今回もオリジナルエピソード。
オリジナルエピソードしかないですね……。
今回は、前回のクサナカのやらかしからの……です。
エドワード達が悩んでるばっかりです。
そういう意味でキャラが違うかも知れません。
錬金術師がどうやって理論を答えを出していくかの過程は捏造です。
暗号化された機密情報を解読するために大量の資料と紙に書き出すなどしていたので、それっぽく…書きましたので間違っていた申し訳ありません。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
「クサナカさん! あんたは…、あ、ああ、あああああ、あんたはぁぁぁあああああ!!」
エドワードが小さな鉢を前に机の上で頭を抱えて叫ぶ。言いたいことはあるがうまく言葉になっていない。
あとアルフォンスも机に突っ伏しているし、ロイは壁に手をついてどんより暗くなっている。二人ともエドワードと同じ錬金術師なのでエドワードのように言葉にならない叫び声をあげたいところだがそれ以上に頭がついていかなくて現実逃避しているのだ。
鉢の中には土と一緒に小さな草花が植え付けられていた。これは研究所周囲に自生していた雑草類の一部だ。クサナカが研究所を復活させた後である異常性がすぐに判明してサンプルとして回収した物である。
研究所にはたくさんの人間がいた。それは火事の時もだ。その時に怪我人が出ただけじゃなく、脱出が間に合わず内部で息絶えてしまった人間達がいた。
その死亡した人間達の遺体を探し出して身元を確認と検死に回すために捜索がされていたのだが、そこにクサナカが研究所を蘇らせ、なんと建物ごと死んでいた人間を生き返らせたのだ。建造物周辺の草花と同じように。
先に発見されて検死するところへ移されていた遺体が消え、蘇った研究所から生き返った状態で戻ってきていた。あまりの異常の中で生き返ってきた人間達を調べられたが、彼らは何事かと驚いていて火事のことを知らないどころか、自分達が死んで生き返ったことを全く知らないようだった。それどころか彼らが体感し認識していた時間帯にズレがあり、火事より少し前ぐらいの時間の状況で彼らの記憶がリスタートされていた。
ヒューズはクサナカがやったことの混乱に対応するためエドワード達と別れて仕事に戻った。
もう何がなんやら……と、頭を使う仕事をしている人間達を早死にさせてしまいそうな状況を作った当の本人は椅子に座って周りを傍観している。自分がこの混乱を起こしたことを自覚していないのか、自覚していてもどうして周りがこんな風に反応しているのか分かっていないのか、おそらく後者だ。表情に出てる感情が薄いが事の成り行きを黙って見守り彼らからの反応を待っていた。
クサナカの後ろでソウゲンが苦笑していた。クサナカと違って大昔(千年以上前)に人の社会に出ていたソウゲンは自分達一族の異常性は知っているはずだ。だからエドワード達がこういう反応をすることは想像できていた。
しかし二人とも世間から浮いているというかぶっ飛びすぎてて世間の常識から外れすぎている死霊魔術師という一族であることの宿命か、事の重大さを理解していない。
元々根無し草で一箇所にとどまらずに生活していたらしいのでクサナカを守るためにソウゲンが無理矢理に死霊の町に籠もらせていたから余計におかしいことになったのか。
「大総統が没した混乱の真っ只中で…。」
ロイも机の上に両肘を置いて頭を抱えていた。
死亡した人間(※雑草などを含む)を火事で焼失した研究所ごと復活させやがった。死霊魔術自体がおかしいことだらけで頭がおかしくなりそうな代物なのに、それを利用してこんなことを簡単にやってのけてしまったんだからこれから起こるであろう混乱ととんでもない出来事に立ち会ってしまったショックから立ち上がれなくなっていた。
『……間違えたかの?』
「たぶん。」
「たぶんどころじゃねーーーんだよ!」
世間知らず超マイペースな二人に絶叫するエドワード達。
「どーすんだよ!? これ!? マジでマジでどーーーすんだよ!?」
「一旦落ち着こうか…鋼の。」
「これが落ち着いて…、ブッ!?」
『騒いでも先には進めんぞ。』
「この混乱の原因に言われましても…。」
頭がパニック状態のエドワードを落ち着かせようとクサナカが後頭部を強めに叩いて、ソウゲンが落ち着くよう声を掛けるがあまり効果は無いように思える。
現場に居合わせていた研究所職員が気を利かせて大急ぎでコーヒーや紅茶を用意し、喉を潤して少し落ち着こうとクサナカとソウゲン以外が全員で頑張った。
そこは科学者、探求者、強靱な理性をフル動員してなんとか現状に適応して落ち着きを取り戻していった。
「……はあ………、どこからツッコミを入れたらいいのか…?」
研究所職員がコーヒーカップを握ったままクサナカの方を見てそう言った。
「ここの機械を使って俺の体を調べるんじゃなかったのか? そのために元に戻したのに。」
「はあ?」
「あっ! それはその…。」
「ああ、国家錬金術師からの機材使用の予約が入っていたのはあなた方だったんですね。」
「混乱しているところにすまないが、手短に迅速に目的を果たしたいので貸して貰えるかね?」
「…そうですね。今のうちならまだ上もすぐに動けないでしょうし早い内にどうぞ。」
様々な機密を含む研究所の職員であるためアメストリスで高い地位にある国家錬金術師の行動は優先するよう教えられているのか割とすんなり許可を出した。
「ヒューズが戻るまでに終わらせるとしよう。」
「大佐、ここの機械って使ったことあんの?」
「……。」
「すみませーん! マニュアル借りていいですか?」
研究の分野が違うためここの機械は使ったことが無かったロイ。アルフォンスが急いで他の職員に機械のマニュアルを借りに行った。
国家錬金術師になるきっかけが人体錬成を実行したという禁忌に足突っ込んだ天才兄弟は、本当のプロの医者ではないが生体に関する研究分野に精通している錬金術師である。そのため特に人体の構造や構成物質のことには詳しく、早熟の天才であることもあり覚えたり経験すれば早い段階で医学の深い知識と技術も身につけられないこともない。
急ぎだったとはいえ事前に予習して詰め込んできた医学系の知識を含む様々な知識と、研究所にある国一番の精密検査機器を使いクサナカの肉体を調べた。
特に重点的に調べたのはクサナカの心臓と血液だ。
「血液細胞自体は普通の一般人と同じ……、けどなんだこの違和感…。」
大がかりな顕微鏡で採取した血液を満遍なく調べたが血液を構成する細胞は普通の人間のそれと変わりないように見えていた。
エドワードとアルフォンスは交互に顕微鏡でクサナカの血液を見ながら大量の図鑑や資料を参照しながら、白紙に錬金術の図形や数式などなどを彼らの頭でないと分からない形で描かれたり、罫線のある紙にガリガリと計算式、物質の成分、物質がもたらす効能などなど素人には全く分からない意味があるようなまったくの無意味にしか見えないような謎の文字列やら理論の文字列を書き続けて書き続けて紙の束が山になっていくが、中々答えに行き着けず頭を抱えて唸ったり机にゴンゴン頭をぶつけてイライラしていたり、椅子から立ってその辺をウロウロしたり頭をかきむしったり、早熟の脳みそをフルに使う。アルフォンスも魂だけの存在になっているが思考できる力をフルに使う。
その時、ロイがコソコソと動いていた。
「何をするんだ?」
「いや、少しばかり気になったことがあったのでな。実験を。」
そう言ってロイが手にしているのは採血したクサナカの血のごく一部が入ったアンプルのような小さな入れ物。
研究所の敷地には爆発物になる可能性がある研究の実験を行うためのスペースがあり、焔を研究の分野としているロイはここよりも大きな規模のところを使うのだが今回は小さめの実験のために使わせて貰うことにしたのだ。
剥き出しの地面のように見せかけて副産物で発生する可能性のある毒物を外部に漏らさない設計になっているドームのようなその実験場にロイが錬成陣を描き、中心に血液入りの入れ物を設置して距離を取り、クサナカが安全圏から見物している中でロイは錬成陣が掘られた手袋を嵌め、錬成陣向けて彼の十八番である焔の錬金術を放った。
その瞬間発生したのは大爆発。
研究所全体が揺れるほどの。
「な、なんだ!?」
何かのテロか職員達が慌てる中、エドワードとアルフォンスは思考の袋小路に入っていた頭を殴られたようにひっくり返ってしまった。
「ソウゲンさん! 今のは!?」
『あの色男の大佐さんが、ちょっと……。』
「は~~~!? 大佐なにやって!?」
『アッチじゃよ。』
ソウゲンに案内されて二人は爆発実験が行われた場所へ急行。
そこで見たのは空気に混じった粉塵と煙と、爆発に備えたガード用の鉄板の裏に身を隠していたクサナカの姿と、想定以上の爆発で煤けて汚れた上に爆風で髪の毛も服もメチャクチャな有様になったまま棒立ちになってるロイだった。
ロイが仕込んだ錬成陣があった部分には大穴が空いていて、爆発の激しさを物語っていた。
その後ロイを救護室に運んで研究所に配属されている軍医が診察した。結果たいした怪我はなく、爆風によって浴びた煤と土汚れがほとんどだったと分かった。
「んで? なにやってたんだよ?」
「いやねぇ…、あくまでちょっとした興味で…。」
「だからなにした!?」
「俺の血を爆発させた。」
「はあ!?」
「大佐、何やってるんですか!? クサナカさんの血を火薬代わりにしたってことですか!?」
「それは少し違うな鋼の弟。私が試したのは彼の血液を等価交換の対価として焔の威力をどれくらい強く出来るかということだ。」
「火薬代わりにしたのと変わんねーじゃねーか!」
『それで結果はどうじゃった?』
「計算していた以上の結果でしたよ。今回の量の2倍だったとしたらあの実験スペースごと私もクサナカくんも爆風でバラバラに吹き飛んでいたでしょう。」
「んな…!?」
ロイの言葉にエドワードとアルフォンスは絶句した。
「あれっぽっちの量で?」
「着火に用いた焔も控えめにしたとはいえ、もし控えめにしていなかったら……危なかった。」
『焔を扱う錬金術師として、孫の血についてどう感じたんじゃ?』
「…………彼の血液の価値が普通の人間と比較にならないほど高いのではと思いました。」
それを聞いたエドワードとアルフォンスは、死霊の町でクサナカから聞いた例え話を思い出した。
遠い昔、血塗られた儀式で神の力を求める時代と文化があった頃、特別な力のある人間の血を求めたのではないか。血液を循環させ、血を蓄えた心臓を求めた。
賢者の石は伝説だ。しかしその姿については赤い色であること以外は正確に伝わっていない。
等価交換の法則から見て価値の高い人間の血が赤かったから後の世に賢者の石の赤い色に繋がったのでは?というクサナカの憶測。
そしてそれを裏付けるように、クサナカは5倍かそれ以上の錬成の結果を容易く成功させ、火事で焼失した大きな建造物とその中にあった精密機械の数々と、そのついでにその中で死んだ人間も草木も死ぬ前の状態に戻して蘇らせるというとてつもないことを容易くやってしまった。
大総統ブラッドレイはクサナカの命を奪い、彼の体内にあると見ていた賢者の石を回収しようとしていた。
だから心臓の中に賢者の石が入っているという仮定でこの研究所に来て調べることにしたのだ。
少量の血で弱い焔が大爆発になる錬成の結果が出た。
赤い色の石、賢者の石、赤い血液……?
エドワードとアルフォンスは、チラリッとクサナカの赤みの強い黒髪と目の色を見た。完全な真紅というほどの鮮やかさとは言えないがかなり赤みが強い黒髪だ。いや、気のせいか初めて出会った時より赤みが増しているような?
「心臓の中…、血……、血の価値……。」
エドワードがブツブツと冷や汗をかきながら呟く。
そしてエドワードはある答えに行き着く。
クサナカの…………、否、死霊魔術師という一族の心臓と体内で循環する血液こそが賢者の石なのではないかという答えに。
エドワードがその答えを導きだし固まっているところに、研究所職員が慌ててロイのもとへ来た。
ロイが爆発で開けた穴から、アンプルのような入れ物と中に入っている少量のクサナカの血がそのまま見つかったということを報告しに来たのだ。
「クサナカさん……、あんたは……。そんなことって…!」
「兄さん?」
エドワードの考えていたことを知らないアルフォンスが訝しんだ。
愕然としているエドワードと分からなくてオロオロしているアルフォンスは、やがてロイのもとへ運ばれてきたほぼ無傷のアンプルのような入れ物と、その中で時間経過による凝固も劣化もしていない少量のクサナカの血がアンプルの中で水の中に沈んだ油が球体のようにプルンと転がっているような形になっているのを目撃した。
普通の血液があんな状態になるなんて…おかしい。
もしも心臓と肉体に流れる血の全てが賢者の石だとしたら、祖父であるソウゲンの願いを叶えられないかもしれない。
孫のクサナカの体内にある賢者の石を取り出して、クサナカを狙う輩から解放すること。それがソウゲンの願いだ。
エドワードとアルフォンスは、その問題に直面して自分達があまりにも軽くその頼みを受けてしまったことを後悔した。
今回はクサナカが復活させた研究所の機材を使ってやっとクサナカの体を調べられた。
でも賢者の石の有無はいまいち分からず。
けれどエドワードはクサナカを含めて死霊魔術師の心臓と血液そのものが賢者の石?なのではないかという疑問を持つ。
ロイが使ったクサナカの血液はティースプーン4分の1ぐらいの少量です。
なぜ入れ物が壊れず、そして中にある血液が普通と違って固まったり変色もせず、プルンッとした状態に丸まったのか……。
イメージとしてはマルコーさんが隠し持っていた小瓶に入っていた液状の賢者の石みたいな感じです。
果たして死霊魔術師という一族の体内にあるとされる賢者の石とは?
そして死霊魔術で焼失した建造物ごと死んだ者(※草木含む)を復活させられた理由とは?
いい加減ホムンクルス側とか、シンとか、他のキャラ達を絡ませたいが中々展開が思い付かなくて……。
ホムンクルスは下手すると出落ちだし、シン勢は確実に絡むとしてもどこで登場させるか……、あとブラッドレイ没で大混乱してるホムンクルスに加担してた政府の人間達も……。
どーしよー……。大変な二次創作をやってしまったと今更ながら頭を抱えてしまう…。