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寝室はまるでラブホテルを体現したかの如くな煌びやかさとケバケバしさ、そして仄かに薫ってくる淫靡さに満たされた空間であった。
雫がユートと結ばれたのはトータスの地だった訳だし、何なら灯りこそ在っても其処は何も無い奈落の底たるダンジョンの中でが初めての時。
もう少し雰囲気が有って色恋に浮かれた気分で大好きな男の子に優しく抱かれたい……何て事を夢想していた乙女な雫としてはちょっとだけだが残念に思えて成らないが、それでもせめてもの救いは性交の相手が気になる男の子――と呼ぶには見た目は兎も角として実存在時間は永いのだけれど――だった事であろう。
それでもあんな奈落でさえ無ければ存外と悪く無い、条件付きで無理繰りに――『抱かれた』というより『犯された』みたいな感覚はあれども、別に服を無理矢理に引き裂かれて泣き叫びながら嫌悪感溢れる挿入に破瓜の血を流した訳で無く、まるでお姫様の如く優しく触れられて高鳴る心臓の音を聴かれないか心配したくらいで、紅い頬を見られたくなくてそっぽを向きながら喘ぎ声を抑えるべく手で口元を押さえ、初めて感じる快感に流されて遂には快楽を貪る嬌声を上げて羞恥心にユートを見上げれば、本人がフツメンを自称するには顔立ちがドキリとする程に整っていた上に、初心な雫の唇を触れるだけのキスで心を満たしてくれた。
形だけは『犯された』雫、実質的に『抱かれた』のだから満足感を充分過ぎるくらいに得て、酒など飲んだ事も無かったけどこれが酔い痴れた酩酊感かと思うくらいに茫然自失となる一夜。
まぁ、この時の事後な雫を何らかの形で文章に起こしのならば正しく、一八禁待った無しな表現となるのは先ず間違いが無いであろう。
それは兎も角として、雫としては普通の部屋で抱かれたかったのであって別に、ラブホテルみたいな部屋でヤりたい訳では決して無かったからか『コレじゃない』感がたっぷりだ。
しかも見た目こそ金髪緋目で褐色の肌ながら、顔の作り自体は雫本人と双子の如くな美少女――手前味噌――が共に寝転がっている。
所謂、3Pというやつだった。
然も然も、その雫にそっくりさんは肉体的には『初めての性体験』だったから、白色で乱れているシーツには点々と赤黒い染みが浮いている。
本来ならそんな時間は取れない筈であったが、この意識と無意識の狭間となるメメントスみたいな空間は、ユートの働き掛け次第で時間すら割と自由に操作が可能と成っているらしく、DBで云えば『精神と時の部屋』と似た事も可能ときた。
つまり、この部屋で一年間を過ごしても外では一日でしかないを地で往くのだ。
況んや、僅か数日なんて外では一時間にも満たない時しか刻んではいない筈。
(一年を三六五日としたらつまり三六五倍の時間が流れている訳よね)
普通なら内部で五〇年過ごしても外部では僅か五〇日、二ヶ月にも充たない時間で半生を喪うなど有り得ない事なのだろうけど、雫は【閃姫】であるが故に彼女の肉体年齢は一七歳から一切変わらない侭である。
それでいてそれ以外の生理現象は普通に行われるのだから不可思議。
髪の毛や爪は普通に伸びるし、卵巣から子宮へと卵子も排出されているから妊娠もするし、血を流せば自然治癒能力で傷だって塞がるのだ。
とはいえ、ユートとの性交に於ける妊娠確率は実に一%を切るのだが……
ボーッとしている雫だったけど、それを覚ます様な出来事が起きてしまっては目を開く。
「
それは雫も見覚えがある顔。
「ク、クオンさん!?」
「あ、失礼をしたかな? だけど
素っ裸であった雫は第三者の登場に慌てて自らの肢体を毛布で隠すが、それを見たクオン? は頭を下げながらも雫の間違いを正した。
「クオンさんじゃない? そういえば確かに……クオンさんにしては顔立ちが大人びているわね」
服装もクオンとは可成り異なる。
「平行世界のクオンさん? だけどクオンさんであってクオンさんでは無いって……」
トータスに来たらしきクオンにはα世界線でのクオンとβ世界線に於けるクオンが居るらしく、形としてはハクオロのみが関わった世界線がαとされて、ユートも関わった世界線がβと呼ばれているらしいのは聞いていた。
その差違としては、ヒロインとの関わりに大きな波紋を投げ掛けて拡げたのはユートが干渉をした別の原典世界と変わらない訳だけど、次回作のヒロインを産む筈だったヒロイン――ユズハと結ばれたのがハクオロかユートかの違いは矢っ張り大きく、見た目こそ双子みたいに違いが無かったクオンは然しながらDNAは半分が異なる。
というのも【うたわれるもの】の世界に於ける
名前もユズハが付けたから同じだった。
「なら名前は? クオンさん……とは名乗っていないのよね」
「はい、私は……」
「ユカウラ!」
「……ですよ」
名乗る前にユートが呼んだ。
クオン? 改めユカウラと呼ばれた女性はチロッと赤い舌を出しウインク、何歳くらいのクオンなのかは雫にも定かでは無かったけど可愛らしい容貌なだけやけに似合う。
「取り敢えず、父様」
「応、それで首尾は?」
「勿論、完遂しました。不安定な神様だったとしてもこのくらいは容易いかな」
ニコリと笑みを浮かべたユカウラはまるで誉めてと云わんばかりに尻尾を振っていた。
比喩では無く物理的に。
「よっしゃ!」
ニヤリと笑うユートが溢れんばかりの親愛を込めて頭を撫でてやると、頬を瞬く間に染め上げたユカウラがトロンとした表情となる。
後に聞いた話によると、このユカウラは間違い無くハクオロとユズハの娘である処のクオンで、つまりは大別してみればα世界線での彼女だと云うのだが、【うたわれるもの~偽りの仮面~】を経ていない=主人公たるハクとも出逢う事も無くヤマト國にて過ごし、ヤマト國の滅亡を目の当たりにして内なるウィツァルネミテアを覚醒させ、ハクが消えて呑まれた原典世界でのクオンとは違いその力を自らのモノと取り込んだ。
呑み込まれたのでは無く取り込む。
どうして内なるウィツァルネミテアを覚醒させたか? に関しては至極尤もな理由から。
横線や縦軸が違っていても基本的に差違が無かった……つまり、ヤマト國には『白楼閣』と呼ばているとても大きな旅籠屋が存在していた訳で、この旅籠屋の女将と女子衆の一人はクオンにとって云わば義母、幼い頃の彼女を慈しみ育んでくれた何人かの母親達と同じ立場なカルラとトウカの二人であったからである。
巻き込まれた二人は元より確かな腕前の剣豪、簡単に殺やられたりはしないにしても多勢に無勢では時間の問題でしか無く、クオンの『御母様達を助けたい』一心は内なるウィツァルネミテアを呼び起こしてしまった。
それを完璧に取り込んだクオンは超越者としての神化を成し遂げ、最終的に今現在の姿が固定をされて自らを『
(どういう意味かしら? まぁ、第三者に関しては今更だから良いんだけどね)
ユートとユカウラの会話の内容は理解が全く以て及ばないが最早、事第三者という意味合いでは雫も達観をしてしまっているものだった。
何故なら、このメメントスっぽい空間の中には人間? らしき存在が普通に居たから。
耳には金属らしき当て物をした見た目には確かに人間、然し彼女達は自らを『
「おや、ユカウラ様」
ユートの湯浴みを手伝っていたのだろうけど、仄かに湿り気を帯びている白い湯着を身に着けた女性――ナトリイトリが現れてユカウラを見ると頭を下げて名前を呼んだ。
普段はユートの秘書官の一人として働いているそうだが、飽く迄も代理人形としてこの場を仕切る立場であるのだとされている。
どう見てもユートを気にしている風だったが、後の何人かと共にこの空間ではユートの世話役として動き、その気になれば呼称の通り
雫からしたら『え、デキるの?』と言いたかったけど、基本的にはDBの人造人間18号みたいなもので肉体としては人間と変わらないとか。
「マグネ、ユカウラ様に御茶を」
「は~い、御姉様!」
マグネと呼ばれた少女はマグネシグネ、ナトリイトリを『御姉様』と呼んだ彼女は右手を挙げて応えると御茶を淹れるべく別室へ。
雫も何度か気をヤってしまったのを介助して貰っており、ちょっとヤり過ぎだとお小言を言っている姿をボーッと視ていたものだ。
尚、二人――とはいっても代理人形は他にも居るけど――は恥ずかしがる風でも無く裸のユートを拭いたり、湯浴みでも背中は疎か前すら洗ってしまえていたけど慣れてしまったかららしい。
出逢った頃は普通に羞恥心を露わにしていたらしいし、何ならユートとの仲などはナトリイトリもマグネシグネも決して良好では無かったとか。
それがいつの頃からかユートと仲良くなっていたし、今ならそれこそ雫の体液で濡れたJr.を普通に布で拭き拭きしてくれるだろう――『まったくしょうがないな~』とか言いながら。
実際にやっていたし。
「さて、一息も吐けた事だし……父様から受けていた依頼も終わったから私は次に往くね」
「そうしてくれ」
「何なら……私ともどうかな?」
「早よ往け!」
「フフ、は~い」
とはいえ、ユカウラに頼んだ仕事は別に一つという訳では無いのだから遊んで貰うのは困る。
フッと姿が消えるユカウラ。
「神様だから瞬間移動とか出来るの?」
「うん? 転移なんて別に神でなくても出来るだろうに。難しい部類ではあるけど魔法でも普通に可能な訳だしな」
ユートが居た世界線でもハクが最終的に不安定な神様に成っているし、それに同調をするかの様にハクオロと共に封印されていた黒の王がクオンと一体化をしており、あの二人も普通に転移をしているのだから今更感が凄い。
尚、このトータスの地にそのクオンも来ている事から判る通り、ユカウラと化している訳では無かったし、名前も真名であるクオンの侭で人間の姿を維持して過ごしている。
そしてそれはハクも同じ事。
娘のクオンには神の仕事を割り振っていなかったのだが、元より恋人は居てもファザコンなのは変わらなかったからやる気はあった。
「魔法で?」
「今までだって魔法陣で転移をしたじゃないか、雫の一番古い記憶では地球からトータスへの召喚による転移、次にオルクス大迷宮でのベヒモスが顕れる階層への転移トラップ」
「うわ、全く思い出したくもない忌避感たっぷりな記憶ばかりが脳裏に浮かぶわね」
突然の魔法陣展開からのトータスへ転移させられた記憶、そして莫迦がまんまとトラップに掛かって巻き込まれてベヒモスの居る階層に転移した記憶、それに関連してその莫迦の下らない感情の侭に魔法を香織が撃たれて奈落へと落ちた記憶、更に更に関連したのがユートに初めてを捧げたという嬉しくて哀しくて恥ずかしい記憶だ。
とはいえ、その記憶でお腹の奥がジュンとクる辺りからして大概に雫も業が深い。
パラスなコスプレをした白雫もそんな雫の持つ記憶を共有しており、そして今は雫のペルソナであるが故に繋がったパスからジュンとキてしまったらしく、金髪を態々長くしてポニーテールへと結わい付けた状態でユートに科垂れ掛かる。
『雫がえちぃ記憶で気分を盛り上げるから、私もまたシたくなっちゃったわ』
頬を朱に染めて瞳を潤ませた褐色肌のポニテという、ユートからしたら可成り大好物な姿をしているパラスな白雫にJr.が勃ち上がった。
「ちょっ、また!?」
漸く落ち着かせた筈の聴かん棒を見せ付けらせて雫も大慌てだ。
結局は雫、白雫、ナトリイトリ、マグネシグネに加えて偶々来ていたネオンセノンも一緒に巻き込んでの大乱交となるのであった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
茫然自失となる香織。
遥か遠く彼方には生身で大喧嘩に勤しむ二人、シアが巨大な金鎚を揮ってユエを追い回している姿が見えており、すぐ傍にはビクンビクンと大きく痙攣をしながら地面に倒れ伏している黒香織。
リューンモード――神の使徒の状態だったから判り難いけど、折角の変身も解除されてしまってあの二人から受けた衝撃は相当だったらしくて、へちゃ顔となりちょっとばかり女の子としてみるとはしたない格好である。
大の字状態で両腕を上に曲げて、M字開脚っぽい形で俯せとなっていると云えば解るか?
兎に角、同じ顔をした彼女の姿に若干ながらも頬を朱に染めつつ状態を確かめてみた。
シア達に関しては取り敢えず後だ。
(そういえば、私もゆう君とのアレでこんな感じに倒れた事もあったよね……)
恥ずかしい部位から恥ずかしい液体を垂れ流しながら……だから、香織の時の方がより恥ずかしい姿に映っていたとは思われる。
近付くとよく判るくらいにボロボロ。
「だ、大丈夫!?」
『これが大丈夫に見えるなら眼科に行く事を御勧めするしかないかな』
「だよね……」
香織も目が悪い訳では無いから、黒香織が受けたのが致命的なダメージなのは見て取れていたのと同時に、これを受けたのが自分だった可能性を考えると沸々とした怒りが湧いてきた。
自分達を無視して――否、眼中にすら無い侭に未だ巫山戯た喧嘩を続けているシアとユエに対しては最早、殺意の波動に目覚めて精神が反転した『香織オルタ』に成りかねない勢いである。
流石に本当には成らないけど。
『ハッ! 私のパワーが上がる? 駄目だよ
「ねぇ?」
目が据わった香織に睨まれて口を噤む。
『な、何かな?』
「この侭、虚像である貴女が消えた場合だと私の試練はどうなるのかな、かな?」
怖っ!
余程、腹に据え兼ねているらしい。
『えっと……』
「即刻……こ・た・え・て!」
『ヒッ!?』
ホラー映画も斯くやな顔芸に恐怖しかなくて、黒香織は立場も忘れて息を呑んだだけ……仄かに股間への湿り気を感じたけど。
これではどちらが黒香織か判らない。
『ご、ゴメンナサイ……判らない』
「はぁ? ワカラナイ? ワカラナイって何? 何のかな、かなぁ!?」
更に闇に沈んで病みまくる香織。
『私は飽く迄も虚像として対象者の記憶を精査して大迷宮に魔力で造られた疑似生命、この試練のルールは始めからインストールをされていたから理解してはいるけど、試練対象者が討ち斃すのを前提にしてるから試練が終わればどちらが勝つにしても私は消える定め。そして合否の判定をするのは奥に在る魔法陣であって私じゃないから!』
「……」
沈黙がまた怖い。
『私は合格をしたと思っていたから討たれる心算だったし、実際にそれで普通に合格だった……筈なんだけどね? まさか乱入されてぶちのめされるとは思わなかったし……』
「成程、つまり貴女はユエさんやシアさんに討たれた形になってるから試練が合格か判断が出来ないって言うんだね?」
コクコクと頷く黒香織。
「そっかぁ、なら仕方が無いかな、かな」
それは先程までのホラーでしかなかった顔芸とは打って変わった満面の、『二大女神』などと持て囃された白崎香織の美しいまでな正しくそれは『女神の微笑』と呼んでも決して差し支えない程の微笑みであったという。
それは同性すら惑わせる小悪魔チックなモノでは無いからか、黒香織ですら一瞬……刹那の刻とはいえ見惚れる程に美しい――
サクッ!
『――へ?』
そんな『女神の微笑』の侭で、香織は黒香織の心臓をサクッ! と貫いたのである。
何の躊躇いも無く、罪の呵責に苛まれるでも無くて、それが必要だったから必要な行為をした迄だと何処ぞのヴァンデモンみたいな言い分で。
そんな香織をきっと人々は『壊れている』と、そんなものはヒトの在り方では無いと否定し拒絶をするだろう、だけど香織はそれでも一向に構わないと考えている節がある。
何故なら既に香織は壊れていたから。
別にあからさまに精神を病んでいたりする訳では決して無く、取り敢えずこれは恐らくではあるのだが……母親からのというか、きっと
『
「この侭じゃ、試練に不合格になっちゃうから。これで合格が出来たら良いんだけど」
『フフ、
「ならずには居られなかっただけだよ。ゆう君に抱かれて南雲君に想いを告げない侭に女の子から女にされて、その上で南雲君が恵里ちゃんといつの間にかお付き合いをしてるし。強かにならないと何も手に入れられない、欲しいものがこの指をすり抜けちゃうんだよ……水でも掴む様にね」
お付き合いという名の『御突き愛』を行き成りやらかしていたのは知らないが、幸せそうな顔でハジメを見つめる恵里を見てはせめて『好きでした』と過去形で告るくらいの事も躊躇われた。
『貴女が彼を好きになったのは本当みたいだね、私のパワーアップが解けて寧ろ弱体化をしてる。だから頑張った
「御褒美?」
『知っての通り私は魔力で紡がれた疑似生命体、故に試練が終われば魔力供給を断たれて消える定めにあるわ。だから霧散する前に私の魔力を貴女に上げる。そうすれば都合、今の倍は魔力を得られる筈だよ。この時に明確な力のイメージを想起すれば新たな力すら手に入る……かも』
「いや、かもって……断言しようよ」
『私だって初めての試み……あれ? 何だか判らないけど二回くらい同じ事がされてる』
「……へ?」
それは少し前に終わらせた雫と鈴による記録が残されていたからだ。
『うん、大丈夫っぽいね。私の身体に触れる感じで手を置いてみて。ピッコロとネイルみたいに』
「えっと、こうかな?」
恐る恐ると手を触れると黒香織が光を増していき香織側に光が流れる。
『良ければ力を得たらあの二人にお仕置きをして欲しいな』
「うん、虚像さんの仇は取るよ!」
それを言ったらトドメを刺したのは他なら無い香織本人である訳で、何処のヘルミッショネルズかという話であろうが黒香織はツッコミを入れる元気も既に無かった。
光が完全に香織に流れきると確かに魔力が可成り増えており、それこそネイルと同化を果たしたピッコロの気持ちが痛いくらいに解る。
今ならフリーザにすら勝てる! 筈も無いが、そのくらいには気が大きく膨らんでいた。
精神的にも物理的にも。
そして香織の変化はそれだけでは無く、ヒラヒラとカードみたいなモノが降ってきてそれを握り潰すと蒼白い炎の如く、そして先程消えたばかりの黒香織らしき存在が半透明で顕れる。
『我は汝、汝は我……我は汝の心の海より出でし存在。死者を誘う戦乙女レナス也』
「ペ、ペルソナ!?」
自分自身と向き合える強い心が力へと変わる、香織はもう一人の自分……困難に立ち向かう為の人格の鎧、ペルソナ“レナス”を手に入れた。
顔立ちは香織の侭で銀髪に青目な美少女で鎧甲はエヒトルジュエの使徒とも異なる物、その姿は名乗りの通り【ヴァルキリープロファイル】へと登場した主人公のレナス・ヴァルキュリア。
だけど明らかに黄色人種な肌色、北欧の人間にはちょっと見えないのは香織の顔だから。
レナスと名乗りはしたけど見た目は香織によるコスプレであるが、妙に似合うのは原典からしてヴァルキリーみたいな装いをしたエヒトルジュエの使徒ノイントの肉体を使っていたからであろうか? 此方側でもリューンの姿に成れるし。
尚、この世界線でのノイントは討伐済みな上で既に香織のラウズカードにハートスートのカテゴリーKとして封印されており、必要に応じて香織がワイルドフォーム的な姿にパワーアップするべく使用をしている。
正確にはラウズアブゾーバを使い、カテゴリーQと一緒に使うキングフォームに当たるのだが、一応はワイルドフォームと呼ぶ事もあればキングフォームと呼ぶ事もあり、一種の表記揺れみたいな感じに名称が一定していなかった。
「さて……と」
ニコニコと微笑む香織は男が見れば蕩けるかの如く、そして連中の下半身の一部がバッキバキに元気一杯と成りそうなくらい美しいというのに、実際に目の当たりにした場合は元気一杯に成る処か役立たずに萎みそうな恐怖心を与えてくる。
現にゾクリと背筋に氷水でもぶち込まれたかの様な寒気を、ユエとシアの二人が行き成り感じたらしくてガバッと香織の方を見遣って来た。
最早、仮面ライダーリューンにも使徒モードにも変身をしていない香織のその姿は、軽くて丈夫で各種耐性こそ与えられていても普通の高校生といった感じの制服姿。
ペルソナシリーズでは珍しくも無い姿だとはいえど、それに対する恐怖心など皆無だった筈なのに今は香織が途轍もなく怖いと感じた。
「か、香織……さん?」
「……ん? 何だか怒ってる?」
「二人共、正座……しようか」
有無を言わさぬ迫力。
ビリビリと空気が震動でもしたかの如く緊張感に支配され、ユエは兎も角としてもシアは実際に正座をしたくなるくらいの怖ろしさ。
怖れというより寧ろ畏れだろうか? まるで、そう……神とでも相対したかの様に。
「……正座? どうして?」
「理由……言わなきゃ判んないかな、かな」
ゾワリ……これは駄目だ、下手な口答えをしては生命に関わるやつだとシアは兎人族の危機察知能力により悟った。
「フフ、素直な子は好きだよ」
「は、はは、はい!」
涙目になりながら正座したシアは、香織と決して目を合わせようとしない。
「……くっ!」
「くっ! じゃないんだよ……ねぇ、ユエさんにシアさん? どうして喧嘩を?」
何だか口惜しげにしているユエに一睨みして、二人が喧嘩をしていた事を指摘した。
尚、原典ではシアやティオにはさん付けだった香織もハジメの『特別』を自称し、更にハジメも普通にそう呼ぶユエを対等な
「それが……ユエさんが『……若し私に何かあったらユートを御願いしたい』なんて言い出して来まして、理由を訊いても『……それだけは絶対に言えない』と答えてくれませんから」
「……」
シアが喧嘩の理由を言うとプイッと明後日の方へユエが顔を背けた。
つまり、シアの話には何ら間違いは無いと本人が認めた様なものである。
「理由は?」
「……言えない」
「人の試練を邪魔しておいて、それはあんまりなんじゃないかな、かな?」
ピクピクと引き攣った笑み。
「……カオリにも言えない、これは約束だから。ユートとの約束……だから」
「ゆう君との……ね。だからって私の試練を邪魔して良い訳じゃ無いよ?」
「……何の話?」
ブワッと香織の髪の毛が逆立つ。
傍に居たシアはもう漏らして気絶したいくらいの恐怖に押し潰され掛けていた。
「初めてですよ……この私を此処まで虚仮にした御莫迦さん達は……」
怒りの余り某宇宙の帝王みたいな科白を知らず知らずに呟く香織、魔力がグングンと高まる上に香織はユエと同じく魔力特化で【閃姫】強化が成されており、今や虚像を取り込んだ影響から既に本来の倍以上の魔力を手にしている。
元々の魔力はユエが上だった筈が、彼女の場合は元が高かった影響から上げ幅は小さかったのに糅てて加えて、試練は普通に終わらせていたから香織みたいに魔力を増やせてはいない。
その所為もあって今の香織はユエと同格くらいに魔力を研鑽しており、しかも肉体的な能力については上回ってしまっている。
総合的に二人は互角にまで成っているのを既にユエも気付いていたが、流石に今の香織にとっての切札に関しては全く気付いていない。
生身で殆んど互角な二人は決して恋敵なんかでは無く、多少の差違こそあるもののシアと変わらぬ友情を育んでいるだけに、今回の蔑ろにされた感はちょっとムカッときたのは間違いなかった。
恋敵に成らないのはどちらも『大切』であり、『特別』を争う関係では無かったのも要因であるのだろうが、矢張り力が同格で身分的にも最早変わらない存在だったからだ。
嘗ては王女――というより女王の座に就いていたユエからすれば、同格の友達というのはあの頃なら欲する事すら出来はしなかった事。
シアは妹分、ティオは姉貴分、ミュウは本人的に母親は一人でも娘枠、レミアは何だろう?
雫と鈴と他にも優花など同格の友達は確かに居るけど、香織はユエにとってある意味に於いては双子の姉妹にも似た感情に近い友人。
ユエにとって初めてを捧げた男はユートで間違い無いが、更に初めての
正確には女性同士によるLesbianな関係を初めて持ったという事。
竿姉妹自体は雫や鈴や優花やリリアーナやシアやティオなんかも同様、香織より後に自体を求め合ったのも同様ではあるのだろうが、矢張り初めての相手というのは『特別』なのかも知れない。
ユート的に雫では無かったのは何と無くにしか過ぎないし、ユエも友達として認めようとしないツンデレを発揮するだろうが、二人は磁石でいうならN極とN極で反発し合いながらも偶に反対側をどちらかが差し出してくっ付く感じだ。
時々、どちらも互いに反対側を差し出してしまってS極とS極で反発するのは御愛嬌。
だからこそ、一方的な片思いだとは考えたくは無いのに蔑ろにされてしまったと感じて香織が、ユエに対しての寂しさを胸に募らせてしまったのも仕方が無いであろう。
一方でユエも普段は反発気味なツンデレを貫くのに、矢張り香織を気安い友人枠として捉えているからこそ言えない事もあった。
それが氷雪洞窟に入る前にユートから与えられた特殊な任務、命懸けで下手をしたならユートがユエを『大切』に想って無いと捉えられても仕方が無いソレ、下手に知られて香織やシアがユートに不信感を持ってしまっては事だったし、何よりユートの『例令、信用に足る相手でも秘密は知る人間が少ない方が良い』という言葉も確かだと、嘗て女王アレーティアとして王宮に暮らしながら戦場にて、歩く砲台としてバケモノ呼ばわりされていたユエは理解をしていたのである。
(……私はユートを信じるだけだから)
仮に、本当に仮に裏切られたら? それこそがユエの試練の根幹に在った。
その時が来たら使う事に成るであろう魔法を既に与えられ、それを扱う為のスキルもユエは手にしているから後は時が来るのを待つばかり。
(大丈夫、だって叔父様への不信感を払拭してくれたのもユート。それにユートはロリコンじゃないけどごーほーロリは大好物だって聴いた)
誰から聴いたかは兎も角、三百年モノな吸血姫たるユエは見た目は子供でも実年齢は三百歳越えであり、しかも再生のスキルにより肌は当時の侭という至高の逸品。
ユートの【閃姫】にはそれより上な当時にすると六百年モノな吸血姫が居るらしいし、【閃姫】でこそ無いけど千年モノな神様? みたいな存在とも肉体を交えたらしい。
しかもどちらも見た目は幼い部類ともなれば、矢張りユートがごーほーロリ好きなのは間違い無いと断言が出来たし、ならば自分を手放すなんて有り得ないと高を括れはしないけど自信はある。
それに再生スキルを持つユエは、他の誰よりもユートを悦ばせる事が出来ると積極的だ。
それでも間に合わず気絶するけど。
だからこそ、だからこそユートをユエは決して裏切る心算が更々無かった。
ユートが『やれ』と言うなら仮に無辜の民への虐殺だって平然と殺るし、『やるな』と言うのであれば例えば友人にも秘密を漏らさない。
「そっか、口を割る気は無いんだね。だったら、虚像さんの怒りを受けて貰うよ!」
「……っ!」
「半透明なカード? 前にユートさんから貰ったタロットカードみたいな……」
クルクル回るカードはナンバーⅩⅦの【星】を示しており、それを香織が握り潰すと蒼白い炎の様に燃え盛り……
「来て、ペルソナ!」
香織が叫ぶと背後に顕れた戦乙女。
『そのみに刻め、神技! ニーベルン・ヴァレスティ!』
仮面ライダーカリスの2Pカラーっぽく弓矢による攻撃、螺旋を描く矢による連続攻撃をしたかと思うと跳ね上がるユエとシアに下斜めから二本と真下から一本のエネルギーの槍がぶっ刺され、飛び上がったレナスが光の翼を広げて槍を顕現化すると、不死鳥の如くオーラを纏うソレを二人へと投げ付けた。
「「ギャァァァァァッ!」」
普通なら死ぬかも知れない攻撃ではあるけど、非殺傷設定をヴィヴィオ達から学んだ香織は痛みだけで、決して
「仇は討ったよ、虚像さん!」
『トドメを刺したのは
それは至極尤もなツッコミだった。
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ユカウラだったのは後付けですが、どっち道で神の領域に在るモノが出て来ていました。
仮にユカウラじゃなければ【カンピオーネ!】のアテナ、【デスマーチ】のパリオンかテニオン辺りが出て来ただけですね。
代理人形の三人……と言ってもネオンセノンは名前だけだったけど、これは今は月を跨いだので既に違いますが【ロスト・フラグ】でピックアップされていた関係から出しましたが、此方も単純に秘書官の誰かになっただけでしょうね。
月嶋夜姫か或いはオーリス・ゲイズか……
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる