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仮面ライダーサガとなったユエは、何処か女性らしいフォルムとなっているのが原典のサガとの相違点。
とはいえ、本来の身長より普通に伸びている辺り、仮面ライダーディケイドでアスムやワタルが変身した際の身長を想起させた。
そんなユエを見て雫が思った事……『何で?』
それは紛う事無き嫉妬、自分には仮面ライダーの力をくれないのに、出逢って間もないユエには渡す。
命の代価としてではあるにせよ、抱いた女より優遇されているユエに嫉妬心が湧き上がる。
自分でも思いもよらない心の動き、一回抱かれただけで完全に堕ちているではないか……と。
もっと乱暴なら。
もっと厭らしい欲望の目を向けてきたなら。
だけど違った、恐らくは愛し愛されるカップルでのセ○クスでも有り得ない、優しくキスをされて撫でられて、まるで愛しい者を見る慈しみの瞳を向けられ、愛し合う恋人同士の睦み合いを思わせる行為。
勿論、それは今も気絶中な香織と愛子先生も同じ、自分だけが特別扱いをされた訳じゃないのは判る。
それでも勘違いをしたくなる行為、何回も絶頂へと導かれて果ては気絶をしてしまい、だけど夢の中でも優しく撫でてくれていた手の感触を覚えていた。
短い時間だからユエは、間違いなく抱かれてなどいないだろうにそれで何故、仮面ライダーの力を貰えているのか? 自分との差は何なのかが解らない。
だから嫉妬した。
悔しかった。
ユートに自分を認めて欲しいと、今は本気で望んでいる自分に気付けない侭、横に立てない自分の弱さに絶望するしかなかった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ユエは仮面ライダーサガの力、その使い方をふんわりとだが理解している。
所謂、何と無く解る……という程度だったけど。
ユートの創る聖魔獣には共通する能力が付加されており、その一つが装着者へ自身の使い方を脳内に刻むというもの。
ユートが造り出している仮面ライダーとは二種類、【至高と究極の聖魔獣】により創造された聖魔獣型、そしてほぼオリジナルに近い形で造られた原典型。
仮面ライダーウィザードが原典型で、仮面ライダーゼロワンなどが聖魔獣型、仮面ライダーサガも聖魔獣サガークという名前の蛇型な聖魔獣を創造し、能力としてサガの力を装着者へと纏わせる形を取っている。
武装であるジャコーダーも同時に創造された所謂、サガークの一部的な物だったりするのだ。
尤も、原典と同じく別々に使う事も視野に入っている訳だが……
また、ユートは拘り故に仮面ライダーの時は基本的に仮面ライダーとして闘うから、余り魔法やら何やら――ウィザードの時はウィザード由来の魔法は使う――使ったりしない。
でもユエにそんな拘りがある筈もなく、普通に魔法を使って戦っていた。
「ん、【蒼天】!」
蒼白い炎の塊が天より降ってくる最上級魔法。
しかも生身で使うよりも威力が増し、更には消耗が軽減されているらしい為、本来なら復活直後のユエは血を啜り、漸く一発を放つのがやっとの筈だったのに二発目が使える様だ。
「……凄い、凄く良い……これならユートの隣に立って戦える!」
その呟きは誰に聞かせる心算もない為に、小さく漏れ出た科白に過ぎなかったのだけど、どうしてか雫の耳にハッキリと聴こえた。
ギリィッ! いつの間にか握り拳を作るくらい嫉妬が全開となる。
悔しくて悔しくてだけど目を離せなくて。
「私、実はチョロイン? ばっかみたいよね、肢体で代価を支払うだけの関係に気持ちを求めるとか……」
本当に抱かれた程度で、こんなに気持ちを揺るがされるなどと思いもよらず、自嘲していた雫が視たのは何故かユエを下がらせて、自らトドメを刺すユート……仮面ライダーディケイドの姿であったと云う。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
ユートは突如として現れた蠍擬きに疑問を持つ。
(この蠍擬き、ユエを助けるまでは出て来なかった。そもそも端から見れば白崎や八重樫、愛子先生を抱いていた僕は隙だらけに見えた筈なんだがな)
実際には隙なんて作ってはいないが、飽く迄も端かから視た場合は女を抱いている真っ最中の男なんて、隙だらけの殺りたい放題な図でしかない。
魔物に知性が有るなら、間違いなく殺り時だった。
浅慮な知性なら……だ。
(かといって、あんな魔物に思慮深さが有るとは思えないし……な。つまりユエの封印を解いたから現れたのであって、それまでは現れる条件が満たされていなかった訳だ)
その条件とは即ち、ユエの封印解放であるのは自明の理だ。
(ならば魔物を配置したのはユエを封印した張本人、おじさまとやらなのは先ず間違いない。ならば目的は何なんだろうね?)
そもそも、ユエを封じた後に吸血鬼の一族というか『おじさま』とやらは王位に就いたらしいが、それは何年続いた栄華なのか?
少なくとも、三百年前に吸血種族の王国は滅亡し、ユエを除いて絶滅しているみたいだが、普通に生きても二百年は生きられまい。
ある程度は長生きみたいだけど、所詮は定命の種族には違いないのだから。
つまり、執拗にユエ封印に拘る理由が無かった。
(まさか、封印を解いたならこれくらいは斃せとか、親バカ全開の置き土産……とかじゃなかろうな?)
封印を解いたのが女性だったらどうするのか?
(となると、ユエに殺らせるより封印を解いた不埒な男が実力を見せるべきか)
ユートは仮面の奥で口角を吊り上げる。
『おじさま』に裏切られたとユエは言っていたが、それまでの『おじさま』や周囲の吸血種族に関して、もう少し詳しく聞いておこうと考えながら……
「ユエ、下がれ」
「……ユート?」
「僕が殺る」
「……? 判った」
小首を傾げるユエだが、外見が仮面ライダーサガだからちょっとシュール。
ユートは蠍擬きの流星の様な針攻撃に、ライドブッカーソードモードで全てを斬り払い、アタックライドのカードを取り出す。
《ATTACK RIDE SLASH!》
切れ味を引き上げられたライドブッカーソード。
「おりゃ!」
斬り付けるとダメージは普通に入る。
「シュテル鉱か。確か籠めた魔力の分だけ硬度が増す特性……だったな」
とはいえど、この程度の硬度ならば問題は無い。
「一気に片付ける」
《FINAL ATTACK RIDE DE DE DE DECADE!》
「どぉりゃぁああっ!」
ディメンジョンスラッシュにより、横薙ぎに一閃をして上下真っ二つに斬り裂いてやった。
「今は亡きユエ、アレーティアのおじさまとやら……確かに彼女は戴いた」
まぁ、美味しく『戴きます』をするのはこれからだったりするけど。
「だから、汝の魂に幸いあれと心から願おう」
変身解除してから呟き、まだ『おじさま』とやらの真意も知らぬ内から何を言ってるのかと、自嘲をしながらユエの許へと戻る。
蠍擬きの解体は後だ。
ユエもサガの変身を解除して、ユートの方へとテトテトな足取りで歩み寄り、ガバッと抱き着いていた。
「どうした?」
「……ん、何でも無い」
よく判らないがユエを抱き締めてやる。
「……ありがとう」
こうしてユート一行に、ユエが加わる事になった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「どうした、先生?」
「結局、助けたんですね」
「まぁね。彼女に悪意は感じなかったし、裏切られたと言った時の表情は憎悪より悲哀が先立っていたよ。恐らく親より親しい間柄、だから余計に哀しかったんだろうが……ね」
愛子先生の言葉にユートは真摯に答える。
「そうなんですね……」
そんなユートの言葉に、愛子先生は納得の色を見せたが、雫が何故かブスッと膨れっ面をしていた。
「どうした八重樫。獲物が折れて御冠なのか?」
「違うわよ!」
シャムシールっぽい剣はユエの封印を斬ろうとして折れてしまい、今は刃部分が半分になった本体を鞘に戻している。
使えない武器に使えない自分、御機嫌斜めな理由としては確かに妥当だけど、実際にはチョロイン化していた自分の心の整理が付かずに苛立ちを感じていて、しかも肢体は誉められたにしても『始まりの四人』という事で、八重樫 雫としては疎んじられているかもとか、そう考えたら贅沢な事は言えずにいた。
とはいえ、勇者(笑)一行と合流するまでは抱いて貰えると、心の伴わない関係でもある意味で前向きに考える辺り、苦労人な雫らしいのかも知れない。
雫にとって幸か不幸か、ユートのセ○クスは普通とは違う為に所謂、普通な男との行為に比べて快感など何倍も凄い事になる。
元々はたった一人の少女……の姿をしている魔導書の精霊、【ナコト写本】のエセルドレーダを絶頂させるべく磨いたテクニック、そして“あの技能”ではあるのだが、当然の事ながら普通の女の子にも有効且つエセルドレーダよりも効く超絶技能、その上にユートは無限性欲と無限射精とか訳の解らない能力を嘗ての戦い、夢幻心母を依代として復活した強壮たる【C】にエロ同人みたいな事をされて獲得しているが故に、決して衰えない処かヤればヤる程に元気になる分身に相手は腰砕けだ。
もう、物理的に。
雫にはそもそも、香織とは違い特別な好意を持った相手は居なかった。
それは愛子先生も同じではあるが、彼女は『先生』が先立つ為にか『生徒』と関係を持ってしまった事に頭を抱えている。
然しながら、雫は同級生である為にそういう悩みは特に無い。
ユートが肉体的に千年を越えて生き、精神的にだと数千年を在り続けているとは思ってもないし。
香織はやはりまだハジメに未練がありそうだ。
とはいえ、生き残る為に違う男へ肌を赦した時点でヒロイン気質な香織的に、最早ハジメに愛される資格は無いと感じていた。
まぁ尤も、原典に於いては残念ヒロインだが……
それにあんなに感じて、初めてで絶頂まで至らされてしまい、事が終わって後に気絶から我に返った途端に自己嫌悪だった。
どれだけ香織が心の中で『ハジメ君』と、普段は呼べない名前呼びで叫んでいても、いつしか頭の中まで真っ白に染まり甘い嬌声を上げて悦んでいた事実は、受け容れ難い事実として重く乗し掛かる。
ハジメに抱かれている、そう言い聞かせながら受け容れていた筈が、いつの間にか『ユウ君』に変わっており、あろう事か自分から腰を振って求めだした。
正気に返ったら頭を抱えたくなるのも当然。
「あの、その子を助けたのは対価を支払うからだと、八重樫さんからは聞きましたが?」
「そうだよ、先生」
「そ、そんな小さな子を! 駄目です! そんな事、先生は許しませんよ!」
「本人が構わないと言っているのに、先生の許可とか要らんだろうに。飽く迄もプライベートなんだから」
「そ、それは……」
「言ってみれば、ユエは僕の彼女になりますと宣言をしたから、彼女を助けたというのと同じ。学校の先生が生徒の恋愛事情に介入をする権利が有るとでも?」
「あ、ありませんが……」
真っ当な恋愛事情ならばそうだが、明らかにそうではない二人だとも言えるのだろうけど、やはり返されるだけだと口を閉じる。
「緒方君」
「どうした? 八重樫」
「ユエ……さんにサガークだったかしら? あれを渡したのはどうして?」
「戦う意志を確認したし、僕はそんな意志を示したら【閃姫】やその候補には力を与えている。戦いたくないというなら護るだけだ」
「せんき……って?」
「僕の恋人、側妃、呼び方は色々あるが……早い話が僕の傍に在る事を望んだ者であり、【閃姫契約】を交わした者達の事だね」
「ユエさんとも?」
「手付金は貰った。だけど契約は交わしていないな」
「手付金?」
「八重樫だってしたろ?」
「…………っ!」
言わんとする事に思い至ったのか真っ赤になった。
ユエは下半身と両腕が、立方体により拘束されていたのだから、使える部分なんて限られている。
そして彼女は貧であり、そこを使うにはボリュームが圧倒的に足りない訳で、ならば残るのは一ヶ所だけしかあるまい。
雫もヤったから解った。
天然な香織は今回は始終がマグロさん、だから特殊なプレイはしていないが、何故か赤くなっているなら識っているらしい。
一応は二五歳の愛子先生も保健体育の知識は有る。
「白崎も解るんだ」
ビクッ! と肩を震わせている香織を呆れた風に、雫がやれやれと口を開く。
「香織って、南雲君の趣味に合わせたくてアダルトなコーナーに突撃したから。私を道連れにしてね」
「ちょ、雫ちゃん!?」
多分だが言わない約束とかだったのだろう、うら若き乙女がアダルトコーナーに突撃したとか。
「成程、知識は有るのか。なら次回は期待しても良さそうだね」
ニコリと香織に向かって微笑んでやったら、何故かプルプルと赤い顔の侭で震えだした。
「で、何でユエにサガークを渡した事を聞きたい?」
愛子先生が教師の視点で香織に御説教を始めたのを他所に、雫の方へと向き直ると改めて話を聞く事に。
「ユエさんにサガークを渡したのは【閃姫】? 候補だからと言ったわよね」
「言ったな」
「なら、私にも頂戴と言ったらくれる?」
「いや、八重樫は此処を出たら勇者(笑)に合流するんだろうに。白崎と先生も。少なくとも、僕は連中に力をくれてやる心算なんか無いからな。君に渡したら、連中は調子ぶっこいて渡せと迫って来るに決まっているんだろうから」
「……戻らない」
「はぁ?」
「緒方君、貴方の【閃姫】にして下さい」
「雫ちゃん!?」
「や、八重樫さん?」
DOGEZA。
プライドも何もをかなぐり捨てて、DOGEZAしてまで【閃姫】にして欲しいと願う雫。
「其処までして仮面ライダーの力が欲しいか? 好きでもない男に媚びを売ってまで欲しがるのか?」
「媚び……そう言われても仕方ないよね。確かに欲しいもの、あれだけの力が私にも有ればって思うもの。あんな力を見せられた後でこんな事を言っても、きっと信じて貰えないだろうとは思うよ。だけど私は貴方が抱いてもいないユエさんに力を渡したのが悔しくて……嫉妬……した」
原典、ユートの識らない世界線に於いて八重樫 雫はハジメへの想いをひた隠しにしてきた。
理由は親友の好きな相手を自身が好きになってしまった浅ましさ、他にもあるけど一番の理由はこれであったのは間違いない。
それを今更ながら『私も南雲君が好き』などとは、香織に対して言えるものではなかったであろう。
だけどユートは違った。
性欲の捌け口としてなら香織を抱いたが、ユートは香織に、香織はユートに対して“特別”を懐いてはいないからだ。
だから素直になれる。
ステータスの及ばない力にも惹かれたが、抱かれてお姫様みたいに扱われたのが嬉しくて、ユート自身にも惹かれてしまった。
正にチョロインだけど、香織が関わらない相手だけに今なら言えるから。
「僕は勇者(笑)に合流しないし、僕自身の価値観で動いている。意に沿まぬ殺しをさせるかも知れないし、助けられる誰かを見捨てるかも知れない。そんな時、八重樫は僕に従えるか? 【閃姫】は僕の使徒であるからには、主たる僕に従う義務が発生する。そうだな……何処ぞの霧魔人が言っていた言葉を借りたなら、『大魔王様の御言葉は全てに優先する』……だな」
「大魔王って……」
強ち間違いでもない。
神殺しの魔王の一人で、そもそもが大魔王バーンを斃した一員でもある。
魔王を討つは魔王に等しい力の持ち主である。
勇者(笑)ではなく勇者の至上命題だろう。
仮面ライダークウガに於いては顕著に、【究極の闇】を討つにはクウガ自身が同じ力を持った【凄まじき戦士】になる必要がある。
【究極の闇】と称されるグロンギ一族の長、ン・ダグバ・ゼバを討てる存在は【凄まじき戦士】と“成り果てた”クウガだけだと、そう云われていた。
最終的にクウガは【凄まじき戦士】のアルティメットフォームに変身をして、自分自身の笑顔の為に戦ってたン・ダグバ・ゼバを、飽く迄も誰かの笑顔の為に戦い抜いた訳だが……
神殺しの魔王も似た様なもので、神を殺せるという事は神に等しい力を持つに至った者として、各国での裏機関では腫れ物を扱うかの如く対応をされる。
ドラゴンクエスト系なら【ダイの大冒険】も同様、原典では結局たった一人でバーンを斃したダイ。
大魔王バーンを討った、それは即ち大魔王と同等かそれ以上の力の持ち主。
ダイ自身もそんな力を揮った自分が、果たして人間の姿をしているものなのか……と、恐怖心を懐いていたのも事情である。
ドラゴンクエストⅡ……その主人公に当たる人物、ローレシアの王子も別作品でのアフターとして、破壊神シドーを魔法も持たない身で討つ破壊神と同等なる危険人物、とある魔物による奸計とはいえ自身もその事に悩んでいたロランは、ローレシア王国を出奔してしまったと云う。
正しく至上の命題だ。
それは兎も角としても、ユートの【閃姫】は盲目的に従う存在ではないけど、基本的なスタンスとしてはユートの恋人であり従者。
必要ならユートの言葉に従わねばならない。
「ユエは出来るな?」
「……ん、私はユートを支えるだけ」
「と、ユエは言ってるな。八重樫は出来るのか?」
「……」
「雫ちゃん?」
「八重樫さん……」
沈黙してしまった雫に、不安そうに香織と愛子先生が気遣う。
「今晩、ユエさんの後で良いから私を抱いて」
「は? まぁ、君らに求めたのはそういう事だから、それは構わないけど……」
「最後まで気絶はしない、口でも胸でもお、お尻でも好きに使って構わないわ」
「ちょ、八重樫さん!?」
「雫ちゃん、いったい何を言っちゃってるの!?」
危ない発言に大慌てとなる愛子先生と香織。
「覚悟を示したい。私にはそんな事くらいしか出来ないから……ね」
「し、雫ちゃん」
身一つで出来る事など、確かに高が知れている。
「私は可愛い物が好きで、小さい頃はフリルが付いたピンクの服とかを着たかったし、部屋にはお人形とか飾っているわ。お化粧して綺麗な服や宝飾で着飾り、彼氏の腕に自分の腕を絡ませて一緒に歩くの。勿論、彼氏が自発的に車道側を歩いてくれて私はは歩道側。不良に絡まれたら彼氏が護ってくれて、そんなお姫様みたいなのに憧れてた」
「知ってるよ」
「緒方君なら全部を叶えてくれる。誰かを好きになる切っ掛けなんてね、きっとそんな些細な事なんだよ。今ならよく解るわ」
「うん……私も南雲君を好きになった切っ掛けは些細な出来事だった」
何の暴露大会なのかと、愛子先生は『はわわ』などとはわわ軍師みたいになっており、ユートも困ったなと頭を掻いていた。
ユエは静観中。
極限状態で頭がパニックなのは間違いない。
「オッケーだ。其処までの覚悟を持つなら同行しても構わないし、同行する為の力も与えよう」
バッとユートを見ると、いつの間にか紫色の柄を持つ曲線を描く片刃の剣を持っており、それを雫に対して投げ渡した。
「これは?」
「武器、壊したろ? 刀じゃないけどあれと似た感覚で扱える剣、サソードヤイバーだ」
「サソードヤイバー」
「鞘は無いから抜刀術とかは出来ないけど、そいつの鍔としてこいつを装着してみると良い」
投げ渡されたのは蠍型のオブジェで、しかも単なるオブジェではなく脚がワシャワシャと蠢いていた。
「サソードゼクターだよ。【仮面ライダーカブト】に登場する仮面ライダーサソードに変身するツール」
「っ!? これがなの? ベルトじゃないのね」
「ベルト型じゃないのだって存在するさ。カブト系はカブトとガタックとパンチホッパーとキックホッパー以外、全部がベルト型じゃないツールだ。ブレスレットだったり銃だったり剣だったりとね」
その一つが仮面ライダーサソードの剣、サソードヤイバーという訳だ。
「えっと、変身?」
言われた通りにサソードゼクターを、サソードヤイバーの鍔に当たる部位へとセットしてみる。
《HENSHIN!》
サソードヤイバーから、電子音声が鳴り響きながら持ち手から姿が変化。
仮面ライダーサソードのマスクドフォームへ。
「か、変わった!?」
「マスクドフォームだね。仮面ライダーカブト系だとそれが基本形態、キャストオフすればライダーフォームに成れる」
「キャストオフ!」
サソードゼクターの尻尾部分を押し込む。
《CAST OFF》
ガシャガシャとパーツが切り離される準備形態に、そしてオーバーアーマーとしてのパーツを弾き飛ばしてしまい、下から現れたのは緑の複眼に紫を基調とした蠍モチーフで左右非対称の仮面ライダー。
《CHANGE SCORPION!》
「変身をしたなら使い方はもう理解したな?」
「う、うん」
驚いた事にサソードゼクターを手にした時、使い方が頭に入ってきたのだ。
だから解る。
カブト系仮面ライダーの脅威的なシステム、つまりクロックアップという時間の外側に自らを置く事で、有り得ない速度を出しながら知覚も追い付く仕様。
因みに、仮面ライダーファイズアクセルフォームも通常の千倍の速度を出せるのだが、知覚まで加速される訳ではないから使える者は限られてくる。
実際に使用した乾 巧と門矢 士は、その高い能力で使い熟していたのだ。
「す、凄い……」
熱に浮かされたみたいにサソードの仮面の下にて、雫はその能力に頬を朱に染めながら呟く。
蛹から成虫となる見立てのキャストオフ。
逆にアーマーを戻して、防御力重視のプットオン。
目にも留まらぬ高速機動のクロックアップ。
更にサソードは様々な毒を刃に湛え、斬ると同時に毒を送り込む原典には無い独自機能が存在している。
主な機能だけでも生身の自分では、どれだけ鍛えたとしても追い付かない。
そして、ユートが創造をした聖魔獣の全てに備わってる完全状態異常無効化。
仮面ライダーサソードとなった雫は、改めてユートの“旅に”付いていく事を確かに誓うのだった。
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仮面ライダーサソード、ステータス的には若干だけどノイントに劣る程度……で良いかな?
勇者(笑)な天之河の最後について
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原作通り全てが終わって覚醒
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ラストバトル前に覚醒
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いっそ死亡する
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取って付けた適当なヒロインと結ばれる
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性犯罪者となる