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フロストタートルを討ち取ったユート一行だったが、眼下に広がるのは大迷宮の中に存在している大迷路と洒落ながら洒落にならない光景。
「横幅がザッと見て四Km程度って処だろうか、なら縦横の幅が同じと考えれば縦幅も四Kmだと推定するしかないな」
「何て面倒臭そうな迷路かしら?」
雫も額に右手を添え眺めつつ呟く。
(こういう時はあいつの全マップ探査が便利に思えるよな~)
嘗ての仲間の便利機能を思うと溜息を吐きたくなるくらいに面倒な迷路だ。
(僕のオートマッピングだと一度は歩かないといけないからな)
これはこれで便利ではあるが、矢張り歩きもしないでその気になれば敵と味方の判別から罠察知まで、色々と多彩な機能を持っていた彼のアレは本当に便利極まりない。
彼が男でさえ無ければヤって貰うくらいしたかったし、仮に敵なら殺して奪ってやりたいくらいの能力だった。
実際に彼女のスキルは一度引き剥がしてしまった上で、インストール・カード化して再び与える事でスキルのマイナスを打ち消したし。
「なぁ……態々、迷路を進まなくったって上から行きゃ良いんじゃねーか?」
脳味噌にまでも筋肉がギッチリと詰まっている坂上龍太郎がナイスアイディアと云わんばかり、仮面ライダークローズチャージの力と自身の持つステイタスを駆使して飛び上がって氷壁の一部を足場に最上まで駆ける。
「あの御莫迦さんは……」
余りにも頭の悪い行動に頭を抱えながら嘆息をするが、行ってしまったものは仕方がないと諦めて顛末を見届ける事にした。
「大丈夫かしら龍太郎?」
「まず大丈夫じゃないだろうな。バリアで弾かれる程度なら仮面ライダーの坂上は『痛々たたた』くらいで済むだろうが、境界線上に転移トラップが仕掛けられていたら『いしのなかにいる』的な事に成りかねない」
「「「「ぶふーっ!」」」」
洒落にもならない事を言われて地球組が全員で噴き出してしまったが、いまいち理解が及ばなかったトータス組は首を傾げていた。
その『いしのなかにいる』は【Wizardry】にて有名な言葉、転移トラップに留まらず味方が唱えた魔法による転移ですら失敗すればそうなる。
そして漏れなく死亡するのだ。
「オルクス大迷宮の表層二〇階層にすら悪辣とも云える転移トラップが在った。なら【解放者】が本格的に造った真の大迷宮に転移トラップってのは考え過ぎだろうか?」
「龍太ろっ!?」
上で手を振り声を上げようとしていたであろう坂上龍太郎がフッと消える。
「ぎゃぁぁっ! 龍太郎が? 龍太郎が消えてしまったぁぁぁっ!?」
「ふむ、転移トラップだな」
スンとした表情――仮面ライダーセイバーの仮面で見えないけど――で呟くけど、天之河光輝と全くの正反対な感じだったがユートからしたなら予測の範疇でしかない。
「何処に行ったのかしら?」
「多分だが、そこら辺に戻ってくるだろう」
「え?」
雫の疑問に答えた瞬間……
「龍太郎? か、仮面ライダークローズチャージの凍り漬け」
六角柱の氷塊が転移してきて中に仮面ライダークローズチャージが顕れたのだ。
「美女……せめて黄金一二宮の時の氷河みたいな美男子なら絵にもなるだろうに、仮面ライダークローズチャージの中身は野獣と見紛うばかりの男だからな~」
いったい誰得なのか?
「言ってる場合か!」
「生身ならすぐに窒息死しそうだったんだけど、僕の造った仮面ライダーは基本的に水中や宇宙でも活動が出来るからな。そんなに急がんでも動けない苦しさを味わうくらいだよ。それくらいなら莫迦をやらかした罰には丁度良いさ」
何処ぞの『宇宙キタァァァッ!』な仮面ライダーは宇宙活動がデフォルト、実際に宇宙空間へと出て行動もしているくらいではあるのだけれど、ユートの仮面ライダーは暑さ寒さなどにも適応力を持っているし、宇宙空間や海中などでも活動だけなら出来る仕様となっていた。
「うん? ファイヤーウォール!」
ユートが魔法で火炎壁を築き上げると天井から殺意マシマシな、如何にも貫き通し易そうな鋭い氷柱が生えてきて攻撃をしてくる。
「あ、防御しなけりゃあの氷柱は動かなかったのかも? となると、脱出された場合の追撃トラップだったんだな」
何しろあの無数の氷柱は火炎壁を出した途端に射出されてきたのだから。
「ま、良いか」
火炎剣烈火をソードライバーのバックル部分へと納刀、トリガーを引いて必殺技モードの発現をして『火炎十字斬』を文字通り縦斬り横斬りという十字に氷柱を斬り裂く。
氷柱はあっという間に溶けて消えた。
仮面ライダークローズチャージだっただけに、動けないストレス以外にダメージも無い。
原典では『大変な変態』状態に陥った事を鑑みればマシな状態で、原典を識るであろうユーキや白夜が視ればそう考えるであろう。
「ふむ、氷壁は高さが約一〇mで厚さが約二m。壁を破壊しながら一直線に行っても構わないと言えば構わないが……」
他の人間ならば未だしも、ディケイドとしての『概念的な破壊』がある程度でも可能なユートであれば、それも容易くは無いけどやれば出来そうな話だったりする。
「疲れるから止めとくか」
本物の仮面ライダーディケイド――門矢 士だったらどうかは判らないが、少なくともユートであれば消耗をするから使いたいとも思わなかった。
因みに、例のアレ……オーロラカーテンと呼ばれている転移ゲートも使えるけど、ユートがやると矢張り可成り消耗してしまう辺り紛い者でしかないのであろう。
所詮は模倣に過ぎない……と。
氷柱攻撃も止んだのでユート一行は先に進む、導越の羅針盤は無効化されないらしいから導かれるが侭に進めるのは楽だ。
「今度はオーガ、謂わばフロストオーガって処なんだろうけどな」
仮面ライダーなら大した脅威にもならないし、何ならユートは生身でも脅威とはなるまい。
生身で大魔王と相対する勇者は即ち大魔王にも等しい存在であると――勇者ダイやローレシアの王子たるアレンが云われた事でもある。
特に勇者ダイは独自で竜魔人にも等しい力を手に入れたし、ローレシアの王子は他の二人とは異なり魔法の力を抜きに破壊神シドーを破壊した。
尤も世界的には大々的に知らされていないのだけど、この闘いには勇者アレルの双子の弟の生まれ変わりとされる少年が合力していたが……
勿論、ユートの事だ。
勇者アレルの双子の弟として疑似転生をしてからは、取り敢えず勇者アレフが竜王を討つまではその立場を維持していたけど、更に百年間を待つのもアレだったから再び疑似転生をした。
立場はジパングの貴族家――通常の侯爵くらいの身分に生まれ、王女アスカの婚約者として誕生をした日から決められていた訳だが、それを放り投げてギアガの大穴の木漏れ日みたいな穴を使いアレフガルドへ、そして勇者アロスの時代から育まれていた土地へと向かう。
竜王を退治した勇者アレフがローラ姫を伴って訪れた新大陸、其処に建国されたローレシア王国と兄弟国家としてサマルトリア王国、始めから在ったムーンブルク王国に王女を嫁がせて三大ロト国家として栄えていた。
ユートがムーンブルク王国を訪れた頃に丁度、破壊神の大神官ハーゴンの操るモンスター軍団が襲撃してきて、ユートはムーンブルクの王女であるセリアを救出して二人旅に出る。
目的はローレシア王国とサマルトリア王国へと救援要請する為だったが、それなりに身形が良い同じ年頃――少し上くらいの少年に窮地を救われた深窓のお姫様が彼女な訳で、どうなったかなど最早それは語るまでも無い話しであろう。
そして大神官ハーゴンと破壊神シドーを討ち、ユートは一応だけどムーンブルク王国へ。
然しながら【キャラバンハート】と大筋が変わらなかったと云えば解る筈、ローレシア王国では王子アレンが行方知れず、サマルトリア王国ではロトの血筋と関係無い王家が立ち、ムーンブルク王国も荒廃をしていて亡びを迎えていた。
恐らくだがローレシアの王子アレンは漫画版のアレ――【ドラゴンクエストモンスターズ+】に於けるロランと同じ様になったのだろう。
残念ながらユートが知り合ったのはロランの方であり、サマルトリアの王子サトリとムーンブルクの王女ナナというユートの識る顔でありながら識らない名前の別世界線から来た同位体。
まぁ、そこら辺は現状ではどうでも良い事だから捨て置くとして……
「フロストオーガ程度なら天之河でも殺れそうだしな、大迷宮攻略は寄生プレイじゃ話にならないから天之河が主だって闘うべきだろうね。坂上は天之河を手伝っても構わないけど飽く迄も天之河を主体に闘う様にしてくれ」
「判った」
「応よ!」
流石に素直に頷いた天之河光輝と、特に蟠りの無い坂上龍太郎が武器――天之河光輝は鉄の剣、坂上龍太郎は普通に拳を構えての突進を行う。
一応、それなりの業物らしいけど鉄製となると矢張りそれなりはそれなりでしかなく、仮面ライダークローズチャージの拳にも劣る程度だけど、それでもステイタス値は本来のMAXよりは低いにしても全能力が一〇〇〇を越えてた天之河光輝、御陰様で?
フロストオーガを殲滅後にそこそこの広さを持つ場所に出て、其処には氷で造られた荘厳で且つ美麗なる芸術性の高い扉が鎮座していた。
その扉には複雑に絡み合う茨と薔薇と思われる花が意匠としてきめ細やかに彫られて、一般的な人間の頭くらいの位置に茨で囲われた円形が存在しており、内側には三つの丸い穴が空いているのが見受けられる。
「どっかで見た扉だな」
「そうだったかしら?」
「雫も見た筈だが?」
「……へ? 私も?」
ユートの言葉に頭を抱えながら思い出そうとする雫だったが……
「うーん?」
記憶判定にファンブルしたのか、どうやら思い出せなかったらしい。
「……あ! 確かにユエちゃんが封じられていたオルクス大迷宮の五〇階層の扉みたい!」
そして香織が成功して思い出す。
「そう。こんな綺麗な意匠の模様は彫られちゃいなかったし、穴も二つだけだったけど彼処に在った扉がこれと似たモノだ」
「ま、まぁ? オスカー・オルクスさんもヴァンドゥル・シュネーさんも同じ【解放者】だったんだから仲良しで、扉のトラップも似た物を造ったんじゃないかしら?」
思い出せなかった雫が明後日の方向を向きながら誤魔化す様に叫ぶ。
「否、ミレディから聞いた話だと二人は方向性に違いが有って仲違いしていたらしい」
とはいえ、それはトムとジェリーみたいな関係で『仲良く喧嘩』をしていた感じだろう。
「そうなると、あの窪みに珠を嵌め込めば扉が開く仕組みな筈だが?」
「あの時は扉をサイクロプス二体で守護者をしていて、斃したら出てきた魔石で扉が開いたんだったわよね?」
雫も思い出したらしいが、そんなガーディアンらしき魔物が居る様にも見えない。
「どうやら別の場所みたいだな」
「……ん、最短ルートで来た弊害。どうする? 捜しに行く?」
ユエがちょっとやる気を見せる。
「休もう」
「……ん?」
「大迷宮を進みっ放しで疲れたからな」
取り敢えずの休息を取ろうという話が出たので仮面ライダーの変身を解除した。
それと同時にユートは結界を敷いて魔導炬燵を出してやり、更に誰にも見えない様に右手に持った機器を操作してやる。
【閃姫】達だけでなく天之河光輝も疲れたという顔でグデーッとしており、矢張り強行軍というのは疲労困憊半端ないらしい。
「はぁ、癒されるわ」
「……ん、温かい」
「はう~、何だかダメウサギになっちゃいそうですぅ……」
「こんな寒い場所でオコタなんて、もう出たく無くなっちゃうかも~」
「鈴、何か眠っちゃいそう」
「ふぉぉぉ、気持ちが良いのぉ」
【閃姫】達は寒い洞窟内での炬燵に表情が蕩けてしまい、玉無しな天之河光輝は扨置き坂上龍太郎も年頃の女の子達のだらしなく蕩ける姿を視て
「鈴、流石に寝るのはヤバいから止めておけよ。それとティオは駄竜にでもクラスチェンジをする心算か?」
雫が、ユエが、シアが、香織が、鈴が、ティオが口々に言う幸せそうな科白に対してはユートが一言を申し渡した。
「だ、駄竜とな!?」
原典と異なり変態化していないティオなだけに衝撃を隠せない、変態化していたら寧ろ今の言葉に『ハァハァ』しながら御股を湿らせていたのかもしれないけど。
尤も、ユートならそんなティオを遠慮無しに喰ったのだろうから問題も無い。
変態駄竜化していないからこそ誇り高き竜人族として遇しているし、何かと理由を付けてミュウの相手を頼んでセ○クスに至るのを避けていたのだけど、本人がそれでもと望むから今では普通に寝所でその豊満にして、人型ならパーフェクトたる体型のティオの肢体を愉しませて貰っていた。
今はミュウも居ないから誰憚る事も無くなり、漸くティオは本懐を遂げたと謂わんばかりで抱いた後はニヨニヨとしていたが……
『それが本懐じゃ無いだろうに』
というツッコミは野暮かと思ったユートは普通にティオの大事な部位へ、自らの肥大化した欲棒の塊を突っ込んでヤったものである。
その度に今まで聞かなかったティオの可愛らしい啼き声を響かせ、ユートの股間は熱く猛ったから最大限の大きさでティオを更に啼かせたとか、ある意味では性のスパイラルにハマった感じだ。
「そう言えば結局は旅に出たから判んないんだけどさ、ハイリヒ王国とヘルシャー帝国は支配者が――王様が変わったじゃない?」
「そうだな。ハイリヒ王国はアインハルトが仲間と治めているし、ヘルシャー帝国はクオンが矢っ張り仲間と治めているからね」
「名前はどうなるのかしら?」
「国号か? 変えない可能性も有るんだけどな、在り来たりにするならハイリヒ王国がシュトウラでヘルシャー帝国がトゥスクルとかか?」
アインハルトの先祖に当たるクラウス・G・S・イングヴァルトが治めていた国がシュトウラであり、クオンが皇女として暮らしていた国の名がα世界線にせよβ世界線にせよトゥスクル。
α世界線で別の時空軸だとトゥスクルとヤマトにより戦争が起き、結果的にクオンがハクトルを殺してしまったらしくて、その軸のクオンの仲間とも云える者達の何人かが名前を変えつつ追っていたのをユートは識っていた。
本来の軸だとクオンが結局、トゥスクルでどう動いたのかはよく識らない。
ハクを想い慕っていたからにはハク以外と結ばれるのを良しとしなかったろうが、オボロは当時から未婚なのはβ世界線と同じだったらしいし。
現在、ユートを慕って娘というより恋人に近い立ち位置でヘルシャー帝国を治めるクオンとは、α世界線のβ軸――ユートが関わらずハクとも出逢う前の存在である。
そしてユートの介在によりα軸のクオンとγ軸のクオン――リンネは改めて融合を果たしており、そんなクオンにはユートが双子座の黄金星聖衣をヴィヴィオと同じく与えていた。
ヴィヴィオにも先祖みたいな存在となるであろう『まつろわぬオリヴィエ』を内包しているし、ユートみたいな『もう一人の自分』を持つが故に双子座の聖衣は相応しい。
『まつろわぬ神』とは言っても神話を基にして顕現した【カンピオーネ!】世界の様な存在では無く、本人の魂が昇華されて昇神を果たした本来のオリヴィエ・ゼーゲブレヒトである。
星聖衣は本物の黄金聖衣みたいに唯一無二という訳では無いし、素材その物は同じ神鍛鋼とガマニオンと銀星砂の合金だけど色の感じが違う。
黄金聖衣は重厚な正しく『黄金』と呼べるだけの輝きと太陽の煌めきを放つが、此方はどちらかと云えば鱗衣みたいな軽い金色の輝きだ。
量産が利くから敢えて本物程の物にはしていないのだし、小宇宙でなくとも氣力や霊力や魔力や念力などでも扱えるお手軽感。
だからこそある意味でアインハルトの補助役としてヴィヴィオ、ヘルシャー帝国ではクオン本人という同じ星聖衣の持ち主が揃っていた。
因みに、ユートの双子座の黄金聖衣は再誕世界からアテナの許可の許に持ち出した本物である。
幾つかの四方山話が終わった頃、天之河光輝が
ボソリと呟いていた。
「さて、充分に休めたし……そろそろ動こうか。そうだ……天之河」
「な、何だ?」
「僕は勇者を嫌っている訳じゃないぞ。僕自身が嘗てロトゼタシアの勇者をしていた事もあった訳だし、本来は存在しない勇者アレルの双子の弟だった事もあるからな。それに下らない勇者モドキは兎も角、本気で魔王を斃さんとして命懸けで闘った勇者も見知っている。とある世界では勇者の盟友と呼ばれた事もあるからな。お前は残念ながら
「ぐっ!」
一応、ユートは勇者の称号そのものには隔意を持っている訳ではないと伝えておくのは、先程の呟きが聞こえていたからに他ならない。
『何で勇者を嫌うんだ?』
ユートが嫌うのは勇者モドキ、勇者そのものに嫌悪感を持っている訳では無いのだから。
「お、戻ってきたな」
「何だ? あのメタリックな犬? は!」
坂上龍太郎が驚く先には確かに漆黒な金属に鎧われてメタリックな……三つの顔を持った犬みたいな存在が居た。
「見付けて来たか?」
「ああ、この宝珠が件のキーだと思われる。確かにガーディアンも居たからな」
ユートが訊ねるとそれに応える犬。
「優斗、あれは?」
「ケルベロモンX抗体。敵の魔物じゃないんだから剣を降ろせ天之河」
雫の問いに答えつつ天之河光輝を窘めると渋々とだが剣を降ろした。
「良かったな、ケルベロモンX抗体はデジモンのクラスでは完全体だけどゼヴォリューションをしている分だけ可成り強い。成熟期にもまともに勝てない天之河じゃやられていたろうよ」
「くっ!」
嘗て、ドーベルモンをサルベージした際に足りないプログラムにX抗体を足したけど、一番最初に進化した時にはまだ馴染んでいなかったのか、普通のドーベルモンとケルベロモンを経てからのアヌビモンへの究極進化を果たした訳なのだが、【デジモンセイバーズ】の世界でデジヴァイスicを手に入れて、デジソウルチャージによる進化が可能に成った時にガジモンからドーベルモンへと進化してすぐ『Xー進化』が起きた。
爾来、デジヴァイスバーストを使って行われるデジソウルチャージによって進化させた場合は、ドーベルモンX抗体とケルベロモンX抗体に進化をした上で、アヌビモンへと究極進化させる形に落ち着いたと云える。
Dーアークでの進化は、通常のドーベルモンからのケルベロモン・ジンロウモード→プルートモンへの究極進化となっていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
再出発をするに当たって必要なキーアイテムとなる宝珠、ユートはケルベロモンX抗体を使って予め一個は手に入れてしまった訳だ。
天之河光輝が難しい顔をして口を開く。
「な、なぁ」
「どうした? 天之河」
「それってズルじゃないか?」
「ズル? 何が?」
「だって、そうじゃないか! 自分は楽していた癖に魔物を使ってアイテムを取りに行かせるなんてズルとしか思えな……っっ!?」
最後まで言い切る事が出来ず肩をビクリと一瞬だけ震わせて押し黙る。
「魔物……だと?」
「ヒッ!? ま、魔物だろう!」
「天之河、死にたいのか?」
それは前にやったみたいな念による威圧では決して無く、それは謂わば純粋なる殺意の波動とでも云えるであろう殺気。
「な、何だよ?」
「デジモンテイマーにパートナーデジモンの事を悪く言う……それは問答無用でデジモンを嗾けられても文句が言えない所業だ」
勿論、そんな倫理観が欠如した事をやらかす様なデジモンテイマーは居ないだろうが……
「僕は普段、他のテイマーみたいにガジモンを連れ歩いたりはしないが、これでもテイマーとしての誇りくらいは持っている心算だ。パートナーを単なる魔物呼ばわりされたら殺したくなるな」
「あ、が……っ!?」
殺気と一括りにして言ってみれば実に穏やかな言い方、ユートの殺気は正しく他者を殺し兼ねない程のどす黒い殺意を圧縮して圧縮して圧縮したモノを幾つか集めて更に凝縮、それを目標へ向けて高密度で発射したのがそうだった。
例えばこの相手となるのがヒソカ・モロウとかいう道化師っぽい男なら、下半身のソレをギンギンに勃起させて昂奮しながら奮えたろう。
然しながら天之河光輝にそんな殺意を受け止める度量など有る筈も無く、カテーテル越しに尿意を止められずダバダバと盛大に漏らしてパンツを濡らしながら気絶してしまったのである。
「ふん、ちょっと大人気なかったか」
白眼を剥いて仰向けに倒れた天之河光輝なんて最早、視ている価値も無いと謂わんばかりに目を一度閉じてDーアークを翳す。
「ガジモン、有り難う。助かったよ」
「応、いつでも呼んでくれ」
ケルベロモンX抗体から退化をしたガジモンはデジタライズされDーアークに還って行く。
「普段から連れていたら間違い無く他の人間辺りに突き上げを喰らうからな」
松田啓人もギルモンを連れ歩くのは憚るからとダンボールを被せていたし、ヌイグルミの振りが可能なテリアモンや隠形の術が使えるレナモンとは矢張り違う訳だ。
尚、セイバーズではデジヴァイスicにパートナーを仕舞えるので問題は無いし、ある程度ながらデジモンが認知されている世界だから連れ歩くのも割と可能だったりする。
「確かに、デジモンと魔物の見分けなんて付かない人も多いでしょうし、私達の地球でのデジモンはアニメと漫画と携帯ゲームとカードゲームで、本物が顕れたりする【デジモンテイマーズ】とは矢っ張り違うものね」
雫も溜息混じりだ。
【デジモンテイマーズ】は基本的に【デジモンアドベンチャー】というアニメの放映をしつつ、デジモンカードゲームで子供達が遊ぶ現実世界に近いながら、デジタルワールドが存在してデジモンも実は存在していたという世界観。
つまりデジモンというのは仮想存在としてのみ認知されていた世界、【デジモンアドベンチャー】や【デジモンフロンティア】や【デジモンセイバーズ】みたいに仮想存在としての認知が成されていなかった世界とは少し異なる。
実際に、松田啓人も八神太一や本宮大輔という二人の主人公を識っていた。
これについて本編では詳しい描写もされてはいなかったが、【デジモンクロスウォーズ】に於ける第三部のラスト辺りで彼が八神太一と本宮大輔を見て、同じ年齢の二人を見れて嬉しそうに言っていた事から判る。
事実として本宮大輔が小学五年生でブイモンと出逢った頃、八神太一は普通に中学生として生活をしているのだから本来は三歳下。
「ほら、さっさと起きろ愚図勇者(笑)!」
「ぶごっ!?」
頭を蹴り飛ばされて強制的に起こされてしまった天之河光輝は、頭をさすりながらユートの事を恨めしそうな目で睨んでくる。
「な、何をするんだ!」
「気絶中に魔物の中へ放り込まれなかっただけでも有り難く思え」
「なっ!?」
「魔物と戯れればデジモンとの違いも理解が出来るかも知れんしな」
その前に死ぬだろうけど。
「そんな些細な事は置いといて、お前と坂上が組んで一個。雫達で一個の宝珠を手に入れようか」
「ハァ?」
「真っ当なやり方で手に入れたいならそうすれば良い。自分だけがやる分には僕も別に文句は言わないからな」
「なっ!」
「というか、僕だけで宝珠を手に入れた場合だと雫達の判定結果が悪くなりかねないからな」
寄生プレイは魔法陣に弾かれるのだ。
「最低限、一緒にガーディアンと闘うくらいしないといけないかも知れない」
「確かにね、判ったわ優斗」
雫は理解をしたし、香織やユエ達も確りと頷く辺り思惑は理解はしたらしい。
「な、何で俺は龍太郎だけなんだ!」
「少なくとも香織と一緒に出来ないのは理解しろや腐れ勇者(笑)」
「香織は幼馴染みだぞ!」
「その幼馴染みを相手に何をやらかそうとしたか覚えてもいないのか? 少なくとも一緒に行動をしたいとは露にも思わないだろうな」
「そんな事はある筈が無い! な? そうだろ、香織!」
天之河光輝が振り返ると……
「え、普通に嫌かな」
スンとした顔で天之河光輝を視ている香織からの無情なる答えが返ってきた。
「か、香織?」
ユートの時は無理矢理では無かったし、酷いとはいえ一応だけど命か純潔かの選択肢も用意されていたからか心も許せた、だが然し天之河光輝の場合は欲望に満ちた眼で睨みながら押し倒して来たのである。
嫌がろうがどうしようが無関係に、【閃姫】の特性が無ければ犯られていたであろう事は想像に難くは無い。
最早、それすらデキないとは判っているが矢張り嫌なものは嫌だろう。
「し、雫!」
「私も嫌よ」
「鈴!」
「鈴もちょっと……」
地球組は当然ながら全員が断る。
「ユエ、シア、ティオ!」
「……は? 呼び捨てにするな腐れ」
「巫山戯んのも大概にして貰えます? って言うか名前を呼ばないで下さい気持ちが悪い」
「エヒトルジュエの手下が妾の名を軽々しく呼ぶで無いわ戯けが!」
そしてトータス組は辛辣に過ぎた。
意気消沈して向かう天之河光輝と、慰めながら同じ方向へ進む坂上龍太郎。
更に香織達はもう一方へ向かう。
それから暫く経って全員が戻って来たのだが、勇者(笑)の装備している鉄剣が折れていた。
半ばからポッキリと逝ってしまった鉄剣はもう修復自体が不可能である。
然し、前に[保温]の魔導具を造って貰った際にも五万円を出す羽目になった。
正直、剣を頼んだら多額の借金をしなければならなくなりそうだったし、
そして態とらしく坂上龍太郎と折れた鉄剣に付いて話してみたが、ユートは特に関心も持たないで宝珠だけを受け取っている。
蔑ろにされていると天之河光輝は憤慨するが、香織や雫からすればハジメを蔑ろにしていた事を鑑みて自業自得としか思えないし、ユエ達からしたら失点しか知らないから全く気にならない。
それに天之河光輝が錬成師という天職を、南雲ハジメを下に見て無能だと考えていたのは
「へぇ、ヴァンドゥル・シュネーは天職が芸術家だとは聞いていたけど素晴らしいな」
三つの宝珠を嵌め込むと、美しい光沢を放ちながら正しく芸術としか思えない光景を魅せた。
開かれた扉の先に広がるのはミラーハウス……その極致とも云える光景であろうか?
「氷で出来ているのは判るけど最早、完全な鏡にしか見えないわね」
「うん、普通にミラーハウスだよね」
雫の感想に鈴が頷く。
氷壁が向き合い合わせ鏡となり無限回廊を造り出しており、壁から冷気を放っていなかったならばそれが氷壁だと判らなかったくらい。
「氷鏡面って感じだな。無限に連なる合わせ鏡は世界線の境界を越えた謂わば平行世界にも通ずる……か。確かにこれは中々に興味深い」
「……吸い込まれそう」
オーロラカーテンの彼方側の如く深淵な世界を見たユエが、右腕を伸ばしてその小さな掌を鏡面と化した氷壁への触れて呟く。
「大丈夫だよ、ユエを手放すなんて勿体ない事は僕がしないから」
「……ん、放さないで」
因みにこんなラブシーンはユエのみならず他の【閃姫】達とも普通にヤっていて、流石に羞恥心から雫は成る可くやらかさない様にしてはいるのだが、良い雰囲気になるとお姫様思考に浸されてラブシーンを展開、そして終わったら我に返って恥ずかしそうにポニーテールガードをしていた。
「そう言えばユエさんだけ氷雪洞窟に潜る前に呼ばれたけど、結局は何だったのか教えてくれなかったわよね?」
氷雪洞窟に潜る前、ユートはユエだけを呼び出して二人きりになっていたのだけど、表情が普段と変わらなかったから潜る前の景気付けとして、一発ヤったのかも知れないという予測は違っていたと考えている。
「ああ、ちょっと念の為にな」
「ふーん?」
全く答えになっていない。
そんな事をしていたら天之河光輝が行き成り立ち止まり、キョロキョロと目を見開きながら辺りを見回し始めている。
「どうしたのよ、光輝?」
「あ、ああ。雫、今何か聞こえなかったか? 人の声みたいな……こう囁く感じで」
「ちょ、止めてよ光輝君!」
天之河光輝には囁き声でも聞こえてたらしく、ホラーが苦手な香織がそれに反応をした。
「そうか」
ユートは一言だけを返す。
「ほ、本当なんだ! 信じてくれ緒方!」
「そんなウルトラマンAの北斗星司みたいな事を言わんでも疑っちゃいない」
尚、北斗星司は基本的に信じて貰った試しなど無かったりする。
「それで、声は男だろうが……内容は?」
「え、確か『この侭でも良いのか』って」
男だと断定する天之河光輝にユートは兎も角、他の面々は聞こえぬ声に困惑気味だ。
「こうか?」
ユートがそれを再現。
「『この侭でも良いのか?』」
「そ、それだ! その声!」
まるで犯人を見付けたと謂わんばかりに指差して荒声を上げるが、更に困惑をしているのは天之河光輝の幼馴染み~ズである。
何故ならユートが再現をした科白、その声とは紛れも無い……天之河光輝の声そのものだったのだから。
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お陰で残業なんかもあってだけど書くのが遅くなった……
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
-
性犯罪者となる