戦姫絶唱シンフォギアBLACK   作:土紋

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第二十話 合流のちに決戦

 

 

 

 

 

 

 

 

山の中の公道を一台のバイクが疾走する。ロードセクターと呼ばれるバイクに2人の人物が乗っていた。黒山陽介と雪音クリス。ロードセクターの主である陽介が運転しクリスは陽介の後ろに乗り、目的地、フィーネがいるとおもわれる拠点へ向かっていた。

 

少しとばすからしっかり掴まってね。と念を押され少し大袈裟じゃないかと思うクリスだったが、その考えはあっさり吹き飛んだ。

 

恐らく法定速度ギリギリの速度で走るバイクの風圧に驚き陽介にしがみつく。しばらくして、このバイクのスピードに慣れてきた頃に自分がどういう状態なのかを理解した。

 

自分は今、陽介に抱きついている。

 

今さらとも思うかもしれないが、雪音クリスはまだまだ思春期真っ盛りの女の子。あまり素直になれない女の子だ。

 

多少陽介には信を置いているが、年頃の女の子として男性に身体を密着させる行為には羞恥を覚えた。慌てて身体を離そうするが、ロードセクターから落ちると勘違いした陽介は離れようとするクリスを更に引き寄せた。

 

(ちょおッ!?)

 

自身の身体が彼の身体に更に密着する。むにゅう、とクリスの胸が彼の背中に押しつけられてしまう。顔が熱くなる。こっちの気も知らないで! と、内心憤慨しながら陽介の顔を覗き見るが、等の彼は特に顔色を変える様子もなく運転に集中していた。

 

なんだかカチンときた。

 

自分で言うのも何だが、自分の身体は結構女らしく成長していると思う。身長は平均よりチョッビッと低いかもしれないが、その、胸はデカイと思う。昔、テレビか何かで女の胸は武器になるとかなんとか言っていたような気がする。なのにその反応は何だ? と思ってしまった。

 

そういえばと、あの喫茶店の店長が言っていたことを思い出す。

 

『あの子ら以外にそんな可愛らしい娘さんと知り合いだったとはのう』

 

あの子らとは誰のことだろうか? 思い当たる節があるとすればガングニールと天羽々斬の装者、それと自分と友達になりたいと言ってくれた小日向未来という女の子くらいだ。

 

なんだろう、不意にあの子達と楽しそうに過ごしている青年の姿を妄想してしまった。自分で勝手に描いた妄想だがその光景を思い描いてなんだが無性に腹がたった。

 

「・・・フンッ!」

 

「とぉ!? どうしたクリス?」

 

「なんでもねぇよ!」

 

「???」

 

腹がたったので、クリスは陽介の腹に手を回し抱き締めた、ぎゅうーと力を込めて。そんなクリスの様子を不思議に思いながらも陽介はロードセクターを目的地に向け走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここか・・・」

 

山の中を数十分走り目的地に辿り着く。目の前に見える豪邸とも屋敷ともとれる建物。パッと頭に浮かんだのはお金持ちの別荘だな、と呑気な感想を抱く。ここに件のフィーネがいる、もしくは何かしらの手がかりがあるのだろう。

 

「なぁクリス、どうしたんだ?」

 

「なんでもねぇよ・・・」

 

この場所についてからクリスの様子がおかしい。ロードセクターで移動中、途中からかなり強めに抱きついてきた。少しとばしすぎたかなぁと思うが移動中クリスはおとなしかった。

 

しかしこの場所についてからはすぐロードセクターから降り、うずくまって何やら、あ゛~あ゛~、と唸っている。これは・・・、

 

「あ、酔ったかクリス!? すまん、やっぱりとばしすぎたな」

 

「ちげぇよ! この鈍感バカッ!」

 

「あれ?」

 

全力の否定が返ってきた。銀髪を逆立てシャーッ!と唸る様は全力で威嚇する猫のようだ。陽介本人は何故怒鳴られたかわからず、クリスは己の行いを思いだし悶絶していた。

 

(なにをやってんだあたしは・・・ッ!?)

 

身体をくっ付けることに恥ずかしさがあった筈なのに、謎の嫉妬心が沸き上がり羞恥心を何処かに投げ捨て陽介に身体を密接させた。自身の体温と彼の体温を感じ、ポカポカしてあったけぇなぁ~と温もりを堪能、そして気がつけばフィーネの拠点に到着していた。

 

なにをしてるんだと思う。クリスが行ったのは身体を密着させて互いの(一方的に)温もりを堪能した。ただそれだけだった。帰ってきた羞恥心によって自分はなんだか恥ずかしい思いをしたというのに彼、陽介は特に変わった様子がなかった。それがなんだかむかついた。

 

自分と彼の関係は少し奇妙だと思う。友人というには少し遠く、家族というには少し近いそんな曖昧な距離感を持つが大切な人であるのはかわりないが、

 

(・・・って、今はそんなこと考えてる場合かよ)

 

頭を振り自分の頬をパチンと軽くはたく。ここにきた目的を忘れてはいけない。

 

「よし、行くぞ!」

 

「・・・待った」

 

「ッ!? なんだよ!」

 

勢いよくフィーネの屋敷に乗り込もうとしたクリスだが陽介はそれを止めた。勢いを削がれ思わず怒鳴るが陽介の顔を見れば険しい表情で屋敷を睨みつけていた。そして陽介はこう言った。

 

「・・・血の匂いがする」

 

改造人間として強化された嗅覚がそれが確かなものだと陽介に実感させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

罠を警戒し、陽介とクリスは慎重に屋敷に踏みいる。フィーネは完全聖遺物ソロモンの杖を所持していることからノイズによる奇襲を頭に入れておかなければならない。また、フィーネが怪人をけしかけてきた以上怪人の襲撃にも注意が必要だ。

 

(おかしい・・・)

 

慎重に屋敷の奥へ進んでいくが、人がいる気配はなく、ノイズや怪人による襲撃の気配も感じない。あるのは屋敷の奥から漂う血の匂いだけだ。しかし油断は禁物。周囲を警戒しながら屋敷の奥へと進んでいった。

 

しばらく進むと大広間のような場所にでる。部屋には檻やら拷問器具などがあり異様な雰囲気を漂わせていた。だが、異様なのは雰囲気だけではなかった。

 

部屋のあちこちに血を流し横たわる人がいた。1人ではない、同じ格好をした人間が数人倒れている。

 

「おい! 何が・・・くっ・・・」

 

銃などを装備しておりどう見てもカタギの者ではないが今は置いておく。近くに倒れてる人に駆け寄るが触った瞬間に冷たさが伝わった。遠目から見ても明らかな出血多量、もう死んでいることがわかった。

 

「何が、どうなってやがる」

 

クリスも困惑している。フィーネと決着をつけるべく乗り込んだかつてのアジトには見知らぬ人間の屍が散乱しているのだ。状況が掴めなかった。

 

「ッ!? クリス、危ない!」

 

「え?」

 

衝撃、その後に一瞬、ぶわっ! と風が吹き荒れた。何が起こったかクリスが状況を確認しようとすれば、見知らぬ黒服の男がかかと落としをしているような態勢でいて、それを腕を交差させて受け止めている陽介の姿が見えた。

 

「どういうつもりだ、蛇川」

 

「おやおや、音信不通で行方不明になっていた黒川さんじゃありませんか。あなたこそ何故こんなところに?」

 

「通信機が壊されて連絡できなかったんだよ。それより、クリスに何しようとした?」

 

「んふふ、彼女は要保護対象ですからね~。しかし、彼女はイチイバルの適合者でもあります。ギアを纏われると面倒なんで、少々手荒ですがちょっと気絶してもらおうと思っただけですけど~?」

 

「テメェ」

 

「冗談ですよ、冗談」

 

「随分と笑えない冗談だ、な!」

 

突然現れた黒服の男、陽介に蛇川と呼ばれた男が薄気味悪く笑う。陽介は受け止めた蛇川の足をはね除ける。一触即発な空気になり、感じの悪い奴だとクリスは警戒する。

 

「蛇川、 独断専行が過ぎるぞ!」

 

「あは、すいません司令。ちょっと足が滑りました。では、調査に戻りますね~」

 

大声をあげ、数人の黒服を着た人間達を引き連れ大男が現れる。その声を聞き蛇川は離れた。筋骨隆々の赤い髪をした男にクリスは更に警戒心を上げる。その男がズンズンと近寄ってきた。

 

「陽介・・・」

 

「ゲンさん・・・えっと・・・」

 

陽介と二課司令、風鳴弦十郎の間に重い空気が流れた。先に口を開いたのは陽介だった。

 

「すいません! 通信機が壊れちゃって連絡が出来ませんでした。けど、クリスのことをほうってはおけなくて・・・」

 

「ふむ」

 

頭を下げ弦十郎に謝罪する陽介。そんな陽介とクリスを交互に見つめ弦十郎はやれやれと困った様子になりながらも口を開いた。

 

「とりあえずお前や彼女が無事でよかった。だが、何があった? 説明してくれるか?」

 

「はい。ええと───」

 

陽介はこれまでの経緯を弦十郎に語った。

 

「なるほど、事情は概ね把握した。それでお前達もここに来たのか。だが、一度本部に戻るなり別の手段で連絡をとったりすることは考えなかったのか?」

 

「あ・・・すいません・・・」

 

「まぁ、お前とクリス君が無事だったのは良かったが、次からは気をつけてくれ」

 

「はい。・・・それで、この状況はいったい・・・」

 

「・・・全ては、クリス君や俺達の傍に居た彼女の仕業だ」

 

「それって例の内通者ですか?」

 

「ああ、そしてそれは恐らく───」

 

「お~い、風鳴司令。これ見てくださいよ~」

 

蛇川の間延びした声に注目が集まる。蛇川の元へ集まるとそこにある死体に『I Love You SAYONARA』と書かれた紙が貼られていた。

 

「どういうことだ?」

 

「誰に向けてのメッセージだ?」

 

「筆跡でも調べますか~?」

 

「待てッ! 蛇川ッ!」

 

「はい?」

 

弦十郎の制止の声を出すが間に合わず、蛇川は貼られている紙を取る。すると、陽介達がいる部屋が爆発した。

 

陽介は咄嗟にクリスを抱き寄せ伏せる。部屋が崩壊する程の爆発、その衝撃と崩壊してくる瓦礫に備えるが、一向に何もこない。不思議に思い顔を上げると弦十郎が拳を突き上げている姿があった。

 

「無事だな、陽介」

 

「ええと、はい」

 

いや、無事ではあるが。

 

確かにこの部屋で爆発が起きた。にも関わらず弦十郎の姿を見れば彼の服装は汚れ1つなく綺麗だった。

 

「爆発の衝撃は発勁でかき消した」

 

えぇ~、と心の中で弦十郎の超人的な身体能力に舌を巻いた。拳を突き上げている姿から落ちてきた瓦礫を殴り砕いたのだろう。普通なら無理だが、それができてしまうのが風鳴弦十郎という漢なのだ。

 

「皆、無事か」

 

弦十郎のその言葉に彼が連れてきた黒服の男達も姿を見せる。彼等も黒服が多少汚れている程度で大きな怪我を負っている者はいなかった。

 

「っと、クリス、大丈夫か?」

 

自分の下に引き寄せたクリスの様子を確認する。そんな彼女はこれでもかと目を見開き、口をパクパクとさせ、リンゴのように顔が真っ赤に染まっており、

 

「ちょちょちょちょちょちょっせいッ!?」

 

「かふ」

 

綺麗な掌低が陽介の顎を捉えた。陽介の下にいたクリスはそこから抜け出し少し距離を置く。ぜぇ、はぁ、と肩で荒く息をしながら真っ赤になった顔を押さえた。

 

(どうしちまったんだあたしは!? 何でこんなに顔がアツい!? 何でこんなにドキドキしてんだッ!?)

 

アツくなる顔、早鐘を打つ心臓、それが何を意味するのか雪音クリスという少女はまだ分かっていなかった。

 

あいててて、と顎を擦る陽介、呼吸を整えるクリス、そんな2人を風鳴弦十郎はどこか微笑ましく見つめていた。

 

「司令」

 

「む、どうした」

 

「蛇川さんが見当たりません」

 

黒服の1人が弦十郎に告げる。崩壊した屋敷の中で蛇川の姿だけが見当たらなかった。この場にいる全員が周りを見渡すが見つからない。瓦礫の下敷きになってしまったのかと心配する。

 

グニッ、とクリスは何かを踏んだ。下を見る。人を踏んでいた。

 

「すいませ~ん、足、どけてもらえませんかね~」

 

「うわああああッ!?」

 

驚きの声をあげながらその場から飛び退く。クリスに踏まれていた人物、蛇川悟はガラガラと自分の上に乗っかっていた瓦礫を退かし、ふぅ~やれやれ~と服の汚れをはたき落としながら立ち上がった。

 

「お、おいあんた、大丈夫なのかよ?」

 

「いえいえお気になさらずに、私もそれなり修羅場は潜ってきてるので大丈夫ですよ」

 

「そ、そうか」

 

「いや~それにしても、少し油断しちゃいましたね。しかし拠点を破棄するとはあちらさんも後がないんですかね?」

 

「・・・全員無事だな。一旦外に出るぞ」

 

弦十郎の言葉に従い陽介達は屋敷から出るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっぱり、あたしはまだ・・・」

 

「そっか・・・あの、ゲンさん」

 

「まだ、一緒には来られないか? なら陽介、しばらくクリス君と一緒にいてやれ」

 

「いいんですか?」

 

「彼女はお前と知古なんだろう? ならお前と一緒にいた方がいいだろう。あと・・・、ホレ」

 

「おっと、あ、通信機」

 

「お前とクリス君の分だ。後で響君や翼に連絡をとってやれ、随分心配していたからな」

 

「はい。ありがとうごさいます。ほら、クリス」

 

「お、おう。・・・・・・カ・ディンギル」

 

「む?」

 

「カ・ディンギル! フィーネが言ってたんだ。それがなんなのかわかんねぇけど、もう完成している、みたいことを・・・」

 

「カ・ディンギル、か・・・。ありがとうクリス君。教えてくれて」

 

「別に、あたしは・・・」

 

「後手に回るのは終いだな。此方から打って出てやる。陽介、何かあれば連絡する。クリス君を頼むぞ」

 

「分かりました、ゲンさん」

 

弦十郎達は車に乗り込みその場から去っていった。陽介とクリスだけがその場に残った。

 

「さて、どうするクリス? 一度ストーンに戻るか?」

 

「・・・いいけどよ、良かったのか? その、二課に戻んなくて」

 

「大丈夫だよ。クリスを1人にしておけないしね」

 

「あたしは子供じゃねぇぞ!」

 

「だったら一緒に、二課についてきてくれてもよかったんだけどな~」

 

「うぐ・・・いいから、行くぞ!」

 

「はは、わかったよ」

 

2人はロードセクターに乗り、再びストーンに戻ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おやおや、おかえりと笑顔で迎えてくれた喫茶店ストーンの店長、おやっさんに礼をしつつ陽介とクリスは店の奥の席に腰掛ける。クリスは出されたお茶を飲みフゥ、と一息つく。

 

陽介は通信機を起動し連絡をとった。相手は、

 

『ヨウさんのおバカッ!』

 

「oh ・・・」

 

通信の相手、立花響の元気な声が聞こえてきた。怒鳴り声が聞こえクリスはお茶を飲みながら一瞬ビクッ、と震えるが再びお茶を飲み始めた。

 

「ごめんね、響ちゃん連絡が遅れて」

 

『まったくですよ! みんな心配してたんですからね!』

 

もぅ! と通信機越しでも分かるくらい身体全部を使って、私怒ってますよ~と怒りを表現している響の姿が想像される。

 

『それで、今どこにいるんですか?』

 

「今はストーンでちょっと休憩してるよ」

 

『ストーンですね! わかりました。学院が終わったら行きますからそこを動かないで下さいよ!』

 

「うん、わかったよ」

 

『あ、それと、クリスちゃんはどうなりました? クリスちゃんを追いかけていったって話でしたけど』

 

「あぁ、クリスなら今一緒にいるよ」

 

『一緒!? ていうか、え、呼び捨て!? 2人はどどどどういう関係なんですか!? ああ、待ってくださいクリスちゃんが一緒にいるならクリスちゃんに変わってもらえませんか直接聞きたいので!』

 

「まぁまぁ落ち着いて、慌てなくてもストーンに来れば聞けるから」

 

「私は今聞きたいんです! え? あ、ちょ、未来ゥー!?

 

響の声が遠くなったと思えば、別の声が聞こえてきた。

 

『こんにちは、陽介さん』

 

「こんにちは、未来ちゃん」

 

どうやら小日向未来が通話を変わったようだ。遠くから、未来ぅ返してよぅ、と響の声が聞こえてくる。

 

『響は私が落ち着かせておきますから、ストーンでまた会いましょうね。・・・あ、それと、おかえりなさい陽介さん』

 

「・・・うん、ただいま」

 

『フフッ。じゃあまた後で』

 

えぇ!? 待って未来、きら───

 

響の声が途中で途切れ通信が切れた。

 

───ただいま、か・・・。いつぶりだろうそんな言葉を言うのは、

 

今度は翼に連絡をとろうとした。するとジトーとした目つきでクリスがこちらをみているのに気付く。どうかした? と聞いても、別にとはぐらかされた。通信機が鳴る。モニターに表示される発信者の名前は風鳴弦十郎だった。

 

「はい、陽介です」

 

『よし繋がったな。陽介、クリス君は一緒にいるな?』

 

「はい、いますよ。・・・何か動きが?」

 

『ああ、東京スカイタワー付近に大型のノイズが発生した。数は4、飛行型だ。お前達にも現場に向かってもらいたい』

 

「わかりました、すぐに行きます! クリス!」

 

「チッ、しゃあねぇな」

 

『響君や翼も現場に向かっている、頼んだぞ』

 

口では悪態をついているがクリスは席を立つ、準備はできているようだ。すぐにストーンから出て2人はロードセクターに跨がる。向かうは東京スカイタワー、そこに向かってロードセクターを走らせた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「見えてきた」

 

「へっ、デカブツがふよふよしてやがる」

 

ロードセクターを走らせること数分、スカイタワーとノイズが視認できた。急ぐべくロードセクターのスピードを上げようとした時、道路が爆ぜた。

 

「くっ」

 

「うわッ!?」

 

ロードセクターを急停止、進行方向の道路が煙で覆われた。陽介の目には見えていた。黒い竜巻、渦巻くエネルギーが道路を爆発させたのを、そしてそんなことをしてくる相手が近くにいると、煙の向こうから人影が近づいてくる。右手に剣を左手に盾を持ち、魚の鱗のような鎧を着た人、怪人を、

 

「来やがったか」

 

怪人ビルゲニア。煙が晴れ、その姿が目に入る。ビルゲニアは怪しい笑みを浮かべて陽介を見つめるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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