ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 存外と書けました。




第118話:ありふれた根源的破滅呪文

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 ユエは普段から結構なエロティカル吸血姫で、絶壁寸胴な体型でありながらそのロリータ一直線に似合わぬ妖艶な表情、ユートが初めての相手で最初こそ痛みに表情を顰めたものの直ぐに処女膜以外は治癒してしまい、快楽に身を委ねながらも何処から得た知識かは不明だが凄まじく巧い舌遣いにより、ユートの舌を蹂躙して性欲を忽ち掻き立ててしまったくらいだ。

 

 これで御姉様体型だったらユートをして理性がプッツンしてしまい、ユエに首ったけに成ってしまっていたかも知れない。

 

 今ならもう慣れたから平気だが……

 

 例えるなら暗夜王国時代のカミラ姉の包容力が無駄に溢れ出し、姉なのに寧ろ母性に満ち満ちたナイスな肢体にユエのエロティカルが加わってしまった状態、正直に云うとカミラ姉は肢体こそは確かに母性に満ちていたのだが、それでも初めての……年齢云々は置いといて少女のそれとえちぃの方は変わらなかった為、初めてを『戴きます』した際にも基本的には始終とまではいかなかったにせよ、殆んどユートがリードをしてまるっ切り年下の如くであった。

 

 ユエは逆に肢体こそロリコン御用達レベルでの幼さながら、エロティカルに関してはプロの高級娼婦とでも云うくらいに素晴らしい。

 

 正に“エロリカル・プリンセス”だ。

 

 だからこそ、真なる幼女愛好家でも無い限りはカミラ姉とユエのジョグレス進化はヤバいと理解が及ぶであろう。

 

 そんなユエだけど、今は陶然とした表情で何と云うか自身を視姦して官能的な思考に耽る自慰の真っ最中、というか真っ盛りとでも云える感じが犇々と伝わってきている。

 

 そう、若し今のユエが一人切りで居たのならば右手の指を股間に這わせていても決して不思議ではない、そう思わせるのが今のユートから視えているユエの状態だった。

 

「で、そろそろ話は出来そうか?」

 

「ふむ、イレギュラーか。どうやらフリードは斃された様だな。アルヴヘイトもあっさり死んでしまうし、全く不甲斐ないと言うしかあるまい」

 

「そりゃ、随分と残念無念また来週な話だな……エヒトルジュエ」

 

「ほう、何処で我の真名を知った?」

 

 本気で感心したらしい。

 

「真名とか言うと中二病みたいだよな」

 

 或いは何処ぞの古代中華舞台なエロゲーか? ユート自身はそのゲームをプレイした事なんて全く無いが、実はユートの居たハルケギニア大陸が存在する世界にはその世界が存在し、メインでは無いママ的ヒロインに拾われて彼女を中心にして動いた結果、一応の三国構想は成ったものの変に三国の美女美少女に好かれて無意味な争いが勃発した為、一部のヒロインだけを連れ出して龍状列島へと避難をした。

 

 因みにママ的ヒロインも置いて行ったからか、とある世界では遂に捕まってしまう。

 

 しかも記憶持ち転生で魂の格が大きく上がっていて、その世界で云う処の上級何とかより基礎の能力が高かったのである。

 

 更にはママとしての記憶、そしてユートと致した記憶が有る上に処女という破格の存在。

 

 尚、未成年ながら肢体は熟した果実だったというのがどういう意味かは理解出来る筈。

 

 扠置き、ユートはユエがエヒトルジュエにより憑依されているのは理解をしていた。

 

 要するに【聖闘士星矢】に於ける冥界の王たるハーデスが過去の聖戦ではアローンを、現代での最終聖戦ではアンドロメダの聖闘士の瞬を自らの依代としたのに等しい。

 

 三百年前の吸血種の王国がユエの力で栄えていた時代の事になるが、彼女の叔父に当たる人物が『これからは私が王になる』と宣言してきた。

 

 そのとある秘密にも関わる出来事。

 

「僕には僕の情報源が有るのさ」

 

「ふむ、イレギュラーらしいと云うべきかな? であるならば『跪き頭を垂れよ』」

 

 その科白には魔力が篭もっていた。

 

「あ、嗚呼……っ!?」

 

「ぐっ!」

 

「な、何なの?」

 

 シアが悲鳴を、ティオも苦しげに、雫までもが片膝を付いて脂汗を流している。

 

 それ以外も似たり寄ったりな反応。

 

「ふん、“神言擬き”か」

 

 ユートがつまらなそうに呟く。

 

「貴様、イレギュラー! 何故、我が神言に従って跪かぬ!?」

 

「何で僕がお前みたいな神擬きの神言擬き程度で跪かんといかんのだ?」

 

「擬き……だと!」

 

「ああ、一応は到達者だから神を名乗るだけの力は有るんだったか?」

 

 ヘラヘラと嘲笑って見せるユートに陶然としていた表情が怒りに染まる。

 

「貴様!」

 

 ユートが識らない原典では始終がエヒトルジュエの手の内、ハジメもユエの肉体を奪われた上に魂がどうなったかも知れず焦燥感ばかり増した。

 

 それが故にエヒトルジュエは悠々とハジメ達を出し抜けたのだ。

 

 然し種も仕掛けも解った手品など、そんなものには観るべき所など有りはしない。

 

「お前が使う神言擬き、それは言葉に魔力を乗せて命令を相手に叩き込み従わせるという代物だ。違うんだよ、真なる神言はそんなチャチィもんなんかじゃ決して無いのさ」

 

「ならば何だと云うのだ!」

 

「見せる……否、聴かせてやろう」

 

「なにぃ!?」

 

 ユートが口を開く。

 

「『墜ちるが良い』」

 

「っ!? がっ、あっ!」

 

 傲然と言い放ったユートの言之葉がエヒトルジュエ――ユエの肉体へと作用したのか、行き成り浮遊をしていたユエは重力が何十倍にでも成ったかの如く墜落をした。

 

「ぐっ、何が起きた?」

 

 無様に地を這うエヒトルジュエは起き上がらんとするが……

 

「『大地を舐めろ』」

 

 再び傲然と言い放たれてズンッと平伏されて、ペロペロと赤い舌で本当に地面を舐める。

 

 本気で意味が解らないと表情が語っていたし、口の中が舌に付着した砂でジャリジャリしていて気持ちが悪く顰めるしか無く、神としては屈辱感で一杯になっていたのは先ず間違い無い。

 

「これが本物の神言だ」

 

「ば、莫迦な……人、間風情が……神言……だ、と? 巫山戯るのも大概にせ……よ!」

 

「神言とは神威を以て人間に神の言葉で意を叩き込むモノ、魔力で無理矢理に命じる必要性は無いからこうしてお前は跪き地面を舐めた」

 

「ぐぐっ!」

 

 それにしても……と、ユートはそんなユエINエヒトルジュエが地面を舐める姿を観ながら思う。

 

(ユエは僕のJr.を舐めてる時だって何処か気品を醸し出していたのに、今のユエの姿からは全く以てそれを感じないもんだな。中身が違えば矢張り別物って事かね? 氏より育ちとは云うけれど、エヒトルジュエの底が知れるな)

 

 ユエの場合は男に縋るにせよ、媚びるにせよ、ある種の気品というものを感じさせてくれていたのに対して、エヒトルジュエが同じ顔で地面を舐める姿は無様を通り越したナニかであった。

 

(さて、どうやら時間は上手く稼げたな)

 

 ユートがふと、とある場所を見遣りつつも再び起き上がるユエ=エヒトルジュエに視線を戻す。

 

「どうやら不思議でならないみたいだな」

 

「な、何だと?」

 

「ユエの肉体を奪われた僕が平然とお前と会話をしている事に……だ」

 

「っ!」

 

 目を見開くエヒトルジュエ。

 

「天職が神子。その意味を正しく理解していたのなら、ユエをお前の見える場所へと連れ出したらいずれこうなる事は予測が出来ていた」

 

「な、なにぃ!?」

 

「平然としているのは、僕にとってのユエという存在が“大切”では無いからか? そんな訳はある筈が無いな。僕は女の子に対して決して誠実だとは云えない、世界を一つ巡れば最低限で一人は必ず自分の女にして来た実績があるからな」

 

 周囲の【閃姫】達――雫達は疎か留姫や淑乃やネネやアリスやヒカリや泉といったデジモン関連の【閃姫】達も含めて、めっちゃ頷いているのが矢張り少なからずそう思われていた証左だろう。

 

 事実、【デジモンテイマーズ】の世界に於いては行き成りデジモンクイーンな留姫に挑んで、カードバトルで普通に勝って関心を買った。

 

 其処から少しずつカードバトルでその仲を詰めていき、留姫が啓人や健良らと出逢う前からちょっとしたデートくらいは出来る様になる。

 

 勿論、見た目が小学生なユートと普通に小学生でしかない留姫だから、大した事が出来る訳でも無かったけど……更に云えば留姫にデートだという意識も無かったけど、それでも『お父さん』の事で多少のあれやこれやがあった留姫からしたら進歩だと云えよう。

 

 因みに、アリスはデ・リーパー事変での全てが終息してルガモン――の幼年期のフサモンがデジタマから産まれる辺り傍に付いていたし、何ならバウモン→ルガモンと進化をさせるサポートにも手を貸していた。

 

 留姫は面白く無さそうではあったのだけれど、産まれたばかりのデジモンの進化を目の当たりに出来たのは愉しいと思ったらしく、またアリスとはちょっとした淑女同盟を結んでいたらしい。

 

 それは兎も角……

 

「だけどその反面、一人一人の女の子を大切にするくらいの誠実さは見せている心算だ。トータスに来て出逢ったユエもシアもティオもリリアーナもミュウは未だちょっと違うが、レミアもスーシャもミレディもヘリーナもニアもアルテナもミナもラナもフリューもメーネもネア――は流石に違うな……序でに地球人だけど水森月奈もアイリーン・ホルトンも“大切”だからな」

 

 一人や二人なんて話では無いし、何なら原典のハジメが可愛く見える程度には大勢だった。

 

「クラスメイトも入れたらそりゃもう」

 

 しかも更に増えるとか。

 

 というより、雫達の名前が挙がらなかったからちょっと心配していたのか胸を撫で下ろす。

 

「だからこそ相手を信頼もする。ユエには氷雪洞窟へと入る前に相談をしていたのさ」

 

「どういう事……なっ!?」

 

 エヒトルジュエが驚愕したのは行き成り魔力を自分の意志とは無関係に両手へ集め出した為で、更にはそれを魔法として術式の構築をし始めているという事に関してだ。

 

 何故か口が開かれる。

 

「み、ぎ……手に……自己犠牲自爆呪文(メガンテ)……」

 

 ユエの口から力在る言葉が紡がれた。

 

「ひだ……り……手に魔力暴発呪文(マダンテ)……」

 

 エヒトルジュエとしては何とか口を噤みたいが到底無理。

 

「ユエの不死身の秘密とは魔力が在る限り肉体を半永久的に再生するスキルにある。再生魔法とは時間操作の魔法だから心臓を貫こうが、首を刎ね飛ばそうが、脳を潰そうが、肉体を消し飛ばそうが関係無く再生する。故にメガンテにより生命力を爆発力に変換、マダンテにより魔力を暴発させて〇にする。これを合体呪文として使えばユエの肉体も生命力〇に魔力〇で再生は出来なくなる」

 

 その意味を聴かされて始めてその脅威に恐怖して目を見開くエヒトルジュエ。

 

「“根源的破滅呪文(ギガンテ)”ッッ!」

 

 そして最後の言葉が紡がれると同時に、収束された全生命力と全魔法力が大爆縮をして斃すべき敵も居ない自爆をし、それによってユエの肉体は粉微塵に跡形も無く消し飛ぶのであった。

 

 爆縮であったから威力は外へと向かわずにいたものの、ビリビリと空気をというか空間をも震わせる程の破壊力により全員が吹き飛びそう。

 

 爆発では無く爆縮、威力は拡散させるのでは無くて収束させるというのがポイント、これを若し【DQダイの大冒険】でアバンがハドラーに対して使っていた場合、ハドラーは確実に木っ端微塵でアバンも“カールの守り”も虚しく消し飛んだであろうし、ハドラーの中の“黒のコア”も爆縮によって爆発を抑え込まれた筈だ。

 

 何故か?

 

 これは生命力と魔法力、氣力と魔力の融合爆縮という相反するエネルギーの相転位現象を応用した呪文だったから、即ち咸卦の氣へと融合昇華をさせての超エネルギーというやつである。

 

 当然、ユエの華奢な肉体など塵の一欠片ですら遺される筈もなかった。

 

「えっと、優斗? ユエさんはいったいどうなったのかしら?」

 

 漫画なら大粒の汗をタラリと流しながらといえる雰囲気で、仮面ライダーサソードの変身を解除した雫が真っ先に訊ねて来る。

 

「見ての通り、木っ端微塵のミジンコちゃんになったけど?」

 

「こ、言葉の意味は理解するけど現実を理解したくないわね……」

 

 少なくとも、“大切”だと言った舌の根も乾かぬ内に吹っ飛ばすとかユートをそんな非情で非常識な人間だとは思いたくは無い。

 

 ガシャンッ!

 

「な、何? 今の音と衝撃は!」

 

 空から甲高い硝子でも割れたかの様な音が鳴り響いて、後から小さな衝撃が雫達の身体へと伝わってきたのだ。

 

「フッ。エヒトルジュエめ、神域に戻れなくて焦っているな?」

 

「……え?」

 

「奴は到達者。人間の到れる限界点にまで到達をした者、だけど限界点を越えた超越者には至れなかったが故に魂は人間と変わらず、専用の安定所たる神界でないと奴は一〇分もすれば魂が安定を失って消滅の憂き目に遭う」

 

「そ、そうなの?」

 

 雫の確認に頷くユート。

 

「例外は地球人とトータス人、これは僕の創造した冥界に送られる。冥界は魂の安定を司るから、当然ながら数千年だろうと保たれる。まぁ、罪を犯せば地獄に堕ちるから殆んどの人間は地獄行きなんだけどな」

 

 罪を犯さない人間は存在しないと云っても過言では無い、だからこそ罪の分を相殺が出来るモノを持たないと極楽浄土へ行くのは不可能。

 

 とはいえ、冥王ハーデスが依代とする程の人間でもないと極楽浄土へ行けないなら、普通の人間は絶対に行けない場所という事になるだろう。

 

「それって、鈴達は天国に行けないって事じゃないのかな?」

 

「うーん、地獄にはちょっと逝きたくないねぇ。血の池地獄とか針山地獄とかでしょ?」

 

 変身解除した鈴と香織も近付いてきた。

 

「エヒトルジュエの使徒も全滅したか」

 

「エーアストと名乗る個体は逃がしてしもうたがのう、主殿よ」

 

「ティオか」

 

 仮面ライダーリュウガがカードデッキをVバックルから外すと、パリンと軽快な音を鳴り響かせながらライダーの姿が割れてティオの姿に。

 

「それで、いったい何がどうなったんでしょう。ユエさんは? エヒトは?」

 

 仮面ライダーザビーがシアに戻る。

 

 シアはユエの真友と呼んでも差し支えが無い、ユートは信じるけどユエを粉微塵に吹っ飛ばしたのもユートとあっては、どうしても黒い炎が感情へと引火をして燃え盛りそうで怖い。

 

 ユートへの信頼と同時に愛情が反転しそうで、それを抑える為に血が流れるくらいに拳を握り締めて、唇も噛み締めてその黒い炎が燃えない様に明鏡止水を心掛けていた。

 

 況してや笑っている、これではシアならずとも疑念は尽きない。

 

 尚、一番にグダグダと言ってきそうな人間はと云えば仮面ライダー同士の闘いに吹き飛ばされ、無様に地面に転がって気絶をしている。

 

 坂上龍太郎はフリード・バグアーを斃されて惚けている仮面ライダーヘラクス、ミハイルという名前の魔人族を引っ張って戻って来ていた。

 

「有り体に云えば僕は神子――エヒトルジュエが自らの依代と定めたユエを囮に奴をまんまとお引き寄せた。その上で依代となったユエの肉体を破壊して()()()()()()()、奴の魂が消滅する様に仕向けたんだ」

 

『『『『『ハァァッ!?』』』』』

 

 聴いていた全員がハモる。

 

「今頃、奴は帰るに帰れなくて泣きべそでも掻いているかもな?」

 

「神域を乗っ取るとな? そんな真似をいったいどの様にして行ったのかのぅ?」

 

 ニヤリとするユートにティオが訊ねた。

 

「神を名乗れる存在。それは色々と居るんだが、惑星間航行を可能とする異星人が遥かな昔に降り立ったなら、現地の人類はそれを神の降臨だとは思わないか?」

 

「確かに……」

 

 頷く雫。

 

「例えば未来人。僕も関わった世界線が在ったりするけど、現代人が事故で江戸時代の初期くらいにタイムスリップした場合ですら、信心深い人間ならちょっとペットボトルの筏で水に浮いて見せただけで神の御使い様扱いされる」

 

「ああ、ありそうかな」

 

 香織も頷いた。

 

「だけどそれは所詮、異星の人間や未来の人間という人種カテゴリーに過ぎない。必要なのは人種の限界に到達した存在や、人種の限界を超越した存在って事になる。そして初めから人種カテゴリーでは無い超越存在。エヒトルジュエはこの中でも最低限の到達者にカテゴライズされる。因みにウルトラマンは超越者に該当する」

 

 ウルトラマンは超人的な存在ではあっても決して神では無い、有名な話ではあるけどその気になれば神を名乗れるだけの能力は持つ。

 

「それはどの様な例が居るかの?」

 

「うーん、超越存在とは高位次元生命体も指す。だから津名魅や訪希深や羽鷲の“三命の頂神”ってのが該当するんだけど、それを言ってもティオではちょっと解らないだろうからな」

 

「うむ、さっぱりじゃな」

 

 ユートは少し考えて……

 

「哈っ!」

 

 三枚の光鷹翼を展開する。

 

「こ、光鷹翼?」

 

 鈴が反応した辺り、どうやら【天地無用! 魎皇鬼】については識っているらしい。

 

「これは!? 有り得ぬ、此処に確かに見えておるというに……存在が確認出来ぬとは!」

 

「流石は竜なだけあってティオには解るもんなんだな。“三命の頂神”というのはこの光鷹翼のエネルギーを普通に持っている超越存在だ」

 

 亜竜とは違う高位竜を合成されたのが竜人族だったのか、ティオの竜眼には光鷹翼のそれが理解も出来た様である。

 

「じゃが、それを主殿が使えるなら主殿自身も既に超越者じゃったか? そういった存在なのではあるまいかの?」

 

「嘗て、僕は“三命の頂神”の一柱たる津名魅に会った事があるからね。僕の目は後天的ではあるが一種の魔眼、視ればエネルギーの流れや本質を見定めるなどが可能なんだ。津名魅は高位次元生命体だから視ただけでもその異常性が解るからね。そして魔眼の性質上、視たモノを模倣も出来るという事から光鷹翼もギリギリで模倣が出来た」

 

「ふむ、妾からすればそんな主殿も異常じゃとは思うがのぅ」

 

 デジモンヒロイン組には既知の情報だった為、進化を解除して一応は聴いているけど疑問を差し挟む事も無くて、専ら【ありふれた職業で世界最強】世界の【閃姫】が訊いてくる。

 

「そしてエヒトルジュエの神域を乗っ取ったのはリルベルト・ル・ビジューやラルジェント・ル・ビジュー、ユカウラやケトシィやシュクレやゴコウといった【うたわれるもの】世界の超越者達、パリオンやテニオンら【デスマーチから始まる異世界狂想曲】世界の超越存在、他にも僕が関わった世界で僕と仲の良い超越者や超越存在達を使ってハッキング、システムの根幹から書き換えてやったからな」

 

 以前にリルベルト・ル・ビジューに頼んでいた事がコレだ、即ちエヒトルジュエの神域に対してのハッキングによる乗っ取り計画。

 

「奴は魂の安定化を出来ない到達者でしかない、従って神域から出た状態で魂を剥き出しにしていたら消滅を余儀無くされる。あの世とか冥界とか呼ばれる死後の世が在る世界なら自動的に安定化もされるが……ね」

 

 それでも悪霊化したりと必ずしも安定をするとも限らないが、それでも冥界が存在しているのであればそれだけでも大きく違う。

 

 ユートの冥界が安定を設定してたのは地球人とトータス人のみ、然るにエヒトルジュエはどちらでも無い異世界人で、アルヴヘイトもカテゴリー的にはエヒトルジュエが居た世界の存在、だからこそ肉体が消し飛んだであろうアルヴヘイトなど疾うに消滅している筈だ。

 

「さて、ユエの真友たるシアがずっと気になっている事だが……少なくとも作戦については詳しくユエに伝えてある。勿論、“根源的破滅呪文”たるギガンテの詳細と使った場合にユエの肉体が魔力〇で吹き飛ぶ事、そうなれば決して“自動再生”の固有魔法も発動しない事。そしてその程度の理屈は聡明なユエの叔父のディンリードが気付かない筈も無く態々、真のオルクス大迷宮の第五〇層まで降りずとも殺すのは容易かった事、故にこそ彼が行った封印には『王位に就く』なんて俗な理由では有り得ない事……などをね」

 

「……へ?」

 

 行き成りユエの叔父がどうのと話が飛んでしまって、シアだけでは無く他の【閃姫】達も意味を図りかねて目をパチクリさせる。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 ユートにちょっと呼び出されたユエ、若しかしたらムラッときてヤりたくなったのかな? とか思ったけど、よく考えれば取り敢えずヤりたいなら他の【閃姫】も呼ぶだろうと考えを改めた。

 

「……ん、来たけど何?」

 

「ユエに頼みたい事が有ってね」

 

「……判った」

 

 いそいそとショーツを下ろす。

 

「何故にパンツを脱ぐ?」

 

「……シたくなったんじゃないの?」

 

「そういう頼みじゃ無いわ!」

 

 普段が普段だけに仕方が無いとはいえ、本当に酷い誤解もあったものだった。

 

「正直に言うとこの頼みは断ってくれても構わない類いだ。寧ろ断られても良いくらいには考えていると思って欲しい」

 

「……ユートが苦悶の表情は珍しい。よっぽどの事だと思う」

 

「単刀直入に言う」

 

「……ん」

 

 ユートは一拍置いて……

 

「死んで欲しい」

 

 言うべき事を告げた。

 

「……ん、解った」

 

「って、おい! 何であっさり答える?」

 

「……ユートは私の生命が欲しい、なら上げる。私はユートのモノ、ユートが望むなら貞操だろうと生命だろうと幾らでも捧げられる」

 

 ユエのユートに対する想いが重い。

 

 一応、ユートもα世界線でのユエ、主人公として奈落落ちしたハジメにとっての“特別”だったらしいが、それを聴いていたからこの反応も多少なり想像は出来ていた。

 

「……仮令、ユートが私にそこら辺の道を行く男に股を開けと言っても……言っても……聞く」

 

 流石にスッゴく嫌そうな表情で言う。

 

「んな命令、する訳が無いだろう。っていうか、した処でそれに釣られた男共の股間が『弾けろブリタニア!』になるだけだしな」

 

「……?」

 

 まぁ、今の喩えでは解るまい。

 

 簡単に云えば香織をレ○プしようとして股間のJr.が文字通り弾けて消えた天之河光輝みたいに、【閃姫】の一人であるユエに不届きな真似をやらかした場合、その男のJr.もドパン! と別の意味で逝ってしまう事であろう。

 

「本当はこんな願いをしたい訳じゃ無いんだが、エヒトルジュエを間違い無く討つ為には奴の引き篭もる領域から、強引にでも引きずり出さないと話にならないんだ。その為にも奴にとって美味しい餌となるのが奴の選んだ新しい肉体、それこそがユエの身体って訳だよ」

 

「……その話は以前にも聞いた」

 

「恐らく奴は僕らが最後の神代魔法を手に入れて絶頂に居るのを、一気に叩き落とす為に氷雪洞窟をクリア後に君へと憑依をするだろう」

 

「……悍ましい」

 

「だろうな」

 

 男の魂が自分の中に……とか、気色悪くて悍ましい話でしか無い。

 

「手順としては……奴は魔人族や自分の使徒共を使って攻撃って訳じゃ無いけど挑発してくる筈。だから魔人族には今回で亡びて貰うだろう」

 

「……ん? 何だか話が飛んだ気が? エヒトが挑発してくるから魔人族には亡びて貰う? 意味が通らない」

 

「確かに。事情を識らなけりゃ全く意味不明で、文法が余りにもおかしいよな。魔人族が挑発でやるのが人質だ。α世界線の事は話したな?」

 

「……ん、私達じゃない私達の人生」

 

 ユエの場合、縋る先がユートでは無くハジメになるのが一番大きな変化だ。

 

「恵里"から確認を取ったけど、魔人族は氷雪洞窟クリア後にハジメを魔人族の魔都に在る城へ招待しようとした。だけど当然ながら奈落の魔王と化したハジメが素直に従う筈も無い。そこで連中は城に捕まえたミュウやレミア達が居る事を空間魔法で見せる。恐らくはβ世界線である此方でも同じ事はするだろうが、間違い無く魔国ガーランドに連れ去れはしない」

 

「……どうして確信が出来るの?」

 

「ハイリヒ王国は現在、アインハルトやヴィヴィオが治めるシュトゥラ王国。ヘルシャー帝国にしてもクオンを始めとする使徒共より強い連中が治めるトゥスクル國、エヒトルジュエの使徒を動員しても連れ去るなんて不可能さ。エリセンにしてもミュウにはディースキャナと【水】のヒューマンとビーストスヒリットを与えてあるから、連れ去るってのは無理だろうね」

 

「……成程」

 

 膠着状態にはなるかも知れないが……

 

「それでも人質としては使える筈だと見せてくる可能性は高い、それを以て僕は魔国ガーランドの魔都へ亡ぼせるだけの爆発を与える。それからは戦闘になるだろうが、その最中にエヒトルジュエがユエの肉体を奪う。これもα世界線で実際にやっていたらしいからな」

 

「……本当に悍ましい」

 

「そうだな。それが判るからこそ、此方では打てる手も有るってもんだ。いつも言っているだろ、『情報は力也』『未知こそ最大の敵』ってさ」

 

「……ん」

 

 エヒトルジュエが何をしてくるかを、反則的な手法や特殊な情報源から得ていたからこそ打てる対エヒトルジュエ用の戦法。

 

「ユエには僕の念能力の【修得する切札】で幾つか覚えて貰う」

 

「……何を?」

 

「一つは自己犠牲自爆呪文――メガンテ」

 

「……ん、成程」

 

「次に魔力暴発呪文――マダンテ」

 

 その意味を理解して目を見開く。

 

「そして合体呪文」

 

「……合体?」

 

「一応、この世界の魔法で複合魔法の雷龍だとか五天龍だとか使えてるけど、別世界の呪文の合体はそれで又感覚が違うからね。メガンテとマダンテの合体、これによって完成するのは自分も敵も破滅をさせる“根源的破滅呪文(ギガンテ)”だ」

 

「……ギガンテ」

 

 本当は某漫画家が描いたガンダムとイデオンの共演――ギガンテスでも良かったけど、メガの次はギガで構わないかと考え直した。

 

「これをユエが自分の意志で使う必要性は無い。暗示を掛けるから条件が整えばユエの肉体が勝手に使ってくれる」

 

「……了解」

 

 その条件とは即ち体内に霊的な異物が入り込む事と、逆にユエ本人の魂がそれをトリガーにして体内から抜け出した事。

 

「……私はどうなる?」

 

「冥界に魂が昇天するけど心配は無いさ。天英星バルロンのカレンには既に言い含めてあるから、彼女からユエに必要なモノを受け取って戻って来ればそれで良い」

 

「……ん」

 

 この世界では地球にもトータスにも冥界という概念が存在しない為、ユートがハーデスの神氣により得た冥界を創造する権能で創った冥界が現在は存在するから、ユエの魂も肉体から抜け出たら速やかに昇天してしまうだろう。

 

 冥界には魂の安定化をさせる機能が在る以上、設定された魂が消滅する事も無いのだから。

 

 そしてユートがそう設定しているのは地球人とトータス人であり、それ以外の出身である魂には全く適用をされないのである。

 

 つまりエヒトルジュエとアルヴヘイト。

 

「僕がユエを見捨てる事は決して無い」

 

「……ん、判ってる」

 

 二人は互いの愛を確かめ合うかの様に長い長い口付けをディープに交わすのだった。

 

 勿論、ディープキスを交わして盛り上がっていた情動を鎮める為に、お外でユエを後ろから……更に盛り上がったのは言うまでも無いであろう。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「以上が氷雪洞窟に入る前にユエと交わしていた言葉の全てだ」

 

「つまり、ユエさんは肉体を失ってあの世に逝ったけど死ぬ訳じゃ……無い?」

 

「そうなるな。あっちでカレンから新しい肉体を受け取ったら戻って来るよ、シア」

 

「主殿、カレンとは?」

 

「【閃姫】の一人でカレン・オルテンシアっていうのがフルネーム。僕が冥界の王という意味合いでは僕の冥闘士って立場でもあるね」

 

 みんな大好き麻婆神父の娘でもある。

 

 基本的に死にかけたり死んだりした人間……とも限らないが、そんな彼ら彼女らに冥衣を与えて冥闘士にしていた、即ち姫島朱璃やクライド・ハラオウンみたいに……だ。

 

 勿論、冥闘士であるからには冥王のユートには絶対服従がデフォルトとなるが……

 

 また、冥衣は原典に存在しない物や星も独自に製作が可能となっており、例えば【風の聖痕】のラピスに与えたのは天刃星コーカサスの冥衣となるが、原典にそんな星も冥衣のモデルも実際には存在してはいなかった。

 

 カレン・オルテンシアも死にかけていたのを拾われて、後に天英星バルロンの冥衣を与える事で第一獄・裁きの館の守護をする冥闘士と成って、日夜? 死者の裁きを執行している。

 

 尚、クラスメイトも一年くらい前にこの館へと来ているけれど、基本的に連中はユートに対しての態度が悪かったから地獄のちょっと大変な位置へと堕としていた。

 

 まぁ、聖闘士がどれだけ地上の愛と正義を護る為に闘おうが、冥王ハーデスに逆らってるからには確実にコキュートス送りなのと変わらない。

 

「更に言えば肉体的にも魔力的にも自爆前の力を凌駕しつつ、エヒトルジュエの依代には成らない細工もしてあるから仮に早めにユエが戻ってきたとして、再びユエを依代に……なんて真似は絶対に不可能だ」

 

 全てはエヒトルジュエを追い詰める為、ユートはユエに頼みたくもない自爆を頼んでまで策謀を巡らせたのだ。

 

「奴を放ったらかしにしていたら又候、地球にまで干渉をして来かねないからな」

 

「確かにね」

 

「それは嫌かな」

 

 雫も香織も心底嫌そうなな表情だし、鈴にしても冗談では無いと云わんばかり。

 

「ユエ、済まなかった。本当に有り難う。こんな科白くらいしか出せないけどな」

 

「……ん、問題無い」

 

「って、ユエさん!?」

 

 御満悦な表情のユエがいつの間にかユートの後ろに立っており、気配にはそれなりに敏感に成っていた雫でさえ気付けなかったのを、ユートだけはいち早く気付いて話し掛けていた。

 

「……ユートの役に立てたなら嬉しい。それに、ディン叔父様の事も」

 

 この場では詳しくさなかった事、それはディンリードというユエの叔父に関しての話が確かに有ったけど、ディンリードがどういう意図でユエに裏切りを働いたのか、それを理路整然と感情的になり易かったユエに確りと伝えたのだ。

 

 ユエも理解したからこそ余計にユートを信頼したし、深い愛情をユートへと向ける結果となってあんな行為にも及んだ訳である。

 

 まぁ、青○も珍しくは無いが……

 

「そろそろエヒトルジュエも消えたか」

 

 神域からエヒトルジュエが追放され約一〇分が経過しており、超越者では無い彼の偽神の剥き出しにされた魂が安定を失う頃合い。

 

 消滅すれば日本へ帰るのに何ら障害は無くなるのだから、当然だけど日本から来た雫達からしたらエヒトルジュエ消滅は嬉しい事。

 

 ズシュッ!

 

 その時、嫌な音を響かせながらユートの背後から左胸へと鮮血の真紅に塗れる銀色の刃が突き抜けていた。

 

 

.




 このラストとユエの自爆は初めから決まっていた既定路線となります。

勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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