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ショートカット、それは基本的にどの大迷宮にも存在していたものではあるが、実は色々と癖が強いものばかりだったのも確か。
尚、ミレディ本人から聴いたライセン大迷宮のショートカットは何とまるで水洗トイレの如く流すモノだったとか。
だけど最早、問題点はそんな大迷宮のショートカットの造りになど有りはしない。
氷竜に乗って優雅な脱出をしたユート一行ではあったのだが、その先に一行を待ち構えていたの総大将フリード・バグアーと今一人の魔人族の男とエヒトルジュエの使徒が約五百体もの群。
恵里"から聴いていた情報によると氷雪洞窟から出るなり、フリード・バグアーとエヒトルジュエの使徒が居るのは織り込み済み。
問題なのはα世界線では恵里"その人こそ待ち構えていた人員だったけど、このβ世界線に於いての中村恵里はハジメの恋人となり大迷宮巡りに付き合っており、当然の話しながらこの場に現れたりする筈も無かったという事。
その代役があの魔人族の男だろうか?
「プリン・バクバクか!」
「誰が甘味を食べる人だ!」
プリンなんてこのトータスには存在しない筈なのに、何らかの電波でも受け取ってしまったのかフリード・バグアーはツッコミを入れた。
「私の名はフリード・バグアー! ガーランドの軍事を偉大なる魔王様より預かりし者!」
取り敢えず変な覚え方をされていたのが衝撃的だったのか、フリード・バグアーは確りと自分の名前を名乗って来る。
「で、決着でも着けに来たのか?」
「逸るなイレギュラー!」
(イレギュラーねぇ)
本来ならこの称号はハジメが受けていたモノ、然しながらそのハジメは現在まで各大迷宮巡りを恋人と共にしており、エヒトルジュエの使徒とは疎か魔人族とすら碌すっぽ闘っていないから特に目の敵にはされていない。
寧ろノイントを斃しているユートこそが連中からしたら逸脱者、とはいっても目の前に現れたからには何らかの勝算が有っての事か?
フリード・バグアーともう一人の魔人族も堂々とした態度で立っていた。
ユートが逸脱者とか呼ばれたが、中二病真っ盛りでも無いのにユートの本来のステータスには、正しく中二病でしか有り得ないくらいには痛々しい称号がデカデカと書かれている。
“千の希貌と無の絶貌の反英雄”、再誕世界へと転生したばかりの頃には未だ“千貌”という能力に則した称号だったのが、それはいつの頃からだったろうか? 【うたわれるもの】か【ファイアーエムブレム】か判らないが、何時しかその称号が今現在のものへと変化を遂げていた。
そして自らを人間としておきながら感覚的には第十感覚――テンセンシズに刹那の刻のみ覚醒、第九感覚――ナインセンシズにも同時に目覚めていたユートは、人種的には到達者と超越者を同時に取得していたから実は神を名乗ってもおかしくないし、何なら【ドラゴンボール】な世界に於いて絶望の未来のサイヤ人ハーフ――トランクスが超サイヤ人に変身したのを“智慧の瞳”で視た事で超化も可能となり、同時に赤い髪の毛や青い髪の毛の超神化すら可能に成っている。
後付け……もとい、新設定としてはサイヤ人のS細胞が超化には必須となっているが、ユートのソレが似て非なるモノなのは間違い無い。
津名魅と出逢って光鷹翼を取得したのもそうだったが、視ただけである程度の再現という能力は何も視ない侭だと使えないハズレなスキルみたいだったのに、視てしまえばそれが何かにもよるが大概にチートだと云えるであろう。
何処ぞの追放系覚醒ラノベ辺りに疑似転生をしてもやっていけそうだ。
云えば、ユートが封印を解除したなら最終的に人種としては超越闘神にまで変化をする訳だし、
この世界や元の世界――と言っても【ありふれた職業で世界最強】の地球を意味しているけど、に於ける神の定義は判らないがユートの認識では恒星間航行技術を持った異星人や異次元生命体や未来人ですら時代によっては神扱いとなる訳で、他に自然に対する畏怖や【天地無用! 魎皇鬼】に登場する津名魅みたいな存在も然る事ながら、似た様な高位次元知性体という存在も神として数えられている。
そして低位ではあるものの“到達者”も神として数えても良い為、ユートからしたら偽神でしかないエヒトルジュエも実は一応ながら神を名乗ってもおかしいものではない。
尚、ユートを転生させた日乃森なのはも到達者というレベルでしか無かったが、現在は超越者としてのレベルにまで至っているのだとか。
それでも転生神の真似事が出来たのは夫である日乃森シオンの加護からである。
「で、ブリブリ・バカマルダシだったっけか? 逸るなとか何とか……」
「誰がブリブリだ!」
未だに覚える気が無いらしいが、流石に話が進まないから雫が声を掛けてきた。
「優斗、話が全く進まないわ。御願いだから名前をさっさと覚えてくれないかしら?」
「判ったよ……フライド……」
「フリード・バグアーだ!」
「フリード・バグアーね」
漸く覚えたのか間違い無く返す。
とはいえ、話の腰を折りまくられたからであろうがフリード・バグアーは額に青筋を浮かべて、隣の魔人族からしたらいつ上司が爆発してしまうか気が気でない。
「うん? そういえば彼奴が確かそんな名前だったかな……フリード……センズリ?」
「何でよ!?」
乙女……では無いけど年頃な女の子の前で言うには不適切な科白に雫が叫んだ。
正しくはフリード・セルゼンである。
「で、結局は何だったか?」
「くっ、貴様に我らが魔国ガーランドの王である魔王陛下が御会いになると云う。栄誉在る事と心得て大人しく付いて来るが良い」
「は? 嫌に決まってるだろう。何だって態々、アウェイに行く必要があるんだよ」
「ふん、そんな事を言って良いのか? コイツを見てみるが良い」
パチンと指を鳴らすと空間に映像が映し出されており、その向こう側には海人族が魔人族により捕らえられているのが判る。
その中には幼い海人族の子供が何人も居るし、母親に抱かれて恐怖を押し殺している様だ。
そして矢張りというか、レミアとミュウ母娘の二人もそんな海人族の内部に居た。
「エリセンか」
「そうだ。イレギュラー、貴様があの魚女と共に在った事の調べは付いているぞ!」
ドヤ顔で言ってくるフリード・バグアーに対してユートはスンと冷めた表情、いつの間にか目覚めていた寧ろ無関係極まりない天之河光輝の方が
喧しいくらいである。
「魔人族、人質とは汚いぞ!」
ギャアギャアと騒ぎ立てる天之河光輝を煩わしく感じつつ、ユートはフリード・バグアーの方を見遣ると溜息を一つ吐いて口を開いた。
「それで?」
「それで……とは?」
「エリセンの状況は判ったがね、ハイリヒ王国やヘルシャー帝国はどうしたんだ?」
「チッ!」
軽く舌打ちして目を逸らす。
「大方、手も足も出せずに撤退か?」
「くっ!」
正解だったらしく、フリード・バグアーは悔しさがハッキリと表情から滲み出ていた。
「そりゃ、単なる海人族や人間族が相手でしかないエリセンの町と、現在は魔導武術を学んでいるアインハルトやヴィヴィオが治めるハイリヒ王国とクオン達が治めるヘルシャー帝国、どうあっても難易度はエリセンをベリーイージーだとすれば此方はベリーハードだろうからな」
とはいえ、神域に在る存在が万が一にも居たらそれだけでもルナティックとなる。
魔人族のどれくらい強いかはユートにも判らないけど、ちょっと強い程度が百人くらい来た処でアインハルトの一人、クオンの一人が居るだけで相手にも成らないであろう。
仮に魔人族がエヒトルジュエの使徒を借りていたとしても、クオン達は元から超越者のレベルともある程度は闘り合える力量を保持していたし、アインハルトやヴィヴィオもそれなりに強いのだけれど、ハイリヒ王国にはラルジェント・ル・ビジューという歴とした超越者が居る。
魔導士――ラザレームと呼ばれる到達者から見てもレベルを越えた超越者、その実力は確かなるもので油断無くやれば修練闘士も容易く屠ったりも出来た筈だ。
逆に油断したら格下の魔導士にも斃されてしまうのだが……
それだけに、エヒトルジュエの使徒など何するものぞと言わんばかりであろう。
「フッ、戦闘狂なアトゥイなら目をキラキラと輝かせながら槍を揮ったんだろうな」
彼女達の武器は
それも魔導金属としてのアダマンタイトでは無くて、神秘金属の【聖闘士星矢エピソードG 】に登場したギガース共が纏う
敵対した際に大量に獲られる機会が有ったから採れるだけ採ったのだ。
その上で神威をも持ったウィツァルネミテアの化身とも闘える身体能力は、普通にエヒトルジュエの使徒連中を大幅に越えていた。
単純な身体能力だけでなら平均的な意味合いで仮面ライダーをも上回るが、当然ながら最強とか呼ばれそうなのには敵わないであろうし、飽く迄も単純な身体能力のみだから必ずしも勝てるなどとは口が裂けても云えない。
本来だと【うたわれるもの】メンバーは飛べない事が問題だったけれど、ユートが持つスキルや魔法やアビリティを使える様にする念能力が存在している為に、基本的には全員が舞空術を扱える様に成っているから既に問題では無かった。
当然ながら魔人族など何するものぞ……とばかりに蹴散らしたのは想像するに難くあるまい。
特にアトゥイみたいな
ユートは敵対して来た者は始末して良しと言ってあるし、心優しいクオンでさえもユートからの言葉とあれば修羅と化している可能性もあるから全滅は必至か?
空を飛べるから仮にエヒトルジュエの使徒共が居たとしても、特段の問題も無く殲滅をする事が出来る程度には強いのだから。
それに本来の歴史の流れでは決して得られなかった娘達も、織代の存在している空間に客人として落っこちた際に縁を結べたので彼女達も居る。
エルルゥが顕著な例だろう。
ユートの識るエルルゥはハクオロとの契約に縛られていたが、それは当のハクオロ自身が破棄をしているのに後年の【二人の白皇】にて愛し合う二人みたいな雰囲気を醸し出していた。
ユートが出逢ったのは抑々がハクオロと契約をした後だった為、エルルゥの心は彼にのみ注がれていたからチャンスすら無い。
まぁ、その分という訳でも無いけどユズハの時には可成り美味しい思いをさせて貰ったが……
それにエルルゥへと掛かり切りだった事から、本来ならばハクオロへと靡く筈の娘達とも仲好くなれたし、そういった意味では別に文句なんて無いから寧ろあの二人には仲好くして欲しかった。
そして所謂、【うたわれるもの~ロスト・フラグ~】での閉じた次元に存在する世界――位置的にはトゥスクルの元最南端辺り――で様々な異相世界に於いて、契約に縛られないエルルゥが召喚されたので仲を深めてみたものだ。
それは扠置き、ユートがフリード・バグアーへと言いたい事は又別に有る。
「さて、お前が言いたい事は理解したが選択肢を間違ったな」
「な、なにぃ!?」
「恐らくは仲間を人質に城へ御招待って処だったんだろうが、結局はミュウとレミアですらエリセンから連れ出せなかった。それと勇者(笑)と違って別に卑怯だ卑劣だと罵倒する気も無いんだよ。戦争なんだから打てる手は打たないとな? とはいえ許す心算は無いし、不愉快なのも間違いは無いんだ。だからこういうのはどうだ?」
指パッチンをすると別の空間モニターが顕れ、其処には中々に大きな――ハイリヒ王国やヘルシャー帝国なら王都や帝都くらいの街並みが広がっており、それを見た瞬間にフリード・バグアーともう一人の魔人族の男は驚愕に目を見開く。
「わ、我らが魔王国の魔都……だと!?」
「フリード様」
それは魔国ガーランドの魔都だった。
「空間魔法で映し出した場所が何処なのかは理解が出来たな? 次は魔都の遥か上空だ」
「「っ!?」」
モニターがグングンと上昇していく。
「な、何だあれは……」
見た事が無い金属の塊。
「ミサイルかしら?」
雫はその金属の形状からミサイルだと判断したらしいが、果たしてユートはそんな彼女の言葉に対して鷹揚に頷いてやる。
「あれの名前は“フレイヤ”という」
「は? はぁぁぁ!?」
フレイヤ――豊穣や美の女神として北欧神話に出て来る名前だったが、ミサイルの形状をしているフレイヤとなると話が大分違っていた。
「フ、フレイヤって【コードギアス~反逆のルルーシュR2~】に登場するトンデモ兵器よね?」
「まぁね。前に【コードギアス】の世界へ行った際造らせた。ニーナ・アインシュタイン本人に」
「どうやってよ? 確か可成り日本人に対しては嫌悪感に近い感情を持っていた筈よ」
「ユフィを使った」
「はい?」
詳しくは省くが、ユーフェミア・リ・ブリタニアに憧憬を持つニーナ・アインシュタイン故に、彼女の侍女に近い立場にして更に研究のパトロンをさせ信頼を得る。
徐々に接触率を増やしていく。
最初はドレスの着替えを手伝うという、メイド辺りに任せる仕事をやらせドキマギさせてやり、共に入浴をしたり添い寝させたりとニーナの好感度を徐々に上げ、最終的に百合的な意味合いにて一線を越えさせてやった。
一ヶ月くらい百合な関係を堪能させてから登場したのがユート、動揺するニーナ・アインシュタインにいつもの関係をユートの目の前で行って、没頭して周りが気にならなくなり絶頂に導かれる瞬間に挿入、脳内物質がドバドバと噴出していて初めての痛みを緩和された上に、挿入されたのと同時に絶頂したと勘違いをした彼女は見事にハマり込んでしまったのである。
こうして研究も完成した上にユーフェミア経緯ではあるものの、【閃姫】としての契約も交わせたから良しとしていた。
その成果物がこのフレイヤ。
正式名称は“Field Limitary Effective Implosion Armament”と云い、サクラダイトを使った核兵器ながら放射能を残さない『究極のクリーン兵器』などと呼ばれるが、その影響範囲は一〇〇Kmで空間内を抉り消し飛ばしてしまう爆弾。
尤もリミッターの設定で効果の範囲や起爆をする時間も調整可能だが……
頬を染めながら必滅の爆発物な設計図を渡す、ニーナ・アインシュタインはちょっとしたサイコパスであろう。
説明を受けて青褪める魔人族。
魔人族領で人が住む領域は非常に狭い範囲だ、何故なら人の領域以外は極寒の大地だから住むに厳し過ぎる為、小さな村々は無くも無かったけど大概が魔都こそが魔人族の住処であり、言い換えればフレイヤが放たれれば間違い無く魔人族は亡びの一途を辿る事は必定だったから。
個人の武勇だ魔法による殲滅だ……など可愛らしいもの、『こんなものは最早戦争では無い!』と叫びたくなるくらいに悍ましい。
ファンタジーな世界では科学の発展が成されていない場合も多々有り、故に遥か昔の地球みたいな武士や騎士による個人の武勇が尊ばれる訳で、そんな世界で数世代先の技術で造られた科学物を使ってみたり、流石に其処までは云わないにしても例えばその世界の戦争では使われていなかった罠などをふんだんに使う戦略、個人の武勇を尊ぶならソレは確かに悍ましいの一言だと云えた。
或る意味で空気を読まない正にKY of KYな行為であり、個人の武勇や知勇が如何に戦場に於ける戦略や戦術に寄与しないかを知らしめる。
「お前らファンタジーには理解が凡そ及ばない、そんなサイエンスの極致の一つが正に核兵器だ。まぁ、とはいえどファンタジーの極致たる魔法に関しては未だに地球人には理解が及ばないけどな。それは置いといて、お前らはつまる話が僕の怒りを買いながら何一つとして成し得なかったんだ。解るか? せめて魔都に僕の『大切』な存在を連れて来れていたら違ったが、現実としてお前らは失敗をかましている」
「よ、止せ……」
ユートが本気でやるのを感じたフリード・バグアーは、汗を流しながらそれを止めるべく口を開いたのだが……
「フレイヤ……発射っ!」
取り合いもしないで指パッチン、その瞬間にはミサイルであるフレイヤの尻から火が噴き出して魔都へ向けて放たれた。
「ヤメロォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォオオオオオッッ!」
そして絶叫するも虚しく魔都の方角から爆光が輝いたかと思うと轟音が鳴り響き、衝撃とは何かが違う感覚が身体に感じられ……収まる。
それは即ち、魔都に居た幾多の生命が……戦闘員ですらない魔人族に至るまで全て死に絶えたという事であり、本来のフリード・バグアーの役割が潰えた事をも意味していた。
魔王はフリード・バグアーに命じていたのだ、イレギュラーを我が魔城へ連れて来い……と。
「お、オオオオオッッ 嗚呼ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっっ!」
涙を流しながら声に成らぬ声で悲鳴にも近い、そんな悲哀の絶叫を上げるフリード・バグアーと今一人の魔人族。
「お、緒方……お前、何て事を! お前は一つの種族を滅ぼしたんだぞ!?」
ユートの首根っこを掴まえながら激昂をしている天之河光輝に対し、ユートはいっそ冷たい瞳で白けたという表情となって見つめている。
「な、何だその目は……」
「お前はエヒトルジュエに召喚された理由をもう忘れたのか?」
「な、なにぃ!?」
「魔人族の殲滅、それが理由だとイシュタルの爺は言っていただろう。そしてお前はそれを了承していたよな?」
「な、ちがっ!」
「違わない。僕は戦争の意味を解いたけどお前は聞く耳を持たなかった。それが現実だ。それともまさか……お前の中ではこれも無かった事になっているのか?」
クスリと嘲笑するユートに天之河光輝は押し黙るしか無かったと云う。
「……せ……」
そんな下らない会話をしていると、フリード・バグアーが何やら呟き始めた。
「……ろせ……」
口パクで何と無く言いたい事は判る。
「魚女共を殺せぇぇぇぇっ!」
それは遂に完全な言葉となって空間魔法によりエリセンへと伝わったらしく、魔人族の男連中やエヒトルジュエの使徒が動き出した。
「愚かな、抑々にして僕が何の対策もせず放置をしているとでも思ったか? やれ、ミュウ!」
再びパチンと指を弾く。
『はーい、なの!』
ミュウは別に手を縛られていた訳では無い為、腰のベルト帯に挿した機器を手に持った。
すると何故か自動的に音楽が響く。
「あれ? これは“The last element”?」
それは【デジモンフロンティア】の云ってみれば後期挿入歌であり、『ハイパースピリットエボリューション』や『エンシェントスピリットエボリューション』の際に流れる歌だ。
ミュウなら初期挿入歌の筈だが?
ミュウの小さな肢体を流れ出る水が噴き出し、左手へと集まってまるで光るバーコードみたいな形状――デジコードと成る。
ユートが“炎のスピリット”のヒューマンとビースト、この二つを十全に使う時に起こり得る炎のデジコードと属性が違うけど同質のモノ。
ミュウはユートが知らぬ間にいつの間にか変化していたディースキャナを使い、水のデジコードをスキャンしていきながら叫んだ。
『エンシェントスピリット……エボリュゥゥゥゥーショォォォォォン!』
ミュウはきっと何の為に戦うのか、天之河光輝とは違って迷いなんて最早無いのであろう。
そう――『ミュウにしか出来ないなら理由なんて要らないの!』と声を大にして叫ぶ。
二つの水が一つに重なりスピリットを信じる、選んだのは誰でも無くてミュウ自身だから。
ユートという力を持った人間に導かれる侭では決して無く、ミュウが自分で切り抜いて来たからこそスピリットは応えたのだろう。
ヒューマンとビーストのスピリット、野生を縛る理性は不要で理性を蔑ろにする野生も不要。
二つが混在してどちらをもリスペクトしてこその真なる力、最古の水棲型デジモンの究極なる姿をミュウは宿したのである。
『エンシェントマーメイモン、なの!』
武装したマーメイモンといった処か。
「まさかのエンシェントマーメイモン」
上半身は今のミュウでは決して持ち得ないであろう巨乳と引き締まる腰の括れ、下半身は正しくマーメイドを思わせる魚の形状をしているけど、陸地に立つのに問題は特に無さそうだった。
『グレイト・メイルストローム、なの!』
巨大な渦巻きが巻き起こり、魔人族の男連中の全てを水中へと呑み込んで始末をする。
『『『『『『『ウギャァァァァァァァァァァァァァァァァァアアアっ!』』』』』』』
断末魔を遺して逝った魔人族。
一瞬、ミュウ――エンシェントマーメイモンの表情が曇るものの……
『クリスタルビロー! なの!』
結晶化させた水をマシンガンの如く撃ち出し、エヒトルジュエの使徒を貫いていく。
然しものエヒトルジュエの使徒も究極体による必殺技には敵わず墜ちてしまった。
ほんの僅かな時間、はっきり言ってしまうなら秒殺されたと云って過言ではあるまい。
素のミュウでさえも捕まえられなかった数人の魔人族と一人の使徒、そんな程度の戦力で究極体デジモンをどうにか出来る筈も無いのだ。
とはいえ、ミュウ自身もユートの元で修業を少しだけだがしていたからこそ、原典のミュウなら母親のレミア共々捕まっていた事だろう。
「莫迦な……何だこれは? 何なのだコレは! 貴様は一体何なのだイレギュラー!?」
単なる多重転生者です……とか言っても通じないと思うから勿論言わない。
「イレギュラーだろ? 自分でさっきから言っている事じゃないか」
「くっ!」
「魔人族の滅亡の日か」
「己れ、イレギュラー! このっ、化物共が! よくも同朋を、我らが神を!」
「フッ、底が知れたな」
「何だと!」
「やれ天才だ化物だと他者を讃える乃至は蔑む、それは相手に決して敵わぬと言ってるに等しい」
「き、貴様ぁぁぁぁぁぁっ!」
最早、勘弁は成らぬとばかりにフリード・バグアーは吼えると左腕を天高く掲げると、ブーンとばかりにヘッド部が金色の機器が顕れるとガチャリ……機器へと合着をする。
「ミハイル、貴様もやれ! 恋人の仇を討つのであろう!?」
「ハッ!」
ミハイルと呼ばれた魔人族も矢張り腕を掲げると銀色ヘッドの機器が合着した。
「「変身!」」
《HENSHIN!》
《HENSHIN!》
機器は腕に着いていたのはライダーブレスで、合着したのはフリード・バグアーのがコーカサスのカブティックゼクター、ミハイルのがヘラクスのカブティックゼクターだと理解する。
《CHANGE BEETLE!》
《CHANGE BEETLE!》
フリード・バグアーが金色のアーマーを持った仮面ライダーコーカサス、ミハイルが銀色のアーマーの仮面ライダーヘラクスに変身をした。
「成程、確かカトレアも仮面ライダーケタロスに変身をしていたし、誰かしら後二人は仮面ライダーに成れるとは思っていたがお前らだったか」
ユートがカトレアの名前を出すとミハイル――仮面ライダーヘラクスが叫ぶ。
「貴様らがカトレアの名を呼ぶな!」
「ああ、お前が彼女の恋人か。カトレアが地獄で待っているぞ? 早く逝ってやれ」
「貴様はぁぁぁぁっ!」
殴り掛かろうとするヘラクスをバッと右腕を前に出して制すると……
「慌てるなよ、お前はカトレアの仇を討ちたいのだろう? その仇はソイツ……勇者(笑)だぞ」
真実を言い放つ。
「何だと!?」
「緒方!?」
ヘラクスは天之河光輝を睨んで、天之河光輝は慌てながらユートを見遣った。
「生身の彼女にお前のと似た仮面ライダーキックホッパーで必殺技の蹴りを放ってね、それはもう見事に身体は誰だったかは疎か種族も性別すらも判らない程グッチャグチャなミンチに成ったさ」
「……殺す!」
見えないけど、仮面の向こうでは血走った目で天之河光輝を睨んでいるのが判る。
そして今や仮面ライダーに成れない上に装備品が劣化に劣化を重ねた謂わば初級装備、それに糅てて加えて鉄の剣は半ばからポッキリと逝ってしまって使い物には成らないときた。
つまり人間種族としては最高峰の能力値――但し本来の勇者より数百は少ない――なだけでしか無く、スキルも“言語理解”のみでハジメより悪い状態で装備も布の服に折れた鉄剣という、この場で誰よりも弱いのが天之河光輝だったと云う。
「心配すんな光輝!」
「龍太郎!」
唯一、仮面ライダークローズチャージに変身をした坂上龍太郎の存在が天之河光輝を助ける。
「俺が相手だぜ!」
「フン、貴様もカメンライダーとやらか」
問題は公式チートなクロックアップを持っているカブト系ライダー相手に、パワー一辺倒となる坂上龍太郎が何処まで対抗し得るのか……だ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「見よ、イレギュラー! 我らが神より遣わされた使徒達の威容を!」
「お、三倍くらいに増えたな。ひょっとして国への侵攻を諦めて此方に転移してきたか?」
五百だったのが概算で千五百くらいに膨れ上がったヴァルキリースタイルな使徒達。
腰まで伸ばした長い銀髪にアイスブルーの瞳、肌の色は抜ける様に白くて顔立ちも充分に過ぎるくらい整い、ヴァルキリースタイルなだけあってドレスアーマーはエロティカル、肩と臍と太股は狙ったかの如く丸出しで胸は巨乳とは云えないが形の良い美乳である。
同じ姿が千五百人という、判で捺したかの様な双子三つ子……六つ子ですら常識と謂わんばかりの千五百つ子、しかも表情が無いまるっ切り人形の如くでは美女であれど不気味ですらあった。
まぁ、二~三人くらいは捕縛をして一人は一種の実験体扱いで彼女らの機構を確りと調べ上げて茶々号や代理人形の駆体のアップデートに活用、残りはオ○ペットとして侍らせるか若しくはミュウやレミアの護衛に使うくらいで良いだろう。
「数が自慢か? 此方も数なら増やせるし、何より質を上げる事も出来るんだが……な」
「何だと?」
「試してみるか?」
ユートはアイテムストレージの“大切な物”というゲームなら、重要性が高くて『これを売るなんてとんでもない』とか『これを捨てるなんてとんでもない』的な代物の置き場。
取り出したるは指輪、その台座には赤と青の石が填め込まれていてコントラストが美しい。
その指輪を指に装着して、フリード・バグアーみたいに左腕を高らかに天に掲げながらも叫ぶ。
「
指輪から赤と青のコントラストで光が放たれ、輝きと共に赤と青の長い髪の毛と赤と青の虹彩異色を持つ女性が降り立つ。
「絆炎の紋章士、神竜王リュール!」
高らかに名を名乗る女性はリュールで、嘗てユートが【ファイアーエムブレム】の世界を巡った際に出逢い、縁を結び絆を育んだ一人として契約を交わしていた。
【ファイアーエムブレム】に関する情報は雫も香織も鈴も有るが、ユートが喚び出した女性に関しては全く以て情報が無いので首を傾げる。
「闘いですね、ユート。ではコレを」
幾つかの指輪を預かったユート。
「そっちに返すぞ」
ユートは先程の指輪をリュールに。
「はい!」
その指輪はリュールが義母の神竜王ルミエルから贈られた物、それが紋章士の指輪としての媒介と成っていたから普段はユートに預けていた。
そして有事の際には返還されるのだ。
ユートが先程リュールから渡された指輪も矢張り紋章士の指輪、その数はリュールの指輪を含めると全部で一三個が存在する。
「
空色の輝きと共に顕現化――
『僕の名はマルス、紋章士マルスだ』
それは【ファイアーエムブレム~暗黒竜と光の剣】の主人公たるマルス。
紋章士の最初の顕現には竜族が行う必要があるので、竜族であるリュールと嘗て竜因子を持っていたユートが先ずは起動をさせねばならない。
尚、神竜であれば詠唱は要らないらしく神竜王ルミエルは念じるだけで顕現化している。
「
ユートが預かった指輪の一つ、それは【ファイアーエムブレムECHOES~もう一人の英雄王~】のヒロイン枠のセリカ。
顕現化したセリカは優雅に立つ。
『紋章士セリカ。久し振りねユート』
紋章士は本当の彼ら彼女らでは無いにしても、ユートが関わったそれぞれの記憶を保持しているからか、普通に知り合いとして接している訳だが紋章士の源流となる中に【閃姫】も居る。
その為、その気になれば紋章士の指輪を填めて紋章士を顕現化した源流の人物も可能だった。
.
セリカはヒロイン枠であってヒロインでは無かったりします……少なくともユートが関わっている世界戦では。
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる