仮題名『死霊魔術師と、錬金術師』   作:蜜柑ブタ

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ひっさしぶりの更新。


なかなか書けず……。やっと書けてもこんなザマ。



暴食の人造人間退場。です。


SS7  死霊魔術師は、暴食に怒られる

 

 

 クサナカが、なにが起こったのか分からぬまま、自分を狙ってきたとも知らず葬ってしまった相手は消えてしまってなにも分からない。

 荒れ地を走るため、タイヤのゴツい軍用車が舗装されていない道を走る。

 国家錬金術師を二人も守りながら走るため、護衛の車も多い。

 クサナカは、表情こそほとんど変えてないが、軍用車の窓から見える景色を珍しそうに見ていた。

「君は…、死霊の町から出たことがなかったそうだな?」

 ロイが何気なく聞いた。

「…爺さんが死霊の町に連れて来たのは、俺が物心ついた頃だったな。ハッキリとは覚えてないが、いつも徒歩で当てもなく歩いてたような気がする。」

「君の一族は、流浪の民だったのかね?」

「根無し草だった…、らしい。」

 唯一の肉親であった祖父亡き後では、伝承も何もない、彼ら、本物の死霊魔術師についての詳細は分からない。

「君以外に、死霊魔術師は?」

「いない。」

「そうか…。」

 会話が続かない。

 クサナカ自身、そんな喋る方でもないし、祖父が亡くなってから人と関わることも少なかっただろうからだろう。

「ところで、鋼の。錬金術研究機関で、彼の検査をするそうだな? なにか手がかりでも掴んだのかい?」

「黙秘。」

 ロイに話を振られたが、エドワードは、すげなくそう答えた。

「アルフォンス君。」

「あの…、僕も黙秘を。」

「俺の、心臓の検査。」

「クサナカさーん!」

 さらっと目的を話してしまったクサナカに、エドワードとアルフォンスは、ギョッとした。

「なんだ、そんなことか。別に隠すこともなかろうに。私がそんなに信用ならなかったかい?」

「……余計な混乱を招くような真似はしたかなかったんだよ。」

「むっ…? それは、つまり…。」

「それ以上の追求は厳禁だぜ。」

「まあ、確かに、その存在が彼の中にあるのだとしたら、それは大変なことになるね。」

 その直後だった。

 突然、車が急ブレーキ。

「なんだ?」

「すみません。前方の護衛が…。ああっ!?」

「なんだ!?」

 前の方を走っていた護衛車が軽々と吹っ飛んでいった。

 

 

「エンヴィーを殺したのは、どいつだーーー!?」

 

 

 幼さを感じさせる声色の絶叫が聞こえた。

 左右を護衛していた車から飛び出した軍人達だが、前方に現れたスキンヘッドの巨漢に殴り飛ばされていった。その際に発砲もしていたが、当たっても意に介した様子が無かった。

「えんう゛ぃー…?」

「いかん! 何者かは分からんが、ただ事じゃない!」

「まずい! こっち来る!」

「速い! 車から飛び出せ!」

 車に乗車していた全員が横へ飛び出した直後に、巨漢が車を全身の力をすべて使って潰した。

「鋼の!」

「分かってる!」

 エドワードが両手で輪を作り、そして地面に手をついた。

 地面が陥没し、そこに巨漢が転がり落ちる。

「殺しはせんが…。」

 ロイが、錬金の印がついた手袋を嵌め、パチンッと指を鳴らした。

 その瞬間、凄まじい爆炎が巨漢を包み込み燃やした。

「まあ、これで数ヶ月は…。…?」

「危ない。」

「うぉ!?」

 ロイをクサナカが突き飛ばした直後、穴から巨漢が飛び出し、人肉が焼ける独特の悪臭と煙を吐き出しながらロイとクサナカの間の地面に着地した。

「馬鹿な…!?」

「なんだ、コイツ!?」

 焔の錬金術師という二つ名を持つロイの炎を食らってなお動けるその巨漢に、エドワード達は驚愕した。

 だが……。

「おま…え…、死霊ま……、っ!? グギィ!?」

 クサナカと目が合った瞬間、巨漢が後ろへ倒れ込み大きくもがきだした。

 そして胸が破裂するように裂け、肋骨が露出し、大量の霊魂と思われるグレー色に顔のようなモノが浮かび上がった物が吐き出され、巨漢は断末魔の叫び声のような声を上げながら、ブスブスと燃え尽きるように崩れていき、やがて煙だけを残して肉片も残らず消滅した。

 もうもうと上がる煙に、その場面を見ていた者達全員が唖然とした。

「まただ……。大量のデーモンが…。」

「また…?」

「そういえば、あそこの町の外でも…、同じことが? 今の…なんだよ? クサナカさん、なにしたんだ?」

「…なにも……。俺は…、“見た”だけだ。」

「明らかに異常だな…。“人間”だったのか?」

「えっ?」

「死に方があり得ない。普通の生き物の死に方じゃないということだ。まさか、君に見られるとそんな死に方を? いや…、それはあり得ないか。それだと我々はとうに死んでいるはずだ。」

「けど…人間じゃないとしたら、なんだよ?」

「まさか…、人造人間?」

「んな馬鹿な…。」

 アルフォンスの言葉に、エドワードがそう言うが、本人も引っかかっていた。

「鋼の……。もしかしたら、かもしれんが…、君達の目的の物は近いかも知れないぞ?」

 ロイは、そう言い、立ち上がりながら土を払い、クサナカを見つめた。

 

 

 

 

 

 

「……だから言ったのに…、馬鹿な子ね…グラトニー…。」

 荒れ地のずっと離れた丘の上から身を隠すように伏せている妖艶な女がひとり…、悲しげにそう呟いていたのだった。

 

 




グラトニー、退場。
偽りの真理の扉を持つとはいえ死霊魔術師には、無意味……。
色欲が止めてたけど、止められず……。エンヴィーの仇を討とうとして逆にやられた。


次、いつ更新できるかな……。
たぶん、研究所行きは、延期になるかも。

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