神を見たければ青天にキスをしろ~クソゲープレイヤー、神に挑まんとす~ 作:雨 唐衣
音が弾ける。
「な」
千切れ飛ぶ。
風の塊に押し潰された雲のように。
嵐乱とした一撃に、手足が千切れ飛ぶ。
ポリゴンが血飛沫めいて噴き出す――残虐描写への対策。
「ん」
砕け散るテレビ型クラッキングマシン。
砂塵のように噴き出す高密度水晶、火花に飲まれて、最後の一瞬まで叫びを上げた。
「でぇええええええええええええええええ!!」
――GAME BRAKE――
爆散。
Ms.プレイ・ディスプレイは爆発四散した。
その全ての力を発揮する電気機器開発工場の中でのことだった。
シャングリラ・フロンティア、前日比88%以下。
それが現状のどことなく過疎った光景の理由だった。
「88%っていうと、12%?」
「そ、高々十分の一っていってもシャンフロだと実質数百万以上のユーザーの消失さ」
オイカッツォから連絡が途絶えて一週間。
ペンシルゴンから変装を指示され、性別まで切り替えて訪れた初めに来た覚えのない初めの街。
そこに映る光景は驚くほど過疎化していた。
「ついでに、幕末のほうは37%ほどいなくなったらしい」
「マぁあジでぇええ!!!!!!!!!!???」
「そこのほうが驚くのかぁー。おかげで京極君が獲物を求めて中毒状態だとか」
「もう帰ってこれないな」
「帰ったんだよ、魂の故郷にさ」
「そうだな」
しばし手を合わせて冥福を祈る。
「ライトユーザーはともかく、
「いや結構影響あるだろ」
二十人に一人って統計だろ。
あとどこから仕入れた。
「親切な魔法少女さんが、友達がいなくなったっていってね。ああ、Zooは一人も欠けてないらしいよ。見習いたい結束力だね」
「
いや
「ああ、そうだ。カッツォ君の安否が確認出来たよ」
「お」
「夏目君情報だけどね。なんでもスポンサーからきつく絞られてたらしいよ」
夏目嬢。
こんな外道に縄付けられてるとか人生詰んでるな。
「絞られたってなにしたのさ、五割切りで首も切られそうだとか?」
「試合すっぽかしたんだって」
「は?」
オイカッツが?
「連絡遮断で、一晩中GH:CとPCを往復して引きこもってたらしい。部屋の扉ぶちやぶって、確保したってさ」
「確保っておい」
なにがあったんだ。
ライオットブラッドの合法堕ちでもしたんか。
「それがね」
ペンシルゴンが首を振り――
――「統天」の再来か? 空ビヨンドの真偽に迫る!
――青天はチート? 再現不可能。誰も出来ない。
――インタビュー。GH:C有名プレイヤーたちが検証。システム上出来る方法が発見出来ず。
――公式の欺瞞? 青天コンボの条件不可能、公式は何も言わず。
――GH:C衰退の噂? Justice Versusの再現か……!
ざっと調べるだけでもネット中の掲示板がお祭り騒ぎだった。
普通なら公式が出来ないと断言して、チートだと判明している以上、冷や水でもかけられたように鎮静するもんだが。
「……いやがるもんなぁ」
空ビヨンドについて検索して、出てきた動画。
イヤー、グワー、爆発四散する頭モニタの女子――Ms.プレイ・ディスプレイ。
それが空ビヨンドに瞬殺されていた。
GH:Cのネット対戦に奴は出没していた。
出現は稀だが、ランキング上位のプレイヤーに対戦を申し込み、ぶちのめす辻斬りをしている。
そして、対戦が終わった途端ログインから落ちる。
CPUの介入だの、ハッカーだの嫌がらせだの色々言われているが、未だにそれを止められていない。
管理企業への文句やお祭り騒ぎで炎上しっぱなしだ。
「俺もやりてえな」
とはいえ方法がさっぱりわからん。
「ん、電話か」
しばらく思案していたところに、着信が入った。
「カッツォ?」
オイカッツォからだった。
『サンラク、手を貸してほしい』
ペンドラゴンは首を振り――
「青天さ」
『探してる奴がいるんだ』
――「青天に取り憑かれたらしい」――
『空ビヨンド』
――「空ビヨンドに」――
『俺はあいつにあってみたいんだ』
――「恋でもしたみたいに」――
『戦いたいんだ』
その声は燃え上がるように熱く、熱帯びていた。
聞いたこともない声だった。
統天
プレイヤー「Master Sky」が考案した開幕から相手の体力十割を奪う複合必殺技「統天」のことである。
実に三百五十二ものモーションによって構築され、その規格外の緻密さやジャスティス・バーサスの全てを組み上げエフェクトにまで妥協なく作り上げられた光景は「芸術」とまで讃えられた。
掴み技を起点として自身諸共に敵を空高くへ吹き飛ばす「昇天」
落ちていく最中に実に七十八種類ものモーションをバグを絡めて連結した二十連撃空中殺法「墜天」
上記二つのトリックで稼いだゲージを使って体力を削り切るデフォルト必殺技「荒天」などなど存在する
(シャンフロWikiより)
だが GH:Cにおいてこれらに類似するバグ技は発見されていない