神を見たければ青天にキスをしろ~クソゲープレイヤー、神に挑まんとす~ 作:雨 唐衣
雨が降り注いでいた。
灰色の工場、誰もいない静けさ、雨音だけが純粋に反響する。音の洪水の中の静寂。
単調なリズム。
早い、遅い、早い、早い、早い、遅い、早い、早い、遅い、遅い、早い、早い、早い、遅い、早い、早い、遅い。
遅い、早い、早い、早い、遅い、早い、早い、早い、早い、遅い、早い、早い、早い、遅い、早い、早い、遅い、遅い。
遅い、遅い、早い、遅い、遅い、早い、早い、早い、早い、遅い、早い、早い、早い、遅い、早い、早い、遅い、遅い。
音を見る。
手を揺らす。
指を揺らす。
目を閉じる、静かに音を聞く。
雨の雫を叩く。
指の腹で払う。左右に払う。
雨に濡れながら、足で影を踏む。
暇潰し。
退屈。
其は慣れていたはずの退屈に飽きていた。
だから。
空を見上げて。
「やぁ、お話しできるかい?」
「やっぱり私がいないと駄目だねぇ」
「「ぐぬぬ」」
「一週間近くあれこれやってたみたいだけどなんか成果出ましたか~~?」
「ぐぬぬ」」
というわけでやってきた
お暇なのですね、カリスマアイドルさん。
ちなみに街頭歩いて野郎と性別カツオが戯れていると騒がれる可能性があるのでカラオケボックスに来ていたりする。
「で、一週間ほど時間あったわけだけどそっちこそなんか成果あったのか?」
「わりとね。ていうか君たちこそ何してたのさ、まさか呑気にネット対戦とか、市外のゲームセンターつっこんで探してたりしてたんじゃないだろうね?」
ハハハ、まさかー。
あとちょっと青天の出し方とか一緒になって検証してたり、ランゾウの使い心地とか試してたぐらいだぞ!
「そんなんだからユニーク自発出来ないんだよ」
「まて、サンラクの奴も今回は同じだぞ!」
「そっちは運命力がエラったされてないから」
「お、そうだな」
「あと脳もちょっと」
「お、そうだな」
「天丼やめてくれる??? あとカッツォ、お前俺に頼んでる立場なの忘れんなよ」
「まあ、そこはおいといて、だ。二人とも、ちょっとそこ広げてくれる」
俺とカッツォがカラオケテーブルの上を片付けると、ペンドラゴンがバックから取り出したファイルケースを見せる。
綺麗にA4用紙で印刷された文章と画像こみだ。
無駄にこういうところは几帳面だな。
「これは?」
「この三枚は、ネットで見つけた<空ビヨンド>を探してる協力者募集型サイトの情報と使えそうな情報。
でこっちの一枚は<空ビヨンド>が今日まで倒したプレイヤーのリストと使ってたキャラ。
で、この最後の七枚が一日単位でリストアップした
首をかしげる。
「サイトと、プレイヤーリストは分かるが」
「なんで中間層リスト?」
「まあそこはあとで説明するとして、まずは順番に意図を説明しよう」
ふふんと音が聞こえるように息を吐いて、俺たちに見えるように最初の三枚を置くペンドラゴン。
「当たり前だけど、空ビヨンドを探してるのは私たちだけじゃない。全世界で
「……だろうな」
「ぶっちゃけ、サンラク君とカッツォ君の意見と動画なければ浅はかなチーターだと思ってたんだけどね。わざわざ探そうとする正義漢が多いとは思わなかった」
と肩をすくめる。
「実際あんな反応速度で動ける奴は滅多にいないし」
「
「あんな機械じみた正確無比な精度の動きが出来る奴は見かけたことがねえしな」
人間にあそこまでの反応が可能か不可能かと言われれば、否よりで可能と答える。
サヴァン症候群、一種の発達障害や自閉症患者などが発現する特化し切った才能の持ち主の人種はいる。
それっぽいのは俺の記憶にも数回記憶あるが、どれも複雑怪奇な対戦ゲーで破綻なく走り切れるような奴はいなかった。
どこぞのレイドボスはよくわからん、レイドボスだし。
シルヴィア? あれはただのバグだろ。
「はいはい、考察は中止。話戻すよ」
「「あーい」」
「でね」
「「ズルズルズル」」
「計ったようにジュース飲みだすんじゃない!」
なんだよ、鉛筆劇場を盛り上げようと思ったのに。
なー?
――ファイルで殴られた。
「まあいい、ここ興味ないってのは理解した。で、次、<空ビヨンド>がここまで倒した奴だけど」
「――ランキング上位でかつ、
「そう、割と露骨だけどね。稀に出てくる空ビヨンドは、殆んどの場合GH:Cの上位にランキングした奴、それも一キャラずつ違う奴を使ってるところに参戦してる」
「複数人対戦のバトルロイヤルのところで、一人で全員虐殺もだろ。レアポップ隠しボスかなんかかあいつ」
「おかげでGH:Cの公式スレは大炎上だねえ。在野のも含めればライオットブラッドを注ぎこんだ暴動みたいになってるよ」
「そのうち
「ガドリングドラム化不可避」
「そこに会社を立てよう」
「やめろよ、日本支部もうあるんだから」
「まあ結果、もう隠しキャラも含めたキャラ全滅してるわけなんだけどねぇ。シルバージャケットと、アムドラヴァは三日で刈られたわけだけど」
チラッとわかってる風に見るのはやめてやれ。
「ちくせう」
「まあさすがに野良でぶつかりにはこなかったわ」
意気揚々とオイカッツォはシルバージャケットorアムドラヴァでネットでおらあ! してたが、シルバージャケットとアムドラヴァは他の上位ランカーがぶっとばされたよ。
俺? カースドプリズナーはもう全米二位がやられたからまるできませんでした、まる。
そもサンラクの名前では全然やりこんでなかったしなー。クソゲーが俺を離してくれなかったんだ。
いやマウント取って、攻略にのめり込んでたわ。
「くそ、やはり"K"の名前を使えば!」
「プロゲーマーが同じ名前で出没すんなし」
「そも騙り扱いされるし」
「「あとアルファベット一文字って既に使われてるんじゃね???」」
「」
「さてオイカッツォくんがオイオイ泣き出したところで、最後の解説をしよう。サンラク君」
「おー?」
「君はどんなゲームでも練習もせずに最強プレイヤーになれるかい?」
「出来ねえ」
経験も熟達も関係ねえクイズ系とか推理ゲーの類ならともかく、どんなゲームでも経験とやりこみは強さに比例する。
あとはどれだけ効率化出来るか、自分のポテンシャルを引き出すか、誤魔化すかだ。
あとはそうだな、初見殺しの類は反射神経の問題になる。あるいは理不尽慣れだな。
「その通り。最初から上手い奴はいるけど、最初から最強はどんな奴でもありえない。だから空ビヨンドも最低限腕を落とさないためにGH:Cはやり込んでるはず」
ペンシルゴンが最後に出した七枚のプリントを指で叩く。
「でも、<空ビヨンド>はログイン頻度が低すぎて時間が足りない、だから違うアカウントでやってる。で、特徴的なのがあった」
「これのどれかってことか?」
「そ、完全にランダムっぽいとか、オリジナリティ溢れる名前は外して。適当に元ネタがありそうなのとか、あとはあっぱぱっと付けられる奴をリストアップした、でね」
そこにあったのはマーカーが引いてあるざっと数十以上のプレイヤー名。
「これを君たちには検証してもらいます」
「ゑ?」
いやまて、これ一枚に付きざっと数十以上あるんだが??
「この中に<空ビヨンド>がいる」
「多分ね」
「多分かよ」
ややがっくりするような言葉を聞きながら、俺とオイカッツォはそれぞれ担当するリストを手に取った。
ざっと見る、適当に作ったような名前に、どこかで聞いたような名前。
そんで。
(本当にさくっときめてんな)
ラテン語だろうか、一文字だけのプレイヤーもいる。
「多分ランゾウは使ってないだろうから、それ以外のありえそうなキャラを検討しといてね」
「お、ペンシルも参加するのか?」
「そりゃあね、ああ、それともしも見つけたら私を最初に呼ぶこと。特にサンラク君、君が突撃は禁止ね。確信が出来てもまずさっさと負けろ、カッツォ君も以下同文」
「八百長命令?!」
「セットかよ!」
「君たち、そのまま殴り合っていやあ強かったぜで終わらせない自信ある?」
「「……」」
豚を見るような目だった。
「ところで一週間君たちは何をしてたの? 本当にネットで対戦とかだけしてただったら君たちの株価が小豆相場ぐらい下がるんだけど」
「せめてガドリングドラム社ぐらいにしてくれ」
「アメリカにヒーローが現れるまで下がりそうにないじゃん」
「うーん否定出来ねえな」
「で、ちょっと検証をな」
「検証?」
「そ、
サン・カツオ「ペンシルゴ~ん、たすけてよぉ~」
ペンシルゴン「君たちは本当に馬鹿だなぁ~」
未来のネコ型ロボットぐらい便利なペンシルゴン
サンラクは放っておいてもそのうち発見し、激闘を繰り広げて
翌日、ベンチで冷たくなっているオイカッツォが発見され、吉村と村田は病院内で静かに息を引き取った。