神を見たければ青天にキスをしろ~クソゲープレイヤー、神に挑まんとす~   作:雨 唐衣

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 みんな~~!
 コウトリナ攻略はじめるよ~~!
 ^q^ まずは準備からねー


【喧噪について】

 

 

 その光景に観客と、イスから解説が立ち上がった。

 

「ダブルダストだとぉ!?」

 

「な、なんですかそれ? 強いんですか?」

 

「いえ、強いか弱いかといえば――わかりません」

 

「ええ?!」

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 若野牛(コルトパイソン)の浅間 絢斗が椅子に座り直す。

 何故立ち上がったかというとノリだ。

 

「未検証?」

 

「ええ、見てください。あの白と黒のダストは、両手に同じ色の銃を装備していますね?」

 

「そうですね、ってあれ? そういえばダストって」

 

 過去に実況した記憶を探るようにエイトが声を洩らす。

 

「ダークヒーロー・ダストの最大の特徴はヴィランでありヒーローであるということ。そしてその手に持つ武器は例外的にヒーローとヴィラン両方に通じる、善と悪の弾丸を放つ銃を持っている。だから」

 

()()()()()()()()()()()()()()()

 

「そうです。だから同じ銃を持っているということはすなわち」

 

 映像の中の二人のダストが、威勢よく飛び上がり、それぞれがティンクルとゼルセルグスへと挑みかかる。

 すなわち「ヒーロー」と「ヴィラン」に。

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

「ふぅははははは! 悪の弾丸はどっちの手かなぁ! 右かなー?! 左かなー!? 正解は両方でした! 死ねや特攻ダメ!」

 

 などとわけのわからんことを叫んで黒いほうのダストが襲ってきた!

 もちろんその手には真っ黒な罪の弾丸が二丁だ! 畜生!!

 

「らめえええ!! 相性負けしてるのに妖精鴨打ちなんてオーストラリアの条約違反だぞぉ!」

 

 全力で遮蔽物に隠れて、羽を使って避ける!

 

「妖精はイギリスだから大丈夫!」

 

 が、畜生! あの野郎、壁を蹴りながら追ってくる、器用な真似を!

 

「おのれスペース条約も結んでない田舎惑星が!!」

 

「地球に従え、宇宙生物!」

 

「魂を重力に縛られた下等生物が!!」

 

 脊髄反射で応答しながら、全力疾走で路地裏から抜ける道筋を探す。

 この狭い道でダブルガンマンスタイルのダストとやりあうのは圧倒的に無茶だ。

 合法パウダーでスタンぶちかますにしても、中距離から悪の弾丸を撃たれれば足が止まる。武装アクションは停止出来ない。

 ――ティンクルピクシーは軽い。

 リーチも短く、背も低い、ティンクル☆ワンドがなければ打撃を打ち込むのすら苦労する。

 だがそれ以上にネックになるのが軽さ、体重差によるノックバック補正だ。

 ボクシングや柔道の階級が重量で分かれているように、格闘ゲームにおいてもこの重量さというのは存在している。

 重い奴からのパンチや蹴りは軽い奴にはよく吹き飛ばせるし、逆はまったく吹き飛ばない。荒れ狂うシャークネードの台風圏域で、ビルのガラス窓を突き破って対戦相手を突き落とした経験は誰にだってあるはずだ。

 人種種族出身惑星世界も多種多様なGH:Cにおいてティンクルピクシーは軽量級、ダストは精々中量級に分類される。

 殴ってもそこまで吹き飛ぶわけじゃないが、重量級と比べれば十二分に通じるから接近さえ出来ればやりやすいほうだ。

 しかしティンクルは小柄な分、特攻入る悪の弾丸を撃ち込まれると怯んで吹き飛びやすい。前にやりあってそれを知っている、ていうか結局ハメ殺したけど初検証した奴があいつだ!

 

「ドーモ、リカースティールさん。本日は妙に逃げるんですね、お礼をしたいんですが!!」

 

 Bang! Bang! Bang!

 銃弾がビルの扉を打つ、車を撃ち抜く、映画のようにエンジンを撃ち抜かれて爆発四散する。

 

「てめええええええ! カッツォクラウン! 卑怯だぞ!? シルヴィアと組みやがったな!」

 

 いつまでも恨みを忘れない心の狭い奴が撃っている弾丸のエフェクトではっきりした。

 あのもう片方、白いダストがもっている悪の弾丸銃と、黒いダストの持っている善の弾丸銃を交換している。

 結果何が出来るか?

 ヒーロー行為で弾丸とゲージを補充出来ない代わりに、悪行行為で幾らでも補充可能なヴィラン・ダストの誕生だ!

 

「おっとその名前はNGだ! 俺は通りすがりのブラックダスト! 趣味は麻薬をまき散らす小生意気な妖精(笑)を蜂の巣にすることだぜ!」

 

「なんだその残虐非道な趣味は!?」

 

「これも正義のため、悪く思え!」

 

 純度100%のヴィランがなんかいってる。

 銃声、銃声、銃弾が飛び込んでくる。

 口喧嘩しながらも細かくステップを踏んで、そこらへんにいるだろうNPC(肉盾)を探すがどいつも逃げ出している。

 町中ならもっと群れてろよ!!

 

(チッ、銃声響かせたのは通行人を散らすためか!)

 

 顔を前に向けたまま、視線だけを周囲に飛ばして状況を確認。

 ダストが居ってくる、三角跳び。ビル壁にある窓や、パイプを足場にして高さを変えながら、銃口を向け続けている。

 真っすぐに追ってこない――残留して残しているパウダーにつっこまないよう警戒してやがる。やりにくい。

 懐にさえ飛び込めれば、妖精神拳(TQC)で巻き込み殺してやるものを!

 

「おい、そこの妖精!! 鉛筆外道はどこだ!? 教えてやれば見逃してやってもいいぜ!」

 

「ハッハッハ!! 生憎だが、知らねえな!」

 

「本当か?!」

 

「俺が庇うと思う???」

 

「お、そうだな」

 

 お互いにマジレスだった。

 っていうこの言い分だとあいつもまだ見つけてねえのか?

 

「ち、使えない奴め」

 

「お前が言うな!」

 

「だがいいのか、ブラックダスト! 俺なんかに撃ち続けて!?」

 

 そこらへんにあった自動販売機の影に飛び込みながら、大声を上げる。

 

「あん?」

 

「ヒーローを倒すことで得られるヴィラニックゲージは多くない、すぐに弾切れになるんじゃないのか?!」

 

 ダストは使いたい弾丸の種別を考えなければ容易に飛び道具の補充が可能な特徴を持っている。

 悪行をすれば悪の弾丸が、善行をすれば善の弾丸が。

 通常のヒーロー・ヴィランが縛られる行動方針に縛られず、幅広い選択肢があり、それが故に使い手によってダストのプレイスタイルがガラっと変わるのだが。

 

カッツォのダスト(ブラックダスト)は両手の銃を交互に撃っていた。つまり片方の銃で連射は避けている、弾を節約している)

 

 豊富な弾数があるのだと思い込ませたいのだ。

 陳腐な手だが、注意深く観察していなかったら気付かなかっただろう。

 その証拠に、牽制のためでも撃ってこない。節約したいのだ。

 

「生憎その心配は――!」

 

 Bang!

 響き渡る銃声と同時に、後ろから轟音が轟いた。

 

 

「いらないぜ!」

 

 

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

「シルヴィアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 振り注ぐ白いダストの弾丸を、ガードで耐えながらそう叫んだ。

 ゲージがガード越しに目に見える幅で削られる。

 重みのあるガードアクション続けながらダッシュ、逃げれば撃たれ続けるだけだ。

 それを後ろもみずに跳ねながら、シルヴィア独特の三角蹴りを駆使しながら跳んで、跳ねて、塀や自動販売機を足場に距離を広げてて、視線を切るように物陰に飛び込んでいく。

 それに対して軽い障害物を掴み、あるいは粉砕し、瓦礫の弾としてぶちまけながら追う。

 

(善なる弾丸! それも両方か)

 

 (ゼノセルグス)は左右の弾丸からのダメージ量が同じものだと確認した。

 二人のダスト。同じ色の拳銃を両手に。わざわざカラー指定した使い分け。

 ――グルだ。

 

(あの二人、組んで掃討をすると決めていた)

 

 何のために?

 ――考えるまでもない。

 

(<空ビヨンド>との闘いを独り占めするつもりだ!!)

 

 エキシビジョンマッチでの賞金だとか、総合勝率だとか、ただ勝つためだけの戦法だとか、そういうことが頭の片隅によぎるが、真っ先に思いついた発想がそれだった。

 間違いなく答えもそれだ。

 そう気づいた瞬間、沸騰したように頭に血が上るのを感じた。

 

「させるか!」

 

 何時になく頭に熱が入っている、それは自覚しつつもやめられない。

 空ビヨンドに味合わされた屈辱もあるし、それはシルヴィアも同じことだろう。

 だがそれでも、今度こそ、尋常に勝負を。油断せずに戦いを。

 

 ――望まないゲーマーがいるものか。

 

(? 追撃してこない)

 

 物陰に飛び込んで、銃撃にて追い込んでくると思っていた白いダストの姿が見えない。

 そこらへんにあったドアの扉をぶち破り、ゼノセルグスの腕力に任せて円を描くように壁を破って姿が見当たらなかった。

 

「ティンキー狙いか?」

 

 シルヴィアらしくない動きだ。

 目の前に獲物がいたらまず撲殺するだろうに、いや、ダストだから射殺か。

 ケイの指示か。ゲーム前にどんなブックを読み合わせたのか。

 ゼノセルグスでは足が遅い。なりふり構わず逃げられたら()()()()()()()()()()()()

 Bang!

 銃声が聞こえて、そちらの方に目を向けて――狙いを理解する。

 白いダストが既にNPCも逃げ出したビルのガラス扉をぶち破って不法侵入していた。

 どこに?

 車がずらっと並んでいる、愛すべき故郷であれば自動車泥棒が横行しそうな店構え。

 ディーラーだ。

 数秒とかけずに乗り込んだオープンカーが飛び出して、先ほどからけたたましい防犯サイレンを鳴り響かせている場所へと飛び出していった。

 

「合流する気か」

 

 移動手段を手に入れるのが狙いだったか。

 だが、私の前でそれをしたのはミスだったな。

 

 そうして、私はジッとその先を……()()()()()()()()

 

 

 

 

 

 

「ギャー人殺しぃ!!」

 

 反射的に叫びながら飛びのいた一瞬前まで自分がいた場所を、白いオープンカーがドリフトしながら駆け抜ける。

 

「Hey! ドライブしない?」

 

「Wow! 素敵だぜ、ハニー!」

 

 ヒラリと黒いコートを閃かせて黒いダストが乗り込む。

 間髪入れずに激しくタイヤをスピンさせながらオープンカーが飛び出していった。

 

「足を手にいれやがったか!」

 

 ゲームでなら幾らでも操縦した経験があるが、シルヴィアもその口か。

 見事なドライビングテクニックで道路をかっ飛ばしていく、このままステージを疾走してマップを調べ尽くしていくつもりだ。

 ――<空ビヨンド>と先に戦うために。

 プロゲーマーのあいつらがあんななりふり構わないやり方で強引に進める。

 異常としかいいようがない、が。

 

「負けたくねえ! こう、意地めいたもので!!」

 

 何か乗り物はないか!

 そこらへんのお兄さん、ちょっとバイク貸してくれない? ああ、こらまてや!! 一目散に逃げるんじゃねえ!! 自転車も! おいこら! なんでやべえ奴を見つかったって顔で逃げやがる!

 おらぁ! 乗り物寄こせ!! スケボーでもいいぞ!!

 

 

『Hey、そこのジャンキー!』

 

「ティン☆キー?」

 

『なんだその鳴き声、気持ちワルイわ』

 

 この愛くるしい声になんて文句を言うんだ。

 野太い機械っぽい声に振り向くと、そこには緑色の大型トラックが喋っていた。

 

『今なら無料でワイルドスピード体験させられるぜ?』

 

「エリア88以外は勘弁な!」

 

 跳躍し、トラックの上へと華麗に舞い乗る。

 間を置かずにトラックが緑色の排気ガスを噴き出して、加速する。

 

 

「合体には合体で、協力プレイには協力だ。見せ付けてやろうぜ、俺たちの絆って奴を!」

 

『ねえよ、んなもん』

 

 

 宇宙ゴリラトラックが、妖精を乗せて走り出した。

 




「あれ? これレースゲーだっけ?」

「GH:Cが実質クライムアクションだったってのはノーネームが証明した」

「奴がカメラに写ってないのがコワイ」

「あ、なんか空ビヨンドが栗きんとんのアイスを食べる幼女に道案内してる」
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