戦姫絶唱シンフォギアBLACK   作:土紋

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第五話 乱剣?

 

 

 

 

「おんや~、そこにいるのは翼さんじゃないですか~」

 

「・・・蛇川さん」

 

「確か今日は、例の子に事情を説明する予定ではなかったですか?」

 

二課本部の廊下で翼は黒服の細目の男。蛇川悟(へびかわさとる)に出くわす。

この男は二課所属のエージェントで翼を公私に共にサポートする緒川慎次の同僚である。

翼の彼に対する情報はそんなところである。

 

「ふむふむ」

 

何やら値踏みされているような視線に翼は思わず嫌悪感を抱く。同じ組織に属する者だがこの男からは妙な警戒心を抱かせていた。

 

「いや~、随分と錆びれていますね~」

 

「・・・何ですって?」

 

「おっと、これは失礼。仕事柄つい本音が」

 

「私が、防人の剣が錆びてると、あなたは仰るか」

 

「まぁまぁ、そうカッカぜずに。まぁそんな調子では」

 

「ッ!」

 

「錆びてると思われても仕方がないですよ?」

 

目の前にいたはずの男にいつの間にか背後をとられる。聞き捨てならない言動に怒りが籠ったのは事実だか、それでも、目を離す隙はなかったはずだ。なのに、背後をとられた。たまらず距離をとる。蛇川はニタニタと笑っていた。

 

「いや~、それにしても浮かない顔ですね。彼女が我々に協力してくれれば、ノイズに対する戦力が増えるのに何かご不満でも?」

 

「彼女は巻き込まれただけです。戦士でもない彼女が戦場に出る必要など」

 

「お優しいことで。ですが、それが本音ではないでしょう?」

 

「何をッ!?」

 

「素直になったらいかがです? ・・・そんな調子では、また、失くしてしまうかもしれませんよ?」

 

「ッ! あなたは!」

 

いやに気分を逆撫でしてくる男に反論しようとしたが男の姿はすでになかった。優秀なエージェントだということは話には聞いていたが、あの性格はたちがわるいと翼は感じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜の道路に灰が舞う。ノイズを殲滅し終え、本部に帰還しようとすれば、先程本部で戦うと宣った少女、立花響がこちらに笑顔で手を伸ばしてくる。

そして、その後ろから彼が、仮面ライダーBLACKこと黒山陽介がゆっくり歩いてくる。

 

『また、失くしてしまうかもしれませんよ?』

 

なにを失くすというのか。既にこの身は防人として捧げている。これ以上なにを・・・

 

「翼さん! 私、頑張ります! 奏さんの代わりになれるように! だから」

 

・・・代わりに? 誰が? なんの?

 

この子が奏の代わり?

 

「・・・るな」

 

「え?」

 

私の中で黒いナニかが膨れ上がった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

眼前に迫る巨大な剣を目にし、陽介はすぐさま行動に移した。

 

抱き止めた響を自身の背後に回し迫る剣の下に潜り込む。右腕に力を込めを無理矢理打ち上げる。軌道が上方にずれた剣は陽介達の背後の道路を破壊。轟音と共にコンクリートと砂塵をばらまきその衝撃は2人をふきとばした。

 

「ぐっ!?」

 

「キャアアア!?」

 

直感に任せた行動だったが、幸い響や自身に怪我はない。響は何が起きたか理解出来ず呆然としていた。

 

砂塵が晴れると翼が立っていた。

 

「(何だ? あの黒いもやみたいなものは?)」

 

黒いもやを纏いながら、ゆらゆらとふらつきながらこちらに、正確には響に向かって歩を進める翼。手にしたアームドギアが変形。先程の剣ほどではないにしても、華奢な彼女か持つには充分大きい剣だった。それを振ると、斬撃が地を走った。

 

「響ちゃん!」

 

響を突き飛ばし斬撃から逃す。陽介と響の間を斬撃が通りすぎた。視線を翼に向ければ、彼女はまた飛び上がり空中で複数の剣を精製していた。そして、陽介は彼女の瞳を見た。光のない無機質な瞳だった。

 

声をかける暇もなく翼は精製した剣達を射出する。広範囲を攻撃する技だ。回避は不可。

 

「ならば!」

 

未だ立ち上がれない響の前に立ち、両手にキングストーンエネルギーを集中させる。

 

「うおおおぉぉ!!」

 

降り注ぐ剣を片っ端から弾き飛ばす。手刀で剣を弾いているが、対処仕切れない剣はBLACKの体を切り裂いていく。

 

「ヨウさん!? 翼さん! 止めてください!」

 

響の声が届いている様子はなく翼は次の行動に移った。両手を地面に置き両足を開き、両足の刃が展開する。カポエイラのように回転しだすが、シンフォギアにより向上された運動能力による高速回転は電動ノコギリを彷彿させるような光景だった。

 

「ヨウさん! 危ない!」

 

あんなのに当たったら只ではすまない。響はそう感じとりBLACKに呼び掛ける。

 

BLACKは突撃した。

 

響は思わず息を呑む。最悪の未来が響の脳内を埋め尽くすが

 

「ヅアッ!」

 

BLACKはガシッと翼の足を掴み、回転を止めた。

 

「よし。キングストーンフラッ」

 

一瞬の膠着から翼は、掴まれた足を支点にし掴まれてない足でBLACKの頭部を側面から蹴り抜く。

 

拘束が緩み、BLACKの肩を踏み台に飛び上がる。再びアームドギアを手にし、再度空中から響を狙う。今度は日本刀ほどの大きさのアームドギアを構え両足からブースターを展開。蒼い流星が響を貫いた

 

「あ、ああ」

 

かに見えた。

 

剣は響の目前で止まっていた。剣先から赤い雫が溢れる。

 

「ヨウ、さん」

 

「翼、ちゃん。君の、剣は、誰かを傷つける為のものじゃないだろ!!」

 

腹部を貫かれながらも翼の手を掴む。もう、離さない。

 

「キングストーンフラッシュ!!」

 

BLACKのベルトから放たれる閃光が翼を包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここはどこ?

 

暗い暗い闇の中。右も左も上も下もわからない。

 

だけど、私は今この空間にいるのが心地よく感じる。

 

何処か深いところに堕ちていくような感覚だ。もしかしたらもう戻れないかもしれない。

 

ああ・・・でも・・・

 

このまま、何も考えずに、堕ちるのも、いいかもしれない。

 

「・・・・・!!」

 

何だ?

 

声が聞こえる。光が差し込んでくる・・・。

 

行かなきゃ。あの光の方へ・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ん」

 

「翼ちゃん?」

 

「くろ、やま、さん?」

 

「ああ、よかった。目が覚めたんだね」

 

「え? ・・・私は、なに・・・を・・・」

 

何故こんな近くにこの人の顔があるのだろう? と翼は思う。

 

思考しようとしたら手に感触が走る。少し温かい濡れた感触。そう、これはまるで

 

「え?」

 

そこで翼は視界に入る光景に混乱する。

 

何故、私がこの人を天羽々斬で貫いている。慌てギアを解除。

 

「あ、ああ、・・・ち、ちが」

 

「一か八か、だった、けど、成功した、みたい、だな」

 

何故この人はそんな安心した顔をしているのだ。早く傷を塞がなければ、血が、血が溢れて・・・

 

ふらり、と、陽介は倒れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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