仮題名『死霊魔術師と、錬金術師』   作:蜜柑ブタ

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また全然話は進んでないです。

今回はホムンクルスサイドです。

過去にソウゲンとなにかあった設定です。


お父様のキャラが色々とおかしいし、ホムンクルス達が主要登場なのに活躍もほぼ無し。
一方的にやられてます。

いや、こうはならんやろ?
っというツッコミが入れられそうなやられ方です。




それでもOKって方だけどうぞ。




いいですね?




SS19  死霊魔術師からの嫌がらせ?

 

 

 クサナカとエドワード達はソウゲンの最高傑作である最凶最悪のデーモンの器であるデビルゴーレムのことであれこれ揉めてる頃。

 

 セントラルシティの地下では……。

 

 

『死霊魔術師どもめぇぇぇぇ!!』

「お父様ーーー気を静めてください!!」

「あの死霊魔術が錬金術に似ているのでしたら錬金術封じは可能なのでは?」

『それができたらとっくの昔にやっている!!』

「ひいぃ!? 余計なこと言ってごめんなさい!!」

 ウロボロスの印を持つ自身から切り分けた分身と言える僕達を怒気で黙らせたお父様と呼ばれている男は、フーフーと荒い呼吸をして肩で息をしていたがやがて額を手で押さえて乱暴に奇妙な装置が取り付けられている椅子に腰掛けた。

 椅子に深く座り呼吸を整えてから混乱していた頭の中を整えることにした。

『死霊魔術師の力の供給源が違う。だから命を奪う以外に力を封じることは不可能だ。』

 そう言葉を紡ぎながら椅子の傍に置いていた古い日記のような書物を手に取り、ページを開いた。

 そこには長い年月掛けて記してきた錬金術に関わる数式や理論が描かれており素人どころか並の錬金術師では読み解けないほどの高度な内容となっていた。

 その内容はお父様が長い歳月をかけて解析しようと奮闘し続けていることを物語る涙ぐましい一面であったが、いまだに求める答えには行き着いていない。

『やはりあの魔女の子孫の肉体を直接……。せめて体の一部…、もしくは血でも…。』

「お父様…。」

 お父様はジメッたオーラを放ちながらブツブツと呟き日記のような書物を握りしめていてその様に妖艶な女がハンカチを手に自分の目元を拭いていた。

 先ほど怒鳴られて竦んでいた子供が自身の胸を手で摩りながら落ち着きを取り戻し、それから彼も考え込む。お父様の力になりたい一心だったのだ。

 その時、彼らがいる空間に設置されていた電話のひとつが着信音を鳴らした。

 その電話先については子供が対応するよう命じられているため受話器を子供が取った。

「なに? つまらない用なら…。」

『お願いします! 助け…! ひぃいい!? ぎゃああああああああ…ぁ………。』

 受話器の向こうから聞こえたのは通話相手の悲痛な悲鳴と、途切れた声、そして……。

『ぉぉああ、ぁあぁぁぁぁぁああああああどごにぃぃぃいいいいぃぃるうぅぅぅ?』

「!?」

 電話を掛けてきた最初の人間とは違う不気味な声が受話器から聞こえてきて思わず耳から受話器を離すと。

『みぃぃいいいいいぃぃぃいづぅうげぇだぁぁぁぁぁぁぁぁ。』

「なっ!?」

 受話器のスピーカー部分から薄い白色のようなモヤが溢れ出てあっという間に中空で人間のミイラの上半身のような姿へと変わった。

 お化け屋敷の布オバケのように両手を垂らしたスタイルで顔が骸骨のようにやつれているのにニヤ~っと相手を馬鹿にする笑顔に歪められていて、このオバケのような存在を構成する素材が柔らかいことが分かる。

 出てきたオバケに何かが高速でぶつかり、水風船が破れたような音がしてオバケが中空でバラバラに砕けた。

『ああ、腹立たしい!! あの魔女の孫!!』

 伸ばした右手から何かを錬成して射出したことを物語っているお父様がイライラした調子で顔を歪める。

 砕けたオバケ…もとい低級デーモンの砕けた物が中空でフワフワ漂っていたが、紫電が弾けて砕けた低級デーモンの一部が膨張しあっという間に新たな低級デーモンが生まれた。砕けて散らばった数の分だけ増えることになり馬鹿にする嫌な笑顔のミイラオバケが増殖したのだ。

「お父様、下がって!」

 子供から自由自在に動く影が溢れ出てこの空間に漂う低級デーモン達に絡まり捕えていく。捕えただけで簡単に崩れるほど脆い低級デーモン達は再度砕ける。するとまた紫電が発生して砕けて増えた数だけ増殖する。

「ちょっと、増えるなよ!」

「攻撃は逆効果ね。」

 そうして倍々に増えた低級デーモン達だったが攻撃をしてこず、ニヤニヤ顔で漂っていたがお父様達が動きを止めると違う行動を始めた。

 半数が横に綺麗に並ぶのだが、まるで段々のステージに立つ歌唱団のように段を作る。半数は周囲に移動し、片腕、あるいは両腕を楽器の形に変形させた。楽器は弦楽器、管楽器、打楽器と様々で楽器を構えていつでも使える体勢になる。楽器の色と質感は腕を変形させたデーモンと同じだ。

 そして1匹が指揮棒らしき形を片手から伸ばし配置についた仲間に合図するように腕を動かした。

『まさか…!?』

 それを見たお父様が目を見開いた。

 

 そして始まるのは低級デーモン達による演奏と大合唱。

 しかも半端じゃない大音量。

 更に幼い子供向けお歌のオーケストラアレンジ、お父様達、ホムンクルスをおちょくる替え歌バージョン。

 

『あああああああああああああ!! あの魔女のまごおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!! またやりやがったなーーーー!! いらないパワーアップまでしてーーーーー!!』

 ホムンクルスでさえ耳を塞ぐほどの大音量の中でお父様が全身の血管浮かせて叫ぶ。

 お父様が言う魔女こと先々代死霊魔術師の孫でクサナカより前の先代の死霊魔術師だったソウゲンに過去にやられたことをいらないパワーアップさせて再びやられたという事実に怒る。

 その昔にやられた時は楽器の種類や音楽の文化が現代ほど発達していなかったからひたすらうるさいばかりだったが、楽器の種類が多彩になり、歌の音域が豊富になり、おちょくる語録も豊富になり、しかもどこから仕入れたのか分からないホムンクルス達の個々の内でしか黒歴史まで織り交ぜられて無駄にパワーアップしているのだ。

 あの頃のソウゲンはまだ小さい子供だったはず……、っと若干昔を懐かしんでしまったお父様。

「ど、どうすれば…、お父様…!」

『……。』

 両耳を手で押さえてお父様がどうす対応するのか見る二人のホムクルスだったが……。

 お父様は即席であったが強固な耳栓を錬成するとそれを自分の耳に突っ込み、そのまま地面にあぐらをかいて座り込んだ。

 大仏のように座り込んで時が経つのを待つ姿勢を取ったことで二人は悟った。

 

 このカオスな状況はただただ時間経過を待つしか対処方法がないということを。

 

 大合唱、大演奏を様々な曲と歌詞で続ける低級デーモン達だが最初は1匹だった。それが攻撃を加えたら簡単に増殖し、あっという間にこんなことに。

 過去と同じ流れでこういう感じになったのだが、その時にただひたすら待つことでしか解決できないと理解したのだ。おそらく過去の時は対処方法が分からなかったから止めるために無駄に攻撃を加えて更に増殖されて更に事態を悪化させたのだろう。

 悟ったホムンクルス達2人は顔を見合わせ、耳を塞いだまま自分達もその場に座り時が経つのを待った。

 

 そうして低級デーモン達による大合唱と大演奏と、ホムンクルス達をおちょくる替え歌などによってもたらされる死霊魔術師からの嫌がらせが終わるのをひたすら待った。

 低級デーモンは非常に脆い。そのため空気に触れただけでも構成する霊体が削れて消滅が早いのが特徴だ。

 しかしその場ですぐに製作できて自由に形と力を調整しやすい面がある。攻撃目的ではなく、楽器や歌などを命令として与えてそれらが使えるようにして合唱団とオーケストラのような編成を組ませるということも簡単だった。

 ただし低級デーモンの稼働時間は環境とエネルギー量で変動するため、雨風が入らない室内だと消滅まで時間が多少稼げたりするので、ホムンクルス達のところへ送り込まれてきた低級デーモン達が消滅したのは60時間ぐらいしてからだった。

 過去にお父様がやられた低級デーモンによる嫌がらせは、25時間で終わった。なのでパワーアップの内容には稼働時間の延長も含まれていた可能性があるとゲッソリしたお父様がブツブツ呟いていたとか?

 ちなみにこの場から逃げなかったのは逃げても低級デーモン達がどこまでも追いかけてきてしまうからだ。奴らに壁などの障害物は無意味だ。そのおかげで逃げた先によってはそこにいた人間や動物なども巻き込んで被害が無駄に広がったから。

 

 

 余談だが低級デーモンによるこの嫌がらせの前日談として、ソウゲンが空っぽのデビルゴーレムに嫌がらせ音楽団低級デーモンを入れてからホムンクルス達のところへ行かせようと企んでいて、それをクサナカが却下していた。(用意するのが面倒くさいから)

 もしも嫌がらせ音楽団低級デーモン入りデビルゴーレムを差し向けられていたら……?

 低級デーモンは空気に触れるだけで削れて維持時間が短くなるほど脆い。そのためそれを防げる丈夫な器に入れれば…?

 デビルゴーレムのことをまだ知らないホムンクルス達は知らないところで命拾いしたということなのだ。

 

 

 そして今回の嫌がらせ音楽団低級デーモンをホムンクルス達にぶつけたクサナカとソウゲンだが、それには理由がある。

 まあいわゆる妨害工作だったのだが音楽団低級デーモンが消えるまでの約60時間の間に済ませてしまおうとしたのだ。

 

 

 

 




低級デーモンの設定としては、漫画『ベルセルク』に登場する悪霊みたいな感じです。
攻撃すると水をかいたような感触。

その場ですぐ作れる。空気に触れても簡単に消滅が進むぐらい脆い。

騒音目的で調整された今回の低級デーモンはソウゲンが過去に製作したものを更にパワーアップさせたもの。
攻撃力は皆無だがうるささと追尾性だけならホムンクルスも諦めて耐えるしかないぐらいの代物。

もし空っぽのデビルゴーレムのボディにinされてたら消滅させるには壊すのしかなくなり、しかも壊すのが恐ろしく困難な代物になっていました。
けどクサナカが用意するのを拒否したため実行されず。



次回はアメストリスの上層部の連中をちょいと懲らしめるか、不死の軍団の処分について絡むか検討中。
その時にデビルゴーレムの1体を復活させる予定。
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