ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 GWを利用して早めに書けました。





最終章:超血戦
第115話:ありふれた概念魔法


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 やって来たのは魔法陣が存在している部屋なのだが、芸術家肌なヴァンドゥル・シュネーらしいというべきか? ユートから視ると可成り素晴らしいものである。

 

 否、女性陣には大好評らしい。

 

 転移の魔法陣から出た先に在ったのは広い空間であり、太い円柱形の氷柱によって支えられている四角形の空間となっていて、その全てが氷雪洞窟の名に決して恥じぬ氷製だった。

 

 此までに見てきた氷鏡とは違って反射率の高い氷では無くて、それは向こうさえ見通せる程に透き通った純水で出来ているかの如く氷壁。

 

「地面に水とはね」

 

「寒いは寒いけど、それでも肌を突き刺すみたいな寒さじゃないのよね。寧ろ涼しい感じ」

 

 雫が試しに触れた水も冷たいけど凍らない程度の水温なのであろう。

 

「観る者を魅了して止まない氷の芸術品って処なんだろうな、本当に素晴らしく美しい作品群だから幾らでも観ていられそうだな」

 

 元々が戦闘型より芸術家肌であったユートであるだけに、ヴァンドゥル・シュネーが製作者であろうこの場所を彩る作品に感嘆の溜息を吐いた.

 

 抑々、知らなかったとはいえ実は婚約者だった狼摩白夜の姿絵を描いたりフィギュアを製作してみたり、何なら他人からフィギュアの製作代行の依頼を受けて造ったりもしていたユートだけに、ある程度以上の芸術品への造詣も深いので眼鏡を掛けていない事からも、ヴァンドゥル・シュネーとは良い話が出来そうである……とはミレディが言っていた科白だ。

 

 それでいて錬成師の能力も持っているのだからオスカー・オルクスとも話が出来る。

 

 出来たらで良いが、あの二人が甦ったなら緩衝材として動いて欲しいくらいだとか。

 

 ユートは今は亡き【解放者】の六人を甦らせる事が可能であり、その為の下準備として魂を封入するデバイス代わりにオスカーのポケットに忍ばせたのがあのプログライズキー、あれに彼らの魂を封入して消失を防ぐ事でそれこそ一万年と二千年だって越えられる。

 

 事実としてユートが『ゼロワン』の名前を名乗ると、特殊なプログラムが作動して何らかの形でプログライズキーを渡してきた。

 

 そしてプログライズキーの内部には渡してきた本人の魂が半分と、他の【解放者】仲間のモノが五分の一ずつ封入されている。

 

 つまりプログライズキーが一つだけでは決して復活はさせられない、残り全てを集める事により初めて【解放者】を文字通り解放が叶うのだ。

 

 今までに集めたプログライズキーの数は五つ、今回の氷雪洞窟でヴァンドゥル・シュネーを主とするプログライズキーが、ユートの手に入る予定なのだから遂に彼らを復活させられる。

 

 中には癖こそ強いものの、ミレディとタイプの違う美女も居るから話をするのが愉しみだ。

 

 尤も、海人族のメイル・メルジーネは過去との邂逅で会っていたりするが……

 

「さて、あれだな」

 

 歩いてきた橋も可愛い彫刻を施した氷製であったし、飛び石状の足場に点在している小島に氷の花々が咲き乱れた庭園みたいな場所。

 

 その先に薄い蒼色で透明度が〇の氷で造られた宮殿が存在しており、この宮殿の前には踏んでも運とも寸とも云わない精緻な魔法陣が在る。

 

 巨大な両開き式の扉には雪の結晶を模していると思しき紋章が、左右の扉に一枚絵の如く彫り込まれており、その紋章はオルクス大迷宮の深奥にて見付けた本に載っていたヴァンドゥル・シュネーのシンボルだった。

 

「すんなり開いたな。まぁ、不倫しまくりとかが最近になって入ったんだから当然か」

 

「不倫しまくり?」

 

 首を傾げる坂上龍太郎。

 

「フリード・バクアーでしょ」

 

「ああ、そうだったな」

 

 余り覚える気が無さそうだが、一応曲がり形にも覚えて貰っている天之河光輝はマシな方か。

 

 そういえば以前にも同じ名前の男の名前を忘れまくっていた筈である。

 

「ふーん、これはオスカーの住居をド派手にした感じかもな? オスカー・オルクスは機能美を、ヴァンドゥル・シュネーは芸術美をそれぞれ追求するタイプだったんだろうな」

 

 ドラゴンレーダーの如く羅針盤を使いながら進んでいく一行、宮殿内部で一階の正面通路の奥へと進むと重厚な扉が鎮座していた。

 

「着いたみたいだな」

 

 扉を開けると目標の魔法陣が描かれているのが遠目からも判る。

 

「天之河以外は魔法陣に」

 

「な、何で俺以外なんだ!?」

 

「お前が失格なのは判り切っているからに決まっているだろう。まさか数々の失敗と虚像に取り込まれる大失態を繰り返して神代魔法が得られるなんて、そんな莫迦でも思わない幻想に取り憑かれてはいないよな?」

 

「くっ! やってみなきゃ判らないだろうが!」

 

 天之河光輝がいの一番に魔法陣へと入るのだが瞬時に絶望的な表情を浮かべた。

 

「だろうな」

 

 肩を竦めてユートが入り、それを見ていた一行も順番に魔法陣へと入っていく。

 

 大迷宮での行動を精査された上で攻略を認められた者の頭に直接、神代魔法の術式が刻み込まれていくのはいつもながら慣れない一行。

 

 ユートを始めとして天之河光輝を除く全員が、神代魔法の一つ“変成魔法”を手に入れた。

 

 天之河光輝を除く……これは重要且つ当然というべき事象であろう。

 

 坂上龍太郎と鈴も無事に手に入れたらしくて、ホッとした表情で胸を撫で下ろしている。

 

「何故だ、何故なんだ……」

 

 そして未だに絶望的な表情でぶつくさと囀っているのが天之河光輝、ユートからしたら自業自得でしかないので憐れむ気持ちすら持たない。

 

「……ぎぃぃぃっ!? あ、嗚呼っ!」

 

「あ、くぅぅぅっ!」

 

「イヤァァァァァァァッ!?」

 

 変成魔法を取得して直ぐ、ユエと雫と香織の三人が苦悶の表情を浮かべながらもがき苦しむ。

 

 その姿は【ペルソナ5】に於けるペルソナ覚醒の様にも見えるが、勿論だけどこの事象はそんなものでは決して無かった。

 

「……」

 

 ユートはそんな三人を眺めながらギリリリッと奥歯を噛み締めている。

 

「雫? 香織? それにユエさん?」

 

 天之河光輝がオロオロしていたが、触って撫でようとでもしたのかパシンッと手を叩かれた……選りにも選って穏健な雫にだ。

 

「し、雫?」

 

「さ、わらないで……くれる?」

 

 脂汗を流しながら言う雫の瞳は据わっていて、明らかに不機嫌全開といった体である。

 

 既にユートの女である事を自覚し納得して寧ろ悦びを以て接している雫からしたら、天之河光輝の行動を許容するなんて一〇〇%有り得ない。

 

 元々、香織にとってのハジメと同じレベルでの好意が雫にはユートに対して有ったのを、半ば無理矢理に近かったとはいえセ○クスをしたのだから外面的には怒りを覚えながら、内心では可成りドキドキと胸を高鳴らせていたくらいだ。

 

 実は香織と愛子先生と三人で一番に蕩けたのは雫であり、ユエとの百合な行為もユートに命じられるが侭に受け容れたのも実に早かった。

 

 抑々にして怒りを感じたのも自分だけでなく、香織や愛子先生まで標的だったから嫉妬心からに過ぎなかったりするが、何度か抱かれて思った事は――『香織と愛ちゃん先生には悪いけど助かったかも』という、独りきりでは決して耐えられないであろうユートの精力である。

 

 尚、ユエは固有魔法の再生で肉体的にも精神的にも回復が可能ではあるのだけれど、雫達より遅いだけで普通に気絶させられてしまっていた。

 

「ふむ、主殿はどうやらその様子であると三人の異変に心当たりが?」

 

「正確には三人じゃない、四人……だ」

 

「四人とな? 否、そうか! つまりは痛みの大小は在れど主殿も異変の真っ只中なのじゃな」

 

「正解だ、ティオ」

 

 現在、ユートも頭痛の真っ最中で奥歯を噛み締める事で耐えていた……逆に云えばそのくらいでも耐えられる程度の痛みという事。

 

「そうなると原因は神代魔法じゃろうな。主殿とユエ達に共通しておって、妾達とは違う点が有るとすればそれしか考えられまいて。何より神代魔法たる変成魔法を得て直ぐの異変じゃしのぅ」

 

「それも正解。流石はティオ、さすティオだね」

 

「さすティオって何じゃ?」

 

「ああ、前に行った世界で近親相姦してもおかしくないくらい兄を好きな妹が居てな。その子が偶に『流石は御兄様です』とか……殆んど言ってない筈なんだが、何故かそのフレーズが頭にこびり付いていてね。『さすオニ』って感じだった」

 

「ほう、別の世界とは……妾も是非聴いてみたい話ではあるな」

 

 そんな彼女の気持ちをユートは勿論ながら余り理解はしてやれないが、実はユートは既に違うとはいえ精神的に実妹な子を孕ませている。

 

 緒方白亜。

 

 緒方宗家の次期宗主であり、ユートからしたら同じ両親から生まれた完全なる実妹。

 

 畑違いや種違いでは決して無い。

 

 つまり浮気や不倫によって産まれた挙げ句の果てに、何年間も別々に暮らしていたとか有りがちな実の兄妹による近親恋愛とかでは無かった。

 

 ユート自身はどうして其処まで? と思っていたのだが、白亜からしたら『愛する兄さん』だったからユートが死んだ時はそりゃ酷かったのだと後に前世の祖父から聴いている。

 

 はっきり云うと彼女には孕ませた精神的な実妹の白亜の影を視た。

 

 とはいえ、転生をしたからには血の繋がりは無くなって……はいなかったけど最早、四親等処の話では無いくらいに離れた血縁でしかない。

 

 実の話、ユートの転生先の先祖が緒方家の人間が妙法村正と共にハルケギニアへ召喚された人物であり、二百年は前のとはいっても一応ながら血の繋がりは有ったのである。

 

 尤も、新たに再誕世界へ転生してからは血の繋がりも全く無くなってしまったが……

 

 肉体の血の繋がりより濃いしは絆の繋がり、【ペルソナ】世界にてコミュニティーやコープから学んだ事柄、つまりはそういう事だった。

 

 それは扨置き、話が横に逸れたので取り敢えずは元に軌道修正をする。

 

「僕達に起きているのは追加情報の書き込みだ。七つ全ての神代魔法を得ていた場合、どの大迷宮の魔法陣でも起きる様にされていたんだろうね。その追加情報とは七つの神代魔法の奥義と真奥、そしていよいよ概念魔法に関しての情報だ」

 

「概念魔法……か。これで帰れるんだ」

 

 鈴は途中参加だったからどうやっても得られない概念魔法、とはいってみてもユートを始めとして合計で四人もが得られるなら問題も無い。

 

「うん? 帰るだけならいつでも帰れたぞ」

 

「ふぇ?」

 

「抑々にしてどうやって僕の衛星型母艦(ダイコンボイ)が来れたんだよ? 僕を基点に座標が判ったからに他ならない。とはいえ、下手に帰ると日本政府に捕縛されたりマスゴミに囲まれたり、下手な受け答えをしたら吊し上げも待った無しだったから帰していないってだけだ。誰かに話した気はするけどな」

 

「そうだったんだ」

 

 どうやら理解が及んで無かったらしい。

 

 尚、天之河光輝はこの会話に全く以て介入をしていないけど、それは変成魔法を()()()()()()()()手に入れたのに自分は無理だったという事に、無様を感じて凄まじい精神的衝撃を受けてしまって未だに茫然自失としているから。

 

 親友だとか言ってはいても結局、天之河光輝は坂上龍太郎を自分の下に視ていたのである。

 

 無意識に……だろうけど。

 

 然もないと『帰れた筈』なんてワードを聴いた瞬間に又候、間違い無くギャーギャーと喚き散らしてきた事は請け合いだった。

 

 天之河光輝……頭は良い()()の癖に直情的に過ぎて活かされない男? まぁ、汚○ン○○がお亡くなりになっているから多少はね。

 

 ユートの言った事は間違いでは無い、何故なら正規なα世界線では実際に政府やマスゴミにより行われた事だからだ。

 

 α世界線のハジメは魔王様だからどうとでも出来たというだけでしかない。

 

 尚、ユートも方向性が似たり寄ったりというか神殺しの魔王(カンピオーネ)なのは変わらない為、矢張り政府もマスゴミもどうとでも出来てしまうだろう。

 

 というより、ユートは既に政府高官は疎か“いと高きなる方々”にすら顔が利く。

 

 下手に藪を突いては来まい。

 

 どうやって? とか訊かれたら『若さってのは振り向かない事なんだ』と答えよう。

 

 莫迦な高官とかが来たら? とか訊かれたら、その時は『惑星規模の超々大型な人型機動兵器で地球を殴ったらどうなるかな?』と答えて上げるが世の情けかも知れない。

 

 全高が九万kmにも及ぶユニクロンにて地球をぶん殴る、日本に直撃をしたら間違い無く日本沈没では済まない被害が予想される。

 

 少なくとも隣の大陸辺りは沈没するだろうし、少し離れた大陸も沈没はしなくても全体的に海水による水浸し、きっと地球人全員が全く意図しない海水浴をする羽目に陥った上で何億人規模での死者行方不明者が出る筈だ。

 

 そうなれば勿論だけど大量殺戮者に成ってしまうのだろうが、ユートの視点から視たらこの世界の地球人が喧嘩を売ってきたから買った程度。

 

 それに実際にそんな非道をした事も無い、出来る事とやる事はまた別なのだから。

 

 但し、本気で喧嘩を売られたら戦争となっての大量殺戮は必至だろうけど。

 

「あれ? じゃあ何で神代魔法をコンプリートしちゃったの?」

 

「ゲーマーのサガというか、集め始めたら最後まで蒐集をしておきたくなるんだよ。それに神代魔法は僕の使える能力の下位互換だけど、それでも自転車の補助輪程度には使えるからな」

 

「自転車の補助輪って……」

 

 余りの酷評に頬が引き攣る。

 

「さて、折角だから概念魔法をきちんと仕上げておきたいな。既に頭ん中には使い方から何まで、全部入っているんだし使わないと損だろ」

 

「新しい玩具を与えられたら子供みたいよね? そういう処を見せられると普通に私達と何ら変わらないって思えるわね」

 

 痛みから脱して失っていた意識も取り戻した雫が苦笑いをしている。

 

「変成魔法の極意を見せようか?」

 

「極意? って、優斗も身に付けたばかりの魔法を行き成り極意って……」

 

「言ったろ? 神代魔法は僕の使える能力からしたら下位互換に過ぎない、良くて自転車の補助輪程度の扱いなんだって……さ」

 

「言っていたけど……」

 

「その意味を確認させてやるよ」

 

 ユートが取り出したのは【DQダイの大冒険】に登場する“魔法の筒”と呼ばれる魔導具であり、『イルイル』で生物を筒に容れて『デルパ』により筒から出せる代物。

 

「デルパ!」

 

 ボンッという音を響かせながら煙が上がって、その煙が落ち着くと其処に顕れたのは見た目には完全にロボット、人型をした何かが鎧を纏って剣を佩いている感じの存在だった。

 

「お呼びにより参上致しました陛下」

 

 騎士の如くユートに礼を尽くす。

 

「これからちょっとした実験を行う、その間は無防備になるだろうから守備を頼みたい」

 

「御意の侭に」

 

 如くというより騎士だった。

 

「えっと、騎士ガンダム?」

 

「む? 陛下の新しい奥方ですか? 如何にも、私の名前はガンダム。騎士ガンダムです」

 

「新しい奥方って……まぁ、そうなるのかしら。何で騎士ガンダム? 変成魔法の極意はどうなったのよ?」

 

「変成魔法? 基本的に私達ガンダム族は剣士の一族、魔法の使い手も居ない訳ではありませんが私には使えません」

 

「あ、いや……優斗がね?」

 

「ああ、そういう意味でしたか」

 

 納得する騎士ガンダム。

 

 尚、法術師ニューガンダムなどの魔法使い系なガンダムも存在しているのは確かだ。

 

「ねぇ、変成魔法の極意は何処に往ったのよ? どう見ても騎士ガンダムって生き物じゃないわ」

 

「雫は何を言ってるんだ? 魔法の筒に入るのは生命体だけだぞ」

 

「……へ?」

 

「この騎士ガンダムは勿論だけどスダ・ドアカワールドで産まれた本物じゃない。だけど間違い無く変成魔法と似た能力で生み出した生命体だ」

 

「マジに?」

 

「マジだ。金属生命体ってのならトランスフォーマーを解体してノウハウはあったし、ユーキ……僕のハルケギニアでの義妹で【閃姫】でもあるんだが、彼女が再転生した世界で一種の珪素系生物(シリコニアン)を解体した事もあるからな」

 

 クスクスと黒い嗤いをするユートに雫だけでなくて、他の【閃姫】や坂上龍太郎や天之河光輝や更には騎士ガンダムまでゾクリと怖気を感じた。

 

 ユーキが天宮祐希――産まれた先が姓を持たない一族だったが、外での名乗り用に使われている姓が天宮だった――として再転生をした世界というのは、“人類に敵対的な地球外起源種”と呼称される存在がワラワラと溢れ返る場所。

 

 彼女の要請で九州に上陸して京都までもを蹂躙しようとしていた存在から、僅か数名の女の子を護る為に見た目には【機動戦士ガンダムSEED DSTINY】のストライクフリーダムガンダムだが、一応は戦術機として呼ばれるその機体に乗って先ずは大活躍をした。

 

 因みに、ユーキ本人は違う場所でインフィニットジャスティスガンダムにて動いていたらしいのだが、はぐらかされて実際に何をやらかしていたのかは聴かされていない。

 

 英語な名前だけど日本の戦術機として頭の悪い暴走族みたいな当て字で書かれるが、性能としては戦術機という意味で視れば異次元の性能を誇る機体であり、ユートが普段使う機体に比べてみると二段か三段は下回る性能と成っている。

 

 詳細は兎も角、原典で云うと“桜花作戦”に当たる甲一号作戦――喀什ハイヴ攻略で重頭脳級から得た知識を基にシリコニアンの本星を特定化し、其処で()()()()()()()()生命体とは認められない存在を捕獲、解体をしてその生命の秘密を詳らかにしてやったのだ。

 

 そう、奴らが造った作業用重機たる地球人類の呼称でBETAから視た地球人が生命体と認識されないなら、地球人類から視たBETAを送り出していた連中も又生命体では有り得ないという暴論で。

 

「騎士ガンダムはバーサル騎士ガンダムに成れるから割と強いぞ」

 

「エヒトルジュエの使徒と比べたら?」

 

「一対一限定で空さえ飛べれば騎士ガンダムの姿でも勝てるし、バーサル騎士ガンダムの姿ならば言わずもがなというべきだろうね」

 

「空……ね」

 

「因みにウチの騎士ガンダム達は飛べる」

 

「察したわ」

 

 人間族に比べて頑強なるMS族、しかもそれがガンダム族ともなれば戦闘力は一段も二段も上、エヒトルジュエの使徒も単純にステータス値は高いけど、騎士ガンダムなら飛べさえすれば敗ける事など先ずあるまい。

 

「そういえば陛下って?」

 

「うん? 新しい奥方様は御存知ではいらっしゃらなかったのですか?」

 

「知ってるぞ、僕が真皇と名乗るアシュリアーナ真皇国の国主なのは」

 

「あ、そういう意味ね……って言う事は彼も国に取り込まれてるの?」

 

 ユートの答えに納得した雫が問う。

 

「キングガンダムⅡ世が治めるスダ・ドアカ領国ラクロア領都の騎士だからな」

 

 別にⅠ世が存在する訳では無く、単純にキングガンダムⅡ世として創造をしただけである。

 

 というより、ユートはキングガンダムⅠ世自体をキングガンダムⅡ世の、【SDガンダム外伝 騎士ガンダム物語】の円卓の騎士に於ける噺でしか識らない。

 

「じゃ、頼んだぞ」

 

「心得ました」

 

 ユートは部屋の壁の一部が溶けて、水滴みたいな形に氷っぽい青みが掛かった透明感溢れた石のペンダント、この内部にヴァンドゥル・シュネーの紋章が刻み込まれている物が現れたので所謂、攻略の証だろうからと回収をして部屋を出た。

 

 一人になったユートは座禅を組むと瞑目して、概念魔法の知識を頭に思い浮かべる。

 

 概念魔法とは“極限の意志”が必須となる……とされており、余りにもフワッとしたモノでしかないから却って難しく考えてしまうだろう。

 

 だけどユートは抑々にして【創成】という技能を持ち、極限の意志というならば必要に駆られてよく使っていたから理解も早い。

 

 護衛に置いたあの騎士ガンダムとて、その肉体と魂魄を創造するのに可成り集中していた。

 

 極限の意志……ならばやってやる!

 

(抑々の話が、概念の生成は普通にやっていた。だからこれは何て事も無い作業に過ぎん)

 

 選択をしたのは生命体の創造。

 

 だけど問題が在った、それはあのプログライズキーには六人分の魂が宿っている筈なのだけど、冥王として改めて調べてみたら何故か人数が多い気がしたのだ。

 

「っと、その前にやるべきをやるか」

 

《ZEROーONE DRIVER!》

 

 シュルルッと大きなバックルを持つベルトを腰に巻いたユートは、ポチッとなと謂わんばかりにプログライズキーのスターターを押してやる。

 

《VANDUR SCHNEE!》

 

 それをオーソライザーに翳す。

 

《AUTHORIZE!》

 

 変身をする訳でも無いから無言でプログライズキーをドライバーに装填。

 

《PROGRIZE! VANDUR SCHNEE!》

 

 これで全てのプログライズキーから魂を保存する事に成功、そして矢張りと云うべきか魂魄の数が明らかに八人分は存在していた。

 

 ミレディを除いて【解放者】は六人の筈なのに魂魄は八人、つまり本来の人数より二人分が多く入っていた事になる。

 

「恐らくは【解放者】と近しい人間」

 

 概念の創製に付与するべきアイテム、概念魔法を創ったらそれを扱う道具に付与するのは魔導具を造る上で当然の事。

 

 ユートは八人の魂にアクセスし、そのアストラル・マトリックスを読み解いていった。

 

「オスカー・オルクス」

 

 最初に読み解いたのは稀代の錬成師オスカー・オルクス、ユートは創り上げたばかりの概念魔法を付与した魔導具に情報を記録する。

 

「リューティリス・ハルツィナ」

 

 森人族にして稀代のドMなリューティリス・ハルツィナ、被虐性を発揮しなければ清楚な美女だというのに正に残念美人。

 

「ヴァンドゥル・シュネー」

 

 稀代の芸術家にして魔人族と氷竜人のハーフ、単なる魔人族では無く魔王に連なる血筋。

 

「ナイズ・グリューエン」

 

 一種の苦労人、稀代のロリ野郎的な可成り若い奥さんを貰ってしまって仲間に弄られたとか……スーシャの妹だったから寧ろ出逢った当時は普通に幼い。

 

「ラウス・バーン」

 

 本来は聖光教会という今現在の聖教教会の前身に所属していた【解放者】の宿敵、彼の魂魄魔法が勇者(笑)の持つ限界突破のオリジンであるが、弄られた意味で稀代のスキンヘッド。

 

「メイル・メルジーネ」

 

 ミュウと同じ海人族で稀代のドS、愛する妹の為に可成りはっちゃけたらしいのはミュウを妹にするとか言い出した辺り窺い知れた。

 

「ユンファ・リブ・ドゥミバル」

 

 多かった魂の一つはスーシャ・リブ・ドゥミバルの実の妹であり、見事にナイズ・グリューエンの妻と成った女の子であったという。

 

「ディーネ・デヴォルト」

 

 海人族と人間族のハーフらしいからメイル・メルジーネの関係者か? としか思えないが、姓の違いは種違いという事なのかも知れない。

 

 畑――母親が海人族なのだろう。

 

 概念魔法を篭める為の道具は小さな水晶体で、その篭めた概念は“情報こそは力故に(お前の全てを識る)”といったものである。

 

 読み解きて記録した魂の情報を八人分、残るは魂の器となるべき肉体の創造。

 

「流石に時間が要る。ミレディの時も実際に可成りの時間を圧縮していたしな」

 

 ミレディ一人の時とは違って八人ともなれば、矢張り落ち着いて作業が出来る状況であるのが望ましいし、ポッドが在った方が出来上がった肉体を放って置くよりも良い。

 

 立ち上がったユートが元の魔法陣が存在している部屋に戻ると……

 

「あ、優斗」

 

「うう……」

 

「はう」

 

「……ん」

 

「ですぅ」

 

「フム」

 

 どうにも雫、香織、鈴、ユエ、シア、ティオという【閃姫】達の様子がおかしかった。

 

「で、どうしたんだ?」

 

 よく見れば坂上龍太郎や天之河光輝でさえ少しばかり様子がおかしく、何とも云えない表情となってユートの方を見てきている。

 

「実は……ね、貴方が一人になってから暫くして急に私達が居たこの部屋で映像が流れたの」

 

「映像? 何のだ? ヴァンドゥル・シュネーが遺していた何かだったのか?」

 

「ううん、多分だけど違うわ。その映像ってね、優斗の半生……半生? 兎に角だけど貴方が生きてきた人生そのものを圧縮して流された感じだったのよ」

 

「ハァ? 否、若しかして!」

 

「何か心当たりがあるの?」

 

 反応から察したらしい雫。

 

「さっき、概念魔法を使った際に極限の意志ってのを極めてみた訳だが、恐らくはそれが外部へと漏れて僕の記憶を映像化したんだろう」

 

 そしてα世界線でも同じ事が起きたのであろうとユートは察した。

 

(恐らくだけど、彼方側の南雲ハジメも似た感じで記憶を流出させたんだろうな。それがどっから何処までかは知らんけどね)

 

 単純に答えを言えば奈落に落ちてからの凄絶なる記憶であるが、ユートの場合は造る概念魔法の形が異なったから源流だとも云える記憶として、その殆んど一から百までが流出をしていたのだ。

 

「ね、結局さ、神代魔法って何なのかな? シズシズやカオリンやユエさんから訊いてはみたけどいまいち解り難いんだよ」

 

 雫は理解が足りない、香織とユエは説明が出来ないタイプ、確かに訊いても理解は出来まい。

 

「先程、手に入れた変成魔法は有機物に干渉をする魔法だ。人間を始めとする生物を構成する物質の殆んどが有機物だな」

 

「有機物」

 

「魔物を従えたり、野生生物を魔物化したりするのはその一端に過ぎない。更には元となる生命に魔物の特徴を切り貼りする事で特殊なキメラを造り出す事も可能だ。例えば人間にウサギの魔物の特徴を組み込んで兎人族、人間に蜥蜴類か純粋な竜の特徴を組み込んで竜人族とかな」

 

「そ、それは……」

 

「前にも言った様にエヒトルジュエはこうやって亜人族や魔人族や竜人族や吸血鬼族を造った」

 

 そうやって人間を改造したのだ。

 

 その人間の出所は別の大陸、何万年も前だから技術も碌に無い原人レベルだったが故にか病気や怪我などの治療も出来ず、出産も我が子を死なせる事がどれだけ多かった事かと考えれば、今現在の地球を識る者からすれば驚く程に人類は少なかった筈である。

 

 よって、今のトータスの別大陸には人間なんて一人も居なくなっていた。

 

「その気になればユエの背丈を伸ばして胸を増量して腰を引き締めて、大人な女性の姿に変態させる事だって可能だな」

 

 それこそ、そういう魔導具を造って『ピピルマピピルマプリリンパ』とか『時の記憶に想いを篭めて』など口走ればあら不思議、大人の女性へと華麗に変身をしてしまうであろう。

 

「そういう意味ではティオの竜化という種族特有の魔法は変成魔法が源流なんだろうね」

 

「ほう、妾達の竜化の源流とな」

 

 ティオが何だか感心していた。

 

「実際、アニメや特撮なんかで人間の姿から魔物みたいな姿に成るなんていうのも変成魔法で再現が出来るだろうな」

 

 これに関しては香織と雫と鈴がピキーンと反応を示している。

 

「オルクス大迷宮で得た生成魔法は変成魔法と逆に無機物へと干渉する魔法だね」

 

「今度は無機物なんだ」

 

「単純な使い方としては鉱物に魔法を付与するという感じだけど、実際には水や塩など無機物であれば何にでも干渉が出来る。そうだな、例えばだけど短剣を伸ばして長剣に換えたりみたいな使い方も出来るんじゃないかな。正しく僕やハジメが使う錬成魔法の源流って訳だよ」

 

 他にも再生魔法は時間に干渉する魔法であり、空間魔法は境界に干渉する魔法、魂魄魔法であれば生物の持つ非物質に干渉する魔法、重力魔法は星のエネルギーに干渉する魔法、そして昇華魔法が情報に干渉をする魔法とされていた。

 

「大きくて根源へと干渉する、それが神代魔法と呼ばれる七つの魔法という事だね」

 

 説明を受けた鈴だけで無く、同じく概念魔法を使える筈の香織と雫とユエも未だ理解が追い付かなかった様で、まるで学校の授業でも聞くみたいに確りと頭に入れていく。

 

 どれも現代の魔法ではどうにも成らないくらいには凄まじく、生成魔法だけ見ても恐らく現代の魔法を使う人間が百人規模で居ても敵うまい。

 

 事実としてオスカー・オルクスは聖光教会から放たれた刺客を、千切っては投げ千切っては投げ無傷でぶちのめしていたとミレディから聴いた。

 

「さて、取り敢えずもう急ぐ理由も無いんだから少し休もうか」

 

「休むの?」

 

 雫が首を傾げる。

 

「神代魔法はコンプリートしたし、僕は概念魔法も修得した。それにさっきも話した通りティオの竜化は変成魔法の劣化派生品、ならば本物の変成魔法で強化も叶うだろうからね」

 

「成程の、確かに少し時間は欲しい」

 

 それにユートや雫みたいにあの空間で休みつつイチャイチャと精神的なリフレッシュをしていたなら兎も角、あの時にまだ合流をしていなかったメンバーは疲労も抜けてはいない。

 

 という訳で、宮殿内に存在する生活空間の中で一部屋を天之河光輝と坂上龍太郎に与えてやり、ユートと【閃姫】メンバーは別の部屋でたっぷりと心身――肉体的には疲れるけど――をリフレッシュするべく例の空間に入る。

 

 騎士ガンダムは部屋の前に陣取り、間違っても天之河光輝が部屋に突入しない様に見張った。

 

「此処が僕のパレスみたいな空間だ」

 

「フォォォッ! こんな場所を物質と精神の狭間に持ってたなんて!?」

 

 秘密基地みたいで鈴が盛り上がる。

 

「あれ、割と早く来たね」

 

「マグネ、早速で悪いんだけど御飯と風呂と床の準備を頼めるか?」

 

「はーい」

 

 マグネシグネはナトリイトリやネオンセノンを伴い、それぞれで食事や風呂炊きや寝所の準備に勤しみ始めた。

 

「それじゃ、各々で御飯が出来るまで修練でもしておこうか」

 

 ユートの言葉に頷く【閃姫】達。

 

 そして外では一日が経過するだけの時間を例の個人的なパレスっぽい空間で過ごし、つまり内部では実に一年間が経過をしているのだが……

 

「そろそろ行こうか」

 

 修業を熟しつつユートに抱かれ、百合も堪能をして大きく強化もされた【閃姫】メンバー。

 

 というか、代理人形たるナトリイトリ、マグネシグネ、ネオンセノンだけで無く【うたわれるもの】な世界から連れてきた何人か、勿論ではあるが【閃姫】メンバーも含め大乱交をしている。

 

 実際、平行世界を応用すれば同じ人間なのに違う存在というのはありふれており、それこそ縦軸が違う若いA存在と老いたA存在が同じ時間へと顕れる事すらあった。

 

 あの世界では“織代”により引かれた“客人”が顕れたり、別の理由――ユカウラが避難させたなど――で顕れたりするから本当にある事だ。

 

 例えばヤマト國でキウルと出逢ったシノノン、彼方側でキウルと逢う前にユートと出逢ってしまったシノノン、それは果たして同じ感情を本当に抱くものであろうか?

 

 同じヒトであるからには同じ感情を持つかも知れないが、その感情を同じ相手に……とは限らないのだからその時点で破綻している。

 

 兄を亡くして健康に成り彼方側へと渡って数年を経たユズハ、そうなる前に兄と共に彼方側へと渡ったユズハ……考え方も大きく変わったもの。

 

 そんな訳で、此処に居る【うたわれるもの】の世界から来た者の中には、元はヘルシャー帝国にして現トゥスクル皇國に居る者と見た目には同じヒトが居たりもする。

 

 それに【うたわれるもの】の世界の亜人というのは、普通の人間と比べて遥かに強靭なる肉体を持って生まれてくるから、修業を手伝って貰うという意味でも充分過ぎる程に役立つ。

 

 特に戦闘中毒(バトルジャンキー)なアトゥイとかは目を爛々(らんらん)に輝かせながら、雫達との打ち合いを臨んでいるのだからWINーWINと云えるかも知れない。

 

 こうして遣るべき事とヤりたい事をすっかりとスッキリと済ませ、氷雪洞窟から外へと離脱をするべく宮殿前の魔法陣へと向かうのだった。

 

 

.




 氷雪洞窟クリア前に新章なのはクリア後は原典と同じく展開が割と怒涛化する為です。

勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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