ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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第122話:ありふれた力を求める【解放者】

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「さて、御集まりの皆々様とでも挨拶をしておくべきかな? 謂わば最後の会議を始めようか」

 

 この場に居るのはそれぞれの代表となる者達であり、無闇矢鱈と人数を増やすのは『三人寄れば文殊の知恵』では無くて、寧ろ『船頭多くして船山に登る』とか『三人居れば姦しい』くらいに話し合いが進まないだろうから。

 

「会議の総代を務めるのは僕、緒方優斗となる。【解放者】に関しては神代魔法の担い手の七人が全員参加として貰った。クラスメイト代表となるのは役者不足ながら永山となる」

 

「役者不足って……」

 

「本当なら浩介の方が良かったんだが、彼奴だと僕は兎も角として他の連中が見付けられんから」

 

「確かにな」

 

 一応、親友という立場ながら永山重吾も浩介を普通に見失う。

 

 ユートの目が特殊だからこそ見失わないだけ、それを持たない友人達は見失うしかない。

 

「【閃姫】組からは雫、家族会からは愁さんが、デジモン組からは淑乃&ララモンが、トゥスクル白皇国からはクオンが、シュトウラ覇王国からはアインハルトが参加をしている。それとクラスメイトとは別口で愛子先生と護衛の優花、トータスからは暫定聖教教会教皇のシモン翁、亜人組からアルフレリック・ハイピスト、元ハイリヒ王国からリリアーナ・C・B・ハイリヒ、元ヘルシャー帝国からガハルド・D・ヘルシャー、神域強奪組からリルベルト・ル・ビジュー」

 

 結構な人数ではあるがこれでも厳選をしている方だし、リュールみたいに参加をしていない者も居るから本当に最低限なのだ。

 

「惜しむらくはハジメと中村が既にメルジーネ海底遺跡に入っていたから、連絡こそ出来たけれど帰っては来れなかったって事だね」

 

 ユートはスマホを弄びながら溜息を吐いて遠い目で空を見上げる。

 

「スマホって、繋がるの?」

 

 オブザーバーである恵里"が小首を傾げながらも訊ねてきた。

 

「こいつは神――エヒトルジュエ如きとは神格が奴を一としたら一万くらいの差が有る存在が僕の手持ちのスマホを改良したモンでね」

 

「随分と差が有るね」

 

「寧ろ一千万、否や一億でも良いくらいの格差じゃないかな? 能力的にも性格的にも……ね」

 

「其処まで!?」

 

「高が神を自称する到達者が、ちょっと信仰を力に換える儀式魔術で強くなった程度だからな~。世界を見守る神とじゃ格差が有って当然だろう」

 

 ユートは神殺し、カンピオーネに転生をする前から既に何柱かの神を殺害していた。

 

 神にも格差が存在しているし、ユートが殺害をした神も上は大神クラスから下は人間が到達者と成り変じた神化クラスまで、力に関してはそれこそ千差万別だから一口に云えるものではない。

 

 況してや、殺しこそ出来なかったがハルケギニア時代で最後の大戦――邪神戦役とでも呼ぶ戦争にて、邪神たる這い寄る混沌ナイアルラトホテップを相手に大立ち回りをしているのだ。

 

 相手はニャル子さんだけどな!

 

「前にどんな世界とも知れん地球で神氣を含んだ雷が落ちてきてな、それが高校生くらいの少年にぶち当たりそうになったんだよ。僕がやったのは少年を助ける行為だったんだけどね、それが実はヤバい行為だって判ったのは神が礼を言いたいと神界に僕を喚んだ時だった」

 

「その少年が悪魔みたいな存在で、斃そうとしていたのを邪魔してしまったみたいな話かい?」

 

「だったら礼は言われんだろ」

 

「それもそうか」

 

 オスカーが苦笑いをする。

 

「まぁ、詳しくは割愛する。何がヤバいかって、少年は本来の流れでは死んで神に肉体を再生されて異世界に送られる筈でね、そんな少年が関わって何人もの少女達が生命を救われる予定だった。つまり僕がやったのは少年の生命を救う代わりに救われた筈の少女達を地獄に叩き落としたって、正しく救い様の無い結末を齎す結果になったよ。イレギュラーである存在が良くない部分に及んだ悪例とでも言おうか」

 

「悪例……ね。君がイレギュラーというのは? エヒトの使徒……木偶人形が以前に僕らをそんな風に称していたけれど」

 

「オスカーに対する連中の認識とはまた異なる。僕は正真正銘のイレギュラー、この世界にはというかトータスと地球も含めてだが本来は存在しない筈の人間だからね」

 

「地球とは君らが居た世界だね? トータスとはこの大陸を指している。本来は存在しない?」

 

「正真正銘、存在しないんだ。エヒトルジュエでさえ別の次元世界からの来訪者という意味合いでは存在が認知される。だけど僕はそれすらも有り得ないんだよ」

 

「エヒトルジュエとはエヒトの事なのだとして、そんな彼奴ですら認知されても君はそれすら有り得ない?」

 

「思った事は無いか? 娯楽小説を読んでいて、物語の世界に入り込んで自分が無敵の力を手にして無双するという妄想を」

 

「無くは無いが……まさか!? 君は僕らを本の中のキャラクターとでも思っているのか? 君が言った様な事を君自身が体験していて!」

 

 目を見開くオスカー、一部は正しいから流石は想像力を創造力へと換えるだけあるか。

 

「それこそまさか……だよ、そんな性根の人間で【閃姫】が増えるもんか。それと正確に云うなら物語の世界に等しい別世界だからね、確かに何の干渉も受けなければ物語と変わらない人生を歩むだけだろうが、それでも選択肢によって幾つもの分岐点を君らは歩んできて現在が有る」

 

 アドベンチャーゲームで会話の中の選択肢にて物語が分岐をする様に。

 

「そうなのか……」

 

「仮にイレギュラーの僕が居なければミレディはゴーレムの侭、恐らくは最終決戦でハジメ辺りがエヒトルジュエを滅した後に命懸けで神域の始末でもしたんじゃないかな?」

 

「ぐ、具体的だね」

 

 ユーキを通じて知った実際の【ありふれた職業で世界最強】にて、ミレディ・ライセンが取ったという行動そのものをぼかして言ったからだ。

 

「それに君のアーティファクトが在り君が甦生をしてくれたからこそ、僕達【解放者】が甦っている訳だから僕達も死んだ侭だったろう」

 

 これには【解放者】の皆が頷く。

 

「まぁ、話は逸れたが……一先ずの問題は君らがどうしたいかだ」

 

「どうしたいかとは?」

 

「ナイズ、君らは木偶人形(エヒトの使徒)共とも当然ながら刃を交わしているよな?」

 

「勿論だ」

 

「アレを相手にどれだけ闘える?」

 

「む、最初の戦闘では自分とオスカーとミレディで命辛々での辛勝だったと云えるだろうな」

 

 エーアストとのあの闘いは正しく死に掛けてしまった、傷だらけの満身創痍になりながらそれでも何とか退けたのである。

 

 それでも斃せた訳では無い。

 

「アレが数十……下手したら数百万単位で出て来る可能性が高い」

 

 【解放者】の全員が嫌そうな表情となるのは仕方が無いのだろう、何しろアレには手を焼かされた記憶ばかりなのだから。

 

「君らの基礎能力は高いとはいっても人間の域を出ない、オスカーがアーティファクトを造るにしてもエヒトルジュエが再び現れるであろう一ヶ月以内に、【解放者】の全員がアレを一掃出来る程の装備品なんて無理だろうからね」

 

「確かに時間が足りないな」

 

 自分の能力を鑑みてオスカー・オルクスは頷かざるを得ない。

 

「僕に提案が出来るのは三つ。一つは完全に裏方に回る事」

 

「三つとは……裏方に回るのはちょっと受け容れられないな。それから甦った意味が無いからね」

 

「そうだろうな」

 

 彼らが甦生を望んだ最大限の理由は当然ながらエヒトルジュエとの決着、嘗ては守るべき存在を謂わば洗脳により盾に取られて断念をした決着を着けたかったからに他ならない。

 

 別に自らの手で……とまでは考えていないが、それでも間接的では無く直接的に闘いたかった。

 

「二つ目はドーピングアイテムによるステイタスの急上昇を狙う」

 

「というと?」

 

「多分、オスカー達のステイタスは高いのだろうけど……それでも人間の範疇だと思われる」

 

「そりゃ、僕らは人間だからね」

 

 人間……というか“ヒト種族”の範疇内であり、竜人族だって竜化しなければその範疇を出ない。

 

 ティオだって魔力や魔耐は高いけど木偶人形の約三分の一程度、シアに至っては四分の一くらいに納まっているのだから。

 

「例えば魔物の肉を食えばステイタスが上昇する上に、その魔物が持つスキルを手に入れる事だって出来る。但し、神水を飲んで尚も壊れて治ってを繰り返して死んだ方がマシな痛みを覚える」

 

 ユートが錬金術で力を抽出した魔物肉の団子なら痛みも最低限だが、それを話す心算は無かったから取り敢えずの事実のみを話す。

 

 いずれにせよ、ステイタスは上昇させるのだから食わせる事に変わりは無い。

 

 永山重吾達に食わせていないのは仲間では無いから別段、生きるも死ぬもどうだって構わないという話でしか無かった。

 

「或いはこれ」

 

 取り出したのは種だか木の実だか。

 

「これは?」

 

「僅かだがステイタス値の上昇が見込める物で、力の種、素早さの種、守りの種、幸運の種、賢さの種、魔力の種、器用さの種、信仰の種、美し草、命の木の実、不思議な木の実。これらを食べると例えば力の種なら力の値が1~3程度だけど上げる事が出来る」

 

「木偶人形に追い付くのにいったい何千個食べさせる心算なんだい!?」

 

 一度に最大限にあがっても3、魔物肉みたいなリスクは無いけれど上がり幅が余りにも低くて、命の木の実で6、不思議な木の実で5ともなれば全てを高水準にするには何万と必要だ。

 

 どちらにしても時間が掛かるのは、食べるという行為からどうしても満腹になったら吐き出すしか無くなる為で、無論だが消化しないと能力上昇には繋がらない為に無意味となるから。

 

 これが一番の懸念だが、食べ過ぎれば肥ってしまうというのが女性には受け容れられない事。

 

 実は意外だが腹持ちが良い種や木の実は非常食にも成り得ると、ユートは特殊な環境を整えて量産にも成功をしているから、オスカー達に何万個と注ぎ込んでも惜しいとは思っていない。

 

 とはいえ、腹持ちが良い理由がステイタス値を上げる程に内包された栄養素というものであり、一度に食べ過ぎたら肥えるのは当たり前だったから肢体のラインが出る服装なメイル・メルジーネなんかは特に受け容れられなかったろう。

 

 多少ならメイル・メルジーネくらいメリハリのある肢体も崩れないだろうけど、それを言ったら好感度がだだ下がりになるだであろう上に烈火の如く怒り狂うのは目に見えていて、ユートが指摘する事などは絶対に有り得ない事である。

 

 後は普通に数を食べ難い。

 

 試しに豆撒きに使う大豆を大量に口へ入れてみると解り易いが、口の中が乾くは喉には詰まるはと如何にも量を食べるには不向きだ。

 

 それなりに硬いし。

 

 結局、アレらは偶に敵がドロップしたり宝箱から入手したのを食べて、僅かなステイタス値上昇を望む程度に扱うのが良いものだった。

 

 保存は利くのだし慌てて食べないといけない物でも無いのだから。

 

「で、三つ目が僕の造ったアイテムで取り敢えず能力を爆上げする」

 

「アイテム? ひょっとして君が生成魔法により魔法を篭めて錬成したアーティファクトかい?」

 

「違う。僕がこの世界に来る前から造って所持をしていた魔導具――この世界で云うアーティファクトって事になる」

 

「この世界に来る前……つまり君は神代魔法無しでもアーティファクトを作製出来るのか」

 

「抑々にして、君らの前でやっていたゼロワンこそがその魔導具だぞ?」

 

「成程ね」

 

 あれは単なる全身タイツに鎧甲な姿では無かったのかと、オスカーは何気に失礼極まりない事を考えながら笑顔で頷く。

 

「因みにだが、ミレディは既にゼロワン系の物を持っているぞ」

 

「な、何だってぇぇっ!?」

 

 バッ! とミレディの方へと力強く振り向いたオスカーに見せ付ける様に腰のバックルを外し、手に持って蒼と黒なエイムズ・ショットライザーとして見せびらかし、更に左手には蒼が基調となるランペイジガトリングプログライズキーをプラプラさせるウザ娘が一人。

 

 ニンマリしていて憎たらしい。

 

「仮面ライダーランペイジバルカン。僕が変身をしていた仮面ライダーゼロワン・シャイニングアサルトホッパーと同じ系統の仮面ライダーだな」

 

「同じ系統とは?」

 

「仮面ライダーは種類が豊富でね、二〇種類を越えて存在している。しかも一種類に付き一人というのも在るけど大概は数人~十数人という人数が居るんだよ。例えば仮面ライダーアギト系統なら仮面ライダーギルス、仮面ライダーG3及びG3XとG3マイルド、仮面ライダーアナザーアギトに加えて仮面ライダーG4何てのも居る」

 

「それは確かに多いな」

 

 失敗作であり、劇中には名前さえ出て来てはいないけどG1とG2も存在するし、更にジオラマ的な物で再現された世界で仮面ライダーミラージュアギトというのも存在した。

 

「仮面ライダー龍騎系なら一四人、疑似ライダーのオルタナティブとオルタナティブ・ゼロを含めたら一六人だからな」

 

 勿論、仮面ライダーアビスというディケイドで新登場したのも含めている。

 

「あ、それなら僕はあのカラフルなのに成ってみたいな」

 

「カラフル?」

 

「ほら、赤や青や緑や黒や金や紫の」

 

「ああ……」

 

 雫や鈴といったメンバーが居たら頷いたであろうが、カオスの歪みにより邂逅をしたユート達と【解放者】達は共闘をする事になった訳だけど、この際に【重甲ビーファイター】と【ビーファイターカブト】に登場をしたインセクトアーマーやネオインセクトアーマーを纏っていたのだ。

 

 勿論、聖魔獣だが……

 

 ビーコマンダー、コマンドボイサー、インセクトコマンダーといった仮面ライダーのベルトとは違うデバイスでの変身、力の源はインセクトという言葉が有る通り昆虫である。

 

 その為が敵からは文字通り『虫けら』と呼ばれる事が多かったけど、【重甲ビーファイター】ではブラックビートが敵として登場をしていたし、【ビーファイターカブト】でもビークラッシャー四鎧将が登場していた。

 

「あれはメタルヒーローシリーズで仮面ライダーって訳じゃ無いが、とは言っても識らないんだから見分けが付かなくても無理は無いか」

 

 日本人であれば大概の子供は見分けが付きそうな仮面ライダーとメタルヒーローは、然しながら異世界人であるオスカー達には恐らく同じものに見えているのだろう。

 

「ほら」

 

「! ユート、君は宝物庫を指に填めていないのに空間から出し入れが出来るのかい!?」

 

「ん? ああ、アイテムストレージって魔法を持っているからね」

 

 正確には亜空間ポケットと呼ばれるお天気精霊達が使う技術を、上司である日乃森なのはさんから特典の補足として与えられたモノを再現して、再編成をして別口の魔法という形に落とし込んだものだった。

 

「このコマンドボイサーで『超重甲』をすれば、各種のビーファイターへと変われる。インプットカードで成れるビーファイターが違うんだけど、オスカーは何色のビーファイターに?」

 

「ああ……黒かな」

 

「だと思ったよ」

 

 オスカー・オルクス、黒色がとっても似合っているイケメンさんであったと云う。

 

「そうなるとビーファイタークワガーか」

 

 【ビーファイターカブト】では追加戦士というには微妙だけど、インセクトコマンダーを使って超重甲をするメダルの戦士が四人、故に初期からの三人とで七人のビーファイターが居た。

 

(半端に【重甲ビーファイター】から出すよりも良いかな?)

 

 女性戦士も丁度良く二人分、メイル・メルジーネとリューティリス・ハルツィナをビーファイターテントウとビーファイターアゲハにすれば悪くない構成だろう。

 

 ミレディは仮面ライダーランペイジバルカンに成るのだから。

 

「このインプットカードがビーファイタークワガーの……黒いのに『超重甲』するカードだ」

 

「ちょうじゅうこう?」

 

「要するに姿を変える『変身』だな」

 

「ヴァンが竜化するみたいなアレじゃないよな、あのカラフルな鎧姿に成る事を『ちょうじゅうこう』と呼ぶ訳か」

 

「あ、変身の時は叫ぶのが様式美だから」

 

「叫ぶのかい?」

 

「叫ぶのだよ」

 

 こればかりは古今東西の殆んど全てのヒーローやヒロインが行う様式美。

 

 スーパー戦隊、メタルヒーロー、仮面ライダーに加えてプリキュアやセーラームーンやおジャ魔女どれみなど、コスチュームの変化や鎧の装着を変身てして叫んでいる。

 

 ユートは腰にマゼンタカラーのバックルを持つベルトを顕現化、本来の物はバックルを腰に据えてベルト部分が伸長する事で合着をするのだが、ユートのコレは本人の内部に在る無貌の神の力を表面化させた為、仮面ライダークウガのアークルや仮面ライダーアギトのオルタリングみたいな形で腰に顕れるのだ。

 

 サイドに顕現化したカードホルダー兼武器であるライドブッカーを開き、内部に収納をされているライダーカードの一枚を抜き取る。

 

 サイドハンドルを両側に開き……

 

「変身っ!」

 

 ディケイドの絵柄が描かれたライダーカードを装填して再び閉める。

 

《KAMEN RIDE DECADE!》

 

 ライダークレストが顕れてユートの姿が変化、左右非対称なマゼンタのアーマーを纏う仮面ライダーディケイドに成った。

 

「これが様式美ってやつだ」

 

 パンパンと両手を拍手みたいに叩きつつ説明を続けている。

 

「こういう決まった仕草をして『超重甲』と叫べば鎧姿に成る。僕のこの姿は仮面ライダーディケイドって名前になるね」

 

「ふむ……」

 

 オスカーは渡されたコマンドボイサーを見つめつつも、仮面ライダーディケイドへと変身をしたユートの方もチラチラと見て来た。

 

 どうやらアーティファクトメイカーとして興味深く映ったらしい。

 

「どうすれば良い?」

 

「待ってな」

 

 ユートは変身を解除して別のコマンドボイサーを取り出した。

 

「此処のスロットにインプットカードを装填してから~の――超重甲!」

 

 前に両腕を突き出しながら叫ぶ。

 

 カシャッと角の部位が起き上がってネオインセクトアーマーというか、聖魔獣ビーファイターカブトがユートの肉体を覆っていった。

 

「これがビーファイターカブト」

 

 金色でカブト虫を模した人型、擬人化したみたいな鎧姿に変化をしたユートを視てたオスカーが頷くと……

 

「ちょうじゅうこう!」

 

 インプットカードを装填して真似る。

 

 黒い鎧て頭の両側に角を持つクワガタ虫を擬人化した姿、オスカー・オルクスはビーファイタークワガーの姿へと変わっていった。

 

「これがビーファイターか。凄まじいねこれは、何と言うか力強く速くて硬い。正しく甲虫系統の昆虫みたいな鎧だよ」

 

 拳の内で叩いたらカンカンと甲高い音を響かせるアーマー、揮う速度や当たるパワーやアーマーの硬さを軽く計っているのであろう。

 

「ふーん、オスカーが言うなら相当じゃないの。だったら私も使わせて貰おうかしら」

 

 ウインクしながらメイル・メルジーネが言い、それに追従をしてくる残りの【解放者】達。

 

「メイル・メルジーネはビーファイターテントウで良いな? それに伴ってリューティリス・ハルツィナはビーファイターアゲハのインセクトコマンダーとインプットカード」

 

「あら、形が違いますのね」

 

 細かい部分はコマンドボイサー同士も違うが、コマンドボイサーとインセクトコマンダーは可成り差違が有った。

 

「名前が違うからには効果は同じでも形は変えているものさ。とは言っても、ガワさえ変えてしまえばどちらも同規格なんだけどな」

 

 実際、()()()コマンドボイサーはきっと同規格なインセクトコマンダーとコンパッチ式だろう。

 

「つまりやり方は同じですのね?」

 

「う~ん、それは物によりけりだけどな。少なくともコマンドボイサーとインセクトコマンダーだとやり方は同じだよ」

 

 リューティリス・ハルツィナは頷くと、手にしたインセクトコマンダーへとインプットカードを装填してやる。

 

「ちょうじゅうこう!」

 

 それは白が基調たるネオインセクトアーマー、つまりビーファイターアゲハのモノであった。

 

「まぁ、これが……」

 

「ビーファイターアゲハだね」

 

 こうなるとビーファイターテントウはメイル・メルジーネが受け取る形。

 

「誰がどれに成るかは好みで決めてくれれば良いとして、一応は原典で女性戦士だったテントウとアゲハだけはメイル・メルジーネとリューティリス・ハルツィナで使って欲しい」

 

「そうね、私は構わないわ」

 

(わたくし)も構いませんわ」

 

 メイル・メルジーネもリューティリス・ハルツィナも異論は無かった。

 

「それと私の事はメイルで良いわよ。オスカー君やミレディちゃんは普通に呼んでるんでしょ?」

 

「それならば、私も是非ともリューと気軽に御呼び下さいませ」

 

 どうやらフルネームで呼ばれるのは違和感が有ったらしく、メイル・メルジーネもリューティリス・ハルツィナも呼び方の変更を求めてくる。

 

「判った。メイルとリューだね」

 

 それに応じるユート。

 

「それなら自分も名前で頼む」

 

「俺もヴァンで構わない」

 

「私もラウスと気軽に呼んで欲しい」

 

 それに呼応するかの様に、ナイズ・グリューエンとヴァンドゥル・シュネーとラウス・バーンの三人が口を開いた。

 

「了解した。ナイズ、ヴァン、ラウス。最後の闘いのみだが宜しく頼む」

 

「勿論だ」

 

「俺達もエヒトには無念さを抱えるしか無かったからな」

 

「自身の力を奴との闘いに使えるならば望外の喜びだろう」

 

 数千年か一万年かは定かでは無いが、魂の侭に彼らの無念は募っていたのかも知れない。

 

 特にエヒトに聖光教会騎士団長ラウス・バーンとして動いていた彼は或る意味で教会を裏切ったけど、別の見方をしたならば彼こそが聖光教会から裏切られたのである。

 

 ラウスの妻も子もエヒトに運命を翻弄された、そしてそれは何も彼の家族に限った話では無い。

 

 【解放者】の家族もそうだし、ミレディの場合は父親がアレだったから家族では無かったけど、それでも家庭教師として現れた彼女は正に翻弄をされた人間だったろう。

 

 折角の得られた機会を逃す程に【解放者】達も愚鈍では無かったのである。

 

「さて、これで【解放者】の戦力は残りの時間でオスカーがアーティファクトをどれだけ製作出来るかになってくるな」

 

「其処は全力を傾けるさ」

 

 素材さえ有ればアーティファクトメイカーとして稀代のオスカーだけに、あらゆる知識を総動員して想像力を創造力に換えて創り出す筈だ。

 

 実際、嘗てのオスカーは自作のアーティファクトをふんだんに使って闘ってきた。

 

 恐らくはユートが直接的には識らない、そして恵里"が嫌と云う程に思い知らされているであろう『化け物』――α世界線の南雲ハジメも同じく。

 

 尤も、彼の場合は魔物肉を食らいまくっていたから能力値だけなら木偶人形をも上回っていた。

 

 オスカーは身体能力としては一般人に毛が生えた程度、一般人よりは上であっても超越と呼ぶには可成り難がある。

 

 強いのは間違い無いが……

 

「問題は人数ですわ」

 

「人数?」

 

「はい。私の試練を突破なされたならあの子達とも相対された筈です」

 

「ああ、あの大量のGか」

 

「恐らくはその意図する処も既に御理解を頂けているものでしょう」

 

 戦争に於いて数は力。

 

「木偶人形共の数が凄まじいのと、連中の能力の再現をしていたのなら判っているさ」

 

 大量のGと人型に固まったG群、これがエヒトルジュエの使徒の数の多さを物語ると同時に厄介な能力を示唆する、それはハルツィナ大樹海でのGとの接敵から予測が出来ていた事。

 

「この数にどう対応するのですか?」

 

「数には質で対応するけど、人数に関して多少なら増やす当てが無いでもないんだよな」

 

 ユートの頭に浮かぶのはとある世界で知り合った数十人にも及ぶ少女達、一人一人が能力的には仮面ライダーにも匹敵する戦闘力を有していて、普通の人間ならば即死してもおかしくない筈であろう、鉄筋コンクリートなビルが砕けるくらいの勢いでぶつかりながら『痛た』で済む辺り強い。

 

 問題は素で飛べる者が強化形態持ち以外で少ない事だが、それはユートが渡す“変身アイテム”に飛べる機能を足せば何も問題は無かった。

 

 問題が有るとしたら……

 

(アストラルコピーを解凍して実体を与えるからには、その後の面倒も見ていく覚悟を決めないといけないんだよな)

 

 覚悟が必要だった事だろう。

 

 これは、アストラルコピーの提供をしてくれた彼女達との約束――盟約でもあるし、アストラルコピー体も全てを承知しているものだった。

 

 抑々がアストラルコピーを取る前に交わしている盟約、ならばアストラルコピー体が盟約の内容を知らない筈も無い。

 

 アストラルコピーの侭に封印を施している分には特にリスクも無いが、解凍をして実体を与えた時点で普通の人間と変わらなくなる。

 

 つまり衣食住が必須となるのだ。

 

 まぁ、ユートにもメリットは多大に有るのだからリスクばかりでは無い。

 

 何しろ彼女達――正確には一名ばかり少年も混ざっていたりするけど――は誰もが美少女だし、本来の彼女達は好きな相手が居たりもしたのだけれど、アストラルコピー体の彼女達は知識としては自覚が有れど感情としては有していなかった。

 

 つまり、アストラルコピー体には誰某が好きなオリジナルの知識は存在するものの、当人は別にその誰某とやらが好きだという感情は持っていないのである。

 

 寧ろユートは気付いていないが、精神の内にて封印していたからかユートの経験や感情を僅かながら受け取り、微睡みの中の夢として皆で共に在る感覚が強いからか好意を持たれていた。

 

 そんな彼女達の使う力を発露する為の謂わば、変身アイテムは既に作製済みだから後は解凍をして実体を与えるだけ、それ自体には大した時間も掛からずに一日足らずで終われる。

 

 何故なら彼女達の実体も既に用意している為、解凍したら直ぐにでもアストラルコピーを封入してしまえるからだ。

 

「それに態々、ダイコンボイで来てくれた者達にも活躍の場を与えないとな。クオン」

 

父様(ととさま)、何かな?」

 

「トゥスクル白皇国に従事させている連中も闘いたくてうずうずしてないか?」

 

「してるよ、特にアトゥイとか」

 

 クオンが苦笑いを浮かべて名前を挙げたのは、α世界線でも充分に戦闘狂な処を見せ付けてくれた少女であり、それでいてシャッホロ國の姫という立場なのだから家臣は胃が痛かろう。

 

 トゥスクル白皇国には元より戦闘力の高い者達――亜人が主体なだけに、クオンが召集を掛ければちょっとした戦闘集団の出来上がりだ。

 

 ユートは【うたわれるものー散りゆく者への子守唄ー】、【うたわれるものー偽りの仮面ー】、【うたわれるものー二人の白皇ー】、【うたわれるものーロスト・フラグー】から可成りの人数を連れていた。

 

 その中には戦闘巧者も多い。

 

「他にも戦争の為に来たからにはダイコンボイにどれだけ乗せて来た?」

 

「響さん達が来てます、それ以外も……」

 

 【戦姫絶唱シンフォギア】出典となる立花 響と愉快な仲間達、それなりの人数が【閃姫】としてユートと契約を交わしている。

 

 そうなった……なれた理由はあれが【ソードアート・オンライン】という世界と混肴世界だったからで、マリア・カデンツヴァ・イヴを除いた後のSONGメンバーがSAOというVRゲームに閉じ込められ、ユートとの関わり合いを持ったのが切っ掛けでゲーム内でとはいえ肢体を重ねる事になり、それが現実世界でも続いていったというのが契約に結び付いた。

 

 響を堕とせば小日向未来がくっ付いて来るし、他にも調か切歌を堕とせば堕ちてない方がくっ付いてくるなど、中々に百合百合しい関係性だったから割と簡単……では無いけど普通に手中へ納める事が叶ったもの。

 

「とは言っても響達なら山をもぶち抜くのだって可能だろうし、翼なら山をも斬り開いてしまえるだろうから充分過ぎる戦力な訳だよ」

 

 【戦姫絶唱シンフォギア】系統の者達であれば多少の人数差は如何様にも埋まる。

 

 事実として敵であるノイズやアルカノイズなどの存在、数百とも取れる数々を斃し尽くしてきたのだから問題もあるまい。

 

 響、翼、クリス、未来、切歌、調、マリアといったシンフォギアのチームだけでは決して無く、敵だった錬金術師達も仲間に加えていたのだから可成り戦力向上が見込めていた。

 

(それでも前回を下回る数では無いだろうしな、矢っ張りやるしかないか……クレストチェンジ)

 

 それこそは件の彼女達を喚び出す為のキーであったのだと云う。

 

 

.

勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる
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