でも相変わらずあまりストーリーは進んでない。
前回騒音妨害を受けたホムンクルス達は未登場。
騒音妨害ができる約60時間ほどの間に何をやっていたかの一場面です。
原作で登場した胸糞悪い軍団起動前の研究所らしき場所で……?のオリ展開です。
DMC1に登場した悪魔が登場してます。
それでもOKって方だけどうぞ。
いいですね?
ホムンクルス達がソウゲン直伝のクサナカ作の騒音音楽団低級デーモンに手を焼いている頃、この低級デーモンのエネルギーが切れて消滅するまでの60時間の間のことだ。
「ドライアイスですか?」
「できるだけ大量に。」
「マジでやるの…?」
エドワードはげんなり顔で呟いた。
別の研究所にある設備を使いたいとクサナカが頼んだ。その頼み事の理由とは先ほどの台詞だ。
ドライアイスが欲しいという。それも大量に。
『昔は雪の山脈や流れ着く海氷を使ったりしたわい。』
ソウゲンが昔を懐かしむようにそう言う。
つまり極寒の冬の時期か気温の低い土地を利用して件のデビルゴーレムを作成したということだ。
「本気でやるのですか?」
『もちろんじゃ。下準備は氷以外はできておるしのう。
ロイが何度目かの確認をしたがソウゲンは止める気が無いようだ。クサナカも渋々ではあるが準備を進めていたので止める気はないようだ。
説明を聞く限りでは事実であれば国を軽く滅ぼせる強力過ぎる兵器で、他のデーモンを宿してもかなりの力を発揮する器だというのだから製作を止めるべきなのだが……、死霊魔術に興味引かれて仕方がない探求者である錬金術師達。
正直、ものすごくデビルゴーレムのことが気になる。気になってしょうがない。
クサナカが即席で作るデーモンもものすごい興味関心を向けてしまうほどのとんでも現象とブツなのだが、探究心から来る欲求に底はない。新たな要素が出れば出るほど知りたくいと思って行動せざる終えない。
「科学者の悲しき性だな…。」
「…だね。」
「これはもはや人間の欲望という原罪だ…。」
国家錬金術師二人と、国家錬金術師の弟の錬金術師は揃って重いため息を吐いた。自分達の罪深さに十代中頃と以下の子供と三十路近い大人が。
「…液体窒素……、液体金属…。」
研究所内に補完されている研究用の液体窒素と液体金属の存在を知ったクサナカが何か考えるように自身の顎を指で触る。
「おーい、クサナカさん? なにかやべーこと考えてねーか?」
「……。」
「黙るって事はYESと取るぞ!? なに企んでるかしょーーーじきに言ってくんない!?」
「まだ思いつきの段階であって、実現する場合の構想はまだできてない。」
「クサナカくん、ここに来たのは氷が欲しいからであって、それ以外は許可はされていないからな?」
「分かった。」
目的は氷かドライアイスなどの冷たい物質であることを強調するロイ。さすがにこれ以上問題を起こされたくないと思ったのだろう。
ドライアイスは氷より低温だが、それ以上の低温なのが液体窒素だ。空気中の物質である窒素を液体化させる温度はマイナス196度。最低温度がマイナス273度ぐらいなのでその冷たさの桁外れさが分かるだろう。しかもドライアイスは二酸化炭素、液体窒素も窒素であって換気の出来ていない密室で使用すれば最悪生物を窒息死させてしまう危険な物質だ。おいそれと使用する許可が下りない。
「しかし、なぜドライアイスなのですか?」
『氷は量がいるからのう。ドライアイスなら少し量を減らせるからじゃ。』
「ということは、冷たい物質であるほど良いんですか?」
『まあ昔は冷凍庫もなかったから雪山と冬の季節しか手段がなかったからの。』
「ドライアイスならこの量を用意できます。普通の氷だとすぐにご用意できませんでした。」
「やっぱりか。」
「どうやって知ったんだよ?」
「ん?」
エドワードがなぜこの研究所に普通の氷よりドライアイスが多くあることをクサナカが知っていることを疑問に思って聞くと研究所の屋根の鉄筋から滑り落ちるように低級デーモンがスライムのようにベチャリとクサナカの肩に落ちてきて、クサナカの肩の上でエドワードの方を見てケタケタと笑った。
いつのまに…っと言葉を失ってしまうエドワード達。どうやらそこいら中に偵察、情報収集役のデーモンを放っていたらしい。
「もしかして、隠し事できない…?」
アルフォンスが怯えた声をつい漏らしていた。
今更だが確かに恐ろしい。そもそも死霊魔術師が死者と会話が可能であることや降霊術も可能であるため死霊魔術師に暗殺などによる口封じなどの情報隠蔽すら無駄になるということだ。国家や軍関、研究によって編み出される様々な技術の機密である錬金術師にとってそんな秘密見放題知り放題な存在は脅威以外に他ならない。
なんで今更そのことに気づいて今まで気にしていなかったのか分からない。彼の心臓にあると思われる賢者の石となんの原理不明のデーモンを作る技術が規格外すぎてそっちにばかり目が行っていたから?
「頭いてぇ…。」
「まったくだ…。」
「頭痛くないけどひたすら落ち込んじゃう…。」
頭を使うことを生業にしているはずなのに気がつかなかったことに落ち込むエドワード達。
『ほっほー、すごいのを考えたのう! さすがわしの孫!』
「そんな手間はかけてない。」
「はっ?」
エドワード達が目を離した隙にクサナカがすでに行動していた。
クサナカの近くで腰を抜かした研究所職員。床に転がったドライアイスが入っていたはずの箱。
クサナカの前には冷気によるモヤをまとう二本足で立つ何か。クサナカより頭一つ小さい。
二本足だが人間ではない。ほっそりとした両腕、両足。猫背。頭部はトカゲのように細長く尖っていて長い爪も爬虫類を彷彿とさせる。鉤爪のように並んだ両手の大きな爪があり一本一本の爪の大きさはナタのように大きく無骨。ポニーテールのように後頭部から伸びる長い尾のようなものが見られる。全身が霜で覆われており、全身から冷気が放出させているところからすると体が何でできているのかは察することができる。
先ほどクサナカがなにか企んでいる素振りを見せていたことからエドワードが声を上げた。
「やっちまったのかよ!? さっきの今で!?」
「ドライアイスだとこれが限界か…。液体窒素と液体金属なら思い付いた通りに…。」
『強度と冷たさが足りんか?』
「うん…。」
「シャレにならんもん作ろうとしてねーか!? それどういうデーモンなんだよ!?」
「『フロスト』。」
「フロスト…、霜…、結氷…、極寒の冷気そのもので構成されたデーモンか。」
デーモンの名称を聞いたロイがそう分析した。
フロストというデーモンは、白っぽい体をギチギチとゆっくりと動かすが表面の霜がポロポロと床に落ちた。
動きにくそうで、なおかつ脆そうな印象がある。攻撃的な両手の爪が脅威に感じられないほどに。
そしてその印象は当たっていたらしく一歩足を踏み出した瞬間に踏み出した方の足が太ももの根元が割れてしまいそのまま倒れてしまった。倒れて床に衝突した箇所からヒビが入り、残りの部位まで割れてしまった。全部粉々にはなっていないが身動きするのはもう無理そうだ。
もう無理だと判断したクサナカが右手を近づけ、指先でフロストの額部位当たりをつつくと紫電の光が弾けてフロストを構成するエネルギーが飛散したようだ。
思いつきで作成したデーモンであるフロストの試運転は課題を残した。それは後回しにしてドライアイスを保管している特殊な冷凍庫に案内してもらい、厳重な空調設備の実験場に必要なドライアイスを運んで貰った。
二酸化炭素による窒息を防ぐための酸素ボンベとマスクを貸してもらうなど入念な準備を整えてドライアイスを大量に箱から解放して小山のようにする。それらの作業は簡単な土のゴーレムにやらせた。
万が一の事故に備えて念のために配置された研究所職員達が興味津々な様子でずんぐりむっくりな体型のゴレーム達がドライアイスの山を作っている様子を見守っている。
エドワード達も作業を見守っていたが、再び頭痛を感じていた。
どこから見ても錬金術特有の錬成反応の光が目視できるのに錬成に必要なはずの手順を全く必要としないクサナカが扱う死霊魔術に頭が理解しようとして受け入れたくないという拒絶反応が起きているのだ。
小山のように積み上げられた大量のドライアイスに棒を突き刺し何かの模様を彫っていくようにグリグリと表面を浅く掘る。
模様の数カ所に規則的な深めの穴を空けるなどしてその作業を終えると、黄金の髑髏をどこからか取り出す。
そして髑髏の上に手を乗せてカスタネットみたいに上下の歯を鳴らそうとした、その時クサナカが動きを止めた。
なにかを確認するために見回るようにキョロキョロと首を回す。しかし気になるような物体も音もない。空調のファンの音が耳につくがそれはここへ入ったときから聞こえていた。
『どうした?』
「……分かった。」
『クサナカ?』
「クサナカさん?」
ソウゲンが怪訝そうに聞くとソウゲンの言葉を無視してクサナカが実験場から足早に出て行くため驚いたエドワード達が職員に声を掛けてからその後を追った。
しかし実験場の出入り口から出たところでクサナカの姿を見失った。
「はあ!? 一本道でどこに消えたんだよ!? またボッシュートか!?」
「あっ、兄さん、大佐、あれ!」
「むっ?」
別の研究所であった落とし穴から下水道に落とされたことがまた起こったのかと思われたが、アルフォンスが通路の先に待ち構えている低級デーモンを見つけて指差した。
エドワード達がこちらに気づいたのを確認した低級デーモンは宙に浮いたままコッチコッチと手招きして道案内するように先へと飛んでいった。
ついていくとそこには壁が一部壊れていた。壊れ方が壁の内側から破壊されたような壊れ方で破片が通路の床に散らばっていた。
「これって…地下ハシゴ…。この下って?」
緊急用のハシゴと思われる簡単で無骨な造りで、普段は使用されない部分だと分かる。
「こんな場所にハシゴなんて…、マニュアルにはありません。」
「あの落とし穴と同じか。」
研究所職員が知らない、知らされていない仕組みがここにもあったようだ。
ハシゴの下から先ほどの低級デーモンがニュッと顔を出し、コッチだと下を指差してハシゴの下へと消えた。
「これ、僕通れる?」
「全然無理。」
アルフォンスの大きさでは通れない程度の狭さであった。万人向けではなく、限られた細身の技術者が出入りするための場所かも知れない。
するとギコギコと何かを切り落とすときのギザ刃による音みたいなものが聞こえてきた。
「えっ?」
音がする方を見ると……。
冷気を放つゴツいナタのような爪が通路の床から突き出ていて床を切っていた。
すごい速さで。
「なっ…、おまっ…!? なにやって!?」
「待って待って! このままじゃ…!」
エドワード達を囲うように円形に切っていく冷気の刃が固い素材の床を切っていくのを止めようと動こうとしたが。
「あっ。」
っという間に切り口が揃った瞬間に下へと抜ける床。
「マジでなに考えてんだよーーーーーー!!」
「同感だ。」
一緒にいたから一緒に落ちることになったロイも叫ぶエドワードに同意した。
地下数階分ぐらい下に落ちるがなにか柔らかい物がクッションになりダメージは少なかった。
「んだーーーー!! なにがやりたいんだよマジで…っ。」
体を起こして文句を言おうとしたが言葉が消えた。
エドワードが最初の見たのは……。
「これ…は…?」
アルフォンスも言葉を失う。
それは吊るされた白い人形のような物体。
発育の良い大人の男性ぐらいの体格をしており、同じ見た目をしている。
それが足から吊るされたように様々なコードを繋がれた状態で逆さまになっており、その近くには謎の液体で満たされた大きなガラスケースが幾つも並んでいた。
機械に繋がったそれらはボコボコと泡立つ音がしており、機械の駆動音に混ざって薄暗さも相まって不気味さをより際立たせている。
奥へ目を向けると、そこにクサナカが背中を向けて立っていた。
「クサナカさん!」
声を掛けるがクサナカは聞こえていないように反応がない。
クサナカはゆっくりと周りを見回すように首を動かし、長い呼吸をした。
「…………もっと早く呼んでくれれば…、はあ…、苦しくてうまく声が出せなかった…、そういうことなら仕方ない。いや、早く気づけなかったコチラが悪いから悲しむ必要は無い。」
見えない誰かと会話している様子だった。
「オイ! そこにいるのは誰だ!!」
「なっ…。」
そこに現れた新たな登場人物にロイが驚いた。
「待て! 部外者がどこから入って来た!? それに触るな!」
アメストリスの軍服と勲章を身につけている男がクサナカに向かって叫んで近づいてくる。
クサナカはそれすら聞こえていないようにガラスケースを見回し、そして目を閉じ、どこから出したか分からない黄金の髑髏を手にして上下の刃を鳴らした。
その瞬間に弾ける紫電の光は謎の空間を強く照らし、走り抜け、ガラスケースを砕いた。
ガラスケースの中に満たされた液体の中にあった真紅の石のような物が飛び出し、そこからとんでもない数のデーモンと思われる半透明の人間の顔が放出されその時に発生する空気の動きが衝撃波のように爆発してガラスケースどころか機械類ごと破壊しながらクサナカやエドワード達と軍将校をも巻き込んだ。
悲鳴や絶叫を飲み込む破壊の中で視界の端に見えたクサナカの姿は青と白銀の光に包まれたように見えこの世ならざる物に思える姿をしていた。
なんで今まで気づかなかったんだ?って疑問が出るでしょうが、あの状況的にホーエンハイムのように説得とかもなにもないから声をあげることがうまくできず声が届くのに時間がかかってしまったという流れにしました。
助けてくれる存在に気づいた、助けを求めている死者の声を聞いた、だからクサナカは急行して被害を考えずに石の破壊からの成仏させるた。
冷気のデーモンとしてフロストを登場させました。
アイツ個人的に結構好きで。
倒すのも楽しかったので……。
火に極端に弱いけど魔兵としては完成度高いと鼻高々だとかって攻略本にあったような。
次回で起動前に軍団の計画を阻止されたこととかの説明とか、デビルゴーレムの1体目を登場させようと思います。