ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 やっとこさ書けました……





第101話:ありふれた暴れん皇女

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「さて、征こうか……ゼルダ!」

 

《うん、ゼルダいっちゃうよ~》

 

 アルハザードから声が響く。

 

 本来、聖剣ラングリッサーや魔剣アルハザードにお喋り機能なんかは基本的に無いのだけれど、剣と意思疎通をするに当たって直に喋ってくれた方が良いと考え、デルフリンガーの機能をベースに意志を表へと出せる様にしてあった。

 

 更に云えば、聖剣ラングリッサーに魂を捧げたユリアと魔剣アルハザードと成る可くして生み出されたゼルダは、本来ならそんな機能を持たないけど剣から人間の姿へと変わる能力も有る。

 

 まぁ、普段は惑星エルサリアにて人の姿の侭に暮らしている訳だが……

 

 二巡目の世界線でユートが見ていた限り魔剣の聖霊と化してアルハザードに換えられたゼルダ、彼女はランディウスの孫に当たるマシューと愛を育んでいた。

 

 天真爛漫ながら着実に恋愛関係を進めていたというのに、結局は闇の皇子ボーゼルの策略により赤き月クリムゾの王レインフォルスが持ち帰った魔剣アルハザードの代わり、闇の皇子ボーゼルは四つの血印を用いた魔法陣によりゼルダは新たな魔剣アルハザードとされてしまう。

 

 最終的にユリアが魂を捧げた新ラングリッサーと新アルハザードは、光輝の末裔側の手に渡ってボーゼルの野望は阻まれたと云って良い。

 

 尤も、その後はイェレス大陸でアルハザードが砕かれたりと大変だったが……

 

 問題は一巡目の魔剣アルハザード。

 

 ラングリッサーの聖霊ユリアは人類滅亡を悲しみこそしたが、それだけであって意志もはっきりしていてユートを新たな担い手に選んだ。

 

 アルハザードは生贄に過ぎないゼルダがどんな状態でも関係は無いが、一応の邂逅をしてみたらマシューの消滅に精神が壊れていた。

 

 なので、ユートは壊れたゼルダに自分を刷り込むかの如く快楽に漬けてやる。

 

 幸い? まだまだマシューとはお子様も同然で口付けすら無い清い関係だった為、初めての快楽を覚えさせたのはユートという事になった。

 

 何ならパスを繋いで聖剣ラングリッサー側からユリアを喚び込み、二人掛かりでゼルダを快楽にて蕩けさせてやる事も少なくない。

 

 ゼルダ本人は壊れた心でマシュー消滅の逃避みたいに快楽を受け容れ、その後に何やかんやあって精神が持ち直してからはマシューの事は大切な想い出として、ユリアと同じく魔剣アルハザードの担い手にユートを選んだ。

 

 魔剣アルハザードの真なる()()()、ボーゼルでさえも単なる使()()()でしか無かったのにユートは()()()として選ばれた。

 

 それは歴代の闇の皇子ボーゼルやクリムゾニアの王レインフォルスでさえ使い手の域を出なかったのを覆し、真実の担い手としてアルハザードを使い熟せる存在として確立されたという事。

 

 闇の皇子ボーゼルに成り果てるのではなくて、人として真にアルハザードの担い手と成った。

 

 青き月ペイリアの起動鍵ではなく武器として、ユートは魔剣アルハザードを――ゼルダの想いと共に揮うのである。

 

『イレギュラァァァァァァーッ!』

 

 随分と不安定らしい巨神兵と化したドライツェーンが咆哮を上げた。

 

『貴方は主の盤上に招かれてはいない! 速やかに排除します!』

 

「莫迦な事を」

 

『なにぃ!?』

 

 矢張り何処か感情的だ。

 

「エヒト自らが召喚したからには盤上に招かれていない処か自ら招いたんだ。それともお前らの主はそんな間違いを犯す愚者なのか?」

 

『っ!?』

 

「僕をイレギュラーとして盤上から排除したいのならそれも構わないが、それはお前自らエヒトの愚神っ振りを証明するも同然だろう。『我が主は間違えました』ってな」

 

『イレギュラァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッ!』

 

 ドライツェーンが怒りも露わに両手の剣を振り上げながら突撃をしてくる。

 

 一〇mの巨体から繰り出される一撃。

 

 ガキィィィッ!

 

 然しながらユートはドライツェーンによる大剣の一撃を魔剣アルハザードで受けたかと思えば、スッと力を抜いてその刃を明後日の方向へと逸らしてやった。

 

 凄まじい音と大地を震わせる震動を巻き起こしながら、ドライツェーンはその勢いの侭に地面へと激突してしまう。

 

「アルハザード、その威を示せ!」

 

《うん、ゼルダの肢体を存分に使って!》

 

 微妙にエロい事を宣うゼルダ。

 

 更にユートはその手にスパークレンスを握り締めると……

 

「漆黒なる闇の安寧よ我が元に集え、ティガダァァァァァァァァァァークッ!」

 

 叫びながら天高く掲げた。

 

 闇が迸るとユートの身体を取り巻き始めて闇の巨人ティガダークへと換える。

 

 因みに以前に変身したウルトラマンティガへの口上は『希望の光よ我が元に集え』だ。

 

『デュワッ!』

 

 右腕を掲げた状態でグングンアップで巨大化をする漆黒なる魔神ティガダーク、原典に於いても『闇の巨人』と称される恐るべき戦士であったらしいのは軽く劇中でも語られていた。

 

 ユートの場合は真の属性が闇だからか闇属性に忌避感というものは無く、更に云えば闇に付き物なリスクを受ける事なども特には無い。

 

『イレギュラー!』

 

 ドライツェーンがティガダークを見て叫ぶが、本人が気付いてないだけで原典からしたら()()として此奴も普通にイレギュラーだ。

 

 ユート――ティガダークの手には魔剣アルハザードが握られており、インナースペース的な場所ではユート自身も魔剣アルハザードを手にしている状態である。

 

 違いが有るとすればイメージが形を取れるからなのか、若しこれが本当に特撮だったら放送倫理に引っ掛かって放映不可な素っ裸のゼルダの姿。

 

 因みにだけど、これが聖剣ラングリッサーなら素っ裸のユリアが傍に居ただろうし、聖剣と魔剣の二刀流だったら嬉し恥ずかし素っ裸のユリアとゼルダにサンドイッチされていた訳だ。

 

 取り敢えずユートとしては聖剣ラングリッサーの聖霊が、先代のジークハルトでなくて良かったと其処だけは本っ当に感謝したい。

 

 イケメンとはいえ、素っ裸の髭面なオッサンと二人切りとか普通に拷問である。

 

『ドワッ!』

 

 揮われる魔剣アルハザードの武威に舌打ちをしながら避けるドライツェーンだがユートの使う技は【緒方逸真流】の刀舞術、舞いを完全に武術として融合したそれは彼女の大雑把な動きでは避け切るに能わず、幾つかの裂傷をその光の肉体へと刻まれる羽目に陥っていた。

 

『グッ!?』

 

 その属性が闇だったからかダメージが異常な程に大きくて呻いてしまう。

 

(矢っ張り、エヒトルジュエはオタクか何かだろうな……魔力を持たないエルフは有り得なかったんだろうし、ドワーフだって作品によっては有り得るけど魔力無しはな。獣人や翼人だって魔力無しとか有るには有るんだが……そんなエヒトルジュエだから神の使徒は天使――光属性だよな)

 

 【グローランサー】なら翼人――フェザリアンは魔法を扱わず科学力が高い、獣人といえば肉体的に優れているが魔力を持たない。

 

 そんな話も有る。

 

(ま、今はどうでも良いな)

 

 ティガダークは手にした魔剣アルハザードを以て光の巨体ドライツェーンに斬り付けに行くが、流石にこれ以上は喰らいたく無かったのか両手の大剣で防ぎに動く。

 

『させません!』

 

 更に光の羽を飛ばしてきた。

 

『見える! 当たらなければどうという事も無い! 何てな!』

 

 至近距離からのそれを容易く躱す。

 

『くっ!』

 

 口惜しげに唸るドライツェーンを余所に回転をして攻撃を回避、その侭突っ込む形でその肉体へ魔剣アルハザードの切っ先を当てる。

 

『ガッ!?』

 

 吹き飛ぶドライツェーン。

 

『終わりだ、ゼルダ!』

 

《オッケーだよ!》

 

『魔剣アルハザードよ、闇を糧に増力を!』

 

 前方へ魔剣アルハザードを投げるとプカプカと浮かんでいる。

 

 前へ倣えとばかりに両腕を前方に突き出すと、それを横へ広げる様に動かすティガダーク。

 

 闇の力が集束されていった。

 

『デヤァァッ!』

 

 指は伸ばして右腕を曲げた状態で左手の甲を肘に当ててL字状に形作る。

 

『ダークゼペリオン光線!』

 

 漆黒のエネルギーが放たれると魔剣アルハザードにぶち当たり、ダークゼペリオンを吸収すると循環させて更に増幅してドライツェーンへと向けて放つと……

 

『ウワァァァァァァァッ! イ、イレギュラァァァァァァァァァァァアアアアアッッ!』

 

 最早、立て直す隙すら与えられず膨大に過ぎる闇のエネルギーを浴びて、ドライツェーンは叫びながら消滅の憂き目に遭うのであった。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 『デュワッ』と叫びながら大空へと飛び去ったティガダークを視ながら茫然自失となってしまうガハルド皇帝、そんな彼の心情は誰にも推し量れはしないだろうがズシンズシンという地響きを響かせて究極体――一体はアーマー体――デジモン達が降りてくる。

 

 飛べないタイプはエグザモンに運んで貰った上で飛び降りて来たらしい。

 

 ロイヤルナイツの一三体とアヌビモンで合計したら一四体ものデジモン達、どうやら神の木偶をさっさと殲滅していち早く戻って来た様だ。

 

 他の戦力も戻って来た。

 

 カルザスファミリー他ラングリッサーチーム、【ありふれ】世界の地球&トータスで構成されたユートの【閃姫】達、鈴鳴(スールード)、フェアベルゲン領国の妖精組と獣人組である。

 

 そしてそれなりに遅れて、天之河光輝を肩に担いでフラフラと戻って来た坂上龍太郎。

 

「わりぃ、遅れちまったみてーだな」

 

 謝る坂上龍太郎だったが、流石に幼な馴染みが意識を無くしていては気になったのか……

 

「光輝、どうしたのよ?」

 

 雫が訊ねた。

 

「ああ、いや……気にすんな」

 

「えぇ……?」

 

 目を逸らしながら言われて何と無くだが察してしまって呻くしかない。

 

 又候、天之河光輝がユート関連で某かを仕出かそうとしたのであろうと判ってしまったからこその察しで最早、雫は溜息を吐くのも億劫になってしまうくらいで天之河光輝を見遣る。

 

「ハァ……またなのね」

 

「本当に面倒だよね、光輝君ってさ」

 

 香織も処置無しとばかりに呆れていた。

 

「地球に居た頃からそうだったけど面倒臭いわ。優斗のモノになって光輝から離れたのは存外と良かったのかもね」

 

 余りの面倒臭さにどうやら雫も香織も、それ処か頷いている辺り鈴までもが天之河光輝を完全に見限ってしまったらしい。

 

「光輝の事なんていいわ、優斗は?」

 

「何か飛んでったぞ?」

 

 ガハルド皇帝の言葉に首を傾げる雫。

 

「飛んでったって、優斗はどう闘っていたの? 若しかしてウルトラマンに? あれで優斗ってば様式美に拘るから」

 

「ああ、ウルトラマンなら闘った後はシュワッチとか言って飛んでっちゃうよね」

 

 ある程度の知識が有るからか二人の理解は早かったし、鈴もどうやら解るらしく頷いているのを見てウルトラマンが飛んでいくのは常識みたいにガハルド皇帝は記憶した。

 

「で、『お~い』とか手を振りながら味方の方へ走ってくるのよね」

 

「お~い!」

 

「来たね」

 

 様式美極まるというべきか? ユートが叫びながら手を振りつつ駆けてくる。

 

 取り敢えず昭和なウルトラマン的様式美も守ったし、神の木偶も全滅させたから残りはヘルシャー帝国の今後という話しであろう。

 

「さて、敵対をしてくれたヘルシャー帝国についての話しだが……」

 

「お手柔らかに頼みてーがな」

 

 ヘルシャー帝国はユートの擁するアシュリアーナ真皇国と戦争をした、そして帝国側の方は騎士も兵士も殆んどが死んだか重傷を負ったかしてしまい、神の木偶が介入してきて済し崩し的ではあるが敗北したと認めるしか無い。

 

 一応、【閃姫】達はラングリッサーのチームも【ありふれ】のチームも死亡者数を増加させない様に非殺傷設定で倒していたし、気性の柔らかいロイヤルナイツであるマグナモン、アルフォースブイドラモン、デュークモン、オメガモン、ジエスモン、スレイプモン、アルファモンらは極力ながら死者を減らしていたが、ガンクゥモンは闘いに手加減はしないからある程度しか生き残れず、気性の比較的荒いタイプたるロードナイトモン、デュナスモン、エグザモン、クレニアムモン、ドゥフトモンはほぼ殺しに掛かっていた。

 

 流石に聖騎士だから逃げ出した者を執拗に追ったり、偶々でも生き残れた者へと無惨にトドメを刺したりとかはしてないけど。

 

 或いはアニメに出てきた彼らならやらかしたかもだが、ユートがイメージしたのは飽く迄も騎士の威厳を持った彼らである。

 

 尚、エグザモンに関しては気性が荒いというよりデカいから加減が利かなかった感じだ。

 

 神の木偶が現れてからは【閃姫】達に人間側の対処は任せ、ロイヤルナイツは神の木偶を相手に闘いを挑む形になっていった。

 

「なぁ、光輝は起こさないのか?」

 

「どうせ邪魔しかしないんだから放っておけば良いだろう。邪魔されたら要らない時間を使わされてしまうからね」

 

「そうか、そうだよな……」

 

 抑々にして天之河光輝の邪魔が戦争を起こした切っ掛け、それで又もや邪魔をしてくるであろう事が判っていて起こしたくは無い。

 

「少し待って頂けるかしら?」

 

「こうか?」

 

 行き成りやって来たトレイシー・D・ヘルシャーの言葉にユートがクルクル回転しながら舞う。

 

「誰が舞って頂きたいと言いましたか!」

 

「鉄板ネタだからな」

 

 矢張り刀舞士であるユートは舞うのであろう、鉄扇を取り出して華麗に舞い踊って魅せた。

 

「でーすーかーら! 舞って頂きたいのではなく待って頂きたいのですわ!」

 

 トレイシー・D・ヘルシャーが憤るのを見つめながら舞うユート、明らかに揶揄っているのが判るからか【閃姫】達は苦笑いである。

 

「冗談は扨置いて、それでトレイシー()()殿()()の用件は何かな?」

 

「くっ! 既に元呼ばわりですか!?」

 

「元……だろうに。最早ヘルシャー帝国は運営も侭ならないくらいに瓦解している。皇子にしても皇太子だったバイアスも死亡が確認されてるし、他の皇子や皇女やガハルド元皇帝の妻達も殆んどが確認の取れているだけで死亡しているからな」

 

「そうでしたわ! アリエルと母君のアマンドラ様はどうしましたか?」

 

「どう……とは?」

 

「基本的にヘルシャー帝国では親族の情など有り得ませんけど、末の妹であるアリエルに関しては慕ってくれていて可愛がっておりましたの」

 

 本当に心配をしているのか、少しアンニュイな表情で中空を見上げながら末妹を思う。

 

「それが八歳くらいで銀髪碧眼のお姫様を言っているなら、その母親らしき似た美女と一緒に保護をしているぞ」

 

 まぁ、銀髪は胤を蒔いた者が蒔いた者なだけにそれなりの数が居るのだけど。

 

「本当ですの!?」

 

「ああ、パーティー会場で粗相をやらかしてな、その後始末をした縁もまた袖擦り合う程度ではあるが奇縁だったからな。今は美幼女でも将来的には美少女に超進化して、更に美女に究極進化しそうだったから死なすにも勿体ないかとも思ったってのもあるけどね」

 

 ヘルシャー帝国の皇族にしては心根がマシという部類だったのもあった。

 

 尚、バイアス以外ではトレック君やハンドラー君がハウリアの犠牲として首チョンパをされていたし、ハンドラー君の直妹たるマイアラ元皇女は今頃だと奴隷にされていた亜人族な男にグッチョングッチョンな目に遭わされているだろう。

 

 多少は年齢が足らずとも、素っ裸にして亜人族の男達の中に放り込んで――『殺さなければ好きにしろ』と言い含めて放置した。

 

 血でグッチョングッチョンなのか、白い粘液でグッチョングッチョンなのかは知った事ではないから関知しない。

 

 孕むのは戴けないから避妊薬を予め飲ませてあるし、効能が切れる頃にもまだヤるなら飲ませろと言い含めてある。

 

 孕むのが駄目なのはハイリヒ王国の時と理由は同じ、皇族の胤を残さない為の処置だから皇妃でも他国や貴族家からの輿入れをしたタイプならばまだしも、皇族と判る――公爵など――家から嫁いだタイプは容赦しない。

 

 アマンドラは銀髪である事から後者の可能性も高いが、取り敢えずヘルシャー帝国から隔離してしまったから問題も無いだろう。

 

「つまり貴方の前であの子は粗相……お漏らしをしてしまったのですか?」

 

「相当に恥ずかしかったみたいだね。保護した先で布団に潜り込んでるよ」

 

「そりゃ、まだ幼いとはいえ女の子ですものね。殿方の前で粗相をしてしまえば恥ずかしくて顔を出せませんわ」

 

「そうだな……」

 

 何故か【閃姫】達がフッと明後日の方向を向いて更に何故だか頬が赤い。

 

「で、結局は何の用だ?」

 

「そ、そうでしたわ!」

 

 トレイシー元皇女はバッと背中に背負っていた長柄の鎌を取り出してユートに突き付け……

 

「決闘で決着を着けるのですわ!」

 

 高らかに宣言をした。

 

「あれ? あの鎌は……エグゼス?」

 

「知っているのか、雷電?」

 

「誰が雷電よ!? あの大鎌はエグゼスっていって私の仲間が使っていたアーティファクト」

 

 ユートからの質問? にツッコミを入れながらもミレディが答える。

 

「バッド……【解放者】の副リーダーのバッド・ヴァーチャーズが愛用していた武器なんだけど、どうしてアレがこんな所に堂々と有るんだろ? 確かアレってウル湖に沈められた筈。因みになんだけど、バッドはリューちゃんが好みのタイプだったらしいよ?」

 

 必要な情報と割かしどうでも良い情報の二つがミレディにより開示された。

 

「ウル湖ってウルの町の近くのあの湖か?」

 

「うん。私達が居た時代にはウルディア公国って国が在ったんだけど」

 

 今はウルの町というハイリヒ王国の領地。

 

「で、エグゼスってのは? 見るからに呪われていそうだが……ってか、あれ光魔の杖や理力の杖の同類の武器か?」

 

「その光魔の杖とか理力の杖ってのが何なのかは判んないけど……『魔喰大鎌エグゼス』、使用者の魔力を喰らって力と成す処か斬った相手からも魔力を喰らう大喰らいの鎌だよ」

 

「矢っ張り同類の武器だよな。さっき言った杖は使用者からのみだが魔法力を喰らって攻撃力へと変換する。まぁ、理力の杖は僅かばかりの魔法力を取り込んで僅かな切れ味を齎す程度なんだが、光魔の杖は湯水の如く喰らってオリハルコン……じゃあ判らんか。アザンチウムの塊をも両断する程の攻撃力を与えてくれる」

 

「それは……凄いね」

 

「とはいえ、それも大魔王の魔力量と魔力強度が在ってこそだったけどな」

 

「大魔王?」

 

「魔人族の王の魔王なんてレベルじゃないから、本人は魔界の神すら名乗ってた上に間違い無いって強さだからな。超越者にも近しい存在だよ」

 

 実力はそれこそ間違い無く超越者レベルではあるが、それでも()()()魔族の域ではあったのだから超越者とは呼ばれない。

 

 少なくともユートの常識の中では超越者ではないのだが、鬼眼王形態は魔族の枠組みから出ていて超越者と呼べる存在だったし、ダイの竜魔人に等しい形態も矢張り超越者であったろう。

 

 無論だが強い事は大前提となるものの力の夥多のみが超越者の定義ではない、何故なら力というのは完全な水物であり絶対性が無いからだ。

 

 DBなんて観ていたらよく解る筈、宇宙最強のフリーザなんて云われていながら超サイヤ人になった孫悟空に引っくり返され、そんな孫悟空でも人造人間に引っくり返されを繰り返していた。

 

 超越者の定義は強さと種族の枠組み――殻を破るという事にあり、それが叶ったのならばそれは神と呼んでも差し支えは無い事もある。

 

「それで?」

 

「え?」

 

「僕が決闘を受けるメリットは?」

 

「……ですから、貴方が帝国を好きにしたいなら私を降してからにと!」

 

 ユートは呆れるしかない。

 

 それはまるで……そう、勇者(笑)の天之河光輝と変わらない言動であったからだ。

 

「皇帝だったガハルドが未だに諦めず向かって来るなら決闘も考慮したろう。だが高々、一皇女如きが今更ながらそんな事を言ったからとどうだって言うんだろうな? もうアシュリアーナ真皇国とヘルシャー帝国の戦争は我が方の勝利で終結をしている。エヒトルジュエの使徒共の介入こそはあったが、皇帝はこうして大人しくなって皇太子やその一つ下の皇子も戦死。トレイシー元皇女も一応は第三位の継承権を持っていて二人が死んだからには成程、現在は公式に認められた皇太女でこそ無いが第一位の継承権を持つかもしれない、戦争の真っ只中なら決闘を受けて斃すのも視野に入れるだろうが、今となっては単なる捕虜にしかならないだろうよ」

 

「くっ!」

 

「それに……人質なんて心算も別に無いんだが、アリエル元皇女やアマンドラ元皇妃の扱いが悪くなるだけだぞ? お前が無意味に暴れ出したりしたら……な」

 

「そ、れは……」

 

 ヘルシャー帝国にて皇子や皇女の相互関係とは半ば敵対関係、然しながら自らも言っていた通り末妹のアリエルはまだ幼いからではあるのだろうが自分を慕っていて仲は寧ろ良好。

 

 将来的には関係が悪化した可能性もあったのだろうが、今は単に可愛い妹という認識でしかないから戸惑いを見せる。

 

「た、闘いたいですわ! 私は、貴方と、斬りつ斬られつ、突きつ突かれつ! 組んず解れつして互いの汗と血潮を懸けて交わりたいのですわ!」

 

 闘いの話をしている筈だけど微妙にエロい言動を取るトレイシー元皇女に、その言葉尻を聴いていた雫や香織や鈴が顔を赤らめていた。

 

「おい、元皇帝!」

 

「んだよ?」

 

「お前らはどういう教育をしてきた!?」

 

「ちげーよ」

 

「なにぃ!?」

 

 少し苦々しい表情のガハルド元皇帝。

 

「教育をしなかった結果がコレだ」

 

「威張って言う事か! 教育ってのは大事だよな矢っ張りさ!」

 

 頭を抱えてしまう案件だ。

 

「判った、闘ってやる」

 

「本当ですの!?」

 

「ああ、但し……本来なら元皇女としてアリエル共々に丁重な扱いをする予定だったが、我侭を通すからにはそれがされるとは思うなよ?」

 

 基本的に皇子は斬首なり何なり死罪を申し付ける処だが、リリィは兎も角としてルルアリア元王妃もユートの肉奴隷で済ませた辺りある意味で優しい結末と云えた。

 

 ランデル元王子も文字通り元王子とされたのはリリィからの懇願が有ったから、男としては生かしておけないからユートの【千貌(フェイスレス)】の能力の一つたる【女体化】を施して蟄居、今頃は兵士からの慰みモノではあるが精神崩壊でもしてアヘ顔を晒しながら笑っているのであろう……きっと。

 

 ユートはアヘ顔とかピースとか好みじゃ無いのだけど、需要が有るからそんなシチュエーションも存在している筈だから兵士諸君も愉しい一時を過ごしているのだと思われる。

 

「それじゃ、早速だが始めるか」

 

「ええ、ええ! 始めましょう! 愉しい愉しい殺し合いを! 魔喰大鎌エグゼェェェェスッ!」

 

 元とはいえ皇女にあるまじき言動をしてしまうトレイシーに残念臭を感じていた。

 

「其方がアーティファクトを使うなら此方も使わせて貰おうか」

 

「勿論、構いませんわよ! 私の天職は魔道師、アーティファクト使いですもの! 貴方は貴方の天職に合わせて御使い下さいな」

 

「僕は錬成師ではあるが、別に錬成で闘うなんて心算は無いんだよ」

 

「? それは……」

 

 手にしたのは何らかの機器、漆黒の闇みたいな色を基調として縦に長くなって上部に丸い金縁の中に小さな四角いモニターが付いており、全体的に黒いから判り難いが向かって右下側は黒い持ち手と成っている。

 

「あれはデジヴァイス? Dーアークじゃないみたいだけど……何だったかしら?」

 

「Dースキャナだよ雫ちゃん。商品的にはそうだね……『DースキャナVERSION2.0 ブラック&グレー』をカイゼルグレイモンやマグナガルルモンのタイプにした感じかな?」

 

 通常のは銀縁八角形だった。

 

 因みにブラック&レッドが主人公の神原拓也が持つタイプ、ホワイト&ブルーが源 輝二のタイプで、パープル&ピンクな織本 泉タイプ、ブルー&イエローが柴山純平タイプで、水色&グリーンが

氷見友樹のタイプ、先のブラック&グレーなのが木村輝一のタイプとなっている。

 

 形だけを視れば、木村輝一のDースキャナが云わばカイゼルグレイモンやマグナガルルモンに成れるタイプに進化した見た目、実際に木村輝一は『闇』のスピリットを使うから真の属性が『闇』なユートには相応しい。

 

 尤も、『闇』も使うけど矢張り主に使っているのは『炎』のスピリットだったりする。

 

「始めよう」

 

 ~♪ 重低音で音楽が響き始めた。

 

 曲名『The Last Element』という【デジモンフロンティア】での進化曲の一つ。

 

 ユートの左手にデジコードが球状に絡む。

 

「ハイパースピリットエボリューション!」

 

 主体となるのは『炎』のスピリット、『土』、『木』、『風』、『氷』の合計で五種類一〇個の

スピリットを使う。

 

「ハァァァァッ!」

 

 デジコードをスキャンして一〇個のスピリットと一体化、脚に、肩に、腕に、身体に、顔に装着されるが如く姿を変えていき全身を迸る炎に包まれながら進化をした。

 

「カイゼルグレイモン!」

 

 

DIGIMON ANALYZER

名前:カイゼルグレイモン

属性:ヴァリアブル種

世代:ハイブリッド体

種族:竜戦士型

炎のスピリットを基点に風と氷と土と木のスピリットの一〇個と一体化をした竜戦士型デジモン。

それ故に伝説の十闘士をも越える超越種であり、大地に流れる龍脈の力を体内に宿す。必殺技は龍の魂を封ずる『龍魂剣』から白炎化した矢を放つ『炎龍撃』と、大地に宿る八つの龍脈の力を解き放ち、自らが最後の龍となってその大剣にて敵を討つ『九頭龍陣』だ!

 

 

 

 【デジモンフロンティア】ではシナリオの都合上からか、ロイヤルナイツが相手とはいえ負けが込んでいたけど決して弱い訳では無い。

 

 少なくとも勇者(笑)達よりステイタス値に劣るだろうトータス人を相手に、こうやって披露をする様な力ではまるで無くて過剰な戦力である。

 

 尚、カイゼルグレイモンだった理由は『光』を基点として『雷』『闇』『鋼』『水』のスピリットと一体化するマグナガルルモンが嫌だとかでは勿論無くて、単純に『水』のヒュマーマンスピリットとビーストスピリットはミュウに貸し出されている上に、『光』のスピリットは【リリカルなのは】の主体世界に行く前にとある少女と共鳴、手持ちのデバイスがDースキャナ化して選ばれてしまった為に譲渡したから進化の仕様が無かった。

 

「ある意味でこのカイゼルグレイモンも超越種、故に油断などする事無く掛かって来るが良い!」

 

 それは紛う事無き事実である。

 

「嗚呼、良い! 良いですわ! それではイキましてよっっ!」

 

 ユートの荘厳とさえ云える声を聴いてブルリと恐怖感と武者震いに震え、それでありながら高揚感から震えたトレイシー元皇女は歓喜と愉悦に満ち満ちた表情で、手にした魔喰大鎌エグゼスを構えると一般人では先ずを以て目にも留まらぬ迅さで駆けるのであった。

 

 

.




 そして帝国編がまだ終わらない。


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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