ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 特に無いかな……ペルソナを幾つか挟んで原作を読み返してモチベーションの維持を。

 サブタイトルからして判り易いですね。







第114話:ありふれた天之河光輝の大暴走

.

 香織がペルソナを手にして試練にも合格して、更には試練を台無しにしてくれそうだったユエとシアを折檻していた頃、雫と彼女のペルソナである白雫=パラスとナトリイトリとマグネシグネとネオンセノンを抱き潰していたユート。

 

 嘗ては強壮たる【C】に捕らわれてエロ同人誌みたいな事をされて――男が触手プレイで嬲られるとか誰得やねん――しまい、その時に散々っぱら精気を呑まされた影響から男の一物は逸物へと究極進化、基本的に日本人男性の平均値でしかなかったソレは倍の長さと、その長さに見合うだけの太さを兼ね備えた上に無制限に胤を構築が出来てしまう無限リロード、そのリロードに見合うだけの精力をも獲得してしまったのである。

 

 とはいえ、誰彼構わず犯したいみたいな欲望の増加というのは特に無い。

 

 ヤる時はヤるにしても、元々が強姦みたいなのは好きで無かったからというのも有るだろうが、普段から『ヤりたいヤらせろ』なんてギラついた目で視たりもしてないのだ。

 

 尤も、ヤる時にヤる以上はその時――蓐に上がれば容赦無く快楽に耽る訳である。

 

 全員を抱いた後で眠りに就いていたけど数時間程度で起きたユートは所謂、朝勃起な状態となった我がJr.を視つつ周囲で真っ裸な姿で適当に寝ている雫やパラスや秘書官なナトリイトリらを見回して欠伸をした。

 

「まったく、この躯体に成ってそれなりに時も経ちましたが……私も貴方との情事には未だに慣れませんね」

 

 明後日の方を向いていたら声が響く。

 

 フラフラとする頭を抱えながら白い肌の肉体を起こしたのはナトリイトリ、彼の地でボロボロに成り果てながらも教団(カラザ)に仕えていた代理人形で、ユートとの出逢いから暫くの時間が経過した頃に秘書官として教団から買い上げ、新しい肉体を与えてこういう関係を築く様にもなっていった。

 

 抑々、代理人形は結局の処が意志を持って動ける高級ダッチワイフでしかない、当然だけど造られた目的は宇宙に出たりなどした際などに人間では出来ない作業をやらせる事だけど、然しながら性の解消もまた必要不可欠として機能自体は持たされている。

 

 継ぎ接ぎされていたナトリイトリはそこら辺の機能が不全状態だったが……

 

 マグネシグネは機能がきちんと使えていたが、人間そのものが居なくなってしまっては使う者も居る訳が無く、亜人達は代理人形を性の対象にはしない者が多かったらしい。

 

 訊いてみたらそんな経験は無いそうな。

 

 ナトリイトリとのある種の交換で快楽を得ていた事はあるそうだけど、それも大概は愛する? 御姉様との交換で興奮していたみたいだ。

 

 今現在のナトリイトリ、マグネシグネ、ネオンセノン、その他の代理人形達はユートの力を以てしてエボリュダーに近い存在と成っている。

 

 生身の肉体でありながら電子機器も自在に扱える能力、子供を作る能力も獲得されていたけれど彼女らにそういった意志は無かった。

 

「うーん、ユート君も起きたんだ」

 

 マグネシグネも起き上がるなり未だに素っ裸な姿のユートの下半身を見て……

 

「ユート君も勃きてるんだね」

 

 ちょっと下品なジョークを言った。

 

「何なら鎮めてくれて良いぞ?」

 

「良いよ!」

 

 下品に返すと右腕をパーな掌で真っ直ぐ挙げながら笑顔で了承すると、ユートの下半身へと顔を徐々に口を開けつつ近付けて行く。

 

 その後は暫く耽っていたら続々と皆が起きて来だして、マグネシグネの口内に白く濃いドロリとした粘液を放ったユートはシャワーを浴びるべくバスルームへ、それに対して粘液をゴクリと飲み込んだマグネシグネも付いて来て仕事と云わんばかりに背中を流してくれた。

 

 見た目に幼いけど可愛らしい容貌、代理人形なだけあって亜人達より永く在り続けた彼女だが、最初の出逢いでの険悪さなど今や無かったとばかりに尽くしてくれている。

 

 最早、マグネシグネの御姉様――ナトリイトリとも変わらない扱いをされていた。

 

 尚、彼女らの姉妹観念は見た目重視という訳では無くて製造番号である。

 

 ネオンセノンが一〇、ナトリイトリが一一、マグネシグネが一二と成っていたそうな。

 

「ユート君、そろそろ出るよね?」

 

「まぁ、いつまでも引き篭もっては居られないからな。氷雪洞窟内で溜まっていた分は雫やマグネ達で解消した訳だしね」

 

 流石にユートも天之河光輝や坂上龍太郎が居る中でイチャイチャは出来ないし、『本当に邪魔な連中だな』くらいにしか思っていない。

 

 あの二人が居なければ道中でイチャイチャと愉しい道すがらだったろうに。

 

 取り敢えず解消したし、内部で数日間など外部では一日すら経っていないとはいえ休み過ぎるのも問題、下手に闘いは離れてしまうと勘を取り戻すのに倍以上の時間が掛かるのだから。

 

 背中を流す傍らでペタペタと触ってみたりするマグネシグネ、更には小さな御胸を背中へと押し付けてきてグニグニと擦り付けて来る。

 

 首筋にキスをしてきたり下半身のブツへ手を伸ばしてきて、それを扱いてきたりとバスルームでの情交と変わらぬ事をする。

 

 温かい肢体に更なる硬化がされるJr.。

 

 結局、頬を染めて瞳を潤ませながら求めて来たので御風呂でガッツリと三発ばかり射精()した。

 

 マグネシグネの臭いを漂わせていたのか、それに気付いたナトリイトリやネオンセノンに求められたし、更に雫とパラスともヤって又しても風呂で汗や色々な液体で汚れた身体を洗い流す。

 

 結局だがまた一日を無駄に過ごした。

 

 その上で更に無為な時間……ともユートとしては言えないが、ラングリッサーとアルハザードに在る魂――ユリアとゼルダとも睦み合う。

 

 普段は眠っているけど最近になって使ったから起きており、目の前でえちぃ行為をされてしまっては自分の“女”を刺激されたらしい。

 

 ユートが光の女神ルシリスと混沌の神カオスから召喚を受けたのは滅びた世界、エルサリア大陸にもイェレス大陸にもガルパイス大陸にも人間は疎か魔族すら最早存在しなかった。

 

 そんな無人世界に二振りの剣だけが残されていたけど、それは砕け散って死んだ武器として使い物にはならない代物。

 

 ユートはそれを修復して使っている。

 

 その二振り――ラングリッサーとアルハザードには魂が封入されていて、それが新ラングリッサーと新アルハザードという形で戦争の中に在って再構築された二振りの謂わば生贄。

 

 ユリアもゼルダも魂にダメージを受けたからか記憶が可成り曖昧で、人格は元々のものを取り戻したけど過去のエピソード記憶は殆んど無い。

 

 故に簡単に堕ちた。

 

 然もゼルダは大元が子供っぽい人格だったのだろう、記憶の欠落に伴って見た目が少し幼く成ってしまったのも相俟って可成り甘えん坊であり、しかも知識は教えれば普通に吸収してしまえるからか、何処からともなく得てきたえちぃ知識を元にエロティカルな甘え方を覚えたのである。

 

 それに対抗したのがラングリッサーの魂であるユリア、知識だけは有ったので二人は競い合うかの様にエロティカルな奉仕をしてくれた。

 

 二人の記憶も【ラングリッサーⅤ】から過ごすこと約一五〇年後、エルサリア大陸最大の国家だったカルザス帝国も消えて新たな帝国や連邦なども興ってそれなりに経ってから。

 

 初代のラングリッサーが誕生してから千数百年以上が過ぎてしまった頃である。

 

「さて、香織や鈴が心配だし行くわよ」

 

 当たり前ではあるのだけど、あの空間を管理する代理人形ズは一緒に出て来てはいなかったし、ペルソナである白雫=パラスは雫の無意識下へと戻っている為、今現在は雫とユートの二人切りで洞窟内を動く事になっている。

 

 雫が心配したのは香織と鈴だけではあるけど、一応だがユエやシアやティオの事も心配してる。

 

 天之河光輝と坂上龍太郎?

 

 知らんがな。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 香織がユエとシアと合流後、更に鈴も動いているとティオが合流していて此方と合流しており、そんな五人がユート達に合流をしていて残す処は天之河光輝と坂上龍太郎のみ。

 

「ふむ、鈴と香織と雫が新たな力でペルソナを手にしたとな? 妾達は特に何も無いのにのぅ」

 

「……ん、依怙贔屓」

 

「私達はどうして何も無かったんでしょうか? 某かの条件が足りなかったんですかね」

 

 ティオの言葉に頷くのはユエ、シアは条件不足なのかと首を傾げている。

 

「僕が地球の人間だったから……だろうとは思うんだけどね」

 

「……どういう事?」

 

「話に聞いた限りこれは【解放者】も意図しないバグ、言ってみればシステム的な不具合が出てしまった結果だね」

 

「バグ……のぉ」

 

 ユートの記憶再現が恐らく上手くいかずに……というより、優雅が寧ろ積極的に乗っ取ったという可能性もあるのだが、ユートは模倣しただけとはいえ“世界の破壊者”たるディケイドだからか、要するにシステムを破壊したのであろう。

 

 だからといってそれを話した処で理解が及ぶとも思えないし、理解させるのに時間が掛かるのは勘弁して欲しい処だった。

 

 勘違いをしてはいけないのが、それは彼女の頭が悪いとかでは無いという事であり、単に世界的に知識の及ばない領域にあるという事。

 

 例えばユエならばこの世界の魔法に関する知識ならば、ユートでさえも及ばないくらい非常に高いレベルにて保有をしている。

 

 要するに畑違いという話だ。

 

 ユエが本当にその気になって修めれば機械関係だって明るく成れる……かも知れない訳であり、ユートだって魔法はハルケギニア時代に子供の頃から――愉しく――習ったからこそ魔法に可成り明るくなった。

 

 以前は機械関係にそれ程には明るく無かったのだが、次元放浪中に平行世界の地球や異世界でな生活から必要だと感じた為に、それに関して一番の知識持ちであったユーキを先生として余生を過ごしていたからこそ、今では機械関係と魔法関係をミックスレイドした技術で魔導具を造れる。

 

 勿論だけど【テイルズ・オブ・ファンタジア】や【テイルズ・オブ・シンフォニア】世界に於ける魔科学などという、世界に悪影響を及ぼしていた技術などとは全く別系統のモノだ。

 

 尚、この二つは同一世界で四千年くらい時間が離れていたから、ユートは暫く生きてそれからは何千年も寝て過ごしていた。

 

 まぁ、そうは云っても【ドラゴンクエストⅥ】の世界から【ドラゴンクエストⅣ】に移行をする際には、それこそ下手をしたら一万年と二千年くらいは寝ていたのだが……

 

 特別製の“仮死の法”を用いての眠り故に肉体的な衰えも無く――但しレベルは二五くらいにまで下がる――て、レベルアップさえすれば良いだけの云ってみれば簡単な御仕事。

 

 筋肉が衰える訳では無いから動き回るにせよ、食事をするにせよ、それこそ起こしに来たミネアとえちぃ行為に耽るにせよ自由自在。

 

 因みに、そのミネアは矢張り特殊な転生術により転生をした【ドラゴンクエストⅥ】時代に於ける妻だった女性、とある亡びた国の王城近くにて死んだ彼女の遺体と共に眠りに就いた。

 

 勿論、起きた時に彼女の遺体は塵すら遺さずに無くなっていたのである。

 

 扨置き、適材適所というやつだ。

 

 実際、先程の『バグ』という言葉もティオには聴き慣れない筈のものだったけど、ある程度には噛み砕いてきちんと理解をしているらしいし。

 

「さて、話していたらどうも着いたみたいだな。天之河の氣がゆるゆると流れて来てる」

 

「本当?」

 

「ああ、残念ながら? 天之河だけみたいだが。坂上は未だ試練中なのかもな」

 

「そう……」

 

 一応は未だ友達と感じているのかも知れない、香織は例の強姦未遂事件移行はゴミムシでも視るかの如く、話さない訳では無かったけど必ず誰かと一緒でないと傍には寄らないが、雫は取り敢えず無視を決め込む訳でも無く話し掛けられたなら返すくらいはしていた。

 

 暫く進むと確かに色違いな天之河光輝と剣を握って対峙しているが、何やら話し掛けられていて此方側には気付いていないらしい。

 

『ほら、見ろよアレをさ』

 

 ネットリとした声質ながら間違い無く天之河光輝の声で言うと、それに対してあろう事か敵を目の前にしながら振り返って此方を見る。

 

 眼の玉が飛び出るくらいに見開いてワナワナと身体を震わせ、汗を掻きながらゴクリと固唾を呑むとカラン……剣を取り落とした。

 

 果たしてそんな天之河光輝の眼に映る光景は何だったのか?

 

 それは美女美少女を傍らに侍る憎らしいまでの男が、試練の最中にイチャイチャとしながら入ってきたと云う正しくKYな行為。

 

 しかもそれぞれがタイプは違えど勇者(じぶん)にこそ相応しい筈の女性陣だ。

 

 ガキンッ! それは本当に刹那の事。

 

「光輝!?」

 

「な、何をしてるの光輝君!」

 

 驚愕する雫と香織、声にこそ出していなかったけど鈴も目を見開いていた。

 

「何の真似だ? 敵はあっちに居るお前の2Pカラーだろうに」

 

 天之河光輝がユートに対して攻撃を仕掛けて来たのである。

 

「う、煩い煩い煩い!」

 

「お前がうるさいを三回言っても可愛げの欠片も無いんだけど……な!」

 

 ガインッ! 軽快な音を鳴り響かせて天之河光輝を後ろへ弾き飛ばす。

 

 アレは彼女のボイスだからこそ許されるのであって、こんな野郎が叫んでも誰得でしかないのだから嬉しくも何とも無い。

 

 ユートは手にした妙法村正を某上様の如く峰に返す事もしないで構える。

 

「優斗、光輝を斬る心算ね」

 

「とうとう光輝君の最期なんだ」

 

 幼馴染み~ズの淡泊さ加減は天之河光輝によるやらかしが原因で、既に内心では見限ってしまっているのがよく判ってしまう。

 

 事勿れ主義な鈴でさえ、香織に対してのやらかしは流石に無いとして目を背けていた。

 

 況んや、ユエとシアとティオからしたならば全く以てどうでも良い他人に過ぎない。

 

 一触即発の空気ながらユートは完品な妙法村正を持ち、対する天之河光輝が持っているのは半ばからポッキリと逝った鉄の剣だ。

 

 唯でさえ天之河光輝の使う流派は八重樫流剣術であり、使う獲物は刀である方が望ましいというのに普通の叩き斬るタイプの両刃で、しかも折れた剣では最早どうにも成らなかった。

 

(あの莫迦は確実に取り込まれているな。きちんと言った筈なんだが。論外……だとね)

 

 流石に自分の剣とユートの太刀のあからさまな違いに気付いたらしい。

 

「くっ、緒方……卑怯だぞ!」

 

「好き勝手に突っかかって来ておいて卑怯も辣韮もあるものかよ!」

 

 ユートからの攻撃に対して天之河光輝が出来るのは防戦のみ、折れた剣ではリーチが違い過ぎるから攻撃に転じる事が難しかった。

 

 これでも一撃で終わりにならない様にと可成り気を遣ってやっているのだし、それで卑怯だ何だのと罵倒をされる謂われなど有りはしない。

 

「況して、闘いに際しては何をしようが卑怯だとかそんな科白は無い。仮に人質を取ろうと罠に掛けようと勝ちは勝ちだからな」

 

「なっ!?」

 

 天之河光輝は目を見開いて驚きを露わにしながらバックステップ。

 

「何を言ってるんだ!?」

 

「だが、心せよ」

 

「……は?」

 

「僕は基本的にそんな絡め手は使わないんだが、相手が使ってくるなら遠慮は要らないよな?」

 

 ニヤリと口角を吊り上げた表情はいつものとは全く異なる邪悪そのもの、今ならばユートが彼の邪神の一欠片だと云われて納得してしまう。

 

 そして雫達は唐突に理解した。

 

 目には目を歯には歯を……という言葉が存在している訳だが、正しくユートは誠意には誠意を返して悪意には悪意を以て返礼と成すのだ……と。

 

 ユートが決して天之河光輝との仲を深めなかった理由が其処に在る。

 

 確かに天之河光輝は人当たりは良かったであろうし、基本的には大抵の人間に対して平等に優しく接していたであろう。

 

 然しながら例えばハジメに対して、一応は取り繕ってはいたけど端々に見え隠れする侮り蔑み、天之河光輝は香織が目を掛けていた南雲ハジメを無意識下では疎んじていたのだ。

 

 そしてハジメと余り話していないにしても決して他者みたいな蔑みをしないユート、それが気に入らないのだろうが、天之河光輝からは矢張りというか無意識の蔑みが見えていて寧ろ笑えた。

 

 だからこそユートは天之河光輝との仲を深める事が決して無かったのである。

 

 誰だって蔑み侮る人間を好きにはなれないし、そんな人間をユートは逆に蔑み侮っているだろうから、天之河光輝も或いはそれを敏感に感じ取って負のスパイラルが形成されたのかも知れない。

 

 唯一、天之河光輝に福音だったのはユートからの感情が嫌悪(マイナス)に近いものであり、その感情が決して虚無(フラット)などでは無かったという事であろうか?

 

 とはいえ好意(プラス)では無いのだからどちらにせよ悪いものだが……

 

 あの四人の残り三人に関してだと坂上龍太郎が虚無に近い嫌悪、香織が僅かに嫌悪、雫は好意といった感じに成っていた。

 

 現在では坂上龍太郎は虚無に近い好意、香織が好意、雫が揺るぎない好意と天之河光輝のみ嫌悪を懐き続けている状態だ。

 

 甲高くも重厚にして然れど軽快さえが拭えない金属音を辺りに響かせながら二人の剣戟が続いているが、リーチの短い折れた鉄剣での攻撃なんてユートは簡単に往なせてしまう。

 

 況してや天之河光輝は格下。

 

 人間として……というのは抑々にしてユートも大概にアレだから扨置くとして、剣士という意味合いに於いては間違い無く天之河光輝の方が格下でしかなかった。

 

 闘う者としても芸術家としても中途半端でしか無かった前々世、だけど二度に亘る真なる転生と幾度と無く繰り返した疑似転生により戦闘者としても完成されつつある。

 

 否、刀舞士という意味では既に完成されていて今は他の闘い方を取り入れる事で、無限に立ち替わる戦闘スタイルを吟味している処だろうか?

 

 封印や封神で【DB】世界の莫迦げた身体能力は持たないし、身勝手の極意とか我儘の極意とかは身に付けていないにしても、戦闘技術などに関しては当然ながら持ち合わせている。

 

 あの世界にも疑似転生で向かったから身に付けた能力の殆んどが封印処理され、獲られた技術に関してはだいたいが今も使える状態なのだ。

 

 抑々、あの世界に於ける強さは肉体的な強さも然る事ながら、氣の量と氣の強度こそがモノを言う世界観となっている。

 

 フリーザの強さも肉体が頑強でアホみたいな氣の量と莫迦みたいな氣の強度にと、三拍子揃っていたからこその最大戦闘力が一億二千万だった。

 

 尚、ユートが調べてみた結果だが界王が作った界王拳が酷いダメージを負うのは、氣の量が変わらないのに無理矢理に氣の強度を上げるから。

 

 あれ、実は氣の量が増えている様に見えるけど大して増えてないのが、強度任せに迸っているだけであったと云う。

 

 強度だけが突出して増えるから三倍四倍にしただけであれだけのダメージ、実力を上げて氣の量が増えれば成程確かにダメージは受け難くなるかも知れない、然しDBではこれでもかと強敵難敵と出会うから二〇倍なんてアホみたいな倍率にまで孫 悟空は上げてしまった。

 

 然るに超化は氣の量も同時に上がるからこそ、変身する度に大きなダメージを受けたりしない。

 

 ユートは超化を視る機会があったからS細胞が云々は扨置き、氣の量や肉体的な強さは神殺しによる恩恵で可成り高かった事もあり、超化や超神化も出来る様に成っていた。

 

 尚、ユートはサイヤ人では無いからウルトラマンに倣って超サイヤ人の状態を超闘士と呼んで、超サイヤ人ゴッドや超サイヤ人ゴッド超サイヤ人を超闘神と呼んでいる。

 

 更に述べると超闘神とはユートの上司に当たる日乃森なのはの旦那、日乃森シオンが人間モードから神人モードへ移行した場合の呼び名であり、全くの別物だったりするけど特に問題も無いからと使っていた。

 

 ともあれ、ユートの刀舞術には天之河光輝の武器が完全であったとしても敵わない。

 

「クソッ! クソッ! クソッ! クソッ! 何故だ! 何故、香織も雫も……鈴でさえも俺から離れていくっ!? お前が洗脳でもしていないとこんな事は有り得ないだろうが! 余りにもおかしくて理不尽過ぎる!」

 

 折れた鉄剣を出鱈目に振り回しながら女々しい事を御丁寧に叫ぶ。

 

「駄々っ子かよ」

 

 然し、そんな魂の絶叫をしている天之河光輝をスンと冷めた瞳で見つめているのは当の話題に挙がっていた雫、それに困った奴だと謂わんばかりに頭を抱えている香織、苦笑いを浮かべるしかない鈴……という感じに三者三様。

 

「まだ言ってるのね」

 

「まさか、私が光輝君に何か想いを抱いているなんて勘違いをしていたなんて」

 

「って言うか、鈴は序でかよ!?」

 

 口が悪くなるけど別に鈴も天之河光輝に想われたい訳では決して無く、寧ろ序ででも口の端に出たのが少し嫌だったらしい。

 

 少し前の鈴なら可も無く不可も無くな態度での表情に一貫していただろうが、ユートの女として【閃姫】に成ってからは無闇矢鱈と自分の名前を出して欲しくは無かったりする。

 

 況してや雫は元からユートに一定以上の好意を持っていたからか、天之河光輝の我侭一杯な科白には苦々しい思いしか抱けなかった。

 

 今更なのだ、雫の天之河光輝への好意なんてのは出会った一ヶ月以内に吹き飛んでいる。

 

「洗脳洗脳また洗脳、洗脳洗脳。本当に光輝……アンタって洗脳が大好きよね」

 

「なっ!? まるで俺が洗脳するのが好きみたいに言うなよ雫!」

 

 言い方が言い方だったからか、天之河光輝こそが洗脳好きに聞こえてしまっていた。

 

「ま、一応だが洗脳系の能力も有るには有るんだけどな」

 

「くっ、矢張り! お前が雫達……」

 

「こんな具合に」

 

 天之河光輝が言い切る前に瞑目しながら右人差し指を伸ばし、某かを頭脳へ向けて放ったら額を突き抜けると脳へと直撃する。

 

「幻朧魔皇拳」

 

 【聖闘士星矢エピソードG】などスピンオフ系作品では教皇専用の技みたいに云われるのだが、はっきり言ってしまうとユートは双子座のサガや双子座のカノンや双子座のアベルや双子座のアスプロスが使っている処しか知らない。

 

 普通に全員が双子座の聖闘士である。

 

 何処ら辺が教皇の技なのかと首を傾げたくなってしまうのも仕方が無かった。

 

 そしてユートも再誕世界では黄金一二宮の一角たる双児宮を預かる双子座の黄金聖闘士として、嘗ての双子座であるサガやカノンやアスプロスやデフテロスなどが使った技を、双子座の黄金聖闘士の嗜みとして扱う事が出来ている。

 

 勿論、幻朧魔皇拳も……だ。

 

「ぐ、ああっ!?」

 

「それが僕の使える洗脳系能力の幻朧魔皇拳だ。自らが味わった気分はどうなんだろうな?」

 

 大抵の人間は、幻朧魔皇拳を受けると脳へ直接的な衝撃を喰らうから苦悶の表情を浮かべるし、激痛でも有るのか苦痛の悲鳴を上げている。

 

 時間が経てば獅子座のアイオリアみたいに安定するのだろうが、明らかに『洗脳されています』と云わんばかりに目が曇っていたのが印象的で、言動も教皇――サガの言いなりとなっていた。

 

 つまりは洗脳されたか否かはだいたい目を視れば判るものなのだ。

 

「命じる、自身の首をその両手で全力全開手加減抜きで絞め付けろ」

 

「う、うう……ウガァァァッ!」

 

 最初こそ僅かに抵抗をしていたらしいのだが、すぐに抵抗らしい抵抗が無くなって天之河光輝の両手が掛かり、正しく手加減など有り得ないくらいの勢いで絞め付け始める。

 

「雫、香織」

 

「な、何?」

 

「何かな、ゆう君……」

 

「理解してるんだろう? 坂上は今現在だと居ないから奴を止める人間も居ない。つまり約束の通り僕は天之河を……殺す」

 

 据わった目で言われるとちょっと怖い。

 

「えっと、そうだね……余り強い言葉を使うと弱く見えちゃうよ? 藍染様も言ってるかな」

 

「見えれば良いさ、それで敵対者が侮ってくれれば其れは万々歳ってやつだろう」

 

 藍染惣右介による日番谷冬獅朗の『殺す』発言への返しを識る香織の科白に、ユートが返答をした言葉は寧ろバッチコイとか言わんばかりのものであり、仮に同じ科白を藍染惣右介から言われても返しは同じであったろう。

 

「あがががが……」

 

 一度はレベルドレインでレベルが1に下がり、もう一度上げても上限が下がって本来の数値には届かなかったとはいえ、筋力値が一〇〇〇は有るのだから絞める握力も謂わば莫迦力のクラス。

 

 この侭では窒息死は免れないというか、握力が強過ぎてボキッと逝ってしまいそうだった。

 

 だけれど、天之河光輝との交流が全く無かったトータス組の【閃姫】達は元より、香織や雫や鈴でさえ『まぁ、仕方が無いかな』という空気。

 

 何度も何度も口を酸っぱくして言い続けていた事だ、『これ以上の邪魔をするならば殺す』のだという事は。

 

 それでも一応の救済策としては、坂上龍太郎が対処をすれば殺さないとも伝えてあった。

 

 つまり、今の天之河光輝が生きていられているのは坂上龍太郎のお陰とも取れる訳なのだけど、そんな彼も未だに試練の最中なのかは窺い知れないが今は居ない。

 

 地球組からして天之河光輝を助ける意志が有る者は最早存在していなかった。

 

 唯一人を除いては。

 

《SCRAP BREAK!》

 

「ドォォォォラァァァァァッ!」

 

 龍のオーラを帯びた右腕で天之河光輝の土手っ腹を殴り飛ばし、更には吹き飛んだのを目掛けて飛び蹴りを喰らわせる仮面ライダークローズチャージな坂上龍太郎。

 

「ぐわぁぁぁぁぁぁああああっ!」

 

 追い討ちを喰らった天之河光輝の吹き飛ぶ事、吹き飛ぶ事……壁へ罅を入れる勢いで叩き付けてしまっていた。

 

「間に合った……間に合ったよな?」

 

 変身を解除した坂上龍太郎はユートの両腕を掴みながら揺すり、頻りに『間に合った』のであると主張をしてくる。

 

「ハァ、間に合った……ね。既に終わらせる心算ではあったんだから間に合っていないと言いたいんだが、仕方が無いか」

 

 溜息を吐きながらも、天之河光輝にとってみれば得難い真友とも云うべき男に敬意を表する。

 

「処でさ、間に合った事にしてやるのは吝かでも無いんだけどな……あれ」

 

「……へ?」

 

「ドラゴンボールじゃないんだから人間があんな風に岩壁へ罅を入れる勢いでぶつかったらさぁ、どう考えてみても致命傷を受けるんじゃと思ってしまうのは間違いか?」

 

「ギャァァァッ! こぉぉきぃぃぃっ! 死ぬなぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」

 

 まさか、殺さない様に嘆願をしに来た自分自身が死なせ掛けるとは思いもよらず。

 

「こぉぉきぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 

 揺さぶりながら叫ぶ坂上龍太郎は、それが故に死の淵から真っ逆様に転落しそうだとは気付かず涙を流しながら揺さぶったと云う。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 騒動は落ち着きを取り戻した。

 

「オェェェッ!」

 

「うぐぐっ!」

 

 唇を重ねてしまって嘔吐している男が二人居る事を除けば。

 

 勿論だが、別に天之河光輝と坂上龍太郎がゲイに走ったとかでは決して無く、壁にぶつかって死に掛けた天之河光輝に飲み薬な回復薬を零さない様に飲ませる為の人工呼吸みたいな口移し。

 

 ユートとしては別に天之河光輝が死んでも構わなかったし、悲しむなんて事は天地がひっくり返っても有り得なかったのだけれど、坂上龍太郎の男気を無視するのも違う気がして薬を渡した。

 

 但し、振り掛けても効果が無い飲み薬だったから口移しを敢行するしかない代物を。

 

 嫌がらせ以外の何物でも無い。

 

 

「さて、天之河の試練は失敗だとして」

 

「ま、待て! どうしてそうなる?」

 

「如何なる理由が有ろうと虚像に呑まれた瞬間に失格判定に決まってるだろ。この試練は虚像からのあらゆる誘惑や罵詈雑言に耐えるのが骨子だ。呑まれるなんて論外だと最初に教えていたにも拘わらずコレだもんな」

 

「くっ!?」

 

 幻朧魔皇拳を放った際に天之河光輝の内部へと巣くった虚像はズタズタ、相手を強化させずに自らの手で斃すのはもう無理なのだ。

 

 まぁ、強化は構わないけど元が同じ能力なのだから強化させると斃すのが難しくなる。

 

「で、坂上」

 

「俺か?」

 

「試練は己が虚像を討ち破る事だ。それを成してこの場に現れたのか?」

 

「あ、ああ。何だかごちゃごちゃと言ってきていた俺そっくりな奴な。面倒臭かったからちゃちゃっと斃してきたけど?」

 

 坂上龍太郎の言う事には、何だか色々と言って来たのは確かだったけどウザかったし面倒だったからと、仮面ライダークローズチャージに変身をしてさっさと必殺技をかましたらしい。

 

 何だか『ちょっと待てぇぇっ!』と叫んでいたらしいが丸っと無視したとか。

 

(いと哀れ)

 

 そんな訳だから坂上龍太郎はペルソナを得る事が無かった様だ。

 

 元より、雫と香織と鈴がペルソナを得られたのは虚像との会話により、僅かながら感情の芽生えがあったからこそだったから。

 

 会話をしなかった坂上龍太郎の虚像がペルソナ化は成程、しないであろう。

 

 勿論だけど天之河光輝の虚像がペルソナに成るなど間違っても有り得ない、何しろ幻朧魔皇拳を放つと同時にズタズタに引き裂いたのだから。

 

 寧ろ、鳳凰幻魔拳の間違いでは? と言われてもおかしくない。

 

 虚像を引き裂いたから不要な幻朧魔皇拳は解除してやっている。

 

 解除には誰かの死をトリガーに……とは飽く迄も術者以外が解除する場合にあり、術者が意図的に解除する事も普通に出来るのだ。

 

 本来は不要だからやらないだけで。

 

「それじゃ、行こうか……最後の神代魔法を頂戴しに……そして……概念魔法を得る為に」

 

 最早、天之河光輝の言葉など聴いている心算も無かったユートは遂に、“有機的な物質に干渉する”変成魔法を得る為にヴァンドゥル・シュネーが用意した場所へと向かうのだった。

 

 

.




 変成魔法取得の噺から次章です。


勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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