神を見たければ青天にキスをしろ~クソゲープレイヤー、神に挑まんとす~ 作:雨 唐衣
「あー、あー、皆さん見えてますか?」
華やかな女性が華麗なステップと共に空へと手を広げる。
その掌の先から七色の――過去に発売されたライオッドブラッドのイメージカラーの虹が螺旋を描くように煌めき、目で追いながら伸ばした掌の先から投影されたポップな文字が浮かび上がる。
「どうも! 皆さんガトリングドラムのトレード・ショーにようこそ! 本日エキシビジョンマッチのパーソナリティを務めさせてもらう笹原
今絶賛運命力高く売り出し中のアイドル笹原エイトが小気味よく指を鳴らすと、その周囲を踊るように文字群が浮かび上がり、その後ろからは完全投影型モニターにガトリングドラム社のシンボルマークが浮かび上がる。
「いやぁ、まさかあのガトリングドラム社直々のご指定で仕事が入るとは……これ本当にドッキリじゃないですよね?」
『※ガチです Byディレクター』
「ですよねー!! 何がどうして名前が売れたんでしょう?! そして、今日試飲として渡されたライオットブラッド・スマートレディとか飲んでみたんですが、なんか元気沸いてきました! 凄いですね!!! 絶対に三本以上飲んだらいけないってマネージャーから監視されたんですけど、不思議です!」
『※用法容量はお守りください Byガトリングド・ラム』
『ライオットブラッドは合法安全』 『実際安全』 『検査も問題なし』 『実際安全』 『ガトリングド・ラム社はホワイト企業です』 『ライオットブラッドは元気が出る』 『実際スゴイ』 『一日四本迄ダイジョウブ!』 『カラダニキヲツケテネ!』 『エイトチャンカワイイヤッター!』 『聖女ちゃんを崇めよ』 『合法面の力は素晴らしいゾ』 『ギマン!!』『ライオットブラッドを崇めよ』 『エナドリとの絆を信じるのだ』 『ライオットブラッド・元気・ライオットブラッドだ』 『シュバ剣落ちない』 『グググ、夜の力は増している』 『世界は監視されている』 『実際安全である』 『五本以上の摂取は禁じられています』
同時に沸き上がる大量のコメント群。
スタジオ周囲にて見守る観客たちは何故か既に開けていたライオットブラッドをグイッと一口飲んだ。
同時に缶を置いた。
「…………」
スタジオ周囲にて見守る観客たちは何故か既に開けていたライオットブラッドをグイッと一口飲んだ。
同時に缶を置いた。
「…………」
スタジオ周囲にて見守る観客たちは何故か既に開けていたライオットブラッドをグイッと一口飲んだ。
同時に膝を打った。
『※進めてください Byディレクター』
「アッハイ。えーと、このように視聴者さんたちからのコメントもリアルタイムで見れるんですね! スゴイ! 実際スゴイ」
気を取り直すように咳ばらいをし、スタジオを埋め尽くさんとばかりコメント類をエイトは手のムーブで押し流す。
「それでは本日のエキシビジョンマッチにおいて解説を行う方を紹介します、まずはプロゲーミングチーム「
「どうも。今日は……緊張しています」
「GGC以来ですね、絢斗さん。どうかしましたか?」
「いえ……普段なら格ゲーをメインにはしてないと言いたかったり、そもフレンドカップで二位入ったのに何も言われないとか色々いうところなんですが……それら全て置いておきます」
「といいますと?」
「今日は奇跡のような時間が始まる、そう確信しています。自分が出来る限りの解説をさせてもらいます」
「な、なるほど……凄い意気込みですね。では続いては」
「Hei! こちらアメリカ実況担当フジイラです! 今日はよろしくおねがいするぜ!」
「解説のセラちゃんでーす♪」
「おっと先に言われちゃいましたが本日は解説及び実況は豪華ダブルセット! 日本語と英語の同時実況となります、フジイラさん、セラさん、お二人とも日本語お上手ですね?」
「もちろん! 今Eスポーツ業界でHotな日本とならば猛勉強で覚えたぜ!」
「試合が始まったら英語オンリーになりますので、ステイツのみなさんはこっちの実況にセッティングよろしく~♪」
「うぅ、もうこの時点で濃い人たちしかいません。この可愛さだけが取り柄のワタクシで大丈夫なのか……いえ、負けません! アイドル舐めるなー! というわけで解説モニターかもーん!」
エイトチャンーガンバエー、めいたコメントに力づけられながらも彼女が進行を進めていく。
「本日行われるゲームモード及びステージはどちらも本邦初公開! ゲームモード≪ロシアン・ツヴァイ≫ そして、シティモードは「コウトリナ」!」
エイトの後ろに展開されるモニターには巨大なシティ。
一見するとありふれたシティモードの一角にしか見えない。
「……コウトリナ? 聞いたことがない単語だが、一見すると変哲もない街だな」
「はい、ですがこのシティにはとんでもないギミックが隠されているのです!」
「というと?」
「私も知りません!」
配信動画コメント欄に大量に流れるツッコミのコメントに、目を通しながらもあざとくエイトは舌を出してウインクする。
「つまり、始まってからのお楽しみということです!」
「なるほど、ぶっつけ本番って奴ですね!」
「あらあら、波乱の展開が期待出来そう」
「ロシアンツヴァイの解説ですが、これはプレイヤーと共に解説したほうがわかりやすいでしょう。えーそれではどうぞ! 本日のエキシビジョンマッチのために態々来てくださった六名です!」
スタジアムの後ろにARビジョンによって隠されていた扉が開き、現実のギミックである煙とエフェクト映像の両方によって彩られた入場が始まる。
「シルヴィア・ゴールドバーグ。我らが
最初に入場したのは米国最強にして世界ランキング二位、伝説にもっとも近い最強。
その顔に緊張の一つもなく、肉食獣を思わせる笑みを浮かべた少女の体躯をした女性。
「アメリア・サリヴァン。
その相対する入り口から歩み出るのは対等の如く威厳を放つ全米二位。
男にも負けない程の長身でありながらも女性らしさを損なっていない猛禽類の如き美しさ。
「魚臣 慧。流星を落とした
そして、全米一位と二位。
その二人の位置に挟まされた三番目の入場口から現れたのは、日本最強とされるプロゲーマー。
普段のにこやかな微笑みはなく、その瞳は燃えるような熱意を帯びていた。
「そして、
パチンと指を鳴らし、振り向けられた手の先から現れたのは――
つまり俺である。
うーん、なんだろう規模としてはGGCのほうが出かかったはずなのに、感じるプレッシャーが増してやがる。
ていうか目で見える配信動画コメント欄が会場埋め尽くさんばかりの勢いだ。
「俺、参上……というべきか!」
「頭に角生やしてからドーゾ」
一般人なりの誤魔化しボケに対して厳しいオイカッツォ。
おのれそこは相槌を打って会話をもたせるところだろ。
「どーも、ユーガッタのチャンネル8以来ですね。今日は……新調ですか?」
どことなくビビりがちな態度で声をかけてくるエイト嬢。
いやわかる、わかるよ。
目からピカピカして、ライオットブラッドのカラーにカスタマイズされたカボチャ頭だからな!
「そのジャックヘルメット……ついに合法落ちしたか」
「まだしてねえよ!」
「えっ」
する予定もございません、多分きっと!
ただちょっとライオットブラッドにエッチな雰囲気を感じてるぐらいです、大丈夫。
「Oh、ライオットブラッドのミラーですね。私はとても貴方に感心しています」
「ヘイ、
「元気元気、ライオットブラッド・元気・ライオットブラッドなぐらい元気」
「もうだめじゃないかなぁ」
「大丈夫だって、まだお茶漬けの作り方は憶えている」
「お湯をかけて混ぜるだけのことも危ういのか……いやまて、お前その腰につけてるのは」
「リ ボ ル ブ ラ ン タ ン であるがなにか?」
オイカッツォとアメリアが何故か全力で距離を取った。げせない。
他の連中は全然平気そうな顔をしているというのに、ほら観客の連中だってようこそという意味の万歳合唱をしているじゃないか。
いやまてライオットブラッドをまるでアイドル応援のサイリウムのように掲げるのはどういうことなんだろうか。
やはり闘争、否、暗闇の先にある真実。カフェインは暗闇の中を歩く一握りの勇気、人類賛歌とはすなわち未知に挑む決意と決断そしてカフェインだ。
おーいよしよしよし、カワイイなぁ。この缶ころめ、すぐに飲んでやるからなぁ。
「誰か! ノーフェイスがやばい、ちょっとカメラ止めて!」
「おいやばい! 手がいやらしい! 生物に触るような動きで缶撫でてる、ヤバイ!」
【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】
しばしおまちください。
【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】
▲ガトリングド・ラム▲
【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】
ライオットブラッドに世界を変える力はないが、その手助けをすることは出来る
……一歩踏み出せない貴方にこそ、届けたい。
ライオットブラッドシリーズ、好評発売中。
最新シリーズ! 即効イグニッション、リボルブランタン!!
【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】【破城槌】
ハッ!?
「………………今なにがあった?」
「なんか通りすがりの導師が、ナントカしてくれたぞ」
「なんとか?」
「そうとしかいいようがない」
「???」
あと深淵を覗き見る時、深淵もまた覗いてるのだとかとか言われた。
なんだろうか。
いやしかし、妙に頭が落ち着いている。
まるで溺れかけていた水面から顔を出して、ようやく深呼吸が出来たような……
あれ? 俺なんでライオットブラッドなんて撫でまわしてんだ?
「まあいいか。じゃあ試合も、ってあれ? まだ揃ってないのか」
「あ、あの……ノーフェイスさん、大丈夫ですか?」
「? 大丈夫だけど」
「目からビームとか出ません?」
何言ってんだろうこの人。
リアルで目からビームなんか出るわけないだろ。
ゲームでなら当然出るが。
「そ、そうだよね。変な発光を放って、口からスモーク噴き出してたけどただのヘルメットの仕込み仕込み……うんうん」
人生に悩みでもあるんだろうか。
アイドルといっても苦労はしてるんだろうな。
「えーそれでは、おまたせしました! 五人目の選ばれしプレイヤー!
バーンという効果音が聞こえそうなほど派手な動きで向けた先から煙が吹き出し、登場エフェクトが乱舞する。
「……ん?」
「あれ?」
誰も出てこない。
「スタッフさん? これ演出です、聞いてないんですけど……え? 違う? ちょっとー! 放送トラブルは勘弁なんですけど」
ざわつく会場。
やばい。
「おい、カッ……魚臣! なんか聞いてるか?」
「いや俺も聞いてないぞ」
だよなー。
ていうか空ビヨンドらしい奴もまだ来てないし、なにがあった?
「――お呼びかな?」
パッと会場の端にスポットライトが点灯する。
会場に並ぶ観客たちの壁の向こう、そこには片手を上げた青いジャージの上着に短パン、サンバイザー付きの帽子を被った女が……って。
「ヒーローは遅れてくるものさ。
嘘つけ、お前ヴィランだろ。
「スタッフぅう! サプライズとかドッキリはやめてくださいよ、降り込み済みなら……え? 進めてって、あ、はい。もぉー! えー、あ、これで五人のプレイヤーが揃いました! ノーネームさん、待っちゃいましたよ!」
「ははは、ごめんごめん。ちょっと銀河の危機があってね」
「銀河の危機ならしょうがないですねー、おろ? そちらの方は?」
モーゼの如く観客の間をすり抜けてやってきたペンシルゴンの後ろには、大きい眼鏡と赤い大きなマフラーを付けた学生服の女がいた。
誰だ?
「あーえっとね。最後のゲストだよ」
「……最後のゲストっていいますと」
「エントリーネームはそうだね、仮名だけど」
「空ビヨンドで、よろしく」
導師「あの
ブレインアイ「ライオットブラッド飲めば解決するよ」
しぇふ「閃いた! カボチャをライオットブラッドで煮込んでパンプキンケーキにしよう!」
バーテンダー「絶対おいちい!」
ドリンクバー「おーい冷房効き過ぎだろ、さすがに海パン一丁だと寒い」