仮題名『死霊魔術師と、錬金術師』   作:蜜柑ブタ

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やっと執筆できました。
かなり苦戦しました。


前回、不死の軍団があった場所を起動前にクサナカが賢者の石を全て成仏させる形で破壊し、その破壊のあとの続きです。


アームストロング姉こと、オリヴィエが登場します。
あとハガレン内筋肉キャラ、豪腕も登場します。


それと前回からその存在の話題と、実際に起動させることを視野に入れて行動していたデビルゴーレムが起動します。


原作とキャラが違っています。 
ネタのために改変しています。





それでもOKって方だけどうぞ。





いいですね?






SS21  死霊魔術師の爪痕と氷の女王

 

 

 セントラルシティに再びの地震。

 それと轟音。

 またか。今度はなんだ!?っと住民や軍人達は先に起こった下水逆流騒ぎもまだ片付いていない中でうんざりしたように混乱しつつも何が起こったのかと詳しい情報を求めたり、安全を確保しようと動く。悪いことが重なると逆に冷静になってしまうようだ。

 アメストリス軍の本部の近くが地盤沈下し、本部の一部の壁と床もひび割れて建物の一部が下に向けて傾いてしまった。

 本部のすぐ傍の地面が下から爆発するように吹っ飛び、下からは土煙と共に蒸気とも煙ともつかない物が吹き出し内部のものを地上へと押し上げた。

 砕けて破損した機械類、大小様々な大きさに割れたガラス片、水道管やガス管、薬品瓶…………、それらに包まれるようにして地上へ放り出された生きた人間が数名。

 空いてしまった穴に向けて多くの人間が集まり、放り出された人間達がすぐに保護された。

 

 

「……で? 遺言は以上か?」

 

「いや…遺言ではなく…、私どもが見たままのことを…。」

「嘘は言ってないから…。」

「ここまでの大損害を引き起こして今更嘘か?」

「嘘じゃないですーー!」

 ロイとエドワードとアルフォンスが声を揃えて慌てて叫んだ。

 正座させられているロイとエドワードとアルフォンスの前にはサーベルを握った金髪の美しい女軍人が仁王立ち。オリヴィエ・ミラ・アームストロング少将。まさに女傑という言葉が体現された人物だ。

 穴から放り出された人間達とはエドワード達のことだ。あと将校と本部に配属されている階級のある軍人が数名。エドワードとアルフォンスとロイ以外は病院に運ばれた。大怪我はしていなくて命に別状はないらしいが目を回していて意識がハッキリしていないらしい。

「それで? 此度のセントラルでの騒ぎを何度も起こしている元凶はどうした?」

「それは…、おそらくまだ…。」

 ロイが答えようとしていると別の方向から兵士達が声を上げた。

 その声のあとにその場の気温が一気に下がった。まるで冬が到来したか北の国の領土に入った時の寒さだ。

 空気が急激に冷やされたことで温かかった空気が白くなったため空気の流れが嫌でも分かり、何かが冷気と共にやってくる。

 オリヴィエと彼女の傍にいた兵士達が素早く武器を手にするが、現れた存在はまったく気にもとめていない様子だ。

 青みのある見るからに冷たそうな肌と白い髪、妖艶な美しい体を漆黒のボンテージのような独特な黒い衣装を纏った女だった。

 その顔立ちは恐ろしくなるほど美しく整っており、肉体の美しさにマッチしていてこの世のものとは思えないほどだ。

 高いヒール靴で歩を進めるたびに足下の草と地面に霜が覆う。突然の気温の低下の原因が彼女であることは明白だ。この世のものとは思えないほどの美しい姿と、凄まじい冷気を放出していることからエドワードとアルフォンスとロイはすぐに彼女が何者であるかを察した。

「クイーンオブアイス…!」

『………あら? 私を知っているの?』

 女性特有の高音だが高すぎない威圧感がたっぷりの声が青白い唇から発せられ、切れ長の金色の眼がエドワード達の方へ向けられた。

 クサナカとソウゲンから聞いていた国を滅ぼすほどの超強力なデーモンだとは聞いていたが、これほど美しい造形であることとヤバいというのを肌で感じ生物としての本能が危険信号をあげているのを感じてしまう。

『まぁ…、そんなことはどうでもいいわ。貴方達、死霊魔術師を知らない?』

「…クサナカ殿のことかな?」

 ロイがクサナカの名前を出すと、わざとらしく指で自身の唇を撫でながら小首を傾げるクイーンオブアイス。

『そんな名前だったかしら? ……私を起動させたなら死霊魔術師でしょうけど。どこにいるの?』

「あ…。」

 言いにくそうにするエドワード達にクイーンオブアイスは機嫌を悪くしたように片方の眉をつり上げた。

 すると左方向に顔を向けて右手を前に出し、人差し指をクイッとあげた。

 その瞬間にクイーンオブアイスが顔を向けている方向の本部の横の地面から凄まじい勢いで氷塊が突き出てきた。

 噴火や水道管破裂したようなすごい勢いで。

 地面とコンクリ、レンガ諸々を砕きながら突き出てきた尖った氷塊にそこにいた兵士達が逃げ惑う。下から突き出てきた勢いでめくれ上がる足下に巻き込まれて吹っ飛ばされてしまう者達もいた。

 樹木のように枝分かれしながら生えてくる氷塊の途中に人間が引っかかっていた。

「クサナカさん!」

 枝分かれした氷塊の一部に首の後ろの服が引っかかる形でぐったりしているクサナカだった。

 ポタポタと赤い液体が下へと滴り落ちており、それがクサナカの服から滴っていると分かるとエドワードが急いで両手を合せて地面を錬成し足場を作ってクサナカを救出しに行った。アルフォンスがエドワードが助け出したクサナカを下で受け止めてすぐに怪我の具合を調べた。

 背中と腰の右側に深い裂けた傷があり、そこから出血していた。

「クサナカさん! クサナカさん! 目ぇ開けてくれよ!」

「………空気が…冷たい…。あぁ…、クイーンか…。」

 薄目を開けたクサナカがぼんやりした様子で冷たい空気を感じてどこか他人事のように呟いていた。

『ちょっと、死霊魔術師。』

 クイーンオブアイスがツカツカとエドワード達の方へ歩いてくる。

 美しい顔に不機嫌の感情を浮かべていて、人間じゃないのだが確実に怒らしたらマズいと察せられて彼女を見た人間は思わず道を開けるし、青ざめて後ずさりしている。

 地面に横向きで横たえられたクサナカの顔を見下ろせる距離まで来たクイーンオブアイスは立ち止まり、目を細める。

 クサナカが眠そうにクイーンオブアイスの方に顔を向けた。

『なんで死にそうになっているの?』

「地下の崩落で。」

 上体を起こして血塗れの背中を見せるクサナカ。

 べっちょりと血で濡れていて出血は止まっていない。それなのにクサナカは痛がる素振りさえ見せない。見ている方は痛そうだと思ってしまって顔が自然と歪んでしまう。

『あらあら…。ざまぁないわね。』

「言い方…!」

「落ち着け、鋼の。」

 嘲笑してくるクイーンオブアイスの態度にエドワードが怒りを感じたがロイが手で伸ばして制す。

 話に聞いているデビルゴーレムが大国を滅ぼすのも簡単なほどの兵器であるのが事実なら、ここでクイーンオブアイスの機嫌を損ねるのは危険すぎる。ロイはそれを危惧した。

「おい。」

『?』

「ちょっ…!」

 しかしそれどころではない。ここはアメストリスの中心地。国の本部。ロイひとりでどうにかできる状況ではない。

 オリヴィエがサーベルの刃を後ろからクイーンオブアイスの首の横に当てるように置いた。

 絶体絶命! アメストリスが!(知ってるのはこの場にいる一部の人間だけ)

『…死霊魔術師? コマンドは?』

 オリヴィエや他の軍人達からの武器と敵意をまったく気にせず、クイーンオブアイスが面倒くさそうにクサナカにコマンド(命令)を求めた。

「彼らに危害を加えるな。敵じゃない。」

『そう。』

 クサナカの淡々とした言葉を聞き、クイーンオブアイスはつまらなさそうに返事をした。

 クサナカとクイーンオブアイスの様子を見ていたオリヴィエは、サーベルを鞘に戻し、他の者達にも武器を下げるよう指示した。周囲の者は武器を下ろすことに抵抗感を持っていたが上官の命令であるため渋々従った。

「メディックを連れて参りました!」

 後ろから割り込む形で大柄で筋肉質な軍人が現れた。その後ろに救護兵が追いかけてきて立ち止まりオリヴィエに敬礼した。

「豪腕か。」

「アームストロング少佐、ただいま到着しました!」

 ビシッと敬礼をする大柄で筋肉質な男はオリヴィエと同じ家の者。更に言ってしまえば血の繋がった姉弟だ。

 連れてこられた救護兵はクサナカの応急処置のためにすぐに駆け寄り、救急箱をあけて処置を開始した。

「遅い!」

「ハッ! 申し訳ありませ…、ウゴッ!?」

 鋭い目つきを更にキツく鋭くしたオリヴィエの拳が弟のアレックス・ルイ・アームストロングを襲う。体格差と性別による違いなどまったく意味を成さない圧倒的な力で大柄筋肉男が一撃で地面に沈んだ。

「さっさとこの惨状をマシになるよう直せ! 大総統閣下の国葬までに間に合わせるぞ! 鋼の小僧! お前も立て!」

「えっ!? 俺も!?」

「貴様はどこから手厚い加護を受けていると思っている!? その頭に詰っているのはおが屑か!? ナッツサイズか!?」

「さ…、サーイエッサー!」

 オリヴィエの迫力と怒声に思わず敬礼して背筋を正すエドワード。

「マスタング!」

「はい!」

「貴様は今すぐ東方に帰れ!」

「ゆ…有給中で…。」

「だから?」

「はい…すぐ帰還します…。」

 オリヴィエにギロリッと睨まれてブルッと震えたロイはそう返答することしか出来なかった。

 クサナカは一連の流れを兵士達に囲まれた状態で隙間から見ていた。

 ロイを他の部下に任せたオリヴィエは体の向きを変えてズカズカとクサナカがいる方へ向かってきた。

「貴様が件の死霊魔術師…か。」

「はい。」

 応急処置を受けて上半身に包帯を巻かれたクサナカがオリヴィエを見上げる。

「あの氷を片付けろ。早急に。」

「分かりました。クイーン。頼む。」

『……。』

 クサナカがクイーンオブアイスに目配せすると、クイーンオブアイスはすごく嫌そうな顔をしたが、コマンドに逆らえないため嫌々だが氷塊を塵にするように細かい氷の粒にして消した。

『相変わらずご機嫌斜めじゃのう? アイス。』

『!』

『わし、もう死んでおるよ。』

 クサナカの背後に現れたソウゲンの声を聞いた瞬間に容赦なく回し蹴りをソウゲンに浴びせようとしたクイーンオブアイスだったが、ソウゲンはすでに死亡しており、今ここにいるのは実体のないデーモンだ。クサナカの頭上をかすめるだけで実体のないソウゲンをすり抜けて終わる。

『残念じゃったのう?』

 ケラケラと笑うソウゲンにクイーンオブアイスが拳を握りしめてブルブルと怒りを露わにしていた。

「……爺さん…、大切に扱ってて欲しかった。」

『いやそう言われてものう…。完成してすぐ処分しろって婆ちゃんが…。」

「国を滅ぼすのもラクショーなトンデモ兵器を粘土細工感覚でポンポン3体も製造してたら、親族じゃなくてもブチギレ案件だと思う。」

『え~~?』

『………せめて実体のあるデーモンになりなさい!』

『それはできん相談じゃ。』

 全然罪悪感も欠片もない様子のソウゲンに、クイーンオブアイスがピリピリした様子で今すぐ殴らせろとばかりに白い髪を逆立てていた。

「クイーン…。せっかく起きたんだ。渡したかったものがある。」

『なにかしら? つまらないものはいらないわよ。』

 不機嫌な口調でクイーンオブアイスがクサナカにそう言葉を返すと、クサナカは黄金の髑髏を手にして、デーモンを作った。

 周囲の冷気をかき集める形でそこに現れたのは、フロストだった。

 研究所で最初に製作した試作と違い、霜による真っ白な部位と氷の透明さを持つ完璧な形だった。

 フロストはクイーンオブアイスの方へ近寄り、恭しく跪いた。

「…どう?」

『……フーーン? なかなかいいじゃない。』

 お気に召して貰えたようだ。

『創造主(ソウゲン)よりいいセンスしているわね。』

「気に入って貰えたなら良かった。」

 機嫌を良くしたクイーンオブアイスにフロストの設計図をコマンドとして刻むために黄金の髑髏を使用しながらクサナカが淡々とそう言った。

 

 

 その時、少し離れていたところから悲鳴が聞こえた。

 そちらに目を向けると、兵士達が白い人型の怪物に追いかけていた。

 ゾンビのように今に倒れそうなフラフラとした不安定な足取りで鈍いスピードだが追いかけてきている。

 額にある一つ目、奇妙な線の模様があるだけのガリガリに痩せた人間の形をしているが、白くて生殖器は見当たらない。

 クサナカは彼らを知っている。地下の天井に吊るされていた、あの……。

 彼らは攻撃するでもなくただ追いかけてきている。彼らに敵意といった感情は感じ取れない。追いかけてきているのは動いている生者に無垢な者が反射的に反応しているだけだろう。

 クサナカは目を細めて、包帯が巻かれた自分の肩を撫でるように触れた。

 魂が入っていない空っぽの死体を素材に作られたソレはあるものを浴びたことで意図しない覚醒をして勝手に動き出していた。

 

 彼らを動かす動力となっているのは、クサナカの体から流れ出た血液だった。

 

 




オリヴィエというキャラが掴めておらず、こういう感じになってしまいました。
ブラッドレイが死んだせいでクソ忙しくてストレス溜まってます。


クイーンオブアイスのキャラクターも原作とは違うものにしました。
このネタではこういう感じで行こうかと思います。
基本は冷酷な女王様だがデビルゴーレムの中で一番感情表現が豊かという感じで。
でも基本的には人間らしい善悪などの精神性は持ち合わせていないという。
クリエイター(創造主)である死霊魔術師には 逆らえず、コマンド(命令)には絶対従う兵器とし面が強い。

前回クサナカが製作した氷のデーモン『フロスト』は、クイーンオブアイスへのプレゼントもかねていたということにしました。
これ以降、クイーンオブアイスは自由自在にフロストを生成させて操れるようになります。


次回は、クサナカの血で動き出してしまった人形兵をどうするかという話にしたいな。
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