ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 思ったより筆が進んだ……





第117話:ありふれた究極進化

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 ――何だこれは?

 

 それがフリード・バグアーの偽らざる思考で、余りの出来事にフリード成らぬフリーズした。

 

 行き成り人間が増えたかと思えば更に二人も増える、召喚でもやったのか? 神ならぬ身で? それに増えた二人はまるでその実体が無いみたいな半透明な姿だ。

 

 フリード・バグアーが化物と称したユートは、数など問題では無いと言い放っている。

 

 しかも増えたのは神の使徒、フリード・バグアーにとっては魔王にして神たるアルヴの主神たるエヒトが遣わした存在、当然の事ながら仮に勇者が最高レベルで身体向上スキルを使ったとしても敵わない程だった。

 

 召喚なんて出来るのだとしても、神の使徒という高位存在に敵うと本気で思っているのか?

 

 フリード・バグアーは硬直化、ミハイルは現在だと仮面ライダークローズチャージと戦闘中、エヒトルジュエの使徒は纏め役フュンフは静観を決め込んでいる。

 

 ユートとリュールは紋章士達の更なる顕現化を次々と行っていった。

 

継承(つた)えよ、聖戦の紋章士(エムブレム)シグルド!」

 

 リュールが叫ぶ。

 

 顕れたのは武装した白馬に乗り、その右手には聖剣ティルフィングを持つ【ファイアーエムブレム~聖剣の系譜~】第一部の主人公シグルド。

 

 ユートが直に会った事が無い主人公である為、他の紋章士がユートの記憶を持ち合わせる中では唯一の初顔合わせだった者。

 

 次はユートだ。

 

吹翠(ふきわた)れ、烈火の紋章士リン!」

 

 翠の髪の毛をポニーテールに結わい付けている大弓を手にした女性、【ファイアーエムブレム~烈火の剣~】の主人公の一人で本名はリンディスという。

 

 此処ではユートが軍師の役所で、マークという軍師はリンの居る場所に現れてはいない。

 

解放(ときはな)て、系譜の紋章士リーフ!」

 

 リュールが顕現化させたのは茶髪を短く刈った白に金の縁取りな鎧を纏う青年リーフ、彼は【ファイアーエムブレム~トラキア776~】という先の【聖戦の系譜】のスピンオフ作品の主人公。

 

 どうでも良いが、ユートの介入で本来は死んでいた筈の父親は闘えない身体にこそなっていたけど生き残り、母親はその代価に持って行かれてしまったけど後者に関しては知らない侭である。

 

 ユートが叫ぶ。

 

晴碧(はれわた)れ、聖魔の紋章士エイリーク!」

 

 赤い服なか白いショートスカート姿に青く長い髪の毛の少女エイリーク、【ファイアーエムブレム~聖魔の光石~】の兄妹による主人公の妹。

 

焔向(たちむか)え、封印の紋章士ロイ!」

 

 赤毛に青いバンダナを額に巻いた青い鎧を纏う青年ロイ、【ファイアーエムブレム~封印の剣~】というリンディスの時代より二〇年後を舞台とする戦争に参戦した主人公。

 

 リンディスの盟友エリウッドの息子だ。

 

癒救(いや)せ、暁の紋章士ミカヤ!」

 

 次にユートが顕現化させたのは【ファイアーエムブレム~暁の女神~】の主人公(笑)なミカヤ、実は少女然とした見た目に反して割と年齢が高かったりする。

 

 負の女神ユンヌの神使だけど本人はその事実を知らない上に、ベグニオン帝国の皇帝たるサナキがその時点での神使という事になっていた。

 

勇闘(たたか)え、蒼炎の紋章士アイク!」

 

 リュールが顕現化したのは【ファイアーエムブレム~蒼炎の軌跡~】の主人公アイク。

 

 【暁の女神】の三年前を描く物語で彼の職業は傭兵、グレイル傭兵団の一員であり団長グレイルの息子という立場で、妹のミストと共に幼い頃から傭兵として暮らしていた。

 

 尚、中々に劇的な出逢いをしたクリミア王国の王女エリンシアが居るけど、何故だか一人で――或いは男と――旅に出てしまう。

 

「あ、私の指輪はこれだけですね。ちょっとバランスが良くないですけど……」

 

 もう一度云うが、ユートがエレオス大陸に関わった際に出て来た紋章士の指輪から顕現化される紋章士は、基本的にユートが介入した世界の記憶を保有しているからシグルド以外は顔見知りで、当然ながら女性紋章士とは中々の絆が育まれていたりする為、自然とリュールは女性の宿る指輪をユートへと渡していた。

 

「じゃあ、一気に行くぞ」

 

 ユートは残りの指輪を顕現化させる。

 

燃起(もえあ)がれ、覚醒の紋章士ルキナ!」

 

 マルス達より暗めな青髪であり左の瞳に聖痕を持ち、その手には中途半端な覚醒で裏剣と成ったファルシオンを持つ少女ルキナ。

 

 その血筋は王族、更に二千年を遡ればアカネイア大陸の宗主と成ったマルスにまで至る。

 

 父親のクロムは『最も信頼していた仲間』による裏切りで死亡、結果として邪竜ギムレーが復活して絶望により満たされた世界と成ってしまった事を受け、過去へ遡ったルキナはクロムの傍に居たユートを疑っていた――が、冤罪だった。

 

 ルキナの居た絶望の未来はユートが干渉していない世界線、そのズレから本来はクロムの隣には別の人物が居た筈だったが……

 

竜穿(ほえ)ろ、選択の紋章士カムイ!」

 

 白い髪の毛白い服、黄金に煌めく大剣を持った少女カムイ、【ファイアーエムブレムif】に於ける主人公だったけど、この立ち位置にユートが居たから本来なら登場すらしない。

 

 ユートが仲間と透魔王国へ行った時に竜形態で暴走していた、きょうだいも仲間も全てを喪って違う世界線で暴れるだけ暴れていたのを宥めた。

 

 透魔竜ハイドラの良心とミコトという共通の親を持った双子にも近い。

 

 一応、透魔竜は神様扱いだから兄妹で睦み合っても問題は無い――神話で兄妹や姉弟でヤるのはよく有る事――と言い聞かせてムニャムニャ。

 

 尚、今のユートはその時の肉体では無いのだから血縁は消滅している。

 

教導(おし)えよ、風花の紋章士()()()!」

 

 本来の“導き手の指輪”の紋章士はベレトの筈だったが、何故だかユートが干渉したエレオス大陸の場合はユートと縁を繋いだベレスだった。

 

 【ファイアーエムブレム~風花雪月~】の主人公であり、『灰色の悪魔』なんて二つ名で呼ばれているが自ら名乗った事は無い。

 

 祖神ソティスを内に宿していた。

 

 本人が紋章士化したリュールを含めると一三人の紋章士が勢揃い、ユートが紋章士の指輪を起動が出来るのは神竜王ルミエルの力を得ていた為で、つまり本来なら呪文が無くても祈りにより起動をする事が出来るけど、呪文が有った方が外連味が利いているからと使っている。

 

 ユートは性交に及ぶ際には互いのエナジーを混ぜ合わせ、互いの体内を循環させるといった手法をナコト写本なる魔導書の精霊エセルドレーダを性的に満足させるべく修練を積み、それを修得する事に成功しているから基本的にコレを使う。

 

 千年――出逢ったのはリュール覚醒の数百年前――という永い時間は嘗てと違い、彼女とどんな会話をしようか? 何処に行こうか? そしたら何をしようか? としたい事を考えているだけでも幸せではあったものの、矢張り動かぬ目を開かぬ喋らぬ愛娘に寂しさを感じる事は多少なりとも有った訳で、そんな折りに愛娘とも邪竜ソンブルとも違う竜の気配を持ったユートに娘とは異なる愛しさを感じ、リュールの目覚めを待つ無聊の慰めにユートを招いたルミエルは、何時しか閨にまで誘って肉の交わりに興じていた。

 

 この時にもユートは例の技術でルミエルの頭があっぱらぱーに成りかねない快感を与えたけど、彼女の体内で循環されたエナジーがユートへ還った際に、神竜王の謂わば竜氣がユートの体内へと蓄積されていったのである。

 

 百年もすればすっかりルミエルの竜氣が定着化をしており、ユートは彼女がその指に填めていた“聖騎士の指輪”からシグルドを顕現化させる事が出来る様に成っていた。

 

 勿論、ユートのは神竜の竜氣だから祈りだけで顕現化をして見せたし、シグルドとの会話も普通に成立させる事が出来ていたものだ。

 

 つまりユートがリュールに合わせて呪文を口ずさむのは――『趣味に御座います』という話。

 

「雫!」

 

「……え?」

 

 投げ渡された指輪、いつの間にか傍に翠の長い髪の毛をポニーテールに結わい付けた女性が。

 

「それは“草原の公女の指輪”だ。リンとエムブレムエンゲージしろ!」

 

「えっと、判った」

 

 何と無く薬指に指輪を填めて……

 

「エムブレムエンゲージ!」

 

 恐らくこれだと思う合図を叫んだ。

 

 髪が翠色に成ってコスチュームも変わった雫、リンは弓矢を手にした紋章士だけど本来であればマーニ・カティという片刃の剣を使う。

 

 なので使えるだろうし、何より弓使いが居ないから仕方が無い。

 

「香織は“暁の巫女の指輪”!」

 

「うん!」

 

 香織の傍に浮くのはミカヤ。

 

「鈴は“賢王の指輪”で良いか」

 

「適当!?」

 

 憤慨するけど鈴っぽい指輪が無いし、絆レベル的に誰もがアウト。

 

「ユエは“慈愛の王女の指輪”だ!」

 

「……ん!」

 

 セリカが傍に立つ。

 

「シアは“蒼炎の勇者の指輪”!」

 

「了解ですぅ!」

 

 筋骨隆々なアイクが傍に。

 

「ティオは“導き手の指輪”!」

 

「心得た!」

 

 ティオの傍には()()()が。

 

「リュールは“英雄王の指輪”(マルス)だな」

 

「そうですね」

 

 初期装備という事からリュールはこの指輪を使う機会が多い。

 

「で、僕は“未来を選びし者の指輪”。カムイ、頼んだぞ」

 

『はい、兄様』

 

 本物では無いけどユートの知るカムイの記憶を持つが故に、共に在れる事が嬉しいのかは可愛らしくはにかむ。

 

「判っちゃいたが余るな……ロイ、アソコで闘う水色の鎧に力を貸してやってくれ」

 

『判ったよ』

 

 頷くロイ。

 

「坂上! 仮面ライダーの耳なら聞こえていただろう! “若き獅子の指輪”だ、使え!」

 

「くっ、判った!」

 

 投げ渡された指輪を仮面ライダークローズチャージや坂上龍太郎が受け取る。

 

 残るは、“聖王女の指輪”(ルキナ)“碧き風空の指輪”(エイリーク&エフラム)“聖騎士の指輪”(シグルド)であった。

 

 取り敢えず戦力扱いの者達に紋章士の指輪を渡したユート、余りはしたけどそれならそれで特に問題がある訳でも無いからだ。

 

「お、おい緒方! 俺には?」

 

「あ? 何で特に闘う訳でも無いお前に渡す必要があるんだよ……天之河」

 

「な、何だと!?」

 

「実際、仮面ライダーヘラクスとの闘いも坂上に任せてるだけじゃないか」

 

「それは! 戦力的に……」

 

「ああ、無能だからか」

 

「ッ!」

 

 痛烈な一言にギリリッと奥歯を噛む。

 

 この『無能』という言葉は南雲ハジメにこそ与えられていたレッテル否や、全く同じステータスであったユートもその様に視られていた。

 

 その筈だったのに……

 

 天之河光輝も生来の才能やちょっとした努力でレベルは一〇〇、ステータスの数値の上に於いても一〇〇〇を越えたのだけど、スキルは喪われた状態で碌な武器も防具も無いから大した戦力にもならないし仮面ライダー相手には闘えない。

 

 聞いた話ではエヒトルジュエの使徒は元々持っていたステータスのカンスト値ですら遠く及ばないらしいし、スキルの“限界突破”やその奥義に当たる“限界突破・覇潰”を使ってさえ一人を斃すことすらも覚束無いのだとか。

 

 そして仮面ライダーは多少の戦力不足感はあるにせよ、それでもエヒトルジュエの使徒と充分に過ぎるくらいは闘える。

 

 況してや中間フォームですらエヒトルジュエの使徒を、スペック上だけならば越えてしまうであろう仮面ライダーだって存在していた。

 

 中間フォームに当たるフォームが存在してない仮面ライダーとて、初期フォームからスペックで劣っても可成り強かったりするし、最終フォームは中間フォーム有りと比べても決して見劣りする訳では無いのだ。

 

 そんな仮面ライダーヘラクスに生身の状態では天之河光輝に勝機など無い。

 

 しかもカブト系ライダーの全てに備わった機能である“クロックアップ”だ、天之河光輝も実際に仮面ライダーコーカサスで使った事が有るけど、その余りの能力は同じか同系統の能力を持たないと普通は対抗仕切れない。

 

 例えば仮面ライダーディケイドが仮面ライダーザビーやガタック相手に、仮面ライダーファイズアクセルフォームで加速領域に突入した様に。

 

 尤も、ユートは最弱な状態な前々世の姿の上に生身で仮面ライダーコーカサスのハイパークロックアップに抗し得た。

 

 嘗ては使えもしなかった奥義の中の奥義である最奥を以て、仮面ライダーコーカサスのハイパークロックアップに対抗して見せたのだ。

 

 何しろ【緒方逸真流宗家刀舞術】の奥義である【颯眞刀】は一度死の境地にて巡る回想を自覚的に視ないと修得が出来ない。

 

 そして原理を理解していないと使い様も無く、ユートも緒方優斗であった頃は使えなかった。

 

 今は死の境地に至った上に転生をして魂の格も上がった為に、技の真髄を理解していて肉体的にも魂の格により頑丈だから使用が可能。

 

 魂の格――これが高いのと低いのでは肉体に及ぼす影響も誤差の範囲ながら違ってくる。

 

 ゲーム脳的に云うと、限界レベルの上昇と必要経験値の減少(小)によりレベルの上がり方が早まる上に、更にはレベル上限値が上がるから誰より早く誰より強く成れる訳だ。

 

 更に初期能力値にボーナス(小)により、誰よりも最初の能力が高めと成るから基本的に神童とか天才と呼ばれる。

 

 そう、何処ぞの勇者(笑)君みたいに。

 

 まぁ……とは言っても能力と人格は別物だし、人格はこれまでに積み重ねてきた人生により形成されるから、勇者(笑)の肉体がどれだけ優秀であろうとも褒められた人格で無いのも仕方が無い。

 

 ユートだってそう、記憶を持つとはいえ永い永い人生を積み重ねた結果として、出逢った人間の影響を受けて歪みを持ったのも致し方無しだ。

 

 故に、本来のヒロインとは違う相手を謀により宛がいヒロイン自身を自ら『戴きます』なんて、ちょっとどうだろう? といった真似も割りかしやらかしてきていた。

 

 それでも基礎人格が緒方優斗だったから歪みも小さくて済んだのである。

 

「坂上の一〇の力を一〇〇にするなら有効だが、お前の〇.一の力を一にした処で戦力は全く変わらんだろうよ」

 

「なっ!? 緒方、お前は仲間に何て言い草をするんだっ!」

 

「お前、ほんっとうに図々しいな」

 

「な、なにぃ!?」

 

「普段から毛先の程にすら思っていない癖して、調子の良い時だけ仲間カテゴリーとか巫山戯るのも大概にしろよ?」

 

「っ!?」

 

 天之河光輝は地球に居た頃からユートの事を、ハジメとは違うベクトルで厭っていた。

 

 当然ながらそれを敏感に感じ取っていたからこそユートは天之河光輝から距離を置いていたし、ハジメとの仲こそ本人の意向から明かさなかったけれど、逆に雫とは仲が良いといった具合にまるで見せ付けるレベルで深めたもの。

 

「況してや、トータスに来てからのお前は何回敵対をして来たよ? それともそれすら御都合主義の塊なお前は忘れ去ったってぇのか?」

 

「ぐぅ……」

 

 最早、ぐぅの音しか出ない。

 

「エムブレム・エンゲージ!」

 

 ユートはカムイの宿る指輪とエンゲージして、更にライダーベルトを腰に装着するとジョウントの向こうから蒼いクワガタが飛んで来たかと思ったら、更にもう一つのカブト虫に近いがカブトゼクターとも違う機器がジョウントより飛来。

 

 ユートは二つを手に取って片方を左腰に合着させて、もう一方のガタックゼクターを右手に持ってベルトのバックルへ。

 

「変身!」

 

《HENSHIN!》

 

 仮面ライダーガタック・マスクドフォームへと変身して……

 

「キャストオフ!」

 

《CAST OF!》

 

 ゼクターホーンを反対側に折った。

 

 ガチャガチャとオーバーアーマーが解除されていき次の瞬間には一気に弾け飛ぶ。

 

《CHANGE STAG BEETLE!》

 

 仮面ライダーガタック・ライダーフォームと呼ばれる、パワーこそマスクドフォームに劣っているもののバランスという意味で向上されてるし、何よりもタキオン粒子を用いたクロックアップが可能と成った。

 

 更に腰のカブト虫――ハイパーゼクターのホーンを押してやる。

 

「ハイパーキャストオフ!」

 

《HYPER CAST OF!》

 

 角が大型化して更に装甲が増えた。

 

《CHANGE HYPER STAG BEETLE!》

 

 仮面ライダーガタック・ハイパーフォームと成ったからには、ユートもフリード・バグアーとは仮面ライダーの上で互角となる。

 

 それに倣って雫達も変身、エンゲージもしたから戦闘力も普段より数段上に成った訳だ。

 

「奴には僕が征く! 君らはエヒトルジュエの使徒へ向かってくれ」

 

「了解よ!」

 

 ユートはフリード・バグアーへ、そして雫達はエヒトルジュエの使徒へとそれぞれが向かう為、流石に惚けていられないとフリード・バグアーも動き始めた。

 

「チィッ、イレギュラー!」

 

「待ってくれるとはな」

 

 皮肉たっぷりに言う。

 

「ハイパークロックアップ!」

 

《HYPER CLOCK UP!》

 

 スラップスイッチをフリード・バグアーが押すと大量のタキオン粒子が充足され、クロックアップより更に疾い速度により加速領域へと入った。

 

 より正確には違うが……

 

「ハイパークロックアップ!」

 

 ユートは仮面の向こうでニヤリと笑いながら、同じく左腰へと合着しているハイパーゼクターのスラップスイッチを押した。

 

《HYPER CLOCK UP!》

 

 同じ領域、それ故に意味は無い。

 

 クロックアップ同士ならばそれは同じ速度領域だから普通に動くのと変わらず、素での速度の違いという誤差だけが残る形であろう。

 

「くっ、イレギュラー! 貴様もハイパークロックアップだと?」

 

「そうだ。元より仮面ライダーコーカサスは変形をせずともハイパークロックアップが可能な様に初めからヒヒイロノカネは強化された状態だが、残念ながらカブトとガタックの場合だと後付けの強化ツールだからな、ヒヒイロノオオカネによる強化をしないと耐えられない。だけどハイパー化したからには決してコーカサスに負けはしないのさ!」

 

「己れ!」

 

「ディケイド?」

 

「何がだ!?」

 

 意味不明だと叫ぶフリード・バグアー。

 

 今のは飽く迄も名詞として言ったからフリード・バグアーにも『ディケイド』と聞こえたが、若しもそうで無かった場合は翻訳されて一般的には『一〇年間』と聞こえていた筈だ。

 

「イレギュラァァァァーッッ!」

 

 ゼクトクナイガンで闘う仮面ライダーコーカサスなフリード・バグアー、対するユートが手しているのはゼクトクナイガンやガタックカリバーでは無く夜刀神(やとのかみ)だったりする。

 

 折角のカムイとエンゲージ、ならばカムイが持っている武器を扱っておくのもアリだ。

 

 とはいえ、これはユート自身が【ファイアーエムブレムif】の世界から持ち出した“救世の神刀”その物だったが……

 

「貴様が幾ら強かろうが、あれを見ろ!」

 

「また増えたか。どうやらエヒトルジュエは無制限に使徒を増やせるみたいだな」

 

 空が三で敵が七みたいに空を埋め尽くす勢いでエヒトルジュエの使徒が増える。

 

「だが、数がお前らの強味なら此方は質で覆してやろう」

 

「何だと!?」

 

 ユートがそう言った瞬間に光輝く魔法陣の幾つかが浮かび上がっていた。

 

「汝ら、我が【閃姫】に名を連ねし存在。『光である者、然れど闇に惹かれる者、大天使と共に在る輝く者よ』。『札の女王、在りし日の歌姫、金剛界に至る存在と共に立つ者よ』。『喪いし者、取り戻した者、我が相棒の双子と共に在る者よ』。『頼れる者、闇を胸に秘めし者、薔薇の女王と共に在る者よ』。『外つ国より帰る者、強さと優しさを併せ持つ者、風と寄り添いし者よ』。『黄昏の将、闇に蹂躙されし者、自らを偶像と成さしめた者よ』。我が言之葉に応えて来よ!」

 

 輝く魔法陣から更なる強い光が放たれ回転しながら浮かび上がる。

 

「汝が名は……八神ヒカリ! 牧野留姫! アリス・マッコイ! 藤枝淑乃! 織本 泉! 天野ネネ!」

 

 ユートにより呼ばれた名前に応じて招喚された美少女達、年齢的には大体で一六歳~一八歳くらいなので成人年齢では無い。

 

 彼女達の隣には一人を除いてパートナーとなる存在を連れているが、これこそが彼女達の力の象徴とも云えるパートナーデジモンだった。

 

 デジモンのヒロインは相手が曖昧な事が多いから、ユートは割と自由に動いては仲好くしてきたから各世界で主格ヒロインが御相手となっている。

 

 アリスは違うけど。

 

「状況は理解しているな?」

 

「ええ、何か変な姿をしてるけど優斗なのは判る心算よ。要はあの判で捺したみたいなのをぶっ飛ばせば良いんでしょ?」

 

「頑張る!」

 

 留姫とアリスは同じ世界から来た為、手にしたデジヴァイスも形が同じ。

 

「行くよ、テイルモン!」

 

「判った、ヒカリ!」

 

 八神ヒカリが持つのはDー3と呼ばれるデジヴァイスで、初代のデジヴァイスが新たな闘いに際して変化――“進化”をさせられた物だ。

 

「ララモン!」

 

「往けるわ、淑乃!」

 

 藤枝淑乃が手にしているのはデジヴァイスバーストといい、元々のデジヴァイスicでは機能不足という事もあって闘いの中で進化した。

 

「私はパートナーが居ないし、スピリットも向こうのデジタルワールドでデジモン化しちゃっているんだけど?」

 

 織本 泉が手にするディースキャナ、その本来はデジタルワールドの最高位天使のデジモンにより携帯電話を進化させた物、今の彼女が持っているのはユート謹製で渡していた記念品に近い。

 

「問題無い、行け!」

 

 ユートの持つディースキャナから光が二つ飛び出して泉の前に浮かぶ。

 

「これは?」

 

 それは即ち、泉にとってみれば見覚えしかない風のスピリットである。

 

「僕が神器(セイクリッド・ギア)――“聖魔獣創造アナイアレイション・メイカー・ハイエンド・シフト”で創造(つく)ったエンシェントデジモンを二つに割って創ったスピリット、そのスピリットを使えば進化が出来る!」

 

Ho capito(了解よ)!」

 

 サムズアップで応える泉。

 

「行くよ、メルヴァモン、スパロウモン」

 

「任せろ、ネネ」

 

「頑張るよ!」

 

 菫色のクロスローダーを手に、メルヴァモンとスパロウモンという二体をパートナーに持った、【デジモンクロスウォーズ】なる世界でのちょっと特殊なパートナーシップだ。

 

 そしてバックミュージックに“One Vision”が流れ出し、留姫とアリスがディーアークを右手に持って動き出した。

 

《MATRIX EVOLUTION!》

 

《MATRIX EVOLUTION!》

 

 ディーアークのモニターに文字が流れながら、電子音声が辺りへと響き渡ると同時に……

 

「「マトリックスエボリューション!」」

 

 留姫とアリスが叫びながらディーアークをその胸へと押し込む。

 

「レナモン究極進化!」

 

「ルガモン究極進化!」

 

 ユートが頑なにガジモンへと『超進化』だとか『究極進化』だとか、普通に言わせまくっていた結果として留姫がレナモンを期待の瞳で見る様になり、本人は些か恥ずかしそうにしていたのだけど『留姫が望むなら』と今に至る。

 

 尚、ルガモンは初めからユートの影響を受けていたアリスのパートナーデジモンだったからか、普通に完全体には『超進化』と叫ぶし、究極体に成る際には『究極進化』と叫んでいた。

 

 データのオーバーリライトによってレナモンとルガモンの姿が大幅に変化、顔もレナモン→キュウビモン→タオモンときてサクヤモンに、ルガモンも同じくルガモン→ルガルモン→ソルガルモン→フェンリルガモンへと変化していく。

 

「サクヤモン!」

 

「フェンリルガモン!」

 

 サクヤモンは今更語るまでも無いくらい判る、アリスのパートナーデジモンはユートがガジモンをパートナーにした際、遺されたデータだけでは足りなかったから掻き厚めたモノやXー抗体などで構成されており、ユートのガジモンがXー抗体型のデジモンへとゼヴォリューションが可能な様に、アリスのルガモンは初めからXー抗体型として誕生をする事になった。

 

 それはアルファモンの成長期たるドルモンや、オウリュウモンの成長期たるリュウダモンと同様のタイプという事、集めた中には魔狼のデータも混じっていたからか北欧の神であるロキの子たるフェンリルの姿に近い。

 

 ヒカリのDー3から光が溢れ出してそれが降り注ぐ形にてテイルモンを包む。

 

 BGMは“brave heart”だ。

 

「テイルモン超進化ぁぁっ!」

 

 どう見ても白い猫な姿をしたテイルモンだが、ニョキニョキと手足が伸びて胸なんかヒカリよりもグラマーで、顔を隠した人の様な姿――八枚の白翼を持つ大天使と呼ぶに相応しいモノへ進化。

 

「エンジェウーモン!」

 

 そして更なる進化が始まる。

 

「エンジェウーモン究極進化ぁぁぁっ!」

 

 それは翠色の鎧に身を包んだ女性天使の中では最高峰に位置するデジモン。

 

「オファニモン!」

 

 それを見た泉が苦笑い。

 

 何故なら織本 泉がデジタルワールドに向かったのは、彼女の世界でデジタルワールドを見守っていた三大天使の一角なオファニモンにあるから。

 

 次は淑乃の番だ。

 

「デジソウルチャージ、オーバードライブ!」

 

 BGMが“Believer”に切り替わった。

 

 左手に持ったデジヴァイスバースト、右手にはデジソウルを発生させてそれをデジヴァイスへと叩き込む、そんなデジヴァイスのモニターには“ULTIMATE EVOLUTION”と表示がされている。

 

「ララモン究極進化っ!」

 

 ララモンの姿が解かれて謂わば0と1といった原初の姿へと還り、デジソウルというエネルギーによりオーバーリライトされたララモンの姿が大きく変化をしていった。

 

 赤い薔薇の如く妖精型のデジモン。

 

「ロゼモン!」

 

 それを見た八神ヒカリは太刀川ミミのパートナーデジモンのパルモンを思い出す、何故なら進化の系譜がパルモンとララモンは同じだから。

 

 パルモンの究極体もロゼモンだ。

 

 目を閉じた泉がディースキャナを持った手に、ギュッと力を篭めると疾風が巻き上がる。

 

 左手へと集まる風はデジコードを形成、それにディースキャナを以て読み込ませた。

 

 BGMも“The Last Element”に。

 

「エンシェントスピリット……エボリュゥゥゥゥーションッ!」

 

 風のヒューマンスピリットとビーストスピリットの全てが目覚める。

 

「ウワァァァァァッ!」

 

 これでも当時のデジタルワールドでの旅で常に風のスピリットと共に在り、フェアリモンやシューツモンと成って闘い続けてきたのだ。

 

 ディースキャナも無事に進化を遂げて拓也達が使っていたのと同じに。

 

 人と獣……全ての風のスピリットが泉に対して装着されて往く、その脚に、その腕に、その身体に、そしてその顔にと。

 

「エンシェントイリスモン!」

 

 風の属性の古代鳥人型デジモン、その能力は後に鳥人型や妖精型のデジモンへと継がれた。

 

「メルヴァモン!」

 

「応!」

 

「スパロウモン!」

 

「うん!」

 

 ネネが名前を呼ぶとそれに応える。

 

「デジクロス!」

 

「「デジクロス!」」

 

 BGMが“WE ARE クロスハート!”に変わってメルヴァモンとスパロウモンが合体、とはいえどそれはジョグレス進化とは全く異なるもの。

 

 実際、メルヴァモンは究極体でスパロウモンが成長期だからジョグレスは先ず出来ない。

 

 通常、ジョグレス進化は同位階のデジモンによる合身で次の位階へと進化をする行為。

 

 例えば、エクスブイモンとスティングモンという成熟期同士がジョグレス進化でパイルドラモンなる完全体に成る訳だ。

 

 デジクロスは単純な合体行為な為、能力値は上がるけど基本的に次の位階には成らない。

 

 まぁ、シャウトモンみたいに複数の……しかも究極体まで含んだりしたら別だろうけど。

 

 シャウトモンX7とか。

 

「ジェットメルヴァモン!」

 

 まぁ、メルヴァモンの背中にスパロウモンがくっ付いただけな外見ではある。

 

 とは言っても新戦力はその全てが究極体だし、一体だけでも可成りの戦力アップに繋がるというのに、これだけの戦力が揃えば如何なエヒトルジュエの使徒が多くても問題はあるまい。

 

 事実として、単体でもそれなりに強い上に多いエヒトルジュエの使徒が次々と消し飛ぶ。

 

「フォービドゥンテンプテーション!」

 

 今もララモンが究極進化したロゼモンが一体の使徒を消し飛ばした。

 

「ハートブレイクショット!」

 

 ジェットメルヴァモンの必殺技で貫通力が高いから一体をぶち抜けば、その後ろや更に後ろに居たエヒトルジュエの使徒が一気に墜ちる。

 

「エデンズジャベリン!」

 

 手にした黄金の槍を投げるオファニモン、矢張り貫通して複数体の使徒を墜とした。

 

「飯綱!」

 

 サクヤモンによる四匹の管狐を使った一斉打、管狐は火属性と雷属性と風属性と水属性といった各々に属性が有り、エヒトルジュエの使徒を次々と屠っていく。

 

「フローズヴィトニル!」

 

 フェンリルガモンが魔炎による分身を召喚して闘う、この分身は云ってみればオリジナル体であるフェンリルガモンと同様に技を放てる。

 

「ラグナロクハウリング!」

 

 蒼い炎がフェンリルガモンの遠吠えと共に爆発燃焼、数が居るからこそ多数のエヒトルジュエの使徒が焼き尽くされていった。

 

 しかも魔炎の分身も同じ技を放つ。

 

「レインボーシンフォニー!」

 

 エンシェントイリスモンが、七色に輝いている融解レーザーを放って使徒を灼いていく。

 

「莫迦な……」

 

 余りの出来事に又もや呆然となるフリード・バグアー、最初に見た形態に比べるとその脅威度は何百倍にも膨れ上がっていた。

 

 しかも戦闘中に招喚したのだ。

 

 エヒトルジュエでさえ、それなりの儀式を踏んで初めて召喚が可能となる処を。

 

「儀式なら疾っくの疾うにしていたさ」

 

「な、なにぃ!?」

 

 抑々にして【閃姫】契約そのものが儀式という形を簡略化したもの、本来のそれは“初夜に処女を捧げる婚姻式”であるから手順もそれなりに踏んで行われるものだが、ユートは特殊な性交のヤり方であるからか単に抱いただけで成立している。

 

 己れの精気を相手の精気と混合させて肉体的な繋がりを通して循環させる、その性交のヤり方が一種の儀式に通じていて魔法陣の上でヤるだけで儀式が完了する上に、“【準閃姫】”――嘗てでは【半閃姫】や【仮閃姫】と呼んでいたのを纏めたものだけど、【閃姫】契約自体が本来なら成立しない者との契約も一応だが可能としていた。

 

 そう、本来は“初夜に処女を捧げる婚姻式”な訳だから非処女は対象外になる筈だったのだけど、【半閃姫】と呼ばれていたのは詰まる話が非処女を半ば強引に【閃姫】に近い状態にしたもので、早い話が本来は非対象だった者まで契約が可能となるという既知外な出来事。

 

 それが判ったのがハルケギニア時代での事で、コルベール先生を寿命で亡くして出戻ったユーキを数年後、【閃姫】契約は出来ないが彼女と思い出作りの一環で抱いた際に【閃姫】契約が出来たのである。

 

 但し、本来の【閃姫】契約で得られる特典の殆んどを得られなかったが……

 

「くっ、何故だ! 貴様にとってトータスは異世界に過ぎぬだろうに!」

 

「その通りだ。トータスは単なる異世界、従ってお前ら魔人族とトータスの人間族が争おうとも、或いは人間族が滅亡しようとも関係は無いな」

 

「なら何故、貴様は我らと闘う!?」

 

「お前らが襲って来たからだろう。というか勝手に恨んで勝手に襲撃してきて今更泣き言かよ?」

 

「己れ、イレギュラァァァーッッ!」

 

《MAXIMUM RIDER POWER!》

 

 怒り狂ったフリード・バグアーがハイパーゼクターのゼクターホーンを押す。

 

「ウォォォォォォォッ!」

 

 仮面ライダーコーカサスによるハイパーライダーキックが放たれた。

 

「お前の間違いは仮面ライダーなんて慣れない力を使った事、お前は選択を誤ったのさ……全てに於いて……ね」

 

《MAXIMUM RIDER POWER!》

 

 同じくゼクターホーンを押す。

 

《ONE TWO THREE!》

 

 更には、ガタックゼクターのフルスロットルを三回押してタキオンのチャージ。

 

「ハイパーキック!」

 

 ゼクターホーンを本来の位置に戻した直ぐ後、再び倒して必殺技の大勢に入る。

 

《RIDER KICK!》

 

 ぶつかり合うハイパーガタックとコーカサスのハイパーライダーキック。

 

「済まない……ウラノス……グハァァァァァァァァァァアアアアッッ!」

 

 それを制したのは仮面ライダーハイパーガタックであったと云う。

 

 爆発四散した仮面ライダーコーカサスにして、魔人族の軍事のトップたるフリード・バグアー。

 

「キャァァァッ!」

 

 だけど感慨に浸るよりも先にシアが可愛らしく悲鳴を上げたので見遣ると……

 

「クックックッ、これが新たな我が肉体か。成程な……悪くないではないか」

 

 ユエが何処か陶然とした表情で自らを慰めるかのポーズで浮いていた。

 

 

.




 ネネの場合はキリハが居たけど書いていた場合はトワイライト所属だったから多少はね。

 フリード・バグアーは原作カブトでの初ハイパー化回のガタック並で雑に死んだ気が……



勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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