、

 

カナヲは他の参加者達の後から山へ入って行く。

 

(とりあえず、東へ向かう方がいいかも)

 

カナヲは日の昇る東の方向に足を進めながら、周囲の気配も感じ取っていた

 

(鬼の気配はするけど、近付いて来ない?どうして?)

 

カナヲは鬼が襲って来ない事に疑問を感じていたが、鬼はカナヲから

 

放たれていた気配から本能で殺される事を察知して近付けないでいた

 

カナヲは結局鬼と遭遇する事なく、1日目がが終了した。

 

2日目も同様に鬼が襲ってくる事はなく、カナヲは退屈していた為

 

3日目からは自ら鬼を探そうと考えていた。

 

最終選別3日目、カナヲは今までにない強い鬼の気配を感じていた

 

鬼の気配を辿りつつ、木々を飛び越えながら鬼の元に向かうカナヲ

 

その先には、全身をいくつもの腕で包んだような巨軀の鬼が見える

 

 

カナヲは異形の鬼を見つめながら呟く

 

「あの鬼、普通じゃない今までに何人の人を食べてきたの?」

 

カナヲが鬼に近付いていると、鬼の向かう先に一人の少年が必死に鬼から逃げている姿を見つけた。

 

少年は逃げているが、木の根元に足をとられ転んでしまい異形の鬼に

 

捕まってしまい、食べられようとしていた。

 

「助けないと」

 

カナヲは少年を助ける為に、抜刀し鬼に近づく

 

だが、カナヲが鬼に斬りかかる前に、木の陰から別の少年が現れ

 

異形の鬼に斬りかかる

 

ーー水の呼吸 弐の型 水車ーー

 

少年は自身の身体を縦方向に回転させながら鬼の腕を斬り落とす

 

血飛沫を上げながら斬り落とされた腕に掴まれてた少年は異形の鬼に怯え動けないでいた。

 

腕を斬り落とした少年と助けられた少年に目をやる異形の鬼

 

腕を斬り落とした少年を見た鬼はその少年が頭に付けている狐の面を

 

見て、ニヤリとほくそ笑む。

 

その直後、少年二人の前にカナヲが降り立ち二人に話しかける

 

「あの鬼は私が斬るから、狐の面の人はその子を連れて逃げて・・それとありがとう先に助けてくれて」

 

カナヲは二人に逃げるように声をかけた後、狐の面の少年に向かいお礼を言う。

 

「それは駄目だ、また俺の可愛い狐がやって来たんだ」

 

「また?」

 

異形の鬼、手鬼が少年を逃すまいと少年に向かい喋り出す

 

「狐小僧、今は明治何年だ?」

 

「今は大正だ」

 

「大正〜〜?え?うぇ〜〜〜〜〜〜」

 

手鬼は少年に年号を聞いたが年号が変わってる事に気付き叫び出した

 

(この場に桜花さんがいたら面白そうな気がする)

 

カナヲは手鬼と桜花の組み合わせが面白そうと考えるが

 

手鬼本人は、カナヲが失礼な事を考えている事は当然知らない

 

「年号が、年号が変わってる〜」

 

手鬼は年号が変わってる事に激怒し、閉じ込められた話をする

 

手鬼は少年の師である鱗滝という者に生け捕りにされ、藤の牢獄に閉じ込められ47年が経ち、未だに恨んでいた。

 

手鬼は少年にこれまでに50人、人を食べてきた事、そのうち狐の面をした鱗滝の弟子を13人食べ少年が14人目だと告げた。

 

少年が修行中に稽古に付き合ってくれた二人の少年少女も既にこの鬼に殺され食べられていた

 

鱗滝の彫った狐の面が目印で、そのせいで弟子が全員死んだ為

鱗滝が殺したようなものと言われた少年は激昂し鬼に斬りかかる

 

「あ!駄目、呼吸が乱れてる」

 

カナヲは少年の呼吸が乱れてる事に気付き、声をかけるが少年は怒りでカナヲの声が届いていない。

 

迫り来る無数の腕を斬り落としながら、間合いを詰めるが少年の横から腕が迫り、少年を殴り飛ばそうとする。

 

「私も兄さんみたいに」

 

カナヲはその光景を見て、手鬼に向かい走り出す

兄である煌牙のように誰かを助けられるような人になりたいと思いながら。

 

(兄さんも同じような型使ってた、確か壱の型 断空の牙)

 

ーー花の呼吸 陸の型 渦桃ーー

 

カナヲは空中に飛び出し、体を大きく捻りながら手鬼の腕を斬り落とす。

 

「このガキ、お前は狐小僧の後から相手して・・・ひっ」

 

手鬼はカナヲを後回しにしようとするが言葉の途中で喋る事が出来なくなった。

 

カナヲから放たれる殺気に当てられ、本能で恐怖に固まっている手鬼

 

先程まで怒り狂い、少年しか見てなかったのでカナヲの事まで気が回らなかった為、気が付くのが遅れていたのだ。

 

「このガキ、今まで相手にしてきたガキ共とは違う、まるで5年前のガキ共と同じようだ」

 

手鬼はカナヲが他の参加者とは別格である事を悟り、5年前の参加者の事を口にする。

 

(5年前?師範や兄さん達が5年前に、やっぱり兄さんは凄い)

 

カナヲは鬼からとはいえ、兄が褒められてるような気がして少しだけ微笑んだ。

 

「君、手を貸してくれてありがとう、おかげで助かったよ」

 

狐の面の少年がカナヲに助けて貰った礼を言う。

「気にしないで、先にあの子を助けてくれたし・・あの子は?」

 

「え?あれ?もしかして逃げたとか」

 

「そう、元から逃げてもらうつもりだったから、貴方も一緒に逃げていいよ」

 

「それは駄目だ、皆の仇を取るんだ!じゃないと皆が帰れない・・

それに女の子一人残して逃げ出すなんて、そんな事出来ないよ」

 

カナヲと少年は、もう一人の少年がいるか見渡すが少年は既にいない

先程、カナヲが動き出した直後に少年もまた逆方向へと走り出した

逃げる為に。

 

カナヲは逃げてもらう前提だったので気にしてないが、狐の面の少年も一緒に逃げてもらう予定だったので少年にも逃げる事を提案するが

少年は仇を討つ目的とカナヲを残して逃げるつもりはないのでそれを拒否する。

 

「仇を取る?それならどうして呼吸を乱すの?呼吸が乱れたら鬼に殺されるだけ、仇なんて取れないし無駄死にするだけ」

 

「それは・・・」

 

カナヲは少年に非情な言葉をかけ、少年は口籠る。

 

「兄さんが言ってたの、誰かを守りたいならまず自分を守れ、自分を守れない者には誰も守れないって」

 

「っ・・・」

 

カナヲは煌牙がカナヲに教えてくれた言葉を少年に話し、少年は思い当たる節があるのか、悔しそうな表情をする。

 

「仇を取りたいのなら、まずは貴方が自分を守らないと、怒りは心の原動力でもあるけど、周りが見えなくもなるの。」

 

「俺が俺自身を守る」

 

カナヲは少年を諭すように話し、少年は自身を省みるように呟く

 

「そう、まずは落ち着いて呼吸を整えて・・・皆の想いは貴方が受け継いでいくの、皆が貴方に託してくれた想いを貴方が繋いでいくの」

 

「錆兎・・真菰・・皆・・・俺、俺」

 

カナヲの言葉を聞いた少年は涙を流しながら、今は亡き兄弟子達を想う。

 

「もう大丈夫だよね?私も一緒に戦うから、私の想いも貴方に託すから」

 

「もう大丈夫だ、ありがとう俺は竈門炭治郎、君は?」

 

「栗花落 カナヲ」

 

「カナヲ、二人であの鬼を倒すんだ」

 

「うん」

 

カナヲは少年に想いを託し一緒に戦うと少年に告げると、少年も落ち着きを取り戻しカナヲに礼を言う。

 

少年、竈門炭治郎はカナヲに名を教え、カナヲの名を教えてもらい

二人で手鬼を倒すと誓い、カナヲもそれを了承した。

 

 

 

「炭治郎、私が腕を斬り落とすから炭治郎は頸を狙って?」

 

「わかった、でもカナヲ大丈夫なのか?」

 

「私なら大丈夫、任せて」

 

炭治郎とカナヲはそれぞれの役割を話し、鬼に向かう

 

「あのガキは厄介だが、俺の頸は硬いどちらが来ても、一人ずつ握り潰してやる」

 

手鬼は自身の頸の硬さを誇っていたが、それが慢心だという事に気付いていない。

 

ーー花の呼吸 弐の型 御影梅ーー

 

自身の周囲に無数の斬撃を放ち、迫り来る手鬼の腕を全て斬り落とす

カナヲ。

 

ーー花の呼吸 伍の型 徒の芍薬ーー

 

斬撃の軌道が芍薬の花を彷彿させる高速の9連撃で手鬼の残りの腕を全て斬り落とし、カナヲは炭治郎に向かって叫んだ。

 

「炭治郎、後はお願い」

 

「カナヲ、ありがとう」

 

炭治郎はカナヲに礼を言いながら跳躍し、刀を構える

 

「腕がなくとも頸さえ斬られなければ問題ない、腕は後から再生される」

 

手鬼は頸は斬られないと思い、避ける事すらしなかった

 

ーー水の呼吸 壱の型 水面斬りーー

 

腕を交差させて勢いよく横一閃に刀を振るう炭治郎、その刃は

手鬼の頸をあっさりと斬り落とした。

 

頸を絶たれた手鬼は崩れゆく体と、自分を斬った炭治郎を見ながら

過去を振り返る。

 

手鬼も昔は人間だった、怖がりな性格で夜は兄に手を握って貰わないと眠れない、そんな少年だった。

 

炭治郎は崩れゆく手鬼の体に向かい歩き出し、手鬼の手を優しく握る

手鬼は涙を流しながら、その手を優しく握り返し、塵となった。

 

(優しいんだね、炭治郎は)

 

カナヲは炭治郎の行動を見ながら、微笑んでいた。

 

 

 

 

カナヲと炭治郎は、最終日まで生き残る事を約束してその場で別れ

それぞれ別行動をとった。

そして最終選別最終日を迎えた朝、カナヲと炭治郎は初日の集合場所に集まっていた。

 

「カナヲ、無事で良かった、まあカナヲだったら大丈夫か」

 

「うん、炭治郎も無事で良かった」

 

カナヲと炭治郎はお互いの無事を喜びつつ、集まった合格者を見渡す

 

「四人?あれだけいたのに」

 

「あの時逃げた子もいない」

 

炭治郎は参加者にたいし合格者が少ない事に驚き、カナヲは手鬼から逃げた子がいない事を気にしていた。

 

「死ぬ死ぬ、ここで生き残ってもどうせ死ぬんだ俺は」

 

金髪の少年がボソッと呟くのを見てた炭治郎、だが声をかける事はなかった。

 

「「おかえりなさい」」

 

初日にいた、白髪と黒髪の童女が合格者を出迎える。

 

合格した四人に隊服の支給と鎹烏、階級を与え刀の材料となる玉鋼を

選ぶように告げると、合格者の一人でモヒカンの少年が白髪の童女の頭を鷲掴みにした。

 

「んな事より刀だ刀、鬼殺隊の刀、色変わりの刀」

 

乱暴な振る舞いをするモヒカンの少年を見た炭治郎はその少年の腕を掴み上げる。

 

「やめろ、離さないなら折る」

 

「炭治郎、折る必要はないから、貴方もその手を離してあげていくら暴れても刀がないのだからどうしようもないよ?」

 

「チッ」

 

炭治郎は本気で折るつもりだったが、カナヲが二人を諌めモヒカンの少年は舌打ちをしながらもその手を離し、炭治郎も掴んだ手を離す。

 

「お話はお済みでしょうか?」

 

黒髪の童女が何事もなかったように話を進め、全員が玉鋼を選ぶ

 

炭治郎は見た目が同じような玉鋼を匂いで選び、カナヲはとりあえず目の前の玉鋼を選んだ。

 

最終選別が終了し、カナヲも炭治郎もそれぞれ帰りを待つ人の元に帰る事にした。

 

「カナヲありがとう、カナヲのおかげで皆と一緒に鱗滝さんの元に帰る事が出来るよ。」

 

「うん、炭治郎なら大丈夫だから」

 

「カナヲ、また会おうそれまで元気で」

 

「うん、炭治郎も・・またね」

 

 

 

カナヲは帰路の途中、炭治郎や家族のことを考えていた。

 

(炭治郎、やっぱり兄さんに似てる。いつか兄さんに会う時が来たら・・・兄さん、カナエ姉さん、しのぶ姉さん今帰ります)

 

カナヲは家族の待つ蝶屋敷へ、その足取りはいつもより軽く感じた。




なんとか、原作内容を交えて描く事が出来ました。

色々ありまして投稿遅くなり申し訳ありません。

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