ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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 ちょっとタイトル詐欺かも……





第120話:ありふれた【解放者】の復活

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「さて、それじゃ……リュール」

 

「はい」

 

 傍で自身の剣であるリベラシオンを納刀しながらユートに返事をする。

 

「“紋章士の指輪”を回収したらリュールは付いて来てくれ」

 

「判りました」

 

 リュールは右手を豊満な胸元へと当てながら頷くと、【閃姫】達や坂上龍太郎に渡した紋章士の指輪を回収するべく動き出す。

 

 実体を持たない本来の紋章士とは異なる点が、本人そのものが既存の指輪を媒介に紋章士化したというもので、リュールは妹に望んで死んだ肉体を異形兵に変えて貰った上で紋章士の再顕現化をしたまでは良かったけど、力を使い過ぎたらしくエネルギー切れで消滅しそうになった。

 

 それを一二の紋章士の指輪の意志が一丸となり彼女を紋章士化、現世へと留める為に唯一無二の奇跡の力を使ったのである。

 

 尚、この時にユートはマロンを甦らせる為に離れていたので傍には居なかった。

 

 当然ながら本来の流れでは紋章士もソンブルとの闘い以降は顕現化不可能となって、リュールは退位をしたルミエルから神竜王の座を引き継いで――α世界線でルミエルは死亡しているけど――神竜王としてリトスの地に立つ。

 

 紋章士は本人では無く力と記憶が指輪に宿った一種の残留思念だが、リュールは当の本人だったから肉体を持っている違いが有った。

 

 因みに、残留思念の記憶はユートが干渉をしたβ世界線が主流だったので、マルスからは義兄さん呼ばわりされ、カムイからも兄様とか呼ばれ、明らかにユートを識る言動をしている。

 

 だからこそ、関わりが砂漠でエスリンの死亡を留めた事から始まる【ファイアーエムブレム~聖戦の系譜~】の父親世代、聖騎士の指輪に宿ったシグルド以外は普通に知り合いばかりだった。

 

「で、私達はどうするのよ?」

 

「どう……とは?」

 

「仲間集め? それとも修業?」

 

「仲間集めって雫、トータスに仲間に出来そうなのが他に居ると思うのか? 修業にしたってもう今更感しか無いだろうに」

 

「それは……まぁね」

 

 出来るならこんな莫迦みたいな争いに巻き込みたく無いのが朝倉リク、ウルトラマンジードである彼は可成りの力に成ってくれるのだろうけど、何しろ最終決戦はエヒトルジュエと融合化をした天之河光輝が相手、世界線が違うとは云ってみても本来ならば同じ地球人には違いない。

 

「因みに、嘗て【解放者】に対してエヒトルジュエがやった手法は対策済みだ」

 

「大規模な洗脳ね。光輝は洗脳洗脳って優斗を責めていたけど、自分がヤるなんて何たる皮肉な話かしら? しかも失敗だなんてね」

 

 これは前に天之河光輝のアナザージオウⅡによる時間改変が、特に対策をしている訳では無かったハイリヒ王国の王都やヘルシャー帝国以外には効果を及ぼさなかったのと同じ事。

 

 今は現シュトウラ覇王国と現トゥスクル白皇國として再稼働している為、当然の如くでその手の対策は済ませているから天之河エヒトがそれを使っても失敗する未来しか無い。

 

「ユート、紋章士の指輪を回収しましたよ。後は貴方が着けている“未来を選びし者の指輪”で全てになります」

 

「そうだな」

 

 ユートが指輪を外すとカムイが少し名残惜しい表情になりながら消える。

 

 このカムイはユートが干渉した世界線に墜ちて来たγ世界線――どう考えてもバッドエンドを迎えたのであろう、きょうだいも仲間も志しなども全てを喪ってしまって自暴自棄に陥り、竜化して襲い来る透魔兵を暴走する侭に殺し尽くし蹴散らしていた存在、ユートにより精神的に救われてからは誰よりも近い兄様として、そして()()として傍らに居たいと思ってしまっていた。

 

 実際、流石にカムイもすぐには体を許したりはしなかったけど、風呂では共に入って背中を流したり、閨ではマッサージをして全身を揉み解してくれたりして肉体的な接触過多、初心なサクラやエリーゼやヒノカは余りに明け透けで真っ赤になってしまっていたし、カミラでさえ頬を染めながら微笑ましそうな表情で視ていたものである。

 

 そんなカムイの記憶の全てを持つからにはこれは仕方が無いと云えよう。

 

 というより、ユートが顕現化をさせた紋章士の全員が本体とも云える存在がユートとの性的関係を構築しており、矢張りというかリンもミカヤもセリカもルキナもベレスもエイリークもカムイと同じ表情で消えていた。

 

 セリカも? と思うかも知れないが、実の処はユートが介入した結果としてアムルは事が起きる二年前、つまり【ファイアーエムブレム~新・暗黒竜と光の剣~】が始まる前にアルムとエフィが婚姻を結ぶ様に策謀を巡らせたのだ。

 

 別にヒロインなセリカをアルムから略奪するのが目的では無く、遥かなる未来のヴァルム帝国が皇帝ヴァルハルトが消える事まで無いにしても、せめて少しでも弱体化が出来ないかと神竜ミラの血を持つソフィア王国の王族の血を入れない為。

 

 【ファイアーエムブレム外伝】では無く世界的には【ファイアーエムブレムECHOES~もう一人の英雄王~】であり、リゲル王族には神竜ドーマの聖痕が浮かび、ソフィア王族には神竜ミラからの聖痕が浮かぶ神竜の血を与えられた証を持つ。

 

 と、考えたユートはミラの血族であるセリカがアルムと結ばれて本来の力を持つヴァルハルトに成らぬ様、何ら力を持たないがヤンデレなレベルでアルムへの愛情を持つエフィを宛がった。

 

 尚、アルムがルカに付いて行ってグレイやクリフやロビンを連れてラムの村を出た頃、エフィは妊娠四ヶ月でそれなりにお腹が張っていたので、当然ながら彼女は旅に出る事も無く終わる。

 

 セリカがラムの村に訪れた時、アルムの子供だとお腹を見せられて可成りの衝撃を受けていたのだが、取り敢えず結婚をしていたエフィを祝福してラムの村を出たセリカは、近場に巣くう盗賊を八つ当たり気味に幾つか滅ぼしてラムの村が襲われない様にしておいたのだった。

 

 その所行は正しく聖女であろう。

 

「そういや、修業とか言っていたけど基本的には僕はそういうの反対なんだ」

 

「何でよ?」

 

「普段から真面目に修業してりゃ良いものをさ、差し迫ったから『修業よ!』とか言って修業し始めるんだよ。莫迦じゃないか? って思うね」

 

「何で女の子っぽい口調?」

 

 男のユートが行き成り女の子みたいな口調にて『修業よ!』とか言い出し、雫は不気味に感じたりはしなかったけど不自然さは感じたらしい。

 

「以前に行った世界でね、やれバトルだ何だってなるとそんな事を宣う部活の部長が居たんだよ。こっちが散々っぱら修業を提案しても乗らなかった癖に……ね」

 

「な、成程……」

 

 部活の部長が修業って何だ? とは思ったが、そういうモノだったんだと無理に納得した。

 

 因みに、それは言わずもがなで【ハイスクールD×D】世界に於ける美しき上級悪魔リアス・グレモリーを指す。

 

 ユートが干渉したβ世界線でユートが修業を促した時には今は不要と宣いながらも、ライザー・フェニックスのチームとレーティング・ゲームが決まった途端に、手の平を返して修業回を始めるとか言い出し始めたのだ。

 

 此方から提案した際には無視しておきながら、自分の都合でユートを巻き込んでの修業をしたがるとか流石にムカッとするのは元より、恒常的な修業を稽古のレベルでやるのでは無く強い相手と闘うからと、短期的なレベルアップを目論んでの修業だというのだから呆れる他に無い。

 

 例えば【ドラゴンボール】でも強敵が出るとなれば短期的に強くなる修業はするが、孫悟空にしろベジータにしろ基本的に恒常的な稽古を欠かしている訳では無いから問題にしてなかった。

 

 学生なのだから勉学が本分、だから修業修業と修業漬け生活を送れという訳では決して無くて、朝と夕方に軽い稽古をしておくくらいは行うべきだと言っている。

 

 それを怠りながら、ライザー・フェニックスと闘う際には修業をしようとか、闘いを舐め切っているとしか思えない態度であろう。

 

「あの、リュールさん」

 

「あ、えっと……確かシズクでしたね」

 

「え、ええ」

 

「どうしました?」

 

 小首を傾げるリュール。

 

「あ、行き成り名前を呼び捨てって余り慣れてはいなくって」

 

 天之河光輝は普通にやりかねないが、あれでもさん付けくらいは呼んでいたりするのだ。

 

「そうでしたか、済みません。私は仲間達を呼び捨てにするのが割と普通でしたから」

 

「あ、嫌な訳じゃ無いわ。文化の違いとかも有るでしょうし」

 

 尚、彼女はだいたい『神竜様』と呼ばれていたのだけど、ゲーム的には名前は変えられる仕様だからボイスが付けられないので、通称として用いられているのが『神竜』という判り易い名前。

 

 【ファイアーエムブレム~風花雪月~】に於けるベレトとベレスも、生徒からは『せんせい』という呼び方が成されていた。

 

 面白いのはエーデルガルトの『(せんせい)』、テキストとボイスでの呼び方の違いだろう。

 

「それで、何でしょう?」

 

「リュールさんは貴女の世界での優斗を当然だけど知ってるのよね?」

 

「そうですね。私が目覚めた時に“竜の守り役”であったクランとフランと一緒に居ましたから」

 

「目覚めた時?」

 

「はい。邪竜ソンブルとの闘いで重傷を負った私は千年間を眠りに就いていました。ソンブル復活が成った頃に私も丁度目覚めたのです」

 

 クランとフランは第一三代目の“竜の守り役”、邪竜ソンブルとの一大決戦以降は眠り続けていたリュールの部屋を綺麗にしたり、ソラネルを巡回したりと一応仕事は多岐に亘って有った。

 

「僕はリュールが眠りに就いて数百年後に転移をしたからね、取り敢えず神竜王ルミエルの無聊を慰めるくらいしかやれる事も無かったんだ」

 

 神竜と神祖竜で種族こそ異なったけど、同じ竜という同士だった事もあって数年間を共に暮らし、彼女の仕事を手伝ったりしていれば互いに情も湧いてくる上、男と女で性別も違うとなれば闘うしか無かった邪竜ソンブルとは違い、愛し合う事も出来る存在としてルミエルも惹かれる事に。

 

 邪竜の御子たるリュールを我が子としていたとはいえ、女として終わった心算は更々無かったのかルミエルからも少しずつ接触が増えたもの。

 

 最終的にヤる事は一つしか無かった。

 

「最後の決戦が終わって、母さんから神竜王の座を継承する前夜は四人で……凄かったです」

 

 あの日の――いざや神竜王の玉座を継承する前日での、義母や妹とも交わる四人での乱交を思い出しポッと頬を朱に染める。

 

「うん? 四人?」

 

「あ、私と母さんと妹のヴェイルですよ」

 

「妹? 確かリュールさんは邪竜ソンブルの実子だった筈、妹って事は優斗が現れた数百年の内に産まれた神竜王ルミエルさんの娘さんって事? 幾ら何でも実の娘と優斗がスるかしら?」

 

 ルミエルはリュールの前に子供が居ないので、養子という形のリュールが長子に当たる事になるから、妹が居たとしたらルミエルがユートとの間に産んだ娘という事ではないか? というのが雫の言い分だった。

 

「いえ、ヴェイルもソンブルの娘ですね。つまりは()()()()邪竜の御子ですよ」

 

「へ?」

 

「私は千年間に母さんから神竜の氣を与えられ、邪竜の体内に神竜の力を蓄えています。赤い髪と赤い瞳が私の邪竜の証、青い髪と青い瞳が私の中の神竜の証なんです。でもヴェイルは元々が敵として動いていたソンブルの手先でした。何やかんや有って和解したんだと思って下さい」

 

「そういう事か~」

 

 リュールが紋章士の指輪で絆を結べるのは謂わばルミエルの力を得ていたから、邪竜の侭だったら支配する形で紋章士は力こそ引き出されていても口すら利けない人形同然。

 

 究極体から戻ったパートナーを連れてる瑠姫とアリスとヒカリと淑乃、究極体から戻る概念自体が無いメルヴァモンはクロスアウトしてスパロウモンと別々に、パートナーが居ない泉も進化を解除して元の姿に戻っている。

 

「優斗、私達はどうするの?」

 

「瑠姫達も僕らの拠点に来てくれ。位置的に見てトゥスクル白皇國を拠点にするから」

 

「判った」

 

 淑乃は契約前と変わらない姿だが、瑠姫にせよアリスにせよヒカリにせよ泉にせよ小学生だった彼女達は見た目が高校生、淑乃の次に年上として活動していたネネも高校生くらいで若干ながらもアニメより成長している姿。

 

 つまり雫達と変わらない。

 

 それでいて、明らかにユートと共に長い時間を過ごした感が凄まじい雰囲気を醸し出す。

 

 それはリュールも同じくだ。

 

 しかもユートは他にも戦力の当てが有るのだと言い切っていたし、天之河エヒトがどれだけ戦力を補充してくるのかが分かれ目。

 

「恐らくだけど天之河エヒトは使徒の方も可成りの強化をしてくるだろう、正確には計れないけどそうだな……ストライクガンダムとフリーダムガンダムくらいの性能差は出てくるかもな。既存の使徒を改造するのか、或いは新造した使徒を強化バージョンで造るのかは知らないけどな」

 

「ひょっとしたら、ストライクガンダムとストライクフリーダムガンダムくらい差があったり?」

 

「いやいや、それは流石に性能差が酷いな」

 

 ガンダムを識らないらしいデジモン組やトータス組やリュールは首を傾げる。

 

「デジモン的には成長期と完全体くらいの差かも知れないなって話だよ」

 

「な、成程……つまりはお兄ちゃんのアグモンとメタルグレイモンくらい違いが有るのね」

 

 ヒカリが頷きながら言う。

 

「私達だとアグニモンとアルダモン?」

 

「ウチだとギルモンとメガログラウモンよね」

 

「私達の場合はアグモンとライズグレイモンになるかしら?」

 

「ウチは……ちょっと判らないわね。デジモンを世代では見て来なかったから」

 

 それぞれ、泉と瑠姫と淑乃とネネが自分達での

場合――だけど自分のパートナーでは無い――を口々に話す。

 

「ネネだとシャウトモンとシャウトモンX4くらいじゃないか?」

 

「あ、そのくらいなんだ」

 

 世代で云うとメルヴァモンは究極体であるから、スパロウモンと比べると差が付きすぎた。

 

 まぁ、あの世界は単純な世代だけではちょっと計り知れないのだが……

 

 何しろ【デジモンアドベンチャー02】に於けるラスボスが、可成り雑な感じで真っ二つにされてしまうくらいには弱体化をさせられていたし。

 

 まぁ、あれは採算度外視なガンダムを量産化したジムに落とし込んだみたいなものか?

 

「そんな事よりユート」

 

「どうした? アリス」

 

 世代の話は瑠姫がしたから参加して来て無かったアリスが、ソッとユートの腕に当時から比べて大きくなった胸の間に沈み込ませつつ科垂れ掛かって碧い瞳を潤ませ、頬を紅潮ながら背丈の差も有って自然と上目遣いで口を開く。

 

「折角、喚ばれたのだから……ね?」

 

 するとリュールも反対側に回ってアリスと同じ事をしてきた。

 

「そうですよ、私も今宵は」

 

 こんな態度で接して来たのだから言いたい事は理解するのだが、未だにモニターは地球と繋がっているから苦笑いな面々も居たけど、白崎智一氏みたいに娘との関係を認めたくないとすら思っている場合は、娘をキズモノにしておきながら……とか憤っている。

 

「勿論だ。ダイオラマ魔法球で全員を須く可愛がってやるさ」

 

「流石ね、優斗は」

 

「本当に……」

 

「其処で全員と言い切る辺り優斗ね」

 

 ユートの発言に朱くなりながらも呆れているのはヒカリと泉と淑乃、特に口を開いていないけど矢張り紅潮しているのが瑠姫とネネ。

 

 とはいっても瑠姫はプイッとそっぽを向いて、ネネはチラチラと期待感の篭もる目を向けるという違いがあり、呆れながら同じく期待感の篭もった目をヒカリ達も向けていた。

 

 【閃姫】に成ると若い侭で肉体的に変わらないのだが、実は精神的にも成長自体はするにしても老成しないから割とこういう場合も若さ全開。

 

 喚ばれた【閃姫】には御褒美です……的なのがコレだから或る意味で安上がりではあるけれど、並の男では同じ御褒美を同じ人数だけヤった場合は確実に枯れ果ててしまう。

 

 そういう意味では強壮たる【C】に性的に襲われてしまい、魂まで穢されて呪いに掛かってしまったのも福音に近いかも知れない。

 

 肉体的な変質で結果、無限で大量に射精が出来てしまう状態と女性への性的な興味の増大化と、覇道瑠璃との性交渉での致命的な失敗のトラウマを寧ろプラス化させてしまった。

 

「ねぇ、ゆう君」

 

「どうした香織?」

 

 普通にハーレム状態なユートに話し掛けるのは父親の気も知らない香織。

 

「それは私達も参加するのかな?」

 

「無理強いはしないが、本来は【閃姫】っていうのは基本的に僕がヤりたい時に相手する義務みたいなのも有る。まぁ、義務感で開かれても愉しい訳じゃ無いんだけどね」

 

「あ、嫌な訳じゃ無いんだけど……その、ね? 雫ちゃんや鈴ちゃん、それにユエさんやシアさんやティオさん、ミレディさんも良いとしてね……其方の人達とも百合な関係を築くのかなって」

 

 言いながら顔を赤くしたのも当然であろうか、要するにユートが例えば鈴と合身GOをしている時には、香織は雫と女同士での合体をして痴態を魅せている訳だが、それを見知らぬ相手ともヤらなければならないのは少しキツい気がする。

 

「すぐにヤれとは言わんよ。人数が居るんだから慣れてる者同士でヤれば良いんだ」

 

「そっか、うん」

 

 はにかむ香織。

 

『ちょっ、マイ・エンジェル!?』

 

 反面、白崎智一氏は真っ青。

 

(寧ろ、優斗に抱かれた香織って堕天使って感じにならないかしら?)

 

 雫は益体も無い事を考えていた。

 

「そんな事より」

 

『そんな事っっ!?』

 

 流されたから憤慨しているらしい。

 

「折角、全てのプログライズキーが揃ったんだ。ミレディを呼んで彼らを復活させる!」

 

『『『『っ!』』』』

 

 事情をよく知るメンバーが目を見開く。

 

 オプティマスプライムが降りてきて、呼ばれたミレディ・ライセンが外へと出て来ると造られたテーブルに置かれたプログライズキーを見遣り、何処か感動をした表情で瞳を潤ませていた。

 

「ナっちゃん、ラーちゃん、メイル姉、リューちゃん、ヴァンちゃん」

 

 そして黒いプログライズキーを見る。

 

「オー、ちゃん……」

 

 もう、昔みたいに『オー君』と呼ぶ訳にはいかないだろうと呼び方を変えた。

 

 そんな資格は無いから……と。

 

「それじゃ、プログライズキーに記録されているデータ。そして内部に内包されている魂の復元とアストラルマトリックスから読み込んだデータを使い、遺伝子から姿形まで全てが生前と変わらない肉体の再現を始めようか」

 

 ユートはゼロワンドライバーをストレージ内から取り出して腰に合着、黒いプログライズキーを手に取るとライズスターターを押した。

 

《OSCAR ORCUS!》

 

 それをオーソライザーへ翳す。

 

《AUTHORIZE!》

 

 オスカー・オルクスプログライズキーをライズスロットへと装填。

 

《PROGRIZE! OSCAR ORCUS!》

 

 此処までは前に試した時と同じ工程。

 

「さて、始めようか」

 

 バンッ! とプログライズキーをライズスロットの奥へ叩き込む。

 

《OSCAR ORCUS REVIVAL OPERATION!》

 

 電子音声が鳴り響いてオスカー・オルクスの姿が半透明な形で出現、それと同時に保存されていたと思しき魂魄が顕れて浮かび上がった。

 

 その数は八個。

 

「矢っ張りか、前に読み込んだ時と変わらない八人分の魂だな」

 

 大きめな魂が一個と小さな魂が七個、当然の事ながら生き返っているミレディ・ライセンを除けば【解放者】の神代魔法の使い手は六人、つまり魂の数が明らかに二人分は多い事になる。

 

「本当にディーちゃんとユンちゃんが?」

 

 元々、このリバイバル・オペレーション計画を聞かされて無かったミレディも吃驚していた。

 

「一際、大きいのが半分にされたオスカー・オルクスの魂だろう。小さいの五つが半分を更に五分割した神代魔法使いの魂、そして二つ有る少しだけ大きめのがディーネというメイル・メルジーネの妹と、ユンファというスーシャの妹の魂だな」

 

 記載された情報からだいたいの姿がユートの脳に記録されていく。

 

「とはいえ、所詮は六分の一の情報か。前に読み込んで判っちゃいたけどな」

 

 全く足りていない情報と魂の量、これを補足するには残り五つのプログライズキーは必須な為、黒いオスカー・オルクスプログライズキーを外すとポイッとミレディに投げ渡す。

 

「ふぇ? 何?」

 

「もう中身の無い物だが、一応は仲間の魂を封入していた器だからな。持っとけ」

 

「あ、うん……」

 

 前回は情報の前精査、今回は内部の魂の解放にまでも至っている。

 

「それじゃ、次々と往こうか」

 

《LYUTILIS HALTINA!》

 

 ユートはリューティリス・ハルツィナプログライズキーを手に取り、それのライズスターターを押してオーソライズしてライズスロットへという手順で読み込み、随時に情報と封入されていた魂の解放をしていった。

 

 六人分のプログライズキーを開封、魂も完全に八人分が解放されている。

 

 氷雪洞窟内で仮初めにやった時とは全く違い、完全に開封された魂を同じ色同士で融合。

 

 八つの魂が浮かぶ。

 

 この八人の魂はトータスの人間、故にユートの冥界による安定化の保護を受けていられた。

 

(みんな)……」

 

 ミレディは感極まったらしく涙ぐんで八人の魂を見つめているが、視覚化されて見えているだけでアストラルサイドに属するからマテリアルサイドの肉体では触れられない。

 

 だけどもう一度会える、もう一度話せるというのは数千だか一万二千年だかを孤独に過ごしてきたミレディだけに、そしてゴーレムから新生された肉体を得てユートの女に成り、寂しさを埋められたとはいっても嘗ての仲間と新たな仲間は矢張り別物で、時折だけどユートの腕を枕に胸元にて涙を零しながら【解放者】の仲間達の名前を呟いていたのを知っている。

 

 急遽、ダイコンボイに一旦戻らせておいた上でオプティマスプライムに積んで来た八人の魂肉体を再生、保存をする為の医療用ポッドを運び出してユートの前にデンッと屹立させて置き、ユートがこのポッドにデータ化させた八人の肉体の遺伝情報を入力していく。

 

 ミレディの時みたいに一人だけであるならば、機械に頼る必要性も無かったけど八人分は流石に分割思考(マルチタスク)で作業しても手に余る。

 

 人間の魂や肉体はそれだけ複雑なのだ。

 

 真の冥王ハーデスならば片手間にやれそうではあるが、どっこいハーデス・セカンド的な存在とはいってもユートは元々が普通の人間に過ぎず、其処までダイナミックな事が出来る様には未だに成ってはいなかった。

 

「補助は要るか」

 

 バサッと服を脱いだユート、それを何事! かと見詰める女性陣だったけど何も全裸に成っている訳では無く、ズボンは穿いている上半身だけでの謂わば半裸の状態。

 

「これは……ユート兄ちゃんの本気モードが見れるかも知れないよ!」

 

 いつの間にかヴィヴィオが居た。

 

 まぁ、オプティマスプライムをダイコンボイへと導いてポッドを積んだのはヴィヴィオであり、アインハルトもそれを手伝っていたのだから当然の権利と云わんばかり。

 

「本気モードというと、その昔に“闇の書の闇”が異世界から連れて来られた神アプスだった事から使用した経緯が有り、そしてヴィヴィオさんの中に存在する彼女が目覚めた時にも使った筈」

 

 碧銀の髪の毛をポニーテールへと結わい付けている女性――アインハルト、正式名称はハイディ・アインハルト・ストラトス・イングヴァルト……が頷きつつも戦慄をしていた。

 

 覇王国はどうした? とか訊きたくなるけど、それに関しては優秀な宰相が何人か居るので少しくらいは平気だし、何よりも最終決戦が始まれば結局は彼女達も戦場に出るから問題は無い。

 

「えっと、二人して言う本気モードって何かな? 其処まで戦慄する程?」

 

 香織が訊くも……

 

「見ていれば判るかと」

 

 神妙にアインハルトが答える。

 

「我は冥王。死の世界たる冥界を治める者也。浄土より来たれ我が冥衣よ!」

 

 それは時空間をも越えてユートの冥界の永劫な楽土――エリシオンより飛来した、冥界の深奥より出土する冥界の鉱石の如く美しいまでの闇色に染まる人を模したモノ。

 

 冥界の王ハーデスを象る鎧である。

 

 海皇ポセイドンの鱗衣、戦神アテナの聖衣など神々が纏うそれは神の闘士の最高位が身に纏ったそれより、神々しい威容に美しい輝きを放つ神器と呼ぶに相応しい代物。

 

 それは冥王ハーデスが纏う冥衣も同様であり、その美しさは冥界三巨頭やハーデスの側近となる双子神の冥衣より上だった。

 

 権能“冥王の箱庭の掟(ヘル&ヘブン)”の派生権能にして、ユートを正しく冥王ハーデス・セカンドたらしめているのがコレである。

 

 成程、人の生死を司る存在としての能力増加には確かに不可欠かも知れない。

 

 カシャーンッ! 軽快な音を辺りに響かせながらも両の脚、両の腕、腰、胸、両の肩、そして頭――には装着されず脇に持つヘッドパーツ。

 

「では、始めるとしよう」

 

 元々が黒髪なだけに厳かなる雰囲気を醸し出していると普通にハーデス。

 

「ユート兄ちゃんの本気モードは全部で三種類、一つ目がマスターテリオンモードで金髪金瞳になる大導師な姿」

 

「二つ目が超闘神モード。超サイヤ人ブルーというのと同じく逆立った青い髪の毛に成ります」

 

 簡単な説明は今の状況以外のもの。

 

「超サイヤ人ブルーって何?」

 

 首を傾げるのは鈴……だけで無く【DBGT】までを識る香織と雫も同じく。

 

 超サイヤ4という赤い毛むくじゃらで筋肉質な身体、赤い隈取りにサイヤ人特有な黒髪がボッサボサに伸び散らかした姿は判るのだが、青い逆立つ髪の毛というシンプルに超サイヤ人の色違いなだけというのは識らない現象。

 

 超サイヤ人ゴッド超サイヤとか云う訳の解らない名前を、青い氣を放つ青髪に青瞳という事からシンプルに超サイヤ人ブルーになった。

 

「ゆう君はいつからサイヤ人に? 【ファイアーエムブレム】の世界では竜人のハーフだったらしいから、【DB】の世界ではサイヤ人に成っていたってオチだったりして?」

 

「あ、その世界ではユート兄ちゃんは元の身体で行ったから地球人の侭ですよ」

 

超地球人(スーパーちきゅうじん)?」

 

「だとアレだから超サイヤ人と同じのを超闘士、超サイヤ人ブルーを超闘神って呼んでますね」

 

 実は超サイヤ人を模倣しようとした時点で何故か青い逆立つ髪の毛に成り、周りは凄まじい氣を放っているにも関わらず『氣を感じられない』と戦慄をしていたのである。

 

 時に、それはメカフリーザとコルド大王による地球への侵攻時の噺であり、超サイヤ人が二人で

孫悟空とトランクスのみだった頃だった。

 

「そしてアレが第三の冥王モード。ギリシアにてオリンポスの三大神の一柱、冥王ハーデスの権能を遺憾なく発揮した姿……ですね」

 

 ヴィヴィオが〆る。

 

「優斗が冥王の能力を持つのは聞いていたわね、詳しくは流石に知らないんだけど……ハーデスの冥衣なんて使うんだ」

 

 ポッドに向かうユートを見ながら雫は呟くが、いつもと違う雰囲気に中てられていた。

 

「雫ちゃん、惚れ直してるかな?」

 

「なっ! か、香織?」

 

「気付いてたよ、雫ちゃんがゆう君にはちょっと特別な想いを持ってるって」

 

「うっ!?」

 

 思わず紅潮した雫はポニーテールガードにより顔を隠してしまう。

 

「南雲君と香織の事も有ったから、光輝の手前でそういう感情を出した事は無かったんだけどね、まさか香織にバレていたなんて思わなかったわ」

 

 羞恥心に穴が有ったら入りたい気分になる雫、其処へ足音が聞こえたので振り向くと……

 

「貴女も優斗の毒牙にヤられた口?」

 

 瑠姫とアリスとヒカリとネネと淑乃の謂わば、デジモン組と呼べる()()()()――そう、お姉さん達がリュールと共に歩いてきていた。

 

 見た目は雫や香織と変わらない高校生っぽい、鈴? 見た目が中学生なので論外。

 

 だけど原典な世界ではルガモンがデジタマだったにも拘わらず、今や究極体のフェンリルガモンだと考えればどれくらい生きてきたか計り知れないであろう。

 

 少なくとも三回分は生きていた筈。

 

「えっと、確か牧野瑠姫さん」

 

「そ、貴女達なら私達がどんな存在で小学生の時にどんな事をしていたかは判るわよね?」

 

「あ、はい……」

 

 原典を識る……というやつだ。

 

「懐かしいわね」

 

「懐かしい?」

 

「優斗が樹莉の為にレオモンを復活させたのよ、ダークエリアっていうデジモンにとってのあの世にアヌビモンを突っ込ませて、死んだレオモンのデジコアが眠る場所から引っ張って来てね、足りない分はベルゼブモンがロードしていたデータを逆流させて、成長期のレオルモンに再生したわ」

 

 その後は記憶が有るから経験値的に問題の無かったレオルモンは、樹莉との絆も充分だった事で割と早く成熟期のレオモンに進化可能に。

 

 その後はローダーレオモンを経てバンチョーレオモンへと究極進化した。

 

「あの時と似た光景だわ」

 

「へぇ」

 

 懐かしそうなのは確かだけど瑠姫の瞳に有る光は恋慕のモノであり、確かに牧野瑠姫が【閃姫】なのだと解る一幕であったと云う。

 

 ポッド内に真っ裸な男性や女性が形作らていくのがよく見えるが、ポッドには真っ裸なのを配慮したのか布が掛けてある。

 

 だから見えているのは顔と足元くらい。

 

 冥王ハーデスの冥衣を纏ってからのユートが揮う力の速度は目に見えて上がり、遂にはポッドに完全な人間の形と成って現れている。

 

 オスカー・オルクス、ラウス・バーン、メイル・メルジーネ、ナイズ・グリューエン、ヴァンドゥル・シュネー、リューティリス・ハルツィナの六人に+ユンファとディーネの二人。

 

 完成した肉体に融合して完全と成った魂を各々に封入、肉体と魂の完全な同化が成されると全員が次々と目を開ける。

 

 ミレディ・ライセンを含む神代魔法の使い手たる【解放者】の七人+α、この現代のトータスの地に復活し大集結をするのであった。

 

 

.




 あんまり進んでないな。

 尚、無事に器に関する記述は見つかりました。情報を戴きましてありがとうございます。

勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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