ありふれた職業で世界最強【魔を滅する転生業】   作:月乃杜

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第18話:戦いの神VS神の使徒

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 ボコボコにされてしまう天之河光輝、そして心臓があっさりと停止した。

 

「魂掌握! 読み込み……開始! 簒奪!」

 

 【狩人×狩人】な世界でユートが手にした念能力、即ち【模倣の極致(コピー&スティール)】である。

 

 自分が心肺停止までさせた相手の、若しくは自分が性的に絶頂させた相手の魂を掌握→読み込みで能力を閲覧して、其処から能力の簒奪か模写が可能だ。

 

 絶頂させるのは当然ながら性的にだから、女性相手にしか行われない行為。

 

 殺して逝くか性的にイクかの違いである。

 

「終了」

 

 ユートは天之河光輝から全ての技能を簒奪した。

 

「おら!」

 

 ドゴンッ! 左胸へ鈍い音を響かせて踏み付ける。

 

「ちょっ!」

 

 死人に鞭打つ行為を見て流石に声を上げた雫だが、『ゴボッ!』と息を吹き返したのを見て安堵した。

 

 幾ら見放したとはいえ、やり過ぎだと思ったから。

 

 ユートは刃が粉砕された聖剣を拾い上げる。

 

「脆いな聖剣の癖に」

 

 何故かガーン! とか、聖剣がショックを受けたみたいな感情が伝わってきて寧ろユートが驚く。

 

「まさか、人格は無さそうだが……意思は在るのか」

 

 デバイスとはまた違う、簡単な意思は感じる。

 

「わ、わ、我が……我が国のあーてぃふぁくとが……聖剣がががが!」

 

 余程ショックだったか、泡を吹きコテンと引っくり返ったエリヒド国王。

 

 天之河光輝の装備品が壊れるというのは、云ってみればハイリヒ王国に於ける宝物が減るという事。

 

 しかも勇者(笑)に与えられるだけあり、一応は最高級品の装備であろう。

 

「おい、勇者ってのは弱いのかよ?」

 

「皇帝、あれが強い様に見えるなら目を医者に見せた方が良い。あれを強いと思えるなら頭を医者に見せた方が良い。そもそも実力主義とはいえ玉座にふんぞり返って鈍った皇帝に敗ける程度の勇者(笑)が強い訳があるものかよ」

 

「成程な。処でお前らが使う装備は何だ?」

 

「仮面ライダー」

 

「仮面ライダー?」

 

「僕が認めた身内にのみ、渡している力だよ」

 

「つまり、俺らに渡したりはしないと?」

 

「奪いに来るなら来いよ、但し帝国最期の日を迎えたいなら……な」

 

 ユートは敵対者に一切の容赦は無い。

 

 ヘルシャー帝国にせよ、ハイリヒ王国にせよ、或いは神にせよ奪いに来たなら滅ぼして混沌の海にバラ撒いてやるまでだった。

 

「さて、行くか雫」

 

「ええ、判ったわ」

 

 歩を進める二人に慌てて待ったを掛けるのは……

 

「お、おい! 光輝をこの侭にしていく気か!?」

 

 坂上龍太郎。

 

「光輝を起こしても面倒しかないわ。何だか可成りのダメージみたいだし、安静にさせておくのね」

 

「いや、これだと蘇生したのにまた死ぬんじゃね?」

 

 坂上龍太郎の言葉は正当であり、放っておけばいずれ力尽きて死ぬ。

 

 ユートは勇者(笑)が死んでも別に何も思わないが、楔で時間稼ぎでもしておくかと、イシュタル・ランゴバルドへの拘束を解く。

 

「ぐっ!?」

 

 拘束を解かれたと気付いてユートを睨むが、老い耄れの殺気も混じらぬ睨みなど何処吹く風よ。

 

「イシュタル・ランゴバルド教皇、勇者(笑)を助けて欲しいか?」

 

「むう……貴方は何が望みですかな?」

 

 今、此処で暴れてみても勇者(笑)は死ぬだけ。

 

 すぐにそれを理解して、交渉に応じる辺り老獪なる教皇様というべきか。

 

 然し甘い。

 

「今回の件は明らかに勇者(笑)の責任。まさかとは思うが教皇ともあろう者が、それを理解出来ない無能ではないだろう?」

 

「ぐむぅ、それは……そうですな」

 

 苦虫を噛み潰した様な、そんな表情をしたいものの表に出さない、確かに老獪さでは皇帝や国王より遥かに上みたいだ。

 

「ならば……聖教教会及びハイリヒ王国とヘルシャー帝国のトップが一同に介しているんだ。その名前に於いて誓って貰おう」

 

「ふむ?」

 

「ユート・オガタ・スプリングフィールドとその仲間に対し、聖教教会とハイリヒ王国とヘルシャー帝国はその権利を認めて、決して異端とはしない……とな。そもそも、異世界の人間がこの世界の宗教に迎合しないのは当たり前。それすら考えず異端だとはしない、若しくは僕の持つ物を奪う為などで追っ手を掛けないと誓って貰う」

 

 国の名前や宗教の名前、そしてそのトップの名前に於いて誓え……と、ユートは事も無げに言う。

 

 とはいえ、勇者(笑)の死を看過するのも問題だと、イシュタル教皇とエリヒド国王とガハルド皇帝の名、そして国と教会の名に於いて宣誓した。

 

 瞬間、凄まじい光が放たれて何かに縛られる感覚が三人を襲う。

 

「んだ、こりゃ? おい、てめえ……何をした?」

 

 ユートの掌中には、翼に天秤を付けた感じの鷲を象る印璽が有る。

 

「これは鵬法璽(エンノモス・アエトスフラーギス)……その効果は、誓約した者の言葉を絶対遵守させるという、封印級の魔法具。つまりはあんたらはさっきの宣誓を決して違える事は出来ない、魂まで束縛する程の代物だからね」

 

「なっ! アーティファクトだとでも!?」

 

 驚くイシュタル・ランゴバルド教皇。

 

「あんたらの尺度で云えばそうだが、これは僕の世界で使われている物だよ」

 

 正確に云えば、ユートの再誕世界で造られた物で、この世界の地球ではない。

 

 これで少なくとも時間稼ぎは出来るだろう。

 

 とはいっても、宣誓したのはイシュタル・ランゴバルドであり、エヒトがじかに刺客を送るのは可能であるから、攻撃はされるだろうと踏んでいた。

 

「それじゃあ、僕は行かせて貰う。此処には愛子先生を送りに来ただけでね」

 

「先生を?」

 

「永山か。天之河がアレだとサブリーダー的なお前に話しておくべきか」

 

「ああ、やったのは緒方ではあるんだが……頼む」

 

 実際、リーダー格である天之河光輝をボコったのはユートであり、永山重吾はちょっと文句を言いたいのだろうが、やはり自業自得な面が強くて言えない。

 

「さっきも少し言ったが、取り敢えず僕は三人と共に奈落に落ちた。オルクス大迷宮の百階層より更に下に行くしかなくて、魔物は強くなる一方だったんでね。僕が三人を護らないと間違いなく死ぬ状況だ」

 

「マジかよ? 非戦系天職の畑山先生や治癒師の白崎は兎も角、バリバリ前衛職の八重樫がか?」

 

「飛び出して蹴り兎と名付けた兎型の魔物から、一撃で致命傷を受けていたくらいだからな」

 

「なっ! 一撃でだと?」

 

「はっきり言ってベヒモスに苦戦する程度の戦力で、あそこに降りるのは正しく自殺行為でしかないな」

 

 ベヒモス程ではないが、それでも上澄みの迷宮に出る魔物より数倍は強いし、一度でも降りたらまともな手段では上に戻れない。

 

 因みに、ユートは迷宮脱出呪文(リレミト)を使えるのだが、仕様的にパーティを組んだ者で最大数は六人という制約が在る。

 

 問題なのは“パーティを組んだ”という状況だが、これはユートがパーティであると意識的なり無意識なりで認識する必要があり、残念ながら当時の香織と雫はパーティに入れなかったのである。

 

 これはユートの意識に、『始まりの四人』なんてのが有ったからで、愛子先生だけなら実はリレミトにて脱出は可能だった。

 

 とはいえ、それを伝えても流石に愛子先生だけ脱出とか、納得などしないだろうから言わずにいたのだ。

 

 まぁ、お陰で愛子先生も抱けて得したのは確か。

 

 尚、今現在はパーティを組める状態になっている。

 

「三人には結界で待つか、肢体で対価を支払ってでも護られながら付いて来るか選ばせたが、付いて来る方を選んだんだよ。因みに、寄生で護られない侭に付いてくる選択も有るには有ったけど、実質的に死ぬだけだから薦めはしなかった」

 

「だろうな……」

 

「で、出口となる魔法陣を見付けたからこうして出てきたが、雫と香織は僕と行く選択をした。だからこそ先生を連れて来たんだよ。先生には作農師の技能を使って欲しいんだろ?」

 

 チラリとリリアーナを見ながら言う。

 

「はい、ありがとうございますユート様」

 

 現状で、エリヒド国王は聖剣が砕けたショックから気絶しており、国政に口を出さないルルアリア王妃や幼いランデル王子よりも、リリアーナが受け答えるのが仕事だった。

 

「合流しないっていうならお前ら、何処に行こうというんだ?」

 

「神頼みではなく帰り道を捜す旅に出るさ」

 

「帰り道……か。確かに、必要ではあるかもだな」

 

 イシュタル・ランゴバルド教皇は、天之河光輝からの質問に『救世主の事は無碍にしない』的なふんわりした回答はしてるものの、決して確約をした訳では無いのだから必要かも知れないと永山重吾は考える。

 

 これが天之河光輝なら、『イシュタルさんを信じられないのか!』と、莫迦を言うのは火を見るより明らかな話だろう。

 

「判ったよ。それじゃあ、取り敢えず三人は別行動を取るんだな?」

 

「ああ、悪いな永山」

 

「構わんよ。それで少しでも帰る為の可能性が上がるんならな」

 

 本当に天之河光輝と違って話が出来る男だ。

 

 それだけで感動してしまえる程、天之河光輝はダメダメだったと云う。

 

 帰る為にはエヒトが邪魔だし、取り敢えず七大迷宮を踏破してみる事にしているユート。

 

「ああ、そうだ。近い内に地球へ情報を届ける心算なんだが、家族にメッセージを送りたい奴は居るか?」

 

『『『『は?』』』』

 

 全員がギョッと目を剥きながら声を上げる。

 

「肉体は無理でも意識だけは飛ばせる方法が確立出来てね、だから向こう側との情報交換をしようと」

 

「どどど、どうやって?」

 

 食い付いたのは優花。

 

「あ、優花。久し振り」

 

「う、うん。久し振り……じゃなくて! どうやって向こうと交信を?」

 

 それは全員が聞きたい。

 

「この姿が答えだよ」

 

「その半分こ怪人が?」

 

「仮面ライダーW。二人で一人の仮面ライダーでね、ドライバーに刺さっている二本のガイアメモリ、左側はボディメモリで僕が担当している」

 

『そして右側がソウルメモリでボクの担当なのさ』

 

「え? だ、誰?」

 

 仮面ライダーWなユートから聞こえたもう一人の声を聞き、思わず疑問を持った優花だったが先程の言葉から一応、推測をする事は出来ていた。

 

『ボクは緒方祐希。優斗の義妹(いもうと)でソウルメモリを担当する相棒役』

 

「仮面ライダーWはソウルメモリ側の意識を引き込むからね、今頃ユーキの肉体はジョゼットが動かしているんだろうな」

 

『まぁね』

 

「何か、一人二役な独り言に聞こえるんだけど……」

 

「だろうね」

 

『あはは、初めましてだね……君は……園部優花さんだよね?』

 

「え、うん。そうだけど」

 

『そっかそっか。園部優花さんかぁ』

 

 ユーキも彼女についてはそれなりに識っている。

 

「?」

 

 何に納得しているのかが判らない為、優花としては小首を傾げるしかない。

 

「仮面ライダーWに成れた……つまり、ソウルメモリとユーキの意識が此方側へリンク出来た。ならその逆も可能な訳だよ」

 

「そっか、ファングメモリだよね?」

 

「ハジメ、正解だ」

 

 声を上げたハジメに対してユートは頷く。

 

 ファングメモリは唯一、フィリップ側から翔太郎の意識を喚び出し、彼自身が戦う為のメモリだった。

 

 仮面ライダーWファング/ジョーカー。

 

 白い右半身と黒い左半身で構成されており、これがある意味で仮面ライダーWの中間強化形態。

 

(ユーキ、という事だから遠隔招喚で地球に喚ぶ)

 

(了解。身体は?)

 

(冥界に用意してあるよ。それを使ってくれ)

 

(判った)

 

(地球でやっている事業も引き続き行ってくれるか、トータスから何人か連れて行く可能性があるんでね)

 

(つまり、立場の強化とか資金稼ぎだよね?)

 

(そういう事)

 

 既にユートはある程度、この世界の知識はユーキから貰っている。

 

 オラオラッシュの際の、短い時間で知識の受け渡しをしているからだ。

 

 天之河光輝の相手など、その片手間で充分過ぎた。

 

 彼が弱いという訳ではないのは、既にステータス値だけならばメルド元団長の二倍を越えている事からも明らかだが、普通に戦えばまだメルド元団長が勝つ。

 

 高いステータス値でごり押しをするなら、三倍以上は必要となるだけの経験差が二人の間にはある。

 

 因みにだが、限界突破なる技能を使えば短期決戦に限り勝てるだろう。

 

 尤も、それは最早使えないが(笑)

 

(じゃあ、一応だけどね。ヒロインを教えとくから、連れ帰る以前に救うかどうかは任せるよ)

 

 列挙された名前。

 

 シア・ハウリア。

 

 ティオ・クラルス。

 

 ミュウ&レミア。

 

 但し、現時点で出逢っていないヒロインのみ。

 

(ミュウ&レミアって?)

 

(母娘だよ。ミュウが四歳の女の子で、レミアはその母親なんだけど未亡人)

 

(成程……)

 

(それぞれ、シアが兎人族でティオが竜人族、ミュウ&レミアが海人族だよ)

 

 見事に亜人族ばかりだ。

 

 ユートはエリキシル剤を坂上龍太郎に渡すと、今度こそ謁見の間を出て行く。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

 変身の解除後、部屋に荷物を取りに行く雫とは別れて外に出た途端に現れたのは長い銀髪に碧の瞳を持つシスター。

 

「誰だ?」

 

「待っていましたよイレギュラー」

 

 シスター服を脱ぎ捨て、本来の姿に立ち返る。

 

 見た目にはワルキューレっぽいドレスアーマーに、服はヘソ出しで純白。

 

「イレギュラーだと?」

 

「我が名はリューン。我らが主たるエヒト様に逆らい足る者、抹殺します!」

 

「さっきイシュタル・ランゴバルドは誓約を交わしたばかりだが、どうやら命令系統が全く別みたいだな。エヒトを我らが主と呼ぶ、つまりエヒトの使徒か」

 

 ユートはすぐ結界を展開すると、右手を天高らかに上空へと掲げた。

 

 そんなユートの右手へ、高速にて飛翔する青い物体が納まる。

 

 いつの間にか腰に機械的なベルトが装着。

 

「変身っ!」

 

《HENSHIN》

 

 ベルトに合着させるは、青いクワガタの姿の機器。

 

 ベルト部を中心に姿が変わっていき、マスクドフォームの仮面ライダーガタックに変身。

 

 赤い複眼に銀と青を基調としたアーマー、両肩にはガタックバルカンが装着されており、明らかに他より高い戦闘力を与えられているのが判る。

 

「先程とは違う姿?」

 

「仮面ライダーガタック、俺は俺にしかなれない……でもこれが俺なんだ!」

 

「意味不明ですね」

 

「喧しいわ!」

 

 決め台詞は適切な場所や場面で使わないと無意味、そういう意味でガタックのこれは確かに意味不明。

 

 ユートは両肩のバルカンをリューンとやらに向け、毎分五〇〇〇発と云われるイオンビーム光弾を放つ。

 

「チィッ!」

 

 それを弾く辺り、エヒトの使徒リューンとやらは、そこら辺の仮面ライダーな怪人と同じかそれ以上。

 

 ユートは、ガタックゼクターのゼクターホーンを開いて動かす。

 

「キャストオフ!」

 

《CAST OFF!》

 

 上半身を包むマスクドアーマーが開き、パージする事で下からライダーフォームが現れた。

 

《CHANGE STAG BEETLE!》

 

 ガタックホーンが頭へと合着し、クワガタ虫の角と同じ形に変化する。

 

 仮面ライダーガタックのライダーフォームだ。

 

 ガタックバルカンの代わりに肩へ装着されたガタックカリバーを抜き放って、空を悠々と飛んでいる使徒リューンに自らも飛翔して追い縋る。

 

「なっ!? まさか、飛べるのですか!」

 

「仮面ライダーガタックは飛べない。だが、僕自身は飛ぶスキルが有るんだ!」

 

「くっ!?」

 

 舞い踊る動きでガタックカリバーを振るうユート、その姿は様になっていた。

 

 そもそも、ガタックを選んだ理由がこれだ。

 

 ユートは都合、三つもの【緒方逸真流】を修得しており、その一つがつまりは【緒方逸真流八雲派双刀術】という分家の一つ八雲家に伝わる舞戯である。

 

 ガタックカリバーはこの舞戯を扱うに、丁度良い長さと二刀流が可能な数。

 

(ステータス的には大体、六〇〇〇〜八〇〇〇くらいって処か? はっ、つまり勇者(笑)じゃ逆立ちをしても敵わない神の使徒が居るって訳かよ。しかも数的に台所のGの如く)

 

 天之河光輝のステータスは知らないが、戦ってみた大体の感覚でオール七五〇といった処。

 

 限界突破で二二五〇程度であり、とても敵うとは思えない差があった。

 

(だけど残念、ガタックのスペックに僕自身の能力が加われば、一万にも満たない能力では勝てんよ)

 

 斬っ! 斬っ!

 

「ぐはっ!?」

 

「終わりだ」

 

《ONE TWO THREE》

 

 ガタックゼクターのスイッチを三回押す。

 

「ライダーキック!」

 

 ガタックホーンを元々の位置に戻し、すぐにホーンを再び開いて倒す。

 

《RIDER KICK!》

 

 波動変換をしたタキオン粒子により、威力を高めた蹴りを御見舞いしてやる。

 

「キャァァァァッ!」

 

 本来なら原子崩壊を起こして爆発するのだろうが、わざわざ非殺傷設定で斃したから死にはしない。

 

 吹き飛んで身体は動かせないけど、確かにリューンはまだ生存している様だ。

 

「うぐっ、こんな莫迦な」

 

「神の使徒、こんなもんだとしたら大した事も無い」

 

「余りいい気にならない事ですね、私も所詮は使徒の中で失敗作に過ぎません。感情が表に出過ぎ力も低いが故に、こうして監視任務に就くのが精一杯。本当の使徒はもっと強い……」

 

「それは愉しみな事だが、今はお前で愉しもう」

 

「な、なにぃ?」

 

 その意味が計りかねないのか、リューンは動けない身体を横たえた侭。

 

 ガタックゼクターが離れて変身が解除され、ユートはリューンの鎧兜や服に手を掛ける。

 

「な、何を!?」

 

「何ってナニだな」

 

 服を剥ぎ取られて漸く、リューンにもナニをヤりたいのか理解する。

 

「よ、よしなさい! 私は神の使徒リューンですよ! 貴方が如き人間が……」

 

 戦いの後、敗けた女兵士は悲惨な事になるのが謂わば御約束。

 

 リューンも御多分に漏れなかったに過ぎない。

 

 その後、ユートは彼女をワイルドベスタに封印し、プライムベスタ――ハートスートの【CHANGE】Aとして創り変えた。

 

「これで香織のライダーも決まったな」

 

 ブレイド系オリジナルの仮面ライダーリューン。

 

 試作したジョーカーラウザーのコピー品、ジョーカードライバーで使うカードの最初の一枚が完成した。

 

「取り敢えず変身だけなら出来る様になったな」

 

 ピラピラとプライムベスタを指に摘まみ、動かしながらその絵柄を見遣る。

 

 其処にはワルキューレを思わせる女性、そんな意匠で絵が描かれていた。

 

 

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勇者(笑)な天之河の最後について

  • 原作通り全てが終わって覚醒
  • ラストバトル前に覚醒
  • いっそ死亡する
  • 取って付けた適当なヒロインと結ばれる
  • 性犯罪者となる

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