紅蓮と深紅の決闘   作:◆.X9.4WzziA

12 / 12
【11】(完結)

 星屑と双児の月は、それでも陰惨な戦いに明け暮れた大地を照らしていた。彼方では依然として火柱と白煙が立ち上っているものの、それすら闇の帳を制するには至らず、結局は星明り、月明かりの恩恵を授かるしかない。稜線も未だ薄暗い。

 死闘は一段落ついたかに見えてはいる。辺りを再び静寂が包み込もうとする中、深紅の竜は紅い瞳をギラつかせて懸命に拒んでみせた。目前でうつ伏せに斃れた紅蓮の竜は、偽りの沈黙を保っているかも知れないのだ。

 深紅の竜が警戒する理由はそれだけに留まらない。

 今、この勇敢なるゾイドの目前で沈黙する紅蓮の竜。その首の付け根から、突如としてパイロットを名乗る黒い影が姿を現した。形が人に似ているというだけで、己がよく知る、愛する者達との共通点が見いだせない、何とも気味の悪い影。この段になって敢えて姿を現した真意を、魔装竜ジェノブレイカーと恐れられた深紅の竜は計りかねていた。

 一方、竜の主人ギルガメスが感じた驚きはもっと大きい。揺さぶられたとも言える。そもそも、当初は「胎児」が搭載されていると考えていたから、完全にひっくり返ってしまった結末に動揺を隠せない。

 だが、会話はある程度成立するようだ。パイロットを名乗るこの気味の悪い影の正体もさることながら、物騒なゾイドを引っ提げまでして我ら主従を始末しようとしたその真意がわかるかもしれない。先程までの死闘とは別種の、コントロールし切れるかわからない興奮が彼を襲う。そんな最中。

「ギル! ブレイカー! 待ちなさい!」

 疑念に絡め取られそうなこの状況に落ち着きを取り戻させたのは、女教師エステルの一喝だった。銃器を挟んだビークルが、深紅の竜の左翼に浮遊するとハッチがせり上がった。

 中からすっくと立ち上がった漆黒のパイロットスーツ。エステルはヘルメットのシールドを持ち上げ切れ長の蒼き瞳で強敵を厳しく睨みつけると、手にした長尺の対ゾイドライフルを小脇に抱え、一発撃ち放つ。

 深紅の竜も若き主人も、目を見張った。全方位スクリーンに映る黒い影はゆらゆらとうごめいたまま、そのすぐ後ろに見える機械類に大きな亀裂が入った。銃撃が、すり抜けたのだ。

 そんな怪奇現象など、裸眼の蒼き瞳には映っていなかった。エステルは機械類を撃ち抜いただけだ。……だが、ビークルのモニターには深紅の竜が捉えた黒い影もちゃんと映っている。

「『介入』されてるわ。気をつけて」

 ギルガメスは驚愕して息を呑み、深紅の竜は反対に警戒して息を吐いた。

 介入とは簡単に言えば、ゾイドの視覚装置が乗っ取られているのだ。……少年主従は少し前に、同じような能力を持つ翠玉(エメラルド)色した竜と対峙したことがある。全方位スクリーンに映る数々のニセ映像に大苦戦したが、和解にこぎつけたのは幸いだった。目前の黒い影はそこまでではないものの、紅蓮の竜は恐るべきポテンシャルをまだまだ秘めているのかも知れない。

 さて全方位スクリーンに映る黒い影は肩を揺らし、大袈裟に笑ってみせた。

『流石ダナ、えすてる。古代ぞいど人ノ女王』

 エステルは鼻を鳴らすが、その傍らでギルガメスが恐る恐る口を開いた。

「君は、何者……?」

『ですれっくすノ思イ描イタ、理想ノぱいろっとサ。

 魔装竜じぇのぶれいかーヨ……』

 指差す黒い影。その向こうに立つ深紅の竜はまじまじとこの黒い影の動作を見つめている。

『コノぞいどハネ、君ガ憎クテ憎クテ仕方ガナイノサ。

 君ハ大昔モ、今モ、素晴ラシイぱいろっとニ、恵マレテイル。

 同等ノぱいろっとニ巡リ会エレバ、キット君ニモ勝テル』

 深紅の竜もエステルも、ずっと押し黙って耳を傾けるしかなかった。だがその時、唯一異議を唱える者が、深紅の竜の胸部コクピットハッチをめくりあげて怒鳴った。

「妬んでないで探せよ! 僕はブレイカーを探して、出会って、友達になったんだ! 妄想にふけるなよ!」

『全テノぞいどガ理想ノぱいろっとニ出会エルトデモ?』

 黒い影の頭部が妖しく明滅し、ふと、夜空を見上げた。

 夜空を白煙が漂い、今にも覆い隠そうとしている。それでも、星屑も双児の月も懸命に輝いている。

『全テノ星々ガ自力デ輝ケルワケジャア、ナイ……』

 そう影がつぶやいた時だ。突如、激しいノイズと共に映像がかき消されたのは。

 その時、深紅の竜は咄嗟に少年を両手の爪で覆い隠してコクピット内に押し込め、無理矢理にハッチを閉じた。その上に更にくちばしを被せて抱き締めるように抱え込む。

「避けて!」

 エステルも叫んでいる。叫んで、すぐさま着席、ビークルは錐揉みしてその場を離れる。

 深紅の竜はそれが間に合わない。辛うじてうずくまり、崖の上から解き放たれた漆黒の影が飛び込んできたその寸前で、際どく体を傾けかわしてみせる。

 この間、コクピット内でギルガメスは滅茶苦茶に揺さぶられるのを甘受するよりほかなかった。頭にきてハーネスを外しつつ身を乗り出しながら抗議した代償をモロに被った形だ。どうにか座席の手すりにしがみつきつつ全方位スクリーンに映る新たな敵を目の当たりにした。

 漆黒の、翼刀竜だ。崖の上から飛び降りてきたのだ。銀色の刀のような翼を目一杯に開き、ハサミを鳴らすように開閉を繰り返している。すぐには立ち上がることも出来ない深紅の竜をひと睨みすると、軽い跳躍で覆いかぶさり、踏みつけ、蹴り込み、そして蹴り上げ。

「そのゾイドは俺のものだ!」

 黒覆面の男グラベルが吠える。その姿は全方位スクリーンにもウインドウが開かれて映し出された。勿論ギルガメスはそんなものを気にしている暇などなく、辛うじて着席し直し、ハーネスを降ろして反撃の準備を目指すしかない。

 グラベルは黒覆面を脱ぎ捨てた。さらけ出した素顔は大火傷に覆い尽くされていた。美醜も老若もさっぱりわからない。只、火傷痕の隙間から浮かび上がるぼんやりした青白い輝きだけが彼の素顔の手掛かりと言える代物だった。

「ギルガメス! 綺麗事を抜かすクソガキ!

 この俺の面こそが、貴様と同じ力を持った者の末路だ! 普通は、こうだ!

 だがこうして生き存えた以上、ゾイドは頂く! 貴様はその面のまま、死ねぇっ!」

(ブレイカー、待ってて、もう少し)

 囁きながら立ち直りを図る少年には知ったことではない。

 ぐらつきながらも少年が着席を果たせば、ハーネスが勝手に肩を、胴体を、確実に押さえつけてくれる。

 深紅の竜の全身に埋め込まれた突起が一斉に唸りを上げる。吹き出す火花。両手両足を、翼を、尻尾を、強く地面に叩きつければ、喰らいつく翼刀竜も呆気なく弾き飛ばされる。

 バネ仕掛けの玩具のように、跳ね起きた深紅の竜。地響きを立て、砂利を飛ばしつつ低く身構える。

 ところが全方位スクリーン内に不自然な音が聞こえてきたため、ギルガメスは目を剥いた。……砂利が金属にぶつかる音だ。カツンカツンと、至るところに飛び跳ねる音。少年は耳を疑った。

 漆黒の、翼刀竜が目前に仁王立ち。足元に砂煙を漂わせつつ、一度は弾き返されてもすぐさま深紅の竜の鼻先近くまでにじり寄ったのだ。……その異様な近距離。少年主従は戦慄した。

(1PM(ワンピーエム)の間合いじゃあないか!)

 大笑したのはグラベルだ。

「そうだ、1PMだ! 貴様は、勝てない!」

 まるで暗示にでもかかったかのように、少年は右のレバーを押し込んでしまっていた。

(戻せ、戻せ、戻せ)

 心の中では何度も叫ぶものの、勝手に動く右腕は止めることすら容易ではない。

 翼刀竜の左脇腹めがけて、深紅の竜の右腕が吸い込まれるように伸びていく。このままでは、強敵が備える刀のような翼にガッチリと挟み込まれてしまう。……どのようにでも、料理されてしまう。

 この瞬間だ、ギルガメスの耳元に文字通りの天啓が下されたのは。

「ギル! 相手の攻めを、責めろーっ!」

 愛する女性は、騎乗するビークルのコントロールパネルに覆いかぶさるように叫んでいた。

 その声を耳にした少年の刮目こそが、暗示を振りほどいた証だ。更に強くレバーを押し込める。まばゆく輝く、額の刻印。

 伸び切ろうとしていた竜の右腕。肘、そして手首に埋め込まれていた突起が唸りを上げ、火花を飛ばす。握り締めた掌。鋭角的に、肘を曲げる。

 メキと、鈍い音。

 その代わりに、悲痛な叫びを上げる翼刀竜。

 逆転の一撃は、確かにこの強敵の左脇腹に打ち込まれていた。深紅の竜が土壇場で繰り出したのは渾身の、肘打ち。

 ギルガメスは自分が咄嗟の判断で下した結果に目を見張り、少々動揺している。余りにも奇麗に技が決まったからだ。……そんなことより、次に彼がやらなければいけないのは強敵を押し退けること。レバーを再び握りしめようとした少年。だがその瞬間が狙われていたかのように、真横から衝撃を受けた。

 右方に横転する深紅の竜。

 立ち直りは早い。竜はすぐさま腹ばい、両腕を地面につけ、紅い瞳を光らせ左右を睨む。一方、傍らで広がる光景は凄惨だ。

 紅蓮の竜が、直ぐそばにまで突っ込んでいた。鼻先からの体当たりをモロに浴びせたようだ。……その巨大なくちばしは、漆黒の翼刀竜の胴体をガッチリと咥え込んでいる。そして喉の奥からヌッと伸びているのは、荷電粒子砲の砲身と思われる消化器官だ。その先端には鋭利な刃物がイソギンチャクの触手のように並んでいる。

 ドリルのように回転を始める消化器官。深紅の竜の肘打ちをもってしても完全に粉砕はできなかった翼刀竜の胴部装甲を、耳をつんざくような掘削音を上げて削っていく。

 翼刀竜の上げた断末魔はひとたびは空を裂いたが、それも数秒のこと。すぐに声も、全身の力も失った。

 かくて只の鉄塊と化したものを、紅蓮の竜は思いのほか早く噛み砕き、飲み込んでいく。このゾイドは文字通り、捕食したのだ。エネルギーさえ蓄えればすぐの再生は容易なのだろう。既に首の付け根に埋め込まれていたルビー色のキャノピーは閉じられていた。思いのほか知性を感じさせたあの黒い影は外からでは存在が伺えない。

 四つん這いの状態から、フラフラと立ち上がる深紅の竜。

 それを待っていたかのように突っ込み、噛み付く紅蓮の竜。

 すんでのところで、深紅の竜は両腕を上下に伸ばし切れた。上顎を右腕で、下顎を左腕で。……深紅の竜の胸元に、迫るドリル状の消化器官。竜は頭部を左右に揺さぶり、頭突きとも言えない奇妙な動作で叩き、払い、凌いでみせる。

 そこに迫るはおろし金の翼。深紅の竜を左右から挟み込もうと、何度も叩きつけてくる。翻った桜花の翼。おろし金の翼を払い除けると、すぐさま衝立のようにかざし、急所が集中する己が胴体の防御に転じる。

 この間、ギルガメスは懸命にレバーを振り絞っていた。シンクロの副作用で全身に打ち身の痕が再現されている。同等のダメージを、相棒ももらっているのだ。激しい痛みが彼を襲う。痛みの余り、脳が痺れるような感触が何度も繰り返される。

 絶体絶命か。いやそんなことはないと、ギルガメスはすぐに気の迷いを打ち払った。

「先生!」

 少年も、深紅の竜も、吠えた。

 深紅の竜の肩口よりスッと姿を現したビークル。蝶のようにフワフワと浮きながらも、左右に挟むようにマウントされた巨大な銃身は十分過ぎるほどの殺気を放っている。

 ビークルの上部を覆うハッチがせり上がった。漆黒のパイロットスーツが立ち上がる。エステルは長尺の対ゾイドライフルを抱え、ヘルメットのシールドを再び持ち上げている。顕になった切れ長の蒼き瞳は、闇夜を切り裂く眼光を解き放つ。

 最早ビークルが搭載した豊富な武装を浴びせる余地はなかった。完全に組み付かれた深紅の竜を救うためにできることは唯一つだ。エステルは対ゾイドライフルを構える。

 その様子は、文字通り生死を賭けた噛みつきを試みる紅蓮の竜の視界にも飛び込んできた。ギロリ、朱色の瞳がエステルを射抜く。

 エステルは押し黙っていた。鼻を鳴らしさえもしない。ただ一度だけ、軽い溜め息をつくと。

 虚空を、乾いた破裂音が響き渡る。何度も、何度も。

 対ゾイドライフルの銃撃は、紅蓮の竜がずっと晒したままの喉の奥に、ことごとく叩き込まれた。その先には、ゾイドコアが直結している。

 その有様を、朱色の瞳はずっと冷ややかに見つめていた。

 何度目かの銃声が響き渡ったところで、紅蓮の竜は咳き込むように体勢を崩した。深紅の竜は好機を逃さず、全身の力で押し退けると一歩、また一歩、跳ね跳んで後退。

 組み合った状態のまま硬直していた紅蓮の竜。その口元はかすかに動いたかに見えたが、声にもならなかった。……紅蓮の竜は前のめりに崩れ落ちた。

 深紅の竜は身構えたまま、ギルガメスはレバーを握りしめたまま。そしてビークルに騎乗するエステルは対ゾイドライフルを構えたまま。強敵の沈黙は果たして「期待」から「事実」に変わったのか。

 だがそれを確認するより早く、全方位スクリーンには突如鳥瞰図が開かれ、激しい警報を鳴らし始めた。目を剥くギルガメス。先程飛び降りた崖のずっと向こうの方角より、多数のゾイドが一斉に熱源を解き放っているのが確認できる。

「逃げるわよ!」

 エステルの指示はギルガメスが促すよりもずっと早かった。

 深紅の竜はガッチリとビークルを掴む。背負いし六本の鶏冠が一斉に逆立ち、蒼い炎を噴射すれば勢い良く地を蹴り、氷上を滑るように地を駆ける。

 その最中、二人と一匹は確かに目にした。紅蓮の竜「だったらしい」鋼鉄の塊を伝うように、線香花火のような輝きが地面に流れ落ちたことを。だがその正体を知るよりも先に、砲撃の雨あられが辺りを襲った。

 爆炎・爆風を背景に、深紅の竜は駆け抜けるよりほかなかった。

 

 同じような鳥瞰図を、アリルもシルバルドも手持ちの腕時計型端末で凝視していた。

 シルバルドは自嘲気味の笑顔をずっと浮かべている。

「終わりましたね。ご迷惑をおかけしました」

 告げられたアリルは憮然としていた。隠し切れない表情に結局は若さがにじみ出る。……多大な犠牲を払って、後始末が行なわれたのだ。そしてそれを、あっさりやってのけた張本人が目の前にいるのは決して気分の良いものではなかった。

「……もう少し先に、私のバトルローバーが待機しています」

 返事はせず、しかし任務には忠実に。

 アリルの後をシルバルドがついていく形で、二人は瓦礫をかき分けつつ歩き始める。

 ただしアリルは彼方を一瞥するのも忘れてはいなかった。あの深紅の竜のパイロットが背負った宿命は相当なものだが、引き換えに獲得した自由は素直に、羨ましい。若者は、彼らの無事と再会を祈った。

 

 深紅の竜は懸命に駆け続けた。

 いつしか鼻歌を唄うように駆けていた。もともと走るのが好きなゾイドだ。だが奏でる鼻歌は、涙が混じっているようにも聞こえる。

 背後でずっと砲声が鳴り響いているが、こちらを追いかける様子は伺えない。証拠隠滅以上のものではなさそうだ。……今はとにかく民族自治区の境界付近まで駆け抜けることだ。そこまで行けば、追っ手も諦める可能性が高い。誤射が越境した場合、思わぬ政治問題に発展してしまう危険があるからだ。そこまで見越して、ひたすら駆けた。

 一方、竜の胸部ハッチ内も依然として眩しい。内部で鎮座するギルガメスは額の刻印が輝きを絶やさぬまま、汗びっしょり、肩で息したままだ。だが竜のコクピット内のハーネスは疲弊する少年の五体を容赦なく固定している。可能なら、Tシャツを交換したい。

 そう思っていたらふと、ハーネスが持ち上がった。全方位スクリーン左方にウインドウが開き、相棒がずっとガッチリ抱え込むビークルの様子を映し出す。

 ビークルの機上ではハッチがせり上がり、ヘルメットを外し、汗を拭うエステルの姿が映し出された。歴戦の勇者たる彼女が一息ついた以上、ひとまず大丈夫だろうとこの優しい竜も踏んだのだ。

 竜の視線に気づいたのか、エステルはポツリつぶやく。

「ごめんね」

 そう告げたきり、唇を噛み締めたまま。

 もう、二人と一匹も確信していた。紅蓮の竜は破れ際に自らの全情報を込めたゾイドコアを生み出していたはずだ。その中にはきっと憎しみも込められている。敗戦を元にした次なる強化の指針も、まず間違いなく。紅蓮の竜は必ず復活し、再び深紅の竜を追い求めるのだろう。何代続こうとも。

 ウインドウに映った愛する女性の姿をまじまじと見つめていた少年は、迷う仕草も見えたが、それも数秒のこと。意を決すると天井を向いてハッチを開けるよう声をかける。

 竜の胸部ハッチが開く。両手で抱え込むビークルに、開いたハッチが架け橋のようにつながった。

 驚き振り向いたエステル。

 汗びっしょりのギルガメスが顔を出す。

「先生、僕は、僕は……。

 それでも、貴方に出会えて、嬉しかったんです」

 少年はまじまじと、エステルの蒼き瞳を見つめていた。

 彼女も少年の円らな瞳を受け入れるように見つめている。

 ふと、少年はくしゃみをした。連発。当たり前だ、ずぶ濡れのTシャツを着替えないまま風に当たっているのだから。

 エステルは吹き出してしまった。深紅の竜は見かねて顎を動かし、奥へ一旦引っ込むように促す。

 彼方の稜線はようやく白んできたところだ。

 優しい朝が近いと確信して、深紅の竜は駆け続けた。

(終わり)




 ゾイドワイルドシリーズが始まった時、今までとは違う玩具のスケールを自分の中でどう消化していこうか、思いのほか悩みました。玩具としてのゾイドは、今までは1/72という統一されたスケール上の存在でした。それはつまり、いつの時代に発売されたゾイドも同じ世界の住人だということです。仲間外れは、いないはずです。
 ところがワイルドシリーズからは1/35で発売されるということで、これは玩具としてのサイズは同じようなものだけど、それぞれが別世界の住人だと言われているよな……と思いました。遊ぶ上で共演が出来ない。これは嫌でした。どちらかの住人が仲間外れにされてしまうのではないか、と危惧した次第です。
 そこで自分なりに、両者が玩具のサイズのままに同居できる可能性を考えました。
 ゾイドワイルドシリーズの舞台は地球だと聞いたために、案外早くに打開策を思いつきました。ゾイドが惑星Ziを脱出して宇宙をさまよい、地球に辿り着くまでに小さくなるよう進化していったんじゃあないか、と。……宇宙をさまよう上では低燃費のほうが良いはずですから、小さくなっていくのは理にかなっていると思ったのです。
 それは裏返せば、ワイルドシリーズのゾイドは惑星Ziに生息していた時は総じてもっと大きかったのではないか、ということでもあります。つまり彼らが惑星Ziで生息していた頃は玩具の72倍のサイズだったかもね……となりまして、旧シリーズのゾイドもワイルドシリーズのゾイドも玩具のサイズで共演していいよね! という結論になりました。
 当方で展開するお話しは原則、惑星Ziが舞台です。……登場ゾイドは、共通して『玩具のゾイドの大きさを72倍したもの』が本編の設定上の体格となります。よろしくお願いします。
 そんなの筋が通らない、公式では〜と仰られる向きも多数あるかと思いますが、これ、二次創作ですから!
 自分は、どちらかを仲間外れにするようなことは、もういい加減嫌なので。みんな仲良く! そのためのアイディアでもあります。
 ご批判の向きもあるかもですが、ご理解の程よろしくお願いします。
 なお、こういうアイディアが許されるなら「旧シリーズのゾイドが地球にやってきて、小さくなって大活躍」も当然ありだと思います。こちらはコクピットをどう処理するかがより重要になると思うので、考証が好きな方にお任せします。
 
 ただ、今回は頑張って書いてみたものの、肝心の物語の方がどうにも拙くなってしまいました。そちらは多少考えたつもりでも、熟考には至ってなかったのです。当初はtwitterに掲載していましたが、ここに掲載するに当たり大幅に加筆しました。まだまだ足りないとは思います。しかしいい加減手離れしないと先に進めませんので、ひとまずこの辺で加筆を止めました。
 次、また機会があるときはもう少しマシなものにするよう努力いたしますのでどうかよろしくお願いします。他にゾイドネタであるがゆえに話すべきこともあるのでしょうが、ひとまずここまでにしたいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。