ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 本当はパパッと終わらせて氷雪洞窟に行かせる予定だったのに、要らんとまでは云わない設定をぶっ込み過ぎて長引いた……





第99話:ありふれたヘルシャー帝国の攻防戦

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DIGIMON ANALYZER

名前:プルートモン

属性:ウィルス種

世代:究極体

種族:神人型

暗黒の如く全身鎧に身を包んだ神人型デジモン。 冥府の神であるプルート――延いては冥界の王たるハーデスのデータから構築され、名前の通りでデジタルワールドの冥界に当たる領域を支配している。『悪は暴力や恐怖にて斃されろ』という、恐るべき思想を以てしてこの世を彷徨っており、咎人を見定めると闇より顕れるタイタン族の長。必殺技は『ハガードクラスター』と『ケイオスライツ』と『ヘルズゲート』だ!

 

 

「な、何だそりゃぁあっ!?」

 

 闇色に染まる鎧のプルートモンに究極進化したユートとガジモンを見たガハルド皇帝が叫ぶ。

 

 このプルートモンは冥界の神ハーデスに相当しているデジモンで、同じくギリシア神話体系――名前はローマ神話が出典だけど――のオリンポス一二神とも関わりがあった。

 

 ロイヤルナイツと同じく時間を掛けて少しずつが解禁されており、ユートの識らない天帝ゼウスに相当するユピテルモンなども存在する。

 

 ユートが識る中ではルナモンが究極体に進化をしたディアナモン、コロナモンが究極体に進化をしたアポロモンというアルテミスやアポロンに関するデータから構築されたデジモンが居た。

 

 驚くガハルド皇帝へ鷹揚に言う。

 

「さて、言っている場合かな?」

 

「んだと!?」

 

 再び別の兵士が駆け込んで来た。

 

「申し上げます! って、此処にも居た!」

 

「良いから話せ!」

 

「は、ハハッ! 帝国の周辺に亜人族が現れたのは聞いていると思いますが、更にまるで巨人みたいな怪物が一二体も現れました!」

 

「巨人みたい怪物?」

 

 報告を受けたガハルド皇帝が巨人みたいな怪物という事で、見るからに鎧を着込んだ巨人である処のプルートモンを見遣る。

 

「僕がフェアベルゲンに提供したデジモン戦力、その名も高き聖騎士……ロイヤルナイツだ」

 

 するとリリィがDー3を取り出してマグナモンをリアライズさせた。

 

《REARIZE!》

 

 DーアークにもDー3にも原典に於いてそういった機能は持たないが、ユートは便利な機能な一つとしてこれを実装させている。

 

 実際、ロイヤルナイツは小さくてもマグナモンの大人の男でも大きいと感じる背丈である上に、エグザモンはその巨体に定評がある竜帝の二つ名が相応しいくらいなのだから。

 

 勿論、オメガモンやアファモンやデュークモン達もそれなりの巨体であった。

 

「今まで御苦労様です、マグナモンも彼らに合流をして下さい」

 

「心得た」

 

 聖騎士に相応しい礼を尽くして黄金の鎧に身を包むマグナモンが外へと飛び出す。

 

 これまでにもゴールデンデジゾイドの護りを以て護衛任務をしてきたマグナモン、守護ならお手の物だが攻撃力もそれなりに高いのだ。

 

 他のロイヤルナイツは究極体だが、マグナモンに限るとアーマー体という本来は成熟期デジモンと変わらない程度、然し古代種成長期デジモンを進化させるデジメンタルの中に在っても幾つかの特別な物――奇跡のデジメンタル、運命のデジメンタル、未来のデジメンタルなどは成熟期は疎か完全体すら凌駕する能力を与えてくれる。

 

 例えばブイモンが奇跡のデジメンタルで進化をしたマグナモン、例えばテリアモンが運命のデジメンタルで進化をしたラピッドモン。

 

 通常のラピッドモンは完全体でしかないけど、運命のデジメンタルでアーマー進化をした黄金のラピッドモンは究極体クラス。

 

 少なくともマグナモンと共にであるのならば、不完全ながら仮にも究極体のケルビモンとも闘えるくらいには強力。

 

「ど、どういうこった?」

 

「マグナモンは私がユートさんから預かっていたデジモンですわ。メルドでは入れない場所に於いては最高の護衛でしたが、ロイヤルナイツとして働くならばユートさんにお返しをしないといけませんからね」

 

 デジモンは見た目から女性体や男性体な存在こそ居るけど、一応は性別が無いとされているのが【デジモンテイマーズ】のレナモンが言及をしている為、リリイもマグナモンが見るからに男性体なのを度外視していたし、マグナモン自身も特に彼女に思う処は無かったらしい。

 

 まぁ、レナモンはママ~ズに女性認定をされて戸惑っていたが……

 

「まさか、ハイリヒ王国は神殿や神や俺らを裏切る心算なのかよ?」

 

「裏切るも何も抑々、ガハルド皇帝陛下が思っているハイリヒ王国なんて既に在りませんわよ」

 

「……ハ?」

 

 意味が解らず間抜けな声を上げる。

 

「少し前に平行世界の恵里と言いますか恵里"? により王都が蹂躙され、御父様を始めとして何人もの貴族や騎士が殉職しました。その恵里"自身はユートさん達に倒されましたけど、すぐに彼女の処遇で争いになりまして……ユートさんの勢力たるアシュリアーナ真皇国と戦争に。結果としましては惨敗を喫して我がハイリヒ王国は滅亡致しましたわ。母のルルアリアはまだ若くて美しいのでユートさんの情婦として生き残り、弟のランデルはユートさんに刃向かった首魁として女の子にされた挙げ句に蟄居、今頃は可哀相に兵士達の慰みモノになりながら暮らしていますわ。私は早々に降伏しましたからユートさんの女としてこうして自由に生きてますが」

 

 それは余りにも余りな出来事。

 

「いやいや、ルルアリア王妃が情婦となったってのはまだ解るがよ……ランデル王子が女にされたってのは何なんだ!?」

 

 それは意味が不明過ぎた。

 

 ガハルド皇帝は戦好きで傍目には坂上龍太郎の如く脳筋だが、実際には皇帝を務めるには相応しいだけの頭も持ち合わせている。

 

 そんなガハルド皇帝をして意味不明な出来事がランデル王子の女体化だった。

 

「別にこの世界の人間にも出来るだろうに」

 

「出来て堪るか!」

 

 プルートモンなユートに対して思わず叫んでしまうガハルド皇帝だが、変成魔法を使えばそんなに難しい話ではないのをユートは理解している。

 

 変成魔法の真髄とは即ち『有機的な物質に対する干渉』であり、確かに既存の知識のみで語れば単純に獣を魔物化したり魔物を強化したり隷属化させたりと、嘗てヴァンドゥル・シュネーがやっていたりこの時代でもフリード・バクアーが行っていた事が主に成されていた。

 

 然しながらエヒトがやった事を思えばそれらは階段で云えば一歩を踏み出したばかりに過ぎず、謂わば次の階層に上がる処ですら無いというのが正に厳しい現実である。

 

 ユートの考えでは神代魔法や概念魔法というのは世界創造すら可能な、世界の――宇宙の理へと垣間触れる程の魔法であるといえた。

 

 使い方次第で魔力量次第で魔力強度次第だが、文字通り神様見習いな『日乃森なのは』さんから『魔法に対する親和性』を与えられたユートは、変成魔法を入手さえすれば特に問題にする事も無く使えるだろう。

 

 事実として他の神代魔法は扱えてる。

 

「まさか、んな事になってやがるなんざぁ聞いてねーぞ! どうなってやがる!?」

 

「伝達に冒険者ギルドではアーティファクトによる高速化はされていても、国との連携は取れていなかったのが致命的だったな!」

 

 冒険者ギルドの間ではフューレンとウルで遣り取りが成された様に、アーティファクトによって連絡を取り合えるとは聞いていたけど国同士によるホットラインは無いみたいだ。

 

 ()しんば在ったとしても連携が取れていなければ全く意味を成さない。

 

「さて、益体も無い話は終わりだ。アシュリアーナ真皇国・フェアベルゲン領国とヘルシャー帝国の戦争を始めよう」

 

 長々と話してはいたけど戦争は始まっているのだから今更の対話は無くて、対話をしたいのならガンダムダブルオークアンタに乗った刹那・F・セイエイでも連れて来いと言いたい。

 

 ガハルド皇帝は勿論、勇者(笑)にも不可能な話しだけどユートならば出来そうである。

 

「行かせる訳が!?」

 

 部下を動かさんとガハルド皇帝は口を開くが、行き成りプルートモンが腕を振り上げて壁へ攻撃を揮って破砕、まるでデジタル物質みたいに壁などがポリゴン片になるかの如く砕け散った。

 

「今、この場所で俺が必殺技を放てばお前らは終わるが……そうして欲しいなら言え。刹那の刻でヘルシャー帝国を亡ぼしてやろう」

 

 それはユートの声では無く、暴力を以て恐怖を悪に植え付けるプルートモンらしい科白であり、声的にはドーベルモンの高橋広樹氏を重低音にしたらこんな感じだろうか? 或いはベルゼブモンよりも声質を低くすればこうなりそうだ。

 

 何しろこのプルートモンは【デジモンテイマーズ】に於けるドーベルモン、デジタルグライド化した彼をサルベージしたものだから。

 

 ユートの声はどちらかと云えば女性声優が少年の声を出す感じに高めで、それを成人男性として低くした様なものだからタイプが大分異なる。

 

 当然ながらデジタルグライドのデータも一緒にサルベージされていたし、ユートの光鷹翼は電子と可成り親和性が高かったからすぐに究極進化をする事が可能となり、デュークモンやサクヤモンやセントガルゴモンやジャスティモンとも肩を並べて闘えたものだ。

 

 ヘルシャー帝国の城から余裕で悠々と離脱をしたユートや【閃姫】達、ヘルシャー帝国の騎士や兵士達が見上げる中でフェアベルゲンの亜人族との合流を簡単に果たす。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「ふぅ」

 

 光を放ってユートとガジモンに分離。

 

「御苦労さん、ガジモン」

 

「大した事はしていないさ」

 

「とはいえ、まだ働いて貰うけどな」

 

「判っている」

 

 黒い円の縁なDーアークを取り出したユートは、一枚のデジモンカードを引き抜く。

 

 見た目は確かにデジモンカードダスのカードに間違い無いが、その表面に描かれた絵柄は明らかに既知のモノでは無かった。

 

「カードスラッシュ! シャイニングエボリューション!」

 

《SHINING EVOLUTION!》

 

「ガジモン、ワープ進化っ!」

 

 額の赤い逆三角形のマークをクリスタルの様に立体的な形で描いたモノをバックに、クルモンが天へと祈りを捧げる姿はアニメにてデジモン達を一斉に究極体まで進化させたものと同じ。

 

 とはいってもやっているのは【デジモンアドベンチャー】のワープ進化、一瞬にしてガジモンがドーベルモン→ケルベロモンへと姿を換え……

 

「アヌビモン!」

 

 ギリシア神話体系の冥界の神アヌビスを基にして構築されたアヌビモンに究極進化した。

 

 

 

DIGIMON ANALYZER

名前:アヌビモン

属性:ワクチン種

世代:究極体

種族:神人型

ダークエリアの守護と監督をする為の神人型デジモン。戦闘で敗北したり寿命によって消滅をしたデジモンが最後に転送されるべきダークエリアを常に監視している。デジモンが悪しきデータであれば永遠の闇に閉じ込め、善きデータであるならデジタマへと還元するデジタルワールドの裁判官の役割を持っている。得意技は古代エジプトの秘法で描いた光線にて四角錐を描き相手を閉じこめる【ピラミッドパワー】、必殺技は地獄の魔獣を召喚する【アメミット】だ。

 

 

 

 これは別の可能性の進化形態。

 

 ユートとの融合進化をしないタイプであるが、これは何処ぞの喧嘩番長の如くユート自身の戦闘能力の高さを充てに、究極体クラスの力を複数使いたい場合の進化をする為のものである。

 

「アヌビモンは計画通り、ロードナイトモン達の方へ回ってくれ」

 

「了解だ!」

 

 ロイヤルナイツを使うという時点で策は練っていた為に動く。

 

 はっきり言ってしまえばヘルシャー帝国如きを相手に此処まで策を練る必要性は全く無いけど、そろそろアレらが介入をしてくる頃だろうと考えていたからこそ。

 

(来やがれよ、神の木偶が!)

 

 そう、リューンやノイントの同種。

 

 ハイリヒ王国を平らげ、聖教教会の本部である神山の本教会を消滅させた上にフェアベルゲンを取り込み、更にはヘルシャー帝国へと戦争を仕掛けたのだから嘸や御立腹であろう。

 

 或いは面白いと感じたか?

 

 いずれにせよ『イレギュラー』が好き勝手をしているのだし、矢張りそろそろ来るだろうと予想をしているからこその布陣。

 

「私達は亜人族の皆に合流よね?」

 

「ああ、雫達は森人族と合流を。ラングリッサー組のリアナ達は熊人族のジン達に合流しろ」

 

「判りました」

 

 ラングリッサーのヒロイン達、リアナとクリスとティアリスとレイチェルとフロレンティアにも今回は戦闘をして貰う。

 

「ツバメは悪いがマグナモンに代わってリリィの護衛を続けてくれ」

 

「判りました」

 

 マグナモンは神の木偶を相手にする為にも空けておかねばならない、そしてユートもフリーで居る為にプルートモンをガジモンに一度退化させてアヌビモンに進化をさせた。

 

「おい、緒方!」

 

「どうした、永山?」

 

「お、俺達はどうするんだ?」

 

「結界を張っておくから隠れてろ」

 

 永山重吾らを使う気は無いから戦力として全く数えてはいない。

 

「それで良いのかよ?」

 

「君らが勇者(笑)と同じくで殺伐とした戦争なんてやれるとは思ってない。雫みたいな覚悟を決めてるなら未だしもな」

 

 仮面ライダーの力を渡せば成程、非殺傷設定で確かに殺らなくても済むかも知れないであろう、然しながら傷付けるという事に変わりは無いからその痛ましい姿に耐えられるのか? という話。

 

「仮面ライダーの攻撃力は最低でも一tにも達するんだ。最強クラスのヘビー級ボクサーが何をも捨てて放つ一撃が一tだと云われているけどな、必殺技でも何でも無い一撃で一tを何気なく放てるってのは凄まじい。断言するけど坂上でも元々の力は生身では数百kgでさえ無いだろう」

 

「それは……」

 

 ヘビー級のプロボクサーと喧嘩をしたら間違い無く一撃で沈むし、必殺技クラスで殴られたなら当たり所次第では下手を打てば僅か一撃ですらも受ければ死んでもおかしくないのだ。

 

 今の坂上龍太郎はエヒトに与えられた天職へと紐付けされたステイタス、そのレベルが上がって筋力の数値がおかしなくらい上がっているから、普通に仮面ライダーW並には放てるかも知れないけど、それでも恐らくは何をも捨てて後先考えない一撃を放つのが精一杯。

 

 勿論、身体強化を施したり魔法の一撃を乗せたりすれば威力も上がるだろうが……

 

「非殺傷設定とはいっても死なせないだけでな、喰らえばダメージは普通に受けるんだ。寧ろ死なせないだけ残酷かもな?」

 

「ぐっ!?」

 

 確かに永山組には出来ない事である。

 

 一応、永山重吾は格闘――柔道に邁進をしていたから闘いそのものは可能ではあるのだろうが、魔物相手ならいざ知らず現代日本人としての常識があるから、無闇矢鱈と誰かを――ヒトを傷付けたい訳では無いのだから。

 

「あ、浩介はカム達と合流してくれ」

 

「判った」

 

 本来、遠藤浩介は永山組のパーティメンバーではあるのだろうが、仮面ライダーシノビとしての戦力を遊ばせる気は無かった。

 

(そういや、白夜からの情報から浩介の原典での彼女ってラナだったらしいが……)

 

 兎人族のラナ・ハウリア、それは天然隠れん坊な浩介を見付けられたら稀有な存在。

 

 それ故に浩介は彼女を欲しいと願ってラナが付けた滅茶苦茶な条件すらクリアし、晴れて恋人に成れたのだと教えて貰ったけど今現在のラナの想いは明らかにユートに向いていた。

 

(拙いな……)

 

 他者に認識をされないからには下手したら浩介が御独人様街道(まっしぐ)らに、その内に誰がしか見繕わないと……何て余計な御世話な事を考えてしまう。

 

 尚、ユートが識るのはラナ・ハウリアとの事に限られていたと云っておく。

 

 ラナ・ハウリアはあからさまにユートへと想いを懐いていたし、ミナ・ハウリアやネア・ハウリアと共に念能力の修得に動いたのもそれが理由。

 

 ユートの好み的には狐耳と尻尾だったりするのだけれど、ウサミミが別に嫌いという訳でも無かったからネアちゃん一〇歳は流石に未だ手出しをしないにせよ、何も無かったらラナ・ハウリアも喰っちゃったかも知れない。

 

 まぁ、浩介にも出逢いくらい有るだろうと高を括れないのは、矢っ張り天然隠れん坊なスキルの所為であろう。

 

「居ねーっっ!?」

 

「どうした坂上? って、天之河の事に決まっているかな。居ないってのはつまり天之河が帝城から離脱をしていなかったって話しか?」

 

「そ、そ、そうなんだよ! 自発的に離脱してなかったみてーでさ!」

 

「帝城に残ったならヘルシャー帝国の戦力として出て来るんだろう。それだったら遠慮無く殺せるからいっそ楽になるか」

 

「ま、待ってくれ」

 

「こうか?」

 

 ユートが刀舞を披露する。

 

「舞ってくれじゃねーよ!」

 

 刀舞が得意なユートからしたなら鉄板ネタなのに……解せぬ!

 

「俺が何としてでも光輝を止める! だから殺さないでくれ!」

 

「ふぅ、僕より先に遭遇して無力化が叶ったなら約束通り殺さんが……な」

 

「わ、判った。俺も参戦するぜ」

 

 親友ポジも大変である。

 

(ま、天之河ガチャで存在そのものを利用しているからな……)

 

 とはいっても、今回は恐らくガチャにならないだろうなとは考えていた。

 

 というのも実は王都の冒険者ギルドで何故だか職員をしているスールードに確認を取ったけど、這い寄る混沌たるニャル子が天之河に接触をした形跡は無かったらしいと聴いたからだ。

 

 因みにスールードとはユートが【永遠神剣】を主とする世界――分枝世界の一つ『煌玉の世界』でそうとは知らずに関わり、何なら喰っちゃった永遠神剣の担い手の一人である。

 

 まぁ、喰っちゃったとはいえ所詮は分体の一つに過ぎなかったのだが……

 

 スールードの永遠神剣たる『空隙』は位階で云うと第四位に当たったが、自身や永遠神剣の分体を創り出して分枝世界に送り込める時点で明らかに『永遠存在(エターナル)』だった。

 

 『永遠存在(エターナル)』とは即ち上位永遠神剣の担い手を指しており、そうなった時点で彼らに寿命の概念は無くなるのと、その存在がある意味で喪われてしまう。

 

 ユートも実はメカニズムを理解していないが、エターナル化した者が『渡り』を行うと彼らの在った記憶などが喪失、彼らが関わったという出来事も全てはその世界の違う誰かが行った事として事実が書き換わるのだ。

 

 例えば【幻想の世界(ファンタズマゴリア)】でユウトが行った戦争だったが、その勝利に一番貢献をしたのはユウトとアセリアの二人の筈なのに、その立役者がユートであると書き換わってしまっていた。

 

 永遠神剣第二位『聖賢』の担い手となったのが『聖賢者ユウト』、永遠神剣第三位『永遠』の担い手となったのが『永遠のアセリア』である。

 

 然しながらユウトもアセリアもエターナルとして『渡り』を行ったら、ユートが率いた二軍だけでなく一軍のスピリット達が熱い瞳で見つめてくる様になっていた。

 

 取り敢えず、一軍のスピリット達がアセリアさえ居なければユウトに抱かれたいと願っていたのだけは、エスペリア・G・ラスフォルトとオルファリル・R・ラスフォルトとウルカ・B・ラスフォルトらがすっぽんぽんでベッドに寝ていた辺りから判っていた事。

 

 勿論、シーツには赤黒い染み。

 

 本来、その想いを受けるべきはユートではなく高嶺悠人だったのだろうが、記憶の摺り合わせによって昂じた愛情だろうと問題無く喰う。

 

 それがユートクオリティ。

 

 それは兎も角、彼女が本当にエターナルなのかの確認は取っていないが、恐らく分体を送り込める辺り永遠神剣第二位の担い手である可能性が高いと見ていた。

 

 あの永遠神剣第二位『赦し』の担い手であった『赦しのイャガ』がやったみたいに。

 

 他に第二位永遠神剣の担い手というと矢っ張り『法皇テムオリン』だろう、ロウ・エターナルを率いる見た目は白髪の幼女っぽいけどその内面は老獪としか云えない。

 

 マナの搾取という似たり寄ったりな事をしている関係から、恐らくスールードとテムオリンの間には何らかの関係が有りそうだけれど、ユートはそこら辺を問い詰めたりもしていなかった。

 

 因みに、テムオリンとも肉体関係を持っている辺りユートも相当であろう。

 

 本当に因みにだが、ロウが在るならカオスも在る訳で……カオス・エターナルという陣営も存在して、其方を纏めるのが永遠神剣第一位『運命』の担い手たる『全ての運命を知る少年ローガス』となっている。

 

 テムオリンと肉体関係を持ってはいるものの、一応だがユートはカオスの側に味方をしていた。

 

 理由はカオス側エターナル『時詠のトキミ』からの勧誘からで、上位永遠神剣を三振りも所持をしている稀有なタイプであり、永遠神剣を集めるのが趣味なテムオリンとは違って所持しているだけの神剣所持者(ユーザー)ではなく(れっき)とした神剣所有者(ホルダー)

 

 勿論トキミも美味しく『戴きます』していて、恐らく肉体が大人になる前にエターナル化をしてしまい、年齢が実に千歳を超えながら幼さの残っている肢体を愉しませて貰っていた。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ほんの少しだけ時を置いて遂には始まってしまうヘルシャー帝国との戦争。

 

 対するユートはフェアベルゲン領国の指揮をしており、今の処はヘルシャー帝国軍と直に闘ったりはしていなかった。

 

 雫達、仮面ライダーがフェアベルゲン領国軍の森人族や翼人族や土人族など妖精型亜人族と共に闘い、ラングリッサー組となるリアナ達が熊人族や虎人族や狼人族などの獣人型の亜人族と合流をして共闘をしていて押し込んでいる。

 

 そしてロイヤルナイツ達はその殆んどが数mの巨大な為、ロイヤルナイツ達だけで纏めて運用をしていて一番の活躍というか蹂躙っ振り。

 

「ファイナルエリシオン!」

 

 実際、デュークモンの盾――イージスから放たれた光線は一度に数百を焼き尽くしたし……

 

「ガルル……キャノンッ!」

 

 オメガモンがガルルモンの顔のキャノンを放って射線を動かせば、ディアボロモンでさえ何百と斃せてしまうからには可成り被害が増えた。

 

 それでもヘルシャー帝国軍も数だけはGも斯くやで存在するから、押されてはいても何とか戦線の維持をしているのが現状。

 

 とはいえ、ヘルシャー帝国軍人や騎士団からしたら恐るべき大魔王が一三体もフィールドを闊歩しているに相応しい。

 

 ラングリッサー組は魔法を駆使しているけど、威力が段違いでヘルシャー帝国軍の魔法使い達ではまるで相手にならないし、仮面ライダーとなった【閃姫】達やフェアベルゲン領国軍は魔法など物ともせず進軍をしている。

 

 フェアベルゲンでは魔法の使い手がまるで居ないというか、掟の名の下に魔力を持って産まれてきた者を処断した為に全く増えず、結果としては魔法に対抗が出来ずに樹海へと引き隠るしか無かった歴史を歩んでいた。

 

 ユートの考えの通りならエヒトの仕業に違いないけど、何とも莫迦な真似を仕出かしたものだと頭を抱えたくなるのはシアだけでなくフュリーが加わったからであろうか?

 

「然し、主の命とはいえいえ我らが手を下す程の相手では無いな」

 

「仕方があるまいよ、主に刃向かったこの世界の人間が悪いのだ。ならば散り際には派手に美しく死に花を咲かせる事こそがせめてもの彼らへの救いとなるであろうさ」

 

 デュナスモンの愚痴にロードナイトモンが軽口の様に返す。

 

 その様に創った心算では無いのだが、どうやらユートのイメージが基な為にか原典で仲が良かったりすると、此方でもそんな風な仲になる傾向が強いらしくてデュナスモンとロードナイトモン、そしてオメガモンとデュークモンは親友というか戦友みたいな纏まり方をしていた。

 

「それに我々の真の役割を鑑みればこうしてそれこそ派手にイレギュラーとして動くべきだ」

 

「おお、戻ったかマグナモン」

 

「美しき姫の護衛任務、御苦労だったな」

 

 合流したマグナモンが話し掛けて来たのに合わせて、デュナスモンとロードナイトモンが頷きながら返事をする。

 

「護りこそが我が本領、姫の元に居たのは苦労でも何でも無いさ」

 

「フッ、流石はマグナモン」

 

 特に嫌味でも何でもないロードナイトモンからの賞賛を素直に受け取るマグナモン。

 

 実際、軽口を叩くマグナモン、デュナスモン、ロードナイトモンの三体の口が悪いという訳では決して無く、他のロイヤルナイツも多かれ少なかれ同じ思いを懐いていた。

 

「ロイヤル……セイバァァァァーッ!」

 

 矢張りそんな心算で創造をした訳では無いが、騎士然としたデュークモンの表情が苦いのは戦争というか蹂躙、弱い者虐めでもしている気分となるからであろう。

 

「デュークモン、余り気負うな」

 

「アルフォースブイドラモン」

 

「必要な犠牲と割り切れとは言えん、然しそういう側面が有るのも理解しているのだろう?」

 

「ああ……」

 

「なれば、主の為にも呑み込め」

 

「解っているさ、このデュークモンは主の矛にして盾として闘うまでだ!」

 

「やれやれ」

 

 ぱっと見でデュークモンが放った必殺技で死なずに済んだ帝国兵や騎士は多い。

 

 態と手加減をして人死にを減らしているというのは明らかだったけど、生きているだけで再び立ち上がって来る余力は無さそうだ。

 

「こうして大人しくしていて欲しいものだ」

 

「スレイプモン、君もか」

 

「私もデュークモンと同様、主みたいに割り切って攻撃するのは躊躇われるのさ。この不忠を主に報告をするか? アルフォースブイドラモン」

 

「する必要も無い。我らが主は全て御存じの筈、それも含めて()()()()()という御命令さ」

 

 騎士として創造をしたからにはこういう任務では忠実にとはいかない、某・ウォルサム君辺りが間違った解釈含めて言っている騎士道大原則にも抵触しているだろうから。

 

 『好きに動け』なんて命令も極論をすれば即ち生殺与奪を彼らに任せたという事だ。

 

「それに基本的には究極体の集まりである我らを招集した真の狙い……」

 

「ああ、勿論だ。理解するからこそ私もデュークモンも唯々諾々と従うのだ」

 

「ならば、デュナスモンやロードナイトモンが殺り過ぎない様に我らも動こう、スレイプモン」

 

「応っ!」

 

 話し込んでいてあのやり過ぎる二体を放置するのは本末転倒、アルフォースブイドラモンは再びその青い巨大を大空へと飛翔させるのだった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 一方のヘルシャー帝国の城内部では……

 

「チィッ、我がヘルシャー帝国の騎士や精兵共が何て体たらくだよ!」

 

 ガハルド皇帝が叫んでいた。

 

 巨大を誇るデジモンだけではなく、ラングリッサー組や勇者の元仲間に剰え一等劣る筈の亜人族にすらあしらわれる始末。

 

 デジモンは元より究極体は疎か完全体でさえも人間――マサルダイモンは人間枠では無い――には手に余るから解るが、傍目は可憐な美少女にしか見えないラングリッサー組や、ステイタスこそ高いにせよ実戦経験に乏しい勇者の元仲間達にああもあしらわれるとは思っても見なかった事態であり、しかもおかしな鎧甲に身を包んではいても長年に亘り蔑んできた亜人族までが自分達を凌駕していたのだから笑えない。

 

「これが緒方の卑劣な処ですよ陛下!」

 

 傍らにまるで皇帝の側近の如く態度で侍るのは勇者(笑)な天之河光輝、正直に云えばステイタス値が高いだけのこいつは邪魔でしかなかった。

 

 だからある程度の情報を毟ったら放逐一択でしかなく、その相手は専らガハルド皇帝が行わねばならないから面倒臭いのである。

 

 ユートが言っていた通りなら聖教教会本部など既に存在せず、支部は未だに残っているのだろうが権威は駄々落ちしたという事。

 

 事実として、ハイリヒ王国はリリィが裏切ったのはある意味で『裏切ったんじゃない、表返っただけだ!』的にユートに付いたのは美談化され、ランデルは命乞いして女体化した上で体を兵士に売って媚び諂い、ルルアリアはユートに肉体で以て命乞いをした恥知らずみたいに喧伝されたが、聖教教会も負けじと教皇と枢機卿らが挙って我らが『エヒト様』の為の殉教をせず、命惜しさに汚らしい泣き顔を晒して土下座しながらの命乞いをしたとして完全に地に堕ちた。

 

 つまり聖教教会が身分を保証した勇者(笑)など既に形骸化しているのである。

 

 元よりガハルド皇帝は人間族としては最低限の信仰を『エヒト様』に捧げてこそいたのだけど、ハイリヒ王国の王族に比べればその信仰心は正に『月と(スッポン)』であったと云う。

 

「卑怯?」

 

「はい、奴は転生者と呼ばれる陰キャ野郎です。生前は醜い姿をして女にもモテない腐れオナ男だった癖に、転生者として神様に強い力や悪くない容姿を貰ってイキっているんです!」

 

「いんきゃとは何だ?」

 

「え? えっと、陰キャは陰キャです!」

 

「いきるとは?」

 

「……イキるは……えっと……」

 

 全く説明にならない天之河光輝の言に盛大なる溜息を吐くガハルド皇帝。

 

「テメェでも理解してない言葉で罵詈雑言とか、ちったぁモノを考えて口に出せや勇者! せめて自分の言葉で言えよな!」

 

「ううっ!?」

 

 抑々にして天之河光輝はその手の言葉に余り詳しいとは云えない、件の言葉もニャル子さんから聴かされたモノを一応は罵詈雑言と判っているからその侭に使っているだけ。

 

 自身の言葉ではないからか誰の心かにも響かない言葉の羅列。

 

「兎に角、勇者も残ったなら連中と闘って来たらどうなんだ? それとも恐くて動けんか?」

 

「そんな訳がありません!」

 

 天之河光輝は煽られて出撃。

 

「情報的にも役立たずだったな」

 

 ガハルド皇帝は鼻を鳴らして呟いた。

 

「然し、どうしますか陛下?」

 

「どの程度の被害だ?」

 

「死者は驚く程に少ないです」

 

「少ないだと?」

 

「はい、最初は見逃されるのですよ」

 

「最初はとは?」

 

 甘ちゃんが殺すのを忌避しているのかとも思ったガハルド皇帝だが……

 

「戦線に復帰したら二度目は無いと警告をされているのです」

 

 どうも毛色が違う。

 

「事実、戦線復帰した者は命乞いを聞く耳も持たれず首を刎ね落とされました。因みに殺ったのは紫色の鎧を纏う騎士でして」

 

「……確か八重樫 雫って名前の美人がそんな鎧を着けて勇者と闘ったな」

 

 ハイリヒ王国での雫が天之河光輝と闘った際の姿――仮面ライダーサソードを思い出していた。

 

 ユートはハイリヒ王国の時と同じチャンスを与えてやる事にした、即ち一度だけはその命を奪わずに見逃してやるという正しく強者だからこそ出来てしまうちょっとした舐めプ行為。

 

 尤も、仲間にはそれを徹底させてもデジモン達には生殺与奪を好きにさせている。

 

 運次第で慈悲深いデュークモンやスレイプモンやアルフォースブイドラモンジエスモンに当たり助かるだろうが、慈悲の無いデュナスモンやロードナイトモンに当たったならば問答無用で殺されてしまうであろう。

 

「フン、こりゃ命の有る内に降伏も視野に入れてしまうべきか?」

 

「陛下……」

 

「然しですな!」

 

「だが、この戦力差では!」

 

 皇帝自らの降伏という宣言に戸惑いを隠せない王宮の幹部達、これが亜人族だけの話なら皇帝として徹底抗戦も辞さなかったろうが、相手の中には人間を遥かに越える体長を持って怪物騎士までもが居るのだ。

 

 今は兎も角として、これからは一般人に被害が出てからでは遅過ぎるというもの。

 

 だけどその決断も……

 

「降伏? それは困りますね」

 

 黒い修道服を纏う銀髪な修道女の登場で全てが遅かったのをすぐに覚るのであった。

 

 

.




 DIGIMON ANALYZERって久し振りに書いたな。

 スールードがエターナルは原典には特に言及を多分もされてない設定ですが、ひょっとしたらどっかの二次設定と混ざった混血的なキャラ付けになっているかも知れません。

 最早、ゲームを確認も出来ない状態で可成りを忘却の彼方ですから……

勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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