カナエが席を外した後、しのぶは花蓮に四ノ宮の試練の事を花蓮に聞いていた。
「花蓮さん、昔、煌牙さんや桜花さんが乗り越えた試練ってどういう内容なんですか?」
しのぶは最終選別当時、煌牙や桜花が最終選別の内容が自分達が乗り越えた試練と似てると話していた事を思い出し花蓮に聞いてみると
花蓮はしのぶに試練の内容を話し出す。
「そうね、最終選別の内容と似てるわ、日輪刀の使用制限と全集中の呼吸使用禁止の原則があるくらいかしら?」
花蓮はしのぶに試練の内容を話し出すと、しのぶは試練の意味を見出せずに花蓮に質問をした。
「日輪刀も全集中も禁止だとすると鬼殺隊としての意味がない気がするんですが、どのような意図があるのでしょうか?」
鬼を狩る為に日輪刀と全集中の呼吸は必須であり、その常識を根底から覆すような試練にどのような意味があるのか疑問になったしのぶ
花蓮はその意味をしのぶ、カナヲに問いかけるように話すのだった。
「しのぶちゃん、カナヲちゃん日輪刀も呼吸も使えない、そのような状況になった時貴方達はどうする?」
「それでも、私達は鬼殺隊ですから最期まで諦めません」
「私も同じです」
花蓮からの質問にしのぶ、カナヲは鬼殺隊として諦めないと答えると
花蓮は真剣な眼差しで二人にその意味を話し出す。
「そうね、私も同じよ。だからこそ意味があるの。全集中の呼吸や日輪刀がなくても最期まで諦めないその意思を貫く為に、その命を明日へと繋げる為に」
花蓮は鬼殺隊として致命的な弱点になりうる全集中の呼吸や日輪刀が使えない状況でも生存率をあげる為に、そのような試練があると説明すると、泰三が付け加えるように話し出した。
「元々は先代黄金騎士 大牙様が考案したらしいんだ、ホラーを狩る魔戒騎士は呼吸を使わず鍛え上げた体一つで戦ってきたと伝えられてるからね」
泰三は魔戒騎士は呼吸を使わず、ホラーと戦ってきたと伝えると、
カナヲはホラーという初めて聞く言葉に疑問を持ち泰三にホラーの事を聞いてみた。
「あの、ホラーってなんですか?鬼とは違うんですか?」
カナヲは泰三にホラーと鬼の違いを聞いてみるが泰三はあまり詳しくはないようで花蓮が代わりにカナヲに話し出した。
「私達も伝えられた事しか分からないけど、人の心に邪心がある限り
陰我は生まれその陰我を入り口に魔界と呼ばれる別の場所から現れる鬼とは違う異形の化け物と聞いてるわ」
花蓮がカナヲに説明していると、しのぶがザルバから聞いた内容を話し出した。
「人の魂を喰らう闇の魔獣、先代の大牙さんはホラーとの戦いで飛ばされたとザルバさんから聞きました」
しのぶはザルバから聞いた内容を掻い摘んで話すとカナヲはザルバとは何か疑問になったのでしのぶに聞くことにした。
「しのぶ姉さん、ザルバってなんですか?」
カナヲからの問いかけに、しのぶは上手く説明する言葉が見つからないのか、分かる事だけ簡単に答えた。
「煌牙さんの左手に嵌めてる装飾の事よ、何故喋れるのか教えてもらえなかったけど」
しのぶはカナヲに簡単に説明したが、何故喋れるのか茶屋での話では結局教えてもらってないので未だにわからずにいた。
「そう、ザルバと話したのね・・ザルバもホラーよ、人と共存を望む友好的なホラー、そのホラーの意識を宿したのが魔導輪ザルバ、今は煌牙と契約を結んで煌牙のサポートをしてるわ」
花蓮は二人にザルバがホラーでありその意識を宿したのが魔導輪ザルバだと告げるとカナヲ、しのぶは驚いた表情になり花蓮に詰め寄る。
「兄さん・・大丈夫なんですか?」
「友好的なホラーと聞きましたけど、本来は魂を喰らう存在なんですよね?」
二人はホラーであるザルバと契約してる煌牙が心配になり花蓮に詰め寄るが花蓮は一呼吸置いて二人に話し出す、
「大丈夫よ・・煌牙は今も生きてる・・そうでしょ?」
花蓮は少しぎこちない返答になるが、しのぶとカナヲの二人は煌牙の心配をしてるせいか花蓮のぎこちない違和感に気付かずにその言葉を受け入れる。
ザルバとの契約には煌牙が払う代償もあるが、二人に話しづらいのか
あえて言わずにいた。
それが後に大騒動になるとは誰も予想していなかった。
一方煌牙と桜花の二人は辰巳、春と一緒に修也小夜子の兄妹と蹴球で遊んでいた。
煌牙、春、小夜子ー桜花、辰巳、修也の編成で遊んでいたが、鬼殺隊の四人がやり出すと、無駄に高度な遊びへと変貌していき、修也と小夜子はもはや曲芸となった蹴球を観て楽しんでいた。
辰巳からのパスを空中でヒールトラップした桜花は一旦着地して再度跳躍し宙に舞うボールを脚で挟み回転を加える。
「煌牙〜♪いくよ〜♪エターナルブリz『それ言っちゃダメ!』わお」
春は桜花の発言を止めながら、両手を地につけ、体を回しながらボールを奪うとその勢いのまま回転を続け煌牙にパスを送る。
「煌牙、兄弟子の名誉挽回させてもらうからな」
辰巳は兄弟子の面子の為にボールを保持した煌牙からボールを奪おうと脚を伸ばすが煌牙は緩急をつけた動きで辰巳を躱すとシュートを放つが、参の型を使った桜花が回り込んでボールを蹴り返す。
ボールは明後日の方向に飛んでいくのだが、丁度そこにタイミングが良いのか悪いのか屋敷から出てきたカナエがやって来てボールがカナエへと迫る。
カナエは迫るボールを見て、落ち着いた表情をしながら一言発した。
「はなふぶき」
カナエは一言発したのだが何も起こらずボールはカナエの顔面へと吸い込まれカナエは顔を抑えながら蹲る。
「痛い・・」
カナエの一部始終を見ていた六人は慌ててカナエに駆け寄り声をかける。
「カナエさん大丈夫ですか?というか普通に避けられましたよね?」
「カナエさん大丈夫〜?キーパー技出なかったね〜?」
「大丈夫ですか?てかキーパー技って何?」
「あわわ、元花柱様に失礼な事を」
「お姉ちゃん大丈夫ですか?」
「痛そう」
煌牙、桜花、辰巳、春、修也、小夜子はカナヲを心配しながらも
それぞれ思った事を口にする。
「桜花ちゃんが某サッカー技使ってたから私も出来るかと思ったの
でも駄目だったわ」
カナエは桜花が某サッカー技を使ってたから私も使えるという独自の謎理論で自滅してしまい痛い目をみていた。
「桜花、お前の謎発言がカナエさんの勘違いを引き起こしたんだぞ」
煌牙は桜花の謎発言が事の発端だと桜花に告げるが、桜花は更なる謎発言で反論した。
「え?私ノリで言っただけだよ〜?超次元サッカーじゃないんだし
実際に技なんて出るわけないよ〜〜♪」
「「「「「「超次元サッカー?」」」」」
桜花の謎発言にカナエを除く五人が一斉に口を揃え、カナエはどこか納得したような表情で桜花と話しだす。
「やっぱり超次元サッカーじゃないと技は出ないのね〜」
「そうだよ〜♪実際に出来るなら吹雪君みたいに吹き荒れろって叫ぶもん♪」
(((((今のうちに逃げよう)))))
桜花とカナエが話してる間に五人はこの場から離れないといけない気になりそそくさと退散した。
屋敷の中に逃げてきた五人は、花蓮との話を終えたカナヲとしのぶと合流し、煌牙の自室へと向かっていた。
「蟲柱様と対面するのは初めてですね、俺は日比谷 辰巳、階級は乙です。」
「同じく乙の小鳥遊 春です、よろしくお願いします。」
辰巳と春の二人は蟲柱であるしのぶに挨拶を交わし、しのぶも二人に挨拶を返す。
「初めまして、蟲柱の胡蝶しのぶです。辰巳さんと春さん・・もしかして不死川さんが話してた煌牙さんの兄弟子と姉弟子って」
しのぶは辰巳と春の二人が煌牙の兄弟子と姉弟子だと不死川から聞いていた事を思い出し二人に聞いてみると二人は不死川の事を話しだした。
「はい不死川さんからよく扱かれてます、ははは」
「任務も一緒だったりしますからね、口は悪いけど実は優しかったり」
辰巳と春は風の呼吸の使い手である事から風柱 不死川実弥と任務を共にする事もあり、不死川の指導のおかげか実力も上がり階級も乙まで
登りつめていた。
「まあ、そうなのですね〜頑張ってくださいね。」
しのぶは不死川と随伴する二人を応援すると煌牙にカナヲの紹介をけしかける。
「煌牙さん、ほらちゃんと煌牙の口から紹介しないと」
「ああ、えーと皆・・この子が前に話してた俺の妹のカナヲだ。
昔生き別れたけど、今でも大事な妹なんだ、皆よろしく頼むよ」
煌牙は皆にカナヲの紹介をすると、カナヲも続けて挨拶を始める。
「栗花落 カナヲです」
挨拶を交わすカナヲだがその口数の少なさに、辰巳が思わず突っ込みを入れてしまう。
「え?そんだけ?煌牙の妹だったらもっとお喋りかと思ったけど」
辰巳の突っ込みに煌牙はカナヲの頭を撫でながら辰巳に語り出す。
「あまり言いたくないけど昔色々あったんだよ、辰巳にも心開けばちゃんと喋ってくれるからさ、あまり触れないでやってくれ」
煌牙はカナヲの口数の少なさを庇うように辰巳に切り出すと、辰巳も察してそれ以上言及はしなかった。
「お姉ちゃんが煌牙兄ちゃんの妹なんですね、僕は橘 修也、妹の小夜子と一緒に鬼から助けてもらったんです」
「煌牙お兄ちゃんのおかげなの」
修也と小夜子の兄妹は、カナヲに自分達の事を煌牙から助けてもらったを含めて名乗ると、カナヲは修也と小夜子の兄妹に返事をする。
「そう・・兄妹だから仲良くしてね、ちゃんと二人で支え合うの」
カナヲは幼い頃、自分達が出来なかった願いを託すように二人に話すと、修也と小夜子も理解していたのかそれに応えるように頷く。
「はい、たった一人の妹ですから僕が守ります」
「私もお兄ちゃんに迷惑かけないように頑張る」
カナヲは二人の決意を見て、煌牙を見つめると煌牙もカナヲを見て頷く。
「俺達も頑張らないとな」
「私も兄さんを支えるから」
煌牙とカナヲは改めて兄妹の繋がりを確認すると、鈴を取り出して互いに見せ合う。
二人のやり取りを見ていたしのぶは、カナヲが煌牙とゆっくり過ごせるようにしてあげたいと考え、二人に話しかける。
「カナヲ、日輪刀が打ち終わるまで時間があるから暫く煌牙さんと一緒に過ごしたらどう?煌牙さんもカナヲと積もる話もあるでしょうし」
しのぶが気を利かせると、カナヲはしのぶはどうするの気になり、しのぶに聞き返す。
「しのぶ姉さんはどうするんですか?」
しのぶは蝶屋敷にいるアオイや三人娘の事が気になる為、カナエと共に蝶屋敷へと帰るつもりでいたので煌牙にカナヲを任せることをカナヲに告げた。
「私は姉さんと一緒に蝶屋敷へ帰るつもりよ、それに兄妹水入らずで過ごすのも大切な事だから煌牙さんに任せるつもりよ」
「しのぶ、こっちの都合は考慮してないだろ?まあいいけどさ」
しのぶの考えが自分の都合を考慮されてないと感じた煌牙はしのぶに口を挟むがカナヲを拒む気も理由もないのでしのぶの提案を受け入れる事にした。
「それに任務に就くとなると、他の隊士や隠との連携も増えてくるし
蝶屋敷以外の人達との交流も必要ですから、まずは煌牙さんのそばで
交流を図ってもらおうかと」
今まで煌牙や桜花を含めて蝶屋敷の中でしか人と関わることのなかったカナヲにとってこれからの事を考えたら、他者との交流は必要であり煌牙がいてくれるならカナヲも安心だろうと、しのぶは考えていた
煌牙もしのぶの提案はカナヲにとって必要であり煌牙自身もカナヲの為に何か力になりたいと思っていた。
「カナヲ、兄ちゃんと暫くの間一緒に過ごすからさ、少しでもいい屋敷の人達と仲良く出来るように頑張ってみようか?兄ちゃんも一緒にいるし、皆良い人達だから」
「うん、花蓮さんも泰三さんも良い人達だったし兄さんと一緒なら私も頑張れるから」
煌牙とカナヲの会話を見ていた辰巳と春は、まずは自分達から始めようとカナヲに話しかけ、自身の事を紹介し始める。
「カナヲちゃん、よろしくな俺は日比谷辰巳って名前だよ、煌牙とは昔から一緒に修行した仲で大事な友人でもあるんだ」
「私は小鳥遊春よ、カナヲちゃん初めましてだね私も煌牙の友人で一緒に修行したんだよ」
「辰巳さんと春さん・・新しく入隊する事になりました栗花落 カナヲですよろしくお願いします。」
辰巳と春はカナヲからの返事が入隊の挨拶である事に、思わず笑いだすとカナヲに固くならずにもう少し砕けていいと話す。
「ははは、今は鬼殺隊じゃなく煌牙の友人として話してるからね
そんなに緊張しなくていいよ」
「ふふ、カナヲちゃん面白いわね」
煌牙としのぶは三人のやり取りを見ながら、これから他者との交流を経てカナヲが成長出来るようになればと思いにふけっていた。
カナヲが滞在してから1週間後、屋敷の人達と過ごしていくにつれカナヲは徐々にだが次第に打ち解けていき、自ら話しかけるようになっていた。
「ゴンザさん、今日のおやつは何?」
「はいカナヲ様、今日のメニューはホットケーキとワッフルのキャラメルソース掛けでございます。」
カナヲは四ノ宮家で出される洋菓子が気に入り、こうして毎日執事のゴンザにおやつの献立を聞いて、出されるおやつを楽しみにしていた。
「ホットケーキとワッフル、ホットケーキとワッフル・・ありがとうゴンザさん」
カナヲは本日の献立をゴンザから聞くと繰り返し呟きながら、桜花との稽古に向かう。
カナヲの稽古は煌牙、桜花、辰巳、春の四人が順番で回していたが
煌牙と桜花との稽古は二人の変則的な動きも相まって未だにカスリも出来ないでいたカナヲ、特に桜花はより多く動く為、動きを読み切れないでいた。
「桜花さん、体勢崩した状態から予想外の攻撃してくるからそこをどうにかしないと反撃にもっていけないかも、桜花さんに対応出来ないと兄さんに太刀打ちすら出来ないし」
桜花の柔軟かつ変則的な攻撃にカナヲはなんとか防ぐ事は出来てもそこから反撃に繋げるまでに至らない為、煌牙と対峙した時はあっさりと負けてしまうカナヲ、まずは桜花の攻撃を捌いて反撃出来るように
これから行う稽古にヤル気を出していた。
四ノ宮家での稽古を続けて更に1週間が経ち、カナヲは桜花に反撃まで至らないにしろ反撃に繋がる捌き方を徐々に覚えていき最終選別の時よりもより実戦的な戦い方を出来るようになっていた。
そして、鎹鴉よりカナヲの日輪刀が打ち終わったと報告を受けて明日蝶屋敷へと帰る事になったカナヲは煌牙の自室へと足を運んでいた
「兄さん、私明日蝶屋敷に戻るから・・今日は一緒にいてもいい?」
煌牙もそうだがカナヲもこれからは任務に邁進する事になる為、暫く会えないだろうと思い煌牙と色々と話をする為に煌牙の自室へと赴き
窓から見える月を見つめながら煌牙に喋り出す。
「明日、日輪刀が届くから私も兄さんと同じ鬼殺隊の隊員として任務に就く事になるの、だから暫く会えなくなるよね?」
「お互い任務中だとそうだけど、別に会えないわけでもないよ任務が終われば会いに行けるしさ」
カナヲは煌牙と会えなくなるのが寂しいのか煌牙に問いかけるが煌牙は任務が終われば会いに行けるとカナヲに返すとカナヲは嬉しそうな表情を煌牙に見せ、しのぶの語った夢を煌牙に問いかける。
「ねえ兄さん?兄さんはしのぶ姉さんの夢、鬼と仲良くなれるって叶うと思う?私は信じたいの、しのぶ姉さんの夢・・カナエ姉さんから受け継いだ夢を」
カナヲはしのぶがカナエから受け継いだ夢を信じたいと煌牙に話すが煌牙自身がどう思うのか知りたくて聞いてみるが煌牙から予想外の返答が返ってきて眼を丸くするカナヲ、煌牙は続けてカナヲに話しかける。
「しのぶの夢か・・叶うと思うよ・・人を喰わない友好的な鬼なら既に三人知ってるからさ」
「えっ⁈」
「あっ!これ内緒な、誰にも話してないからさ・・・・まあ今更か・・」
煌牙は人を喰わない鬼がいる事とその鬼達と面識がある事をカナヲに告げるとカナヲは驚きのあまり口が塞がらずに煌牙を見つめる事しか出来なかった。
「まあそんなわけで鬼とは仲良くなれるよ、しのぶの夢は既に現実に起きてるんだ、絶対叶えられるはずだよ」
煌牙は人を喰わない鬼がいる事を目の当たりにしている為、しのぶの夢は叶うとカナヲに告げるとおもむろにベッドへと腰掛け牙狼剣を取り出して眺める。
「偽りの牙か・・・」
煌牙はカナヲに聞こえないくらい小さく呟きながら牙狼剣を見つめ
意識を牙狼剣に集中していると、耳元でカナヲの呼び掛けが聞こえ振り向くと心配そうな顔で見つめるカナヲが煌牙の隣に腰掛けていた。
どのくらい集中していたのだろうか、カナヲは何度も呼び掛けていたが煌牙からの反応がなく耳元で呼び掛けないと気が付かないでいた。
「やっと気が付いた、ずっと呼んでたのに反応無かったから・・その剣がどうかしたの?」
「あ、いや・・・なんでもないよ、それよりカナヲ顔が近いもう少し離れて」
耳元まで近づいて呼んでいたカナヲはそのまま煌牙と話している為、必然的に煌牙との距離が近いのだが気にするわけでもなく煌牙と喋っていたが、煌牙にとっては唐突な出来事で思わずカナヲに離れるように促すとカナヲは少し離れて煌牙に話しかける。
「何もないわけないよ、兄さん昔から何かあったらすごく考え込むから」
「・・・そっか・・・ん〜〜まあカナヲにならいっか」
悩み事があれば集中して考える癖のある煌牙、カナヲはそれを指摘すると煌牙は暫く黙り込み、カナヲにならと自身の胸中を打ち明けた。
「月に届かぬ偽りの牙、研ぎ澄まし襲し時、月をも砕く真髄へと至らん・・・この言葉の意味を考えてたんだけどさっぱりでさ、ちょっと悩んでたんだよ」
「どういう意味だろう?兄さんでも分からない事あるんだね」
「いや、なんでも知ってるわけじゃないし・・・ザルバなら知ってるかも」
まるで暗号のような言葉の意味を考えて悩む煌牙、カナヲに打ち明けてもその意味を理解する事が出来ず、逆に煌牙でも分からない事があると知りカナヲはそのまま煌牙に伝えるが、当然煌牙はなんでも知ってる訳ではないと答えると、物知りなザルバなら知っているかもと、ふと思い出しザルバに尋ねてみる事にした。
「ザルバ、今の言葉の意味だけど何かわかる事ってないか?」
「・・・・・知ってはいるが今はまだ語る時じゃない、一つだけ教えてやるが、お前が使っている呼吸は本来の呼吸じゃないという事だ」
「・・・え?本当に喋ってる・・・え?」
ザルバに意味を尋ねてみると、ザルバはその意味を知っているが煌牙に教えるにはまだ未熟と言わんばかりに告げるが、煌牙の使っている牙の呼吸は本来の牙の呼吸ではないとだけ伝える。
カナヲはしのぶからザルバが喋ると聞いていたが、普通に考えると喋る事自体が不可思議な事であり、ましてやホラーという未知の生命体がいるのも信じられない出来事なので、実際に喋るまで半信半疑でザルバを見ていたが、喋るザルバを見たら動揺しながらも目の前の現実を認識する。
「・・・なるほど、今の呼吸は本来の呼吸ではないが、何かを経て本来の呼吸へと至るって事か、でも月ってのがわかんないんだよな」
「煌牙お前は物分りが良い奴だな、あれだけでここまで導くとは・・
実際に月を見るまでに本来の呼吸へと至らないとお前でも死ぬかもしれん」
ザルバから教えられた言葉を解釈した煌牙は先程まで分からなかった言葉に当てはめ、独自に言葉の意味を導きだしてザルバを驚かせるも
月の意味までは理解できずにいた。
ザルバは月の意味までは言わないが、煌牙が本来の呼吸へと至る前に月を見ると死ぬ可能性があると不吉な事を告げる。
「嫌だ・・兄さんが死ぬ?そんなの絶対嫌!あの時みたいな思いなんてしたくないよ、どうして本来の呼吸を兄さんに教えてくれないの?」
「俺様は意味を知っているだけだ、それを教える事は出来ても呼吸を教える事は無理だ、悪いな嬢ちゃん」
カナヲは煌牙が死ぬという言葉に敏感に反応して自身が無気力になった過去の経験、また兄がいなくなるという悲しい思いを拒絶するようにザルバに詰め寄るも、ザルバは知識は教える事は出来ても呼吸という実技までは教える事が出来ない為、詰め寄るカナヲに謝るしか出来ないでいた。
「兄さん絶対駄目だから!兄さんが死ぬなんて絶対嫌だから!」
「わかってるよカナヲ、死ぬつもりもないしちゃんと帰ってくるからさ」
煌牙がいなくなる事を頑なに拒むカナヲは煌牙に自分の思いを伝えると煌牙もそのつもりはないとカナヲに話し帰ってくる事を約束する。
煌牙とカナヲの二人は暫く他愛のない会話をしながら一緒に就寝して朝を迎える事にした。煌牙はカナヲを蝶屋敷へと送り届ける為に一緒に屋敷を出ると持参していたおむすびを二人で頬張りながら歩き出す。
カナヲの鬼殺隊としての日々が始まる新たなる日は陽射しが煌めく
朗らかな日であった。
今回は投稿遅くなりました。
すいません_| ̄|○